PREVIEW「PREVIEW」(1983)

  • 2012/10/28(日) 00:00:00

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【No.349】
★★★★(2008)

1998年にHarry Hess(Vo/HAREM SCAREM)プロデュースのもとで自身のバンドFIOREを始動させ、日本では今は亡きゼロコーポレーションからアルバム2枚とベスト盤を発表したアメリカ人シンガーJon Fioreがかつて在籍していたバンドPREVIEWのデビュー作にして唯一のアルバム。僕はFIOREからの後追いでこのバンドを知ったため、Jonが歌っていたバンドというイメージが強いのですが実はこのバンドの中心人物はErnie Gold(Key)Danny Gold(G)のGold兄弟で、楽曲の大半をErnieが手掛けています。本作は1983年に発表された後しばらくして廃盤となってしまい入手困難な状況が続いていました。そのためメロディックロック界の幻の名盤と呼ばれるようになっていたのですが2006年にROCK CANDY RECORDSより再発され、僕もこのバンドの存在を知った約10年後にようやく入手できた次第です。

有名プロデューサーKeith Olsenを迎えて制作された本作は重厚なキーボードが盛り上げる楽曲の上にJonの情感豊かな歌声が乗るというサウンドで、JOURNEYSURVIVORにも通じるメジャー感たっぷりのメロディックロックに仕上がっています。アルバムを代表するズバ抜けたキラーチューンこそないように思いますが、産業ロックの王道を行く①All Nightに始まり、バラード⑩It's Overで締めくくられるまで全10曲どれもがメロディ愛好家を自認する僕の心に響いてきますね。名曲がないのではなく、どれもが名曲候補という感じでしょうか。一分の隙も無駄もない楽曲群で構成された本作のランニングタイムは30分弱ですが、実時間以上の満足感が得られますね。甲乙付け難い良曲が並ぶ本作の中でもキャッチーなメロディが際立つ③So Blind、⑤Never Hold Back、⑦Love Finds A Way、美旋律バラードのお手本のような④Running Back、ハードかつドラマティックに迫ってくる⑥Red Light、それとは対照的にどこか南国リゾート的な雰囲気漂うアレンジが良いアクセントになっている⑦Can't Stop The Feelingなどが特に印象的です。

FIORE名義のアルバムから15年も前の作品ということもあってJonの味のある歌い回しやハスキーな声に宿る哀感はFIORE時代に一歩譲る感はあるものの、若々しさと張りのある声で歌うPREVIEW在籍時の彼もまた魅力的ですね。これだけのアルバムを残しておきながらPREVIEWというバンドが商業的な成功をおさめることはおろか、2作目をリリースすることすらできずに消滅してしまったのは不運としか言いようがありません。ハードロックというカテゴリで括るにはソフト過ぎるかもしれませんが、どこまでも爽やかで瑞々しい音世界が凝縮された本作は「幻の名盤」の名に相応しい内容となっているので、メロディアスな音楽が好きな方なら聴いて損することはないと思います。

【音源紹介】
・All Night