KAMELOT「POETRY FOR THE POISONED」(2010)

  • 2011/09/16(金) 00:00:00

POETRY FOR THE POISONED
【No.303】
★★★(2011)

デビュー当初はダークな正統派、その後メロディック・パワーメタルを経て深遠でドラマティックなプログレメタルに到達したKAMELOTの9thアルバム。デビュー当時からバンドを支え続けてきたGlenn Barry(B)が個人的な事情でバンドを脱退してしまったため、後任に実はGlennの前任ベーシストとしてバンドの極初期に在籍していたこともあるSean Tibbettsが加入しています。今回も近作同様に数回聴いただけではアルバムの全体像を掴みにくいディープな作品となっていてキラーチューン不在を作品全体の構築美でカバーし、何度も聴き込んでようやく味わいが出てくる(その分、一度ハマると中毒性が高い)という作風になっています。

そんなアルバムの全体像を象徴するかのように本作はミステリアスなミドルチューン①The Great Pandemoniumで幕を開けます。4th「THE FOURTH LEGACY」(2000)~6th「EPICA」(2003)の頃のメロパワ路線に思い入れが強い僕ですが、ザクザクと刻まれるギターリフとRoy Khan(Vo)の妖艶な歌声にBjorn“Speed”Strid(Vo/SOILWORK)のグロウルが絡んでくるこの曲が放つ不思議な魔力に心を奪われました。それ以降もややデジタル風味を垣間見せつつ駆け抜けていく②If Tomorrow Came、不気味な語り③Dear Editorに導かれる退廃的かつ邪悪なムードの中でRoyとJon Oliva(Vo/SAVATAGE)のデュエットが正体不明の連続殺人鬼ゾディアックを題材にした曲調にぴったりな④Zodiac、気品漂う高貴なメロディにGus G.(G/FIREWIND)が流麗なギターソロで華を添えるアップテンポ⑤Hunter's Season、KAMELOTの作品にはお馴染みとなったSimone Simons(Vo/EPICA)が参加したバラード⑥House On A Hillと豪華ゲストを迎えた楽曲が続くアルバム前半はなかなか聴き応えがあります。中盤にややテンションが下がるものの4部構成からなるタイトル曲Poetry For The Poisoned(⑩PtⅠ.Incubus~⑪PtⅡ.So Long~⑫PtⅢ.All Is Over~⑬PtⅣ.Dissection)は今のKAMELOTの持ち味を凝縮した力作だと思うし、「待ってました!」のKAMELOT流スピードチューンの王道⑭Once Upon A Timeでアルバム本編をしっかり締めてくれます。ただ、Poetry For The Poisonedは1分台の短いパートが2つもあったり、パート毎のキャラ立ちが若干弱かったりするので同じ組曲形式でも5th「KARMA」(2001)収録のElizabethほどの満足感は得られなかったかなという印象ですね。

そして非常に残念なことに体調不良(燃え尽き症候群)を訴え、本作に伴うツアーに参加できなかったRoyが2011年4月にバンドを脱退してしまいました。正直なところ、前作「GHOST OPERA」(2007)辺りからKAMELOTというバンドの音楽性そのものは僕の好みから外れてきていました。それでもこのバンドの作品を買い続けているのは、類い稀なる表現力と妖艶さで常に楽曲をワンランク上に押し上げるRoyの歌が聴きたいというのが最大の理由でした。バンド側は既に後任探しを始めていますが、Royは圧倒的な個性を持つ歌い手であり7th「BLACK HALO」(2005)収録の耽美バラードAbandonedのようにRoyにしか表現し得ないと思える楽曲もあるのでKAMELOTの今後が非常に気になるところです。

【音源紹介】
・The Great Pandemonium

KAMELOT「GHOST OPERA」(2007)

  • 2011/09/05(月) 00:00:00

GHOST OPERA
【No.302】
★★★(2010)

「EPICA」(2003)、「THE BLACK HALO」(2005)という2枚のアルバムでゲーテの「ファウスト」に着想を得たオリジナルストーリーを描き、バンドの集大成的ライブ盤「ONE COLD WINTER'S NIGHT」(2006)を発表して、その活動にひと区切りをつけたKAMELOTが放つ8thアルバム。「EPICA」と「THE BLACK HALO」がバンドとして最初と最後のコンセプトアルバムになるとリーダーThomas Youngblood(G)が語っていた通り今回は作品を通しての明確なストーリーはなく、3~4分台(長くても5分)の独立した楽曲が並ぶ構成となっています。「THE FOURTH LEGACY」、「KARMA」、「EPICA」の3作品にあったわかりやすくキャッチーなメロディが控えめになっていた前作「THE BLACK HALO」を聴いて、コンセプトアルバムの物語に合わせたためにそのような作風になったのかと思っていましたが、本作を聴く限り前作にあったダークで深遠な音楽性はストーリー云々の話ではなく、KAMELOTというバンド自体がそういった方向へ進もうとしているように思いますね。

象徴的なのが本作におけるクサメロ疾走曲の減少と、それに反比例するかのように一段と磨き上げられた壮大でドラマティックなアレンジです。ジャケットとリンクするヴァイオリンの調べによるイントロ①Solitaireから曲間なく繋がる②Rule The Worldは即効性こそないものの、エキゾチックな雰囲気を振り撒くKAMELOTらしいナンバーで僕のようなメロディックメタルファンからすればあまり熱くなれないオープニングなのですが、その劇的サウンドには確かな求心力が宿っています。そしてタイトルトラック③Ghost Operaや新加入のOliver Palotai(Key)のソロが乱舞する⑨Silence Of Darknessといった疾走曲も数は少ないながら収録されていていて、特に③はこのバンド特有の妖艶さと悲哀のメロディが絡み合った「これぞKAMELOT!」な1曲だし、Roy Khan(Vo)の絶品歌唱を活かしたバラード⑩Anthemも良いですね。ただ、聴き始めの頃は上に挙げたナンバー以外はあまり印象に残らなくて③と⑨の間に並ぶ楽曲の雰囲気が似通っていることもあって冗長に感じられたのも事実でしたが、繰り返し聴くうちにジワジワとメロディが染み渡ってくる辺りがKAMELOTの底力といったところでしょうか。らしくない無機質なリフとメロウなサビのコントラストが絶妙なゴシック調④Human StainSimone Simons(Vo/EPICA)のソプラノボイスが曲を盛り上げる⑤Blucher、どことなく「和」のムードが漂う幽玄なバラード⑥Love You To Death、力強いサビメロが印象的な⑦Up Through The Ashesなどは徐々に好きになってきました。

もはやKAMELOTにしか出せないと言っても良さそうな艶やかさとドラマ性を滲ませたメロディックメタルは健在な一方で、ヘヴィメタルバンドならではの高揚感やメロディのフックがこれまでと比べて弱く、バンド独特のオーラと夜露に濡れそぼった常緑樹をイメージさせるRoyの歌声がKAMELOT最大の武器だというのはわかりますが、今回はそればかりを強調したような曲が多いため結果としてアルバムが単調になってしまっているようにも感じられます。その他、総じて楽曲のエンディングがやや唐突だったり、アルバムの構成的に⑩で締めくくった方が美しかったのではと思えたりするのも気になる点でしょうか。聴き込むうちに味わいが増すアルバムであることは事実ながら、人気に火がついた4th以降のKAMELOT作品群の中では最もインパクトの弱い1枚という感じですね。

【音源紹介】
・Ghost Opera

KAMELOT「ONE COLD WINTER'S NIGHT」(2006)

  • 2011/09/01(木) 00:00:00

ONE COLD WINTER'S NIGHT
【No.301】
★★★(2006)

4th「THE FOURTH LEGACY」(2000)以降の作品で一気にスターダムへの階段を駆け上がっていったアメリカ産メロディックメタルバンドKAMELOTの2枚組ライブアルバム。本作はバンドの顔というべき実力派シンガーRoy Khan(Vo)の故郷ノルウェーはオスロで複数のゲストプレイヤーを迎えたスペシャル公演の模様を収めていて、CDだけでなくバンド初のDVD作品としてもリリースされています。バンドは以前に「THE EXPEDITION」(2000)というライブ作品を輸入盤でのみリリースしていますが、あちらはライブ8曲と未発表音源3曲を収録した少し中途半端なアルバムでした。それに対して本作はKAMELOTが大きく飛躍した4作目から当時の最新作7th「THE BLACK HALO」(2005)までという、バンドに脂が乗り切った4作品の楽曲群からなるライブをフルボリュームで収録しています。

ある意味バンドの集大成といっても過言ではないライブのオープニングに抜擢されたのは、イタリア語による女性ボーカルをフィーチュアしてキャバレーのような雰囲気を醸し出す小曲Disc-1①Intro: Un Assassinio Molto Silenziosoと最新作のタイトルトラックDisc-1②The Black Halo。アルバム名を冠したナンバーとはいえスタジオ作品では9曲目、10曲目に位置するこれらの曲での幕開けというのは少し意外だったし、ライブの掴みとしては弱いかなというのが正直なところだったりします。そんな本作のハイライトは⑤Center Of The Universe、⑥Nights Of Arabia、⑧Foreverといったバンドを代表するクサメロ疾走曲群と深みのある美麗バラード⑦Abandonedで畳み掛けてくるDisc-1の中盤です。中でもRoyの発案により雪が舞い散る演出の中で歌われる⑦の美しさは何度観ても言葉を失ってしまうほど素晴らしい。この曲に限らずRoyがステージ上で放つカリスマティックなオーラが凄まじく、僕はDVD盤を持っていませんがYouTube上で観ただけでその立ち姿に目を奪われてしまいました。やはり彼には歌の上手さや声域の広さという次元では語れない魅力がありますね。

ゲスト陣についてはバンドリーダーThomas Youngblood(G)の奥様でもあるMariは勿論、スタジオ盤でもRoyとのデュエットが話題となったSimone Simons(Vo/EPICA)がDisc-1⑩The Hauntingに、バンドのプロデューサーでもあるSascha Paeth(G/ex-HEAVENS GATE)がリズムギターとしてDisc-1⑪Moonlightに参加しているほか、「THE BLACK HALO」でShagrath(Vo/DIMMU BORGIR)が参加していたDisc-2③March Of MephistoではKAMELOTとカップリング来日をしたこともあるDREAM EVILの元ドラマーSnowy Shawが悪魔メフィスト役として登場するなどなかなか豪華です。これらゲスト陣との共演に加えて、吸血鬼伝説のモチーフになったと言われるエリザベス・バソリーをテーマにした3部構成の長編DISC-2②Elizabeth(Ⅰ.Mirror Mirror~Ⅱ.Requiem For The Innocent~Ⅲ.Fall From Grace)ではMariが鏡に向かってエリザベスを演じるなどシアトリカルな演出による見所も多いのでDVD盤の方が商品価値は高いと思われます。インスト面では疾走曲におけるドラムパターンが今やバンドに欠かせない味となっているCasey Grillo(Ds)、作品を重ねるにつれて貢献度が大きくなってきているキーボードプレイヤーの座に次回作から正式メンバーとして迎えられることになるOliver Palotai(Key)のソロを収録している一方で、メタルミュージックにおける最重要楽器のギターソロは入っていないというのが何ともKAMELOTらしいですね。総合的に優れたライブアルバムではありますが、映像と合わせて楽しむことでその真価を発揮する作品だと思うのでCDではなくDVD盤を買った方が良かったかな…と少し後悔しています。

【音源紹介】
・Abandoned(Live)


・Elizabeth(Ⅰ.Mirror Mirror~Ⅱ.Requiem For The Innocent~Ⅲ.Fall From Grace)(Live)

KAMELOT「THE BLACK HALO」(2005)

  • 2011/08/27(土) 00:00:00

THE BLACK HALO
【No.300】
★★★(2005)

ドラマ性に溢れたメロディックメタルの雄KAMELOTの7作目はゲーテの「ファウスト」を題材としたコンセプトアルバムである前作「EPICA」(2003)の物語後半部分を描いた作品です。アップテンポの曲が多かった前作は僕にとってKAMELOTの最高傑作と呼べる1枚でしたが、今回は疾走感を抑えてバンドの特徴である劇的な音世界に更なる磨きをかけた深遠なサウンドが繰り広げられています。前作に引き続き参加の女性シンガーMariに加えてゲストボーカルとしてSimone Simons(Vo/EPICA)、Shagrath(Vo/DIMMU BORGIR)、そして名手Jens Johansson(Key/STRATOVARIUS)といった豪華な顔ぶれも一部の楽曲に参加しています。

KAMELOTが現在のステイタスを築く原動力となったここ最近の3作品は全てイントロからクサメロ疾走曲に繋がるという始まり方でしたが本作には壮大な序曲もなければスピードチューンでの幕開けもなく、ゲスト参加のShagrathが邪悪な咆哮を響かせる重々しい①March Of Mephistoを冒頭に持ってきています。そのせいもあって本作の第一印象はダークでヘヴィという感じがしましたね。従来ならば、これが1曲目に来ていたであろうメロパワファン歓喜必至の②When The Lights Are Down、前作のキラーチューンCenter Of The Universeの香り漂う④Soul Society、スリリングなイントロをフィーチュアした⑪Everything Ever Diesのような即効性のあるメロディックメタル曲もありますが、ディープでプログレテイストも感じさせる雰囲気の中で重厚かつ繊細に「ファウスト」のストーリーを描写するというバンドの並々ならぬ意気込みが作品全体を包み込んでいます。特にKAMELOT流ドラマティシズムの極致にして物語の終局を盛り上げる⑫Memento Moriは、8分54秒というランニングタイムの中に織り込まれた起承転結の展開美が素晴らしく鳥肌が立ちました。その後に続く間奏曲⑬InterludeⅢ Midnight Twelve Tolls For A New Dayでは本作と前作の収録曲と思しきパートをダイジェスト的にフラッシュバックさせるという構成もニクイですね。

圧倒的な密度で深みのある音像を堪能させてくれる本作ではありますが、このドラマティックサウンドを徹底的に追求するという方向性が楽曲のキャッチーさを減退させてしまい、結果として印象に残りにくくなってしまっているようにも思えます。物語の佳境からクライマックスを緻密に作り込んだサウンドで劇的に聴かせるという拘りが足枷になってしまったのかもしれませんね。そんなもどかしさを帳消しにしてくれるのがKAMELOTの看板シンガーにして、本作ではストーリーテラーとしての役割も果たしているRoy Khanの歌声です。これまで以上に低音域を巧みに操り聴かせるディープなバラード⑥Abandonedや前述のハイライトナンバー⑫での情感たっぷりの歌唱は、イヤホンからRoyの息づかいや吐息が感じられるほどで身も心も委ねたくなってしまいますね。1枚の作品としてみれば僕を惹きつけてくれるメロディがもう少し欲しい気もしますが、比較的ストレートだった前作と対を成すバンドの奥深さに焦点を当てた本作はKAMELOTの目指す世界観がひとつの到達点に辿り着いたと感じさせてくれる力作です。

【音源紹介】
・Memento Mori

KAMELOT「EPICA」(2003)

  • 2011/08/17(水) 00:00:00

EPICA
【No.299】
★★★★(2003)
年間ベスト2003年第8位

4th「THE FOURTH LEGACY」(2000)、5th「KARMA」(2001)の2作品で荘厳なサウンドを信条としたメロディックメタルの代表的存在へと登り詰めたKAMELOTの6作目。Thomas Youngblood(G)Roy Khan(Vo)が共作した楽曲をGlenn Barry(B)、Casey Grillo(Ds)のリズム隊がガッシリと支え、Sascha Paeth(G/ex-HEAVENS GATE)Miroのゴールデンコンビが豪華絢爛なアレンジで仕上げた上にRoyの感情豊かな歌声が乗ることで完成するKAMELOTワールドは今回も健在です。しかもメロディの充実度が更に向上している本作はバンドの最高傑作と呼びたくなるほどの1枚ですね。前作でエリザベス・バソリーをテーマとした3部構成の組曲Elizabethに挑戦した経験を活かして、今回はドイツの文学者ゲーテの戯曲「ファウスト」をモチーフにしたオリジナルストーリーによるコンセプトアルバムとなっています。余談ですが本作を聴いたMark Jansen(G/EPICA、ex-AFTER FOREVER)がその素晴らしさに感動し、バンド名をSAHARA DUSTからEPICAに変更したというエピソードがあるそうです。

ここ最近2作品のオープニングに序曲~疾走キラーチューンを持ってきていたKAMELOTですが今回もやってくれました。徐々に期待感を高める文字通りストーリーの導入部となる①Prologueに続く劇メロ疾走曲②Center Of The Universeは一撃必殺ナンバーだし、それに続いて波状攻撃のように襲い掛かってくる③Farewellに至る流れは素晴らしいとしか言いようがありません。これらのスピードチューンで聴き手の心を鷲掴みにした後は、バンドのエキゾチックな側面にスポットを当てた⑤The Edge Of Paradise、Royの艶やかなセクシーボイスが楽曲の儚さを最大限に引き出したバラード⑥Wanderと圧巻の畳み掛けを見せてくれます。名盤だった前作「KARMA」以上に本作は僕好みのメロディが多いだけでなく、このバンドにしては珍しい「躁」なメロディをフィーチュアした⑩A Feast For The Vain、タンゴ調のパートを上手く絡めたアレンジの妙が光る⑫Lost & Damned、「キャ~リ オ~ン キャ~リ オ~ン♪」というクワイアが耳に残るスケールの大きなヘヴィナンバー⑮The Mourning After(Carry On)など各曲のキャラ立ちの良さ、粒の揃い具合も過去最高レベルです。そんなKAMELOT特有の世界観を構築している最大の要因は神々しさをも感じさせるRoyのボーカルですね。僕は「THE FOURTH LEGACY」で初めて彼の歌声を聴いたのですが、今やRoyの歌を聴くためにKAMELOTの作品を聴いていると言っても過言ではありません。②の「ムゥ~ヴ、スロゥリィィ~♪」という歌い出しからしてクラクラ来てしまったし、⑥は切なさと色香漂う彼の繊細なハイトーンがなければここまで感動的な曲になっていなかったのではと思えるほどです。メタルシンガーというと超絶ハイトーンを駆使したり、力を込めて歌い上げたりするタイプが多い中、Royならではの絶妙な声の「抜き方」は強力な個性となっているだけでなく、その歌唱テクニックに聴き惚れてしまいます。今や彼を語る際に「元CONCEPTION」という肩書きは不要なのではないでしょうか。

本作はコンセプトアルバムということでボーナストラックを除いた全16曲中6曲が繋ぎ的な小インストなのですが、主人公アリエルと出会う女性ヘレナを演じるMariのソプラノボイスをフィーチュアした⑬Helena's Themeのような曲もあり、冗長さをあまり感じさせません。ただ⑭Interlude Ⅳ(Dawn)に実力派英国人シンガーIan Parry(Vo/ELEGY)が参加しているのに、彼のパートがセリフだけといのは勿体ないですね。Thomasによるとイギリス英語のアクセントによる語りが欲しかったとのことですが、その理由だけでIanを起用してしまうなんて宝の持ち腐れでしょう(苦笑)。Royとのデュエットが聴きたかった…。ちなみに本作は物語の前半部分に当たり、ストーリーは次回作「THE BLACK HALO」(2005)でエンディングを迎えることとなります。

【音源紹介】
・Center Of The Universe

KAMELOT「KARMA」(2001)

  • 2011/08/06(土) 00:00:00

KARMA
【No.298】
★★★★(2001)

Roy Khan(Vo/ex-CONCEPTION)が加入して2枚目にあたる前作「THE FOURTH LEGACY」(2000)で大化けしたアメリカ産メロディック・パワーメタルバンドKAMELOTの通算5作目。4thのクオリティの高さから期待値のハードルが高くなっていましたが、このアルバムは前作の充実振りが決してマグレでなかったことを証明するばかりか、更に自身の音楽性を追求してみせた名盤となっています。4人のメンバーのみならず、プロデューサーも前作と同じSascha Paeth(G/ex-HEAVENS GATE)Miroの2人という布陣で本作に臨んでいることからもバンドが今の状態に自信と手応えを感じていることが窺えますね。

New Allegiance~The Fourth Legacyというメロディックメタル史上に残るオープニングが強烈だった前作の流れを汲み、本作も壮大な映画音楽のようなイントロ①Regalis Apertunaから劇的な疾走曲②Foreverに繋がるというメロパワファン感涙の展開で幕を開けます。Royの母国ノルウェーを代表するクラシック音楽家グリーグの「ペール・ギュント」第二組曲の「ソルヴァイの歌」のメロディを大胆にフィーチュアした名曲②に加えて、タイトルトラック⑥Karmaもドラマティックな楽曲のお手本と呼びたくなる逸品で、シンフォニックアレンジの中で華麗に舞うピアノサウンドに心を奪われてしまいますね。これらのキラーチューンが突出しているため、他の曲が今ひとつ印象に残らないと感じたこともありましたが繰り返し聴くうちに、堅実なパワーメタル佳曲③Wings Of Despair、妖艶なKAMELOTの音世界を見事に表現した④The Spell、一部のファンの間で「エロイ・カーン」と呼ばれているRoyの官能的歌唱が心に沁みる激泣きアコースティックバラード⑤Don't You Cry、神秘的なムード漂う⑧Temple Of Goldとそれを挟む形で配されたポジティブで勇壮な旋律が映える⑦The Light I Shine On You、⑨Across The Highlandsなどを経て、3部構成の組曲Elizabethで本編を締めくくる本作の世界観にグイグイと引き込まれていきました。ラストの組曲は永遠の若さを求めて少女の生血の風呂に入っていたという話が語り継がれ、吸血鬼伝説のモデルになったとも言われるエリザベス・バソリーが題材となっていて、彼女が鏡に向かって永遠の若さを手に入れる術を問いかける場面を描いたバラード調⑩Mirror Mirrorで始まり徐々にエスカレートしていくエリザベスの狂気と共に楽曲も激しさを増し、⑪Requiem For The Innocentから本作中で最も攻撃的な⑫Fall From Graceへと展開していく流れがお見事。また日本盤ボーナス⑬Future KingもKAMELOTにしては珍しいジャーマンメタル色の濃い佳曲で、本編の楽曲群とは異なる魅力を放っていますね。

本作の特徴は「カッコいい」というよりも「美しい」という表現が相応しいメロディックメタルを堪能できるという点でしょうか。疾走感、キャッチーなメロディ、激しさなど僕がメロディックメタルに求める要素を確かに含みつつ、それらを飲み込んでしまうほどのドラマティックなアレンジとRoyの歌声が生み出す美しさが作品全体を包み込んでいます。その圧倒的な美こそ、他のバンドにはないKAMELOTならではの魅力と言えそうですね。前作の後半で若干のテンション低下を誘った小難しさは薄れ、メロディックパワーメタルに欠かせないわかりやすさ、即効性が強まっているためメロディの素晴らしさがよりダイレクトに伝わってくるのも好印象。バンドの代表作との呼び声も高い1枚です。

【音源紹介】
・Karma

KAMELOT「THE EXPEDITION」(2000)

  • 2011/08/01(月) 00:00:00

THE EXPEDITION
【No.297】
★★(2000)

バンドが大きな飛躍を遂げた4th「THE FOURTH LEGACY」(2000)リリース後に敢行したヨーロッパツアー(NEW ALLEGIANCE TOUR)からドイツ、ギリシャ公演の模様を収めたKAMELOT初のライブアルバム。本作がリリースされた2000年は日本でKAMELOTがブレイクする前だったこともあってか、残念ながら現時点で国内盤は発売されていません。収録曲は当時の最新作である4作目の楽曲をメインにしたライブ音源8曲、映画音楽のように壮大な未発表インスト⑨We Three Kings、3rd「SIEGE PERILOUS」(1998)の日本盤ボーナストラック⑩One Day、2nd「DOMINION」(1996)収録曲のリメイク⑪We Are Not Separateの3曲を合わせた全11曲という変則的なものとなっています。今となっては本作以上に中身の濃いライブ作品「ONE COLD WINTER'S NIGHT」(2006)がDVDと2枚組CD仕様でリリースされているので本作は中途半端な作品という印象が強いですが、収録されているパフォーマンスを聴くとKAMELOTがライブアクトとしても優れたバンドであることが伝わってきます。

ライブ音源8曲中5曲が「THE FOURTH LEGACY」からのチョイスとなっていることから、バンドがこのアルバムに大きな自信を持っていることが窺えるし、実際にその最新作には良い曲が多いと実感させられますね。荘厳なイントロから一転して疾走曲①Until Kingdom Comeへと繋がるライブのオープニング、バンド随一の名曲⑥The Fourth Legacyを配した中盤、⑧Desert Reign/Nights Of Arabiaで締めるエンディングと、要所要所でキラーチューンを聴かせる構成が好印象です。また3rdアルバム以前の楽曲(2nd「DOMINION」からの曲は無し)に関しても違和感なく溶け込んでいるばかりか、流麗なメロディと共に駆け抜ける④Millenniumはひとつのハイライトになっているように思います。そしてRoy Khan(Vo/ex-CONCEPTION)のボーカルも⑥のサビなどの高音域は少し苦しそうではあるものの艶と表現力に満ちた歌声を響かせてくれていて、中でもバラード⑤A Sailorman's Hymnにはうっとりしてしまいますね。スタジオ作品では結構作り込んだ感が強いためライブでどこまでKAMELOTらしさを表現できるのかと心配していましたが、ゲスト参加のGunter Werno(Key/VANDEN PLAS)の活躍もあってバンドの世界観を損なうことなく再現してくれています。

デビュー作収録のへヴィチューン⑦Call Of The SeaではRoyが演奏陣のメンバー紹介をした後に各自が短いソロを披露するというパートが含まれていて、個人的には抜群の安定感でバンドを支える「Unbelievable Animal Behind The Drums」ことCasey Grillo(Ds)のドラミングが耳に残りました。当時のKAMELOTといえば「THE FOURTHE LEGACY」というそれまでの3作品を凌駕する力作を作り上げ、注目度がアップしてきた時期だったのでバンド自身もその4作目の楽曲群と過去作品から選りすぐりのナンバーをこうして1枚に纏めることでバンドの新たなスタートを印象付けたかったのかもしれませんね。「THE FOURTH LEGACY」でKAMELOTを知った僕にとっては、4thとそれ以前の楽曲のライブバージョンを手軽に聴けるという点でそれなりに重宝した1枚でした。ただし繰り返しになりますが、「ONE COLD WINTER'S NIGHT」が発表された今となっては聴く機会は激減してしまいましたね。

【音源紹介】
・Until Kingdom Come(Live)

KAMELOT「THE FOURTH LEGACY」(2000)

  • 2011/07/25(月) 00:00:00

THE FOURTH LEGACY
【No.296】
★★★(2000)

前作「SIEGE PERILOUS」(1998)でRoy Khan(Vo/ex-CONCEPTION)Casey Grillo(Ds)を迎えて一皮剥けたアメリカのメロディックメタルバンドKAMELOTの4thアルバム。2人の新メンバー加入は間違いなくKAMELOTにとってプラスとなり、バンドは飛躍のきっかけを掴みましたが、本作では大躍進を遂げるためのもうひとつの鍵を手に入れることに成功しています。それは本作以前ではANGRA「ANGELS CRY」(1993)、RHAPSODY「LEGENDARY TALES」(1997)などを手がけ、後にヨーロピアンメタル界屈指のプロデューサーとして名を馳せるSascha Paeth(G/ex-HEAVENS GATE)とその相棒Miroとの合体です。2011年時点で、本作以降の全アルバムをSaschaとMiroがプロデュースしていることからもバンドと彼らの相性の良さが窺えますね。本作が僕にとってのKAMELOT初体験盤だったのですが、すぐさまこのバンドにファンになりました。このアルバムは何と言ってもシンフォニックで大仰な序曲①New Allegianceからクサメロと共に駆け抜ける疾走曲②The Fourth Legacyへ至る流れの素晴らしさがもう格別です。個人的にこのオープニングはKAMELOTの代表曲というだけでなく、HELLOWEENInvitation~Eagle Fly FreeANGRAUnfinished Allegro~Carry OnRHAPSODYEpicus Furor~Emerald Swordと肩を並べるメロディックメタル史上に残る幕開けだと思っています。

そんなアルバム冒頭がズバ抜けている本作ですが、それ以降も聴き応えのある楽曲が並びます。前曲の疾走感と絶妙な対比を見せるミステリアスなミドル③Silent Goddess、エキゾチックな小インスト④Desert Reignに導かれるアラビックなメロディが印象的なスピードチューン⑤Nights Of Arabia、リズミカルに跳ねる曲調を軸にフォーキーな旋律でエンディングを迎える⑥The Shadow Of Uther、その余韻を引き継いでしっとり聴かせる叙情バラード⑦A Sailorman's Hymnまでは本当に文句のつけようがありません。アルバム後半は初期作品にあったダークなプログレサウンドが前に出た少しとっつきにくい曲もあるせいか失速気味ではありますが、作品終盤で僕の心を奮い立たせてくれるキラキラ疾走ナンバー⑪Until Kingdom Comeの存在が輝いていますね。また日本盤ボーナスで、歌詞に「オオサカ」や「サヨナラ」といった日本語を交えたライブテイク⑬Can You Rememberもなかなかの好バラード。ちなみにブックレットに「Dedicated to Yumiko」と記載のあるこの曲はRoyがCONCEPTION在籍時に来日した時に過ごした女性(ユミコさん)との思い出を歌ったものだそうです。

本作がバンドの出世作、いや飛躍作となっている最大のポイントは前作から加入したRoyのソングライティング面での貢献でしょう。加入1作目だった前作では既に完成した楽曲を主に歌うだけという状態でしたが、本作ではバンドのメインライターThomas Youngblood(G)の作曲パートナーとしてほぼ全曲に関わり、その歌メロセンスを発揮した結果が今回の充実した楽曲群に繋がっているのだと思います。またSaschaとMiroという2000年代メロディックメタルに欠かせない2人(Miroはキーボード演奏、オーケストラアレンジも担当)がプロデュースした音作り、巧みなアレンジが作品のレベルアップに貢献している点も見逃せません。前作までが「アメリカ出身とは思えないほどヨーロッパの香りが漂うメタルバンドのひとつ」だとすれば、今回は「繊細なまでの美しさと哀感を纏ったヨーロピアン・メロディックメタルの雄」と表現したくなるほどの大化けっぷりですね。

【音源紹介】
・New Allegiance~The Fourth Legacy

KAMEOT「SIEGE PERILOUS」(1998)

  • 2011/07/20(水) 00:00:00

SIEGE PERILOUS
【No.295】
★★(2011)

アルバム制作段階でMark Vanderbilt(Vo)と創設メンバーでもあったRichard Warner(Ds)が脱退してしまったため後任に、当時解散して間のなかったノルウェーのメタルバンドCONCEPTIONRoy Khan(Vo)とオーディションで発掘したCasey Grillo(Ds)を迎えたKAMELOTの3作目。前任ボーカルの歌い方にはクセがあり、僕はどうも苦手だったのでMarkには悪いですがシンガー交代はバンド発展のためには必要不可欠だったと思います。Thomas Youngblood(G)がノルウェーに住むRoyに直接コンタクトを取って加入を打診したそうで、後にバンドが大きく飛躍したことを思うとこれはThomas一世一代のファインプレーでしたね。メタルシンガーとしては線が細いものの、抜群の表現力を持つRoyの歌声はダークでミステリアスなKAMELOTサウンドと相性抜群です。また、当時無名だったCaseyについてもタイトなドラムを叩いていて、これまで以上に楽曲が引き締まった印象を受けます。

そんなメンバーチェンジに加えて見逃せないのが、プログレ風のダークな正統派メタルを基盤としつつ楽曲自体が過去作品よりもとっつき易く、わかりやすいキャッチーなメロディを持ち始めている点です。その最たる例がバンド初のメロパワチューンと言っても過言ではない②Millenniumで、当時のKAMELOTにしては珍しく1度聴いただけで胸に響くキャッチーさがありますね。その他にもメロディ自体はやや薄味ながらも疾走感が心地よい⑦Parting Visions、Royのエモーショナルな歌声が楽曲の魅力を増幅させている美旋律バラード⑧Once A Dream、「ア~リィ~ア~ァ♪」のサビメロが耳に残る⑨Ireaなど、特に後半の充実振りが印象的です。Royがバンドに加入した時点で本作の楽曲は歌詞を含めてほとんど出来上がっていたためRoyのインプットは少なかったようですが、それでも上に挙げた僕のお気に入り曲の中で②、⑦、⑨には作詞面でRoyの名前がクレジットされているのも興味深いですね。ちなみに本編ラストのインスト⑩SiegeではRoyと活動を共にしていたTore Ostby(G/ex-CONCEPTION)がゲスト参加しています。

2人の新メンバー加入によって間違いなく成長したKAMELOTですが、それでも4th「THE FOURTH LEGACY」(2000)以降と比べると本作はまだ発展途上にあると感じてしまいます。またRoyのボーカルに関しては、この時点では後の作品で聴き手を魅了するほどの官能的な響きには至っていないものの「硬質なヘヴィメタル」というサウンドイメージが強かったKAMELOTに湿り気たっぷりの叙情味をもたらしています。そんなRoyが持ち込んだ新たな要素こそが本作以降のKAMELOTの中核を担う特徴だと思うので、このアルバムはバンドにとって大きなターニングポイントと呼べる1枚なのかもしれませんね。

【音源紹介】
・Millennium(Live)

TOBIAS SAMMET’S AVANTASIA「THE SCARECROW」(2008)

  • 2008/11/25(火) 07:55:41

THE SCARECROW.jpg
【No.075】
★★★★(2008)
年間ベスト2008年第6位

EDGUYというバンドだけでなく、今やジャーマンメタル界のリーダーといえる存在になりつつあるTobias Sammet(Vo/EDGUY)が主宰するプロジェクトAVANTASIAの3作目。Tobias自身、AVANTASIAの3枚目のアルバムはないと公言していた時期もあっただけに、こうして3rdアルバムがリリースされたことはファンとして嬉しいですね。

このプロジェクトの目玉であるゲスト陣は相変わらずの豪華さです。ミステリアスな①Twisted MindRoy Khan(Vo/KAMELOT)、一般のボーカルものとしても通用しそうなバラード⑤What Kind Of Loveには女性シンガーAmanda Somaville、邪悪なムード漂う前半からキャッチーな後半になだれ込む⑦The Toy Masterには重鎮Alice Cooper(Vo)と今回初参加のメンバーのみならず、今やここでしかメタルを歌う声を聴けないMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)の伸びやかな歌唱が楽しめる超HELLOWEENタイプの疾走曲③Shelter From The Rainなど各シンガーの持ち味を活かしまくった楽曲を生み出すTobiasの作曲能力に改めて感服。が、しかし本作の美味しいトコを持っていったのはJorn Lande(Vo/ex-MASTERPLAN)ですね。ケルト風味のドラマティック大作②The Scarecrow、キャッチーな歌メロと躍動感が魅力の⑥Another Angel Downなどでの熱唱振りは他のどのシンガーよりも輝いてます。ちなみに演奏陣はパワーメタル界の名プロデューサーSascha Peath(G/ex-HEAVENS GATE)がギター、リズム隊はTobias自身がベース、Eric Singer(Dr/KISS etc)がドラムというバンド形態を基本にKai Hansen(G, Vo/GAMMA RAY)、Rudolf Shenker(G/SCORPIONS)がゲスト参加しています。

アルバム全体としてはEDGUYと呼応するかのようにメロディックパワーメタル色は後退しているので、パワーメタルの王道的作品を求めるとやや厳しいかもしれませんが、過去2作以上にバラエティに富んだ楽曲が揃っていて、そのどれもが耳に残るメロディを持っているのは流石。すでに「THE SCARECROW」後編の制作も決定しているらしいので、次回作にも期待大ですね。

【音源紹介】
・Shelter From The Rain