THE RASMUS「THE RASMUS」(2012)

  • 2015/12/04(金) 00:00:00

THE RASMUS
【No.456】
★★★(2012)

前作「BLACK ROSES」(2008)をリリース後、出世作の5th「DEAD LETTERS」(2004)以降の楽曲を中心に構成されたベスト盤「THE BEST OF THE RASMUS」(2010)を発表、2011年にはフロントマンLauri Ylonen(Vo)LAURI名義で初のソロアルバム「NEW WORLD」(輸入盤のみ)を制作するなどしていたTHE RASMUSの8作目。「DEAD LETTERS」に魅せられ過去作品を大人買いし、6th「HIDE FROM THE SUN」(2005)以降も欠かさずチェックしてきた僕ですが前作「BLACK ROSES」(2008)を聴いて美しいメロディに酔いしれつつも、ここ数作は同路線が続いたこともあり手詰まり感を抱いていました。今回もメロディ重視のミッドテンポが主体なのですが、心を揺さぶる泣きメロを軸にした従来路線から爽やかな曲調の中に仄かな哀愁を閉じ込めた楽曲をメインとした作風にシフトしています。

そんなアルバムの特徴はオープニングから如実に表れていて、前奏もなく「I can't believe that it's over〜♪」という幻想的な歌い出しからジワジワと盛り上がっていく①Strangerで早くも違いが感じられるし、シングルにもなったダンサブルな②I'm A MessもTHE RASMUSにしては明るめのナンバーです。THE RASMUSらしい哀感を持った③It's Your Night、④Save Me Once Againにしても泣きよりも優しさに満ち溢れた旋律がとにかく心地よいですね(特に④におけるLauriのエモーショナルな歌唱には神々しさを感じるほど…)。それ以外にも切なさの中に希望を感じさせるメロディが光る⑥End Of The Story、アルバムのポップサイドを象徴する⑦You Don't See Me、5th〜6thの頃に近い雰囲気が感じられる本編ラスト⑩Skyなども気に入っています。

エキサイティングな展開や高揚感はありませんが、聴き手を優しく包み込む楽曲群はひとつの物語を紡いでいくかのようで、聴き終えた時には穏やかな気持ちになっている自分に気づきます。4th「INTO」(2001)で確立した哀メロサウンドは僕の好みど真ん中でしたが、この路線では結局「DEAD LETTERS」を越えられないようにも思えたので本作のような方向転換は個人的にはアリですね。デビュー当時に比べると音楽性が大きく変わったバンドなので、ここから先どのように変化していくか楽しみにしていたら本作リリースから半年もしないうちにバンドは無期限活動休止することを発表してしまいました。このアルバムをセルフタイトルにしたのは、これがバンドの集大成になる可能性を見越してのことだったのかもしれません。ただしライブ活動は継続しているようなので、いつか新作を届けてくれると信じています。

【音源紹介】
I'm A Mess

THE RASMUS「BLACK ROSES」(2008)

  • 2015/11/28(土) 00:00:00

BLACK ROSES
【No.455】
★★★(2008)

フィンランドが誇るメランコリックロッカーTHE RASMUSの7thアルバム。本作を語る上で欠かせないのはBON JOVI、KISSなどを手掛けたこともある大物Desmond Childがプロデュースしているという点でしょう。5th「DEAD LETTERS」(2004)を聴いてファンになったDesmondの方から「是非一緒に仕事をしたい」と連絡してきたそうで、このエピソードからもTHE RASMUSの非凡さが窺えますね。大御所プロデューサーが関わることでバンドサウンドにどのような影響を与えるのか注目していましたが、それほど大きな変化はないように思います。このバンドの場合、泣きのメロディとLauri Ylonen(Vo)の哀愁ボイスという強烈な個性があるので安心して聴くことができますね。

バンドの根幹部分にブレはないものの前作「HIDE FROM THE SUN」(2005)にあったヘヴィなバッキングは影を潜め、電子サウンドやプログラミングを用いる場面が増えているので最早ハードロックと呼んでいいのかどうかも微妙になってきています。それが結果的に彼等らしい哀愁サウンドは保ちつつ、これまで以上のメジャー感を纏った好盤に仕上がっている辺りは流石。そんなバンドの持ち味は冒頭から発揮されていて、シングルカットされた①Livin' In A World Without Youを聴いた時点でガッツポーズでした。それ以降もTHE RASMUSらしい悲哀に満ちたナンバーが並び、アルバム後半にはシンフォアレンジがいい味を出している⑧Lost And Lonely、曲名通りの勇壮な響きを持った⑨The Fight、ミャウミャウしたキーボードが曲を引っ張る⑩Dangerous Kindといった新生面も見せてくれます。そんな実験的要素もある曲の後に、切ないメロディが胸に沁みるバラード⑪Live Foreverを配して本編を締めくくる構成もニクいですね。

というわけで今回も哀メロ満載の楽曲が楽しめる手堅い作品で、気がつけば何度もリピートしているのですがマンネリ気味に感じてしまうのも事実。意外性やワクワク感、このアルバムでしか得ることのできない「何か」がないように思うし、5th「DEAD LETTERS」(2004)と比べると物足りないというのが正直なところです。特にアルバム前半は似たテンポの曲が続くため連続して聴くと心地よい反面、1曲ずつを取り出すとあまり印象に残らなかったりするんですよね…。このクオリティで文句を言うのは贅沢だとわかってはいるものの、もう一押し欲しいと思ってしまう1枚です。

【音源紹介】
Livin' In A World Without You

THE RASMUS「INTO」(2003)

  • 2015/11/22(日) 00:00:00

RASMUS INTO
【No.454】
★★★(2007)

5th「DEAD LETTERS」(2004)が世界的にヒットし、フィンランドのみならずヨーロッパを代表する存在へと成長したTHE RASMUSの4作目。僕は「DEAD LETTERS」と6th「HIDE FROM THE SUN」(2005)の2作品に魅了され、本作を含むそれ以前のスタジオ盤4枚を大人買いしました。3rd「HELL OF A TESTER」(1998)で哀メロが顔を出すようになったものの、バンド初期の3作品はラップも取り入れたファンキーなロックサウンドが基本で、別バンドかと思うような路線だったのでTHE RASMUSの持ち味であるメランコリックロックが確立されたのは本作だと思っています。ちなみにバンドは1st「PEEP」(1996)がフィンランド国内でゴールドディスクを獲得するなど地元ではデビュー当初から売れっ子だったようですね。

本作を聴くまでTHE RASMUSは5th、6thしか知らなかったので、とにかく切ない哀メロで泣かせるバンドというイメージがありました。ところが、このアルバムはそんな泣きの要素を軸にしつつ甘酸っぱいメロディと快活で爽やかな雰囲気も感じられるのが特徴ですね。それを象徴するのが④F-F-F-Fallingでしょう。「DEAD LETTERS」にもボーナストラックとして収録されていたこの曲を5thの一部として聴いた時にはポップで異色な曲だと思っていたのですが、本作からのリメイクだと知って妙に納得しました。それ以外にも「Oh Yeah, Oh Yeah~♪」と歌う哀愁コーラスからドライヴ感に満ちたサビへの展開が秀逸な⑤Heartbreaker、温もりのある旋律が聴き手を優しく包み込んでくれる⑦Someone Else、「胸キュン」という言葉(もう死語?)がピッタリのメロディが堪らない⑧Small Town、そしてこれぞTHE RASMUSな激泣きバラード⑩Last Waltz辺りは大好きですね。特に④、⑤、⑧は本作ならではの楽曲だと思います。

初めて聴いた時は僕が抱くTHE RASMUS像とは異なる明るめのサウンドに違和感がありましたが、メロディ作りの上手さと声そのものにただならぬ哀感を含んだLauri Ylonen(Vo)の歌唱はこの頃から光っていますね。出世作「DEAD LETTERS」で開花するメランコリック・ゴシックテイストはやや控えめで、バンドのポップセンスや楽曲から感じられる温かみが心地よい1枚です。アルバム全体の完成度で言えば次作以降の方が上かもしれませんが、個々の楽曲を取り出して聴けば本作も負けていません。なお僕が持っているバージョンには本編ラスト⑩の後にシングルB面曲が追加され全14曲となっています。⑬Play DeadはLauriも大ファンだというBJORK⑭Used To Feel BeforeTHE KINGSTONE WALLのカバーなのですが、THE RASMUS印はしっかり刻まれていてバンドのアレンジ能力の高さが伺えますね。

【音源紹介】
F-F-F-Falling

THE RASMUS「HIDE FROM THE SUN」(2005)

  • 2015/11/15(日) 00:00:00

HIDE FROM THE SUN
【No.453】
★★★(2005)
年間ベスト2005年第10位

哀愁のメロディに満ち溢れた5th「DEAD LETTERS」(2004)を聴いて、すっかりファンになったTHE RASMUSの6作目。前作で彼等に魅了された日本のリスナーは僕だけではなかったようで、2004年10月にバンドは初来日も果たしています。そんな出世作に続くアルバムということで期待を胸に聴いてみると、メランコリックな旋律美は健在でありながら演奏は前作よりも若干ヘヴィに、それでいて曲調は耽美性を強めていて更にメロディを聴かせるスタイルになったように思いますね。冒頭の①Shotからして哀愁ダダ漏れ(笑)、続く②Night After Night(Out Of Shadows)で早くも本作のハイライトを迎えます。タイトルから推測するに、この曲は前作でも2曲目に配されていたIn The Shadowsのアンサーソングなのかな、と思ってみたり。聴き始めの段階で印象に残ったのは②くらいだったので当初は「悪くはないけれどTHE RASMUSにしては平均的な楽曲が多い」という感想でしたが、リピートする内に本作のメロディがジワジワと胸に沁み入ってきました。

キャッチーなシングル曲③No Fear、「ファラウェ〜 ファラウェ〜♪」と歌う物悲しいメロディが秀逸な④Lucifer's Angel、サビのコーラスがHAREM SCAREMっぽい⑥Dead Promises(同郷のチェロメタルバンドAPOCALYPTICAが客演)などもさることながら、アルバム後半の充実振りには目を見張るものがありますね。アコースティック調の淡々とした演奏と儚いメロディが絶妙にマッチしたバラード⑧Sail Awayから哀メロを丁寧に紡いでいく⑨Keep Your Heart Brokenへ至る流れは文句のつけようがないし、アルバム本編を幻想的に締めくくる⑪Don't Let Goも筆舌に尽くし難いほどの美しさを誇っています。そんな⑪の余韻に浸っているところに流れてく⑫Triggerもボーナストラックにしておくには惜しい佳曲です。

惜しむらくはそれに続く③の別バージョン⑬No Fear(Chris Vrenna Remix)が蛇足に感じられるという点でしょうか。アルバム曲のミックス違いにはあまり興味が持てないし、本作には複数のバージョンがあり異なる未発表曲が収録されているようなので、それらを1枚にまとめてくれた方が嬉しかったですね…。サウンドの焦点を哀メロ一本に絞ったことによって、バンドの揺らぎないアイデンティティを誇示することに成功している一方でF-F-F-FallingIn My Lifeのようなポップセンス弾けるナンバーがなくなったのは寂しくもあります。いくつかの不満点はあるし、流石に「DEAD LETTERS」と比べると地味な印象は拭えないものの前作がマグレではなかったことを証明するには十分の力作です。なお発売地域によって別々に収録されていたDancer In The Dark、Open My Eyesなどのボーナストラック全てが聴けるUS盤が2006年に発売されているようなので、これから本作を聴く方にはそちらをオススメしたいですね。

【音源紹介】
・Night After Night(Out Of Shadows)

THE RASMUS「DEAD LETTERS」(2004)

  • 2015/11/04(水) 00:00:00

DEAD LETTERS
【No.452】
★★★★(2004)
年間ベスト2004年第2位

フィンランドを代表するメランコリック・ロックバンドTHE RASMUSの5thアルバム。僕はこのバンドのことを全く知らず、たまたまCDショップで本作を試聴したのがTHE RASMUSとの出会いでした。冒頭4曲をワンコーラスずつ聴いた時点で迷わずレジに向かってましたね。いかにも北欧らしい哀愁が作品全体を覆っていて、随所で泣きのメロディを味わえる極上の一品です。Lauri Ylonen(Vo)のやや掠れたハスキーヴォイスと強力な哀愁のメロディから連想するのは、スウェーデン屈指のシンガーソングライターで現在はLAST AUTUMN'S DREAMで活躍するMikael Erlandsson(Vo)がデビューアルバムにして名盤の「THE 1」で繰り広げた世界観。そこにゴシックテイストを注入したら本作になるという感じですね。

粒揃いの楽曲が並ぶ本作の中でも一度聴いたら耳から離れないメロディを持ったシングル曲②In The Shadows、メランコリックな中にも力強さが感じられる④In My Life、メジャー感たっぷりの爽快なサビがBON JOVIを彷彿とさせる⑥Guiltyが群を抜いて素晴らしいですね。それ以外にも切なすぎるメロディラインが胸に沁みる③Still Standing、重々しいイントロから演歌に通じるクサいサビに繋がっていく⑤Time To Burn、バンドの持ち味を存分に発揮したバラード⑦Not Like The Other Girls、快活なロックチューンでありながら仄かな哀愁を纏った⑨Back In The Pictureなど、哀メロを軸にしつつ曲毎に異なる表情を見せてくれる点も高ポイントですね。それに加えて国内盤に収録されたボーナストラック4曲に関しても、前作「INTO」(2001)のリードトラック⑪F-F-F-Fallingを筆頭にオマケのレベルを超越していて聴き応えがあります。

僕にとっては未知のバンドだったTHE RASUMUSですが、このアルバムをリリースした時点で地元フィンランドは勿論ヨーロッパでも確固たる地位を築いていて本作もこれまでに300万枚ものセールス(!)を記録しているそうです。音楽性としてはHR/HMの範疇に含められるか微妙だし、エキサイティングな曲展開や派手なギターソロはないものの、とにかくメロディの充実度が尋常ではありません。本作を聴いて久々に「これぞ北欧」という楽曲を聴かせてくれるバンドに出会えた喜びに打ち震えたのも良い思い出です。このアルバムと出会った2004年は僕がHR/HMを聴くようになって10年目でしたが、年間ベストの2位と3位にランクインした本作とORPHANED LAND「MABOOL THE STORY OF THE THREE SONS OF SEVEN」を聴いて、世界にはまだ自分の知らない素晴らしいバンドがいることを実感しましたね。

【音源紹介】
In The Shadows

【CD購入録】THE RASMUS「THE RASMUS」(2012)

  • 2012/06/16(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE RASMUS
THE RASMUS「THE RASMUS」(2012)

フィンランドが誇るメランコリック・ロックバンドTHE RASMUSの8作目を買いました。日本デビューを飾った出世作にして名盤の5th「DEAD LETTERS」(2004)に比べると、近作ではロックテイストが減退していましたが今回は一段とライトでポップ、穏やかな中に彼等らしい哀愁を湛えた作風となっています。かつて僕を魅了してくれたコッテコテの泣きメロはなくなったものの、じんわりと胸に沁みる美旋律は聴くほどに味わいが増しそうな予感がするので、しばらくは本作の世界観に浸りたいと思います。

【CD購入録】THE RASMUS「BLACK ROSES」(2008)

  • 2008/12/29(月) 14:12:16

【CD購入録】
BLACK ROSES
THE RASMUS「BLACK ROSES」(2008)

先日のCD購入録に書いたLAST AUTUMN'S DREAMの「DREAM CATCHER」と一緒にTHE RASMUSの最新作「BLACK ROSES」を買いました。泣きメロをふんだんに盛り込んだ楽曲、ボーカルの声質、そして今回はアルバムジャケットまで類似点の多いこれらの2バンドですが、今回は両方とも「当たり」でしたね。今回はプロデューサーにDesmond Childを迎えていますが、⑦You Got It WrongのリフがMEAT LOAFの「BAT OUT OF HELL Ⅲ THE MONSTER IS LOOSE」(2006)の1曲目のリフに似てる(この作品もDesmondがプロデュース)くらいで、「DEAD LETTERS」以降の作品と同じ路線を追求していてTHE RASMUS節ともいえる哀愁のメロディックロックを聴かせてくれます。ただメロディのインパクトという点では「DEAD LETTERS」の域にまで達していないような気も。勿論、本作も僕好みの作品なんですけどね。LAST AUTUMN'S DREAMといい、このTHE RASMUSといい僕の好きな音楽を提供してくれる安心印のバンドですね。

【現在の愛聴盤】THE RASMUS「INTO」(2001)

  • 2008/10/09(木) 06:25:05

【現在の愛聴盤】
INTO
THE RASMUS「INTO」(2001)

いよいよ新作が発売!ってことで、現在のヘビーローテーションはTHE RASMUSです。僕が持ってる「INTO」(2001)、「DEAD LETTERS」(2004)、「HIDE FROM THE SUN」(2005)を改めて聴き返している中で、代表作は「DEAD LETTERS」なんですけど今一番はまっているのが「INTO」です。他の2作が湿り気たっぷりの哀愁ゴシック路線なのに対して、この「INTO」はポップで快活、爽やかなイメージがあって、どこか日本のロックバンドスピッツを思い出させる1枚です。勿論、THE RASMUS節ともいうべき哀愁と泣きを含んだメロディも健在。今も⑤Heartbreaker⑧Small Townという、このアルバムならではの2曲をリピート中です。なのに未だに日本盤が出てないなんて…。僕が持ってる3作品の中でも最もとっつき易い1枚だと思うんだけどなぁ。と思いつつ日本盤発売元のユニバーサルのHPを見たら、最新作「BLACK ROSES」は10月29日発売とのこと。あれ?10月8日だと思ってたのに、いつの間にか延期になってたのかな。輸入盤はもう出ているようですが、国内盤を待とうと思います。