【CD購入録】DREAM THEATER「THE ASTONISHING」(2016)

  • 2016/02/04(木) 00:00:00

【CD購入録】
THE ASTONISHING
DREAM THEATER「THE ASTONISHING」(2016)

先日、CD購入録をアップしたTOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」と同日に発売されたDREAM THEATERの13作目を買いました。2枚組仕様のコンセプトアルバムとなる本作は全34曲、2時間10分という超大作です。彼等のコンセプト作といえば神盤5th「METROPOLIS PT.2 : SCENES FROM A MEMORY」(1999) 、2枚組といえば6th「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」(2002)がありますが、本作を聴いて最初に連想したのは後者(特にDisc-2)ですね。全体的にメロディアスで聴きやすい作風だと思います。ただ、裏を返すと2時間以上の長丁場の中でハッとさせられるメロディがあるというよりは、心地良い楽曲がスムーズに流れているように感じられ「ここがハイライト」と呼べるポイントを現時点では見つけられていません。というわけで本作も数回聴きましたが、気がつけば即効性の高いAVANTASIAの「GHOSTLIGHTS」をリピートしてしまっている今日この頃です。

【CD購入録】DREAM THEATER「DREAM THEATER」(2013)

  • 2013/09/19(木) 00:00:00

【CD購入録】
DREAM THEATER
DREAM THEATER「DREAM THEATER」(2013)

中心メンバーだったMike Portnoy(Ds)と袂を分かち(事実上の解雇?)、後任にMike Mangini(Ds)を迎えた新生DREAM THEATERの2作目にして通算12枚目のアルバムを買いました。バンドの再出発作となった11th「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」(2011)は手堅い仕上がりではある一方で刺激が足りないように感じられましたが、今回は序曲①False Awakening Suite(ⅰ.Sleep Paralysis、ⅱ.Night Terrors、ⅲ.Lucid Dream)に続く②The Enemy Insideで前作では希薄だった攻撃性をガツンと叩きつけてくれています。そんなヘヴィな側面のみならず時にはメロウ、時にはキャッチーに聴かせる歌メロ、テクニカルなインストや長編曲などDREAM THEATERが持つ要素を次々と見せてくれるので、バンドのサウンドの網羅性という意味で本作がバンド名を冠するアルバムになったのは自然の流れなのかもしれませんね。最長でも7分台と、このバンドにしてはコンパクトな楽曲が並ぶ今回のアルバムを締めくくるのは22分に及ぶ大作⑨Illumination Theory(ⅰ.Paradoxe de la Lumiere Noire、ⅱ.Live, Kill, Die、ⅲ.The Embracing Circle、ⅳ.The Pursuit Of Truth、ⅴ.Surreder, Trust & Passion)です。ボーナストラックを含むと作品全体で74分というボリュームなので聴き込みはこれからですが現時点では②と⑨が印象に残っています。

DREAM THEATER「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」(2011)

  • 2013/01/25(金) 00:00:00

A DRAMATIC TURN OF EVENTS
【No.361】
★★★(2011)

バンドの創作/運営面の両方を取り仕切っていたMike Portnoy(Ds)が2010年9月に脱退するという衝撃的な事件を乗り越えてDREAM THEATERがリリースした通算11枚目のアルバム。PortnoyがいないDREAM THEATERなんて想像もできなかったのですが、残されたメンバー達はバンドの歩みを止める気は全くなかったようで直ぐさま後任ドラマーのオーディションを開始し、7人の最終候補の中からMike Mangini(Ds/ex-STEVE VAI、EXTREME、ANNIHILATOR)がその座を射止めるまでのドキュメンタリー映像をYouTubeで公開するなど活発な活動を展開してPortnoy脱退から約1年で新作のリリースに漕ぎつけています。なおオーディション映像は本作の初回限定盤の付属DVDとなっており、YouTubeにはなかった日本語字幕が付いているので非常に見応えがありました(「Welcome you to the family…」の言葉と共にメンバーがManginiにオーディション合格を伝えるシーンは何度見ても感動的)。Portnoy抜きのDREAM THEATERがどのような作品を生み出すのか期待と不安を胸に本作を聴いてみたところ、賛否両論あったPortnoyのラップパート(通称ジャイアンラップ)がなくなり、近作よりもメタル色が減退していることを除けばDREAM THEATERらしい1枚に仕上がっていると思います。

リリース前に先行発表されていた①On The Backs Of Angelsを聴いてPortnoy不在でもDREAM THEATERらしさは健在だということに安心したのと同時にメロディのキャッチーさ、楽曲の刺激不足に物足りなさを感じたのですが、どうやらこの感想はアルバム全体にも当て嵌まりそうです。Portnoyが持ち込んでいたと思われるモダンテイストやヘヴィネスが薄れ、本作では楽曲の透明感が増したことでバンドの代表作にしてプログレメタルというジャンルを象徴する名盤でもある2nd「IMAGES & WORDS」(1992)が引き合いに出されることも多いようですが、あそこまでの凄みは感じられなかったので僕はメロディアスな路線だった8th「OCTAVARIUM」(2005)を思い出しました。独裁者(裏を返せば強力なリーダーシップの持ち主)としての一面もあったPortnoyが抜けたことで各メンバーの協力体制が強まり、これまで大きすぎる感のあったドラム音量が適正化されたことに伴いJohn Myung(B)のベースサウンドがよく聴こえていたり、James LaBrie(Vo)の魅力を最大限に活かせる声域をメインにした曲作りが為されているのは新体制ならではの良さではないかと思います。それに加えて本作で一際惹きつけられるのがJohn Petrucci(G)によって紡ぎ出されるギターメロディ、そして派手に弾きまくったり優雅なピアノの調べを奏でたりとこれまで以上に存在感を増したJordan Rudess(Key)の鍵盤サウンドですね。これまでPortnoyと二人三脚でバンドを成長させてきたPetrucciにとって今回の脱退劇はショックだったと思いますが、本作では鬼気迫るギターからプロデュースまでをこなしつつ、Portnoy以上にバンドのバランスを重視する彼の考えがこのような作風に繋がったのではないでしょうか。

その一方で良くも悪くも毒っ気のあるPortnoyがいない今のバンドが生み出す曲はメロディアスで滑らかであるがゆえに、抑揚や耳に残るメロディが少なくなったと感じるのも事実(③Lost Not Forgotten、⑧Breaking All Illusionsは結構好きですが)。それだけでなく、過去作品で聴いたようなフレーズや展開が散見されるため新鮮味が希薄なのも気になります。DREAM THEATERは歴史の長いバンドであり、その重要人物が脱退した後だからこそ「バンドの基本線は変わらない」ということをファンに示すために敢えて冒険をしなかったのかもしれませんが、これまで僕のミュージックライフに欠かせない名盤をリリースしてくれた彼等に対してはどうしてもハードルが高くなってしまうんですよね。「バンドのリーダー的存在が脱退した後にリリースされた手堅く無難なアルバム」という意味ではSTRATOVARIUS「POLARIS」(2009)に似ているかもしれません。今回はManginiが加入した時点で既に曲の大半が完成していたそうなので本作はあくまでも挨拶代わりの1枚で、新体制の真価が問われるのはManginiも曲作りに参加してくるであろう次のアルバムでしょうね。現時点ではPortnoyの脱退がバンドにとってプラス/マイナスのどちらに作用したのか判断が難しいところです。

【音源紹介】
・Breaking All Illusions

【CD購入録】DREAM THEATER「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」(2011)

  • 2011/09/08(木) 00:00:00

【CD購入録】
A DRAMATIC TURN OF EVENTS
DREAM THEATER「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」(2011)

バンドの創設メンバーであるだけでなく、実質的なリーダーだと思われたMike Portnoy(Ds)が脱退するという衝撃的事件を乗り越えてプログレメタル界のキングDREAM THEATERが作り上げた11作目を買いました。Portnoyがバンド脱退を突然表明したのが2010年9月8日で、そのほぼ1年後にこうして新作を届けてくれたことがまず驚きです。「しばらくDREAM THEATERを休止させて数年後に活動を再開したい」と言うPortnoyに対して「バンドは休むことなく活動していく」として袂を分かっただけのことはありますね。しかも、この1年間で後任ドラマーのオーディションを実施しただけでなく、その模様をYouTube上で公開(本作の初回限定盤にはそのDVDが付属)してしまうんだからタダモノではありません。7人の候補者の中からドラマーの座を勝ち取ったMike Mangini(Ds)もバンドに違和感なく溶け込んでいるように思います。

Portnoyは超絶ドラマーであるだけでなく、バンドのソングライターでもあったので彼の不在が楽曲にどのような影響を及ぼすのか気になっていましたが表面的にはそれほど大きな変化は感じられません。ここ最近に比べるとヘヴィな要素が減退していますがDREAM THEATERというバンドのは楽曲の振り幅が大きいので、その範囲内という見方とバンドのヘヴィサイドを担っていたのがPortnoyだという両方の見方ができるかもしれませんね。第一印象では前作「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」(2009)に一歩譲る感はあるものの、このバンドの作品は繰り返し聴き込んで初めて魅力がわかってくるので、このアルバムとじっくり対峙したいと思います。

ちなみに僕はドラマーオーディションの模様を収めたドキュメンタリーDVD「THE SPIRIT CARRIES ON」付きの初回限定盤を購入しました。日本語の字幕付きなのでYouTubeで公開されていた映像を見た時には曖昧だった部分も理解できました。7人のドラマーの中で「最初の犠牲者」だったManginiのオーディションを終えた時点でバンド側はかなりの好感触を感じていたんですね。そしてYouTubeで見ていた時ももそうでしたが、James LaBrie(Vo)が電話でManginiに「Welcome you to the family…」と告げるシーンは、そのリアクションから彼がどれほどDREAM THEATERに加入することを熱望していたかが伝わってきて何度見てもグッと来ます。「おめでとう!Mike Mangini!」と言いたくなりますね。それとは対照的にB!誌のインタビューやライナーノーツで明かされた「AVENGED SEVENFOLDとの契約が解除となった後にPortnoyがDREAM THEATERに戻りたいと打診してきた」というエピソードはちょっとゲンナリしました。いつか彼がバンドに復帰するのもアリだとは思いますが、いくら何でも早すぎかと・・・(苦笑)。

【現在の愛聴盤】DREAM THEATER「THE TWELVE-STEP SUITE」(2002-2009)

  • 2009/07/25(土) 09:46:34

【現在の愛聴盤】
このところDREAM THEATERの作品を重点的に取り上げ「DREAM THEATER祭」状態のこのブログですが、この記事をもってお祭りは一段落となりそうです。

2002年に発表した6th「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」の1曲目Glass Prisonに始まり、その後This Dying Soul(7th「TRAIN OF THOUGHT」2曲目)~The Root Of All Evil(8th「OCTAVARIUM」1曲目)~Repentance(9th「SYSTEMATIC CHAOS」5曲目)と続き、The Shattered Fortress(10th「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」4曲目)で完結した「アルコール依存症を克服するための12のステップシリーズ」全5曲のプレイリストを作り、よく聴いています。このシリーズはThe Twelve-step SuiteまたはThe Alcoholics Anonymous Suiteと呼ばれ、バンドのブレインであるMike Portnoy(Ds)も体験したアルコール依存症とその克服をテーマにした組曲で、Bill Wilsonが提唱した12のステップが主題となっています。

これまでは各アルバムの収録曲のひとつとして、これらの楽曲を聴いていましたが、こうして5曲を繋げてみると印象が違うというのも興味深いですね。同一のメロディやフレーズが登場することから、過去の楽曲の焼き直し、メロディの使い回しだと批判する声もあるようですが、この5曲は音楽/歌詞の両面で関連性を持つ組曲なんだと考えると、このような手法は必然であるようにも思えてきます。

簡単に全5曲、12のステップに分かれる各パートの感想をまとめてみました。ブックレットを見ても、どこで区切られているのか記載がないため、僕の主観で各ステップを区切っています。

1. The Glass Prison(13:52)
発表当時はDREAM THEATERの全レパートリーの中で、最もヘヴィで攻撃的な曲だと思いました。独立した1曲としても完成度の高いこの曲から57分にも及ぶ組曲が始まります。

Step I. "Reflection"(0:00~6:00頃)
5th「METROPOLIS PART2」のエンディングでも使われたレコードノイズ音から静かで不気味なイントロへと繋がり、そこから凶暴なリフが響き渡ります。熱いインストバトルが繰り広げられるヘヴィなパートもあって組曲の幕開けにピッタリです。

Step II. "Restoration"(6:00頃~9:40頃)
ややスピードダウンし、少し地味に思えるパートではあるかな。1曲目The Glass Prison~3曲目The Root Of Evilに共通する
"I can't break out of this prison all alone"
一人ではこの監獄から抜け出せない
という歌詞が初めて登場します。

Step III. "Revelation"(9:40頃~13:52)
John Myung(B)のソロが口火となり激しいインストパートへ突入。ボーカルパートはラストの1分弱しかありませんが、歌メロが凄く耳に残ります。

2. This Dying Soul(11:27)
Glass Prisonのフレーズを交えつつ、Glass Prison以上に重たく激しいナンバー。後の楽曲においても、この曲のフレーズがよく再登場しているので、このシリーズの中心的存在ではないかと勝手に思っています。

Step IV. "Reflections Of Reality (Revisited)"(0:00~6:30頃)
John Petrucci(G)のヘヴィなリフとPortnoyのツーバスで始まるアグレッシブなパート。ヘヴィなだけでなく5:45頃からはJordan Rudess(Key)による優雅なピアノも登場し、This Dying Soul前半のクライマックスを盛り上げています。

Step V. "Release"(6:30頃~11:27)
このパートの歌メロの一部がMETALLICAのBlackend(「...AND JUSTICE FOR ALL」収録)にソックリなのは非常に有名みたいですね。
そんなボーカルパートの後に登場する9:00頃からのソロパートは圧巻。特に10:30以降はとてつもない緊張感を放っています。

3. The Root Of All Evil(8:25)
これまでの2曲と比べると攻撃性はやや控えめで、この組曲の中では8分台と最も短い楽曲です。「OCTAVARIUM」の1曲目として聴いていた時より、組曲の3曲目として聴いた方が魅力的に思えます。

Step VI. "Ready"(0:00~3:50頃)
最初のリフはThis Dying Soulのエンディングを少しスローにした感じです。「OCTAVARIUM」発表当時のDREAM THEATERは前作のエンディングと次回作のオープニングに連続性を持たせるという試みにチャレンジしていたため、前作「TRAIN OF THOUGHT」2曲目にあたるThis Dying Soulと、「OCTAVARIUM」1曲目のこのパートの繋がりは若干不自然になってますね。

Step VII. "Remove"(3:50頃~8:25)
バンドの激しい面が強調されていたGlass Prison、This Dying Soulの2曲と耽美バラードRepentanceを繋ぐ橋渡し的役割を担っているだけでなく、終盤のボーカルメロディが素晴らしいパートです。インストバトルもありつつ、メロディを聴かせる姿勢が強調されてますね。

4. Repentance(10:43)
この組曲で唯一のバラード。耽美的でメロウなこの曲が、組曲として聴いたときに絶妙なアクセントとなっています。Portnoy曰く「いつか、この組曲を連続して演奏するときに、アドレナリンが湧き出るものばかりだと死んでしまうので、楽曲は進行中でも休憩できるようなものを入れたかった」のだとか。

Step VIII. "Regret"(0:00~5:45頃)
IV. "Reflections Of Reality (Revisited)"と同じく
"Hello mirror, so glad to see you my friend. It's been a while"
「こんにちは、鏡、しばらくだったね、会えて嬉しいよ…」
という歌い出しで曲がスタートします。ただし、ここでその一節を歌っているのはJames LaBrie(Vo)ではなくPortnoyです。このパートの終盤にはPetrucciによる極上のギターソロが収録されています。

Step IX. "Restitution"(5:45頃~10:43)
ここがPortnoyが言うところの休憩パートかな?全て語りです。ゲストがそれぞれ朗読パートを担当しているのですが、そのゲストが非常に豪華。

Mikael Akerfeldt(Vo、G/OPETH)、Jon Anderson(Vo/YES)、David Ellefson(B/ex-MEGADETH)、Daniel Gildenlow(Vo、G/PAIN OF SALVATION)、Steve Hogarth(Vo/ex-Marillion)、Chris Jericho(Vo/FOZZY)、Neal Morse(Vo/ex-SPOCK’S BEARD、TRANSATLANTIC)、Joe Satriani(G)、Corey Taylor(Vo/SLIPKNOT)、Steve Vai(G)、Steven Wilson(Vo、G/PORCUPINE TREE)

という錚々たる顔ぶれです。

5. The Shattered Fortress(12:49)
組曲のエンディングに相応しく、これまでの楽曲にあったメロディをダイジェスト的に、時には少し違う形にアレンジして再登場させています。フェードインから始まるオープニングと、再びGlass Prisonに戻るラストが素晴らしいですね。

Step X. "Restraint"(0:00~5:30頃)
冒頭で"Freedom"とPortnoyが歌い、"calls my name"と返すLaBrieとのやりとりは、II. "Restoration"の歌い出しでPortnoyの"Run"に対してLaBrieが"fast from the wreckage of the past A shattered glass prison wall behind me"と歌うパートを連想させます。

Step XI. "Receive"(5:30頃~9:20頃)
このパートの大半はIV. "Reflections Of Reality (Revisited)"、VII. "Remove"と同じメロディで構成されています。エンディング前に、組曲の肝となるメロディと歌詞が再登場しているという感じです。

Step XII. "Responsible"(9:20頃~12:49)
火花散るインストパートに続くラスト1分に印象的なボーカルパートを入れるという手法はIII. "Revelation"と同じですね。
組曲を締めくくる歌詞が非常に深いです。
"I am responsible when anyone, anywhere Reaches out for help, I want my hand to be there"
「俺には責任がある。誰でも、何処でも、助けを求めて手を差し出した時、俺の手がそこにあるようにしたい」
これはPortnoyが12のステップでアルコール依存症を克服する中で導き出した答えなのかもしれません。
そしてアウトロではGlass Prison冒頭のメロディやThe Root Of All Evilのドラムパートが顔を出しつつ、最後はGlass Prisonの始まりと同じレコードノイズでこの組曲は幕を降ろします。

ちなみに、この組曲について調べる中で知ったのですが、The Mirror(3rd「AWAKE」収録)という楽曲もPortnoyのアルコール依存症体験をテーマにしたものだそうです。そういえば、The Mirrorの歌詞にはThis Dying Soulに登場する4つ目のステップであるReflections Of Realityという言葉も出てくるし、そのIV. "Reflections Of Reality (Revisited)"とVIII. "Regret"では"Hello mirror, so glad to see you my friend. It's been a while"、X. "Restraint"では"Look in the mirror What do you see? "という一節もあり、Mirrorという単語をしばしば使っている辺りも関連性を感じさせますね。

既にPortnoyが公言しているように、ライブでこの組曲を繋げて演奏する計画があるそうです。全12ステップをテーマにした5曲だけでもいいけど、そこにThe Mirrorを絡ませてくれたら嬉しいな。各アルバムに収録されている5曲を繋げて聴いていると、曲間の繋ぎに不自然さを感じる部分もあるので、早く完全版を聴きたいです。この5曲の曲間を編集して繋げている音源を見つけました。こういう繋ぎ方をしてくれるといいですね。

今はThe Twelve-step Suiteがひとつの音源としてリリースされる日を楽しみに待ちたいと思います。

・Twelve-Step Transitions


・Twelve-step Saga Samples

DREAM THEATER「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」(2009)

  • 2009/07/22(水) 08:00:00

BLACK CLOUDS  SILVER LININGS
【No.164】
★★★★(2009)
年間ベスト2009年第2位

デビュー20周年を迎える2009年にDREAM THEATERが放つ10枚目のオリジナルアルバム。基本路線は2枚組作品だった6th「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」~8th「OCTAVARIUM」の集大成のように思えた前作「SYSTEMATIC CHAOS」の延長線上ですが、前作では6thのDisc-1における実験的要素が感じられたのに対し、本作は6thのDisc-2にあったメロディアスな側面が強調されているように思います。ここ最近の作品と比べても、全6曲中4曲が10分越えでトータル75分のボリュームがありながらも聴き易いので僕としては、この方向性は大歓迎ですね。

そんな本作のとっつき易さの要因となっているのが、アラビックなイントロに始まりDREAM THEATERにしては珍しいほどにベタでキャッチーなサビ(その後に挿入されるギターフレーズもグッド)へ至る②A Rite Of Passageと、ダークでメランコリックでありながら、どこか温かみを感じさせてくれるメロディが秀逸な5分台のコンパクトバラード③Witherの存在で、この2曲は初めて聴いた時から強く印象に残っています。こういったメロディアスなアプローチは13分の長編⑤The Best Of Timesにも活かされていて、ピアノ、ヴァイオリン、アコースティックギターがもの悲しい旋律を奏でるイントロ、耳に残るボーカルメロディ、John Petrucci(G)の泣きまくりギターに涙させられるエンディングなど聴きどころの多い1曲となっています。また2002年発表の6thから始まり、7年の時を経て遂に完結を迎える「アルコール依存症を克服する12のステップ」シリーズ最終章の④The Shattered Fortressは、過去の楽曲にあったメロディを巧みに織り込んだ組曲のエンディングに相応しいものだし、19分という長さを感じさせない力作⑥The Count Of Tuscanyも聴き応えがあります。全6曲の中では地味に思えるオープニングの①A Nightmare To RememberもDREAM THEATERらしいヘヴィプログレで曲の後半では、フィーチュア度が増えたことで賛否両論ありそうなMike Portnoy(Ds)のラップ調ボーカルとブラストビートが炸裂しています。

DREAM THEATERの音楽性は既に完成の域にあると思うので新鮮味はあまり感じられませんが、何度も聴くことで飽きるどころか、どんどん作品に引き込まれていきます。やはり僕はDREAM THEATERの中でも、こういうメロディアスな路線が好きなんだと再確認しました。また、僕が買った初回限定盤はカバー6曲を収録したDisc-2と本編のインストアレンジ盤のDisc-3という3枚組です。

Disc-2のトラックリストはこちら。
01. Stargazer(RAINBOW)
02. Tenement Funster~Flick Of The Wrist~Lily Of The Valley(QUEENメドレー)
03. Odyssey(THE DIXIE DREGS)
04. Take Your Fingers From My Hair(ZEBRA)
05. Larks Tongues In Aspic Pt. 2(KING CRIMSON)
06. To Tame A Land(IRON MAIDEN)

僕がオリジナルを知っているのは①くらいなので、元のバージョンと聴き比べてどうなのかはわかりませんが、①に関してはなかなか忠実なカバーだと思います。もう少しDREAM THEATERらしさがあっても良かったかな。あと歌メロについては、このDisc-2の楽曲の方が充実しているので、James LaBrie(Vo)がDisc-1以上に生き生きと歌っているように感じますね。そんなDisc-2は結構楽しめたのですが、Disc-3はボーカルだけでなくインストのソロパートもカットされているので、僕にとってはそれほど魅力的な内容ではありませんでした。といいつつ、Disc-1のリピートから抜け出すのが難しくDisc-2とDisc-3はまだそれほど聴けていなかったりするのが実情なのですが(苦笑)。

【音源紹介】
・Wither

DREAM THEATER「WHEN DREAM AND DAY REUNITE」(2004)

  • 2009/07/20(月) 08:00:00

WHEN DREAM AND DAY REUNITE
【No.163】
★★★(2007)

1989年に華々しくデビューしたDREAM THEATERの15周年を記念してデビューアルバム「WHEN DREAM AND DAY UNITE」の全8曲をJames LaBrie(Vo)Jordan Rudess(Key)が在籍する現体制で再現したライブ(2004年3月ロサンゼルス公演)を収めた作品です。このバンドのデビュー作といえば、LaBrieが歌っていない唯一のスタジオ盤であり、前任ボーカリストCharlie Dominiciの線の細いハイトーンではなくLaBrieのボーカルで聴きたいと言われることが多い作品でもありました。そんなファンの要望に応えて、デビュー作のLaBrieバージョンとも言えるライブを敢行しただけでなく、ライブ音源としてファンに届けてくれたバンドのブレインMike Portnoy(Ds)のサービス精神にまずは拍手を送りたいです。デビュー作とリンクしたジャケットもナイスセンス。

前述したように本作の目玉はLaBrieが歌う「WHEN DREAM AND DAY UNITE」の楽曲ということになるのですが、これについてはなかなか興味深い結果となっています。①A Fortune In Liesの「I can do remember when~♪」という歌い出しを聴いて、やはりLaBrieは上手いなぁと思いつつも、聴き進めていくと②Status Seeker⑥AfterlifeなどはDominiciの方が好きだったりするんですよね。シンガーとしての総合力ではLaBrieの方が上ですが、Dominiciには彼の良さがあるんだと再認識しました。そして本作のもうひとつの目玉がデビュー作からの全8曲の後に収録されている⑨To Live Forever⑩Metropolisです。この2曲にはなんとDominiciが参加しているばかりか、⑩では4th発表時のメンバーDerek Sherinian(Key)までもが共演しているのです。デビュー当時のメンバーだったKevin Moore(Key)が参加していれば更に凄かったのでしょうが、Kevin不在でもバンド15周年を祝福する粋なサプライズだと思います。

そんな元メンバー2人を迎えてツインボーカル、ツインキーボード体制で演奏される名曲⑩は圧巻の一言。まるでバーのマスターかというほどの地味なオジサマでオーラ皆無なDominiciの風貌はさておき、その歌声はしばらく表舞台から遠ざかっていたとは思えないほど、しっかりとしていて驚きました。そして曲後半のインストパートではスタジオ盤にはないソロバトルを挟むだけでなく、僕がこの曲で最も好きな怒涛の展開前に挿入されたブレイクがめちゃくちゃカッコいいです。デビュー作の再現ライブが聴きたくて本作を買った僕ですが、今ではスペシャルメンバーが演奏するMetropolisが一番気に入っています。ちなみに本作はバンドが運営するYtseJam Recordsから発売されているオフィシャル・ブートレッグシリーズのひとつで、本作のDVD盤(特典映像付きらしいです)もあります。またYtseJam Recordsではオリジナルアルバムのデモ集やIRON MAIDEN「NUMBER OF THE BEAST」、METALLICA「MASTER OF PUPPETS」といったヘヴィメタルの名盤を1枚丸ごと再現したライブ作品も取り扱っていますので、興味のある方は一度覗いてみてはいかがでしょうか。

【音源紹介】
Metropolis(Live)with Charlie Dominici(Vo)and Derek Sherinian(Key)

DREAM THEATER「SYSTEMATIC CHAOS」(2007)

  • 2009/07/18(土) 08:14:26

SYSTEMATIC CHAOS
【No.162】
★★★(2007)

5th「METROPOLIS PART2」のラストから続いていた前作のエンディングと次回作のオープニングに同一のフレーズを持ってくるという作品の連続性が前作「OCTAVARIUM」(このアルバムのラストは再び同作の冒頭に戻ります)で完結、レーベルも移籍して心機一転という言葉が自然と頭に浮かぶDREAM THEATERの9thアルバム。ここ最近の3作品はアルバム毎にカラーが異なっていましたが、本作は③Constant Motionで顕著な7th「TRAIN OF THOUGHT」譲りのヘヴィメタリックなサウンドをベースに、アルコール依存症克服12のステップ組曲の2曲目This Dying Soulと同じ歌メロで始まり曲の後半は語りパートがメインという同組曲の4曲目にあたる⑤Repentanceにおける実験的なアプローチは6th「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」、James LaBrie(Vo)の表現力豊かな歌唱がこのバンドにとっていかに重要かを物語る②Forsakenは8th「OCTAVARIUM」と、これまでの集大成的な作品となっているように思います。メロディアスではありながら、DREAM THEATER最大の武器である攻撃的かつテクニカルなインストパートが希薄だった前作よりも僕好みの1枚ですね。

いかにもDREAM THEATERらしい緊張感たっぷりのインストパートとメロディックな展開が味わえる23分の大作を2分割してアルバムの最初と最後に配した①In The Presence Of Enemies Part1⑧In The Presence Of Enemies Part2John Petrucci(G)のギタートーンに魅了される悲哀に満ちたバラード②、METALLICAっぽさが強調された③、QUEEN風ハーモニーとファンによるコーラスを取り入れたストレートな⑥Prophets Of Warなどはお気に入りだし、メロディアスな楽曲の中で乱舞するテクニカルで激しいインストバトルがもたらすDREAM THEATERならではの美味しさは健在です。ただ、どの曲にも悶絶級のハイライトは確かに存在しながら、その興奮が楽曲全体にまで波及しているかというとそういうわけでもないんですよね。各曲に点在する悶絶ポイントを心待ちにしている感覚は、ARCH ENEMYの2nd「STIGMATA」の楽曲で一撃必殺のギターソロを待ちわびているかのようでもあります。

また本作の初回限定盤には、このアルバムのレコーディング・ドキュメンタリー映像(約90分)を収めたDVDが付いていて、曲解説も含めてなかなか興味深く見させてもらいました。DREAM THEATERというバンドは3rd「AWAKE」以降、常にファンの間で賛否が分かれる作品をリリースしているイメージがあるのですが、このDVDを見ていると「メンバーは(良い意味で)ファンの気持ちはお構いなしに、自分達の理想とする音楽をストイックに追求しているんだな」と妙に納得してしまいました。音楽的バックグラウンドが非常に広いバンドなだけに、数々のアルバムを発表する中で3枚に1枚くらいの割合で僕の感性にピタリと合致する作品を出してくれれば良いかなという気持ちにもなってきます。このバンドの場合、どうしても好きになれない作品はこれまでなかったですしね。

【音源紹介】
・Forsaken

DREAM THEATER「OCTAVARIUM」(2005)

  • 2009/07/15(水) 08:00:00

OCTAVARIUM.jpg
【No.161】
★★(2005)

ダークでヘヴィメタリックな曲調と火花散るインストパートを融合させた前作「TRAIN OF THOUGHT」での暗黒プログレサウンドが放つ圧倒的な世界観で僕を魅了してくれたテクニカル集団DREAM THEATERの8作目。看板ボーカリストJames LaBrie(Vo)の影が薄く感じられるほどに演奏陣が目立っていた前作とは異なり、これまで以上に歌メロが豊富でJamesを主役に据えた歌ものアルバムという印象ですね。

ピアノの単音で始まる①The Root Of All Evilは「アルコール依存症を克服する12のステップ」シリーズの3曲目で、このシリーズの2曲目に当たるThis Dying Soul(「TRAIN OF THOUGHT」収録)のフレーズを絡ませながら展開していくこの曲の雰囲気は、本作の中で最も前作に近いように思います。5thのエンディング以降、前作のラストから繋がる形で次の作品が始まっているため①が前作っぽいのも当然なのかもしれませんね。そんな前作譲りのダークな空気を一変させるのが、メランコリックなピアノバラード②The Answer Lies Withinです。その後もサビのボーカルメロディが頭から離れないキャッチーなミディアムチューン③These Walls、DREAM THEATER流AORかと思うようなポップソング④I Walk Beside Youと続くこれら3曲ではバンドのトレードマークでもある派手なインストバトルやソロはかなり抑えられています。本作が僕にとって「歌ものアルバム」となっているのはこの3曲に依るところが大きいのかも。②~④では控えめだった「らしさ」が爆発する⑤Panic Attackは、前作が大好きだった僕が理想とするDREAM THEATER像そのまんまのテクニカルナンバー。本作ではこの曲が一番好きですね。そしてアルバムを締めくくるのは5つのパートで構成される24分の超大作⑧Octavariumです。DREAM THEATERというバンドにとって、この手の大作は欠かせないものだと思うし、歌詞がユニークな第3章以降の展開と、エンディングで1曲目冒頭のピアノ単音に戻るというアイデアは素晴らしいと思いますが、正直なところ序盤はもう少し短くても良かったかな。10分前後の楽曲は好きなものが多いのに、この⑧にせよSYMPHONY XThe Divine Wings Of Tragedy(20:41)にせよ、好きなパートとそうでないパートに分かれてしまっている感じがします。20分以上の曲は僕にとって長過ぎるのかもしれませんね。

また本作を語る上で欠かせないのが、Mike Portnoy(Ds)が練りに練った「グランドコンセプト」の存在です。本作は「METROPOLIS PART2」のようなコンセプト(ストーリー)アルバムではありませんが、「8」と「5」という数字をキーワードに作品タイトル、ジャケット、曲数のみならず各曲の音階(オクターブ)やバンドの歴史までもが絡み合った本作のコンセプトには感嘆せずにはいられません。特に全8曲の第一音がドレミファソラシドの8音で、しかもその順番通りの音階から始まる(①はド、②はレ…と来て⑧はドに戻る)という仕掛けには本当に驚きました。この音階の例だけではなく細部にまでこだわったグランドコンセプト(ウィキペディアでも紹介されてます)を味わいながらじっくり聴きたい1枚ですが、僕が音楽を聴くのは主に移動中なので、なかなか作品に深く浸れないんですよね。いつかリタイアして悠々自適の生活を送れるようになったら自分のオーディオ室を作って、そこにこもって聴き込みたいそんな作品です。そういう音楽の聴き方って憧れるなぁ。

【音源紹介】
・Panic Attack

DREAM TEHATER「TRAIN OF THOUGHT」(2003)

  • 2009/07/13(月) 08:00:00

TRAIN OF THOUGHT
【No.160】
★★★★★(2003)
年間ベスト2003年第1位

作品ごとにお気に入り度の差があるものの深みのある作品を届けてくれるDREAM TEHATERの7thアルバム。結論から言うと、今回は大当たりですね。本作は「IMAGES & WORDS」、「METROPOLIS PT.2」とは異なるタイプの名盤といえそうです。ジャケットが表しているように、アルバム全体の雰囲気はダークなものでありながら、適度にキャッチーなメロディとDREAM THEATERならではの超絶テクニカルプレイを存分にフィーチュアした作風は「METROPLIS PT.2」に収録されているFatal Tragedyの世界観をアルバム全体に広げ、ダークに仕上げたかのような印象。全7曲中5曲が10分を超える大作でありながら、その長さを感じさせない流石の完成度です。

アルバム序盤の4曲はどれもヘヴィかつダークな曲調ですが、ストレートに押しまくるメタル度の高い②This Dying Soulのエンディングでのギターとキーボードのインストバトルは圧巻だし、Mike Portnoy(Ds)がノリのいいリズムを刻むドラマティックな展開と覚えやすいサビメロを持つ③Endless Sacrificeが実に素晴らしいですね。重量感たっぷりな曲が続いた後に、ホッと一息つくことができるピアノバラードの小曲⑤Vacantが本作の中で良いアクセントになってます。そしてアルバム終盤では、その⑤と同じメロディも飛び出すDREAM THEATER史上最高とも思える名インスト⑥The Stream Of Consciousnessがあまりに劇的で言葉を失ってしまうほど。特に曲後半でJohn Ptrucchi(G)から放たれる強烈な泣きは僕の心にビンビン響いてきます。こういったピアノ小曲から大作に繋がる展開は「IMAGES & WORDS」のWait For Sleep~Learning To Liveでもありましたが、僕は今回の方が好きですね。そして本作の曲としてはやや明るいメロディを持ち、曲の後半では鬼気迫るインストバトルが炸裂する14分の大作⑦In The Name Of Godで大団円を迎えます。

DREAM THEATERのアルバムの中でもヘヴィな部類に入る本作を聴いて、各プレイヤーの力量に改めて感服せずにはいられません。中でもJohn Petrucciの感情を爆発させるような速弾きと、ギターに歌わせるようなエモーショナルプレイが強烈な印象を残してくれました。このアルバムの主役は彼ですね。前作「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」は聴き込む前にその難解さと過剰なボリュームに撃沈し、その後じわじわ好きになってきた僕ですが、本作は聴き始めからツボにはまりました。もしかすると「IMAGES & WORDS」よりもリピート率は高いかもしれないというほど気に入っている1枚です。

【音源紹介】
・The Stream Of Consciousness(Live)

DREAM THEATER「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」(2002)

  • 2009/07/10(金) 08:00:00

SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE
【No.159】
★★(2002)

「神盤」、「究極の1枚」などの言葉で賞賛してもしきれないほど素晴らしい音楽作品だった「METROPOLIS PART2」に続くDREAM THEATERの6thアルバムは、全5曲中3曲が10分越え(短いものでも7分近く)の楽曲を収録したDisc-1と全8章からなる42分のタイトルトラックを収録したDisc-2の2枚組、トータル110分近くの超大作です。2枚のディスクを大きく分けると、即興的でやりたいことを自由奔放に詰め込んだDisc-1、よりメロディアスなアプローチで作り込んだサウンドを聴かせるDisc-2という印象かな。Disc-1の聴きどころは前作のラストでもあったレコードノイズ音から始まる①The Grass Prisonです。3rd「AWAKE」を彷彿とさせるダークな楽曲を、これまで以上に戦闘的な演奏でタイトに仕上げたこの曲は次作「TRAIN OF THOUGHT」でバンドが提示する「暗黒プログレ」の先駆け的なものだと思っています。ちなみにこの曲は、アルコール依存症克服運動の象徴的存在と言われるビル・ウィルソンが提唱した「克服に向けた12のステップ」をテーマにしていて、今回はステップ3までが取り上げられているようですね。後にMike Portnoy(Ds)自身もアルコール依存症だったと語っていることから考えて彼の実体験も含まれているであろうこのシリーズは、本作以降の各アルバムに1曲ずつ収録されていて10th「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」の4曲目The Shattered Fortressで全ステップが終了しています。この①は結構好きなのですが、Disc-1に収録されているそれ以外の4曲については、印象的なメロディが少ないこともあって難解な印象が目立ってしまっているように感じますね。

それに対してDisc-2は前作に近いメロディックな路線で曲としては1曲ですが、8つある章ごとにCDトラックが区切られているので独立した8曲の集合体という見方もできるかもしれません。このDisc-2①Six Degrees Of Inner Turbulenceの構成は序曲である第1章とフィナーレとなる第8章後半の間に、精神病や感情的障害の問題を抱えた6人の登場人物が描かれる第2章~第8章前半が並ぶという作りになっています。これから始まる42分の壮大な物語の幕開けを告げるⅠ.Overtureは、後の章に登場するメロディが散りばめられたDREAM THEATERとしては珍しいほどにシンフォニックで大仰なインストです。それ以降はややメロディが弱いようにも感じますが、この曲の中で最もヘヴィかつ攻撃的でどこかSYMPHONY XっぽさもあるⅣ.The Test That Stumped Them All以降の展開は好きですね。バラード調のⅤ.Goodnight Kiss後半で炸裂するJohn Petrucci(G)による泣きのギター、軽快で爽やかなメインメロディと後半の複雑な展開の対比が心地よいⅥ.Solitary Shell、ノリの良いロック調で始まるⅦ.About To Crash(Reprise)を経て感動のフィナーレを迎えるⅧ.Losing Time/Grand Finaleまでの流れはDisc-2のハイライトだと思います。

2枚共に聴きどころは確かに存在するものの、1フレーズ、1音も聴き逃したくないと思わせる凄みがあった前作に比べるとやや冗長気味かなというのが正直な感想です。特にDisc-1はその傾向が強いですね。という感想を抱いていたので、購入後しばらく聴いてからはCDラックに眠っていたアルバムですが、改めて聴き直してみると本作が持つ不思議とリピートを誘う力に引き寄せられて、気が付いたら繰り返し聴いている自分がいます。曲の後半で発散される不穏な空気がどうも苦手だったDisc-1③Misunderstoodも逆にそのパートが好きになってきているし、特定のメロディラインを聴くよりも曲自体が巻き起こすカオティックな音の波に身を委ねたい④The Great Debateなど聴けば聴くほど味が出る曲が多いです。ボリュームのある作品だけに気軽に聴けないですが、時間的余裕がある時にじっくり対峙したい作品ですね。あと何年か後に聴いたらお気に入り度が上がっているかもしれません。

ちなみにDisc-2のSix Degrees Of Inner Turbulenceに登場する人物の背景はこちら。

Ⅱ.About To CrashとⅦ.About To Crash(Reprise)…躁鬱症の女性
Ⅲ.War Inside My Head…ベトナム戦争の復員軍人
Ⅳ.The Test That Stumped Them All…ドラッグ等、多くの問題を抱えるロックスター
Ⅴ.Goodnight Kiss…精神病棟に送られ、娘と引き離された女性
Ⅵ.Solitary Shell…精神分裂症の男
Ⅷ.Losing Time…解離性同一性障害(多重人格)の女性

【音源紹介】
・Solitally Shell(Live)

DREAM THEATER「FALLING INTO INFINITY」(1997)

  • 2009/07/06(月) 00:00:00

FALLING INTO INFINITY
【No.158】
★★★(1997)

キーボードプレイヤーとしてのみならず、名曲Pull Me Underを手がけるなど作曲面でも貢献していたKevin Moore(Key)が脱退したため、後任にDerek Sherinian(Key)を迎えた4作目。僕が初めてリアルタイムで聴いたDREAM THEATERのアルバムである本作の第一印象は、ヘヴィでダークなサウンドに賛否両論だった前作「AWAKE」と比べて、質・量ともにメロディが豊富になっているなという感じでした。当時のバンドには2nd「IMAGES & WORDS」の続編を求める風潮が強く、本作の方向性にはレーベルやプロデューサーの意向が反映されているそうです。

本作の特徴はこれまでのDREAM THEATERサウンドと比べて、歌ものアルバムと言えるほどにボーカルメロディが多いという点。キャッチーなサビが耳に残る②You Not Me、ラジオでかかっていても違和感がない大衆バラード④Hollow Years、⑩Anna Leeなどが、その顕著な例だと思います。中でも④は哀感に満ちたスパニッシュ調のイントロからサビへの展開、James LaBrie(Vo)の絶品歌唱とボーカルメロディなど非の打ちどころのない名バラードです。これまでの作品では強調されることが少なかったバンドのポップセンスを活かしたこれらの楽曲以外にも、浮遊感あるメロディが心地良い③Peruvian Skies、トライバルなリズムとリラックスムードが新鮮な⑧Take Away My Pain、DREAM THEATERとしては珍しくノリのいいロックチューン⑨Just Let Me Breatheなど、多彩な表情を見せてくれます。初期2作品にあったわかり易さを推し進めた楽曲と、前作での緊張感溢れるプログレメタル曲の両方が混在する本作は、これまでの3作品の要素をミックスした1枚という印象です。ただプログレメタル系の楽曲に関しては作品中盤の3部作(ハードでヘヴィな⑤Burning My Soul~いかにもこのバンドらしいインスト⑥Hell's Kitchen~12分の大作⑦Lines In The Sand)は好きだけれど、アルバム冒頭とラストの長編曲にもう少し見せ場が欲しかったかな。

取っ付きにくさはあるものの聴き込むうちに段々好きになっていった前作とは対照的に、本作はすんなり入ることができる反面、リピートしてもその印象は変わらないアルバムのように思います。前作以上に「IMAGES & WORDS」寄り(あくまでも前作と比べて)なためリリース当初は好評だったようですが、DREAM THEATERの全作品の中で見ると「良作だけれど地味で掴みどころがない」という結論に落ち着いてしまいそうな1枚でもあります。余談ですが2nd「IMAGES & WORDS」、3rd「AWAKE」、4th「FALLING INTO INFINITY」の3作品を聴いていると、大半のファンが名盤と認める2nd「MOOD SWINGS」、バンドがやりたい音楽を追求した結果、当時流行していたグランジ寄りの音になったためリリース当初は酷評されつつも一部のファンには熱く支持された3rd「VOICE OF REASON」、レーベルやファンの声を作品に反映させたものの、どっちつかずで中途半端になった4th「BELIEVE」を発表したカナダのメロディック・ロックバンドHAREM SCAREMとダブって見えてきます。それと同時に「MOOD SWINGS」の呪縛から逃れられず残念ながら解散してしまったHAREM SCAREMに対して、後に「IMAGES & WORDS」とはタイプの違う名盤を生み出したDREAM THEATERは凄いバンドだと改めて思いました。

【音源紹介】
・Hollow Years(Live)

DREAM THEATER「AWAKE」(1994)

  • 2009/07/03(金) 00:00:00

AWAKE.jpg
【No.157】
★★(1996)

DREAM THEATERというバンドの代表作であるだけでなく、プログレメタルというジャンルを象徴する1枚でもあった名盤「IMAGES & WORDS」に続く3rdアルバム。前作で僕を魅了してくれた叙情メロディは減退し、John Petrucci(G)のリフはこれまで以上に重く、James LaBrie(Vo)の歌唱も攻撃性を増した本作は発表当時、ヘヴィでダークになったと物議を醸した作品だったようです。僕はこのアルバムを含むDREAM THEATERの初期3作品をまとめて聴いた時、最初は「IMAGES & WORDS」にすら敷居の高さを感じていたので、本作は3枚の中でも購入当初は一番聴く回数が少なかったアルバムでもあります。ただ僕が初めて本作を聴いた1996年から10年以上に渡ってDREAM THEATERを追いかけて他のアルバムも聴いて思ったのは、このバンドにとって「IMAGES & WORDS」は異質なほどに聴きやすくわかり易いアルバムだったのではないかということでした。「IMAGES & WORDS」の続編を期待して聴くと、本作は暗くて重すぎると言いたくもなりますが、このバンドの良質なメロディとズバ抜けた演奏力までもが失われたわけではないし、サウンドプロダクションについてはDREAM THEATERの中でも最高クラスだと思います。

ラップ調のボーカルも登場するミドル①6:00での幕開けは少し微妙ですが、この曲の緻密で複雑なサウンドは何故かリピートしたくなるし、ポップですらあるサビメロの②Caught In A Web、爽やかな空気漂う③Innocence Faded、⑨Lifting Shadows Off A Dreamなどには前作の残り香も感じられます。テクニカルインスト④Erotomaniaから大作⑤Voicesを経て、本作のみならずDREAM THEATERとしても珍しいアコースティック美曲⑥The Silent Manへ至る「A Mind Beside Itself組曲」、⑥から一転して「ガガガッ ガガガッ」という超ヘヴィなリフで始まる⑦The Mirrorと後半のインストパートが熱い⑧Lieの2部作が誇る重厚感はやはり凄いと思います。ただ、僕が音楽を聴く時に重要視している「耳に残るメロディ」が本作には不足しているように感じられるのが少し残念。本作と双璧を成すDREAM THEATERのヘヴィ/ダーク路線の7th「TRAIN OF THOUGHT」(2003)は大好きなのに、本作にはのめり込めない原因はここにあるのかもしれません。

1stアルバムにあったような疾走曲は勿論、わかりやすい楽曲もベタベタなバラードもない本作は過去2作品と比べても取っ付きにくいアルバムだと思います。ファンの間でも評価が分かれる作品である一方で、中には本作を最高傑作に挙げる人も多いようなので、玄人向けの1枚と言えそうですね。本作はこのバンドの作品の中でも聴くほどに味が出るスルメ盤との評判で、僕も現時点でのお気に入り度はそれほど高くありませんが、購入当初よりは好きなアルバムとなって来てはいるので今後更に本作を好きになる可能性はある思います。

【音源紹介】
・The Silent Man(Live)

DREAM TEHATER「IMAGES & WORDS」(1992)

  • 2009/07/01(水) 00:00:00

IMAGES & WORDS
【No.156】
★★★★★(1996)

プログレメタルの頂点に君臨するDREAM THEATERの2ndアルバムにして、このジャンルそのものを築き上げたとさえ言える歴史的名盤。前作でリードボーカルを務めていたCharlie Dominici(Vo)が脱退し、伸びやかなハイトーンと類稀なる表現力を兼ね備えたJames LaBrie(Vo)が本作から加入しています。1995年からHR/HMを聴き始めた僕が、北欧メタル、ジャーマンメタルの次に関心を持ったプログレメタル界で名高いDREAM THEATER、そして本作に出会ったのは1996年でした。メタル歴2年目だった当時の僕には敷居が高かったのか、最初は本作を聴いてもピンと来ず、好きになったのが哀愁たっぷりのサックスサウンドが活躍する美しいバラード②Another Dayとポップセンスが光るメロディとドラマティックな展開が素晴らしい④Surroundedの2曲くらいだったように思います。ところが、しばらくしてCDラックに眠っていた本作を聴いてみると、自分でも驚くほどに本作の世界観に引き込まれてしまいました。

変拍子や複雑な曲展開といったプログレ的要素を多分に含みつつも、軸足は常にメタルに置かれていて、なおかつメロディの充実度が他のプログレバンドとは比べ物にならないほどの素晴らしさであるために、難解なイメージを見事に払拭してくれてるんですよね。目まぐるしく展開していく曲の中で常に優れたメロディが聴けるので、超絶演奏テクニックとプログレッシブな曲展開も楽しめる極上のメロディックメタルとなっています。中でも大作⑤Metropolis Pt.1 : The Miracle And The Sleeperは、その凄まじいまでの演奏力を封じ込めた超名曲で、特に後半のインストパートは本当に衝撃的で背筋が震えるほどの感動を覚えました。

その他にも絶大なインパクトを残すオープニングトラック①Pull Me Underからラストの大曲⑧Learning To Liveまで、とにかく素晴らしい曲がズラリと並んでいます。ピアノメインのバラード小曲⑦Wait For Sleepのメロディを⑧に引き継ぐという構成もお見事。このアルバムに出会わなければ、僕がプログレメタルというジャンルに興味を持つことはなかっただろうし、本作が後続バンドに与えた影響は計り知れないと思います。本作はHR/HM系の雑誌やサイトで必聴盤特集があれば、必ずと言っていいほど挙げられる1枚であり「音楽は芸術なんだな」と素直に思うことができる、そんなアルバムです。

【音源紹介】
・Metropolis Pt.1 : The Miracle And The Sleeper

DREAM THEATER「WHEN DREAM AND DAY UNITE」(1989)

  • 2009/06/29(月) 00:00:00

WHEN DAY AND DREAM UNITE
【No.155】
★★(1996)

プログレッシブ・メタル界の帝王DREAM THEATERの記念すべきデビューアルバム。この時点でプログレッシブ・ロックにヘヴィメタルの攻撃性と疾走感を融合し、それを凄まじい演奏力で聴かせるというバンドの基本的な音楽性は既に確立されています。デビュー当時はRUSH meets METALLICAと評されていたらしいですね。バークリー音楽院で学んでいたJohn Petrucci(G)、John Myung(B)、Mike Portnoy(Ds)そしてKevin Moore(Key)の4人が結成したMAJESTYとしてバンドの歴史が始まり、その後Charlie Dominici(Vo)が参加しています。そのままMAJESTYの名で活動する予定でしたが、本作発表前にバンド名をDREAM THEATERに変更したようです。作品全体の印象としては、後の作品よりもコンパクトで勢いのある楽曲が多い半面、長編曲については荒削りで未整理なため印象に残りにくいという、良くも悪くも若さ溢れる1枚ですね。

曲展開にやや強引な面が見られるものの、メロディアスなフレーズと卓越した演奏技術で一気に聴かせてしまう①A Fortune In Lies、次作以降のDREAM THEATERでは聴けないストレートでパワーメタル的なアプローチが逆に新鮮な②Status Seeker、⑥Afterlifeなどにはこの頃ならではの魅力があるし、プレイヤー各人のソロパートを盛り込みつつ、テクニカルに進行していくインスト③The Ytse Jam(曲名は前身バンドMAJESTYを逆から綴ったもの)はデビュー作の収録曲だとは思えないほどの完成度を誇っています。そんなインストパートの充実振りとどうしても比較されてしまうのがCharlieによる線の細いボーカルです。2ndからバンドに加入する後任シンガーJames LaBrie(Vo)のパフォーマンスと比較するのは酷かもしれないと思いながらも、物足りなさを感じてしまいますね。パワー不足でバックの演奏に圧倒され気味なCharlieの歌唱は、厚みに欠けるサウンドプロダクションと並んで本作のウィークポイントとなっているように思います。Charlieの繊細なボーカルが楽曲にマッチしている②のような曲もあるんですけどね。

後の作品群と比べて「デビュー作は恥ずかしい過去」とメンバー自身が語る大御所バンドが多い中、DREAM THEATERの楽曲そのものは当時から既にただならぬレベルにあったと思わせてくれる1枚です。そんな自信の表れか、2004年にデビュー15周年を祝したライブでは本作を1枚丸ごと再現しています。そのライブ音源はオフィシャル・ブートレッグシリーズのひとつ「WHEN DREAM AND DAY REUNITE」としてCD、DVDでリリースされており、こちらでは勿論James LaBrieが歌っています。僕はCD盤を持っているのですが、本作からの全8曲にTo Live ForeverMetropolis Part1を加えた全10曲が収録されているばかりか、Metropolis Part1にはCharlie Dominiciと4thでのみプレイしたDerek Sherinian(Key)という2人の元メンバーがゲスト参加している豪華な代物なので「REUNITE」バージョンを買ってからは本作を聴く回数は減ってしまいました。

【音源紹介】
・The Ytse Jam(Live)

【CD購入録】DREAM THEATER「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」(2009)

  • 2009/06/28(日) 00:00:00

【CD購入録】
BLACK CLOUDS  SILVER LININGS
DREAM THEATER「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」(2009)

DREAM THEATERの記念すべき10枚目のアルバム「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」(カバー6曲、本編のインストアレンジを収録した3枚組仕様)を買いました。本作は全6曲と曲数は絞っているものの10分越えの大作も多く(最長は19分)、これまでのアルバム同様に聴き込みを要する作品だと思います。そんな中、②A Rite Of Passage③Witherという比較的コンパクトな2曲は、かなりとっつき易い印象ですね。また6th「SIX DEGREES OFINNERTURBULENCE」収録のGlass Prisonから始まった「アルコール依存症を克服する12のステップ」をテーマとした一連の楽曲は④The Shattered Fortressでついに完結を迎えています。④自体は過去の同シリーズ曲をコラージュした禁じ手(?)のような1曲なので賛否両論ありそうですが、個人的には1つのテーマを取り扱った楽曲の最終章として見れば、この手法もアリかなと思います。一度、Glass PrisonからThe Shattered Fortressの全5曲を続けて聴いてみようっと。アルバム全体としては「OCTAVARIUM」、「SYSTEMATIC CHAOS」というここ最近の2作品よりも、数回聴いた現時点では好印象です。このバンドの場合、何度も聴かないと作品の全体像は見えてこないんですけどね。あ、Disc-2とDisc-3はまだ1回も聴いてないので、こちらも聴かなくては…(汗)。

DREAM TEHATER「METROPOLIS PT.2 : SCENES FROM A MEMORY」(1999)

  • 2008/07/13(日) 23:21:06

METROPOLIS PT.2 : SCENES FROM A MEMORY

【No.010】
★★★★★(1999)
年間ベスト1999年第1位

プログレメタル界の王者DREAM THEATERの5thアルバムは、名盤「IMAGES & WORDS」に収録されているMetropolis Pt.1 : The Miracle And The Sleeperの歌詞世界をもとに作り上げたバンド史上初のコンセプトアルバムにして、他のバンドとの格の違いを見せつける珠玉の1枚。テーマは「輪廻転生」で大まかなストーリーは「毎晩、謎の悪夢にうなされる青年ニコラスが、その原因を探るために催眠療法師のもとを訪れる。その催眠療法の中でニコラスは70年の時を経て自分の前世ヴィクトリアと、彼女を愛したエドワードとジュリアン兄弟の間に起こった物語を知る…」というもの。ストーリーはやや難解な部分もありますが、音楽的には文句のつけようのない素晴らしい作品になっています。

抜群の演奏力と情感豊かなJames LaBrie(Vo)の歌唱によって生み出される音像は、聴いているだけで登場人物の感情や場面ごとの情景が目に浮かぶほどに、僕のイマジネーションを刺激してくれます。その緻密さは、音楽でここまでの表現が可能なのかと感心せずにはいられないほどです。アルバムの流れも完璧で、DREAM THEATERとしては意外なほど穏やかな①Regressionから、主人公ニコラスが催眠療法で時間を遡る場面を描写した②Overture1928に繋がった途端、一気にこの作品の世界に引き込まれます。アルバムは大きく分けるとACTⅠとACTⅡの2部構成で曲間も途切れることはほとんどなく、アルバム全体で1曲という仕上がりになっているため77分という収録時間があっという間に過ぎていきます。

アルバム構成も見事ながら曲単体の凄みまであるのが、この作品のスゴイところ。⑤Fatal Tragedyの終盤での各プレイヤーの緊迫感に満ちた演奏やMetropolis Pt.1のオマージュを散りばめたインスト⑨The Dance Of Eternityでの、今作から新加入の天才キーボードプレイヤーJordan Rudessの遊び心あるジャジーなフレーズを挟んだ自由奔放なプレイ、アルバム終盤に配された感涙の名バラード⑪The Spirit Carries Onがもたらす大きな感動と、その中で響くJohn Petrucci(G)の泣きのトーンなどなど僕の琴線を刺激してくれる場面の連続です。特に⑦Home以降のACTⅡは息をつく暇もないほど圧倒的な構築美でもって物語が展開し、衝撃のラストへと導いてくれます。それにしれも本当に凄いアルバムです。もはや音楽という領域を飛び越えた孤高の作品。DREAM THEATERはアルバムによって僕の好みに合うものとそうでないものがあるけど、本作はDREAM THEATERの作品云々という次元を超越し、これまで聴いてきた全ての音楽の頂点に位置する1枚です。

【音源紹介】
・The Spirit Carries On(Live)