D.C. COOPER「D.C. COOPER」(1998)

  • 2010/04/24(土) 00:00:00

DC COOPER
【No.231】
★★(1998)

ROYAL HUNTの初代シンガーHenrik Brockmannの後任として加入し、その卓越した歌唱力でバンドのグレードを大きく向上させたアメリカ人シンガーD.C. Cooper初のソロアルバム。元々はROYAL HUNTの4th「PARADOX」のツアー終了後にバンドがオフに入る期間を利用してD.C.が念願のソロ制作に動き出していたのですが、その話を聞きつけたROYAL HUNTの頭領Andre Andersen(Key)が対抗意識を燃やして(?)D.C.より後に着手した自身のソロアルバム「CHANGING SKIN」(1998)を本作より先にリリースし、その曲名や歌詞に過去との決別を連想させる言葉や表現を用いた辺りから、どことなくキナ臭くなってきてD.C.解雇へと発展してしまったといういわくつきの1枚でもあります(あくまで僕の憶測ですが)。Andreのソロがメンバー、音楽性の両面でD.C.抜きのROYAL HUNTとも言える内容だったのに対し、本作はROYAL HUNTとの共通点を垣間見せつつも、よりオーソドックスなメロディアスHR/HM作品となっています。

D.C.がソロアルバムの作曲パートナーに選んだのはAlfred Koffler(G/PINK CREAM 69)Tore Ostby(G/ex-CONCEPTION)の2人で、バックの演奏陣もPINK CREAM 69のメンバーが全面参加、プロデュースはDennis Ward(B/PINK CREAM 69)ということもあってメンバー的にはMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)とDennisによるプロジェクトPLACE VENDOMEに近いように思いますね。これだけのメンツが揃っているだけあって一定水準以上の堅実な楽曲が並ぶ作品であると同時に、フックに満ちたメロディが印象的でコンパクトな歌ものハードロック①Dream、メタリックなスピードチューン⑤Within Yourself、⑨Take Me Inや本作のキーボードを担当するGunter Werno(Key/VANDEN PLAS)のペンによるピアノインスト⑦Chainedに導かれて始まるパワーバラード⑧Freedom(中盤のギターソロもグッド)、女性ボーカルも登場してドラマティックに展開するプログレ風大作⑫The Unionなど、バラエティもなかなか豊富です。ROYAL HUNTでは聴けないタイプの楽曲もあるので楽しめるのですが、どうにも決め手となる曲がないように思えるというのが正直な感想です。

D.C.の歌は改めて触れるまでもなく伸びやかなハイトーンから深みのある低音まで余裕を持って聴かせてくれているし、演奏もしっかりしていてプロダクションも上々なのに手堅くまとまりすぎているために面白味に欠ける…なんていうのは贅沢な話だとわかっているんですけどね。このモヤモヤ感は「ELECTRIFIED」(1998)より後にリリースされたPINK CREAM 69の作品群と似ているようにも感じます。本作収録曲のクレジットはD.C.とAlfredまたはToreによる共作となっていますが、ライナーノーツ内のD.C.による楽曲解説を見ても音楽的な部分ではなく歌詞に解説が集中しているので、楽曲の根幹はAlfredらが手がけ、D.C.は歌詞や歌メロを乗せたのかなと思ってみたり。ちなみに本作発表後D.C.はAlex Beyrodt(G/ex-SINNER)と結成したSILENT FORCEを中心に活動しているため、ソロ名義作品は現時点でこのアルバム1枚のみです。

【音源紹介】
・Dream