MASTERPLAN「TIME TO BE KING」(2010)

  • 2010/08/30(月) 00:00:00

TIME TO BE KING
【No.253】
★★(2010)

音楽性の相違や人間関係のもつれが原因でJorn Lande(Vo/ALLEN-LANDE)Uli Kusch(Ds/BEAUTIFUL SIN etc、ex-HELLOWEEN etc)が脱退してしまうという危機に直面しながらもリーダーRoland Grapow(G/ ex-HELLOWEEN)がバンドを立て直し3rd「MKⅡ」(2007)を何とかリリースしたMASTERPLANでしたが、現代メタルシーン屈指の実力派シンガーJornの離脱はRolandのモチベーションを著しく下げてしまったようで前作のツアー終了後に2代目シンガーMike DiMeo(Vo/ex-RIOT)も脱退してしまい、一時期バンドは活動停止状態だったようです。そんな不安定状態だったMASTERPLANにJornが2009年に復帰したことでバンドは再び活力を取り戻して完成させたのが通算4作目となる本作です。かつてJornは「(典型的メロパワの代名詞といえる)ハイトーンボイスを多用することは自らのシンガー寿命を短くしてしまう」と主張して一部の楽曲のキーを下げさせたこともあったとRolandがインタビューで語っていたこともあり、Jornが参加しなかった前作がバンドの中でもメロパワ色の濃い作風となったことに妙に納得していたので、彼がバンドに戻ると聞いてメロパワ的要素は減るだろうと思っていたのですが、実際に本作はメロパワとは距離を置いた重厚感のあるHR/HMアルバムとなっていますね。

デビュー作と2ndアルバムでもそうでしたが、今回はこれまで以上にJornの圧倒的なボーカルを軸とした作風となっていて、各曲からはアルバムタイトル通りの威厳や風格が感じられます。そんなJornのボーカルパフォーマンスに負けじとインスト陣もパワフルな演奏をしていて、これまで以上に前に出ることで存在感を増したRolandのギター、前作では控えめに感じられた豪腕Mike Terrana(Ds/ex-RAGE etc)のヘヴィなドラミング、MASTERPLANの世界観には欠かせない存在となったAxel Mckenrott(Key)の彩り豊かなキーボード/ストリングスサウンドなど、音を隙間なく詰め込んだ濃密で分厚い音像となっています。JornとMikeというメタルシーンきっての渡り鳥系実力者が同時に在籍していることもあってメンバーの豪華さ、バンドとしての一体感も過去最高でボーカルとインストパートががっちり噛み合うことで生み出されるMASTERPLAN流のドラマティックなヘヴィメタルのひとつの到達点が本作と言えるのかもしれません。

その一方で、これまでの魅力のひとつだった(そして僕が最も惹かれていた)キャッチーなメロディと共に駆け抜ける疾走曲は激減しているため即効性は低くなっていますね。パワフルにアルバムの幕開けを告げる①Fiddle Of Time、先行シングルにもなったキャッチー佳曲③Far From The End Of The World、煌びやかなキーボードとJornの「ブルゥ~ウ、エウロォパァァ~♪」というサビの歌い回しがカッコいいメロディアスチューン⑨Blue Europa以外は基本的にどっしりと腰を据えたミドルチューンが続きます。僕はMASTERPLANというバンドにHELLOWEENの遺伝子を受け継いだメロパワサウンドとJornがもたらすブルージーテイストの融合を期待していたので、聴かせるタイプの楽曲を中心とした本作の音楽性には素直に喜べなかったりします。個々のメロディが耳に残るというよりも、楽曲そのものが醸し出す凄みを堪能する1枚という感じなので聴き込むにつれて味が出てくる作品ではありますが、日本盤ボーナス⑪Never Walk Aloneのようなわかりやすい歌メロがもう少し欲しいところですね。Jorn復帰のいきさつを思い起こしつつ前作と本作を聴き比べてみるとRolandが本当にやりたいのは3rdのようなメロパワ寄りの音楽だけど、Jornをバンドに引き留めるために本作が渋めの方向性になったのでは…という穿った見方をしてしまうのも事実だったりします。

【音源紹介】
・Far From The End Of The World

MASTERPLAN「MKⅡ」(2007)

  • 2010/08/24(火) 00:00:00

MASTERPLAN MK2
【No.252】
★★★(2007)

バンドの顔と言うべき存在だったJorn Lande(Vo/ALLEN-LANDE、ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)に続き、Roland Grapow(G/ex-HELLOWEEN)と共にバンドを創設したUli Kusch(Ds/RIDE THE SKY、BEAUTIFUL SIN、ex-HELLOWEEN、GAMMA RAY etc)までもが脱退してしまったMASTERPLANが後任にMike DiMeo(Vo/ex-RIOT)Mike Terrana(Ds/ex-RAGE etc)という2人のMikeを迎えてリリース3rdアルバム。渡り鳥シンガーJornの脱退には「やっぱり…」という気持ちがありましたが、Uliまで離脱してしまうとは意外でした。

前作はやや落ち着いたベテランらしいアルバムである反面、地味な印象もあったのに対して本作は今のバンドの姿を表しているかのようなタイトルがつけられたイントロ①Phoenix Risingから疾走曲②Warriors Cryに繋がるという定型フォーマットに則っていることもあってメロパワ寄りの作風と言えそうですが、それほどスピードチューンに依存するのではなく前作で開眼した感のある③Lost And Gone、⑥I'm Gonna Win、⑪Enemyといったミッドテンポも充実していて過去2作の路線を継承した内容に仕上がっています。上に挙げた4曲や爽やかな中に仄かな哀愁が漂う④Keeps Me Burningなどがお気に入りなのですが、本作最大のハイライトはUliが脱退前に残したマテリアルをRolandが仕上げた⑩Masterplanですね。「マァス!タァ!プラァン!」というシンガロングを誘う強力なサビを持つこのパワフルチューンはバンド名を冠するに相応しいアンセムだと思います。

名シンガーJornとソングライティングでも貢献していたUli脱退のニュースを聞いた時は、今後MASTERPLANとしてやっていけるのか心配になりましたが、楽曲面ではメンバーチェンジの痛手は予想したほど大きくはないような気がします。ドラマーに関してはUliよりもMike Terranaの方が好きですしね。一方のシンガーについてはMike DiMeoも踏ん張っているものの、やはりJornの存在の大きさを感じさせられる場面もしばしば。特にじっくり聴かせるナンバーでは「これをJornが歌っていたら…」と思ってしまうこともあります。Jornの後釜としてMike DiMeoがどのようにバンドに溶け込んでいくのかと思っていたら2009年にJornが復帰し、次の4thアルバム「TIME TO BE KING」はシンガーにJorn Landeを据えたラインナップでリリースしています。

【音源紹介】
・Masterplan

MASTERPLAN「AERONAUTICS」(2005)

  • 2010/08/19(木) 00:00:00

MASTERPLAN AERONAUTICS
【No.251】
★★★(2005)

2003年にリリースしたデビュー作が同時期のHELLOWEEN以上に僕好みだったHELLOWEEN脱退組のRoland Grapow(G)Uli Kusch(Ds)によるMASTERPLANの2ndアルバム。これまでひとつのバンドに留まることの少なかったJorn Lande(Vo/ ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)がフロントマンということもあり、このMASTERPLANも単発プロジェクトで終わるかと思いましたが、前作から2年という間隔で2作目を無事リリースしてくれたことが嬉しかったですね。前作の時点で既にHELLOWEENとは異なる方向性を示してはいましたが、本作では更に典型的なメロパワから距離を置いたアダルトなパワーメタルという趣きです。

ジャケットイメージとリンクするサイレンのSEで始まるオープニングトラック①Crimson Rider、本作の中では浮いているように思えるほどキーパいジャーマンメタル③Wounds、緊迫感に満ちた⑧Into The Arena、流れるようなメロディに耳を奪われる⑩Falling Sparrowと、要所にスピードチューンを配しながらも全体的に疾走感は抑えめでどっしりと腰を据えた作品となっており、特にミドルチューン②Back For My Life④I'm Not Afraidは出色の出来ですね。こういう路線こそがMASTERPLANの特徴であり、強みであるような気がします。中盤以降はJornの歌に救われている楽曲があるような気もしますが、ドラマティックに展開する10分弱の大作⑪Black In The Burnがアルバム後半の山場を作ってくれています。

欧州メロディックメタル勢の中でも、スピードに頼らずベテランならではの大人びた楽曲を抜群に上手いシンガーが歌うことで完成されるMASTERPLANサウンドが本作で確立されたという感じですね。個人的には派手にハジけた曲や哀メロナンバーがもう少し欲しい気もしますがマイナス要素は見当たらない作品だと思うし、メロディックメタル寄りの楽曲を歌うJornを聴きたい時に手が伸びる1枚です。

【音源紹介】
・Back For My Life

MASTERPLAN「MASTERPLAN」(2003)

  • 2010/08/14(土) 00:00:00

MASTERPLAN.jpg
【No.250】
★★★(2003)

元々はRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)Janne Wirman(Key/CHILDREN OF BODOM)といった豪華メンバーがRoland Grapow(G)のプロジェクトにゲスト参加する予定だったのですが、RolandとUli Kusch(Ds)HELLOWEENを解雇されたため正式なバンドとして始動することになったMASTERPLANのデビュー作。正式バンドとして活動するからにはパーマネントなメンバーが必要だということでRussellやJanneの参加は見送られたようです(Janneはゲストとして本作で演奏したそうですが)。Russellに代わりフロントマンを務めるのは、これまでに数多くのバンドを渡り歩いた実力派職人シンガーJorn Lande(Vo/ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)で、渡り鳥Jornも遂に定住の地を見つけたかと本作リリース時には話題になりました。元HELLOWEENのメンバーによる新バンドということもあり本家との比較は避けられないMASTERPLANですが、本作に関して言えばRolandとUli在籍時HELLOWEENの最終作「THE DARK RIDE」(2000)や新体制による1枚目「RABBIT DON'T COME EASY」(2003)よりも好きかもしれません。

元HELLOWEENのメンバーとJorn Landeが合体ということだけでも注目に値するのに、本作にはJornがMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)とデュエットした④Heroesという目玉ソングが収録されています。その④はいかにもキーパー風なHELLOWEENチューンで「あざとさ」も感じますが、この2人の共演の前ではそんなことはどうでもよくなってしまいますね。そして僕にとって嬉しい驚きだったのは、MASTERPLANがそんな話題性だけでなくバンドとしての魅力をしっかり備えているという点です。前述の④を筆頭に、爽やかな空気を発散しながら疾走する①Spirit Never DieやHELLOWEENのWhere The Rain Grows(「THE MASTER OF THE RINGS」収録)っぽさもある⑩Sail Onでメロパワファンの要求を満たす一方で、Jornの存在感ある歌唱力が物を言うパワーバラード⑤Into The Light、哀愁のハードロック⑥Through Thick And Thin、ブルージーテイストも感じさせる⑨The Kid Rocks Onなど、メロディックメタルの枠に収まらない楽曲も良いですね。

バンドの中心人物であるUliとRolandに関して、Uliの楽曲はHELLOWEEN時代から好きだったのですがRolandのソロ作やHELLOWEEN時代の曲を聴く限りThe ChanceThe Dark Rideといった一部の楽曲を除き、心ときめくものがなかったので期待していませんでした。ところが本作を聴いているとHELLOWEENでは活かしきれなかったRolandのハードロックテイストはMASTERPLANならではの持ち味なのかもしれないと思えてきます。そして本作最大の功労者は胸を熱くしてくれるシャウトからソウルフルなディープボイスまでを駆使して歌い上げるJornでしょう。上に挙げたお気に入り曲は勿論、やや弱いかなと思える楽曲までも彼が歌うことでワンランク上のレベルに聴こえてきます。ちなみに本作は僕が持っている日本盤(⑥、⑨がボーナストラック)と輸入盤では収録曲と曲順が異なっていて、ヨーロッパでのシングルEnlighten Meなる曲は日本盤未収録となっています。

【音源紹介】
・Heroes

【CD購入録】MASTERPLAN「TIME TO BE KING」(2010)

  • 2010/05/20(木) 00:00:00

【CD購入録】
TIME TO BE KING
MASTERPLAN「TIME TO BE KING」(2010)

2nd「AERONAUTICS」(2005)リリース後に脱退したJorn Lande(Vo/ALLEN-LANDE)が復帰を果たしたMASTERPLANの4作目を買いました。Mike DiMeo(Vo/ex-RIOT)が歌った前作も悪くなかったものの、やはりこのバンドはJornあってこそ!という印象ですね。僕の好きなメロパワ的要素は希薄ながら、圧倒的な存在感を誇るボーカルを主軸とした堂々たるHR/HM作品です。また今回は前作から加入したMike Terrana(Ds/ex-RAGE etc)が引き続き参加していて、JornとMikeという2人の渡り鳥系実力派プレイヤーを同時に在籍させることに成功したRoland Grapow(G/ex-HELLOWEEN)に拍手を送りたいですね。デビュー作のような派手さや勢いは感じられませんが、ベテランの域に達したメンバー揃いのバンドらしく成熟した旨味がこれから出てきそうな予感がしています。