THRESHOLD「DEAD RECKONING」(2007)

  • 2011/09/27(火) 00:00:00

DEAD RECKONING.jpg
【No.304】
★★★★(2008)

英国産プログレッシブメタルバンドTHRESHOLDの8thアルバム。以前からこのバンドの名前は知っていたものの、良くも悪くも「永遠の中堅」というイメージが強く購入には至っていませんでした。ところが、メタルレーベルNUCLEAR BLASTの創立20周年記念企画盤NUCLEAR BLAST ALL STARS「INTO THE LIGHT」(2007)のボーナスディスクにたまたま収録されていた①Slipstreamの素晴らしさに魅了されて本作を買う決意を固めた次第です。このアルバムが僕にとってTHRESHOLD初体験盤なので過去作品との比較はできませんが本作を聴く限り、このバンドはプログレメタルといってもDREAM THEATERのように超絶技巧で聴き手を圧倒するのではなく楽曲の軸足を常にボーカルメロディに置いている印象です。そんな歌メロ重視の姿勢は最近のプログレメタルシーンで注目を集めるCIRCUS MAXIMUSSEVENTH WONDERといった北欧の若手バンドを連想させますね。変拍子を交えながらも小難しさはほとんどないし、時にはメロディアスハードかと思うほど耳馴染みの良いメロディを次から次へと繰り出してくる辺りは間違いなく僕好みのサウンドです。

まずは重いギターリフからゲスト参加のDan Swano(Vo/EDGE OF SANITY)によるデス声パートを経て愁いを帯びつつもどこか優しげなサビメロへと繋がる前述の①、出だしこそ前曲以上にヘヴィながらボーカルパートでは一転してノリの良さとポップセンスが弾けるメロディアスチューン②This Is Your Life、ややダークな曲調の中で響く浮遊感あるサビメロが心地よい③Elusiveという冒頭3曲でガッチリ心を掴まれました。上記は比較的コンパクトな楽曲ですが、それだけではなくプログレテイスト漂う長尺曲も複数収録していて、中でも流暢な起承転結の展開が9分に及ぶ曲の長さを感じさせない⑤Pilot In The Sky Of Dreamsは見事な構築美を誇っています。それ以外にもモダンテイストを上手く取り入れた⑦Disappear、素晴らしいギターメロディでアルバムを締めくくってくれる⑨One Degree Downなどがお気に入りですね。

リーダーのKarl Groom(G)が紡ぎ出すギターパートは楽曲にハイライトを生み出しているし、Richard West(Key)もバックに徹するばかりでなく華麗なソロを披露しています。そんなインストパートもさることながら、バンドの音楽性的にも重要なファクターとなっているのがAndrew "Mac" McDermott(Vo/ex-SARGANT FURY)による安定感抜群の歌唱。素晴らしいシンガーですね。楽曲的にいわゆる疾走曲というものはなくミッドテンポ、バラード調がメインなので即効性は高くないですが各曲の美旋律がじんわりと胸に沁み渡ります。ベテランらしい手堅い演奏と表現力豊かなボーカルが絡み合うメロディアスで聴きやすいプログレメタル作品だと思います。ただ本作発表後にシンガーAndrewが脱退し、オリジナルシンガーのDamian Willson(Vo)がバンドに復帰しています。しかも残念なことにAndrewは2011年8月3日に亡くなってしまったのだとか…(ソースはこちら)。彼のボーカルなくして本作がここまで完成度の高いアルバムになることはなかったと思うので本当に残念でなりません。

【音源紹介】
・Slipstream