【CD購入録】ROYAL HUNT「DEVIL'S DOZEN」(2015)

  • 2015/08/20(木) 00:00:00

【CD購入録】
DEVILS DOZEN
ROYAL HUNT「DEVIL'S DOZEN」(2015)

僕のミュージックライフにおける最重要バンドのひとつROYAL HUNTの13作目を買いました。Andre Andersen(Key)がインタビューで前作「A LIFE TO DIE FOR」(2013)がROYAL HUNTのラストアルバムになる可能性を示唆していたため心配でしたが、こうして無事に新作を届けてくれたことが嬉しいですね。本作で繰り広げられているのはROYAL HUNTにしか作れないであろう気品に溢れたメロディックメタル。リリース前から公開されていた①So Right So Wrong、⑤Until The Day、最近の彼等にしては珍しいアップテンポの②May You Never (Walk Alone)などを筆頭にAndreらしいメロディが満載で以前から知っている曲のような気すらします(笑)。フォーキーなサウンドが顔を出す⑥Riches To Ragsはちょっと新鮮だったりするものの、予想を裏切る展開はほとんどなく安定感抜群のサウンドですね。今回も素晴らしい歌声を響かせるD.C. Cooper(Vo)もさることながら、このバンドらしさを感じるという意味では長年バックボーカルを務めるKenny Lubke(Vo/ex-NARITA)の存在が大きいと思います。

【CD購入録】ROYAL HUNT「A LIFE TO DIE FOR」(2013)

  • 2013/11/21(木) 00:00:00

【CD購入録】
A LIFE TO DIE FOR
ROYAL HUNT「A LIFE TO DIE FOR」(2013)

D.C. Cooper(Vo)がまさかの復帰を果たした「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)に続くROYAL HUNTの12作目を買いました。基本的には前作で展開していたROYAL HUNTの王道サウンドの延長線上にある作風なので安心して聴けますね。ただ前作におけるHalf Past Lonelinessのようなキラーチューンがないためファーストインパクトはそれほど強くないかな。長年のファンとしては「EYE WITNESS」(2003)を最後にバンドを脱退したJakob Kjaer(G)②A Bullet's Taleのギターソロにゲスト参加してくれているのが嬉しいですね。僕が買った初回限定盤にはボーナスDVDが付いていてAndre Andersen(Key)へのインタビューやHalf Past LonelinessのほかHard Rain's Coming、Age Gone Wild、Far Away、Step By Stepのライブ映像が収められています(いずれも画像、音質ともにオマケレベルですが)。中でもバンドを代表するバラードFar AwayはD.C.が路上で歌い、その後ろでAndreとJonas Larsen(G)がギターを弾くというストリートバージョンで、これまでいろんなバージョンでこの曲を聴いてきた僕にとっても新鮮でした。

ROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)

  • 2012/05/07(月) 00:00:00

SHOW ME HOW TO LIVE
【No.327】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第4位

D.C. Cooper(Vo)加入後の2作目、ROYAL HUNTとしては通算4枚目のアルバム「PARADOX」(1997)は僕が初めて出会った神盤と呼ぶべき作品となっただけでなく、当時のBURRN!誌で90年代にデビューしたバンドとしては珍しく表紙に抜擢され、人気投票でもD.C.とAndre Andersen(Key)が各部門のチャンピオンに輝くなど、バンドは名実共に黄金期を迎えていました。ところが初のソロ作品に着手したD.C.とAndreの間に確執が生じてしまい、結果として解雇に近い形でバンドを去ったD.C.が期間限定ではあるものの約13年振りに復帰して2011年4月にツアーを敢行、その後に正式復帰してリリースされた11thアルバム。僕はD.C.の後任を務めたJohn West(Vo/ex-ARTENSION)は勿論、一般的には評価の高くないMark Boals(Vo/ex-YNGIWE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)期にも大好きなアルバムがありましたが、前作「X」(2010)はバンドのトレードマークでもある壮麗なサウンドを抑えた70年代ハードロック寄りの実験的な1枚でした。今後の音楽性がどういう方向に進むのか注目していた時にまさかのD.C.復帰、サウンドもバンド初期のものに回帰するとアナウンスされた今回のアルバムはその宣言通りの快作に仕上がっています。

中世の騎士が描かれたジャケットの世界観に通じる剣の鍔ぜり合いのSEと壮大なオーケストレーションに導かれていかにもAndreらしいキーボードサウンドが流れ出し、それを引き継ぐようにD.C.が「Another day is passing by~♪」と歌い出す典型的ROYAL HUNTソング①One More Dayを聴いた瞬間は思わずグッと来ましたね。もうROYAL HUNTで歌うD.C.は聴けないと思っていたのに、まさかこんな日が来るとは…。そんなオープニングに続いて、今や「ROYAL HUNT第2の声」と言っても過言ではないバックボーカルKenny Lubcke(Vo/ex-NARITA)、近作で数フレーズのリードボーカルを任されているMichelle Raitzin嬢とD.C.が共演する②Another Man Downを聴く頃にはすっかり本作の世界に引き込まれていました。全7曲と収録曲は少ないながら各曲の密度が濃い本作の全体的な印象としては、Andreの1stソロ「CHANGING SKIN」(1998)とJohn Westの初参加作品となった5th「FEAR」(1999)をミックスして各曲をコンパクトに纏め上げた作風で「PARADOX」の次に来ていても不思議ではないと思います。そんなアルバムの中で一際輝いているのが⑤Half Past Loneliness。どこかMikael Erlandsson(Vo/LAST AUTUMN'S DREAM)を思わせる泣きまくりの歌謡曲風メロディと共に駆け抜けるこの曲は、バンドの新たなマスターピースと呼ぶに相応しいキラーチューンで2011年最高の1曲です。

このアルバムを聴き終えて改めて実感するのはJohnやMarkといったD.C.の後任シンガーも実力者揃いでしたが、ROYAL HUNTにはD.C.の声こそが相応しいということです。本作収録曲の中でもAndreが「以前よりも威厳に満ちている」と評するD.C.の声を想定して彼の復帰後に書いた前述の⑤とエンディング曲⑦Angel's GoneがアルバムのハイライトとなっていることからもD.C.とROYAL HUNT(というかAndre)の間にはマジックが存在すると言えると思います。客観的に見れば本作は3rd「MOVING TARGET」(1995)や4th「PARADOX」というD.C.在籍時の過去2作品を上回るほどではないと思うし、10分を越えるタイトル曲⑥Show Me How To Liveがドラマティックな佳曲ながら大作にする必然性が今ひとつ感じられなかったり、Far AwayLong Way Homeといった名バラードを歌ってきたD.C.のバラードが聴けなかったりする点が惜しくもありますが、D.C.の復帰を飾るには十分の力作ではないでしょうか。新加入のギタリストJonas Larsenも派手に弾きまくるタイプで近作では希薄に感じられた華やかさを加味するのに一役買っています。2012年4月から20周年ツアー(5月中旬にはその一環として来日予定)を開始するなどバンドの動きがこれまで以上に活発になってきているので、本作で物足りなく感じた点は次のアルバムに期待したいですね。

【音源紹介】
・Half Past Loneliness(Edit Version)

【CD購入録】ROYAL HUNT「FUTURE'S COMING FROM THE PAST」(2012)

  • 2012/02/28(火) 00:00:00

FUTURES COMING FROM THE PAST
ROYAL HUNT「FUTURE'S COMING FROM THE PAST」(2012)

かつてROYAL HUNTD.C. Cooper(Vo)が在籍していた90年代後半にCDとVHS媒体で発表されていた2つのライブ作品「1996」(1996)「PARADOX~CLOSING THE CHAPTER~」(1998) のDVD盤を買いました。僕の中でこの2作品はこれまでに聴いたライブ作品の中でも別格で、それぞれを1996年と1998年の年間ベストアルバムに選ぶほどだったので正に待望のDVD化です(ちなみに1997年は4th「PARADOX」が年間ベストアルバムでした)。これら2作品のDVD化はD.C.復帰以前から噂は出つつも実現していなかったのでヤキモキしていましたが、D.C.の復帰作「SHOW ME HOW TO LIVE」に伴う来日の約3ヶ月前にリリースというのは最適のタイミングなのかもしれませんね。内容の方は冷静になって観ることができないほど思い入れが強いので、「ひとり宝塚」とも称されるD.C.によるのキレのあるステージアクション、Steen Mogensen(B)のベースネックと左利きギタリストJacob Kjaerのギターネックが作り出すVの字、そして「PARADOX~CLOSING THE CHAPTER~」で真価を発揮するシアトリカルなステージなどを観るにつけ当時の想い出と共に「最高!」という感想しか出てきません(笑)。DVD化に際して特典映像として、映像は粗いながらも当時の来日時のオフショットが追加(一部は既発)されていて若々しいメンバーの姿を楽しむことができます。

【CD購入録】ROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)

  • 2011/12/08(木) 00:00:00

【CD購入録】
SHOW ME HOW TO LIVE
ROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)

今年の4月に実現した来日時はD.C. Cooper(Vo)の期間限定復帰という形だったのが、後にD.C.が正式復帰することを発表したROYAL HUNTの11作目を買いました。リリース前からD.C.が在籍していた頃のサウンドに回帰するという噂だった本作は、その事前情報に違わぬ仕上がりとなっています。といっても、初期のサウンドに戻ったというよりも近作の作風をベースにネオクラシカル色を濃くしたという印象ですね。気になるD.C.のボーカルはROYAL HUNTに在籍していた90年代後半、その後Alex Beyrodt(G/ex-SINNER)と結成したSILENT FORCE時代(現時点での最新作は2007年)と比べても遜色なく、深みのある中低音から突き刺すようなハイトーンまで見事な歌唱を響かせてくれています。また哀愁に満ちていながらキャッチーなAndre Andersen(Key)節とD.C.の歌声との相性の良さを再確認しました。どこかで聴いたようなフレーズ、歌メロもチラホラあるので新鮮味は希薄ですが僕は結構満足しています。

10分に及ぶタイトル曲を含めて全7曲で40分弱というボリュームはやや食い足りないような気もしますが、そのコンパクトさゆえに既に何度もリピートを誘われますね。ちなみに僕が買った初回限定盤には約40分のツアードキュメンタリーDVDが附属されています。画質、音質ともに良いとは言えませんがツアーの模様だけでなくリハーサルや震災後に来日したメンバーの様子を見ることができ、4月に参加したライブの思い出がよみがえってきました。是非ともこのラインナップをこれからも継続してもらって、次は本作では聴けなかったバラードにも期待したいですね。

ROYAL HUNT featuring D.C. Cooper@心斎橋クラブクアトロ(2011.4.26)

  • 2011/04/28(木) 00:00:00

ROYAL HUNT featuring D.C. Cooper@心斎橋クラブクアトロに行ってきました。
思い出補正が入っていたり記憶が曖昧な部分もあったりしますが、今回のライブの思い出を残しておくために記事にしてみました。

ROYAL HUNT FEATURING DC COOPER20110426

仕事を早々に片付け、というか実際は翌日に先送りして(苦笑)18時前に会社を出発。僕の勤務先は今回の会場であるクラブクアトロまで2駅なので18時を少しまわったくらいに駅に着き、余裕があるなと思いつつ会場に向かう道を歩いていたらなんとAndre Andersen(Key)を始めとするメンバーご一行に遭遇!あまりに予期せぬ出来事だったため「Andre、でっけぇ~」と思いながら見つめるだけで、声をかけ損ねてしまいました…。

僕はライブ参戦自体が約10年振りだったし、ミュージックライフにおける最重要バンドのひとつROYAL HUNTのライブは初体験、しかも僕が初めて出会った神盤「PARADOX」(1997)の完全再現ということもあって妙に緊張しながら会場へ。開演まで30分ほどあったので記念にTシャツでも買おうかと思ったのですが、物販はバンドのCDと「PARADOX」のレコード盤のみでした。残念…。周囲を見てみるとお客さんの年齢層は結構幅広い感じで、若い人だけでなく僕のようなスーツ姿のサラリーマンから年配の方までいらっしゃいました。

開演予定時間の19時ちょうどにショウはスタート。このライブに備えて、ここ最近聴きまくっていた「PARADOX~CLOSING THE CHAPTER」(1998)と同じくAve Maria Guaraniが流れる中、まだ暗いステージ上に黒いマントを纏ったD.C. Cooper(Vo)の影が見えると場内は大歓声。まだ姿は見えないもののアコースティックギターに導かれて「Standing at the crossroad…」とThe Awakeningを歌い出す声は紛れもなくD.C. Cooper!そしてRiver Of Painが始まると同時にD.C.がマントを脱ぎ捨てシャウトを決めてからは本当に夢のようなひと時でした。1998年にD.C.が解雇という形でバンドを去った後、もう彼が歌うROYAL HUNTは2度と聴けないと思っていましたが、こうして「PARADOX」再現ライブを体験できる日が来るとは…。今も衰えることのない派手なアクションにあわせて歌うD.C.の声は強力だし、終始にこやかな表情で時にはピョンピョン飛び跳ねながら演奏するAndreの姿も印象的でした。John West(Vo)、Mark Boals(Vo)も素晴らしいシンガーだと思いますが「やはり僕にとってROYAL HUNTの声はD.C.なんだなぁ」としみじみ。

そしてD.C.は相変わらずのナイスキャラですね。前述のアクションと歌声に加えて、掛け合いでは場を盛り上げようとAllan Sorensen(Ds)に代わってドラムを叩いたり、2枚組ライブ盤の名言「ゴキゲンイカガー!」こそなかったものの「ミンナ、ノッテルカーイ」などの怪しい日本語を駆使して場を盛り上げたり、フロントマンとしても見応えがありました(覚えたての日本語を使おうとしたもののお客さんに通じなかったり、Message To Godの歌詞を間違ったりしたのはご愛嬌)。なんといっても今回最大のヒットはお客さんとの掛け合いの時に飛び出した「ラブ注入」ですね(笑)。楽しんごのネタがD.C.のお気に入りだったのか、それともBURRN!誌5月号に掲載されていたROCKOMANGAの影響なのか定かではありませんがこれにはウケました。またステージ演出についても過去に映像化されたライブ作品に比べると小規模ではありましたが、ステージ後方には「PARADOX」のジャケットに似たステンドグラスのバックドロップがあったし、女性バックボーカルの2人がTime Will Tellでシスターに扮したり、It's Overではそれまで後方に控えていた彼女達が前に出てきてクライマックスを盛り上げてくれたりと、「PARADOX~CLOSING THE CHAPTER」を彷彿とさせる内容だったのも嬉しかったです。

「PARADOX」の部が終了後、ほどなくして流れてきたのは3rd「MOVING TAGET」(1995)のオープニング曲Last Goodbyeのイントロ。人気曲なので会場は盛り上がっていましたが「Last Last Goodbye♪」のコール&レスポンスはやや微妙だったような気もしましたがD.C.がお客さんを上手く煽って最後は大合唱でした。和やかムードのMCを挟んで演奏されたのは「MOVING TARGET」の2曲目1348。ここでD.C.が2枚組ライブ盤だけでなくビデオにもなった「1996」(1996)のLast Goodbye演奏時に見せていた旋回アクションを披露!続いて今回の震災に触れてスタートしたFar AwayではD.C.が赤いスポットライトを浴びながら熱唱。たっぷりタメを効かせたエンディングも実に感動的でした。間髪入れずにコールされたStrandedはこの日2回目の掛け合いタイムを盛り込んでいて、ドラムを叩くD.C.が見れたのも良かったです(今は亡きGOTTHARDのシンガーSteve Leeを思い出してしまいましたが…)。

Strandedが終わるとD.C.は2人の女性バックボーカルを紹介。ファンにはお馴染みのMaria McTurkともう1人は「COLLISION COURSE」(2008)、「X」(2010)といった近作に参加していたMichelle RaitzinではなくAlexandraという人のようでした。彼女達がステージ左右の前方に立ち、D.C.から「次は何の曲だと思う?」と聞かれ場内からは「Time!」の声。そう、僕が待ち望んでいたTimeの「1996」バージョンです。やはり、このアレンジは何度聴いてもグッと来ますね。そしてエンディングで「1996」と同じくメンバーが1人ずつステージを去っていく演出をしれくれたのも良かった。最後にAndreが退場してから少し間を置いてステージに現れたのは今回のツアー前に加入した新ギタリストJonas Larsen。彼のことは全く知りませんでしたがJKMarcus JidellといったROYAL HUNTの歴代ギタリストと比べるとYNGWIE色が濃いせいかTime Will Tellなど、ほとんどの曲のソロで違和感がありましたね。Jonasのソロタイムが一段落した後に彼がパガニーニ24の奇想曲を弾いているとAndreが指揮者の真似をしながら登場し、ショルダーキーボードを持ってJonasとのソロバトルに突入。そこから1st「LAND OF BROKEN HEARTS」(1993)収録のインストFreeway Jamを経てROYAL HUNTを代表するインストMartial Artsへ。やはりこの曲は盛り上がりますねぇ。

その後メンバーが一旦ステージを去ってからAndreが1人で戻ってきて今回のツアーが実現できたことに対してプロモーター、クルー、スタッフへの感謝の気持ちを述べた後にメンバー紹介。Andreは「KIMONO」と言っていましたが、何故かメンバー全員が一般のホテルにありそうな白いパジャマ(?)を着て登場していました。最後にD.C.を紹介した後に2人がガッシリ抱擁する姿は感慨深かったですね。Andreが持ち場に戻って自分も白いパジャマを着ようとしたところ、サイズが小さすぎてもたついているのを見たD.C.がタオルでAndreを隠そうとしていたのも微笑ましい光景でした。そんなリラックスムードの中で演奏されたEpilogueでもってライブは終了。本当にあっという間の2時間でした。

D.C.がMCで「今回のツアーはこの大阪公演が最後」と言っていたし、AndreとD.C.がハグする場面もあったので、彼らどちらかの口から今後の活動について話があるのではと期待していましたが結局そのことに触れることはありませんでした。D.C.時代に思い入れがある僕としては、これを機に彼が完全復帰という流れを期待したくもなりますが、とにかく今はD.C.の奇跡の(一時)復帰を体験した余韻に浸りたいと思います。

素晴らしいライブでした。ありがとうROYAL HUNT!

【セットリスト】
01. Ave Maria Guarani~The Awakening
02. River Of Pain
03. Tearing Down The World
04. Message To God
05. Long Way Home
06. Time Will Tell
07. Silent Scream
08. It's Over
(以上「PARADOX」の完全再現)
09. Last Goodbye
10. 1348
11. Far Away
12. Stranded
13. Time
-アンコール-
14. Guitar Solo~Freeway Jam
15. Martial Arts
16. Epilogue

ROYAL HUNT「X」(2010)

  • 2010/06/06(日) 00:00:00

X.jpg
【No.239】
★★★(2010)

制作段階から70年代風のサウンドになるとAndre Andersen(Key)が語っていたROYAL HUNTの10作目。アルバムタイトルはシンプルに「X」(テン)となっています。僕は「新鮮味があるのに越したことはないけれど、Andreらしい哀メロが堪能できるならマンネリズムも大いに結構」という盲目的ファンなので、期待だけでなく不安も少々感じながら聴いた作品です。従来のROYAL HUNTにはあまりない要素を盛り込んだ作品がどうなるのか注目していたのですがAndreがオルガンサウンドを使う場面が増えていたり、Marcus Jidell(G)が加入して1作目にあたる8th「PAPER BLOOD」での速弾き主体のスタイルとは一味違う渋いギタープレイを聴かせたりしているものの、曲が流れてきた時点でROYAL HUNTだとわかるほど楽曲の根っこの部分は「らしい」1枚となっているように思います。7th「EYEWITNESS」の時もそうでしたが、Andreが曲を書けばROYAL HUNTらしく聴こえるものなんですね。

そんな本作はコンセプトアルバムではないものの①Episode X(Arrival)、⑪Episode X(Departure)というイントロ/アウトロがアルバム本編の楽曲を挟むという形になっています。楽曲そのものはROYAL HUNTらしいものではあるのですが、一聴して耳に残る歌メロは⑤Army Of Slavesくらいだったので聴き始めの頃は地味な印象が強い作品でした。その要因はイントロ後に②End Of The Line、③King For A Dayといった派手さが希薄なミディアムチューンを配したことでしょうか。アルバムの掴みとしては弱いところもある本作で僕が気に入っているのは中盤以降ですね。緊張感ある間奏が聴きどころの④The Well、本作随一のキャッチーメロディが冴える前述の⑤、カントリーっぽく始まり前作でも美声を披露してくれていた女性シンガーMichelle Raizinのソロパートが良いアクセントとなっている⑥Shadowman、LOUD PARK 09でも演奏された渋めのハードロック⑦Back To Square One、美旋律をドラマティックに聴かせる⑧Blood Red Star、儚いメロディにホロリとさせられる⑨The Last Leafと佳曲が続きます。そして4th「PARADOX」のエンディング曲It's Overを彷彿とさせるサビとバンド初期作品でよく聴かれたヘイヘイコーラスがROYAL HUNTらしさを主張する本作唯一のアップテンポ⑩Falling Downから曲間を空けず⑪に繋いで締める展開には、ついリピートを誘われますね。

加入後2作目となるMark Boals(Vo/ex-YNGIWE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)の歌唱もトレードマークであるハイトーンを必要最小限に抑え、前作で開眼したという中低音域の旨みが活かされています。ただ本作の音楽性であれば前任者John Westのソウルフルな歌声で聴いてみたかったような気もしますが。1995年からHR/HMを聴くようになりネオクラシカルサウンドに思い入れの強い僕としては、本作最大の特徴であるアナログ機材を使ってオールドスタイルのハードロックを追求しているという点にさほど心ときめかないというのが正直なところですが、これまでとは若干異なるアプローチでAndre節が楽しめる作品として愛聴しています。

【音源紹介】
・The Well

ROYAL HUNT「2006 LIVE」(2006)

  • 2010/06/02(水) 00:00:00

2006 LIVE.jpg
【No.238】
★★★★(2006)

発売から10年以上が経過した今でも愛聴しているライブ盤「1996」から10年の時を経てリリースされたJohn West(Vo/ARTENSION)が歌うROYAL HUNTとしては初のライブアルバム。「1996」と同じ2枚組仕様の本作はAndre Andersen(Key)の故郷ロシアはサンクトペテルブルグ公演の模様が収められDVDも同時リリースされています。正直なところ7th「EYEWITNESS」以降、孤高の輝きが弱まってきた感もあったROYAL HUNTですが、こうして各アルバムから満遍なくグレイテストヒッツ的に名曲の数々をプレイされると、やはり素晴らしいバンドだと実感せずにはいられませんね。思わず2枚組CDだけでなくDVDも買ってしまいました。

スタジオヴァージョン以上にカッコよくなっている最新作のタイトルトラックDisc-1①Paper Bloodに続いて早くも名曲Disc-1②Timeが登場する冒頭の2曲で一気にテンションが上がります。喉の調子が心配されたJohnもパワフルで伸びやかな歌声を聴かせていて、自身が加入した5th「FEAR」以降の楽曲は勿論ROYAL HUNTクラシックスも自らの持ち味を加えて見事に歌いこなしています。個人的ハイライトはDisc-2①Martial Arts~②Surrender~③Running Wildですね。そしてライブを締めくくるのはバンドの代表曲Disc-2⑧Epilogue。この曲を演奏する前にAndreがロシア語で「しばらくの間にいろいろあったが残留したメンバーもいる…ジョン・ウェスト」と述べてJohnを紹介するシーンと、曲の終了後にAndreとJohnがガッシリ抱擁する姿には目頭が熱くなりますね。この10年間で栄光と解散の危機という苦悩を味わったバンドのリーダーAndreが奏でる「あのピアノイントロ」が流れてきた瞬間、僕のミュージックライフにおける重要曲のひとつである名曲Epilogueと出会ってから15年以上も経ったのかと感慨にふけってしまいました。

ちなみにDVD盤には1曲(「PAPER BLOOD」のインストSK983)多く収録されています。これはインストを元にした各プレイヤーのソロパートで、ショルダーキーボードを手にしたAndreがMarcus Jidell(G)とじゃれ合いながら弾きまくるシーンからバンド状態の良さが伝わってきますが、これは映像あってこそだと思うのでDVDにのみ収録したのは正解かと。DVD盤を見ると新加入のMarcusとPer Schelander(B)はすっかりバンドに溶け込んでいるようで、2人のステージ上での華やかさとルックスが目を惹く一方でKenneth Olsen(Ds)のポッコリお腹に切なさと時の流れを感じますね。「FEAR」収録のバラードDisc-1⑦Follow Meが1コーラスだけで終わって物足りないとかDisc-1⑧Cold City Lightの掛け合いでの煽り方がイマイチだとか、女性コーラスがMaria McTurk1人になったためバックコーラスの厚みが減ったなど気になる点もありますが全体の完成度からしてみれば些細なことなので、実力派バンドROYAL HUNTのステージングを存分に楽しめる作品となっています。残念ながらJohnは2007年にバンドを脱退してしまいましたが、John West時代の優れたライブパフォーマンスを収録したお薦め作品であり、「1996」と並んでROYAL HUNT入門盤には最適だと思います。

【音源紹介】
・The Mission(Live)


・Epilogue(Live)

ROYAL HUNT「PAPER BLOOD」(2005)

  • 2010/05/29(土) 00:00:00

PAPER BLOOD.jpg
【No.237】
★★(2005)

ROYAL HUNTからSteen Mogensen(B)とJKことJacob Kjaer(G)が脱退」というニュースは僕を含めたファンだけでなく、BURRN!誌のインタビューで「シンガーとドラマーのメンバーチェンジはよくあるが、SteenとJKはファミリーだ」と語っていたAndre Andersen(Key)にとっても大きな衝撃だったであろう「事件」でした。バンドの重要メンバーが相次いで脱退し、解散の危機に直面したROYAL HUNTでしたがAndreとJohn West(Vo/ARTENSION)が見事にそれを乗り越えて作り上げた8作目です。本作のベースはAndreが兼任、気になるギタリストにはスウェーデン出身のMarcus Jidell(ex-JEKYLL & HYDE、THE RING)なる人物を迎えています。そのMarcusですがタイプとしてはネオクラシカルな速弾きスタイルでJK以上のアグレッションを持ちつつ、僕の心を震わせてくれるフレージングも披露してくれていてバンドに新たなエネルギーをもたらしてくれています。

多様性が目立った前作「EYEWITNESS」とは違い、今回はROYAL HUNT本来の叙情味溢れるメロディックメタルに焦点を絞り、それでいてこれまで以上にパワフルな仕上がりとなっています。Marcusのプレイに触発されてか、Andreがスピードチューン①Break Your ChainsのイントロからしてVitalij Kuprij(Key/ARTENSION)っぽい電子音でこれまでにないほどピロピロと弾きまくっているのが印象的ですね。①の勢いを引き継いで美しいボーカルハーモニーから曲がスタートする②Not My Kind、ROYAL HUNTの真骨頂ともいえるナンバー④Never Give Upやタイトル曲⑧Paper Bloodなど疾走曲の割合が多く、それ以外にもドラマティックな⑤Seven Days、パワーバラード⑨Season's Changeなど「おっ」と身を乗り出す場面は存在するものの、過去の作品で僕を魅了してくれたメロディに以前ほどの凄みが感じられないというのが正直な感想です。John Westという超絶シンガーを擁しているのにボーナストラックを除く全10曲中3曲がインストで、そのどれもが平均的な出来というのも惜しいですね。このインスト曲の多さはJohnが喉の治療後だということに関連しているのかもしれませんが…。そういえば歌の上手さは相変わらずながら、マイルドだったJohnの声質が若干ざらついた感じになっているように思います。

本作に関しては解散の危機を無事に乗り切ってくれたということを喜びつつも、天才メロディメイカーAndreの実力はまだまだこんなものではないはずという気持ちが残ります。客観的に見れば、一定水準を超えた作品ではあるのですが、ROYAL HUNTは僕にとっての最重要バンドのひとつなだけにハードルが高くなってしまうんですよね。あと、このジャケットはちょっと…。元々ジャケットに定評のあるバンドではありませんでしたが、本作の迷ジャケ振りは2nd「CLOWN IN THE MIRROR」を超えたかもしれません(苦笑)。

【音源紹介】
・Never Give Up(Live)

ROYAL HUNT「EYEWITNESS」(2003)

  • 2010/05/23(日) 00:00:00

EYEWITNESS
【No.236】
★★★(2003)

「新作はニューメタルやジャズ、ゴスペルなどの要素を取り入れ、これまでと違う作風になる」とAndre Andersen(Key)がコメントをしていたため、期待よりも不安の方が大きい中で購入したROYAL HUNTの7thアルバム。いざ本作を聴いてみると、パイプオルガンをバックにJohn West(Vo/ARTENSION)が深みのある歌声を響かせる様が教会の荘厳なイメージを連想させるゴスペル調③The Prayer、ピアノやサックスのサウンドがジャジーな空気を生み出している⑥Wicked Lounge、これまでになくモダンなアレンジで迫る②Can't Let Go、④Edge Of The World、⑧Help Us Godなど、確かにAndreの言う新しい要素は含まれてはいるものの、その根底に流れるのはこのバンドがこれまでに聴かせてくれたメロディック・メタルサウンドで一安心という感じです。

そんな新機軸と呼べる楽曲を含んでいる一方で①Hunted、⑤Burning The Sunなど従来路線のナンバーも健在で、多様性はあれど結果的にはどこを切ってもROYAL HUNTらしいアルバムといえそうです。ただ初期に比べるとネオクラシカル色は確実に薄くなっていて、それと反比例するようにJacob Kjaer(G)のエモーショナルプレイの旨みがどんどん増してきているのが特徴ですね。バンド史上初めて同一シンガーで制作した3枚目のアルバムということもあってか、Johnのボーカルとバンドのフィット具合が一段と増していてROYAL HUNTが円熟期を迎えたと感じさせてくれる1枚でもあります。③、⑥などはソウルフルなフィーリングを持ち合わせたJohnあってこその楽曲ですね。

気になるのは過去のアルバムには必ず存在していたキラーチューンがないことでしょうか。⑤などはかなりいい線を行っているとは思うのですが、もう一押し突き抜けた感覚が欲しいというのが正直なところです。本編ラストのタイトルトラック⑩Eye Witnessもメロウな冒頭部分から徐々に曲が盛り上がってきてJohnのハイトーンが炸裂して「さぁ、ここからだ」というところでレコードの針が壊れたような効果音が入って曲が唐突に終わってしまうためモヤモヤ感が残ってしまいます。曲が良いだけに勿体ないですね。その後を非常に美しいバラード⑪Day Is Dawning(日本盤ボーナス)で締めくくってくれているので聴後感は悪くないし、全体を通して聴いて良いアルバムだと感じることはできるものの音楽性の幅を広げた反面、小粒な楽曲が並び大きく盛り上がるハイライトがないままに終わってしまっている感もあります。といっても本作が僕好みのメロディックメタル作品であるということは間違いなく、上に挙げた不満点についてもROYAL HUNTだからこそ要求してしまう贅沢な希望なんですけどね。

【音源紹介】
・Edge Of The World

ROYAL HUNT「THE WATCHERS」(2001)

  • 2010/05/09(日) 00:00:00

THE WATCHERS.jpg
【No.234】
★★(2001)

名盤「THE MISSION」から僅か4ヵ月のインターバルでリリースされたROYAL HUNTの企画盤。レコード会社は先行ミニアルバムの「INTERVENTION」、6thフル「THE MISSION」と本作をまとめて3部作として売り出していますが、これら3作品の間にストーリー性は全く感じられません。本作の内容は先行ミニ「INTERVENTION」では途中で終わっていたInterventionという曲が完全版(14分)とラジオエディット版(6分)という形で収録されている他、ヨーロッパツアーからの音源4曲とJohn West(Vo/ARTENSION)のボーカルによってリ・レコーディングされたデビュー作とセカンドアルバムのナンバーを2曲ずつ収録しています。

本作のリーダートラック的存在であり14分と長丁場の①Interventionは6分もあるイントロを過ぎれば叙情メロディが楽しめるROYAL HUNTとしては平均的な曲で、僕はスマートな仕上がりとなっているエディット版の方が気に入っています。そんな僕にとって本作の目玉は⑥One By One、⑦Clown In The Mirror、⑧Day In Day Out、⑨Legion Of The Damnedといったリメイク曲です。全体的にテンポが遅くなっているので、オリジナルが疾走曲だった⑧は違和感がなくもないですが、Johnの素晴らしい歌唱と2001年版ROYAL HUNTによるソリッドでシャープなサウンドプロダクション、そして今やバンドには欠かせない声となっているKenny Lubcke(Vo/ex-NARITA)のバックボーカルによって、新たな生命が吹き込まれた名演となっていて良いですね。特に⑥、⑧は初代ボーカルHenrick Brockmannバージョンしか聴けなかったのでファンとしては嬉しい限りです。

②Lies、③Flight、④Message To God、⑤Epilogueのライブ音源4曲に関しては、2枚組ライブ盤「2006 LIVE」がリリースされた今となっては③以外の収録曲がダブっているのであまり聴くことはなくなりましたが、「2006 LIVE」を買うまではよくリピートしていました。それにしてもJohnはライブでも余裕があって丁寧な歌い方をしていますね。安定感抜群なのでライブならではの熱気に欠けるきらいはあるものの、その歌唱力には惚れ惚れします。リメイクされた4曲は流石の出来栄えですが、①がROYAL HUNTにしては可もなく不可もない楽曲だと思っている僕にとっては熱心なファン向けの企画盤という印象です。ちなみに3部作の第1作目「INTERVENTION」はInterventionの前半部分のみバージョンと本作と同じライブテイクの②、③という3曲がダブっている他、Follow Me(「FEAR」収録)のアコースティックバージョン、ブルージーな未発表曲U-Turnとい内容で、このアルバム以上にマニア向けの1枚と言えるでしょう。

【音源紹介】
・Intervention(Radio Edit)

ROYAL HUNT「THE MISSION」(2001)

  • 2010/05/05(水) 00:00:00

THE MISSION.jpg
【No.233】
★★★★★(2001)
年間ベスト2001年第1位

ニューシンガーとしてJohn West(Vo/ARTENSION)を迎えて発表した前作「FEAR」(1999)が、過去の作品に比べてもう一息という印象だったROYAL HUNTの6作目。今回は作家Ray BradburyのSF小説「THE MARTIAN CHRONICLES」(邦題:火星年代記」)をモチーフにしたストーリーアルバムで曲間をインストやSEで繋いでいるため、全13曲が途切れることなく展開していきます。結論からいうと「ROYAL HUNTはやはり僕にとって最重要バンドのひとつだ」と再確認させてくれる1枚ですね。分厚いストリングス系の音を使うことの多かったAndre Andersen(Key)によるキーボードが従来とは違ったひんやりとしたサウンドとなっていて、メカニカルな印象を感じさせる音像の中でROYAL HUNTらしい気品あるメロディックメタルが繰り広げられています。前作同様、初期に比べて普遍的なメロディック・パワーメタル寄りの作風ながら今回は楽曲の充実度が素晴らしいですね。

SE①Take Offに続く②The Missionはデジタルビートを取り入れたイントロに驚かされますが、ROYAL HUNTらしいメロディのフックを持ったミドルチューンだし、それ以降も僕の琴線を刺激するメロディが次から次へと出てきます。中でも本作のキラーチューン④Surrender⑧World Wide Warはバンドの新たな名曲だと断言できる出来栄えで、この2曲を聴けるだけでも本作を買った価値があると思えるほどです。また本作で収録曲の半数を占めるインストもAndreのピアノソロをフィーチュアした⑦MetamorphosisJacob Kjaer(G)らしい泣きのギタープレイを堪能できる⑨Dreamline、デビュー作に収録されている名インストMartial Artsをビルドアップさせたかのような⑪Fourth Dimensionとそれぞれのキャラ立ちがしっかりしているのが◎。そして⑪に続く⑫Days Of No TrustはROYAL HUNTの王道とは一味違うAORっぽい大陸系バラードながら極上のメロディを持った名曲だし、ラストが勢いのある⑬Total Recallだというのも現在のバンドに漲るエネルギーを象徴しているようで好印象です。

そんな本作を更に素晴らしいものとしている大きな要因がJohn Westの圧倒的な歌唱力でしょう。シンガー未定のまま曲作りが進められた前作では発揮できなかった真の実力をこれでもかとばかりに見せつけてくれています。このアルバムでの歌いっぷりはARTENSION時代よりも断然魅力的で、彼のパフォーマンスの中でもトップクラスだと思います。John West在籍時のROYAL HUNTが生み出した最高傑作ですね。

【音源紹介】
・Surrender(Live)

ROYAL HUNT「FEAR」(1999)

  • 2010/05/01(土) 00:00:00

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【No.232】
★★★(1999)
年間ベスト1999年第9位

ベスト盤並みの濃厚さを持った2枚組ライブ盤「1996」、コンセプトアルバムの名盤「PARADOX」、それをライブで完全再現してみせた「PARADOX~CLOSING THE CHAPTER~」と、僕がROYAL HUNTに最ものめり込んでいた時期に突然届いた看板シンガーD.C. Cooper解雇という衝撃のニュース…。D.C.がソロ活動に力を入れ始めたことからAndre Andersen(Key)との間がギクシャクし始めているという噂は飛び交っていましたが、実際にこの第一報を耳にした時は本当にショックでした。しかし後任がARTENSIONの超絶シンガーJohn Westだと聞き、それまでの不安が期待に変わった5thアルバムです。1stと2ndが「華麗」、3rdと4thが「荘厳」なイメージだったとすると、本作はそこに「剛健」な要素が加わったという印象です。また本作はコンセプトアルバムではありませんが作品タイトル通り、全ての楽曲が「恐怖」をテーマにしていて曲間をSEで繋ぐという手法を取っています。

アルバム製作の最終段階でJohnの加入が決定したため本作の楽曲が彼の声域をフルに活かしきれてないのが残念ではありますが、それでもやはりJohn Westは抜群の歌唱力の持ち主だと感心せずにはいられません。D.C.にはなかったブルージーな渋さを発散する③Cold City Light、耳をつんざくハイトーンシャウトが炸裂する④Lies、⑥Voicesなどの歌いっぷりには痺れます。そして本作はギターオリエンテッドと言えそうなほどJacob Kjaer(G)のリードギターが大活躍していて、彼ならではの粘りのあるトーンで繰り出されるギターソロの登場頻度も過去最高で、ROYAL HUNTになくてはならない魅力的な要素となりましたね。④のイントロなどは正に彼の独壇場でAndreのキーボードが引き立て役にまわっているし、勢いのあるスピードチューン②Faces Of Warで切れ味鋭く入ってくるソロ、叙情バラード⑤Follow Meでの泣きのプレイも素晴らしいです。

ただ全7曲ともが5分以上、長いものは9分というAndre Andersenの1stソロ作「CHANGING SKIN」を継承するかのような大作志向の楽曲はというと、これまでのアルバムに比べると即効力に欠けるため地味な印象は拭えません。その要因のひとつは本作最長曲であるオープニング①Fearのイントロの長さで、Johnが本格的に歌い出すのは曲がスタートして5分近く経過してからだったりします。この曲後半の劇的な盛り上がりが素晴らしいだけに惜しいですね。1998年にリリースされた「CHANGING SKIN」(全6曲)と本作の楽曲から選りすぐりのものをピックアップして、適度な長さにアレンジすれば名盤になったのでは…という気もします。とはいえAndre節は本作でも健在なので聴けば聴くほど味わいが増してくる1枚ではあります。本作の2008年リマスター盤にはこのバンドにしては珍しくブルージーなU-Turn(ミニアルバム「INTERVENSION」収録)、14分に及ぶ大作Intervension(企画盤「THE WATCHERS」収録)というオリジナルアルバムには入っていない2曲が追加されています。

【音源紹介】
・Lies

ROYAL HUNT「PARADOX~CLOSING THE CHAPTER~」(1998)

  • 2010/04/18(日) 00:00:00

ROYAL HUNT CLOSING THE CHAPTER
【No.229】
★★★★★(1998)
年間ベスト1998年第1位

僕にとって生まれて初めて出会った神盤というべき作品であり、今でもDREAM THEATER「METROPOLIS PT.2」と並んで、これまでに聴いたアルバムの中でも別格の存在であるROYAL HUNTの4作目にして初のコンセプトアルバム「PARADOX」を完全再現したライブ盤。本作が収録された1997年10月6日の赤坂BLITZ公演当日は「PARADOX」を丸ごと演奏する第一部と通常のライブ形式をとった第二部から構成されていたらしく、このアルバムはその第一部を収めたものです。コンセプトアルバムを再現したライブであるためMCは一切なく、ぶっ続けで演奏されています。

率直な感想としては「『PARADOX』は何度聴いても素晴らしい」の一言ですね。ライブでもその世界観を見事に再現したバンドに拍手を送りたいです。しかも、本編にあたる②The Awakeningが始まる前に荘厳な①Ave Maria Guaraniが収録されていたり、D.C. Cooper(Vo)がスタジオ以上にハイトーンやシャウトを決めていたりと、あちこちでライブならではのアレンジがなされているのが嬉しいポイント。極めつけはスタジオ盤でも僕を涙させてくれたJacob Kjaer(G)によるギターソロが独自のアレンジを加えて延長されている⑦Time Will Tellですね。僕は1998年にリリースされたCDとVHS(時代を感じますね)がセットになったものを持っているのですが、本作は映像とともに楽しみたいライブです。というのも、今回のツアーは「PARADOX」のジャケットにも登場するステンドグラスを模した大掛かりなセットを準備していたり、照明の配色やタイミングにもかなり凝っているなど見応えがあるからです。前述した「PARADOX」最大のハイライトである⑦のギターソロでは、ステージ上のスポットライトを一身に浴びながら哀愁のメロディを紡ぎ出すJKの姿が感動を増幅してくれていてエライことになっています。

また歌唱力だけでなく魅せることにも長けた稀代のフロントマンD.C. Cooperも④Tearing Down The Worldで激しいステージアクションを決めたかと思えば、バラード⑥Long Way Homeではロングコートに身を包み玉座に腰を下ろしながら歌うなど、楽曲毎の見せ方にもこだわりが感じられます。バンドメンバー5人とMaria McTurk、Lise Hansenの女性コーラス2人が一体となって大団円を迎えるエンディング曲⑨It's Overのライブ映像を目にした時は、その計算され尽くしたメンバーの動きやライティング、ステージ上のセット、そして楽曲の素晴らしさに胸が熱くなりました。時代の流れとともにビデオデッキが過去のものとなり、映像作品はDVDで見るのが主流となったためVHS版である本作を最後に見てから10年近く経つのですが、今でも本ライブの見事なステージングは僕の脳裏に焼き付いています。「PARADOX」の続編である「COLLISION COURSE:PARADOX Ⅱ」がリリースされた2008年に「本作がDVD化されるのでは?」と噂されましたが、結局再発されたのはデビュー作から5th「FEAR」までのオリジナルアルバムのみでした。本作は是非ともDVD盤として再発して欲しいですね。僕は迷わず買い直しますよ!

【音源紹介】
・Time Will Tell(Live)

ROYAL HUNT「MOVING TARGET」(1995)

  • 2010/04/14(水) 00:00:00

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【No.228】
★★★★(1995)
年間ベスト1995年第2位

過去2作品で順調な成長振りを見せつけてくれたROYAL HUNTの3作目。僕が初めてリアルタイムで聴いたROYAL HUNTのアルバムでもある本作の話題はやはりシンガーの交代劇ですね。声域は広くはないものの、なかなか味のある歌声を聴かせてくれていたHenrik Brockmann(Vo)の後任として加入したアメリカ人シンガーD.C. Cooperの圧倒的な歌唱力が、この作品だけではなくバンドそのものを大きくグレードアップさせています。艶のある声質で歌う中低音域と伸びやかなハイトーンを駆使するD.C.のボーカルパフォーマンスに負けじとバンドの演奏陣、サウンドプロダクションの面でも更にパワーアップした本作はROYAL HUNTの出世作だと思います。

楽曲に関しては従来の煌びやかで華麗な雰囲気は減退した一方、よりドラマティックでメロディに深みと洗練性が増した印象で、静かなイントロからスリリングに展開する①Last Goodbyeと徹底したドラマティシズムで貫かれた名曲⑨Timeの2曲が本当に素晴らしいですね。この2曲を聴くためだけに本作を買っても良いと思えるほどです。そんな2大キラーチューンをオープニングとエンディングに配した本作はそれ以外にも、インストをベースにした曲調の中で説得力あるD.C.のボーカルが光る②1348、阪神大震災の被災者に捧げたバラード④Far Away(ラストで聴けるD.Cの熱唱が素晴らしい)、初期ROYAL HUNTの作品ではお馴染みのクラシカルなインスト⑥AutographJacob Kjaer(G)による泣きのギターが活躍する⑦Stay Downなど充実しています。中でも④は震災を体験した僕にとっては特別な1曲ですね。

バンドのブレインであるAndre Andersen(Key)の世界観を表現するためにD.C.というこの上ないシンガーを手に入れたROYAL HUNTがワンランク上のバンドになったと感じさせてくれる名盤。疾走系の曲が減ったこともあり、わかりやすさという点では前作に一歩譲るかもしれませんが、D.C.と女声コーラスが織り成すボーカルパートと円熟味を増したバンドサウンドが一体となって押し寄せてくる楽曲が詰まった本作は、総合的に見て過去2作を上回る完成度を誇っています。なお、2008年のリマスター盤にはD.C.のお披露目音源ともなったシングル「FAR AWAY」にのみ収録されているインストDouble Conversion、D.C.が歌うライブ音源2曲とFar Awayのアコースティックヴァージョン(4th「PARADOX」の先行シングル「MESSAGE TO GOD」のカップリングかな)の計4曲が追加されていてお買い得です。


【音源紹介】
・Last Goodbye

ROYAL HUNT「CLOWN IN THE MIRROR」(1994)

  • 2010/04/10(土) 00:00:00

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【No.227】
★★★★(1995)

デビュー作で既に確立されていたROYAL HUNTの華麗な北欧ハードロック/ヘヴィメタルサウンドが、より壮大でメタリックな方向へ進化した2ndアルバム。前作では複数のゲストプレイヤーを迎えていたギタリストの座には、デビューアルバムでも一部の楽曲でプレイしていたJKことJacob Kjaer(G)を正式メンバーとして迎えています。本作はメロディの美しさ、演奏面での安定感やアレンジなど、アルバムジャケットを除く(笑)全ての面で前作を上回るネオクラシカルメタルの傑作といえる1枚でしょう。演奏面で印象的なのは楽曲に心地よいグルーヴ感をもたらしてくれるSteen Mogensen(B)のうねりあるベースサウンドと、独特の泣きを含んだJKのギタープレイですね。

そして本作の強みはなんといっても楽曲が強力なこと。Andre Andersen(Key)が奏でる壮麗なキラキラサウンドから始まるROYAL HUNTらしさ満点のメロディックメタル①Intro~Wasted Time、しっとりとした泣きの名バラード④Clown In The Mirror、イントロのエモーショナルなギターと優しくも切ないサビメロが絶品の⑦Legion Of The Damned、ROYAL HUNTの美学を凝縮した名曲⑩Epilogueというアルバムの核となる名曲群が文句なく素晴らしいですね。中でも究極のドラマティックソング⑩がもたらしてくれる感動は桁違いで何度リピートしたかわかりません。その他にもアメリカンな雰囲気のある②Ten To Life、ネオクラシカルフレイヴァーに満ちたインスト⑤Third Stageや疾走チューン③On The Run、⑧Here Today, Gone Tomorrow、ROYAL HUNTの王道とは距離を置いたグルーヴィーな⑥Bodyguard、⑨Bad Bloodなどバラエティに富んでいます。

衝撃のデビュー作から順当な成長振りを見せてくれた本作はセカンドアルバムとしても理想的な作品だと思います。今後の更なる飛躍を予感させるこのアルバムを最後にHenrik Brockmann(Vo)がバンドを脱退、後任にアメリカ人シンガーD.C. Cooperを迎えた3rd「MOVING TARGET」でROYAL HUNTは確固たる地位を築き上げることとなります。僕自身、D.C.時代に一番思い入れがあるのですが、バンド初期の2作品にはそれ以降のROYAL HUNTであまり感じられない親しみ易さやキャッチーなメロディが溢れていて、この時期特有の魅力がありますね。本作も2008年にリマスター盤が出されていて「THE MAXI-SINGLE」に入っていたデビュー作収録曲のアコースティックバージョンが2曲追加されています。

【音源紹介】
・Epilogue(Live)D.C. Copperが歌う1996年のライブです。

ROYAL HUNT「LAND OF BROKEN HEARTS」(1993)

  • 2010/04/03(土) 00:00:00

LAND OF BROKEN HEARTS
【No.226】
★★★(1995)

僕が初めて心底惚れ込んだバンドROYAL HUNTが1993年にリリースした記念すべきデビューアルバム。メンバーは中心人物Andre Andersen(Key)、バンドの一時代を支えたSteen Mogensen(B)Kenneth Olsen(Ds)によるリズム隊の他、初期2作品でリードシンガーを務めたHenrik Brockmann(Vo)の4人が正式メンバーで、ギタリストは複数のプレイヤーが参加するという変則的なラインナップとなっています。今やキーボード主体のネオクラシカル・メロディックメタルバンドの代表的存在として活躍するROYAL HUNTですが、この時点ではメタルというよりは徹底的に美しく華麗なハードロックという印象が強いですね。

本作ではAndre Andersenが生み出す楽曲の完成度に差があるように感じるものの、中にはROYAL HUNTの代表曲といえるものも収録されています。特にひたすらリピートしていた③Flightは華麗でありながら緊張感にも満ちた疾走曲でネオクラシカルというジャンルを代表する名曲だと思います。その他にもギターとキーボードが絡み合うスピーディーなインスト⑤Martial Arts、キャッチーなサビメロが強烈な印象を残す⑥One By One、⑧Land Of Broken Heartsといったミドルチューン、本編ラストを締めくくる⑩Kingdom Darkと上質なネオクラシカルチューンが並んでいます。またライブで演奏されることの多い⑪Stranded、ストレートな疾走曲⑫Day In Day Outといったボーナストラックも聴き逃せません。

後にバンドが発表した名盤に比べると歌唱力やサウンドプロダクションに物足りなさを感じますが、純粋にデビュー作として考えると素晴らしい出来栄えです。この時点でのROYAL HUNTは強烈な輝きを放つ前のダイヤモンドの原石のような荒削りな部分を残しつつも、既に並みのバンド以上に眩しい存在でしたね。ファンの間でも賛否両論あるHenrikに関してはD.C. Cooper、John West、 Mark Boalsというバンドの後任シンガーが凄すぎるわけであって、1人のシンガーとして見ればなかなか味わいがあると思います。ちなみに僕が持っているのは93年にリリースされた12曲入りのものですが2008年にはリマスター盤がリリースされたようで、そこには全6曲入りの企画盤「THE MAXI-SINGLE」にのみ収録されていた未発表曲Bad Luckと本作収録曲のアコースティックヴァージョン2曲が新たに追加されています。

【音源紹介】
・Land Of Broken Hearts

【CD購入録】ROYAL HUNT「X」(2010)

  • 2010/01/21(木) 00:00:00

【CD購入録】
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ROYAL HUNT「X」(2010)

前作「COLLISION COURSE : PARADOX Ⅱ」を2008年のベストアルバムに選出させてもらったROYAL HUNTの10作目を買いました。タイトルの「X」は「エックス」ではなく「テン」と読むそうです。リリース前から今回のアルバムがDEEP PURPLEURIAH HEEPなど70年代のバンド寄りになると聞き、これらのバンドをよく知らない僕は少し不安も感じましたが基本はいつものROYAL HUNTサウンドのように思います。ただバンドが言っていた70年代っぽさも感じられ、LOUD PARK 09でプレイしたという⑦Back To Square Oneは本作の全体像を表していると言えるかもしれません。過去の楽曲でいうとBad Blood(「CLOWN IN THE MIRROR」収録)、Step By Step(「MOVING TARGET」収録)またはAndre Andersen(Key)の2ndソロ「BLACK ON BLACK」を思い出すハードロックに近い部分もあったりします。前作もそうだったように、このバンドのアルバムはリピートするうちに好きになっていくことが多いので、これからじっくり聴き込みたいと思いますが、第一印象としては地味な部類に入るかもしれませんね。余談ですが僕の買ったCDにはメンバーショットの特典ステッカーが付いていました。これを見るとバンダナ、サングラスを着用し、髭をたくわえたMark Boals(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN etc)Allan Sorensen(Ds)はまるで双子みたいですね(笑)。

ROYAL HUNT「COLLISION COURSE : PARADOX Ⅱ」(2008)

  • 2008/12/15(月) 07:22:12

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【No.082】
★★★★★(2008)
年間ベスト2008年第1位

このところ精彩を欠いた印象のあったROYAL HUNTの9thアルバム。1999年発表の5thアルバム「FEAR」以降、長きに渡ってバンドのフロントマンを務めたJohn West(Vo)が2007年にバンドを脱退、その後に新作がバンドの代表作にして個人的にも思い入れの強い名盤「PARADOX」の続編だと聞いた時には、期待以上に不安感を抱いたのが正直なところでした。というのもJohnの卓越した歌唱力はROYAL HUNTになくてはならないものになっていたし、ここ最近の作品にかつての求心力を感じられなかったからです。ニューシンガーが実力派Mark Boals(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)に決まり不安要素の一つは解消されたものの、今のバンドにあの名盤の続編を生み出す力があるのかは実際にアルバムを聴くまで不安を拭いきれませんでした。

いざアルバムを聴いてみると、これが予想以上に「PARADOX」の頃の音像に近づいていて予想以上に好印象。聴き始めの頃は地味な印象が強かったのですが、リピートするうちにグイグイとアルバムの世界観に引き込まれました。アルバムの随所に「PARADOX」のフレーズやリフを散りばめた本作は、「PARADOX」の1曲目The Awakeningと同じあのフレーズから始まる①Principles Of Paradox以降、悲哀に満ちたメロディが次々と登場します。アルバム中、最もキャッチーな響きを持ったスピードチューン②The First Rock、このバンドとしては珍しい突進型の疾走曲④Divide And Reign、そしてAORっぽさもある雰囲気と肩の力を抜いたMark Boalsの歌唱によるバラード⑤High Noon At The Battlefieldもいいアクセントになってますね。またアルバム後半の流れが素晴らしく、女性シンガーMichelle Raizinが歌う泣きメロパートがたまらない⑧Tears Of The Sun、とことんドラマティックに迫ってくる⑨Hostile Breedからダイレクトに繋がる⑩Chaos A.C.の劇的なメロディでアルバムの幕を下ろす展開は圧巻。「Rest Your Weary Head My Son~」のフレーズから「It’s Still A Long Way Home…」で締めくくる⑩のラストも、「PARADOX」を聴き込んだ僕としては、グッときますね。

客観的に見れば「PARADOX」を超えるほどの完成度ではないと思うし、「PARADOX」のみならず他のアルバムに収録されてる過去の楽曲を彷彿とさせる箇所はあるものの、個人的にはここ最近のアルバムよりは数段楽しめました。一発で印象に残る楽曲は多くはないので聴き込みを要する作品ではありますが、繰り返し聴くうちに味わいを増す1枚。聴き込んでいくうちに、すっかりはまってしまいました。Markの歌唱もこれまでのハイトーン系シンガーという枠に収まりきらない新たな魅力を発散してるし、ROYAL HUNTファンとしては声を大にして「名盤だ!」と言いたくなる力作です。

【音源紹介】
・Tears Of The Sun

ROYAL HUNT「PARADOX」(1997)

  • 2008/07/09(水) 22:27:28

PARADOX

【No.008】
★★★★★(1997)
年間ベスト1997年第1位

3rdアルバム「MOVING TARGET」とそれに伴う来日公演の模様を収録したライブ盤「1996」の比類なき完成度で、僕を感動させてくれたROYAL HUNTの4作目にして、僕のミュージックライフの中でも超名盤となっている1枚。今回は「宗教」「神」「人間」をテーマにした、バンド初のコンセプトアルバムとなっています。前作で確立した徹底的なドラマティックワールドの中で、明確なテーマを持ったサウンドはこれまで以上にシリアスな印象。曲間にSEや台詞をはさみ、全8曲でひとつの物語が展開していく圧倒的な構成力はAndre Andersen(Key)の底なしの才能を改めて感じさせてくれます。

アコースティックギターとフルートをバックにバンドの看板シンガーD.C. Cooper(Vo)がディープな低音で歌い始めるイントロダクション①The Awakeningからトライバルなリズムに導かれてミドルチューン②River Of Painが始まります。分厚いキーボードサウンドとROYAL HUNTとしては珍しいオルガンサウンドで彩られた②は円熟味さえも感じさせる堂々とした1曲。そこから切れ目なく繋がる③Tearing Down The Worldはバンド初期にも通じる劇的かつメタリックな疾走チューンで一気に駆け抜けます。物悲しいピアノとSteen Mogensen(B)のベースサウンドから始まる④Message To Godはミッドテンポの曲で、非常によく練られていた歌メロが絶品。そして①のメロディを更に展開させたバラード⑤Long Way Homeはドラマティックな曲調と、曲後半でのD.Cの情感のこもったヴォーカルパフォーマンスが素晴らしい。

そしてここからアルバムは怒涛の後半に突入し、緊張感に満ちたリフから様々なパートが入り乱れる9分弱の大作⑥Time Will Tellへ。この曲の聴きどころは終盤の女性コーラスの後に来るJacob Kjaer(G)の泣きまくりのギターソロで、その凄まじさはこのアルバム最大のハイライトといえるほどです。ギターソロから再び女性コーラス、銃声のSEを挟んで続く⑦Silent Screamはキーボードの美しいイントロから、メロディアスハードかと思えるほどキャッチーなサビへと至る流れが耳に残る本作随一のお気に入り曲です。そして息をつかせぬプログレ風インタープレイが繰り広げられる⑦の終盤からエンディング⑧It’s Overへ雪崩れこんでいく展開は圧巻。⑧も曲単体で見ればEpilogueTimeのような即効性はないものの、この曲の持つ儚さは、このコンセプトアルバムを締めくくるにはピッタリでしょう。最後は再び①に共通するメロディと歌詞「It was a long way home…」でアルバムは幕を降ろします。

とにかく1曲1音たりとも無駄のないドラマティックなメタルの極致。Andreの作曲/アレンジ能力、D.Cの歌唱力、JKのソウルフルなギター、安定したリズム隊と、このバンドの魅力が余すことなく詰め込まれたアルバムで、作品が発表されてから10年以上になる今も愛聴しています。メタルを聴き始めて2年近くが経過した1997年に、僕が初めて出会った生涯聴き続けるであろう名盤です。このアルバムのこととなると、つい長文になってしまいますね。それほど、思い入れのある1枚です。

【音源紹介】
・Message To God

ROYAL HUNT「1996」(1996)

  • 2008/07/07(月) 21:11:11

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【No.007】
★★★★★(1996)
年間ベスト1996年第1位

1996年にアルバムを購入した当時、半年以上に渡って僕がひたすら聴きまくった本作はROYAL HUNT初のライブアルバム(2枚組)で、今聴き返してもこの頃(1996年の来日時)がバンドの絶頂期だったと思える作品です。本作を語る上で欠かせないのが、D.C. Cooper(Vo)の圧倒的なボーカルパフォーマンス。突き抜けるようなハイトーンから腹にズシリと響いてくるミドルレンジまで、文句のつけようのない歌唱力です。それだけでなくステージ上での観客の盛り上げ方、同時発売されたVHS版でのド派手なステージアクションも見どころで、あれだけ動きながら安定感のある歌唱ができるんだから凄い。「ゴキゲンイカガー」など、意味不明な日本語MCはご愛嬌。

セットリストもほぼ完璧で、これまでリリースした3枚のアルバムからバランスよく選曲していて当時のベストテイクといえそうな内容です。1st、2ndアルバムの楽曲群がD.Cの絶品歌唱で見事に生まれ変わっているのも嬉しいですね。特にアコースティックセットとして演奏されるDisc-2⑦Age Gone Wildは、「こんな素晴らしい曲だったのか」と楽曲の魅力を再確認できました。D.Cの極上パフォーマンス以外にも演奏陣の素晴らしいテクニックを収めた各パートのソロを収録してあるのもポイント。

このライブ盤には、オリジナル以上にドラマティックに生まれ変わった楽曲と、その魅力を増幅させるための女性バックコーラスも配されてるため、本作を買ってからというもの初期3枚のオリジナルアルバムを聴く機会は激減しました。Disc-2⑪Time冒頭でのD.Cと女性バックコーラスによるサビのア・カペラから、Andre Andersen(Key)が奏でるチェンバロサウンドに至る流れは涙なくして聴けないほど感動的。ROYAL HUNTを初めて聴くという人には、本作を試しに聴いてみることを強くお薦めしたいです。この作品に心底惚れ込んだ僕は150分テープ(まだMDも持ってませんでした)にダビングして、高校通学時にテープが擦り切れるほど聴きました。ホント、1996年はこのライブ盤ばっかり聴いてましたね。

【音源紹介】
・Kingdom Dark(Live)


・Time(Live)