ARMAGEDDON「THREE」(2002)

  • 2010/07/17(土) 00:00:00

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【No.246】
★★(2002)

Christopher Amott(G/ARCH ENEMY)のソロプロジェクトARMAGEDDONの3作目。デビュー作はメロデス、2作目は正統派メタルと作品毎に音楽性の違うアルバムをリリースしてきたCristopherが今回は70~80年代風ハードロックに挑戦しています。しかもリードボーカルはChristopher自身が兼任していて特筆すべき上手さはないものの、その素直な歌声は独特の味わいがあって楽曲にマッチしています。以前にMichael Amott(G/ARCH ENEMY)が「弟のChristopherは天才肌」とコメントしていたのを読んだことがありますが、ギターのみならずボーカルまでこなしてしまう彼の豊かな才能を再認識しました。ちなみに本作からボーカル兼ギターのChristopherとリズム隊2人(EUCHARISTというバンドにいたベーシストTobias GustafssonARCH ENEMYの僚友Daniel Erlandsson)というトリオ編成になっています。

リードギターに関してはやはり1stと比べるとフィーチュア度が低めなのが残念ですが、バラード⑤Well Of Sadnessのエンディングで徐々に加速していくドラマティックギターなどもあり十分に魅力的です。楽曲面で見ても本作のハイライトといえそうな前述の⑤に加えて、攻撃的でメタリックなリフが押し寄せてくる②Burn The Sun、良質ハードロック③Stranglehold、ノリのいいキャッチーメタル⑦Winter Skies、ボーカルラインが耳に残る⑧Final Destinationなどメロディの印象度は前作に負けていないと思います。

ただ前作同様、これ!というキラーチューンがないために、本作も聴き終えた時の感想が「まあまあ良いね」止まりなのが惜しいかな。メロデス畑出身のDanielによるドラムは、この手のハードロックには激し過ぎるように感じるのも気になる点でしょうか。メロデス以外の音楽でChristopherのギターが聴ける嬉しさ半分、彼のギター以外にアピールする決め手に欠けるもどかしさ半分という1枚ですね。本業ARCH ENEMYと異なるジャンルを楽しめる理想的なサイドプロジェクトに思えたARMAGEDDONでしたが本作を最後に消滅してしまっていて、Christopher自身「もう2度とARMAGEDDON名義で活動することはない」と公言しているようです。事実、2010年5月にリリースしたソロ作品もARMAGEDDONではなくChristopher Amott名義となっています。

【音源紹介】
・Well Of Sadness

ARMAGEDDON「EMBRACE THE MYSTERY」(2000)

  • 2010/07/10(土) 00:00:00

EMBRACE THE MYSTERY
【No.245】
★★★(2002)

ARCH ENEMYの中心人物Amott兄弟といえば、Michael Schenker(G/ex-U.F.O etc)ばりの泣きのフレーズを得意とする兄Michael Amott(G)Yngwie Malmsteen(G)を連想させる速弾きスタイルの弟Christopher Amott(G)というイメージがありましたが前作「CROSSING THE RUBICON」(1997)で、泣きのギターにおいても兄に肉薄する実力の持ち主であることを証明してみせたChristopherのソロプロジェクトARMAGEDDONの第2弾アルバム。メロデスタイプだったデビュー盤からガラリと雰囲気を変え、本作は正統派メタルを追求した1枚となっています。この路線変更に伴い、Christopher以外のメンバーが一新されていて、本作のプロデューサーも兼任するシンガーRickard Bengtsson、後にRickardをフロントマンに据えたLAST TRIBEやテクニカル・デスメタルバンドMESHUGGAHで活躍するDick Lowgren(B)、ARCH ENEMYにも在籍するDaniel Erlandsson(Ds)の4人編成となっています。

Christopherのギターがノーマルボイスのシンガーと組んだらどうなるのか興味があったし、メロデスよりも正統派メタルの方がジャンルとしては好きなので今回の変化は個人的に歓迎です。新加入のクリーンボーカルRickardの歌唱は、やや線は細いながらも伸びやかな声をしていて悪くなく、テクニシャンDickはギターと派手なユニゾンを決めて見せ場をつくり、Danielも流石の安定感を誇るなど各プレイヤーのパフォーマンスは申し分ないと思うのですが、メロディ(歌メロ)にもう少しフックが欲しい気がします。Christopherのギターに関しても、前作のThe Juggernaut DivineAstral Adventure(The Escape)といった楽曲で僕の心に深い感動を刻み込んでくれたキラーフレーズと比べると、魅力的なプレイを広く浅く作品全体に塗してみましたという感じで彼の手から放たれる一撃必殺のギターを体験した身としては、もっと感動的な(前作のような)ギターを聴きたいというのが正直なところです。

ARCH ENEMYを活動の軸としつつ、Christopherがやりたい音楽を追求するのがARMAGEDDONだと考えれば、本家のメロデスサウンドに収まりきらない彼の音楽創作意欲のはけ口として最適なプロジェクトだと思います。スピーディーな②Broken Spell、③Blind Fury、キャッチーなメロディを聴かせる④Worlds Apart、インスト⑦Moongate Climber、叙情バラード⑩Grain Of Sandなど正統派メタルとしてのバリエーションは一通り揃っているし、Rickardのボーカルにもクセがなく聴きやすいので反面、ARCH ENEMYのような激しい攻撃性や濃厚なメロディックメタルを求めて聴くと、やや淡白だと感じるかもしれませんね。

【音源紹介】
・Blind Fury

ARMAGEDDON「CROSSING THE RUBICON」(1997)

  • 2010/07/05(月) 00:00:00

CROSSING THE RUBICON
【No.244】
★★(2002)

僕をメロディック・デスメタルに目覚めさせてくれたバンドARCH ENEMYを率いるMichael Amott(G/ex-CARCASS)の実弟Christopher Amott(G/ARCH ENEMY)のソロプロジェクトARMAGEDDONの1stアルバム。本作は僕が初めてARCH ENEMYの音に触れた2nd「STIGMATA」(1998)よりも1年早くリリースされていて、すっかりARCH ENEMYのファンになった2002年に後追いでこのアルバムを聴きました。

Christopher以外のメンバーにスウェーデンのデスメタルバンドIN THY DREAMSのシンガーJonas Nyrenを迎え、リズム隊にはMartin Bengtsson(B)、後にDARKANEを結成するPeter Wildoer(Ds)という当時のARCH ENEMYのメンバーが参加しています。作品の方向性としてはARCH ENEMYと同じくメロデスに分類できそうなスタイルでありながら、Christopherが極上のトーンで紡ぎ出すギターメロディが時には本家を凌ぐほどの素晴らしさを誇っているのが特徴ですね。中でも圧巻のエンディングに言葉を失ってしまう③The Juggernaut Divine、凄まじいギターソロがテンコ盛りの④Astral Adventure(The Escape)、リコーダーとヴァイオリンが奏でる物悲しい旋律に絡む泣きのギターが堪らないインスト⑤Funeral In Spaceの3曲がズバ抜けていて、これらの楽曲におけるChristopherのギターはARCH ENEMYでのプレイも含めて彼のベストパフォーマンスではないかと思えてくるほどです。この当時、彼はまだ若干19歳だというのだから凄い才能の持ち主ですね。

惜しむらくはアルバム後半の曲がどうにもインパクトが弱く思えてしまう点でしょうか。Christopherのギターは作品全体で冴え渡っているし、ジャズ/フュージョンの素養もあるPeterのテクニカルヒットが気持ちいいドラム主体のインスト⑦Galaxies Awayなど面白い部分はあるものの、アルバム前半の衝撃が強烈過ぎて後半は聞き流し気味になってしまうこともしばしば。とにかく③~⑤が余りに強力なので、ARCH ENEMYのギターに魅せられたという方は本作も聴いてみて欲しいですね。僕はこの3曲が聴けただけでも、CD代の元が取れたと思っています。それにしてもARCH ENEMY人気が高い日本においても、本作を含むARMAGEDDON名義の3作品全てが廃盤という事実が残念でなりません。

【音源紹介】
・The Juggernaut Divine