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【CD購入録】DEVIL WITHIN「DARK SUPREMACY」(2019)

  • 2019/07/26(金) 00:00:00

【CD購入録】
DARK SUPREMACY
DEVIL WITHIN「DARK SUPREMACY」(2019)

僕は未聴ですが「アンコウ」の愛称で親しまれている国産ラウドロック/メロデス系バンドUNDEAD CORPORATIONのリーダーでもある「社長」ことKENSUKE(B)KOUTA(G/THOUSAND EYES)、女性グロウラーのU(MERGINGMOON)に声をかけたことがきっかけで誕生したDEVIL WITHINのデビューアルバム。本作で聴けるのは怒涛のアグレッションと泣きのギターが交錯するデスラッシュ/メロデスなのでTHOUSAND EYESを彷彿とさせる要素が多いですね。DEVIL WITHINの場合、ピアノによるインスト⑥In the Moonlight以外は全曲が前のめりに疾走するタイプなので潔さを感じる反面、アルバムとしてはもう少し抑揚が欲しかったかなという気もします。とはいえ個々の楽曲はどれも身を乗り出してしまうほどのカッコよさを誇っているので、将来が楽しみな国産メロデスバンドがまたひとつ登場したと言えそうですね。

【CD購入録】FUKI「MILLION SCARLETS」(2019)

  • 2019/06/17(月) 00:00:00

【CD購入録】
MILLION SCARLETS
FUKI「MILLION SCARLETS」(2019)

今年の1月にリリースされたSyu(G/GALNERYUS)のソロ「VORVADOS」にゲスト参加し2曲でリードボーカルを取っていたことも記憶に新しい女性シンガーFuki(FUKI COMMUNE、DOLL$BOXX、UNLUCKY MORPHEUS etc)のソロアルバム。彼女にとって初のソロプロジェクトとなったFUKI COMMUNE同様、LIGHT BRINGER時代の盟友Mao(Key)が全面的にサポートしているものの外部ソングライターによる楽曲の割合が増えていることもあってHR/HM度は減退しています。オープニングを飾る①Bloody Rain、②「君の居ない世界」はパワーメタル系ではあるもののそれ以降は「自分が聞きたいFukiの歌声”をめいっぱい収録した」と自ら語るのも頷けるほど、これまで以上に幅広い曲調と歌い方を披露。Jill(Violin/UNLUCKY MORPHEUS)の客演が光るゴシカルな⑤「絶戒のJuliet」、ピースフルなコーラスが印象的な和やかソング⑧「子供のように」、Fukiのセリフパートもあるアイドルポップ風⑨Zinger♡Ringer♡Gang♡Love辺りがその顕著な例でしょうか。そんな⑨から本作随一のシンフォニックメタル曲⑩Sacred Bones Riotに繋がる落差もインパクト大な本作はこれまでで最も振り幅の大きなアルバムなのでメタルシンガーFukiのソロとして聴くと意表を突かれますが、HR/HMだけでは表現しきれないFukiの歌を楽しむ1枚としてはFUKI COMMUNE以上に最適だと思います。

FUKI COMMUNE「WELCOME!」(2016)

  • 2019/06/13(木) 00:00:00

WELCOME!_201606202226504f1.jpg
【No.532】
★★★★(2016)
年間ベスト2016年第5位

2014年いっぱいでLIGHT BRINGERが活動休止となってからもNozomu Wakai's DESTINIA、SOUND HORIZONへのゲスト参加やUNLUCKY MORPHEUSで活動をしていた稀代の歌姫FukiによるソロプロジェクトFUKI COMMUNEの1stアルバム。本作がリリースされる頃からアニソン系ヘヴィメタルシンガーと呼ばれるようになった気がするFuki嬢ですが、インタビューによるとソロでアニソン歌手を目指したいという本人の想いからFUKI COMMUNEが誕生したらしいので、この呼び名はアーティスト側の意向でもあるようですね。制作面でパートナーを務めるのは現時点でLIGHT BRINGERのラストアルバムとなっている「MONUMENT」(2014)でメインソングライターを務めたMao(Key)で幻想的なバラード⑥「朝な朝な」、尺八の音色とともに疾走する曲調が陰陽座の代表曲でアニメ「バジリスク」の主題歌にもなった「甲賀忍法帖」を連想させる⑦「狂い咲け雪月華」を除く全曲を彼が作曲、Fukiが作詞しています。本作は「MONUMENT」の残り香を感じさせつつアニソン要素が強まっているため、インディーズ時代のLIGHT BRINGERから濃密なインストパートを取り除くとFUKI COMMUNEになると言うこともできそうですね。

デジタリーなイントロダクション①Welcome to my dream - Instrumental -に導かれて登場する②「月が満ちる前に」、③「輝く夜へようこそ!」はどちらもキャッチーなサビメロで幕を開ける楽曲で心を掴まれました。この2曲はアニソンっぽさを強く感じさせつつも、編曲にMaoと若井 望(G/Nozomu Wakai's DESTINIA)が関わっていることもあってかメタリックな魅力も兼ね備えていて、本作のみならずFUKI COMMUNEを象徴するナンバーと言えそうですね。続く④I'll never let you down!はMaoのオルガンプレイが耳に残るハードロックでFukiもこれまで披露してこなかった乱暴な歌い方や低い唸り声を取り入れています。その一方で外部ライターによる⑥では囁くように歌うFukiが新鮮です。個人的にはヒロイックなメロデイが駆け抜ける⑨Liberator、序盤はバラード調ながら後半は一転して激しくドラマティックな展開が聴き手を飲み込んでいく⑩「未来」、LIGHT BRINGERの3rd「GENESIS」(2012)収録のLove you♡と同系統の爽快系スピードチューン⑪Sail on my loveのラスト3曲がハイライトとなっていますね。

LIGHT BRINGERやDOLL$BOXXに比べると聴き込むほどに好きになる要素は少ないですが、やり過ぎ感かなくとっつきやすい作風なので普段ヘヴィな音楽を聴かないリスナーにとってのHR/HM入門盤には最適な1枚だと思います。またソロプロジェクトというだけあってFukiのボーカルに焦点が当てられているし演奏陣もそれほど前に出てこない音作りのため、彼女の歌を存分に味わえるのもいいですね。異なる声色を駆使しながら楽曲のコンセプトにあわせて多彩な表情を見せつつも「Fukiの声」という太い芯が通っているため彼女の世界観にグッと引き込まれます。HR/HMシンガーとしてのFukiを期待すると肩透かしをくらう要素もあるのは事実ながら、アニソン要素も多分に含んでいたLIGHT BRINGERでシーンに登場したFuki初のソロプロジェクトとしては申し分ない仕上がりとなっていると思います。

【音源紹介】
「輝く夜へようこそ!」(Music Video Short ver.)

LIGHT BRINGER「MONUMENT」(2014)

  • 2019/04/23(火) 00:00:00

MONUMENT.jpg
【No.530】
★★★(2014)
年間ベスト2014年ノミネート作品

アルバム発売の僅か数日前にあたる2014年11月1日に年内をもって無期限の活動休止に入ることを発表したLIGHT BRINGERの5作目にして現時点でのラストアルバム。活動休止の主な要因はリーダーでメインソングライターでもあるHibiki(B/ALHAMBRA)が燃え尽き状態に陥ってしまったことにあるようでHibikiが脱退を申し出たところ、メンバー達は彼抜きでLIGHT BRINGERを続けるのではなく活動休止を選んだのだそうです。そんなHibikiのモチベーションの変化は作曲クレジットにも如実に表れていて、前作「SCENES OF INFINITY」(2013) では全ての作曲に関わっていたのに対して今回は2曲のみで大半はMao(Key)のペンによる曲となっています。活動休止を発表した当初のコメントではHibikiが音楽活動そのものから身を引いてしまう可能性すらありそうでしたがYuhki(Key/GALNERYUS)率いるALHAMBRAにはそのまま在籍しているし、2017年には北の凶獣SABER TIGERに加入するなどベーシストとしては今も精力的に活動しています。インタビュー記事などを読んでいても彼が曲を書くときには細部にまで強いこだわりを持っているように感じられたので、創作面から距離を置きプレイヤーに徹したかったということなのかもしれません。

メインソングライターが代わりHibiki BRINGERからMao BRINGERとなったことにより作風も変化していて前作に溢れていた力強さとメタリックな印象は後退。それに合わせてFuki(Vo)のボーカルは更に幅を広げていてアメリカンなハードロック④Dicerではくだけた歌い方、ポップサイドに振り切れた⑤「魔法」では力を抜いた歌唱を披露しています。Maoが書く楽曲は淡々と流れていく印象が強いため、Hibiki曲を主体とした中に数曲あるくらいだとほどよいアクセントになるのですがMao曲メインの作品となると地味に感じてしまうというのが正直な感想です。一般的に見れば十分魅力的なのは事実ながら、LIGHT BRINGERの過去作品と比べるとインパクトに欠ける感は否めませんね。

ハイライトとなっているのは本作では浮いてしまうほどのメタリックチューン⑥ICARUS、そしてアルバム本編を⑧monumentという、Hibikiが関わった2曲ですね。特に⑧は序曲①「旅途」に続く疾走曲②Clockwork Journeyと対になった歌詞らしいのですが「時計仕掛けの旅はここで途切れている」という歌い出しを始めとしてバンドの終わりを連想させる内容なので、これまでLIGHT BRINGERを応援してきた身としてはウルっときてしまいます。個人的には静寂の後に「カチッ…カチッ…」と秒針を刻むSEが入り、そこからサビに繋がる4:45辺りで胸が熱くなりました。ひとつの作品として見るとLIGHT BRINGERの中ではお気に入り度は高くありませんが、本作のように落ち着いたアルバムの先にとんでもない名盤を生み出してくれるのではないかという気がするだけに彼等の「次」が聴きたかったですね。LIGHT BRINGERが活動を再開してくれることを心から願っています。

【音源紹介】
monument

【CD購入録】BATTLE BEAST「NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS」(2019)

  • 2019/04/15(月) 00:00:00

【CD購入録】
NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS
BATTLE BEAST「NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS」(2019)

今年の2月に2nd「FROM HELL WITH LOVE」をリリースしたBEAST IN BLACKを率いるAnton Kabanen(G)がかつてメインソングライターとして在籍していたBATTLE BEASTの5作目。Antonは追い出されるような形でバンドを脱退したためBATTLE BEASTとの関係性は悪いのですが、BEAST IN BLACKとBATTLE BEASTが2枚続けて同じ年に新作を完成させるとは因縁めいたものを感じますね。今回もAnton不在で制作した第1弾アルバムにあたる前作「BRINGER OF PAIN」(2017)を継承した作風でありながら、バンドの大衆化を更に推し進めた仕上がりとなっています。それを象徴しているのがBON JOVIIt's My Lifeを連想させるパートもある④Unfairy Tales、もはやメロディックロックと呼んでもよさそうなポップソング⑤Endless Summerの2曲ですね。勿論メタリックなナンバーも収録していて、文字通り拳を突き上げたくなる勇壮なメロディと女傑シンガーNoora Louhimoのシャウトが熱い⑨Raise Your Fists、待ってましたの疾走曲⑩The Golden Hordeなどが気に入っています。またシアトリカルな雰囲気を醸し出すタイトル曲②No More Hollywood Endingsは新鮮だし、メロウなバラードもきっちり聴かせてくれるのも好印象。作品を重ねる毎に鋼鉄成分が希薄になっているのは事実ながら相変わらず僕好みのメロディが楽しめる1枚ですね。

LIGHT BRINGER「SCENES OF INFINITY」(2013)

  • 2019/03/31(日) 00:00:00

SCENES OF INFINITY
【No.529】
★★★★★(2013)
年間ベスト2013年第1位

メジャーデビューシングル「NOAH」(2011)発売前にソングライターの1人でnoahも作曲していたKazu(G)がバンドを離脱、メジャー第1弾アルバム「GENESIS」(2012)リリース後にはSeiya(G)、Satoru(Ds)が脱退するなどメンバーチェンジが相次いでいたLIGHT BRINGERのメジャー2作目にして通算4枚目となるアルバム。JaY(G)Yumi(Ds)を迎えた新体制の第1弾となる本作はグッとメタル度を増した仕上がりとなっています。前作はこのバンドにしてはキャッチーさを抑え、深みを増したように感じられる作風でしたが今回は「GENESIS」の路線を継承しつつ一度聴いただけでガツンと来るインパクトがありますね。そんな特色は緊張感溢れるイントロとFuki(Vo)の強力なシャウトが響く①Hyperionでいきなり発揮されています。これまで以上に壮大な世界観が広がっていて、冒頭からエンディングに至るまで大仰かつ濃密なサウンドは圧巻です。

そんなオープニングの勢いを引き継ぐ軽快なアップテンポ②Fallen Angelを挟んで繰り出される③ifはアニソンテイストと切ないメロディが高次元で融合し、ドラマティックに展開していくメタリックチューンで①から③までの畳み掛けは凄まじいものがあります。これまでにはなかった怪しさが漂う④「孔雀とカナリア」、曲調と歌詞の両方にダークな雰囲気が感じられる⑤「人形が見た夢」辺りは新機軸と言えそうだし、LIGHT BRINGERがFukiだけのバンドではないことを雄弁に語るインスト⑥Eau Rougeから懐かしさを感じる歌謡曲タイプ⑦Hydrangeaに繋がる構成もグッド。ここまでも充実した内容の本作ですがHearn's HeavenDream!に匹敵する「これぞラブリー!」な名曲にして、インディーズ時代の1st「TALES OF ALMANAC」(2009)に登場する男女の後日譚を描いた⑧「Tales of Promise~天国に寄せるポエトリー~」が大きなハイライトとなっていますね。そしてキーボードを主体とした⑨Infinite Fantasyは最後に少しだけボーカルが入る2分弱の小品。本作には10曲が収録されていますがエピローグのようなこの曲が事実上のラストトラックだと思っています。

⑩VenusはLIGHT BRINGERとしては珍しくオルガンが引っ張っていくハードロックで僕は直感的にDEEP PURPLEを連想しました。歌詞も他曲とは一線を画す砕けた感じなので陰陽座でいうところのお祭りソングの位置付けにあたる曲でしょうか。過去にLIGHT BRINGERの代表曲を生み出してきたKazuを欠いたバンドがどう変化するのか注目していましたがほぼ全曲をリーダーのHibiki(B/ALHAMBRA)が手掛け、一部をMao(Key)と共作することで完成した本作は骨太でメタリックな印象が強く僕好みですね。それでいて⑦や⑧のようにKazuが書きそうな曲もあって良いアクセントになっているのも見逃せません。僕にとってラブリーの最高傑作はこのアルバムですね。

【音源紹介】
Hyperion

LIGHT BRINGER「GENESIS」(2012)

  • 2019/03/21(木) 00:00:00

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【No.528】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

インディーズで「TALES OF ALMANAC」(2009)、「MIDNIGHT CIRCUS」(2010)の2枚を発表し、注目を集めていたLIGHT BRINGERのメジャーデビューアルバム。ソングライターの1人で主にJ-POP寄りの楽曲を手掛けるイメージが強かったKazu(G)が脱退後、初めてのアルバムですが本作には彼のペンによる曲も収録されています。ひたむきでキャッチーなメロディをFuki(Vo)が力強く歌うことで完成するバンドの魅力がストレートに伝わってきた過去作品に対して、今回は手練揃いのプレイヤー達が生み出すプログレッシブな曲展開や凝ったアレンジ前に出ていますね。アルバムジャケットやブックレットではFukiばかりがピックアップされている印象なので中身の方で演奏陣がこれまで以上にアピールしてくれているのが頼もしい限りです。

序曲にあたるインスト①「創世」からメタリックチューン②arkにつながるという幕開けは前作と同じながら、今回の②はDREAM THEATERフリークを自認するHibiki(B/ALHAMBRA)らしさが溢れるプログレッシブな疾走曲で一筋縄ではいかない展開がクセになります。全曲で弾きまくっているHibikiのベースは特にこの曲ではウネリまくっていて、メジャーデビューの実質1曲目に対する気合いが感じられますね。続く先行シングル曲③noahはストレートなナンバーで十分カッコいいものの、これまでとは質感が多少異なり一撃で心を撃ち抜かれるようなメロディは控えめですし、その後も聴かせるタイプの曲が並びます。とびきりキャッチーな⑦Just kidding!を交えつつも、アニソンとメロパワが理想的な融合を果たしたHearn's HeavenDream!のような「これぞLIGHT BRINGER!」という曲調は出てきそうで出てきません。それだけにラブリーサウンドの極致と呼べそうなラスト曲⑪Love you♡がもたらすカタルシスは絶大ですね。

LIGHT BRINGERのスタイルを確立した前作と比べて今回は耳に残るメロディが減少したと感じたのも事実ですが、繰り返し聴くほどに味わいが増すスルメ盤です。そんな中で圧倒的な存在感を放っているのがFukiの歌声で、従来の伸びやかさに加えて表現力も増しています。⑨espoirで披露している低音域は彼女が憧れの存在と語る黒猫(Vo/陰陽座)を彷彿とさせますね。そんなボーカルとバトルを繰り広げ、時にはお互いを高め合うようなインストパートとのバランスがとにかく絶妙。LIGHT BRINGERらしさは維持しつつ楽曲の深みが増した本作はメジャーデビューに相応しい1枚だと思います。

【音源紹介】
noah

LIGHT BRINGER「MIDNIGHT CIRCUS」(2010)

  • 2019/02/24(日) 00:00:00

MIDNIGHT CIRCUS
【No.527】
★★★★(2010)

「ラブリー」の愛称で親しまれているLIGHT BRINGERの2ndアルバム。僕は本作とデビューアルバム「TALES OF ALMANAC」(2009)を同時期に買ったのですが、ポップなサウンドが強調されていた1stに比べて今回はグッとメタル度を増しているのが印象的です。あどけない少女のような一面もあったFuki(Vo)はパワフルで伸びのある歌声はそのままにドスの効いた低音も披露しているし、元々テクニカルだった演奏陣もよりタイトになって各パートにしっかりと見せ場が設けられています。それに加えて前作のウィークポイントだった音質面も改善されていて、あらゆる面で成長振りを見せてくれていますね。

アルバム開始と同時にDiamondのキャッチーなサビメロが流れてきたデビュー作とは打って変わって今回は文字通りアルバムの幕開けを告げる序曲①「開幕 -Instrumental-」から疾走曲②Resistanceへ繋がる「いかにもメタル」なオープニングとなっていてニヤリとさせられます。張り詰めた空気と徐々に盛り上がっていく展開が秀逸な③Le Cirque de Minuit~真夜中のサーカス~、90年代J-POP的なメロディ運びを見せる④「奇跡」、切なさたっぷりのミドル⑥「今にも落ちてきそうな空の下で」と僕の耳を捉える楽曲が目白押しですが本作のハイライトは⑦Dream!ですね。アニソン風の突き抜けたメロディと真っ直ぐな歌詞で駆け抜け、後半には作曲者でもあるKazu(G)のビジュアル系っぽいボーカルや前作収録のWe're All In This Togetherのフレーズを交えつつパッヘルベルの「カノン」も飛び出すこの曲はラブリーを代表するナンバーですね。この曲を聴くためにアルバムを買う価値があると言っても過言ではないでしょう。

作品としてはそんな⑦が本編ラスト、それ以降はボーナストラック扱いでネオクラシカルな雰囲気も漂う⑧Lazy Maze、前作に収録されていた典型的ラブリーチューン⑨Hearn's Heavenはリメイクとなっています。どちらもピアノを効果的に使っていて連続性が感じられるのもいいですね。ちなみに①と⑤IT'S SHOWDOWN -Instrumental-はインスト、③も既発曲なので純然たる新曲数だけ見ると物足りなく感じるかもしれませんが、入手困難な作品に収録されている曲もあるので個人的には満足しています。メロディックメタルにアニソン、J-POPの要素を加えつつ激しいインストパートもしっかり聴かせるというLIGHT BRINGERのスタイルは本作で確立されたと思っています。

【音源紹介】
Dream!

【CD購入録】WITHIN TEMPTATION「RESIST」(2019)

  • 2019/02/15(金) 00:00:00

【CD購入録】
RESIST_2019010923254742d.jpg
WITHIN TEMPTATION「RESIST」(2019)

ヨーロッパを代表するシンフォニックメタルバンドの名に相応しい傑作アルバム「HYDRA」(2014)をリリース後、燃え尽き症候群のような状態に陥り解散も意識したというWITHIN TEMPTATIONの7作目。バンド史上最大と言ってもいいくらいの危機を乗り越えて完成させた本作は、相変わらずハイクオリティで大物の風格を感じさせる極上のサウンドです。彼等にしては珍しいアップテンポDangerousも収録していた前作に比べると地味な作風ですが、ついリピートしたくなる不思議な魅力がありますね。印象的なキーボードのフレーズが曲を引っ張っていく①The Reckoningからラストに相応しい壮大な雰囲気を持つ⑩Trophy Hunterまで、このバンドらしい楽曲が並んでいます。惜しむらくはミドルテンポの曲が続くためHR/HMならではの高揚感が希薄な点でしょうか。解散の危機をなんとか乗り切ったバンドの今後に注目したいですね。

LIGHT BRINGER「TALES OF ALMANAC」(2009)

  • 2019/02/10(日) 00:00:00

TALES OF ALMANAC
【No.526】
★★★(2010)

今や日本のメタルシーンを代表する歌姫となったFuki(Vo)ALHAMBRAなどにも在籍しているHibiki(B)の2人が結成したメロディックメタルバンドLIGHT BRINGERの1stアルバム。僕はDRAGON GUARDIANの3rd「DRAGONVARIUS」(2009)でFukiの歌を初めて聴きLIGHT BRINGERに興味を持ちました。次作「MIDNIGHT CIRCUS」(2010)でメタル度を増す彼等ですが、本作ではアニソン風の突き抜けたメロディや90年代J-POPを連想させるアレンジが特徴的なサウンドに仕上がっています。そこにDREAM THEATER好きのHibikiが持ち込んだと思われるプログレメタル要素が加わることで、他のバンドでは聴けないLIGHT BRINGERならではのスタイルとなっていますね。

イントロも何もなく唐突にキャッチーなサビから始まる①Diamond、晴れ渡る青空が目に浮かぶ躁系メロディで駆け抜ける②Upstream Childrenという2つのアップテンポチューンで掴みはバッチリ。その後は勢いで押し切るのではなくJ-POPテイスト強めのキャッチーソング④We're All In This Together、優しいメロディに酔いしれる⑤「Frothy Summer〜真夏の夜の夢〜」⑥Red Spider Lilyから⑧「Closed Sister〜雪待月の妹〜」までのフックに満ちたミドル3連発なども聴き応えがありますね。そして終盤に配された「これぞLIGHT BRINGER!」な名曲⑪Hearn's Heavenも輝いています。12曲を収録している本作は1年12ヶ月をテーマにして1曲ずつ作ったアルバムだそうで、たしかに季節を連想させる曲名がチラホラありますね。

まずはデビュー作にしてここまで魅力的な楽曲群を揃えていることに脱帽。作曲クレジットを見るとHibikiだけでなくKazu(G)、Mao(Key)も作曲に関わっていて複数のソングライターを擁するバンドならではの強みが感じられますね。看板シンガーであるFuki嬢についても2019年現在のような凄みはないものの、あどけなさが残るひたむきな歌唱だからこその味があります。LIGHT BRINGERの作品の中でもポップな部類に入るとメンバー自身が語っている通り、他のアルバムとは異なる作風ですがバンドのルーツが垣間見える1枚だと思います。ちなみに本作は既に廃盤となっているため中古市場で1万円以上の高値がついているようです。

【音源紹介】
Diamond

【CD購入録】ALHAMBRA「THE EARNEST TRILOGY」(2016)

  • 2018/12/18(火) 00:00:00

【CD購入録】
THE EARNEST TRILOGY
ALHAMBRA「THE EARNEST TRILOGY」(2016)

GALNERYUSの鍵盤奏者としても名を馳せるYuhkiのメインバンドALHAMBRAの5作目を買いました。このアルバムは通算5枚目と言われていますが純然たる新作というわけではなく2010年リリースの「SOLITUDE」の再録が6曲、新曲が4曲という変則的な作品となっています。Yuhkiによると「SOLITUDE」は元々シングルとして発表したかったものの、レーベル側の意向で無理矢理アルバムにしたという背景があり出来にも満足していなかったそうです。たしかにリメイクした曲は良くなっていると思うし、新曲も違和感なく溶け込んでいるので「SOLITUDE」の完全版と言えるのかもしれません。気になる新曲については初めて英詞に挑戦した④Warning You!はサビが比較的キャッチーなメロパワ系、「⑨Das Rheingold ~ラインの黄金~」は曲調と歌詞世界観ともに大仰なALHAMBRAらしさに溢れたナンバーでどちらも満足度は高いですね。ちなみにあと2つの新曲①Appassionata、⑧Close Your Eyesはプレリュード的なインスト小品なので、僕のように「SOLITUDE」を持っているファンにとっては食い足りなさが残りますが、作品単体として見ればなかなかの力作だと思います。

【CD購入録】UNLUCKY MORPHEUS「CHANGE OF GENERATION」(2018)

  • 2018/11/04(日) 00:00:00

【CD購入録】
CHANGE OF GENERATION
UNLUCKY MORPHEUS「CHANGE OF GENERATION」(2018)

LIGHT BRINGERが無期限の活動休止状態となって以降、Fuki(Vo)の音楽活動のメインとなった感のあるUNLUCKY MORPHEUSが結成10周年の節目に発表したニューアルバムを買いました。彼等のことは以前から知っていて「アニソンをメタルアレンジして聴かせるプロジェクト」という認識だったのでスルーしていましたが、数年前からオリジナル曲を書くようになったと知り購入しました。本作で聴ける清々しいほどのメロディック・パワーメタルを基本にグロウルやラウドロック、メロウなバラードも取り入れたサウンドは僕好みですね。序曲①CAMBIO DI GENERAZIONEからメロパワ疾走曲②Knight of Swordに繋がる流れはお約束と分かっていても燃えます。この曲はYNGWIE MALMSTEENが名インストFar Beyond The Sunをライヴで演奏する際に導入部としてプレイするパガニーニのヴァイオリン協奏曲を彷彿とさせるフレーズを用いたクサい劇的チューンだし、③CADAVERの主旋律を逆再生すると④REVADACのメロディになるという驚愕の仕掛けが施された2曲も仕掛け抜きで聴いても十分楽しめるナンバーで一気に引き込まれました。また正式メンバーに名を連ねるヴァイオリン奏者Jillの演奏が活きる儚いバラード⑦「鎮昏歌」紫煉(G)FREEDOM CREATORSというプロジェクトに提供した曲をセルフカバーした⑫「囚われの僕ら (Unlucky Morpheus Ver.)」、⑬「願いの箱舟 (Unlucky Morpheus Ver.)」もメタリックな本編とは一線を画したボーナストラックのような役割を果たしていて好印象。既発曲がいくつか含まれているため従来からのファンにとっては食い足りなさが残るかもしれませんが、本作が入門盤となる僕にとっては充実した楽曲が並ぶ1枚です。

【CD購入録】浜田 麻里「GRACIA」(2018)

  • 2018/09/21(金) 00:00:00

【CD購入録】
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浜田 麻里「GRACIA」(2018)

今年でデビュー35周年を迎える大ベテランでありながら、そのハイトーンボイスは衰えるどころか一段と冴え渡っている浜田 麻里の26作目を買いました。前作「MISSION」は2016年にリリースされた新譜の中でも頭ひとつ抜きん出た名盤だったので今回も期待していましたが、それにしっかりと応えてくれる力作に仕上がっています。一聴して感じるのは前作以上にメタル度をグッと増しているということですね。特に若井 望(G/DESTINIA)が作曲に関わった①Black Rain、②Disruptor、③Orienceの冒頭3曲が強力なメタリックチューンで心を鷲掴みにされました。ゲスト演奏陣に関しても豪華さはそのままにギタリストにはPaul Gilbert(MR.BIG etc)Chris Broderick(ex-MEGADETH)、Michael Romeo(SYMPHONY X)、Chris Impellitteri(IMPELLITTERI)といったプレイヤーが新顔として参加していて楽曲に華を添えています。またアルバム中盤に配された歌謡曲風のメロディアスチューンも胸に沁みるし、終盤もハードな⑩Dark Triadから凄まじいハイトーンが響く⑪Mangataで締めくくる圧巻の流れです。今回もかなりのお気に入り盤になりそうな気がしています。

【CD購入録】BEYOND THE BLACK「LOST IN FOREVER」(2017)

  • 2018/07/29(日) 00:00:00

【CD購入録】
LOST IN FOREVER
BEYOND THE BLACK「LOST IN FOREVER」(2017)

KISSIN' DYNAMITE「GENERATION GOODBYE」(2016)KAMELOT「THE SHADOW THEORY」(2018)でリードボーカルJennifer Haben嬢が客演していることがきっかけでその存在を知ったBEYOND THE BLACKの2作目を買いました。音楽性としてはシンフォニック/ゴシック要素もあるメロディックメタルでJenniferの歌をメインに据えつつ、時折グロウルも織り交ぜていてWITHIN TEMPTATIONに近い印象も受けますね。母国ドイツでは当初から注目を集めていたようでバンドが結成された2014年にヴァッケン・オープン・エアに出演を果たすと2015年には欧州メタル界きっての名プロデューサーSascha Paethを迎えた1stフルレンス「SONGS OF LOVE AND DEATH」で華々しくデビュー、本作もSaschaプロデュースの下で制作されています。その後も2017年にはLOUD PARKで初来日を果たし、2018年8月には3rd「HEART OF THE HURRICANE」をリリース予定と、その勢いは衰える気配がありません。本作に関してはオープニングのタイトル曲①Lost In Foreverが掴みとして申し分ないし、それ以降もゴシックサウンドは味つけ程度に抑えてパワーメタルを基本としているのも好印象です。なお④Against The WorldKISSIN' DYNAMITEのカバー、それ以外のオリジナル曲についてもHannes Braun(Vo/KISSIN' DYNAMITE)、Sascha Paethが作曲に関わっているだけあってハイクオリティな楽曲が並んでいますね。

【CD購入録】HALESTORM「INTO THE WILD LIFE」(2015)

  • 2018/04/25(水) 00:00:00

【CD購入録】
INTO THE WILD LIFE
HALESTORM「INTO THE WILD LIFE」(2015)

これまでに発表した2枚のアルバムがどちらも優れた歌モノハードロック作品だったHALESTORMの3作目を買いました。前作「THE STRANGE CASE OF...」(2012)が素晴らしい出来だったので本作には期待をしていたのですがリリース当時の評判がいまひとつだったこと、2015年は聴きたいアルバムが他に沢山あったことなどから買うのが遅くなってしまいました。いざ聴いてみると確かに世間の(主に日本での?)評価がさほど高くないというのもわかる気がします。端的に言うならHR/HMらしさが減退し、一度聴いただけで口ずさめそうなメロディも少なくなっているので第一印象が弱く感じられます。過去2作品はキャッチーなサビから始まるIt's Not You、バンド屈指のハードチューンLove Bites(So Do I)といった即効性抜群の曲をオープニングに配していたのに対して、本作の①Screamはゆっくりとアルバムの幕開けを告げるタイプで従来とは違う要素を感じさせます。徐々に激しさを増していく②I Am The Fire、アルバム随一のアグレッションで攻め立てる⑦Mayhemなどもありますが、一聴して胸が空くようなナンバーは少ないのでどうしても地味に感じてしまいますね。といいつつリピートするうちにこれはこれでアリかもと思わせるのはLzzy Hale嬢(Vo)の歌唱力に依るところが大きいかな。ピアノ主体のバラード⑤Dear Daughter、印象的なギターメロディとナーナーコーラスが耳に残る⑨Gonna Get Mineから⑩The Reckoningに繋がる流れも気に入っています。HALESTORMを初めて聴く方には過去作品をオススメしたいですが、本作もスルメ盤的な魅力がありますね。

HALESTORM「THE STRANGE CASE OF...」(2012)

  • 2018/04/21(土) 00:00:00

STRANGE CASE OF
【No.512】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

2009年にバンド名を冠した1st「HALESTORM」でシーンに登場すると本国アメリカで好調なセールスを記録、翌年のLOUD PARK10出演のタイミングで日本デビューも果たしたハードロックバンドHALESTORMの2ndアルバム。デビュー作の時点で新人離れした完成度を誇っていましたが、今回は更に進化していて「化けた」と言っても過言ではないほどのパワーアップを遂げていますね。元々魅力的だったメロディはキャッチーさを増しているしハードに畳み掛ける曲からバラード、ポップチューン、ブルーズ風などバラエティにも富んでいます。そんな中でも突出しているのが前作にはなかったゴリゴリのハードチューン①Love Bites(So Do I)でしょう。バンドはこの曲で第55回グラミー賞の最優秀ハード・ロック/メタル・パフォーマンスを受賞しています。ちなみに2017年に1stアルバム「AWAKENING FROM ABYSS」をリリースした国産ガールズメタルLOVEBITESのバンド名はこの曲から来ているそうです。

そんな①でガツンとかました後も②Mz. Hyde、③I Miss The Misery、④Freak Like Meとパンチの効いたナンバーを立て続けに繰り出したかと思うと⑤Beautiful With Youからは一転してバラード3連発。前作でもバラードを中盤に2曲続けていましたが今回もメジャー感たっぷりの⑤、曲が進むに連れて盛り上がっていく⑥In Your Room、ピアノでしっとり聴かせる⑦Break Inと各曲のキャラが立っていて飽きさせません。後半もリズミカルな曲調にライヴの楽しさを歌った歌詞が乗る⑧Rock Show、「ナ〜ナ、ナナナ」の力強いコーラスで始まる⑨Daughters Of Darkness、ダーティな歌い回しがカッコいい⑩You Call Me A Bitch Like It's A Bad Thing、土臭い古き良きロックサウンド風に始まりシンガロングを誘うコーラスへ繋がる⑪American Boysときてラストを牧歌的なバラード⑫Here's To Usで本編を締めくくる構成もいいですね。

また僕が持っている国内盤にはボーナストラックとしてバンドが2011年に発表した6曲入りカバーEP「ReAniMate: The CoVeRs eP」からSKID ROW、LADY GAGA、TEMPLE OF THE DOG、HEART、THE BEATLESのカバー5曲を聴くことができます(何故かGUNS N'ROSESOut Ta Get Meだけ未収録)。どの曲もHALESTORMらしい仕上がりとなっていますが、やはり⑬Slave To The Grindが秀逸ですね。ボートラも含めると全17曲と収録曲数は多めながらダレることがないのも好印象。そして特筆すべきはLzzy Hale(Vo)の存在感抜群の歌声で、彼女のボーカルパフォーマンスが作品の格を一段も二段も上げていることは間違いありません。②ではジキル博士とハイド氏を意識した曲名にあるような二面性をボーカルで表現しているほか、吐き捨て系の歌い方を披露したかと思えば、メロウな曲では一転して可憐な表情を見せたりと多彩。Lzzyは現代の女性ロックシンガーの中でも屈指の存在ですね。アルバムトータルで見ても僕にとってはNICKELBACK「THE DARK HORSE」(2008)、SHINEDOWN「THE SOUND OF MADNESS」(2008)と肩を並べるアメリカン・ハードロックの名盤です。

【音源紹介】
Love Bites(So Do I)

HALESTORM「HALESTORM」(2009)

  • 2018/03/28(水) 00:00:00

HALESTORM.jpg
【No.511】
★★★(2010)

アメリカはペンシルバニア州出身の4人組ハードロックバンドHALESTORMのデビューアルバム。バンドの歴史は意外と長く紅一点のLzzy Hale(Vo、G)Arejay Hale(Ds)のHale姉弟によって90年代後半に結成、当初は2人の父親がベースをプレイするなどしていたようですが、本作のラインナップが固まった2004年から2018年現在に至るまでメンバーチェンジはありません。複数のアルバムを発表していて結成時からメンバーが不変のHR/HM系バンドは結構珍しいですね。安定しているのはラインナップだけではなく作風も同じで超大手レーベルATLANTICからデビュー、プロデューサーはDAUGHTRY、FOOBASTANK、MY CHEMICAL ROMANCEなどを手掛けたHoward Bensonという前評判通りメジャー感バリバリのアメリカン・ハードロックに仕上がっています。

デビュー作とは思えないほどの風格が漂う本作ですが、それをより盤石なものにしているのがフロントウーマンLzzy Haleの歌唱です。女性でありながらAxel Rose(Vo/GUNS N' ROSES)、Sebastian Bach(Vo/ex-SKID ROW)が引き合いに出されることもある彼女の歌声は骨太かつパワフルで聴き応えがありますね。楽曲面も充実していて開始数秒で心を掴まれるキャッチーソング①It's Not You、力強さを前に出した②I Get Offへと続くシングル2曲を冒頭に配した構成は文句なし。③Bet U Wish U Had Me BackはDAUGHTRYを彷彿とさせる大らかなナンバーで、僕にとってはこういう曲こそ典型的アメリカン・ハードロックというイメージが強いですね。中盤は効果的なストリングスが曲を盛り上げるバラード⑤Familiar Taste Of Poison、前曲と同系統ながら歌とメロディの魅力で楽しませてくれる⑥I'm Not An Angelでスローダウンしておいて「ヘイ!ヘイ!」というコーラスをフィーチュアした⑦What Were You Expecting?で再びテンションが上がります。

Lzzyのボーカルパフォーマンスに注目してしまいがちですがバックを支える演奏陣も適度にヘヴィ、それでいて安定感があるので総合的に見ても歌モノハードロックの充実盤だと思います。ほぼ全曲が3分台、アルバム1枚で約37分とコンパクトに纏まっているのも好印象。贅沢を言えば、一度聴いただけで口ずさめそうなサビが印象的な⑩Dirty Workクラスの曲が後半にあと2〜3曲欲しかった気もしますが。2009年にリリースされた本作は全米で50万枚のセールスを記録、アメリカで話題の新人ロックバンドとして紹介されているCDショップの試聴コーナーが僕とHALESTORMの出会いでした。興味半分で試聴したその場でCDをレジに持っていってしまうほどのインパクトがありましたね。僕が持っているのは11曲入りの輸入盤ですがバンドがLOUD PARK10に出演直後のタイミングでライヴ音源2曲を追加した国内盤が発売されています。

【音源紹介】
It's Not You

LIV MOON「THE END OF THE BEGINNING」(2012)

  • 2017/11/27(月) 00:00:00

THE END OF THE BEGINNING
【No.504】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

2009年にデビューして以降、精力的な活動を続けるLIV MOONが前作「SYMPHONIC MOON」(2012)と同年にリリースした4作目。2nd「GOLDEN MOON」(2011)から本作発表まで僅か18ヶ月しか経っていないというワーカホリック振りです。そんな驚異的な活動ペースを支えているのは外部ソングライターの存在でしょう。正式メンバーである西脇 辰弥(Key)による楽曲は全14曲中3曲に止まり、丘 ナオキや前作で名曲Kiss me Kill meを手掛けていたKAZSINといったLIV MOON作品ではお馴染みのライターに加え今回はKee Marcello(G/ex-EUROPE)、Kiko Loureiro(G/ANGRA)、Magnus Rosen(B/ex-HAMMERFALL)といった海外HR/HM界でも名の通ったプレイヤーが作曲と演奏面で参加しています。

本作は北欧神話をモチーフにしたコンセプトアルバムで、テーマ選びにはヨーテボリ(イエテボリ)出身でもあるAkane Liv(Vo)のルーツが北欧にあることも関係しているようです(ちなみに彼女とMagnus Rosenは幼馴染なのだとか)。過去作品に比べると2ndのBLACK RUBY、3rdのKiss me Kill meに匹敵するほどのキラーチューンこそないものの、実験的なモダンサウンドを取り入れた楽曲が姿を消したこともあってアルバムの統一感は過去最高です。また、これまで以上にオーケストラサウンドが本格的になっていて、よりスケールの大きな作品となっています。小〜中学生の頃にファイナルファンタジーに夢中になっていたこともあって「ラグナロク」、「オーディン」など北欧神話関連の単語に馴染みはある一方で神話そのものに関する知識はない僕の場合、コンセプトに浸ることはできませんが純粋な音楽作品として愛聴しています。LIV MOONの最高傑作と呼べる仕上がりだと思いますね。

その名の通りの序曲①Prologueを受けて展開していく②Free your Soul、③Fountain of my Pleasureは全てKAZSINによるナンバーで改めてLIV MOONとの相性の良さを感じますね。また「ミ、サーマ、イー♪」というキャッチーなサビが耳から離れない丘 ナオキ作の⑧Midsummer Eveも気に入ってます。西脇作品で輝きを放っているのはAkane嬢が様々な声色を駆使して巨人や小人などのキャラクターを演じるタイトル曲⑥The End of the Beginningですね。この辺りは彼女の元宝塚女優としての経験が活かされているのでしょう。個人的なハイライトは郷愁を誘うメロディが堪らない⑫Immortals(Keeが作曲に関与)、元々はKikoから提供された疾走曲を思い切ってバラードにアレンジしたという⑬「黄金の涙」、曲名通り大海原をイメージさせる旋律がクライマックスに相応しい⑭Voyageと続く終盤ですね。「~MOON」で統一されていたアルバムタイトルの法則は今回当てはまらず「始まりの終わり」と名付けられた作品名から、このアルバムでLIV MOON第1章の締めくくり次のステージに入るのかと思っていたら、それまでのハイペース降りが嘘のように沈黙状態へと入ってしまうことに…。2015年に初のベスト盤「THE BEST OF LIV MOON」、2016年にはミニアルバム「R.E.D」をリリースしたLIV MOONの新作がそろそろ聴けると嬉しいですね。

【音源紹介】
「黄金の涙(Live)」

LIV MOON「SYMPHONIC MOON」(2012)

  • 2017/11/04(土) 00:00:00

SYMPHONIC MOON
【No.503】
★★★★(2012)

圧巻の歌唱力を誇るAkane Liv(Vo)をフィーチュアした国産シンフォニック・メタルユニットLIV MOONの3rdアルバム。Akane嬢と共にLIV MOONを立ち上げた西脇 辰弥(Key)によるナンバーを中心に、外部ライターからの楽曲も取り入れるスタイルを確立した前作「GOLDEN MOON」(2011)から僅か10ヶ月という短いスパンでのリリースとなります。今回はアルバム制作前から高音で歌うWHITE LIV、低音で歌うBLACK LIVという正邪のキャラクター分けをすることを念頭に置いていたのだとか。ただし、このコンセプトについては1曲の中にWHITE LIVとBLACK LIVが混在していることが多いため中途半端に思えるのも事実で、個人的にはアルバム前半と後半でWHITE/BLACKサイドに分けるなど線引きを明確にしてくれた方が嬉しかったですね。デビュー当初はソプラノボイスを売りにしていたAkane Livですが、ロウトーンで歌った前作の収録曲BLACK RUBYの評判が良かったことが低音域も取り入れるきっかけになったらしく、本作ではそんなBLACK LIVの割合が多めになっています。

妖艶なメロディにヴァンパイア目線のドSな歌詞(笑)が乗る①Amen!、シンフォニックメタルの王道②「零の天使」というオープニング2曲は清水 昭男(G/ANTHEM)が作曲、ギタープレイを担当していてLIV MOONの世界観にピッタリの楽曲を提供してくれています。そして本作のハイライトは何と言っても④Kiss me Kill meでしょう。Akane Livの歌唱、メロディ、楽曲の世界観のどれをとっても一級品でLIV MOONのひとつの到達点がここにあると思います。アルバム後半にはドラマティックに駆け抜ける⑦Black Serenade、ゆったりとした幕開けから爽やかな疾走パートに展開していく⑧心月世、LIV MOONにしては異色のダサかっこいい(?)男声コーラスを取り入れた⑨The Last Saviorといったメタリックチューンも収録しているのもグッド(⑨はCONCERTO MOONっぽいですね)。また終盤に配されたWHITE LIVサイドの歌唱が映えるバラード⑩「堕天使の笑み」、WHITE LIVとBLACK LIVが合わさって昇華されていく⑫Masqueradeなどのしっとり系ナンバーもアルバムをいい形で締めくくっています。

アルバムとしてお気に入り度では前作に軍配が上がりますが、タイトルにある通りシンフォニックメタルとしての焦点がこれまで以上に定まっている本作も好印象。前作の「よざくらん〜夜桜嵐〜」タイプにあたるエキセントリックな⑥Fugitiveは悪くはないもののアルバムの中で浮いてしまっていますが…。バンドメンバーも2ndから変更なくLIV MOONとしてのラインナップが固まってきた感がありますね。中でも大村 佳孝(G)のネオクラシカルプレイはLIV MOONの音世界に欠かせない要素になってきています。大きな武器であるソプラノボイスを抑えたボーカルパートやメタル以外の要素があることは賛否両論かもしれませんが、歌唱法の変化は成長過程のひとつ、メタル一辺倒ではない点はLIV MOONならではの特徴だと思っています。日本のシンフォニックメタルシーンを代表する存在への階段を着々と上っていることを感じさせてくれる力作ですね。

【音源紹介】
Kiss me Kill me(LIVE)

LIV MOON「GOLDEN MOON」(2011)

  • 2017/10/14(土) 00:00:00

LIV MOON GOLDEN MOON
【No.502】
★★★★(2011)
2011年年間ベスト第3位

デビューアルバム「DOUBLE MOON」(2009)リリース前にLOUD PARK 09への出演が決定、「4オクターブの美神」というキャッチコピーでBURRN!誌にインタビューが掲載されるなど鳴り物入りで国産メタルシーンに登場したLIV MOONの2作目。カバー曲を集めたミニアルバム「COVERS - SCREAM AS A WOMAN」(2010)発表後にAkane Liv(Vo)と作曲のイニシアチブを握る西脇 辰弥(Key)以外のメンバーがガラリと代わっています。シンフォニックメタルというよりシンフォゴシック要素もあるモダンロックという感じだったデビュー作に対して、元ANIMETALのベーシストMASAKIVitalij Kuprij(Key/ARTENSION etc)との共演経験もある大村 佳孝(G)を迎えた本作はメタル度がグッと向上していますね。

そんなメンバーチェンジの効果は早速表れていて、荘厳かつヘヴィなドラマティックサウンドの中でAkane嬢の歌声が響き渡る①「死の舞踏〜ディエス イレ〜」はシンフォニック・ゴシックメタルというジャンルの美味しいところを凝縮した1曲に仕上がっています。続く②SAY GOODBYE、③NOT GAME!も同系統のナンバーなので、この手の楽曲が目白押しかと思いきやアニソン、デジタリーな曲やJ-POP調のバラードまで多彩な表情を見せてくれます。中でも突出しているのはAkane嬢がこれまでにない低音ボイスを披露しているクサメロ疾走曲④BLACK RUBY、勇壮なメロディが映えるドラマティックチューン⑭「アマラントスの翼」の2曲で、これらを聴くために本作を買っても損はないと思えるほどのキラーチューンです。それらの影に隠れがちですが、フランスの画家ドラクロワの代表作「民衆を導く自由の女神」を題材にした⑧「ドラクロワの女神」も、そのテーマにマッチしたメロディが素晴らしい1曲となっています。それ以外にも、まるでQUEENなアレンジが印象的な⑩「バレリーナ・シンフォニー」、MASAKIのベースが唸り、ゲスト参加のSyu(G/GALNERYUS)が華を添える⑪「静かな奇跡 」、HR/HMファンだけでなく幅広い層にアピールできそうな⑬「溺れる人魚」など聴きどころがたくさんありますね。

前作は全て西脇作曲だったのに対して今回は複数の曲で外部ソングライターを迎えているのも特徴で前述の④は河田 貴央、⑭は坂部 剛という人が手掛けた曲です。本作以降、LIV MOONのアルバムは収録曲の約半数が外部ライターによるものなので、今回の作品でLIV MOONの作曲スタンスが確立されたという感じですね。メロディの充実度も大きく向上していて、音楽性を模索している感が強かったデビューアルバムと本作以降では大きな差があるので、このアルバムこそがLIV MOONの真のデビュー作品だと個人的には思っています。LIV MOONの顔でもあるAkane Livの歌唱に関しては、とにかく高音域で勝負していた1stアルバムよりも④に象徴されるような低い声も駆使していることもあって本作の方が断然好きですね。僕はこのアルバムを聴いてLIV MOONのファンになりました。

【音源紹介】
BLACK RUBY