RUBBER「ULTRA FEEL」(2001)

  • 2012/07/26(木) 00:00:00

ULTRA FEEL
【No.337】
★★★(2007)

日本ではHAREM SCAREM、母国カナダではRUBBERのバンド名でリリースされたHAREM SCAREMとしては6作目となる「RUBBER」(1999)に伴う来日ツアーの後、バンドはDarren Smith(Ds)の脱退と日本でもRUBBERの名前で活動していくことを正式発表しました。後任ドラマーにCreighton Doaneを迎えた今回のアルバムは日本マーケットではRUBBER名義の1作目、カナダ等では2作目となります(ややこしい…)。6th「RUBBER」やそれに伴うライブ盤「LAST LIVE」(2000)では露骨なまでにHR/HMバンドというイメージを払拭したいという気持ちが伝わってきましたが、違和感を覚えるほど音が軽い印象だった前作「RUBBER」とは異なり今回はギターのエッヂやロック色が戻ってきていますね。

バンドの初期2作品が大好きな僕としては今回の改名と音楽性の変化が過去の実績を否定しているように思えたこともあって、RUBBERに対してネガティブなイメージがあったのですがバンドがHAREM SCAREMに名義を戻し、後に解散してしまった今になって改めて聴くとアルバム単体としては前作や「HIGHER」(2003)以降の後期HAREM SCAREM作品よりも好きなアルバムかもしれません。一風変わったリフとHarry Hess(Vo)による野太い歌唱からスタートする①Spinning AroundはHAREM SCAREM時代とは異なる印象ながら②Forgive、⑤Hopeless、⑦Draggin' Me Down(日本盤ボーナス)辺りはハーレムサウンドを連想させるロックチューンだし、③Over The Edge、⑩Running Awayといったバラードで聴けるメロディ展開にもハーレム印が刻まれています。その一方でRUBBERならではと言えるのが④Happiness、⑥In The End、⑧Everything You DoなどPete Lesperance(G)のボーカルをフィーチュアしたポップロック系の3曲でしょうか。シンガーとしての力量では当然Harryに分があるものの、熱唱スタイルで時には暑苦しさも感じさせる彼よりもPeteの素朴な歌唱の方が上記の楽曲にはマッチしていますね。ただし、このアルバムのレコーディング前から当時の契約レーベル「WARNER BROS」との契約が切れてしまうことがわかっていたこともあって、バンド側は本作を気に入っていないようですが…。

ある種、聴き手を選ぶHR/HMから距離を置いて当時の流行りでもあったギターポップ寄りのアルバムを作ることで幅広い層にアピールすることが今回のバンド名、音楽性変更の狙いだったと推測するのですがミュージシャンが自分の音楽を聴いて欲しいためにシーンの流行りに迎合するのは必ずしも悪いことではないと思います。ただし彼等の場合はその変化が従来のファン基盤であるHR/HMリスナーからは否定的なリアクションを招き易かったことに加えて、本作が良質ではあるものの新規ファンを取り込むほどメロディに求心力がない「まずまずのメロディアス作品」止まりになってしまったため中途半端な印象は拭えません。引き出しも多く器用なバンドなだけに何をやっても一定以上のクオリティは誇っているのですが、どことなく感じられる余裕がロックバンドとしてはマイナスに作用している気もしますね。結局バンドはRUBBER名義でも思ったほどの成功を手にすることができず、本作の来日ツアー時にバンド名を再びHAREM SCAREMに戻すと声明を出したため日本ではRUBBERとして最初で最後のアルバムとなっています。

【音源紹介】
・In The End