ANTHEM「ABSOLUTE WORLD」(2014)

  • 2016/03/19(土) 00:00:00

ABSOLUTE WORLD
【No.465】
★★★(2014)

2001年の再結成から長きに渡りANTHEMの顔であり続けた坂本 英三(Vo)が電撃脱退、1988年から1992年の解散まで在籍していた森川 之雄(Vo)が復帰した新生ANTHEMの第1弾(通算15作目)。梶山 章(G)と組んだGOLDBRICKで森川の高い歌唱力は確認済みだったものの、11th「IMMORTAL」(2006)からこのバンドを聴き始めた僕にとっては「坂本 英三こそがANTHEMの声」だったので、シンガー交代劇に一抹の不安も感じていました。ところが、実際に聴いてみると曲調は前作「BURNING OATH」(2012)の延長線上にあるし、両シンガーの声質が比較的似ていることもあってか身構えていたこちらが拍子抜けするほど違和感は少ないですね。

新体制の挨拶代わりの1曲としてPVも制作された①Shine On、その勢いを引き継いだ②Strangerへの繋がりで掴みはOK。硬派なメタルサウンドと哀愁が見事に融合した③Pain、パンキッシュに爆走する2分弱の④Destroy The Boredomで更に攻めた後に北欧テイストを感じさせるミディアムバラード⑤Love Of Hellで一息ついて、攻撃的なリフとは対照的な哀メロが冴え渡るサビがインパクト抜群な⑥Don't Let It Dieに至る展開は隙がありません。冒頭4曲で畳み掛けておいて5曲目でスローダウン、その後に再びメタリックに攻めるという構成は前作を連想させます。僕にとってのキラーチューン⑥はどこかで聴いた覚えがあると思っていたら、サビが布袋 寅泰の名曲Poisonによく似ていますね。初めて聴いた時からこの曲が好きだったことにも納得です(笑)。清水 昭男(G)が手掛けた楽曲の割合が増すアルバム後半も悪くはないものの、前半のインパクトが強烈なこともあって地味な印象は拭えませんね。

ボーカルの交代に加えて、絶対的リーダー柴田 直人(B)が胃ガンの手術・療養のため約半年間活動を休止せざるをえなくなったり、サポートドラマーだった田丸 勇を正式メンバーに迎える決断を下したりするなど本作がバンドにとって大きな転換期になったことは間違いないでしょう。そんな中でファンが期待するANTHEM像をしっかり提示してくれたバンドに脱帽です。「ANTHEMとして柴田 直人と坂本 英三のコンビができることはやり尽くした」という理由から森川加入に至ったことを考えると、坂本時代から大きな変化はないように思いますが、このブレない姿勢こそがANTHEMなのだと思います。音楽性の振り幅が大きいとは言えないバンドなのでマンネリと感じるか、ベテランの貫禄と見るかで評価が分かれるかもしれませんね。僕は今のANTHEMサウンドが好きなので「マンネリズム大いに結構!」というスタンスで、これからも応援していくつもりです。

【音源紹介】
Shine On

ANTHEM「BURNING OATH」(2012)

  • 2016/03/11(金) 00:00:00

BURNING OATH
【No.464】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

国産メタル界の大御所ANTHEMの再結成後7枚目、通算14作目となるアルバム。本作発表に際してはレコード会社を移籍したり、本間 大嗣(Ds)が体調不良のため⑦Ghost In The Flameを除く全ての曲をサポートドラマー田丸 勇が叩いていたりと色々あったにもかかわらず前作「HERALDIC DEVICE」(2011)から僅か1年弱のスパンで新作を完成させています。上記のような変化がバンドにどんな影響をもたらすか気になっていましたが、結論から言うと本作はANTHEMの新たなる名盤ですね。近作のオープニング曲はキーボードを導入した柔和なイメージがあったのに対して、ヘヴィなリフでガツンとくるシングル曲①Evil Oneからして「今回は一味違う」と感じさせてくれます。

その後もいかにもANTHEMらしい歌謡曲風の歌メロが冴える②Unbroken Sign、1分足らずのインスト③Overtureに導かれてスタートするパワフルな④On And Onまでの畳み掛けは圧巻。怒涛の勢いは⑤Get Awayでペースダウンするものの、この曲も箸休めには勿体ないほどの劇的なメロディを持ったミドルチューンだし、続く⑥Struggle ActionはANTHEM流メロパワと言えそうな1曲でなかなか新鮮ですね。後半に失速するケースの多かったANTHEMですが本作は違います。坂本 英三(Vo)の演歌風の歌い回しと終盤のギターソロがカッコいいブルージーな長編曲⑦、テクニカルに攻めてくるインスト⑧Double Helix、サビもさることながらBメロがツボな⑨Face The Coreの流れは文句のつけようがありません。そして硬派なサウンドの中に爽やかさを織り込んだキャッチーなメタル⑪Dance Aloneで締めくくるラストも秀逸。この曲を筆頭に前作ではインストのみだった清水 昭男(G)のペンによるナンバーが大きな存在感を放っているのもポイントですね。

メロディアスでありながらメタルの攻撃性も忘れないANTHEMらしさ、再結成後の各作品にあった安定感はそのままに「IMMORTAL」(2006)以外のアルバムで感じていた物足りなさを見事に払拭した1枚ですね。ここまで楽曲が充実していると、ウィークポイントであるはずの坂本によるカタカナ英語すら持ち味に思えてくるし、④の「留まる事など死んだも同じ」を始めとしたクサくて熱い歌詞がこれまで以上に響いてきます。「できることはやり尽くした」という理由から本作を最後にANTHEMと坂本 英三は別の道を歩むことになるのですが、本作を聴いていると確かに現体制の到達点がここにあると思えてきますね。それほど充実したアルバムです。バンドは2014年2月に坂本の脱退と森川 之雄(1988年から1992年の解散まで在籍)が再加入したことを発表し、新たなステージへと突入していくこととなります。

【音源紹介】
Evil One

ANTHEM「HERALDIC DEVICE」(2011)

  • 2016/02/29(月) 00:00:00

HERALDIC DEVICE
【No.463】
★★★(2011)

柴田 直人(B)率いるジャパニーズメタル界の重鎮ANTHEMが再結成から10年の節目にリリースした13thアルバム。2010年にはバンドの25周年を記念して森川 之雄(Vo)時代の代表作4th「GYPSY WAYS」(1988)、5th「HUNTING TIME」(1989)を現メンバーで再現するスペシャルライブを敢行、その模様を収めた「PROLOGUE LIVE BOXX 2」をリリースするなど、いい意味でベテランらしからぬ勢力的な活動を続けていますね。そんな彼等も今回は納得のいくマテリアルを揃えるのに苦労したらしく柴田は本作を「難産の末に生まれたアルバム」と表しているようです。

作り手にとっては産みの苦しみを味わったアルバムのようですが、いざ聴いてみると従来作品の延長線上にあるANTHEMらしい安定感抜群の1枚に仕上がっています。インパクトのあるリードトラックを序盤に配して聴き手の心をガッチリ掴み、アルバムの折り返し点に清水 昭男(G)作のインストゥルメンタルがあって、エンディングは硬派なメタルチューンで締めるという作風は再結成後ANTHEMの様式美ですね。①The SignのイントロがANTHEMにしては珍しくキーボードを絡ませたものだったり、ロックンロールのフィーリングを取り入れた③Go!SCORPIONSの有名曲Rock You Like A Hurricaneを連想させるハードロック④Blind Alleyがあったりと新しい一面を見せつつも、バンドとしての核はしっかり保っているのも好印象。特にストレート③は本作の中で一番好きな曲だし、漢の悲哀を感じさせる勇壮なクサメロが胸を打つミドル⑥Wayfaring Manから、清水作のインストの中でもかなりメタリックな⑦Code Of The Silenceへ繋がる流れも聴きどころですね。

本作もANTHEMファンは勿論、ヘヴィメタルという音楽のファンであれば一定以上の満足感が得られるのは事実ながら、再結成ANTHEMのアルバムの中では下から数えた方が早いかなという気もします。僕のツボにハマるメロデイが少ないと言ってしまえばそれまでなのですが…。今回は⑦を除き、全曲を柴田が手がけているということも関係しているのかもしれません。清水特有の親しみやすいメロデイがもう少し欲しかったですね。僕がANTHEMを聴くきっかけとなった名盤11th「IMMORTAL」(2006)、タイトルトラックが飛び抜けた名曲だった12th「BLACK EMPIRE」(2008)に続くアルバムなので地味に感じます。客観的に見れば「ヘヴィメタルかくあるべし」な力作ですが、今のANTHEMならこれくらいやってくれるだろうという予想の範疇内に収まる作品でもありますね。

【音源紹介】
The Sign

ANTHEM「BLACK EMPIRE」(2008)

  • 2016/02/23(火) 00:00:00

BLACK EMPIRE
【No.462】
★★★(2008)

前作「IMMORTAL」(2006)を聴いて、すっかりファンになったANTHEMの12作目。本作を聴く前に再結成後のアルバムを中心に過去作品をチェックし、僕が初めてリアルタイムで触れるANTHEMの新作ということもあって期待を胸に購入した記憶があります。実際に聴いてみるとオープニングトラックの①Black Empireが完全に僕好みでやられました。怪しげな雰囲気で進行していき、サビでは一転してキャッチーになる展開と、そのサビメロに宿る哀愁が実に素晴らしい。2008年の年間ベストチューンにも選出したバンド屈指の名曲です。

そんな①やANTHEMにしては珍しいメロウなバラード⑤Walk Through The Nightに象徴されるように、今回は全体的にメロディアスな作風となっていて恒例のギターインスト⑦Pilgrimも従来と違って聴かせるタイプです。坂本 英三(Vo)の歌唱も熱さをキープしながらも、ボーカルメロディは歌謡曲風のものが多いため近作と比べて聴きやすくなっていると思います。だからと言ってメタルバンドとしての攻撃性が失われているかというと、そんなことはなく熱さ迸るシングル曲②Heat Of The Night(サビがKAMELOTLost & Damnedにソックリなのはご愛嬌)からのメタリックチューン3連発は流石だし、「これぞANTHEM」な漢臭さがカッコいいミドル⑨Awakeからストレートな⑩Perfect Crawlerに繋がるアルバム終盤も○。

10th「ETERNAL WARRIOR」(2004)が徹頭徹尾メタル、11th「IMMORTAL」が大人げなさをテーマにしていたのに対して、今回はパワーで押し切るのではなくベテランならではの円熟味を前に出してきたという印象です。アルバム毎に作風を若干変えながらも芯の部分は紛れもなくANTHEMだと感じ取れるのはリーダー柴田 直人(B)の信念がなせるわざなんでしょうね。また、彼がANTHEMの頭脳であることは間違いありませんが⑥Emptiness Worldや⑩のように柴田カラーとは異なる楽曲を生み出せる清水 昭男(G)の存在も大きいと思います。総合的に見ると前作ほどのインパクトはないものの、このバンドのアルバムにハズレはないですね。

【音源紹介】
Heat Of The Night

ANTHEM「ETERNAL WARRIOR」(2004)

  • 2016/02/12(金) 00:00:00

ETERNAL WARRIOR
【No.461】
★★★(2006)

2001年に8th「SEVEN HILLS」で再結成して以降、リーダーの柴田 直人(B)を中心に坂本 英三(Vo)、清水 昭男(G)、本間 大嗣(Ds)という不動のメンバーで勢力的に活動を続ける日本メタル界の大御所ANTHEMの10作目。前作「OVERLOAD」(2002)リリース後は同作のツアーの模様を収録した新体制としては初のライブ盤「LIVE' MELT DOWN」(2003)を発表しているので、再結成後は毎年何らかの作品を届けてくれていることになりますね。本作についてはリリース前から「徹頭徹尾ヘヴィメタルな作品」という柴田の言葉通り、アルバム全編どこを切ってもメタリック、それでいてメロディもしっかり聴かせてくれる1枚となっています。

今回は何と言ってもオープニングの①Onslaughtが強烈。まるでJUDAS PRIESTPainkillerなリフに始まりフック満載のサビから「オンスロゥ!オンスロゥ!」という男臭いコーラスへと展開していくこの曲はANTHEMの魅力を凝縮したかのようなナンバーですね。続くタイトル曲②Eternal Warriorも熱きメタリックチューンだし、ハンズクラップを交えた軽快なノリでキャッチーに聴かせる③Soul Cryがゴリゴリの2曲の後に来るという曲順もグッド。先行シングル「ONSLAUGHT」にはこの①〜③の流れをそのまま収録していることからもバンドがこの3曲に自信を持っていることが窺えます(ファンとしてはシングルを買う価値を見出せませんが/苦笑)。そして本作のもうひとつのハイライトとなっているのが慟哭のメロディを坂本がエモーショナルに歌う④Life Goes Onでしょう。攻撃的なメタルだけでなくこういう曲もできるのがANTHEMの強みですね。それ以外では重苦しい空気の中で光る哀愁が胸に沁みる清水作の⑥Distress、過去2作に収録されていたもの以上に僕好みのインスト⑧Omega Man、派手さはないもののメロディが頭から離れないドラマティックなミドル⑨Easy Motherなどがお気に入りです。余談ですが⑨の「難破船に乗りゆく者の確率は何パーセント?」という歌詞は韻を踏んでいるというよりダジャレに聞こえてしまいますね(笑)。

今回もANTHEM流ヘヴィメタルを堪能できるのでファンなら聴いて損はないと思います。ただし近作同様、アルバム後半に進むに連れてテンションが下がっていく感は否めません。特に今回は①のインパクトが強いため余計にそう思いますね。前作は聴き始めの頃からアルバムにグッと引き込まれたのに対して、本作の第一印象はそれほど良くなかったものの聴き込むうちにだんだん好きになっていったという感じです。柴田自身、本作リリース後のインタビューで「解散してもいいくらい、燃え尽きた」と話すほどの気合いのこもった1枚。1985年にデビューし本作発表時に20周年を迎えようとしているベテランがここまで現役感に満ちた作品を生み出してくれたことは頼もしい限りです。

【音源紹介】
Onslaught(Live)

ANTHEM「OVERLOAD」(2002)

  • 2016/01/27(水) 00:00:00

OVERLOAD.jpg
【No.460】
★★★(2006)

1992年に解散するも、レジェンドGraham Bonnet(Vo/ex-ALCATRAZZ、RAINBOW)を迎えて歌詞を英語に差し替えたリメイク盤「HEAVY METAL ANTHEM」(2000)を制作したことから再結成ムードが高まり「SEVEN HILLS」(2001)で復活を果たした国産メタルバンドANTHEMの再結成第2弾にして通算9作目。前作も実直な正統派メタルの魅力が詰まった1枚でしたが、まだ試運転段階にあるように感じる部分もありました。それに対して今回はアルバムタイトルから連想される通り、持てる力を総動員してANTHEM流ヘヴィメタルを叩きつけてきたという印象ですね。メロディの充実度、バンドとしてのまとまりなど全ての面で前作からグレードアップしています。

ANIMETALに通じるヒロイックな世界観を坂本 英三(Vo)が熱く歌い上げる①Revenge、溢れる攻撃性と構築美に満ちたギターソロが秀逸なシングル曲②The Voices、インパクトのあるイントロからメロパワ風に駆けていく③Demon's Rideと続くアルバム冒頭はなかなか強力。また従来のANTHEM像とは一味違うキャッチーなサビがシンガロングを誘う④Rough And Wild、一転してANTHEM節全開のメタリックチューン⑤Rescue You清水 昭男(G)のギターがメロディを歌うインスト⑥Ground Zero辺りまでは満足度が高いですね。ただアルバム後半は⑨Gotta Goのようなノリのいい楽曲もありますが失速気味なのが惜しい。タイトルトラック⑦Overloadは気迫に満ちているし、演歌に通じる坂本の情感たっぷりな歌唱が堪能できる⑧Desert Of The Seaも魅力的ではありますが、それまでの曲に比べてメロディの魅力がやや落ちますね。

アルバム後半が弱く感じられるとはいえ、前作から僅か1年弱で届けられた新作がここまで充実しているのはバンドが良好な状態にあるからでしょうね。柴田 直人(B)が中心となって生み出した楽曲群をエモーショナルに表現するシンガー坂本、メロディアスなギターで各曲に華を添える清水、そして柴田と共にバンドの屋台骨を支えるドラマー本間 大嗣が一丸となって完成させた本作からは今回の再結成が単発ではなく、このメンバーでこれからもANTHEMとして活動していくんだという気概が感じられます。僕の中では11th「IMMORTAL」(2006)が断トツの名盤なのですが、それ以前にリリースされた再結成後3作品の中では本作が一番好きですね。ヘヴィメタルならではの熱さと攻撃性、その中で光るフックのあるメロディが絶妙なバランスで押し寄せてくる力作だと思います。

【音源紹介】
The Voices

ANTHEM「SEVEN HILLS」(2001)

  • 2016/01/21(木) 00:00:00

SEVEN HILLS
【No.459】
★★★(2006)

1985年に「ANTHEM~パワーメタル戒厳令~」でデビュー、7枚のアルバムを発表し1992年に解散したジャパニーズメタルバンドANTHEMが再結成して放つ通算8枚目のアルバム。ラインナップはリーダーの柴田 直人(B)、解散時のギタリストだった清水 昭男、デビュー作から3rd「BOUND TO BREAK」(1987)までボーカルを務めた坂本 英三、バンド解散後に柴田が在籍していたLOUDNESS時代の盟友本間 大嗣(Ds)という顔触れです。11th「IMMORTAL」(2006)で初めてANTHEMのサウンドに触れるや、その素晴らしさに魅了され全作品をチェックするようになった後追いリスナーの僕が2番目に聴いたANTHEMの作品がこのアルバムです。

本作も純然たるヘヴィメタルアルバムとなっていて①Grieve Of Heart、⑦Running Blood辺りは問答無用でカッコいいと思わせてくれる凄みがありますね。それ以外にも怒りに満ちた歌詞と前のめりな曲調がマッチした③XTC、曲自体はやや地味ながらギターソロが秀逸な④The Man With No Name、再結成後のアルバムでは恒例となっている清水作のインスト⑥D.I.M. 422などメタル好きなら琴線に触れるであろう曲が収録されています。そういう意味では手堅い作品であることは間違いないのですが「IMMORTAL」やそれ以降のアルバム、または解散前の作品群と比べるともう一押し足りないように感じるのも事実。もし本作が僕とANTHEMの出会いの1枚だったとしたら「他のアルバムも全て聴きたい」とはなっていなかったでしょうね。

というわけで物足りなさが残るのは否定できない本作ですが、客観的に見れば一定水準以上のアルバムだと思います。本作で特に印象的なのは坂本の熱唱ですね。「BOUND TO BREAK」の頃は直線的な歌い方だったのに対し、ANTHEM脱退後にANIMETAL等で精力的に活動してきた彼の歌唱は逞しさと表現力を増していて再結成ANTHEMの大きな魅力となっています。そんな成長振りが顕著に感じられるのがアルバムのリードトラック①でしょうか。歌い回しが時にはクドかったりもするのですが、この暑苦しさこそが坂本 英三節です。歌唱力や安定感の面ではANTHEMのもうひとりのシンガー森川 之雄が一枚上手だと思いますが、再結成後からこのバンドを聴くようになった僕にとっては坂本こそが「ANTHEMの声」なんですよね。

【音源紹介】
Grieve Of Heart

ANTHEM「IMMORTAL」(2006)

  • 2016/01/15(金) 00:00:00

ANTHEM IMMORTAL
【No.458】
★★★★★(2006)
年間ベスト2006年第4位

2005年に歴代メンバーを集結させたデビュー20周年記念ツアーを敢行したジャパニーズメタル界の重鎮ANTHEMの11thアルバム。2001年の再結成後としては4枚目に当たる本作では「大人げなさ」をテーマに掲げ、思いついたアイデアに対して「これはANTHEMらしくないからやらないと考えるのではなく、まず実践してみる」というスタンスで臨んだそうです。ANTHEMについては、その名前を知りつつも「コテコテのメタルには日本語よりも英語の方がマッチする」というイメージがあったため聴くに至らなかった僕ですが前評判の高かったこと、良くも悪くもインパクト抜群なジャケットもあって本作でANTHEMを初体験しました。聴き始めの頃は先入観もあってか日本語歌詞の垢抜けなさが気になったものの、楽曲の良さとフロントマン坂本 英三の漢臭い灼熱ボイスに魅了され、リピートするうちに日本語で歌うメタルの苦手意識もなくなっていきましたね。これは僕のミュージックライフにとって大きな変化で、本作と出会ってからは今まで以上に多くの国産メタルバンドを聴くようになりました。

熱さと勢いに満ちたシングル曲①Immortal Bindを筆頭に、充実した楽曲群が並ぶ本作を表すとすれば「ネオクラシカルとかジャーマンといった形容詞が全く必要ない純度100%のヘヴィメタルがギッシリ詰まったアルバム」でしょうか。そんじょそこらの若手バンドを軽く蹴散らしてしまうほどのエネルギーが充満している②Soul Motor、独特のグルーヴ感とミステリアスなメロディが混ざり合った③Mob Grooveと続く序盤の流れは隙がないですね。中盤以降も清水 昭男(G)のメロディアスなギターが楽しめるインスト⑦Insomnia、シャッフル調の⑧Unknown World、リーダーでメインソングライターでもある柴田 直人(B)のベースが唸る⑨Betrayer、ラストを豪快に締めくくる⑪Road To Nowhereといったメタリックチューンなどカッコいい曲が目白押しです。ただ本作のハイライトはサビもさることながら、それ以上の輝きを放つAメロとBメロが素晴らしい⑤The Beginningとキャッチーなコーラスパートが絶大なインパクトを持つ⑩Echoes In The Darkの2曲ですね。これら2つのキラーチューンがアルバムの完成度をグッと高めています。

「IMMORTAL」でANTHEMファンになってからというもの、再結成前のアルバムを全て聴き、彼等の新譜は常にチェックしていますが本作が一番好きですね。曲順に関してもこれ以外ないと思えるほどにハマっていて、楽曲のテイストとしては僕の好みではないものについてもアルバムとして聴くと「そこにある必然性」が感じられます。ヘヴィメタルの王道をゆく作風でありつつ、曲調に幅を持たせている辺りもニクい。2006年当時は日本のメタルバンドと言えばGALNERYUS、陰陽座といったバンドがお気に入りでしたが、ANTHEMが本作でベテランの底力を見せつけてくれましたね。日本が世界に誇るメタルアルバムのひとつだと思います。

【音源紹介】
The Beginning

【CD購入録】ANTHEM「ABSOLUTE WORLD」(2014)

  • 2014/12/15(月) 00:00:00

【CD購入録】
ABSOLUTE WORLD
ANTHEM「ABSOLUTE WORLD」(2014)

国産メタルシーンの大ベテランANTHEMの15作目を買いました。前作「BURNING OATH」(2012)リリース後はリーダーの柴田 直人(B)が癌を手術、体調不良が続いていた本間 大嗣(Ds)の後任に田丸 勇(Ds)が正式加入、そして2001年の再結成から長きに渡ってフロントマンを務めてきた坂本 英三(Vo)がバンドを離れ森川 之雄(Vo)が再加入するなど環境が激変する中で完成した1枚です。メンバーチェンジ等が作風にどんな影響を与えるのか注目していましたが、今回もANTHEM流ヘヴィメタルにブレはなくリーダートラック①Shine Onから④Destroy The Boredomまで怒涛の勢いで聴かせる序盤は圧巻の一言。現在のお気に入りは初めて聴いた気がしないクサメロと哀感が耳に残る⑥Don't Let It Dieですね。今回からバンドに復帰した森川の歌を聴くのは梶山 章(G)と組んだGOLDBRICKの2nd「GOLDBRICKⅡ」(2004)以来約10年振りですが、相変わらず見事な歌唱を披露してくれています。

【CD購入録】ANTHEM「BURNING OATH」(2012)

  • 2012/11/22(木) 00:00:00

【CD購入録】
BURNING OATH
ANTHEM「BURNING OATH」(2012)

大御所ジャパニーメタルバンドANTHEMの通算14作目を買いました。今回のアルバム発表に際してはレコード会社を移籍したり、本間 大嗣(Ds)が体調不良で離脱したためサポートドラマー田丸 勇を迎えたりと大変だったようです。ガツンとくるシングル曲①Evil Oneで幕を開ける恒例のオープニング以降、本作の2週間ほど前に発売されたSABER TIGERの新作と同じく(このバンドにしては)メロディアスになっているという前評判通り、メロディ重視の作風ながら徹頭徹尾メタルであることも忘れないANTHEMらしいアルバムだと思います。ANTHEM流メロパワと言えそうな⑥Struggle Actionはなかなか新鮮でした。現在のお気に入りは本作の特徴であるメロディアスな側面が強調された②Unbroken Sign、⑪Dance Aloneですね。

【CD購入録】ANTHEM「HERALDIC DEVICE」(2011)

  • 2011/09/22(木) 00:00:00

【CD購入録】
HERALDIC DEVICE
ANTHEM「HERALDIC DEVICE」(2011)

ジャパニーズメタル界の重鎮ANTHEMの13作目を買いました。新作リリースの第一報が入ってきてから発売日が延び延びになっていましたが、待たせただけのことはあるなと思わせる純度100%のピュアメタル作品となっています。ANTHEMにしては珍しくキーボードを絡ませたイントロに意外性を感じるものの歌が入る頃にはANTHEMらしいナンバーとなっているリードトラック①The Sign、熱さほとばしる作品に爽やかな空気を運んでくれるキャッチーなメロディが印象的な③Go!、クサくて勇壮な旋律に一発で耳を奪われた⑥Wayfaring Manなどが現在のお気に入りですね。絵に描いたような正統派サウンドに乗る歌謡曲にも通じるメロディ、そして坂本 英三(Vo)が日本語7:カタカナ英語3くらいの割合で歌い上げる熱き歌詞世界など、いろんな意味で僕が想像する日本のメタルバンド像に最も近いのがこのANTHEMだったりします。アルバム前半に比べると後半にややテンションが下がりますが、気合いの入りまくった力作だと思いますね。

【CD購入録】ANTHEM「BLACK EMPIRE」(2008)

  • 2008/12/13(土) 08:26:49

【CD購入録】
BLACK EMPIRE
ANTHEM「BLACK EMPIRE」(2008)

それまではベスト盤をレンタルして聴くくらいだったのが、2006年発表の「IMMORTAL」で初めてオリジナルアルバムを聴き、一気にファンになった日本のベテランメタルバンドANTHEMの最新作を買いました。僕は再結成後のANTHEMから聴くようになり、初期ANTHEMのオリジナル作品は未聴という完全後追いリスナーです。前作「IMMORTAL」がガチガチのメタルだったのに対し、今回はメロディアスな方向にベクトルが向いているように感じます。その最たる楽曲がタイトルトラック①Black Empireで、一度聴いたら忘れられないメロディラインが絶品です。その後は硬派なメタル3連発を畳み掛け、バラード⑤Walk Through The Night、印象的なメロディを持った清水 昭男(G)作の⑥Emptiness Worldと繋がるアルバム前半がいいですね。前作以上に好きになるかどうかは、これから聴き込んでみないと何ともいえませんが、日本のへヴィメタルの旨みが詰まった充実作であることは間違いなさそうです。