BLOOD STAIN CHILD「EPSILON」(2011)

  • 2016/10/13(木) 00:00:00

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【No.480】
★★★★(2011)

メロディックデスメタルをテクノ/トランス調のアレンジで聴かせるという独自のサウンドを前作「MOZAIQ」(2007)で確立したBLOOD STAIN CHILDの5thアルバム。「MOZAIQ」から専任シンガーのSadewが加入しワールドデビューも果たしたため、ここからエンジン全開で活動していくのかと思いきや、そうはいかなかったようでSadewや創設メンバーでもあるViolator(Ds)の脱退、レーベル移籍などがあり前作から約4年が経過してのニューアルバムとなります。本作の注目ポイントは何といってもSadewの後任にバンドが迎えたギリシャ出身の女性ボーカルSophiaと、それに伴うトランス色の更なる強化でしょう。最早メタルというジャンルでは括りきれない楽曲もチラホラありますが、一段とメロディアスになった本作の音楽性は結構好きですね。

そんな非メタル系ナンバーとして挙げられるのが③STARGAZER、⑥ELECTRICITY、⑨Dedicated To Violatorなどで特に③のキャッチーなメロディの魅力はバンド史上最高。本作のキラーチューンですね。アルバム全体で7割程度、③と⑥ではほぼ全てのボーカルパートを任されているSophia嬢の歌唱力はさほど高くなく一本調子に感じられるものの②FOREVER FREE④S.O.P.H.I.Aを聴いていると感情を抑えた彼女の歌い方は近未来的なトランスサウンドを持ち味とするBLOOD STAIN CHILDとマッチしていると思います。バンド史上初となるバラード⑫SAI-KA-NOも彼女がいるからこそできたナンバーでしょう。その一方でアルバムの軸となっているのは、あくまでもメタリックな楽曲群で⑤Unlimited Alchemist⑧MOON LIGHT WAVEIN FLAMESっぽさ漂う⑪La+などがお気に入りです。

前作で確立したトランスメタルの更なる進化に一役買っているのがDISARMONIA MUNDIの中心人物にして本作リリース元のレーベルCORONER RECORDSのオーナーでもあるEttore Rigottiで、彼の方からバンドに対して「君たちの音楽は素晴らしいのに、なぜあまり知られていない!?君たちをもっと世界に広めたい!」とラブコールを送ってきたそうです。Ettoreが共同プロデューサーを務めたこともあってか、これまで以上にサウンドが洗練されたように感じますね。今度こそBLOOD STAIN CHILDの快進撃が始まるかと期待したのですが、本作リリース後も活動は順調ではないようで2012年2月にSophiaが脱退したため同年12月に後任として女性シンガーKiKiを迎えてシングル「LAST STARDUST」を発表するも、2016年にはKiKiのみならずオリジナルメンバーのひとりRyo(B、Vo)までもがバンドを離れています。更に残念なのはセンス抜群の音使いとアレンジで今のブラステサウンドの中核を担ってきたAki(Key)がサイトのメンバーリストからひっそりと姿を消していることですね。バンドは2016年6月に男性ボーカルSaikaを迎えたことをリニューアルしたHPで発表し、ニューシングル「NEXUS」もリリースしたようなのでこのままフルアルバムの制作に入ってもらいたいところです。今のメンバーでどんな作品が生まれるのか未知数なので一抹の不安もありますが…。

【音源紹介】
STARGAZER

BLOOD STAIN CHILD「MOZAIQ」(2007)

  • 2016/10/01(土) 00:00:00

MOZAIQ
【No.479】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第10位

BLOOD STAIN CHILDの4作目にして、僕が初めてこのバンドの音に触れたアルバム。今回もメンバーチェンジがあり、前作「IDOLATOR」(2005)から加入したShiromasa(G)はバンドを離れG.S.R.なるギタリストが参加、更にバンド初となる専任シンガーSadewを迎えた6人編成となっています。Sadewはルックスのみならずグロウルや悲しげなクリーンボーカルまでAnders Frieden(Vo/IN FLAMES)に似ていますね。本作ではそんな彼の歌唱に加えて、これまで兼任という形でリードボーカルを担っていたRyo(B)のシャウト、メインソングライターRyu(G)のノーマルボイス、女声のサンプリングなどを駆使し、前作で掴んだ近未来的メロデスという独創的な音楽性を更に進化させています。

このアルバムを初めて聴いた時はプレイボタンを押すと同時に流れてくるディスコ風の音に驚かされましたが、ここまで大胆にユーロビートとメロデスを融合させて、しかもカッコよく仕上げてしまうバンドのセンスにタダならぬものを感じました。ダンサブルなメロデスと呼べそうな③FreedomはBLOOD STAIN CHILDならではの新境地だし、ノーマルボイスで畳み掛けるサビメロが印象的な⑤Pitch Black Roomなどアルバム前半の充実振りはなかなかだと思います。後半にはどことなく「和」を感じさせる音使いと女性ボーカルがなんとも言えない浮遊感を醸し出す⑦METROPOLICE、トランス色を前面に出した⑧C.E.0079など風変わりな楽曲もあって面白いですね。そして日本盤ボーナスにTRFのカバー曲⑫EZ DO DANCEを収録してしまうのもBLOOD STAIN CHILDならではと言えるでしょう。ちなみにアメリカ/ヨーロッパ盤にはEZ DO DANCEの代わりにCosmic Highwayというオリジナル曲が収録されていて、YouTubeで聴く限りなかなかの佳曲です。

デビューした頃はCHILDREN OF BODOMフォロワーと呼ばれていた彼等ですが、ダンスミュージックとメロデスの融合という荒技で他のバンドとの差別化に成功していますね。そんな話題性もさることながらこのバンドのメロディセンスが本作リリース時のCHILDREN OF BODOMやSOILWORK以上に僕好みなので愛聴していました。ただしデビュー当初からBLOOD STAIN CHILDのファンだという方の間では、本作について賛否両論あるようですね。たしかにクリーンボーカルが平坦に感じられる、メタルミュージックの肝であるはずのギターパートにもう少し魅力が欲しいなど物足りない点もありますが②Cyber Green、④ENERGY BLAST、⑩Peacemakerのような疾走系のナンバーはグッと来るし、耳に残るメロディも多いので過去のアルバムよりも本作の方が好きですね。

【音源紹介】
Freedom

BLOOD STAIN CHILD「IDOLATOR」(2005)

  • 2016/09/19(月) 00:00:00

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【No.478】
★★★(2007)

2000年代の日本メロデスシーンにおける有望株ブラステことBLOOD STAIN CHILDの3rdアルバム。デビュー以降、不動だったメンバーに変化があり長年在籍していたツインギターの一翼Daiki(G)が脱退しShiromasa(G)が加入しています。過去作品ではCHILDREN OF BODOMフォロワーに分類されそうな音楽性でしたが、今回は前作「MYSTIC YOUR HEART」(2003)でその片鱗を見せていたディスコ/トランス風のサウンドを大幅増量、リーダーのRyu(G)がクリーンボイスでサイドボーカルを務めるようになったことなどから従来とは異なる作風となっていますね。1st「SILENCE OF NORTHERN HELL」(2002)が中世ヨーロッパを思わせるシンフォニックアレンジだとすれば、今回は近未来的なサイバーメタルへと変化を遂げていて同じバンドとは思えないほどです。穿った見方をすればチルボドから「NATURAL BORN CHAOS」(2002)期のSOILWORKに乗り換えたと言えなくもない気もしますが…(苦笑)。

まずはオープニングの①HYPER SONICからして新生ブラステの魅力を凝縮した強力チューンなのですが、僕が一番好きなのは③Embrace Meですね。この曲を引っ張っていくもの悲しいキーボードの旋律は正にキラーフレーズ!本作のハイライトは間違いなくこの曲だと思います。また今回のアルバムで顕著なトランスへの傾倒を象徴する⑧NUCLEAR TRANCEも挑戦的な1曲だし、次作「MOZAIQ」(2007)で花開く「ダンス・ユーロビート+メタル」への布石となっていそうな⑩TYPE-Nなど随所でこれまでの作品とは一味違う魅力を発散しています。アルバム後半に失速する感はあるものの、前半に収録された楽曲群の充実振りはなかなかだし押し一辺倒に感じられた前作に対して、今回は緩急がうまくつけられています。LUNA SEAのカバー⑫TRUE BLUEは原曲をよく知らないので事前情報なく聴いたらブラステのオリジナルと思ってしまいそうですね。

「このアルバムでようやく完璧な自分達のオリジナリティが出せたと思っている」とRyuが語っているように、本作でBLOOD STAIN CHILDのアイデンティティが確立されましたね。そのカギを握るのは、前作のようにソロで弾きまくる場面は激減したものの先鋭的なアレンジが光るAki(Key)の存在でしょう。今回のアルバムで掴んだ音楽性を更に押し進めた4th「MOZAIQ」から僕はこのバンドを聴くようになり、本作を含む初期3作品は後追いでチェックしたため「トランスメタルに到達するまではこんな作風だったのか」という感想ですが、リアルタイムで聴いていたら本作で一皮剥けたという印象を抱いたと思います。デビュー作で見せていたクサメロは影を潜めてしまったので、その点に寂しさを感じる面もありますが総合的に見てもバンドがこれまでに発表した2枚のアルバムを上回る力作。次回作以降、アグレッションは希薄になっていくのでBLOOD STAIN CHILDならではの独自性とメロデスバンドらしさのバランスとしては本作くらいがベストなのかもしれませんね。

【音源紹介】
Embrace Me

BLOOD STAIN CHILD「MYSTIC YOUR HEART」(2003)

  • 2016/08/31(水) 00:00:00

MYSTIC YOUR HEART
【No.477】
★★★(2007)

CHILDREN OF BODOMの影響下にあるメロディックデスメタルとRHAPSODYにも通じるシンフォアレンジを融合させたスタイルが話題となった国産バンドBLOOD STAIN CHILDの2作目。今回もチルボドテイストは保ちつつも前作「SILENCE OF NORTHERN HELL」(2002)にあった大仰さは控えめとなり、代わりにキーボードによるデジタル音が楽曲を彩っています。それでいてサウンドの根幹部分はメロデスの王道に近づいた感があり、Ryo(B、Vo)のデス声もデビュー作と同じくAlexi Laiho(Vo/CHILDREN OF BODOM)を連想させる喚くようなスタイルに加えて、静かに歌うパートではAnders Friden(Vo/IN FLAMES)からの影響が感じられますね。

前作以上に北欧メロデスバンドを彷彿とさせる要素が多いためフォロワー臭は強くなっているものの、メインソングライターのRyu(G)のメロディセンスは相変わらず僕好みだし全9曲中大半が疾走チューンなので聴いていると否が応でもテンションが上がります。①Be In For Killing Myself、②∞ System、③The Rise Of All The Fallという冒頭の畳み掛けで掴みはOK。またアルバム後半には⑥eM Solution、⑦Clone Life、⑧The Road To Ruinというハイライトがあって、このジャンルのバンドとして海外勢とも十分渡り合えるだけのインパクトがありますね。ちなみにエンディング曲⑨Deep Silent Memoryは19分もありますが、本編が3:20で終了した後に15分近くの無音状態を挟んでトランス系のインストSextronicsがシークレットトラックとして収録されています。こういう仕掛けも嫌いではないですが、無音のパートが長過ぎてスキップするのが面倒ですね(苦笑)。

本作を語る上で欠かせないのはデビュー作以上に存在感を発揮している鍵盤奏者Akiでしょう。キラキラのシンセや楽曲を包み込む寒々しいサウンド、デス声のバックでクサメロを奏でたかと思えばソロパートではギターと熱いバトルを繰り広げるなど大活躍しています。彼の音選びのセンスの良さもBLOOD STAIN CHILDの武器ですね。このバンドに対する世界からの注目度も高まってきたようでCHILDREN OF BODOMのアルバムをプロデュースしたこともあるAnssi Kippoが共同プロデューサーとして本作に関わっています。Anssiの手腕によるところもあってか、サウンドプロダクションも良くなっていますね。バンドとしての着実な成長が感じられる1枚だと思います。

【音源紹介】
The Road To Ruin

BLOOD STAIN CHILD「SILENCE OF NORTHERN HELL」(2002)

  • 2016/08/23(火) 00:00:00

SILENCE OF NORTHERN HELL
【No.476】
★★★(2007)

大阪出身の5人組メロディック・デスメタルバンドBLOOD STAIN CHILDのデビューアルバム。リリース当初、本作は7曲入りミニアルバムという位置づけで次回作「MYSTIC YOUR HEART」(2003)が1stフルレンスと見なされていたようですが、今ではこの作品がBLOOD STAIN CHILDの正式な1stアルバムという見方が一般的なようです。今でこそ国産メロデスシーンといえばGYZE、THOUSAND EYESなどの有望株が続々と現れていますが、本作が発表された2002年当時に活動していた日本のメロデスバンドというと女性グロウラー嶋本 斎子擁するSHADOWくらいしか思いつかないですね(実際は他にもいたと思いますが)。僕の中でBLOOD STAIN CHILDはこのジャンルの草わけ的バンドのひとつというイメージがあります。

本作で展開されているサウンドを一言で表すなら「超CHILDREN OF BODOMタイプ」ですね。中でも④Legend Of Darkは「ジャンジャン♪」と響くオーケストラヒットと喚き系のデスボイスが笑ってしまうほどチルボドしていて、やり過ぎ感もありますが曲としては好きです。このバンドの強みはCHILDREN OF BODOM風サウンドにクサメロとシンフォニックなアレンジを融合させている点でしょうね。初期CHILDREN OF BODOMが好きだったので後続バンドと言われるKALMAH「SWAMPLORD」(2000)、NORTHER「DREAMS OF ENDLESS WAR」(2002)なども聴いてみたところ「本家には及ばないかな」というのが率直な感想でした。そんな理由から僕が最初に聴いたBLOOD STAIN CHILDの作品は4th「MOZAIQ」(2007)で、このアルバムは後追いでチェックしたのですがリアルタイムで聴いていたら結構インパクトがあったのではないかと思います。

大仰なシンフォニックサウンドの中でクサいメロディが乱舞するBLOOD STAIN CHILDの魅力を凝縮したオープニングにしてタイトル曲の①Silence Of The Northern Hell、イントロのギターからして見事な泣きっぷりを見せる③Under The Sin Of Grief、3:00過ぎから怒涛の展開を見せる⑤Requiemなどはなかなか強力。ダンス/ユーロビートを導入してトランスメタルを確立する後の作品群に比べると、オリジナリティは希薄かもしれませんが非凡なメロディセンスはこの当時から輝きを放っていますね。音質があまり良くないこと、パワー不足と粗さが目立つグロウルに今後の課題があるし、全7曲で31分というボリュームに食い足りなさを感じるのは事実ながらデビュー作としては十分の出来ではないでしょうか。

【音源紹介】
Silence Of Northern Hell

【CD購入録】BLOOD STAIN CHILD「EPSILON」(2011)

  • 2011/09/24(土) 00:00:00

【CD購入録】
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BLOOD STAIN CHILD「EPSILON」(2011)

デビュー当初はCHILDREN OF BODOMのフォロワー的印象が強かったものの、3rd「IDOLATOR」(2005)辺りからテクノ/トランスの要素を楽曲に織り込むようになり、4th「MOZAIQ」(2007)で独自性を強めてきた日本産メロデス/エクストリームメタルバンドBLOOD STAIN CHILDの5作目を買いました。本作の注目は何といっても前任の男性ボーカルSadewの後任にバンドが迎えたギリシャ出身の女性ボーカルSophiaと、それに伴う(?)トランス色の更なる強化ですね。最早メタルというジャンルでは括りきれないような楽曲もチラホラありますが、僕は自分好みのメロディが聴ければメタルであるかどうかは気にならないので意外とすんなり聴けました。③Stargazerを筆頭にメロディの充実度は過去最高ではないでしょうか。グロウル担当のRyo(B、Vo)と絡み合いながらボーカルパートの7割程度を任されているSophia嬢については歌唱力が高いとは言えませんが、未来的なトランスサウンドを持ち味としているこのバンドには抑揚を抑えた平坦な彼女の歌声がマッチしているようにも感じました。