【CD購入録】TERRA NOVA「REINVENT YOURSELF」(2015)

  • 2015/03/26(木) 00:00:00

【CD購入録】
REINVENT YOURSELF
TERRA NOVA「REINVENT YOURSELF」(2015)

オランダが誇るメロディックロックの雄TERRA NOVAがデビュー20周年を迎える2015年に発表した6作目を買いました。2013年頃には前作「COME ALIVE」(2010)に続く新作をレコーディング中だという噂があったものの、それ以降は音沙汰がなかったので解散してしまったのかと心配していましたがライナーノーツでその事情が明らかになっています。どうやら本作の音楽性をめぐってFRONTIERS RECORDSのSerafino Pergino社長と意見が合わず、別のレーベルと契約しなくてはならなかったためアルバムリリースが当初の予定から大幅に遅れてしまったようですね…。Serafinoは解散していたTERRA NOVAを「ESCAPE」(2005)で見事に復活させた立役者なので、彼と音楽性の相違が生じたという話に不安がよぎりましたがプレイボタンを押すとおなじみのTERRA NOVAサウンドが流れてきて一安心。このバンド特有の爽やかな楽曲群のみならず、能天気なロックソング⑥Rock Armyやポコポコと軽いドラムサウンドなどマイナス面も含めて「らしい」アルバムとなっています。この内容で何故FRONTIERS RECORDSから離れる必要があったのか不思議でなりません。お気に入りは「ネバキ ネバキ〜♪」のサビ(Never keepと歌っています)が耳に残る④Promises、先行で公開されていた淡いバラード⑤Jennaですね。過去の名盤を凌駕するほどではないにせよTERRA NOVAファン、メロディックロックを好んで聴く方なら聴いて損はない1枚だと思います。

TERRA NOVA「COME ALIVE」(2010)

  • 2010/12/24(金) 00:00:00

COME ALIVE
【No.273】
★★★(2010)

1999年の解散後、AQUILA名義でリリースした2枚のアルバムを挟んで2005年に再結成作4th「ESCAPE」、2006年には初のベスト盤「BEST OF +5」(選曲は1st~3rdより)を発表したTERRA NOVAの5作目にして復活後2枚目のアルバム。本作は2008年後半の時点ではレコーディングも順調で2009年1月に発売される予定だったはずが、突然リリースが無期延期になってしまったためバンドにトラブルが発生したのかと心配していました。リーダーのFred Hendrix(Vo)によると本作の発売が延期になったのは「機材故障など想像し得る限りのあらゆることが起こったのとレーベル側の発売日設定が遅れたことが原因」だそうでFred、Gesuino Derosas(G)、Ron Hendrix(Key)というTERRA NOVAサウンドを形成するキーパーソン3人が健在なだけでなく、前作には不参加だったオリジナルドラマーLars Beuvingも復帰しています。そのせいかドラムサウンドも前作ほど軽くありません。

今回バンドはデビュー作「LIVIN' IT UP」(1996)への回帰をテーマにしていたそうで、その意図は爽やかなオープニングチューン①Come Aliveの「Fire It Up~♪」という歌い出しがデビューアルバムの1曲目Livin' It Up冒頭の「Livin It Up~♪」にソックリなところからも感じられます。それ以外にも序盤~中盤に強力な楽曲を並べ、エンディングを美しいバラードで締めるというアルバム構成も初期TERRA NOVAらしくて良いですね。ただ、ラストのバラード前に僕がこのバンドに求めていない大味なロックソングや前半と比べてメロディが弱い曲が配されているところまで似ているのはあまり嬉しくなかったりしますが…。そんなマイナス要素を帳消しにしてくれているのがアルバム前半の素晴らしさ。前述した①の勢いそのままに哀感漂うハードロック②Fighting Yourself、いかにもTERRA NOVAな「ナーナー ナーナーナーナー♪」のコーラスが耳に残る③Holy Grail、ゆったりした旋律に身を委ねたくなる④Here Comes The Nightと続く流れが発散するポジティブな空気はTERRA NOVA以外の何者でもありません。アルバムの山場はバラード⑤Those Eyesの余韻を引き継ぐリリカルなピアノから一転してアップテンポに展開していく中で奏でられる哀メロが涙を誘う⑥Under Pressureですね。そしてJOURNEYの名バラードFaithfullyを連想せずにはいられないピアノ伴奏とFredの独唱による前半、バンドサウンドと合流して曲が盛り上がる後半からなる2部構成風の⑩The Final Curtain、ボーナストラックにしておくには勿体ない佳曲⑪One September Morningというバラード2連発でエンディングを迎えます。

ただアルバムの根底に流れるのは一聴してそれとわかるTERRA NOVAサウンドながら、前作の時点でも感じられた「突き抜けるような爽快感や無邪気なまでの元気さを控えめにした方向性」は更に推し進められているようで、初期3作品に比べて良く言えば成熟した、悪く言えば地味(あくまでTERRA NOVAにしてはというレベルですが)な印象を受けます。若々しさや弾けるようなポップフィーリングを抑えた作風にどこか物足りなさを感じる面もあるので本作が最高傑作とは言えませんが、こういう落ち着いたTERRA NOVAもアリかなと思っています。またFredも年齢とともに高音で歌うのが厳しくなってきているようで、中低音域メインの歌唱となっているものの彼のような掠れ気味の声質の場合、年を重ねるにつれて独自の旨みを増しているのでこれからも楽しみですね。楽曲、歌詞、ボーカルなどでノリの良さや勢いは薄れていますが「大人なTERRA NOVA」を味わえる1枚だと思います。

【音源紹介】
・Come Alive

TERRA NOVA「BEST OF +5」(2006)

  • 2010/12/18(土) 00:00:00

BEST OF +5
【No.272】
★★★(2006)

一時解散していたものの6年振りとなる4th「ESCAPE」(2005)で再結成し、多くのメロハーファンを歓喜させたTERRA NOVA初のベストアルバム。本作には全部で17曲が収録されていて、その中の12曲がデビュー作「LIVIN' IT UP」(1996)~3rd「MAKE MY DAY」(1999)より厳選されたナンバー、5曲が2nd「BREAK AWAY」(1998)制作時にレコーディングした未発表曲という構成です。ポップでキャッチー、超爽やかな楽曲の数々を歌い上げるFred Hendrix(Vo)のハスキーでエモーショナルな歌声と演奏パートのハイライトとなるGesuino Derosasのギター(本作の収録曲では④と⑦のソロが特に好きです)、各曲を華麗に彩るRon Hendrix(Key)というTERRA NOVAの旨みがギッシリ詰まった1枚です。

【トラックリストと収録アルバム】
01. I Wanna Know(未発表曲)
02. Break Away(2nd「BREAK AWAY」)
03. Livin' It Up(1st「LIVIN' IT UP」)
04. Love Sick(3rd「MAKE MY DAY」)
05. Not Here With Me(2nd「BREAK AWAY」)
06. Hey Babe(1st「LIVIN' IT UP」)
07. Right Now(2nd「BREAK AWAY」)
08. Once Bitten Twice Shy(1st「LIVIN' IT UP」)
09. How(3rd「MAKE MY DAY」)
10. Make My Day(3rd「MAKE MY DAY」)
11. Holding On(2nd「BREAK AWAY」)
12. Eye To Eye(3rd「MAKE MY DAY」)
13. Love Of My Life(1st「LIVIN' IT UP」)
14. Against The Wind(未発表曲)
15. Reminiscing(未発表曲)
16. I'm The One(未発表曲)
17. Holy Water(未発表曲)

既発の12曲に関しては3枚のアルバムからバランス良く選ばれているだけでなく、それぞれのオープニングナンバーを贅沢に並べた②~④、オリジナル作品ではアルバム中盤に配されていた「これぞTERRA NOVA!」な⑦と⑧を連続させている辺りがかなり強力。またバラードについても3枚全てから選曲しており、失恋ソングの⑤、自ら恋人に別れを告げることの辛さを歌った⑨、真っ直ぐな王道ラブバラード⑬をチョイスしていて、「爽」と「哀」というバンドの2枚看板をたっぷり堪能させてくれますね。基本的にTERRA NOVAのバラードにハズレはないと思っているので、どれが入っても納得できるのですが上記の通り歌詞のテーマを重複させることなく選んでいたり、デビュー作のラストを見事に飾った名バラード⑬をベストアルバムの部のラストに持ってきたりするなど選曲、曲順の両面でツボを押さえていると思います。僕としてはデビュー作でTERRA NOVA史の幕開けを爽やかに告げた「Whoo, Let's rock the night away~♪」のコーラスからスタートする③をオープニングにして欲しかった、バンドの楽曲の中で一番思い入れの強い珠玉のバラードOnly For Youも入れて欲しかったなど細かい要望もありますが、これはあくまで個人的な希望なので客観的に見ればTERRA NOVAを知るには最適と言える12曲でしょう。「個々の楽曲は素晴らしいのにアルバム後半はやや息切れ気味」という僕がバンドの初期3作品に対して抱いていた数少ないマイナスイメージも、本作では感じられません(ベスト盤なので当然といえば当然ですが)。

そして3枚のオリジナル作品を持っている僕としては未発表曲に注目していたのですが、この5曲については良い曲だとは思うけれどTERRA NOVAとしてはアウトテイクレベルかなぁというのが正直なところです。その中で印象に残ったのはTERRA NOVAのレパートリーの中でもかなりハードな部類に入る①でしょうか。ただ、この曲はTERRA NOVAの本道からは外れ気味だし、ベスト盤のオープニングを飾るほどのインパクトはないと思うので他の4曲と同じくアルバム後半に並べて欲しかったかな。ファン心理としては、本作未収録の佳曲がこのバンドにはまだあると思うので純粋なベストアルバムとして17曲くらいを収録したDisc-1、「LOVE OF MY LIFE」と「MAKE MY DAY」という2枚のシングルにのみ入っていた曲と今回の5曲を合わせた未発表曲集のDesc-2という2枚組でリリースしてくれれば最高という感じですね。というわけで、これまでTERRA NOVAを応援してきた身としては若干の物足りなさもありますが、もし僕が「ESCAPE」でこのバンドを知ったのであれば大満足したであろう作品です。

【音源紹介】
・Love Of My Life

TERRA NOVA「ESCAPE」(2005)

  • 2010/12/13(月) 00:00:00

ESCAPE.jpg
【No.271】
★★★(2005)

TERRA NOVA解散後に結成したAQUILA名義で2001年、2004年とコンスタントに2枚のアルバムをリリースしていたのでFred Hendrix(Vo)は今後AQUILAとして活動していくのかと思っていた2004年後半に「TERRA NOVA復活!」のニュースが飛び込んで来ました。BURRN!誌2005年9月号に掲載されていたFredのインタビュー記事によると、この復活劇はバンド側が言い出したことではなくFRONTIERS RECORDSの社長Serafino Perginoが仕掛け人だったようです。後にSerafinoはメロディックロックファンを歓喜させるバンド/プロジェクト(ALLEN-LANDE、PLACE VENDOME、W.E.Tなど)を次々と世に送り出していますがTERRA NOVA復活にも関わっていたとは…。この人には本当に感謝してもしきれませんね。元々、TERRA NOVA解散劇には地元オランダのレーベルとの契約のもつれが関係していて、TERRA NOVAの名前で活動することができなくなったためFredはソロから発展した別バンドAQUILAで活動する道を選んだようですが、オランダのレーベルとの契約が満了した後でSerafinoからFredにTERRA NOVA復活を持ちかけたそうです。

そういうわけで晴れてTERRA NOVAとして再始動することができるようになったバンドの4thアルバムは良い意味で不変のTERRA NOVAサウンドが貫かれています。AQUILA名義での2作品も好きですがTERRA NOVAを越えるアルバムとまではいかなかったので「Fredのメロディセンスが枯渇してきたのでは…」という一抹の不安もありましたが、いかにも「らしい」オープニングトラック①Long Live Rock'N'Roll~②Rock Bottomを聴いた瞬間にそんな気持ちは吹っ飛びました。やはりAQUILAとTERRA NOVAは似て非なる音楽を聴かせるバンドだったんだと実感。そんなロックチューン2連発の後はポップな本編を叙情的な歌メロが冴えるイントロとアウトロが挟むという一風変わった構成の③Hold The Line、デビュー時に完成していたというセンチメンタルなバラード④Heaven KnowsRon Hendrix(Key)の煌めくキーボードがバンド持ち前の明るさを強調し、ソロパートではRonとGesuino Derosas(G)の掛け合いもフィーチュアしたタイトル曲⑤Escapeという流れも素晴らしいです。またこのバンドの作品に欠かせないキラーバラードも前述の④とFredの奥様に捧げられたラブソング⑦You Are The Oneの2曲が収録されていて、きっちり泣かせてくれます。本編ラストのバラード⑫Yesterdayもメロディの魅力こそ上記2曲に一歩譲りますが、幻想的なサウンドがアルバムの締めとしてグッド。その他には優しげなメロディと重厚なハーモニーが味わえる⑧Sole Survivor、心温まるサビメロが秀逸なAOR風⑨Lonely Is The Night、「音楽に古いも新しいもない。俺達は80年代のロックが大好きなんだ!」というバンドの精神性を曲名と歌詞に凝縮した80年代讃歌⑩Back In The Eightiesなども好きですね。

FredとRonの Hendrix兄弟とGesuinoが正式メンバーでリズム隊はサポートメンバーという編成ながら、この3人が揃えばTERRA NOVAサウンドが完成されることを本作で証明してくれています。各曲に息づく良質なメロディと爽やかなコーラス、そして楽曲を鮮やかに彩るギターとキーボードなど、どこを見ても6年間のブランクを感じさせない充実作ですね。気になった点を挙げるとすればドラムサウンドに迫力がないため楽曲自体が軽く聴こえてしまうことと、前半に比べて後半の楽曲がやや弱く感じられることでしょうか。特にドラムの軽さはアップテンポの曲では楽曲のキレを鈍らせ、バラードでは感情移入を妨げている場面があるように思えるのが残念。とはいえ、全体的な印象としては過去3作品の集大成と言える内容で、バンド復活を宣言するには十分なインパクトを備えた1枚だと思います。

【音源紹介】
・Long Live Rock'N'Roll

TERRA NOVA「MAKE MY DAY」(1999)

  • 2010/11/25(木) 00:00:00

MAKE MY DAY.jpg
【No.268】
★★★★(1999)
年間ベスト1999年第7位

「LIVIN' IT UP」(1996)と「BREAK AWAY」(1997)という2枚のアルバムを聴いて、僕の中ではロビー様ことROBBY VALENTINEに替わってオランダを代表するバンドになり、今後のメロハー界を担う存在として期待を寄せるバンドとなったTERRA NOVAの3作目。結論から言うと、今回も期待を裏切らない作品をリリースしてくれました。過去のアルバムは素晴らしいメロディを有していたのは事実ながら、作品のフォーマットが似通っていたので今後は楽曲の類型化という課題とどう向き合っていくのか少し気になっていましたが、本作はTERRA NOVAらしいナンバーを中心としつつ楽曲の幅を広げた意欲作に仕上がっています。

オープニングにはインパクトのあるロックソングを配するというTERRA NOVAの伝統は今回も健在です。開始3秒で僕を魅了してくれる①Lovesickは疾走感と哀愁が同居したメロディと中盤のドラムソロからセンス良くまとめられたギターソロへ至るインストパートカッコいいし、TERRA NOVA史上1、2を争うキャッチーなメロディをホーンセクションが更に盛り上げる楽しさ満点のロックチューン②Make My Dayも含めてアルバムの掴みとしては完璧。その後のスカッと晴れやかな③Eye To Eye、王道を行くバラード④Here's To Youまでは従来路線ですが、それ以降の楽曲にバンドの新たな側面が登場します。これまでもインスト的な曲はありましたが独立したインストとしては初となる⑤Anomaly(ギタリストGesuino Derosas作)やRon Hendrix(Key)のアコーディオン演奏をフィーチュアして「ズンチャッチャ、ズンチャッチャ♪」とワルツ風に進行する⑩I Will Be Thereは新たな試みとして面白いし、その他にもTERRA NOVA流カントリーソング⑦I Can't Wait、スペイシーなキーボード主体の⑧Nothingなどマンネリを打破しようという姿勢が窺えます。ただ⑨Where I Stand冒頭のギターは「BREAK AWAY」の2曲目Those Were The Daysに酷似していたりしますが…。

また従来と異なるアプローチは歌詞面にも見られます。基本的には「恋愛」「青春」「ロックンロール」といったキーワードを連想させる世界観なのですが⑩ではメルヘンチックな曲調に合わせてかDragon という単語が使われているほか、エンディング曲⑫Howもバラードといえば「愛する人への気持ちを歌にしたラブソング」であったり「失恋ソング」であったりするのが一般的なところを、この曲は恋人に自分から別れを告げる際の辛さがテーマとなっており、僕はこういうテーマをここまでストレートに歌ったバラードにはお目にかかったことがありません。楽曲 、歌詞の両面で新たな試みを取り入れたTERRA NOVAですが、⑨や⑪Promise You Waitのようなこのバンドらしい爽やかなロックソング、ベタなんだけどそこが魅力のバラード④、⑫もしっかり収録されているので過去2作同様の爽快感が味わえる1枚です。これだけ素晴らしい作品を残しておきながらバンドはレーベルとのゴタゴタもあって1999年に解散してしまったため、Fred Hendrix(Vo)はTERRA NOVAの遺志を継ぐ存在としてAQUILAを立ち上げることとなります。

【音源紹介】
・Lovesick

TERRA NOVA「BREAK AWAY」(1997)

  • 2010/11/20(土) 00:00:00

TERRA_NOVA_B AWAY
【No.267】
★★★★(1997)
年間ベスト1997年第9位

その煌めくようなサウンドイメージと1stアルバム「LIVIN' IT UP」(1996)のインパクトから「彗星の如くデビューした」という表現がピッタリのオランダ産メロディアス・ハードロックバンドTERRA NOVAが僅か1年のスパンで放った2ndアルバム。今回も前作同様、爽やかなジャケットとリンクする清涼感と透明感に満ちた爽やかな楽曲が目白押しの作品となっています。アルバムタイトルを冠する元気なロックソングで幕を開け、明るさの中に時折仄かな哀愁を感じさせる充実の楽曲群がズラリと並ぶ序盤~中盤、後半に若干テンションが下がるもののラストを美しいバラードで締めくくるというアルバム構成、メロディの質の高さともに前作に勝るとも劣らない充実盤ですね。2枚目のジンクスなど、どこ吹く風という感じです。

まずは何と言っても①Break Awayが素晴らしい。軽快なドラムの後に入って来るキーボードサウンドを聴いた開始10秒で「TERRA NOVAだ!」と確信させ、「ブレイカウェ~ェ~、ヘ~エ♪」の涼しげなコーラスとともに駆け抜けていく①が終わったかと思うと、カラッとしたロックソングを基調にしながらサビでは哀メロが顔を覗かせる②Those Were The Days、アコギとピアノそしてバックではオルガンが曲を盛り立てるアップテンポ③Wasting Timeの3連発でいきなり畳み掛けてきます。そんなバンドの勢いはミディアムテンポのロック④City Lights/Nocturnal Silence以降も止まることを知りません。この④は曲名にもあるように2部構成となっていて4:00過ぎからの1分半はRon Hendrix(Key)の独壇場となるインストです。そんなNocturnal Silenceの余韻に浸っているところに続くのが感動的なバラード⑤Only For Youで、優しいピアノの調べで始まりダイナミックなサビで大きく盛り上がって再びピアノでしっとり終わるこの曲は僕の結婚披露宴でも使わせていただいた想い出深い1曲だったりします(この曲を含む結婚式ソングの記事はこちら)。TERRA NOVAらしさに満ちた中盤のハイライト⑥Right Now以降も陽気なキャッチーロック⑦I Keep On Dreaming、爽やかなハーモニーが印象的な⑧Holding Onと強力なナンバーが続きます。またTERRA NOVAにしては異色のハードロック⑪Real Thingもカッコよく、曲終盤にはベースソロを合図に疾走パートへなだれ込むという展開も面白い。ラストはお約束のバラード⑫Not Here With Me。どこか演歌に通じる雰囲気も感じさせるこの曲を含め、TERRA NOVAのバラードにハズレなしですね。

前作との違いを挙げるとすれば、Ron Hendrix(Key)の操る音色にオルガン風のサウンドが多くなったことで従来の透明感に加えてロックっぽいダイナミズムがより感じられることと、ライブを意識してか一緒に歌えそうなパートが増えたことでしょうか(前述の④、⑪や⑩Two Days Of Heaven's Paradiseなど)。特に④はスタジオ盤なのにFred Hendrix(Vo)が「Come On Sing」と煽っていることもあって、つい「ナーナーナーナナーナナー♪」と歌ってしまいます。それにしてもバンドの中心人物Fredは前作以上に歌の上手さ、表現力が増したのではないでしょうか。単語に情感をたっぷり込めて歌う彼のボーカルには同性ながらうっとりしてしまうこともしばしば。最初に書いたように楽曲の雰囲気やアルバムの作り的にはデビュー作と似ているため新鮮味こそありませんが、作品のクオリティは非常に高い1枚だと思います。

【音源紹介】
・Break Away

TERRA NOVA「LIVIN' IT UP」(1996)

  • 2010/11/15(月) 00:00:00

LIVIN IT UP
【No.266】
★★★★(1996)
年間ベスト1996年第3位

ドイツ、スウェーデン、フィンランドといったHR/HM大国に比べると数は少ないもののVANDENBERG、ELEGY、ROBBY VALENTINE、VALENSIAなど注目すべきバンドを輩出してきたオランダから突如として現れたハードポップバンドTERRA NOVAのデビュー作。このバンドの音楽性はFAIR WARNING、デビュー当時のHAREM SCAREMなどと同系統のメロディアスハードですがTERRA NOVA最大の武器は楽曲が発散する「突き抜けるような爽快感」でしょう。この点においてTERRA NOVAの右に出るバンドはいないと言っても過言ではないと思います。それでいてバラードでは一転して胸を締め付ける哀メロを聴かせてくれるのですから堪りません。

逆再生ボイスから繋がる分厚いハーモニーに続き、適度なヘヴィさで刻まれるギターにキラキラキーボードが絡むイントロで勝負ありの①Livin' It Upを聴いた時点で本作のジャケットに通じる清く爽やかなTERRA NOVAワールドに引き込まれます。そんなデビューアルバムの幕開けに相応しくバンドの魅力がぎっしり詰まった名曲①のアウトロを引き継いで始まる曲名そのままの間奏的インスト小曲②Interludeを挟み、ヴァースとブリッジは切なく聴かせておいてサビではパッと明るくなる③Hey Babeに至るという流れには心を奪われました。元気いっぱいの①とサビまではメロウな③が続いていたら違和感があるところを約30秒の②が見事な橋渡し役を果たしています。ただ良い曲を並べるだけでなく、こうした捻りの効いた構成で聴かせるセンスに脱帽。たかが30秒、されど30秒ですね。そんなバンドのセンスの良さは曲順やアルバム構成にも活かされていて、アコースティックギターとオルガンが温かさを演出するほのぼの系④If Dreams Are Forever、ひたすらポップで楽しげな⑤Come Onとポジティブな空気に満ちた2曲、切ないひと夏の恋を歌った名バラード⑥SummernightsVAN HALENJumpを彷彿とさせるシンセでスタートするTERRA NOVA節全開の爽快チューン⑦Once Bitten, Twice Shyまでは曲の良さもさることながら、不思議とこの順番で聴くべきだと思えてくるんですよね。8曲目以降は少し弱いかなと思う楽曲もありますが、エンディングを珠玉のバラード⑩Love Of My Lifeで感動的に締めてくれているので聴後感は良好です。

全ての楽曲を手がけるFred Hendrix(Vo)は作曲能力の高さだけでなくシンガーとしても力量十分で、彼独特のハスキーボイスとバンドの爽やかな楽曲は相性抜群ですね。そしてGesuino Derosas(G)のギタープレイはポップになりがちなTERRA NOVAサウンドにロックバンドらしさと華やかさを添えているし、瑞々しいTERRA NOVAサウンドの鍵を握るFredの実弟Ron Hendrix(Key)の煌びやかなキーボードが優れた楽曲群の魅力を増幅させてくれています。このバンドの初期3作品はどれも甲乙付け難い名盤だと思うし、とにかく聴く者に元気を与えてくれるバンドなので普段はHR/HMを聴かないという人にも(というか、そういう人にこそ?)自信を持ってお薦めしたいアルバムですね。

【音源紹介】
・Summernights

【CD購入録】TERRA NOVA「COME ALIVE」(2010)

  • 2010/08/26(木) 00:00:00

【CD購入録】
COME ALIVE
TERRA NOVA「COME ALIVE」(2010)

当初は2009年1月にリリースされる予定だったのに、発売が無期限延期になってしまっていたオランダのハードポップバンドTERRA NOVAの5作目を買いました。新作に関する情報がプッツリ途絶えた時はバンドにトラブルがあったのかと心配していたので、こうして無事にアルバムをリリースしてくれたことがまずは嬉しいですね。中身の方も「これぞTERRA NOVA!」なスカッと爽やかメロハーサウンドなので安心して聴くことができます。今回バンドは原点回帰、中でもデビュー作「LIVIN' IT UP」(1996)を意識してレコーディングしていたそうで、確かにオープニングチューン①Come Aliveの「Fire It Up~♪」という歌い出しはデビューアルバムの1曲目Livin' It Up冒頭の「Livin It Up~♪」にソックリですね(イントロも含めて)。現在のお気に入りはヴァース、ブリッジのメロディがツボなハードロック②Fighting Yourself、TERRA NOVAらしいバラード⑤Those Eyesの余韻を引き継いでしっとりしたピアノで始まり中盤はLAST AUTUMN'S DREAMばりの哀愁を発散する⑥Under Pressureです。また日本盤ボーナスの⑪One September Morningもなかなか優れたバラードだと思います。爽快なTERRA NOVAサウンドに一点の曇りもなし!ですね。