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ALHAMBRA「THE EARNEST TRILOGY」(2016)

  • 2019/12/10(火) 00:00:00

THE EARNEST TRILOGY
【No.538】
★★★★(2018)

超絶技巧を誇る演奏陣と世良 純子嬢(Vo)による圧巻のボーカルがせめぎ合う国産シンフォニック・プログレHR/HMバンドの最高峰ALHAMBRAの5th。ただし本作を5枚目のフルレンスアルバムと呼べるかと言うと微妙で、その実態は3rd「SOLITUDE」(2010)収録の8曲中6曲をリレコーディングし、新曲としてインストとボーカル曲を2曲ずつ追加した内容となっています。リーダーのYuhki(Key/GALNERYUS)によると当初は本作では5曲目にあたるSolitudeをシングルで発表する予定だったものの、レーベル側の意向でアルバムとしてリリースすることになったため急ピッチで作業を進めなければならなかったそうで、結果的に「SOLITUDE」はバンドが満足できる仕上がりではなかったこともあって発売後しばらくしてから廃盤となっていました。僕は「SOLITUDE」を持っていたので本作を購入するか迷ったのですが、彼等の過去作品を聴くうちに新曲がどうしても聴きたくなって本作も買いました。

アルバムの幕開けからして印象が変わっていて「SOLITUDE」の序曲「東風遥か(Far Away A Spring Wind)」が優雅な雰囲気に溢れていたのに対して、本作の①Appassionataは大仰で緊迫感のある曲調でMVも制作されたリードトラック②Earnestに雪崩れ込んでいきます。元々、ALHAMBRA屈指の疾走曲だった②はさらにビルドアップされていて本作から加入したドラマーHideki(MAHATMA)Hibiki(B/LIGHT BRINGER、MARDELAS)のリズム隊が生み出すエネルギーは凄まじく、それに負けじと世良のボーカルも一段とパワフルかつ表現力が豊かになっていますね。そこからオリジナル盤にはなかった近未来的なSEでシームレスに繋がる重厚なミドル③OO (Double O)には日本屈指のグロウラーDOUGEN(Vo/THOUSAND EYES etc)が参加。原曲以上に迫力のある仕上がりになっていて、冒頭3曲の時点で作品として大きく生まれ変わったことが実感できます。

再録曲がパワーアップしているだけでなく新曲の充実振りも見逃せません。世良と今や準メンバーとなっている佐々井 康雄(Vo/GERARD、ex-ARK STORM)のツインボーカルにDOUGENのデス声を加えた④Warning You!はバンド初の英語詞によるナンバーで、どこかワイルドな印象があって新鮮な空気をもたらしていますね。そして極めつけはDie Walkure(2nd「FADISTA」収録)と組曲Siegfried(4th「SIEGFRIED」収録)と続いてきた「ニーベルングの指環」シリーズのスピンオフ的作品だという⑨「Das Rheingold ~ラインの黄金~」の存在です。荘厳なコーラスとギターソロからなる短いインスト新曲⑧Close Your Eyesに導かれて始まるこの曲は過去の名曲シリーズに含まれるに相応しい新たなマスターピースだと思います。個人的には終盤の「にーじーの かーけーはーしがー かーかーる〜♪」という歌詞が乗るパートのメロディが大好きです。「SOLITUDE」もALHAMBRAにしては珍しくコンパクトな作品で悪くないと思っていましたが、今のバンドでレコーディングした「THE EARNEST TRILOGY」を聴くともうあちらには戻れないですね。

【音源紹介】
Earnest

ALHAMBRA「SOLITUDE」(2010)

  • 2019/11/25(月) 00:00:00

SOLITUDE.jpg
【No.537】
★★★(2013)

Yuhki(Key/GALNERYUS)MARGE LITCH在籍時に活動を共にしていた世良 純子(Vo)らと結成したALHAMBRAの3作目。Yuhkiが作曲し、世良が歌詞を書いて歌うというスタイルは従来と同じですが本作では10分越えの大作は姿を消していることもあって、このバンドにしてはコンパクトな歌モノと呼べそうな作風になっています。ALHAMBRA特有の大仰でファンタジックな世界観は薄れ、ポップな側面にスポットが当てられていることもあって従来のアルバムとはやや印象が異なります。またゲストという形ながらALHAMBRAの作品で重要な役割を担ってきた佐々井 康雄(Vo/ARK STORM)が参加していないというのも違和感のひとつですね。

まるで宮廷音楽のように優雅な序曲① 「東風遥か(Far Away A Spring Wind)」に導かれてスタートする②Earnestがいきなりのキラーチューン!幾重にも重ねられたクサいメロディと練り込まれたインストパートが絡み合いながら疾走するこの曲は1st「明日への約束」(2005)収録のMissing You、Orionに匹敵するバンドの代表曲だと思います。また③OO (Double O)はYuhkiのハモンドがグイグイ曲を引っ張っていくミドルテンポで初めの頃は印象に残りませんでしたが、リピートするうちにジワジワと好きになった1曲です。静かな出だしから徐々に熱を帯びていき劇的なエンディングを迎えるタイトル曲の④Solitude、ALHAMBRAのイメージとは一線を画すアニソン風ナンバーでHibiki(B)がリーダーを務めるLIGHT BRINGERっぽさもある⑤「約束の鍵 (Key To The Wish)」といったソフトな楽曲から、ALHAMBRAらしさ満点でベースソロも聴きどころのプログレメタル⑥The Earth (Die Erde)へと続くアルバム中盤も良いですね。その後はデビュー作収録の名曲にしてバンドを代表するスピードチューンのリメイク⑦Orion 2010(冒頭のサビのコーラスが分厚くなりテンポも少し早くなっているようです)を経て、ピアノとボーカルだけでしっとり聴かせる小品⑧「はるうさぎ(Ha・ru・u・sa・gi)」でアルバムは締めくくられます。

楽曲的には②、⑥や再録の⑦のような典型的なALHAMBRA流メタリックチューンを収録しているのは事実ながらこれまで以上に強調されたポップサイドと時折出てくる健康的で応援歌のような歌詞ををどこまで許容できるかで本作の評価が分かれそうですね。個人的にはメタル度が低くなっても、このバンド(というかYuhki)が生み出すメロディは魅力的だと再確認できました。ただ、序曲のインストや再録曲込みで全8曲、40分弱というボリュームは物足りなさを感じますね。この点についてはYuhkiが後のインタビューで「元々はSolitudeをシングルでリリースするつもりだったもののレーベル側の意向でなんとかアルバムの形にした」と語っていていて、ミニアルバムと呼んでもよさそうな尺の短さ、ドラムサウンドが迫力に欠けるといった点も致し方なかったのかもしれません。ちなみに本作はリリース後しばらくして廃盤となり2016年に収録曲の大半をレコーディング、新曲を追加した「THE EARNEST TRILOGY」として生まれ変わっています。

【音源紹介】
Solitude

【CD購入録】THE DARK ELEMENT「SONGS THE NIGHT SINGS」(2019)

  • 2019/11/15(金) 00:00:00

【CD購入録】
SONGS THE NIGHT SINGS
THE DARK ELEMENT「SONGS THE NIGHT SINGS」(2019)

Jani Liimatainen(G/CAIN'S OFFERING、ex-SONATA ARCTICA)Anette Olzon(Vo/ex-ALYSON AVENUE、NIGHTWISH)を組ませるというFRONTIERS RECORDSの発案で2017年に誕生したTHE DARK ELEMENTの2作目。セルフタイトルのデビュー作は2017年の年間ベストに選出するほどのお気に入り盤でしたが単発プロジェクトで終わる可能性もありそうだったので、こうして第2弾がリリースされたことがまず嬉しいですね。また中身の方もJaniらしい流麗なメロディをAnetteの美声で聴かせるスタイルに変化はなく、前作が好きだった僕のようなファンであれば今回も満足できる内容だと思います。オープニングの①Not Your Monster、②Songs The Night SingsはこれぞTHE DARK ELEMENTなメロディアスチューンだし、ダンサブルなアレンジを取り入れた⑤Pills On My Pillow、悲壮感が漂う旋律が胸を締め付ける⑥To Whatever Endなども良いですね。終盤でサビを繰り返す曲が多いこともあってかメロディが頭から離れず、気がつけばサビを口ずさんでいることもしばしば。Janiは僕が今注目しているメロディメイカーの1人なので、FRONTIERS RECORDSの様々な作品に楽曲を提供するのではなくCAIN'S OFFERINGとTHE DARK ELEMENTで、その才能を発揮してもらいたいですね。

ALHAMBRA「SIEGFREID」(2012)

  • 2019/11/10(日) 00:00:00

SIEGFREID.jpg
【No.536】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

デビュー当初からGALNERYUSの鍵盤奏者として活躍するYuhkiを中心にLIGHT BRINGERのリーダーでもあるHibiki(B)も在籍するテクニカル系シンフォニックメタルバンドALHAMBRAの4thアルバム。前作「SOLITUDE」(2010)ではそれまでのアルバムに収録されていた大作はなく、歌モノ寄りのコンパクトな作風だったのに対して今回は大仰な世界観が戻っているように感じます。それを象徴しているのが2nd 「FADISTA」(2007)収録の名曲Die Walkureの続編で4部構成、22分に及ぶ組曲Siegfriedの存在でしょう。過去作品のほぼ全てにゲストとして参加している佐々井 康雄(Vo/ARK STORM)がこれまで以上の存在感を発揮して、オペラティックに歌う世良 純子(Vo)とミュージカルのような掛け合いを見せるこの組曲は圧巻の一言。特にクライマックスを迎える⑨Siegfried Suite #4-All For The Reason「ただ愛のために」はハイライトの連続で大きな感動をもたらしてくれます。

アルバム後半に鎮座する「組曲ジークフリード」が最大の聴きどころなのは事実ながら、前半に収録された楽曲もハイクオリティなものが揃っています。オープニングを飾る①Maze Of Tragedy-水晶の雨 Part.Ⅱ-は第一印象としては地味に感じたもののTarja Turunen(Vo/ex-NIGHTWISH)ばりのソプラノボイスが響くドラマティックチューンで聴く度に味わいが増す1曲です。クラシカルな雰囲気の中でクサメロとYuhkiのオルガンサウンドが躍動する②Perfect Blue、冒頭の泣きのギターと爽やかでありつつもどこか儚いサビが秀逸な③Foreverという疾走曲2連発は実に強力。またバンド初となる梶原 稔広(G) 作のギター主体のインスト④Fleeting Circusを挟んで登場する⑤Dear Friendはバンドのポップサイドに焦点を当てたナンバーで、応援歌のような歌詞も相まって「SOLITUDE」の延長線上にある曲と言えそうです。

ALHAMBRAの作品の中では「FADISTA」が一番好きでしたが圧巻の組曲と名曲②、③を含む本作はそれ以上に気に入っているアルバムですね。作品を重ねる毎に存在感を増している男性ボーカル佐々井の貢献度は大きく「組曲ジークフリード」は彼なしでは成り立たないし、仰々しいその歌唱スタイルはALHAMBRAとの相性も抜群。濃厚で複雑なインストパートが火花を散らす緻密でドラマティックな曲展開でありつつも、難しくなりすぎないキャッチーなメロディの充実振りは過去最高だし、それが結実したのが「組曲ジークフリード」だと思います。そんなメロディの魅力だけでなくサウンドプロダクションも含めて、バンド全体がレベルアップしたと感じさせてくれる高品質な1枚です。

Siegfried Suite #4-All For The Reason

ALHAMBRA「A FAR CRY TO YOU~明日への約束~」(2013)

  • 2019/10/07(月) 00:00:00

A FAR CRY TO YOU 明日への約束
【No.535】
★★★★(2013)

GALNERYUSでもリーダーのSyu(G)に次ぐソングライターとして重要な役割を担っているYuhki(Key)が2003年に立ち上げた自身のメインバンドALHAMBRAの1stアルバム。本作は2005年にリリースされていたものの永らく廃盤状態だったため全曲リ・レコーディング、新曲を2曲追加した仕様で2013年に再発されています。僕は入手困難になっていた本作のオリジナル盤を探し回ってようやく購入したこともあって、その数週間後に再発盤が出ることを知った時はショックでしたね(苦笑)。メンバーはALHAMBRAの声としてこれまでの全作品でリードボーカルを務める世良 純子(Vo)を始めとしてYuhkiが在籍していたMARGE LITCHでも共に活動していたメンバーがほとんどだったオリジナル盤に対して、再録盤は2nd「FADISTA」(2007)から2019年現在まで在籍している梶原 稔広(G)LIGHT BRINGERのリーダーでもあるHibiki(B)も含めたラインナップとなっています。

シンフォニックなプログレハードを基本としつつメロパワの勢いと分かりやすさも取り入れているところがALHAMBRAの強味だと思っているのですが、このデビュー作の時点で既に音楽性は確立されていますね。オリジナル盤の時点から演奏陣はテクニシャン揃いなので濃密なインストパートには圧倒されるし、それに負けない個性的な歌声で奮闘する世良のボーカルパフォーマンスもALHAMBRAの大きな武器となっています。彼女のオペラティックで突き抜けるようなハイトーンは独特の声質なので好みが分かれそうなのは事実ながら、その歌唱力と存在感は一級品です。楽曲的にはプログレッシブでありつつ歌メロは親しみやすくストレートなALHAMBRAらしさが色濃く表れた疾走曲③Missing You、⑤Orionがハイライトになっていますね。その間に挟まれたドラマティックな④Doll's Solitude-人形の家-、世良の清らかなボーカルが映えるバラード⑥Your Favorite Melodies-藍色のエチュード-、演奏陣が火花を散らすインスト曲でありながら終盤は男女ボーカルによるコーラスも登場する⑧God Keeperも気に入っています。

僕は新曲が聴きたくて2005年のオリジナルと2013年のリメイク作の両方を購入したのですがYuhki作の⑩Radiance-星が生まれた日-とHibiki作の⑪Arethaはどちらも強力なナンバーですね。特にGALNERYUSを連想させるヒロイックなメロディがカッコいい⑩はALHAMBRAの全レパートリーの中でも屈指の名曲です。またリメイク盤で感じられた変化は世良の歌声が一段と前にも出ていてハイトーンが耳に突き刺さる、6人目のメンバーと呼んで差し支えないほどALHAMBRAに欠かせない佐々井 康雄(Vo/ARK STORM)によるコーラスの存在感がアップしている、YuhkiがJens Johansson(Key/STRATOVARIUS)っぽい音色を使う場面が増えている、ということでしょうか。再発盤もオリジナルに忠実なアレンジなので作品としては2005年時点で完成の域に達していたのだと思います。これだけの力作が廃盤というのはあまりに勿体ないので、このアルバムが普通に入手できるようになったのは嬉しいですね。

【音源紹介】
Missing You(2005年バージョン)

【CD購入録】DUAL ALTER WORLD「ALTER EGO」(2019)

  • 2019/09/28(土) 00:00:00

【CD購入録】
ALTER EGO
DUAL ALTER WORLD「ALTER EGO」(2019)

テクノ/トランスサウンドとメロデスを融合させたスタイルで注目を集め、今年に約8年振りとなるフルアルバムを発表したBLOOD STAIN CHILDのソングライターRyuとメタル好きの声優、小岩井 ことりが結成したDUAL ALTER WORLDの1stアルバム。声優と仕事をする機会の多かったRyuが小岩井にオファーしたことがきっかけで誕生したそうです。音楽性としては声優にしては珍しいグロウルも取り入れたメロディックメタルでBLOOD STAIN CHILDとは一味違う仕上がりになっています。シンフォアレンジを纏いながら激しく疾走したり、優しいメロディを聴かせたりするサウンドは僕好みだし、小岩井の歌唱についても流石の安定感と表現力を誇っていて異なる声色を駆使した③CONSOLE1などは声優シンガーとしての強みが表れていると思います。また本作は「遠い未来の世界を舞台に暗殺者の少女が壊れたアンドロイドと出会うことで心境が変化していく」というコンセプトアルバムで、シナリオパートがほぼ1曲置きにUAD 01〜08としてトラックを分けて収録してされているため全19曲という曲数の多さが目に付くものの実際の楽曲パートとしては11曲というボリュームです。セリフパートについては「声優、小岩井 ことりの本領発揮」という印象で思わず聞き入ってしまいます。語りでストーリーを説明するという手法はDRAGON GUARDIANを彷彿とさせますが、曲中にセリフが入り場面説明をしていたDRAGON GUARDIANに対してDUAL ALTER WORLDは楽曲とシナリオがトラック毎に分かれているので曲だけをピックアップして聴けるというのもいいですね。声優がリードボーカルのため色眼鏡で見られるかもしれませんが僕はかなり気に入っています。

SCRAMBLED SOUL CIRCUS「SCRAMBLED COLORS」(2015)

  • 2019/09/01(日) 00:00:00

Scrambled Colors
【No.534】
★★★★★(2015)
年間ベスト2015年第1位

LIGHT BRINGER、ART OF GRADATIONで類稀なるメロディセンスを発揮していたKazu(G、Vo)TEARS OF TRAGEDYの女性ボーカルHaruka、元CROSS VEIN〜OCTAVIAGRACEYouske(B)と立ち上げたポップロックバンドSCRAMBLED SOUL CIRCUSの1stにして唯一のアルバム。当初は3人によるユニットとして活動、そこにSeiya(G)、Satoru(Ds)という元LIGHT BRINGER〜ART OF GRADATION組が加わったことでバンドへと発展し、SCRAMBLED SOUL CIRCUSという名前もその頃に決まったそうです。アルバム発表時には残念ながら脱退しているもののReanne(Key/ART OF GRADATION)も在籍していたようなので、アルバム1枚のみで解散してしまったART OF GRADATIONの別形態または発展形と呼んでいいのかもしれません。

サウンド的にはART OF GRADATION以上にHR/HM度は減退していて、より幅広い層にアピールできそうなハードポップとなっていてLIGHT BRINGERとの共通点は少ないですね。⑨「ハミング♪」のメロディに壮大なアレンジを施した序曲①Scrambled Soul Orchestraから勢いのあるギターで幕を開ける②「旅立ちの唄」でアルバムはスタート。爽やかなピアノの音色と共に駆け抜ける③”Shiny、先行でMVも制作された④WIND!!と、ここまではポジティブな雰囲気に溢れた楽曲が続きます。ちなみに④はART OF GRADATION「CONCENTRATION」(2013)収録の名曲SKY!!に通じる世界観がありますね。ここまでの軽やかな曲調から一転して⑤Hide myselfは重厚かつシンフォニックなナンバーで翳りのあるメロディが素晴らしいし幻想的なアコースティックバラード⑥「オリオンの夜」、本作で最もハードな
⑦Re:START
、タイトルからして③と対になっていることを感じさせる哀愁のミドル⑧Shade"と続く流れは強力です。終盤も明るいメロディが弾ける⑨、作品の締めくくりに相応しいスケール感がある⑩「Dream State~親愛なる仲間達へ~」も含めてKazuのメロディが好きな僕の期待にしっかりと応えてくれる1枚となっています。

そんなKazuが生み出す珠玉のメロディを歌うHaruka嬢の存在も大きいですね。Fuki(Vo/LIGHT BRINGER)のような圧倒的なパワーはありませんが声そのものに宿る翳りというか、不思議な魅力があって聴き惚れてしまいます。またTEARS OF TRAGEDYよりもソフトな路線ということもあってか低音域で歌う場面が多く、Harukaの新しい一面を見たような気もしますね。ただ歌詞については⑨で飛び出す「ルンルン ハミング〜♪」を筆頭に歌詞に登場する人物の年齢層が10代〜20代前半のように思えるのでアラフォーの僕としては赤面ものの内容が多くHR/HMリスナーにとっても好みが分かれそうです。CROSS VEIN、LIGHT BRINGER、TEARS OF TRAGEDYといった国内屈指のメタルバンドに在籍していた(している)メンバーによるバンドとは思えないほど軽いサウンドですがハードポップも好んで聴く僕のようなリスナーにとっては間違いなく名盤ですね。KazuはLIGHT BRINGER脱退後にART OF GRADATION、SCRAMBLED SOUL CIRCUSと立て続けにバンドを立ち上げたものの、本作を最後に表舞台から姿を消してしまっているのが残念…。いつか復活してもらいたいですね。

【音源紹介】
WIND!!

【CD購入録】DEVIL WITHIN「DARK SUPREMACY」(2019)

  • 2019/07/26(金) 00:00:00

【CD購入録】
DARK SUPREMACY
DEVIL WITHIN「DARK SUPREMACY」(2019)

僕は未聴ですが「アンコウ」の愛称で親しまれている国産ラウドロック/メロデス系バンドUNDEAD CORPORATIONのリーダーでもある「社長」ことKENSUKE(B)KOUTA(G/THOUSAND EYES)、女性グロウラーのU(MERGINGMOON)に声をかけたことがきっかけで誕生したDEVIL WITHINのデビューアルバム。本作で聴けるのは怒涛のアグレッションと泣きのギターが交錯するデスラッシュ/メロデスなのでTHOUSAND EYESを彷彿とさせる要素が多いですね。DEVIL WITHINの場合、ピアノによるインスト⑥In the Moonlight以外は全曲が前のめりに疾走するタイプなので潔さを感じる反面、アルバムとしてはもう少し抑揚が欲しかったかなという気もします。とはいえ個々の楽曲はどれも身を乗り出してしまうほどのカッコよさを誇っているので、将来が楽しみな国産メロデスバンドがまたひとつ登場したと言えそうですね。

【CD購入録】FUKI「MILLION SCARLETS」(2019)

  • 2019/06/17(月) 00:00:00

【CD購入録】
MILLION SCARLETS
FUKI「MILLION SCARLETS」(2019)

今年の1月にリリースされたSyu(G/GALNERYUS)のソロ「VORVADOS」にゲスト参加し2曲でリードボーカルを取っていたことも記憶に新しい女性シンガーFuki(FUKI COMMUNE、DOLL$BOXX、UNLUCKY MORPHEUS etc)のソロアルバム。彼女にとって初のソロプロジェクトとなったFUKI COMMUNE同様、LIGHT BRINGER時代の盟友Mao(Key)が全面的にサポートしているものの外部ソングライターによる楽曲の割合が増えていることもあってHR/HM度は減退しています。オープニングを飾る①Bloody Rain、②「君の居ない世界」はパワーメタル系ではあるもののそれ以降は「自分が聞きたいFukiの歌声”をめいっぱい収録した」と自ら語るのも頷けるほど、これまで以上に幅広い曲調と歌い方を披露。Jill(Violin/UNLUCKY MORPHEUS)の客演が光るゴシカルな⑤「絶戒のJuliet」、ピースフルなコーラスが印象的な和やかソング⑧「子供のように」、Fukiのセリフパートもあるアイドルポップ風⑨Zinger♡Ringer♡Gang♡Love辺りがその顕著な例でしょうか。そんな⑨から本作随一のシンフォニックメタル曲⑩Sacred Bones Riotに繋がる落差もインパクト大な本作はこれまでで最も振り幅の大きなアルバムなのでメタルシンガーFukiのソロとして聴くと意表を突かれますが、HR/HMだけでは表現しきれないFukiの歌を楽しむ1枚としてはFUKI COMMUNE以上に最適だと思います。

FUKI COMMUNE「WELCOME!」(2016)

  • 2019/06/13(木) 00:00:00

WELCOME!_201606202226504f1.jpg
【No.532】
★★★★(2016)
年間ベスト2016年第5位

2014年いっぱいでLIGHT BRINGERが活動休止となってからもNozomu Wakai's DESTINIA、SOUND HORIZONへのゲスト参加やUNLUCKY MORPHEUSで活動をしていた稀代の歌姫FukiによるソロプロジェクトFUKI COMMUNEの1stアルバム。本作がリリースされる頃からアニソン系ヘヴィメタルシンガーと呼ばれるようになった気がするFuki嬢ですが、インタビューによるとソロでアニソン歌手を目指したいという本人の想いからFUKI COMMUNEが誕生したらしいので、この呼び名はアーティスト側の意向でもあるようですね。制作面でパートナーを務めるのは現時点でLIGHT BRINGERのラストアルバムとなっている「MONUMENT」(2014)でメインソングライターを務めたMao(Key)で幻想的なバラード⑥「朝な朝な」、尺八の音色とともに疾走する曲調が陰陽座の代表曲でアニメ「バジリスク」の主題歌にもなった「甲賀忍法帖」を連想させる⑦「狂い咲け雪月華」を除く全曲を彼が作曲、Fukiが作詞しています。本作は「MONUMENT」の残り香を感じさせつつアニソン要素が強まっているため、インディーズ時代のLIGHT BRINGERから濃密なインストパートを取り除くとFUKI COMMUNEになると言うこともできそうですね。

デジタリーなイントロダクション①Welcome to my dream - Instrumental -に導かれて登場する②「月が満ちる前に」、③「輝く夜へようこそ!」はどちらもキャッチーなサビメロで幕を開ける楽曲で心を掴まれました。この2曲はアニソンっぽさを強く感じさせつつも、編曲にMaoと若井 望(G/Nozomu Wakai's DESTINIA)が関わっていることもあってかメタリックな魅力も兼ね備えていて、本作のみならずFUKI COMMUNEを象徴するナンバーと言えそうですね。続く④I'll never let you down!はMaoのオルガンプレイが耳に残るハードロックでFukiもこれまで披露してこなかった乱暴な歌い方や低い唸り声を取り入れています。その一方で外部ライターによる⑥では囁くように歌うFukiが新鮮です。個人的にはヒロイックなメロデイが駆け抜ける⑨Liberator、序盤はバラード調ながら後半は一転して激しくドラマティックな展開が聴き手を飲み込んでいく⑩「未来」、LIGHT BRINGERの3rd「GENESIS」(2012)収録のLove you♡と同系統の爽快系スピードチューン⑪Sail on my loveのラスト3曲がハイライトとなっていますね。

LIGHT BRINGERやDOLL$BOXXに比べると聴き込むほどに好きになる要素は少ないですが、やり過ぎ感かなくとっつきやすい作風なので普段ヘヴィな音楽を聴かないリスナーにとってのHR/HM入門盤には最適な1枚だと思います。またソロプロジェクトというだけあってFukiのボーカルに焦点が当てられているし演奏陣もそれほど前に出てこない音作りのため、彼女の歌を存分に味わえるのもいいですね。異なる声色を駆使しながら楽曲のコンセプトにあわせて多彩な表情を見せつつも「Fukiの声」という太い芯が通っているため彼女の世界観にグッと引き込まれます。HR/HMシンガーとしてのFukiを期待すると肩透かしをくらう要素もあるのは事実ながら、アニソン要素も多分に含んでいたLIGHT BRINGERでシーンに登場したFuki初のソロプロジェクトとしては申し分ない仕上がりとなっていると思います。

【音源紹介】
「輝く夜へようこそ!」(Music Video Short ver.)

LIGHT BRINGER「MONUMENT」(2014)

  • 2019/04/23(火) 00:00:00

MONUMENT.jpg
【No.530】
★★★(2014)
年間ベスト2014年ノミネート作品

アルバム発売の僅か数日前にあたる2014年11月1日に年内をもって無期限の活動休止に入ることを発表したLIGHT BRINGERの5作目にして現時点でのラストアルバム。活動休止の主な要因はリーダーでメインソングライターでもあるHibiki(B/ALHAMBRA)が燃え尽き状態に陥ってしまったことにあるようでHibikiが脱退を申し出たところ、メンバー達は彼抜きでLIGHT BRINGERを続けるのではなく活動休止を選んだのだそうです。そんなHibikiのモチベーションの変化は作曲クレジットにも如実に表れていて、前作「SCENES OF INFINITY」(2013) では全ての作曲に関わっていたのに対して今回は2曲のみで大半はMao(Key)のペンによる曲となっています。活動休止を発表した当初のコメントではHibikiが音楽活動そのものから身を引いてしまう可能性すらありそうでしたがYuhki(Key/GALNERYUS)率いるALHAMBRAにはそのまま在籍しているし、2017年には北の凶獣SABER TIGERに加入するなどベーシストとしては今も精力的に活動しています。インタビュー記事などを読んでいても彼が曲を書くときには細部にまで強いこだわりを持っているように感じられたので、創作面から距離を置きプレイヤーに徹したかったということなのかもしれません。

メインソングライターが代わりHibiki BRINGERからMao BRINGERとなったことにより作風も変化していて前作に溢れていた力強さとメタリックな印象は後退。それに合わせてFuki(Vo)のボーカルは更に幅を広げていてアメリカンなハードロック④Dicerではくだけた歌い方、ポップサイドに振り切れた⑤「魔法」では力を抜いた歌唱を披露しています。Maoが書く楽曲は淡々と流れていく印象が強いため、Hibiki曲を主体とした中に数曲あるくらいだとほどよいアクセントになるのですがMao曲メインの作品となると地味に感じてしまうというのが正直な感想です。一般的に見れば十分魅力的なのは事実ながら、LIGHT BRINGERの過去作品と比べるとインパクトに欠ける感は否めませんね。

ハイライトとなっているのは本作では浮いてしまうほどのメタリックチューン⑥ICARUS、そしてアルバム本編を⑧monumentという、Hibikiが関わった2曲ですね。特に⑧は序曲①「旅途」に続く疾走曲②Clockwork Journeyと対になった歌詞らしいのですが「時計仕掛けの旅はここで途切れている」という歌い出しを始めとしてバンドの終わりを連想させる内容なので、これまでLIGHT BRINGERを応援してきた身としてはウルっときてしまいます。個人的には静寂の後に「カチッ…カチッ…」と秒針を刻むSEが入り、そこからサビに繋がる4:45辺りで胸が熱くなりました。ひとつの作品として見るとLIGHT BRINGERの中ではお気に入り度は高くありませんが、本作のように落ち着いたアルバムの先にとんでもない名盤を生み出してくれるのではないかという気がするだけに彼等の「次」が聴きたかったですね。LIGHT BRINGERが活動を再開してくれることを心から願っています。

【音源紹介】
monument

【CD購入録】BATTLE BEAST「NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS」(2019)

  • 2019/04/15(月) 00:00:00

【CD購入録】
NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS
BATTLE BEAST「NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS」(2019)

今年の2月に2nd「FROM HELL WITH LOVE」をリリースしたBEAST IN BLACKを率いるAnton Kabanen(G)がかつてメインソングライターとして在籍していたBATTLE BEASTの5作目。Antonは追い出されるような形でバンドを脱退したためBATTLE BEASTとの関係性は悪いのですが、BEAST IN BLACKとBATTLE BEASTが2枚続けて同じ年に新作を完成させるとは因縁めいたものを感じますね。今回もAnton不在で制作した第1弾アルバムにあたる前作「BRINGER OF PAIN」(2017)を継承した作風でありながら、バンドの大衆化を更に推し進めた仕上がりとなっています。それを象徴しているのがBON JOVIIt's My Lifeを連想させるパートもある④Unfairy Tales、もはやメロディックロックと呼んでもよさそうなポップソング⑤Endless Summerの2曲ですね。勿論メタリックなナンバーも収録していて、文字通り拳を突き上げたくなる勇壮なメロディと女傑シンガーNoora Louhimoのシャウトが熱い⑨Raise Your Fists、待ってましたの疾走曲⑩The Golden Hordeなどが気に入っています。またシアトリカルな雰囲気を醸し出すタイトル曲②No More Hollywood Endingsは新鮮だし、メロウなバラードもきっちり聴かせてくれるのも好印象。作品を重ねる毎に鋼鉄成分が希薄になっているのは事実ながら相変わらず僕好みのメロディが楽しめる1枚ですね。

LIGHT BRINGER「SCENES OF INFINITY」(2013)

  • 2019/03/31(日) 00:00:00

SCENES OF INFINITY
【No.529】
★★★★★(2013)
年間ベスト2013年第1位

メジャーデビューシングル「NOAH」(2011)発売前にソングライターの1人でnoahも作曲していたKazu(G)がバンドを離脱、メジャー第1弾アルバム「GENESIS」(2012)リリース後にはSeiya(G)、Satoru(Ds)が脱退するなどメンバーチェンジが相次いでいたLIGHT BRINGERのメジャー2作目にして通算4枚目となるアルバム。JaY(G)Yumi(Ds)を迎えた新体制の第1弾となる本作はグッとメタル度を増した仕上がりとなっています。前作はこのバンドにしてはキャッチーさを抑え、深みを増したように感じられる作風でしたが今回は「GENESIS」の路線を継承しつつ一度聴いただけでガツンと来るインパクトがありますね。そんな特色は緊張感溢れるイントロとFuki(Vo)の強力なシャウトが響く①Hyperionでいきなり発揮されています。これまで以上に壮大な世界観が広がっていて、冒頭からエンディングに至るまで大仰かつ濃密なサウンドは圧巻です。

そんなオープニングの勢いを引き継ぐ軽快なアップテンポ②Fallen Angelを挟んで繰り出される③ifはアニソンテイストと切ないメロディが高次元で融合し、ドラマティックに展開していくメタリックチューンで①から③までの畳み掛けは凄まじいものがあります。これまでにはなかった怪しさが漂う④「孔雀とカナリア」、曲調と歌詞の両方にダークな雰囲気が感じられる⑤「人形が見た夢」辺りは新機軸と言えそうだし、LIGHT BRINGERがFukiだけのバンドではないことを雄弁に語るインスト⑥Eau Rougeから懐かしさを感じる歌謡曲タイプ⑦Hydrangeaに繋がる構成もグッド。ここまでも充実した内容の本作ですがHearn's HeavenDream!に匹敵する「これぞラブリー!」な名曲にして、インディーズ時代の1st「TALES OF ALMANAC」(2009)に登場する男女の後日譚を描いた⑧「Tales of Promise~天国に寄せるポエトリー~」が大きなハイライトとなっていますね。そしてキーボードを主体とした⑨Infinite Fantasyは最後に少しだけボーカルが入る2分弱の小品。本作には10曲が収録されていますがエピローグのようなこの曲が事実上のラストトラックだと思っています。

⑩VenusはLIGHT BRINGERとしては珍しくオルガンが引っ張っていくハードロックで僕は直感的にDEEP PURPLEを連想しました。歌詞も他曲とは一線を画す砕けた感じなので陰陽座でいうところのお祭りソングの位置付けにあたる曲でしょうか。過去にLIGHT BRINGERの代表曲を生み出してきたKazuを欠いたバンドがどう変化するのか注目していましたがほぼ全曲をリーダーのHibiki(B/ALHAMBRA)が手掛け、一部をMao(Key)と共作することで完成した本作は骨太でメタリックな印象が強く僕好みですね。それでいて⑦や⑧のようにKazuが書きそうな曲もあって良いアクセントになっているのも見逃せません。僕にとってラブリーの最高傑作はこのアルバムですね。

【音源紹介】
Hyperion

LIGHT BRINGER「GENESIS」(2012)

  • 2019/03/21(木) 00:00:00

GENESIS.jpg
【No.528】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

インディーズで「TALES OF ALMANAC」(2009)、「MIDNIGHT CIRCUS」(2010)の2枚を発表し、注目を集めていたLIGHT BRINGERのメジャーデビューアルバム。ソングライターの1人で主にJ-POP寄りの楽曲を手掛けるイメージが強かったKazu(G)が脱退後、初めてのアルバムですが本作には彼のペンによる曲も収録されています。ひたむきでキャッチーなメロディをFuki(Vo)が力強く歌うことで完成するバンドの魅力がストレートに伝わってきた過去作品に対して、今回は手練揃いのプレイヤー達が生み出すプログレッシブな曲展開や凝ったアレンジ前に出ていますね。アルバムジャケットやブックレットではFukiばかりがピックアップされている印象なので中身の方で演奏陣がこれまで以上にアピールしてくれているのが頼もしい限りです。

序曲にあたるインスト①「創世」からメタリックチューン②arkにつながるという幕開けは前作と同じながら、今回の②はDREAM THEATERフリークを自認するHibiki(B/ALHAMBRA)らしさが溢れるプログレッシブな疾走曲で一筋縄ではいかない展開がクセになります。全曲で弾きまくっているHibikiのベースは特にこの曲ではウネリまくっていて、メジャーデビューの実質1曲目に対する気合いが感じられますね。続く先行シングル曲③noahはストレートなナンバーで十分カッコいいものの、これまでとは質感が多少異なり一撃で心を撃ち抜かれるようなメロディは控えめですし、その後も聴かせるタイプの曲が並びます。とびきりキャッチーな⑦Just kidding!を交えつつも、アニソンとメロパワが理想的な融合を果たしたHearn's HeavenDream!のような「これぞLIGHT BRINGER!」という曲調は出てきそうで出てきません。それだけにラブリーサウンドの極致と呼べそうなラスト曲⑪Love you♡がもたらすカタルシスは絶大ですね。

LIGHT BRINGERのスタイルを確立した前作と比べて今回は耳に残るメロディが減少したと感じたのも事実ですが、繰り返し聴くほどに味わいが増すスルメ盤です。そんな中で圧倒的な存在感を放っているのがFukiの歌声で、従来の伸びやかさに加えて表現力も増しています。⑨espoirで披露している低音域は彼女が憧れの存在と語る黒猫(Vo/陰陽座)を彷彿とさせますね。そんなボーカルとバトルを繰り広げ、時にはお互いを高め合うようなインストパートとのバランスがとにかく絶妙。LIGHT BRINGERらしさは維持しつつ楽曲の深みが増した本作はメジャーデビューに相応しい1枚だと思います。

【音源紹介】
noah

LIGHT BRINGER「MIDNIGHT CIRCUS」(2010)

  • 2019/02/24(日) 00:00:00

MIDNIGHT CIRCUS
【No.527】
★★★★(2010)

「ラブリー」の愛称で親しまれているLIGHT BRINGERの2ndアルバム。僕は本作とデビューアルバム「TALES OF ALMANAC」(2009)を同時期に買ったのですが、ポップなサウンドが強調されていた1stに比べて今回はグッとメタル度を増しているのが印象的です。あどけない少女のような一面もあったFuki(Vo)はパワフルで伸びのある歌声はそのままにドスの効いた低音も披露しているし、元々テクニカルだった演奏陣もよりタイトになって各パートにしっかりと見せ場が設けられています。それに加えて前作のウィークポイントだった音質面も改善されていて、あらゆる面で成長振りを見せてくれていますね。

アルバム開始と同時にDiamondのキャッチーなサビメロが流れてきたデビュー作とは打って変わって今回は文字通りアルバムの幕開けを告げる序曲①「開幕 -Instrumental-」から疾走曲②Resistanceへ繋がる「いかにもメタル」なオープニングとなっていてニヤリとさせられます。張り詰めた空気と徐々に盛り上がっていく展開が秀逸な③Le Cirque de Minuit~真夜中のサーカス~、90年代J-POP的なメロディ運びを見せる④「奇跡」、切なさたっぷりのミドル⑥「今にも落ちてきそうな空の下で」と僕の耳を捉える楽曲が目白押しですが本作のハイライトは⑦Dream!ですね。アニソン風の突き抜けたメロディと真っ直ぐな歌詞で駆け抜け、後半には作曲者でもあるKazu(G)のビジュアル系っぽいボーカルや前作収録のWe're All In This Togetherのフレーズを交えつつパッヘルベルの「カノン」も飛び出すこの曲はラブリーを代表するナンバーですね。この曲を聴くためにアルバムを買う価値があると言っても過言ではないでしょう。

作品としてはそんな⑦が本編ラスト、それ以降はボーナストラック扱いでネオクラシカルな雰囲気も漂う⑧Lazy Maze、前作に収録されていた典型的ラブリーチューン⑨Hearn's Heavenはリメイクとなっています。どちらもピアノを効果的に使っていて連続性が感じられるのもいいですね。ちなみに①と⑤IT'S SHOWDOWN -Instrumental-はインスト、③も既発曲なので純然たる新曲数だけ見ると物足りなく感じるかもしれませんが、入手困難な作品に収録されている曲もあるので個人的には満足しています。メロディックメタルにアニソン、J-POPの要素を加えつつ激しいインストパートもしっかり聴かせるというLIGHT BRINGERのスタイルは本作で確立されたと思っています。

【音源紹介】
Dream!

【CD購入録】WITHIN TEMPTATION「RESIST」(2019)

  • 2019/02/15(金) 00:00:00

【CD購入録】
RESIST_2019010923254742d.jpg
WITHIN TEMPTATION「RESIST」(2019)

ヨーロッパを代表するシンフォニックメタルバンドの名に相応しい傑作アルバム「HYDRA」(2014)をリリース後、燃え尽き症候群のような状態に陥り解散も意識したというWITHIN TEMPTATIONの7作目。バンド史上最大と言ってもいいくらいの危機を乗り越えて完成させた本作は、相変わらずハイクオリティで大物の風格を感じさせる極上のサウンドです。彼等にしては珍しいアップテンポDangerousも収録していた前作に比べると地味な作風ですが、ついリピートしたくなる不思議な魅力がありますね。印象的なキーボードのフレーズが曲を引っ張っていく①The Reckoningからラストに相応しい壮大な雰囲気を持つ⑩Trophy Hunterまで、このバンドらしい楽曲が並んでいます。惜しむらくはミドルテンポの曲が続くためHR/HMならではの高揚感が希薄な点でしょうか。解散の危機をなんとか乗り切ったバンドの今後に注目したいですね。

LIGHT BRINGER「TALES OF ALMANAC」(2009)

  • 2019/02/10(日) 00:00:00

TALES OF ALMANAC
【No.526】
★★★(2010)

今や日本のメタルシーンを代表する歌姫となったFuki(Vo)ALHAMBRAなどにも在籍しているHibiki(B)の2人が結成したメロディックメタルバンドLIGHT BRINGERの1stアルバム。僕はDRAGON GUARDIANの3rd「DRAGONVARIUS」(2009)でFukiの歌を初めて聴きLIGHT BRINGERに興味を持ちました。次作「MIDNIGHT CIRCUS」(2010)でメタル度を増す彼等ですが、本作ではアニソン風の突き抜けたメロディや90年代J-POPを連想させるアレンジが特徴的なサウンドに仕上がっています。そこにDREAM THEATER好きのHibikiが持ち込んだと思われるプログレメタル要素が加わることで、他のバンドでは聴けないLIGHT BRINGERならではのスタイルとなっていますね。

イントロも何もなく唐突にキャッチーなサビから始まる①Diamond、晴れ渡る青空が目に浮かぶ躁系メロディで駆け抜ける②Upstream Childrenという2つのアップテンポチューンで掴みはバッチリ。その後は勢いで押し切るのではなくJ-POPテイスト強めのキャッチーソング④We're All In This Together、優しいメロディに酔いしれる⑤「Frothy Summer〜真夏の夜の夢〜」⑥Red Spider Lilyから⑧「Closed Sister〜雪待月の妹〜」までのフックに満ちたミドル3連発なども聴き応えがありますね。そして終盤に配された「これぞLIGHT BRINGER!」な名曲⑪Hearn's Heavenも輝いています。12曲を収録している本作は1年12ヶ月をテーマにして1曲ずつ作ったアルバムだそうで、たしかに季節を連想させる曲名がチラホラありますね。

まずはデビュー作にしてここまで魅力的な楽曲群を揃えていることに脱帽。作曲クレジットを見るとHibikiだけでなくKazu(G)、Mao(Key)も作曲に関わっていて複数のソングライターを擁するバンドならではの強みが感じられますね。看板シンガーであるFuki嬢についても2019年現在のような凄みはないものの、あどけなさが残るひたむきな歌唱だからこその味があります。LIGHT BRINGERの作品の中でもポップな部類に入るとメンバー自身が語っている通り、他のアルバムとは異なる作風ですがバンドのルーツが垣間見える1枚だと思います。ちなみに本作は既に廃盤となっているため中古市場で1万円以上の高値がついているようです。

【音源紹介】
Diamond

【CD購入録】ALHAMBRA「THE EARNEST TRILOGY」(2016)

  • 2018/12/18(火) 00:00:00

【CD購入録】
THE EARNEST TRILOGY
ALHAMBRA「THE EARNEST TRILOGY」(2016)

GALNERYUSの鍵盤奏者としても名を馳せるYuhkiのメインバンドALHAMBRAの5作目を買いました。このアルバムは通算5枚目と言われていますが純然たる新作というわけではなく2010年リリースの「SOLITUDE」の再録が6曲、新曲が4曲という変則的な作品となっています。Yuhkiによると「SOLITUDE」は元々シングルとして発表したかったものの、レーベル側の意向で無理矢理アルバムにしたという背景があり出来にも満足していなかったそうです。たしかにリメイクした曲は良くなっていると思うし、新曲も違和感なく溶け込んでいるので「SOLITUDE」の完全版と言えるのかもしれません。気になる新曲については初めて英詞に挑戦した④Warning You!はサビが比較的キャッチーなメロパワ系、「⑨Das Rheingold ~ラインの黄金~」は曲調と歌詞世界観ともに大仰なALHAMBRAらしさに溢れたナンバーでどちらも満足度は高いですね。ちなみにあと2つの新曲①Appassionata、⑧Close Your Eyesはプレリュード的なインスト小品なので、僕のように「SOLITUDE」を持っているファンにとっては食い足りなさが残りますが、作品単体として見ればなかなかの力作だと思います。

【CD購入録】UNLUCKY MORPHEUS「CHANGE OF GENERATION」(2018)

  • 2018/11/04(日) 00:00:00

【CD購入録】
CHANGE OF GENERATION
UNLUCKY MORPHEUS「CHANGE OF GENERATION」(2018)

LIGHT BRINGERが無期限の活動休止状態となって以降、Fuki(Vo)の音楽活動のメインとなった感のあるUNLUCKY MORPHEUSが結成10周年の節目に発表したニューアルバムを買いました。彼等のことは以前から知っていて「アニソンをメタルアレンジして聴かせるプロジェクト」という認識だったのでスルーしていましたが、数年前からオリジナル曲を書くようになったと知り購入しました。本作で聴ける清々しいほどのメロディック・パワーメタルを基本にグロウルやラウドロック、メロウなバラードも取り入れたサウンドは僕好みですね。序曲①CAMBIO DI GENERAZIONEからメロパワ疾走曲②Knight of Swordに繋がる流れはお約束と分かっていても燃えます。この曲はYNGWIE MALMSTEENが名インストFar Beyond The Sunをライヴで演奏する際に導入部としてプレイするパガニーニのヴァイオリン協奏曲を彷彿とさせるフレーズを用いたクサい劇的チューンだし、③CADAVERの主旋律を逆再生すると④REVADACのメロディになるという驚愕の仕掛けが施された2曲も仕掛け抜きで聴いても十分楽しめるナンバーで一気に引き込まれました。また正式メンバーに名を連ねるヴァイオリン奏者Jillの演奏が活きる儚いバラード⑦「鎮昏歌」紫煉(G)FREEDOM CREATORSというプロジェクトに提供した曲をセルフカバーした⑫「囚われの僕ら (Unlucky Morpheus Ver.)」、⑬「願いの箱舟 (Unlucky Morpheus Ver.)」もメタリックな本編とは一線を画したボーナストラックのような役割を果たしていて好印象。既発曲がいくつか含まれているため従来からのファンにとっては食い足りなさが残るかもしれませんが、本作が入門盤となる僕にとっては充実した楽曲が並ぶ1枚です。

【CD購入録】浜田 麻里「GRACIA」(2018)

  • 2018/09/21(金) 00:00:00

【CD購入録】
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浜田 麻里「GRACIA」(2018)

今年でデビュー35周年を迎える大ベテランでありながら、そのハイトーンボイスは衰えるどころか一段と冴え渡っている浜田 麻里の26作目を買いました。前作「MISSION」は2016年にリリースされた新譜の中でも頭ひとつ抜きん出た名盤だったので今回も期待していましたが、それにしっかりと応えてくれる力作に仕上がっています。一聴して感じるのは前作以上にメタル度をグッと増しているということですね。特に若井 望(G/DESTINIA)が作曲に関わった①Black Rain、②Disruptor、③Orienceの冒頭3曲が強力なメタリックチューンで心を鷲掴みにされました。ゲスト演奏陣に関しても豪華さはそのままにギタリストにはPaul Gilbert(MR.BIG etc)Chris Broderick(ex-MEGADETH)、Michael Romeo(SYMPHONY X)、Chris Impellitteri(IMPELLITTERI)といったプレイヤーが新顔として参加していて楽曲に華を添えています。またアルバム中盤に配された歌謡曲風のメロディアスチューンも胸に沁みるし、終盤もハードな⑩Dark Triadから凄まじいハイトーンが響く⑪Mangataで締めくくる圧巻の流れです。今回もかなりのお気に入り盤になりそうな気がしています。