【CD購入録】SABER TIGER「BYSTANDER EFFECT」(2015)

  • 2017/07/27(木) 00:00:00

【CD購入録】
BYSTANDER EFFECT
SABER TIGER「BYSTANDER EFFECT」(2015)

下山 武徳(Vo)復帰後としては3枚目、SABER TIGERの結成35周年記念にあたる通算11作目を買いました。本作は「キャッチーで大合唱できること」をテーマにした1枚だそうで、たしかにここ最近のアルバムと比べるとわかりやすい作品になっているように思います。このバンドにはもう少しわかりやすいメロディが欲しいと感じていたので、この方向性は歓迎ですね。また今回はSABER TIGERとして久し振りに日本語詞による楽曲が収録されています。下山が日本語で歌うのを聴いているとSIXRIDEを思い出しますね。第一印象としては、やはり日本語詞のナンバーの方がスッと耳に入ってくるし、中でも8分近くあるバラード⑨An Endless Endは胸に迫ってきます。全体的に見ればキャッチーになったと言っても、それはあくまでSABER TIGERにしてはの話なので僕の嗜好からすればもっとメロディアスになってもらってもいいのですが、そうなるとSABER TIGERらしさが揺らいできそうなので難しいところですね…。

DOUBLE DEALER「DESERT OF LOST SOULS」(2007)

  • 2015/04/25(土) 00:00:00

DESERT OF LOST SOULS
【No.428】
★★★★★(2007)
年間ベスト2007年第1位

2000年に国産メタルシーン注目のプロジェクトとしてデビュー、活動休止期間を経て2005年に3rd「FATE & DESTINY」で復活したDOUBLE DEALERの4作目にしてラストアルバム。2006年には初のライブアルバム、DVDを発表するなど活動が軌道に乗ったかと思いきや、今回のアルバム制作中に島 紀史(G)のマネージャーと下山 武徳(Vo)の間で生じたトラブルがきっかけでリリース時には既にバンドが解散していたという、いわくつきの1枚でもあります。レコーディングが終了する前にトラブルが起きたため下山はバンドを脱退。一時はアルバムの発売自体が危ぶまれたものの、歌入れは済んでいたこともあり何とかリリースにこぎつけたという内部事情とは裏腹に内容は素晴らしいの一言。

前作もよくできたHR/HM作品でしたが、その手堅い作風が物足りなくもありました。ところが、今回はSABER TIGERを彷彿とさせる攻撃性と下山の迫力満点のボーカル(一部エフェクトあり)が炸裂するオープニング①Howl Of The Wolfからしてバンドの気迫、熱気が違います。フックに満ちた歌メロとギターソロがカッコいい②Like A Free Wind、曲の後半からエンディングにかけて怒涛の盛り上がりを見せる⑧Heart Never Bendsといったハードロック系、バラードのない本作で重要な役割を果たす哀愁ミドル④Star In The Dawn、待ってましたの疾走チューン⑤Judgement、キャッチーなコーラスが耳に残る⑥Cats In A Backyardなど、その後も芯はHR/HMにありつつも表情豊かな楽曲が続きます。それに加えてアルバム終盤ではFAIR WARNINGにも通じる爽やかなメロディを持ったDOUBLE DEALER流メロハー⑩Withered Grasses、ジャーマンメタルの香りも感じさせる疾走曲⑪Stained Lifeといった新機軸も見せていてバンドとしての伸びしろがまだあることを感じさせてくれますね。それだけにバンドがもう存在しないという事実がただただ残念でなりません…。

そんな楽曲群の充実もさることながら弱点だった音質面も改善されていて、プレイボタンを押した瞬間に今回は音が違うと感じたし礒田 良雄(Ds)の凄みもこれまで以上に伝わってきます。バンドの2枚看板は島と下山ですが礒田のドラミングもDOUBLE DEALERサウンドには欠かせませんね。多彩な音色で曲を彩るキーボードプレイヤー小池 敏之、楽曲に勢いをつけるベースラインとテクニックを持った木本 高伸(B)を加えたラインナップは日本のメタルシーンでも屈指の顔ぶれでしょう。個性のぶつかり合いがケミストリーを起こしたデビュー作も素晴らしかったですが、バンドとしての結束を増した末に完成した本作もまた名盤です。不本意な形で解散に至ってしまったDOUBLE DEALERですが、今年の7月に開催されるANTHEMのデビュー30周年記念フェスで一夜限りの復活をするそうですね。1st「DOUBLE DEALER」を2000年、本作を2007年の年間ベスト第1位に選出した僕としては、これをきっかけに継続的な活動に繋げてもらいたいのですが果たして…?

【音源紹介】
Like A Free Wind

DOUBLE DEALER「FATE & DESTINY」(2005)

  • 2015/04/22(水) 00:00:00

FATE & DESTINY
【No.427】
★★★(2005)
年間ベスト2005年第8位

2nd「DERIDE ON THE TOP」(2001)発表後に島 紀史(G)CONCERTO MOON下山 武徳(Vo)SABER TIGERといったメインバンドに活動の軸を戻したため自然消滅したかに思えたDOUBLE DEALERでしたが2004年に入りCONCERTO MOON、下山がSABER TIGER脱退後に立ち上げたSIXRIDEの両方が活動停止となったことで再始動。約4年振りとなる通算3枚目のアルバムが本作です。島と下山のぶつかり合いが化学反応を起こしたセルフタイトルのデビュー盤は素晴らしかったのに対し、前作が消化不良気味だったので一抹の不安もありましたが今回はなかなか良いですね。出たトコ勝負でレコーディングしたという過去2作と違い、今回は合宿をするなど時間をかけて制作したのが功を奏したのかもしれません。

期待を煽る長めのイントロからメロパワ風に展開する①Stream Of Time、「これぞ島 紀史!」なギターソロが炸裂する②The Cruel End、一際キャッチーなメロディが胸に響くリーダートラック③No Reasonの3曲はどれも強力。下山のボーカルも柔軟性を増していて、早口でたたみかける歌い方がカッコいい④Shedded Blood、力を抜いたサビでの歌唱が絶妙な⑥The Beast Fang To Tear Downなどが新鮮ですね。「北の凶獣」SABER TIGERで披露していた激しい歌唱に加えて、歌をメインに据えたSIXRIDEでの経験を積んだ後だからこそのパフォーマンスだと思います。またアルバム後半もゴスペルパートをバックに下山が熱唱するバラード⑦Pieces Of My Soul、メロウかつヘヴィな⑨Flame Of Regret、本編ラストに相応しいメタルチューン⑩Forgive All The Liesなどが並び前作ほとテンションが下がらないのも好印象。

アルバム全体としては、これまで以上にサウンドが洗練されているように感じますね。それを象徴しているのが下山の声を重ねたボーカルハーモニーの導入で①、③、⑦などを筆頭に大きな効果を発揮しています。これまでは各メンバーが他のバンドとの掛け持ちだったのが、本作からDOUBLE DEALER一本に集中できる環境になったことで前作の弱点だった楽曲の練り込み不足は解消されています。その一方で、島と下山がガチンコでぶつかり合うことで生まれていた熱気が減退しているのも事実だったりするのですが…。一度聴いただけで打ちのめされる超名曲はないものの安定感がある作品なので、良くも悪くも手堅い1枚だと思います。

【音源紹介】
No Reason

SIXRIDE「SIXRIDE」(2004)

  • 2015/04/07(火) 00:00:00

SIXRIDE
【No.426】
★★★★(2004)
年間ベスト2004年第4位

「アニキ」の愛称で親しまれている魂のボーカリスト下山 武徳(Vo/DOUBLE DEALER、ex-SABER TIGER)率いるSIXRIDEの2ndアルバム。基本的にはデビューアルバム「TICKET TO RIDE」(2003)で確立した歌謡曲テイストもあるジャパニーズロックを継承していますが、前作に若干残っていたSABER TIGER風のゴリゴリメタルチューンは姿を消しているため一段とメロディアスになったように感じます。バンドのメインソングライター青柳 慎太郎(G)のメロディセンスが冴え渡る楽曲群、喜怒哀楽を見事に表現した下山の圧倒的な「歌」の説得力と胸に突き刺さる歌詞が一体となって迫ってくるSIXRIDEの魅力がダイレクトに伝わってきますね。

静かなイントロで始まり終盤は鬼気迫る歌唱でドラマティックに盛り上がる①「マグダラ」、そこから間隔を開けずに続く②「三千世界」は前曲の勢いをうまく引き継いだ絶妙なミドルチューンとなっていて、この冒頭2曲で僕は本作の世界に引き込まれました。それ以降もSIXRIDEを代表するバラードと呼べそうな③「蒼い刻」、哀愁と親しみやすさが融合したハードロック④「蜃気楼の彼方」が並び、デビュー作を超えるのではという期待感を抱かせてくれます。バンドのヘヴィサイドを強調した⑤Black Native World以降は若干テンションが下がるものの、シャッフル調のリズムが新鮮で心地よい⑥Float Flower、リリカルなピアノと下山の繊細な歌唱が胸に沁みる叙情バラード⑦「月影」(作曲はベーシストの竹内 聡)、歌謡曲風でありながら不思議な力強さも感じられる⑧F-Angel、ノリのいいハードロック⑨Row Out、そして前作のREGRET DAYSと同様に明るくアルバムを締めくくってくれる⑪On The Windと良曲が満載です。スラッシーなビートを刻むモダンな⑩「切り裂けば黒い泥が流れる者へ」はサビ以外が語りまたはシャウトという実験的なナンバーでアルバムの中では浮いていますが、これはこれでアリだと思います。

前作以上にメタル成分が減退しているためSIXRIDEにSABER TIGERの続きを期待すると肩透かしをくらいますが、HR/HMファン以外にもアピールできそうな1枚でもあります。惜しむらくはデビュー作に収録されていた「茜色の空」、Dec.級のキラーチューンがないことでしょうか。とは言っても楽曲は十分粒揃いなので、それを求めるのは贅沢なのかもしれませんが…。デビューから2枚続けて名盤クラスのアルバムを発表してくれたSIXRIDEでしたが、2004年の12月にセカンドギタリスト荒瀬 崇光の脱退とバンドの活動休止を発表しています。その後、下山は島 紀史(G/CONCERTO MOON)と組んだDOUBLE DEALERを再始動(2009年に解散、2010年にはSABER TIGERに復帰)、青柳は2006年に自身のバンドJADESTERを結成し2009年に1stアルバム「EGOIST」をリリースするなど中心メンバーの2人は別々の道を歩んでいます。とはいえ青柳が下山のアコースティックライブ「夜会」にゲスト参加するなど交流は続いているようだし、SIXRIDEとしても2014年5月にGACHARIC SPINの札幌公演に友情出演して新曲を披露したそうなのでいつか復活してほしいですね。

【音源紹介】
ごめんなさい。本作の音源を見つけることができませんでした。

【CD購入録】下山 武徳「アコースティック・マキシシングル四部作『地水火風』」(2009~2010)

  • 2015/04/04(土) 00:00:00

【CD購入録】
SABER TIGER、DOUBLE DEALER、SIXRIDEといったバンドで活動してきた下山 武徳(Vo)のデビュー10周年を記念するアコースティック・マキシシングル四部作「地水火風」を買いました。各作品ともにオリジナルの新曲3曲、ライブ音源1曲(2006年発表の2ndソロ「SINGER」より)という構成となっています。

今回はそれぞれのジャケットと気に入った楽曲の一言コメントを書いていきます。

一期一会 「地」
下山 武徳「一期一会~『地』~」(2009)
①「一期一会」
フォークソングのようなシンプルな演奏であるがゆえに一層引き立つ下山の熱唱が胸に響きます。
②「記憶の土」
アコギをかき鳴らしながら歌われるメロディがキャッチーで良いです。

白い軌跡 「水」
下山 武徳「白い軌跡~『水』~」(2009)
①「白い軌跡」
静かな歌い出しから徐々に盛り上がっていく展開が感動的。
③Freedom Cry
下山の情感のこもったボーカルが炸裂。「哀しきは自由♪」というサビが耳に残ります。

焔丿鳥「火」
下山 武徳「焔丿鳥~『火』~」(2009)
①「焔丿鳥」
「火」というテーマから連想される激しさが感じられる1曲。アレンジ次第ではカッコいいメタルチューンにもなりそうです。
③「ともしびのうた」
「焔丿鳥」が「動」だとすれば、こちらは「静」の歌。メロディを丁寧に紡いでいく穏やかなバラード。

風音舞う「風」
下山 武徳「風音舞う~『風』~」(2010)
①「あなたへの風」
演奏を一切排除したアカペラソング。押し寄せてくる下山の歌声にただ酔いしれるのみです。
③「風音舞う」
四部作のラストを締めくくるのに相応しいスケールの大きな1曲。「風」というテーマに合ったリコーダーをフィーチュアしているのもいいですね。

オリジナル曲はどれも5分越えとアコースティックにしては長尺でありながら、間延びしている感はなく聴き応えがあります。またライブ音源については音質が今ひとつではあるものの「生」ならではの魅力に満ちていて好印象。ただ、こういう音源は1つのライブ作品としてじっくり聴きたいし、4枚のマキシという形態を取っているため出費がかさむ(1,500円×4枚)のが痛いですね…。そんな不満点はありますが十分楽しめる内容であることは間違いありません。今回の四部作リリース後の下山はSABER TIGERでの活動を軸にしていますがソロ名義でのアルバムも聴きたいですね。

SIXRIDE「TICKET TO RIDE」(2003)

  • 2015/04/01(水) 00:00:00

TICKET TO RIDE
【No.425】
★★★★(2003)
年間ベスト2003年第2位

1997年にSABER TIGERへ加入、その後は島 紀史(G/CONCERTO MOON)DOUBLE DEALERを結成するなどしていた魂のボーカリスト下山 武徳がSABER TIGER脱退後に結成した自身のバンドSIXRIDEのデビュー作。下山のバックを固めるのは青柳 慎太郎、荒瀬 崇光という若いギターチーム、SABER TIGER時代の盟友で下山と共にバンドを脱退した竹内 聡(B)、礒田 良雄(Ds)ということもあって実際に聴くまではSABER TIGERにも通じるメタルサウンドを漠然と想像していました。しかし本作ではヘヴィメタルというジャンルに囚われることなくロックンロール、モダンロック、歌謡曲調からバラードまで幅の広いロックサウンドを聴かせてくれます。

穏やかなイントロに続くキャッチーなサビからスタートする①「茜色の空」はPVも制作されたリードトラックで、歌謡曲っぽいメロディは一度聴いたら耳から離れないし終盤でロック調になるアレンジもグッド。SABER TIGER直系のメタリックチューン②HANG ON MY SOUL、③SOME LIEで畳み掛けた後は一転して悲哀に満ちた④That I Wish、アコースティックで優しく聴かせる⑤「想い人へ」というバラードが2曲続きます。このバンドはメタルソングもさることながら、それ以外の楽曲に魅力的なものが多いと感じていたのですがメカニカルなインスト⑦Sigma 6に導かれて始まるスピードメタル⑧SIGNAL X以降のアルバム後半でその傾向はより顕著になっています。メロディアスなサビが秀逸なミドル⑨「アルマレトラ」、爽やかな中にも哀愁のメロディをしっかり刻み込んだ名バラード⑩Dec.、そしてアルバムを軽やかに締めくくるロックンロール系⑭REGRET DAYSなど、これまでに下山が在籍していたバンドでは聴くことのできなかったナンバーが素晴らしいですね。そんな楽曲群の全てを手掛ける青柳 慎太郎はこれまで無名の存在でしたが本作を聴いて以降、僕にとっては注目のメロディメイカーとなりました。

そんな青柳との出会いも印象的だったものの、本作(というかSIXRIDE)の核となるのはやはり下山の情感溢れるボーカルです。SABER TIGER、DOUBLE DEALER、ソロ名義のアコースティック作品など、これまでは全て英語詞で歌っていましたが下山 武徳という歌い手は語感の良さよりも歌詞に想いを込めることを重視するタイプなので、それを英語で実現しようとするとメロディにうまく歌詞が乗らなかったり、そもそも英語として不自然に感じたりする場面があったのも事実。それに対してSIXRIDEでは日本語で歌う下山が聴けるので、彼の想いやメッセージがより明確に伝わってくるのが大きいですね。下山の歌唱法はアクが強いものの既に免疫ができていた僕にとっては逆にそこが魅力的だし、感情剥き出しでぶつかってくる彼のボーカルパフォーマンスは胸に響きます。下山主導のバンドということもあってSIXRIDEではSABER TIGERやDOUBLE DEALER以上に彼の歌が活かされていますね。

【音源紹介】
茜色の空

DOUBLE DEALER「DERIDE ON THE TOP」(2001)

  • 2015/03/29(日) 00:00:00

DERIDE ON THE TOP
【No.424】
★★(2001)

島 紀史(G/CONCERTO MOON)下山 武徳(Vo/SABER TIGER)を中心に結成、バンド名を冠したデビュー作がいきなりの名盤だったDOUBLE DEALERの2ndアルバム。「DOUBLE DEALER」(2000)発表後は国内ライブに加えてSYMPHONY X、MAJESTICと共にフランスツアーを敢行するなど単発プロジェクトではなく正式なバンドであることを高らかに宣言するかのように精力的な活動をする中でリリースされた1枚です。今回もBURRN!誌の広瀬編集長が興奮しながら大絶賛のライナーノーツを書いていますが、僕としては本作の満足度はデビューアルバムに比べるとかなり落ちるというのが正直なところですね。

アルバムの幕開けに相応しいアグッシブチューン①Soul Squeezed My Straight Shoutに始まり、ビデオクリップも制作された正統派メタルの傑作②Draw A Curtainへと至る流れは実に見事で掴みとして申し分ありません。そこから畳み掛けるように続くシャッフルビートの中で礒田 良雄(Ds)のドラミングが躍動するハードロック③Deride On The Top、前作収録のDeep Blue Skyとは趣の異なるポジティブな空気に覆われたバラード④If The Fate Includes All The Love、正統派メタルにロックンロールフィーリングを適度に注入した⑤Petal In The Palaceというアルバム序盤を聴いた時点では「今回も凄い作品を生み出してくれた!」と思ったのですが、その後は急速にトーンダウンしてしまいます。コテコテのネオクラシカル疾走曲⑦Love Is Not An Indulgenceを除いて、アルバム後半の曲がほとんど印象に残らないのが痛いですね。乱暴な例えをするならばデビュー作で唯一物足りなかったLeave As It Is Nowのようなインパクトの楽曲が並ぶという感じでしょうか。メンバーも後になって告白しているように本作発表当時、島はCONCERTO MOONの再始動、下山はSABER TIGERのニューアルバム制作を控えていて2人とも多忙を極めていたため、かなりタイトなスケジュールだったようですね。楽曲の練り込み次第では化けそうな曲もあるので、時間的な余裕があれば違う結果になっていたのかもしれませんが…。

そんな楽曲にメロディラインをなぞること以上に歌詞内容を重視する下山が言葉を乗せていったことで、歌メロが退屈になってしまっているように思えますね。メロディ自体に魅力が感じられなくなってくると、免疫ができたはずだった下山のクセのある歌唱が気になってきます。中でもアルバムラストに収録されたCONCERTO MOONのリメイク⑫Time To Die(Real Version)における下山の歌い方は、オリジナルの尾崎 隆雄(Vo/ex-CONCERTO MOON)バージョンを知る身としては違和感が強いですね。また前作ほどの目立つノイズはなくなったものの、相変わらず音質が悪いのもマイナス。アルバム前半の勢いが持続していれば、こんなマイナス要素も吹き飛ばせたのかもしれませんが…。デビュー作ではガッチリ噛み合っていたはずの歯車が今回は上手く噛み合わなかったように思えるバンドは本作を最後に一旦活動を休止、2005年に復活するまで島はCONCERTO MOON、下山は「F.U.S.E.」(2002)をリリース後にSABER TIGERを脱退し自身のバンドSIXRIDEをメインに活動をしていくことになります。

【音源紹介】
Draw A Curtain

DOUBLE DEALER「DOUBLE DEALER」(2000)

  • 2014/09/21(日) 00:00:00

D DEALER D DEALER
【No.408】
★★★★★(2000)
年間ベスト2000年第1位

1999年にシンガーの尾崎 隆雄が脱退したため事実上の活動休止状態にあったCONCERTO MOONのリーダー島 紀史(G)が以前から惚れ込んでいた下山 武徳(Vo/SABER TIGER)に熱烈ラブコールを送ったことから誕生したDOUBLE DEALERのデビューアルバム。島と下山の脇を固めるのは三谷 耕作(B/CONCERTO MOON)、小池 敏之(Key/CONCERTO MOON)、礒田 良雄(Ds/SABER TIGER)といった顔触れなのでCONCERTO MOONとSABER TIGERの混成バンドという見方もできるかもしれません。そんなラインナップからCONCERTO MOON風のネオクラシカルメタルを下山が歌う作風かと思いきや、本作は予想以上に骨太な正統派メタルアルバムに仕上がっています。僕はこのアルバムで初めて下山の熱唱を体験したため、聴き始めの頃は独特でクセの強いボーカルに馴染めなかったのですが、リピートする内に溢れんばかりの感情を込めた彼の歌唱に魅了されました。

そんな下山のパートナーである島もCONCERTO MOONの楽曲に対して僕が抱いていたイマイチ感を払拭させるほどの楽曲を揃えてくれていますね。フックに満ちたサビメロがたまらなくカッコいい疾走曲①The Long Way Roadとその勢いを見事に引き継いだ②Pandora's Box、キャッチーなサビとは対照的に下山が静かに歌い上げるパートを経て奏でられるギターソロが大きな感動を呼ぶ③The Enemy、下山の熱唱と泣きのギターソロが素晴らしい絶品バラード④Deep Blue Skyと続く怒濤の流れは圧巻の一言。中盤以降も実に強力で礒田の跳ねるリズムにメジャーキーのメロディが乗ることで爽やかさを発散する⑤Primitive Life、ヘヴィなイントロからは想像できないほど美しくスケール感たっぷりのサビへ展開していくドラマティックソング⑥Inner Voice、哀メロのお手本のような旋律が涙を誘う⑦Too Young And Vane、下山の獰猛なボーカルを前面に出して怒りの感情をブチまけた⑧Look At Your Faceなど個々の楽曲が素晴らしいだけでなくバリエーションも実に多彩です。後半に進むにつれて勢いが落ちる気もしますがCONCERTO MOONの前身バンドCRYSTAL CLEAR時代のアイデアを再度練り上げて完成させたメタリックチューン⑩Raise Your Fistでアルバムを締めくくってくれているので聴後感も良好です。なお初回限定盤には島が梶山 章(G/ex-PRECIOUS)と熱いギターバトルを繰り広げるインストFire Drakeを収録したミニCDが付いています。

BURRN!誌の広瀬編集長のやりすぎとも思える持ち上げっぷりが仇となり(?)、このバンドに関しては賛否両論あるようですが僕は大好きなアルバムですね。たしかに音質が悪いだけでなくチリチリというノイズすら聞こえる点や歌詞の内容を重視するあまり不自然になっている英詞、赤地に黒文字で書かれた読みにくいライナーノーツなど不満点はありますが、それらをねじ伏せるだけの力が感じられる1枚でもあるんですよね。DOUBLE DEALERは休止期間を挟みながらも継続的に活動し、4枚のオリジナルアルバムを発表しています。人間関係の悪化が原因で2007年に解散してしまった彼等ですが2013年になって柴田 直人(B/ANTHEM)の呼びかけで島と下山の2人が同じステージに立ち(ベースはもちろん柴田でドラムは礒田)、DOUBLE DEALERの曲を演奏したようなので奇跡の復活にも密かな期待を寄せています。

【音源紹介】
・Deep Blue Sky

【CD購入録】SABER TIGER「MESSIAH COMPLEX」(2012)

  • 2012/10/18(木) 00:00:00

【CD購入録】
MESSIAH COMPLEX
SABER TIGER「MESSIAH COMPLEX」(2012)

木下 昭仁(G)率いる「北の凶獣」ことSABER TIGER下山 武徳(Vo)、田中 康治(G)を含む現ラインナップとなって放つ2作目(通算10枚目?)を買いました。聴き手の期待感を煽るイントロ①Engraveに導かれ「Raise our flag~♪」というGALNERYUSのようなシャウトで始まるタイトルトラック②Messiah ComplexからしてSABER TIGERらしいメタルサウンドが全開です。事前情報にあった通り、今回はこれまで以上に歌メロがキャッチーになったように感じますが、軟弱になったわけではなく硬派な正統派メタルで貫かれています。ちなみに特典DVDには下山が司会役となって他のメンバーに本作のことを聞くインタビューパート、5人のメンバーがドイツに赴きHELLOWEEN等との仕事でも知られるTommy Newtonと共に行ったミキシング/マスタリング作業の様子が収録されています(一番印象に残っているのは大病を患った木下御大が観光時に杖をついて歩いていることでしたが…)。個人的には同日発売のGALNERYUS「ANGEL OF SALVATION」の方が好みではあるものの、御大曰く「前作と2枚続けて聴いて欲しいアルバム」とのことなので、そういう聴き方もしてみたいと思います。

【CD購入録】SABER TIGER「DECISIVE」(2011)

  • 2011/08/04(木) 00:00:00

【CD購入録】
DECISIVE.jpg
SABER TIGER「DECISIVE」(2011)

バンド名とリンクする獰猛な野獣ジャケットが目を引くSABER TIGERの新作(オリジナルアルバムとしてはおそらく9作目)を買いました。今回は何といっても2010年1月にバンド復帰を果たした下山 武徳(Vo)のボーカルに注目していたのですが、その期待を裏切らない見事な熱唱を聴かせてくれます。そして、バンド唯一のオリジナルメンバーとしてSABER TIGERを牽引してきた御大 木下 昭仁(G)が大半を手掛ける攻撃的でヘヴィなメタルチューンと下山の歌声との相性も良く圧倒されますね。ちなみに本作の歌詞は下山ではなく音楽プロデューサー/作詞家の遠藤 フビトという人によるものだそうです(セルフライナーノーツはこちら)。なお本作には2011年2月に札幌で行われたライブの模様を納めたDVDが付属しています。Rise 2001~Vague Bless You、Misery、Light-Thunder-Lightといった僕の好きな楽曲を含め、80分以上というボリュームなのでこちらも見応えがあります。難を言えば、どこにもライブのトラックリストが記載されていないことでしょうか…。CD、DVD共にキャッチーでわかりやすいメロパワとは一味違うビターでストイックなヘヴィメタルがギッシリ詰まっています。バンドは本作での世界挑戦も視野に入れているようなので、このピュアなメタルサウンドで是非とも世界へ羽ばたいてもらいたいですね。

SABER TIGER「SABER TIGER」(2001)

  • 2009/04/13(月) 08:40:48

SABER TIGER
【No.125】
★★★★★(2001)
年間ベスト2001年第3位

日本産ヘヴィメタルバンドの重鎮SABER TIGERの6thアルバム。2000年に結成されたDOUBLE DEALERでの熱唱で一気に僕の中で注目度がアップした下山 武徳(Vo)が在籍しているということもあり、このアルバムで初めてSABER TIGERの作品に触れてみました。リーダーの木下 昭仁(G)が手がける楽曲はどれも緊迫感に満ちたヘヴィメタルで、その中に流れるメロディアスな旋律が胸に響いてきます。

過去の楽曲をリ・アレンジしたというギターインスト①Rise 2001のギターの余韻をかき消すように入ってくる、下山の咆哮で始まる②Vague Bless Youへ至る流れはゾクゾクするほどのカッコよさ。その後もメタルチューン2連発を挟み、慟哭のパワーバラード⑤Eternal Loop(Red)、キャッチーなコーラスワークが印象に残るミドルチューン⑥Because Of Tearsと続くアルバム前半の流れは文句のつけようがありません。そして、アルバム終盤の大きなハイライトとなる⑪Believe In Yourself、⑫Fading Crying Star(これは名曲!)という2曲の疾走曲からバラード⑬Eternal Loop(Blue)で締めくくるという見事なアルバム構成に脱帽です。

木下の骨太なギターと名手磯田 良雄(Ds)擁するリズム隊が叩き出すエネルギッシュなインストパートとガチンコ勝負する下山の熱いボーカルが一体となって迫ってくる音像は、バンド名通りの獰猛さがヒシヒシと伝わってきます。DOUBLE DEALER以上に徹頭徹尾ヘヴィメタルな作風のアルバムなので、下山の熱唱ボーカルはSABER TIGERの剛直なパワーメタルサウンドの方がしっくりくるように思えます。日本のメタルバンド作品として、いやワールドワイドで考えても最高峰に位置する1枚です。

【音源紹介】
・Eternal Loop(Red)