PRAYING MANTIS「SANCTUARY」(2009)

  • 2010/01/16(土) 00:00:00

SANCTUARY.jpg
【No.212】
★★★★(2009)
年間ベスト2009年第5位

極上の泣きメロ/哀メロを凝縮した名盤「CRY FOR THE NEW WORLD」、MANTIS節と称されるメロディセンスを遺憾なく発揮した力作「FOREVER IN TIME」といった作品を世に残しながらも、フロントマンが固定できないという課題が影響してか、活動が今ひとつ波に乗り切れない感がつきまとっていたPRAYING MANTIS。前作では遂に専任シンガーを据えることなくゲストボーカリスト2人とバンドメンバーが曲によって歌い分けるという禁じ手(?)を用いていたため、下り坂のバンドというイメージが強くなってきていました。そんな前作から6年の時を経て放たれるこの8thアルバムは、PRAYING MANTISの復活を力強く宣言する1枚となっています。従来の作品で僕を魅了してくれたバンドのトレードマークである哀愁のメロディを軸に、本作ではメロディックメタル寄りの曲やメロディアスハードに近い曲もあり、楽曲の幅が広がっているように感じられますね。

本作の中でもメタルサイドを担い、「EYE WITNESS」、「PAPER BLOOD」の頃のROYAL HUNTを彷彿とさせる①In Timeでアルバムは幕を開けます。その後の2曲でややトーンダウンしますが、高揚感あるスピードチューン④So Highで活気を取り戻してからの中盤の畳み掛けが本作のハイライトでしょう。アコースティックギターのもの悲しい旋律に始まりパワーバラードへと展開していく⑤Turn The Tide、強力なメロディのフックが僕の心を掴んで離さない⑥Touch The Rainbow、⑦Threshold Of A Dreamという名曲2連発、バンド随一のドラマティックチューン⑧Playing Godの流れは圧巻。日本盤ボーナストラック⑨Broken Chainsは蛇足気味ながら、作品のバランスを壊さない程度にポップでアメリカンな⑩Highway、これぞMANTIS節なタイトルトラック⑪Sanctuaryで締めてくれるため聴後感は良好です。

そして本作を語る上で欠かせないのが、疾走曲で伸びやかなハイトーン、バラード系では愁いあるハスキーボイスを披露してくれている新加入ボーカリストMike Freelandの存在。PRAYING MANTISの歴代シンガーを引き合いに出すなら力強さを増したColin Peel(3rd「CRY FOR THE NEW WORLD」に参加)という印象で、Goran Edman(Vo/STREET TALK etc、ex-YNGWIE MALMSTEEN etc)Bax Fehling(Vo/BAD HABIT)といった北欧系シンガーを連想させる部分もあり、このバンドには最適な人選といえそうです。20年近くバンドに在籍していたDennis Stratton(G)を含め、Troy兄弟を除くメンバーが前作リリース後に一新されていますが、この2人がいればPRAYING MANTISとして成り立つんだろうし、新加入のメンバーも早速曲作りに参加して⑦のような名曲をTroy兄弟抜きで生み出してくれているので、是非このラインナップを維持してもらいたいですね。

【音源紹介】
・Threshold Of A Dream

PRAYING MANTIS「FOREVER IN TIME」(1998)

  • 2009/08/01(土) 00:00:00

P MANTIS F IN TIME
【No.167】
★★★(1998)
年間ベスト1998年第8位

「哀愁のメロディ」という言葉から連想するバンドはいくつかありますが、その中でも僕が真っ先に思い浮かべるのは名盤「CRY FOR THE NEW WORLD」で絶品のメロディを堪能させてくれたPRAYING MANTISです。シンガーにGary Barden(Vo/ex-M.S.G etc)を迎えて制作された前作は妙にアメリカナイズされていて「らしくない要素」もあった1枚でしたが、この5thアルバムは哀メロバンドの代表格としての面目躍如たる作品に仕上がりました。

アルバム冒頭から哀愁ダダ漏れの湿り気ある旋律が舞う①Wasted Yearsを聴いた段階で「いける」と確信しましたね。中でもクサくて泣きまくりのメロディが素晴らしい③Best Years、⑦Man Behind The MaskはPRAYING MANTISらしさたっぷりの名曲です。そんなキラーチューンの他にも、ひたすらドラマティックなミドル④Blood Of An Angel、⑤Valley Of The Kings、このバンドにしては珍しくジャーマンメタルっぽいメロディ展開の⑨The Day The Sun Turned Coldなどがあり、全10曲すんなり聴きとおせます。ニューシンガーのTony O’Horaは良く言えば大きな欠点のない、悪く言えば無個性な印象はあるものの、そのマイルドな歌声自体はPRAYING MANTISの音楽性には合っていますね。⑥Changesの終盤ではなかなかいいシャウトを披露してくれてるし、叙情バラード⑧Remember My Nameを提供し、いきなりソングライティングにも参加しています。

本作は愁いのあるメロディと、それを奏でる魅惑のツインリードという強みを存分に活かした「A CRY FOR THE NEW WORLD」に通じる作風なので、メロディックなバンドが好きな方にはお薦めです。音質とアレンジにもう少しメタルらしいキレと音圧(特にドラム)があればもっと良かったんですけどね。このバンドを聴くなら「A CRY FOR THE NEW WORLD」と本作、または現時点での最新作「SANCTUARY」が入門盤には最適だと思います。

【音源紹介】
・Best Years

PRAYING MANTIS「TO THE POWER OF TEN」(1995)

  • 2009/07/30(木) 00:00:00

TO THE POWER OF TEN
【No.166】
★★(1995)

溢れんばかりの哀メロを詰め込んだ3rd「CRY FOR THE NEW WORLD」で僕を涙させてくれたPRAYING MANTISの4作目。バンドとの相性もピッタリに思えたColin Peel(Vo)は前作発表後に脱退してしまったため、本作では非凡な歌メロセンスを持ちながらも、ボーカリストとしての力量不足が指摘されることもあるGary Barden(Vo/ex-M.S.G etc)がフロントマンを務めています。本作の音楽性としてはメロディアスなMANTIS節を基本としつつ、アメリカンで能天気と言えそうな楽曲もあり、それをバラエティ豊かと捉えるか、散漫になったと感じるかで本作の評価は変わってくるように思います。僕はどちらかというと後者ですね。

前作の路線を見事に受け継いだ哀愁のハードロック①Don't Be Afraid Of The Dark④Welcome To My Hollywoodは名曲レベルだし、いかにも「らしい」ミドル②Bring On The Night、泣き泣きのバラード⑤Another Time, Another Place、キーボードが引っ張っていく曲調が新鮮なアップテンポ⑧Victory、ミニアルバムにのみ収録されていた名曲のリメイク⑨Only The Children Cryといった楽曲は僕がこのバンドに求めるサウンドで非常に満足度が高いです。一方、その間に挟まれた③Ball Of Confusion(TEMPATATIONSなるバンドのカバー曲)や⑥To The Power Of Ten、⑦Little Angelといった明るめのナンバーも悪くはないのですが、PRAYING MANTISが出すサウンドとしてはどうも違和感があるように思えます。あとはGaryのボーカルですね。ハードロック系の楽曲では声域が狭いながらも何とか歌い切っている感じですが、⑤のような歌い上げるタイプのバラードはかなりキツそう。曲が良いだけに別のボーカルで聴きたかったというのが本音です。

そんな気になる点がありつつも、ついついリピートしてしまうのはやはりメロディに求心力があるからなんでしょうね。バンドの代表作である前作、MANTISサウンド満載の5thの間に挟まれた作品であるために本作は少し地味だけど良作という印象です。PRAYING MANTISはメロディアス過ぎて、ハードロックらしいエッヂが欲しいという方にとっては、このアルバムは結構楽しめるのではないでしょうか。

【音源紹介】
・Don't Be Afraid Of The Dark

PRAYING MANTIS「CRY FOR THE NEW WORLD」(1993)

  • 2009/07/27(月) 08:00:00

P MANTIS CRY FOR THE
【No.165】
★★★★★(1996)

Chris Troy(B)Tino Troy(G)のTroy兄弟が中心となっているブリティッシュ・ハードロックバンドPRAYING MANTISの3rdアルバムにして、メロディアス・ハードロックシーンに燦然と輝く名盤。一般的な評価も非常に高い本作は、僕が求めるメロディアスハードロックの理想郷ともいえる世界が広がっていて、聴いているとこのジャケットのように一筋の涙が自然と頬を伝わるほどの感動が味わえます。

瑞々しくも哀愁をたっぷり含んだ湿り気あるメロディと、その中で躍動する流麗なツインリード、新加入ボーカリストColin Peel(Vo)の甘い歌声という要素が絡み合う極上の楽曲が詰まっているのが本作です。その中でも超名曲②A Cry For The New Worldのインパクトは絶大ですね。メタルを聴き始めて2年目の1996年にこの曲と出会い、しばらくはこの曲をひたすらリピートしてました。「泣きメロ」、「哀愁のメロディ」という僕の好きな音楽的要素の理想的な形が、この曲に集約されてるといっても過言ではないほどです。この胸を締めつけられる切ないメロディにただただ涙。その他にも躍動感溢れる①Rise Up Again、②と並ぶほどの名曲④Letting Go、感動的なバラード⑨Dream Onなど悶絶級の曲がズラリ。最後をギターインスト⑪Final Eclipseで締めるという構成も含めて文句なしです。

とにかく「メロディアス」、「哀愁のメロディ」という言葉にピンと来る人には、強くお薦めしたいアルバムです。これほどの名盤を作りながら、ボーカリストが定着せずバンドとして体制が整わないPRAYING MANTISですが、僕好みのメロディセンスを持ったバンドなのでこれからも応援していきたいですね。

【音源紹介】
・Letting Go

【CD購入録】PRAYING MANTIS「SANCTUARY」(2009)

  • 2009/07/26(日) 00:00:00

【CD購入録】
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PRAYING MANTIS「SANCTUARY」(2009)

フロントマンが固定できないという課題はあるものの、哀愁のメロディセンスは一級品の英国産メロディックロック/メタルバンドPRAYING MANTISの8作目を買いました。このバンドの作品にハズレはないと思いつつも、3rd「CRY FOR THE NEW WORLD」~5th「FOREVER IN TIME」の3枚しか持っておらず、6th以降は試聴だけで購入にまで至らなかった僕ですが、本作は最高傑作だった3rdに肉薄しそうなほどに充実したアルバムだと思います。ウェットな哀メロを聴かせる従来のスタイルを軸に、本作ではメロディックメタル寄りの①In Time、④So Highや80年代産業ロック風の⑩Highwayなど、楽曲の幅が広がっているように感じられます。①のサビはどこかJohn West(Vo)在籍時ROYAL HUNTを思い出しますね。勿論、このバンドの強みである哀メロナンバーも粒が揃っていて⑤Turn The Tide~⑧Playing Godの流れはかなりお気に入りです。新加入のボーカルMike Freelandは無名(少なくとも僕は知りませんでした)ながら、疾走曲では伸びやかなハイトーン、バラード系では愁いあるハスキーボイスを披露してくれていて、PRAYING MANTISの歴代シンガーの中でも評価の高かったColin Peel(Vo)に力強さを加えたような印象です。Chris Troy(B)、Tino Troy(G)を除いたメンバーは一新されていますが、この2人がいればPRAYING MANTISとして成り立つんだろうし、新加入のメンバーも早速曲作りに関わるなどしているので、このラインナップが維持できるのであれば今後にも期待してしまいますね。まずはこの「SANCTUARY」にドップリ浸りたいと思います。