WUTHERING HEIGHTS「FAR FROM THE MADDING CROWD」(2003)

  • 2015/07/07(火) 00:00:00

FAR FROM THE MADDING CROWD
【No.436】
★★★★(2004)

デンマーク出身のプログレッシブ・パワーメタルバンドWUTHERING HEIGHTSの3rdアルバム。バンド名は勿論エミリー・ブロンテの有名小説「嵐が丘」から取られていて、本作はデビュー盤の「WITHIN」(1999)から続く物語の最終パートという位置づけのコンセプトアルバムのようです。コピーコントロールCDではありますが「狂乱からの旅路」というアルバムタイトルだけでなく各曲にも邦題がつけられていて、レーベル側もバンドを日本で売っていこうとしている意気込みが感じられますね。これまで僕はこのバンドについて名前を知っているだけで実際に聴くことはなかったのですがRICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEY「EMBRACE THE GALAXY」(2003)で鮮烈なデビューを飾ったNils Patrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS)が本作でも歌っていると知って購入に踏み切りました。本作と同日にリリースされたASTRAL DOORSのデビュー作「CLOUDBREAKER」の国内盤と一緒に買った記憶があります。WUTHERING HEIGHTSの音楽性はパワーメタルをベースにしつつ1曲の中に山あり谷ありの展開と強烈なクサメロを盛り込み、バグパイプやフルート等による民謡調のフレーズが乱舞するという、これまでに聴いたことのないタイプですね。聴き始めの頃は目まぐるしく変わる曲構成に置いてきぼりをくらい、何曲目を聴いているのかわからなくなることもありましたがリピートするうちにバンドの中心人物Erik Ravn(G)が生み出す独特の音世界に魅了されました。

バグパイプが響き渡るイントロ①Gather Ye Wild(つどえ、野生の子ら)、一筋縄ではいかなそうなギターメロディに始まりサビではクサメロが炸裂する②The Road Goes Ever On(果てしなき道)の時点でWUTHERING HEIGHTSの世界に引き込まれましたね。本作の核となっているのは「Now the wind calls a storm from the past. Night falls and I'm longing for the woods」という歌詞が乗るキラーフレーズが登場する④Part Ⅰ:The Wild Children(野生の血)、⑥Part Ⅱ:The Ring Of Fire(炎の輪)、⑨Part Ⅲ:Herne's Prophecy(古の預言)で構成されるLooking For The Woods(荒野の情熱)3部作でしょう。3曲に共通する上記サビメロが秀逸であるだけでなく、手を替え品を替え異なるアレンジで楽しませてくれるそのセンスが素晴らしい。また⑩Land Of Golden Glory(失われし栄華)もアルバムのハイライトと呼べる疾走曲で堪りません。アイリッシュ、トラッド、フォークといった要素が混在しAメロ〜Bメロ〜サビと単純に進行する曲がほとんどない本作は展開が強引すぎる面もあり⑤Highland Winds(ハイランドの風)の4:10付近は唐突すぎて笑ってしまうほどすが、そこは繰り返し聴いても飽きがこないという強みにもなっています。

そして僕にWUTHERING HEIGHTSを聴くきっかけを与えてくれたNils Patrik Johanssonのボーカルもエネルギッシュに歌うことの多かったASTRAL DOORS、SPACE ODYSSEYとは一味違う歌唱を披露しています。本作最初のボーカルパートが登場する②の歌い出しではまるで別人かと思うほどのクリーンボイスを駆使、かと思えば「The road goes on and on」と歌うサビでは「ざ、ろぅ、ごじょぉお〜にぃにょお〜♪」と聞こえるくらいの暑苦しい歌い方(笑)となっていて、その幅の広さにビックリ。アルバムが発売されたのはSPACE ODYSSEYの方が先だったもののNilsが初めて本格的なバンドで歌ったのが本作だとは信じられませんね。NilsとしてはASTRAL DOORSを自身のメインバンドに考えているようですが、あちらではパワー重視になりがちなのでWUTHERING HEIGHTSこそが彼の歌唱力を最も活かせる場のように思います。そんなNilsの影に隠れがちではありますがドラマーMorten Sorensenの叩きっぷりも素晴らしく、バンドの大きな推進力となっています。このアルバムでWUTHERING HEIGHTSを知り、現時点での最新作5th「SALT」(2010)までの3枚を聴きましたが本作が一番好きですね。

【音源紹介】
Land Of Golden Glory

【CD購入録】WUTHERING HEIGHTS「SALT」(2010)

  • 2011/05/09(月) 00:00:00

【CD購入録】
SALT.jpg
WUTHERING HEIGHTS「SALT」(2010)

鬼才Erik Ravn(G、Key、B)率いるデンマーク産のフォーキーでクサいメロディックメタルバンドWUTHERING HEIGHTSの5作目を買いました。このバンドはNils Patrik Johnsson(Vo/ASTRAL DOORS、LION'S SHARE、ex-SPACE ODYSSEY)が加入した3rd「FAR FROM THE MADDING CROWD」(2003)から聴いていて、本作もErikが生み出す濃密な音世界をPatrikが圧倒的な存在感を放つ歌唱で表現した1枚となっています。僕はASTRAL DOORSをデビュー作しか聴いたことがなく、他のPatrik関連のバンドもSPACE ODYSSEYくらいしか知らないのでPatrikといえばWUTHERING HEIGHTSという印象です。それにしても本作はこのバンドらしく曲の展開が目まぐるしいですね。圧巻は大作⑨Lost At Seaで16分間の9割方が熱いメタルとなっています。もう少しキャッチーなメロディが欲しい気もしますが、しばらくは暑苦しく混沌としたWUTHERING HEIGHTSワールドに身を委ねようと思います。