AQUILA「MAN WITH A MISSION」(2004)

  • 2010/12/07(火) 00:00:00

MAN WITH A MISSION
【No.270】
★★★(2004)

解散を余儀なくされたTERRA NOVAのリーダーFred Hendrix(Vo)のソロプロジェクトとして始動し、その後バンドへと発展したAQUILAの2ndアルバム。僕はTERRA NOVAへの思い入れが強いので、このバンドを聴く時にどうしても「TERRA NOVAと比べてどうか」というフィルターを通してしまうのですが、今回はアコースティックサウンドに傾倒していた前作よりもTERRA NOVA時代にあった煌びやかさが戻ってきていて作品全体としてもTERRA NOVA寄りになっていると思います。Fredが曲を書き、彼が歌えばそれだけでTERRA NOVAらしさが生まれるのは事実ながら、やはり2つのバンドを比べるとメロディの質が違いますね。イメージで言うと爽やかさと哀愁の比率がTERRA NOVAでは7:3だとすると、AQUILAは9:1という感じでしょうか。それに伴って前作同様バラードは情感を込めて歌い上げるのではなくサラリと聴かせるタイプになっているし、Gesuino Derosas(G/ex-TERRA NOVA)が脱退してしまったためにギターパートもかなり魅力薄となっています(彼が在籍していた前作の時点でギターソロは激減していましたが…)。

ただTERRA NOVAという前身バンドから切り離して本作を聴いてみると、Fredの非凡なメロディセンスと味わいのある歌声が耳に残る1枚であることは間違いありません。跳ねるようなサビメロが気持ちいい①Oh Boy、音を詰め込まない涼しげな曲調の中をキャッチーなメロディが流れていくタイトルトラック⑥Man With A Mission、「シェイキンミ、ベイベー♪」のサビに合わせて踊り出してしまいそうな⑦Shakin' Me Babe、本作の中で一番TERRA NOVAに近い⑧Still Standing、前作にI Runというナンバーがあったので「曲名被りすぎ!」と思いつつサビになると「ラァァン、ラァン、ラァン、ラァァン♪」のコーラスをつい口ずさんでしまう⑫Run、美旋律がじんわり胸に沁みるピアノバラード⑭All Cried Outなどなど佳曲多数。非常に耳馴染みの良いポップなサウンドであるがゆえに劇的な盛り上がりこそありませんが、メロディの印象度は前作以上だと思います。

本作を発表後、TERRA NOVA名義で契約していたレーベルとの問題が解消されたため2005年8月にTERRA NOVAは4th「ESCAPE」で復活を果たしています。その復活作リリースに際してFredはBURRN!誌2005年9月号のインタビューで「AQUILAはモダンなポップ、TERRA NOVAは80年代のロックを目指す別バンドだ。これからは2つのバンドを並行して活動する」と語っていてましたが、B!誌2010年12月号のインタビューによると「AQUILAは…おそらく永遠にやらない方がいいだろう、っていうに結論になった」とのことなので本作がAQUILAのラストアルバムということになってしまいました。

【音源紹介】
・ごめんなさい。本作からの音源を見つけることができませんでした。

AQUILA「SAY YEAH」(2001)

  • 2010/12/02(木) 00:00:00

SAY YEAH
【No.269】
★★(2001)

1996年のデビュー以降、日本では高い評価を得ていたものの母国オランダを始めとするヨーロッパ市場では波に乗れなかったTERRA NOVA。そんな状況が影響してか、レーベルとのトラブルによりTERRA NOVAという名前で活動できなくなったためバンドは解散。その後、中心人物Fred Hendrix(Vo)がソロ活動を開始したところにGesuino Derosas(G)、Ron Hendrix(Key)といった元TERRA NOVAメンバーが合流することで誕生した新バンドAQUILAの1stアルバムです。TERRA NOVAの3作目「MAKE MY DAY」(1999)がリリースされて1年も経たないうちに発表されたTERRA NOVA解散の報せにはショックを受けました。ただ、バンド名は変われどFredとRonのHendrix兄弟、Gesuinoの3人がいればTERRA NOVAの音楽は成り立つと思っていた僕はAQUILAにTERRA NOVAの続編を求めていたのですが本作の質感はやや異なります。このアルバムで聴けるのはシンプルなアコースティックサウンドを主体としたポップロックという印象で、元々Fredのソロプロジェクトとしてスタートしたこともあって、より彼のルーツに近い作品と言えるかもしれません。

レーベルとの間に生じたビジネス的な問題を経験した後にレコーディングされた本作はTERRA NOVA時代よりもシリアスな作風となっていて、歌詞面でもこれまでよりも重いテーマを取り上げています。中にはFredいわく「コイツ、殺してやりたい!」(ライナーノーツより抜粋)という怒りの感情を歌った⑧Sometimesのような楽曲もありますが、そこはポジティブなメロディ作りの天才Fredのこと、メロディまでブルータルになるはずもなく⑧は歌詞とは対照的に本作随一の爽やかソングに仕上がっているし、アコースティック要素を強調することでより温かみが感じられる1枚となっています。①Cecelia、②Wide Openという冒頭の2曲がアコースティックギターの音色から始まるバラード調であるため掴みは弱いですが、魅力的なメロディとFredの「あの歌声」は本作でも十分も楽しめますね。アルバム後半にはTERRA NOVAに通じる⑥Everyday、⑦Here I Amや本作の中でも明るくノリノリな⑨Say Yeah、⑩The Kids Wanna Rockもあって、この辺りが僕のお気に入りナンバーです。ちなみに⑤Nothing's Impossible Nowと⑥、⑦はTERRA NOVA時代のマテリアルだとか。Fred自身「AQUILAはポップでTERRA NOVAはロック」と語っている通り、本作には③Forgive Meを除いてGesuinoのギターソロと呼べそうなソロは収録されていないし、煌びやかさやドラマティックな展開を見せるバラードもありません。TERRA NOVA以上にポップで明るいサウンドがAQUILAの持ち味だというのもわからなくはないですが、そのAQUILAらしさがTERRA NOVAから失われたものを補い切れていないのが惜しいですね。

本作の内容から少し離れますが、このAQUILAとTERRA NOVAの関係を見ているとRUBBERに対するHAREM SCAREMを連想しました。レコード会社との契約のせいでバンド名を封印せざるを得なかったTERRA NOVA、自らバンド名変更に踏み切ったHAREM SCAREMという違いこそあれ、前身バンド時代よりも万人受けしそうなライトポップ路線を目指したAQUILAとRUBBER誕生の裏側には「もっと売れたい」というミュージシャンとして当然の野心が見え隠れします(皮肉にも前身バンドを高く評価していた日本では逆効果だったわけですが…)。そういえば両バンドとも日本盤と輸入盤で曲順や収録曲が異なっていたのも各マーケットを意識した戦略だったんでしょうね。 ユーロヴィジョンでWIG WAMLORDIが話題になるようになった2005年以降、メロディックロックの復興が進んだように思いますがAQUILAやRUBBERが活動していた2000年代初頭はFAIR WARNINGが解散するなど、この手のバンドにとって厳しい状況だったように記憶しています。そんな時期に解散の憂き目にあってもめげずに、こうして音源を届けてくれたFredには拍手を送りたいですね。

【音源紹介】
・Cecelia