【CD購入録】JORN LANDE & TROND HOLTER present DRACULA 「SWING OF DEATH」(2015)

  • 2016/06/21(火) 00:00:00

【CD購入録】
SWING OF DEATH
JORN LANDE & TROND HOLTER present DRACULA 「SWING OF DEATH」(2015)

2014年に解散を発表したWIG WAMのギタリストTeenyことTrond HolterがWIG WAM在籍時から構想を温めていたドラキュラをテーマにしたストーリーアルバムを買いました。リードシンガーを務めているのはJorn Lande(Vo/JORN、ALLEN-LANDE etc)で、今回も濃厚なボーカルパフォーマンスを披露しています。WIG WAMのリードシンガーだったAge Sten Nilsenによると、本作は元々WIG WAMの別プロジェクトとして自身が歌うはずだったにもかかわらずTrondが独断でJornとレコーディングを進めていったのだとか…。そのことが引き金となりWIG WAMの解散が決定的になったという、いわくつきの1枚でもあります。音楽性はWIG WAMとは似ても似つかないほどダークかつドラマティックなヘヴィメタルでJornの熱唱も冴えていますね。また曲によってはヨーロッパ民謡風のメロディが飛び出してきたり、女性シンガーとのデュエットもあったりしてアルバムに起伏を持たせています。ハイライトは劇的な展開と終盤の弾きまくりギターソロが印象的な⑦Queen Of The Deadですね。いわゆる疾走曲の類いは収録されていないので即効性は低めですが繰り返し聴いているうちに味わいが増してくる辺りは流石です。WIG WAMの中心人物だったGlamとTeenyの2人が解散後に発表したアルバムによる対決は本作に軍配が上がりますね。

【CD購入録】TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」(2016)

  • 2016/01/31(日) 00:00:00

【CD購入録】
GHOSTLIGHTS.jpg
TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」(2016)

2016年の新譜初買いは、誕生から15年を数えるTobias Sammet(Vo/EDGUY)主宰のメタルオペラ・プロジェクトTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAの7作目です。今回のゲストシンガー陣の主な顔ぶれはMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)、Jorn Lande(Vo/JORN、ALLEN-LANDE)、Ronnie Atkins(Vo/PRETTY MAIDS)、Bob Catley(Vo/MAGNUM)といった以前からのメンバーに加えDee Snider(Vo/TWISTED SISTER)、Geoff Tate(Vo/ex-Queensryche)、Marco Hietala(B、Vo/NIGHTWISH)らが初参加しています。前作「THE MYSTERY OF TIME」(2013)がAVANTASIAの作品としては今ひとつツボにはまらなかったし、EDGUYも僕の好みから徐々にずれてきているように感じていたので一抹の不安もありましたが今回はなかなか良さげですね。コンパクトかつキャッチーな歌モノから劇的な大作、ミステリアスなナンバー、メロディアスなバラードなどTobiasの多彩なソングライティング能力が遺憾なく発揮されているアルバムの中でもKiskeのハイトーンが冴え渡るタイトル曲⑤Ghostlightsがいいですね。この手のメロパワは大好物です。また僕が買った初回生産限定盤にはライブ音源11曲入りのボーナスCDが付いているので聴き応えがありますね。同時に買ったDREAM THEATER「THE ASTONISHING」をなかなか聴けずにいます(笑)。

【CD購入録】MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「KINGDOM OF ROCK」(2015)

  • 2015/10/22(木) 00:00:00

【CD購入録】
KINGDOM OF ROCK
MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「KINGDOM OF ROCK」(2015)

Pete Sandberg(Vo)、Jonas Reingold(B/THE FLOWER KINGS)らが結成した叙情派メタルバンドMIDNIGHT SUNの2代目ギタリストとしてシーンに登場、今や現代HR/HMシーンに欠かせないソングライター/マルチプレイヤーへと成長したMagnus Karlsson(G、B、Key)のソロプロジェクト第2弾を買いました。今回も豪華なゲストシンガーを迎えていてRick Altzi(AT VANCE、MASTERPLAN、THUNDERSTONE)、David Readman(PINK CREAM69、VOODOO CIRCLE)、Tony Harnell(STRABREAKER、ex-TNT)、Russell Allen(SYMPHONY X、ALLEN-LANDE)などデビュー作に引き続き参加したメンバー(Russellはボーナストラックのみ)に加えてMagnusが憧れの存在と語るJoe Lynn Turner(ex-RAINBOW etc)、Tonny Martin(BLACK SABBATH etc)やMagnusと何らかの形で活動を共にしたことのあるJorn Lande(JORN、ALLEN-LANDE)、Jakob Samuel(THE POODLES)、Harry Hess(HAREM SCAREM)そして無名の新人Rebecca De La Motteが参加しています。本作でもMagnusは各シンガーの特徴を捉えた作曲スキルと年々上手くなっていくリードボーカルを披露してくれていて安定感抜群の1枚となっています。現時点でのお気に入りは③No Control(featuring Joe Lynn Turner)、⑧Never Look Away(featuring Tony Harnell)といったメロハー系ナンバーですね。FRONTIERS RECORDSに酷使されたため(?)一時は楽曲の輝きが薄れたようにも感じられたMagnusですが、本作を聴く限り復活したと言えるのではないでしょうか。

ALLEN-LANDE「THE SHOWDOWN」(2010)

  • 2013/06/12(水) 00:00:00

THE SHOWDOWN
【No.379】
★★★(2012)

Russell Allen(Vo/SYMPHONY X)Jorn Lande(Vo/MASTERPLAN)という実力派シンガー2人の名前を冠したプロジェクトでありながらMagnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR、STARBREAKER、ex-LAST TRIBE)がサウンドの鍵を握るALLEN-LANDEの3rdアルバム。ラインナップはこれまでと同じでMagnusがギターのみならずベース、キーボードも演奏、ドラムはLAST TRIBE時代の盟友Jaime Salazar(BAD HABIT)が叩いているほか、2体の巨大生物が対決するアートワークも3作連続でRodney Matthewsが手掛けるという鉄壁の布陣で制作されています。その一方で過去作品ではMagnusがドラム以外の全楽器、作詞作曲をこなしていたのに対して今回は3曲でゲストピアノ奏者を迎えていたり、歌詞の大半をTomas Erlandssonなる人物が書いていたりしています(作曲は全てMagnusなので個人的には気になりませんが)。

今回のアルバムは「ショウダァァウゥ!」という強烈なシャウト(歌い手はおそらくJorn)がインパクト大なタイトル曲①The Showdown、ALLEN-LANDEとして初のPVが作られた②Judgement Dayと続く流れで幕を開けます。疾走曲のみならず過去作品には少なからず収録されていたアップテンポのナンバーまでも姿を消し、本作は重厚なミドルチューンとバラードで構成されていることもあって、聴き始めの頃はこれまで以上に各曲のキャラ立ちの弱さやマンネリ化が目につき「ALLEN-LANDEも潮時か…」と思ったりもしました。ところが聴き込むうちに味わいが増してきてリピートしてしまう辺りが希代のソングライターMagnus Karlssonの為せる業といったところでしょうか。伸びやかなメロディが心地よい④Turn All Into Gold、アルバム随一のキャッチーなサビを持った⑤Bloodlines、1st「THE BATTLE」(2005)に通じるメロハーチューン⑦We Will Rise AgainDREAM THEATERのバラードWait For Sleep(名盤「IMAGES AND WORDS」収録)のピアノメロディに勇壮なギターアレンジを施したかのようなリフが楽曲を覆う劇メロナンバー⑩The Artistなどが気に入っています。Russellが歌うバラード⑥CopernicusReach A Little Longer、Master Of Sorrow(どちらもボーカルはJorn)に比べるとやや薄味ながらも魅力的。なお僕が持っている日本盤にはボーナストラックとして⑥のアコースティックバージョンが収められていますが輸入盤はAliasという未発表曲を収録しているようです。この記事を書いている今日現在、YouTubeに音源がアップされているので聴いてみたところボーナス扱いなのが不思議なくらいの良曲でした。

過去2作品はリリースされてすぐにゲットしていましたが、本作はなかなか購入に踏み切れずにいました。いざ聴いてみるとALLEN-LANDEがこれまでのアルバムで提示してきた高品質なメロディックメタルは今回も健在なので買って損はなかったと思っています(アルバム全体のメリハリに欠ける、RussellとJornのスタイルが似ていて上手いボーカルが2人いる強みを活かせていないといったマイナス面としっかり引き継いでいますが…)。iPodでシャッフルして聴いている時に本作の曲が登場するとハッとさせられるのに1枚のアルバムとして聴くと物足りないという意味で「HIGHER」(2003)以降のHAREM SCAREMと似ているかもしれませんね。①の歌詞和訳にもある通り「最終決戦」と訳すことができる「THE SHOWDOWN」という単語をアルバムタイトルにしていることを踏まえると本作がラストアルバムなのかもしれませんが、次回作があるならばきっと買うと思います。

【音源紹介】
・We Will Rise Again

ALLEN-LANDE「THE REVENGE」(2007)

  • 2013/06/04(火) 00:00:00

THE REVENGE
【No.378】
★★★(2007)

FRONTIERS RECORDS主導の単発プロジェクトかと思いきや予想に反して制作されたALLEN-LANDEの第2弾アルバム。前作「THE BATTLE」(2005)から約2年のスパンがあるとはいえ、中心人物のMagnus Karlsson(G/LAST TRIBE)はその間にTony Harnell(Vo/TNT)とタッグを組んだSTRABREAKERのセルフタイトル作、元PRAYING MANTISのシンガーTony O'hora初のソロアルバム「ESCAPE INTO THE SUN」(2006)に全面参加、Mike Andersson(Vo/CLOUDSCAPE)を中心としたPLANET ALLIANCEにも大きく関わるなどしていたので、Magnusのワーカホリック振りには頭が下がります。FRONTIERSの社長Serafino PerginoLAST TRIBEよりもAORに近い曲を要請されたことからスタートし、誰がシンガーとなるのかわからない状況でソングライティングを進めた前作とは異なり、当初からRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)Jorn Lande(Vo/ex-MASTERPLAN)が歌うことをイメージしてMagnusが書き上げた楽曲群は全体的に1stよりもヘヴィでメタリックな仕上がりとなっているように思います。

「THE BATTLE」がアルバム序盤の畳み掛けで勢いをつけ最後まで聴かせるタイプだったとすれば、今回は聴き進めるにつれて充実感を増していく作品と言えそうです。そんなアルバムのハイライトとなっているのがJornが感情を込めまくって歌い上げる名バラード④Master Of Sorrow。ライナーノーツでMagnus自身も「今まで書いたバラードの中でもベスト」と語るこの曲以降⑤Will You Follow、⑥Just A Dream、⑦Her Spell、⑨Wake Up Callといったキャッチーなアップテンポ、メロハー風のアプローチを取り入れた⑧Gone Too FarWITHIN TEMPTATIONにインスパイアされたというMagnusのコメントも頷けるシンフォニックなミドル⑪Who Can You Trustなど良曲がズラリと並びます。個々の楽曲のインパクトでは前作に分があるかもしれませんが、アルバム全体の完成度では本作が上かもしれません。ラストをしっとり聴かせるバラード⑫When Time Doesn't Healで締める構成もグッド。日本盤ボーナストラックにその⑫のリミックス(アンプラグド)バージョンが収められているのですが、僕としては④の別バージョンを聴きたかったかな…。

というわけで今回も期待に十分応えるだけの逸品ではあるものの地味な印象は拭い切れないし、RussellとJornの共演がケミストリーを起こすことまではできていないという前作の課題はそのままです。それに加えて2003年を最後にLAST TRIBEが活動を停止して以降MagnusがこのALLEN-LANDEで2枚、STARBREAKER「STARBREAKER」(2005)、TONY O'hola「ESCAPE INTO THE SUN」(2006)、PLANET ALLIANCE「PLANET ALLIANCE」(2006)そして本作発表後にはMark Boals(Vo/RING OF FIRE、ex-YNGWIE MALMSTEEN)と結成したTHE CODEX「THE CODEX」(2007)をリリースするなど、供給過多と言えるほどにアルバムを乱発していることも僕の本作に対する印象に少なからず影響を与えているように思います。当初はLAST TRIBE以外でMagnusの曲が聴けることに興奮していた僕もMagnus絡みのプロジェクトが質は高いが決め手に欠けるものばかりだったこともあって、有難味が薄れてきてしまってるんですよね。数々のプロジェクトに携わる職人ソングライターのようなMagnusの活動スタイルに対して、一定以上の満足感を得ながらも「多忙な中でこれだけ良質な作品を連発できるなら、じっくり腰を据えてアルバムを制作して名盤を生み出してほしい」という複雑な心境になる1枚でもあります。

【音源紹介】
・Master Of Sorrow

ALLEN-LANDE「THE BATTLE」(2005)

  • 2013/05/27(月) 00:00:00

THE BATTLE
【No.377】
★★★(2005)
年間ベスト2005年第9位

Magnus Karlsson(G/LAST TRIBE)が書いた楽曲をRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)Jorn Lande(Vo/MASTERPLAN)が歌うプロジェクトALLEN-LANDEの1stアルバム。とはいえこのプロジェクトを企画したのでは彼等ではなくFRONTIERS RECORDSの社長Serafino PerginoがMagnusにAOR寄りの曲作りをオーダーしたところから始まり、Magnusが作曲を進めるのと平行してFRONTIERSがシンガーを選定した結果RussellとJornに白羽の矢が立ったというのがALLEN-LANDE誕生の経緯のようです。ちなみに上記の2人と言えばRoland Grapow(G/ex-HELLOWEEN)Uli Kusch(Ds/ex-HELLOWEEN)MASTERPLAN結成する際、Russellに加入を要請したものの断られたためJornに打診、結果的にJornがシンガーの座に就いたというエピソードがありましたね。また、このプロジェクトの仕掛人Serafinoは本作と同じ2005年にMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)をフィーチュアしたPLACE VENDOMEのアルバムをリリースするなどしていたので、僕の中で彼に対する注目度が高くなってきたのもこの頃だったと思います。LAST TRIBEのシンガーRickard Bengtssonも作品を重ねる度に成長はしていたものの、Magnusが手掛けた曲をトップクラスのシンガーの歌唱で聴きたいという気持ちがあったのでALLEN-LANDEの話を初めて耳にした時は期待に胸が膨らみました。

このアルバムに収められているのはSYMPHONY Xタイプのネオクラ系プログレメタルでもMASTERPLANのようなパワーメタルでもないサウンドで、曲によってはLAST TRIBEよりもソフトなメロディアスHR/HM路線です。こうしてJornがメロハー系の曲を歌っているのを耳にするとMILLENIUMの傑作「HOURGLASS」(2000) をふと思い出したりしますね。プロジェクト名の影響もあってボーカルに注目が集まりがちですが、Magnusファンとしては楽曲面の充実振りに目が(というか耳が)いきます。軽快なハードロック②Hunter's Night、爽やかなサビメロが冴え渡る③Wish For A Miracle、LAST TRIBE時代には希薄だったメジャー感溢れるバラード④Reach A Little Longer、攻撃的なギターリフとポップなサビの対比が印象的な⑤Come Aliveと続くアルバム前半がハイライトでしょうか。レーベルから「こんなタイプの曲を書いてほしい」と依頼されて、指定された音楽性の枠内でここまでの仕事ができるMagnusの才能には脱帽ですね。

LAST TRIBEの3rd「THE UNCROWNED」(2003)と同じく、スピードに頼らずメロディの良さで勝負するそのスタイルは楽曲の幅が狭くなりがちなので間延び感がしてしまうのは否めませんが、曲毎に取り出して聴けばどれも高品質なものばかり。ただMagnusが作詞作曲を担当しRussellとJornという実力的に申し分ない2人のシンガーが単独で歌い、曲によってはデュエットするというこのプロジェクトに対する事前の期待値からすると物足りなさを感じるというのも事実だったりします。その要因のひとつがプロジェクトの肝であるシンガー2人はそれぞれ素晴らしい歌を聴かせてくれてはいるものの声質が似ているためブックレットを見ないとどちらが歌ってるかわかり難く、コラボレーションによる相乗効果が生まれるには至っていないことでしょうか。この辺りは参加メンバーに対する期待が大きいためハードルが高くなっていることが関連していると思うし、客観的に見れば満足できる作品であることには間違いないんですけどね…。

【音源紹介】
・Wish For A Miracle

TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「THE FLYING OPERA:AROUND THE WORLD IN TWENTY DAYS-LIVE-」(2011)

  • 2013/04/28(日) 00:00:00

THE FLYING OPERA
【No.373】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第9位

Tobias Sammet(Vo/EDGUY)の「自分が憧れたアイドル達と一緒にアルバムを制作したい」という無邪気な発想から誕生し、豪華なゲストシンガー陣が名を連ねた話題性と歌い手の魅力を引き出すTobiasの類い稀なるソングライティングなどから大成功を納めたプロジェクトAVANTASIA初となる2008年のTHE SCARECROW WORLD TOURの模様を収録したライブ作品。僕が持っているのは2DVD、2CD仕様の初回限定盤です。Tobias自身も実現できないと思っていたAVANTASIAツアーの基本メンバーは2003年頃からEDGUYのプロデュースに携わるようになり今回のツアー実現の重要なキーマンともなったSascha Paeth(G/ex-HEAVEN'S GATE)CENTERS~AT VANCE時代は優れたシンガーとして知られていましたが自身のバンドHARTMANNやAVANTASIAでは素晴らしいギタリストでもあることを世に知らしめたOliver Hartmann(G、Vo)、自らもAINAなるロックオペラを主宰するRobert Hunecke(B/ex-HEAVEN'S GATE)RHAPSODY(現RHAPSODY OF FIRE)、KAMELOTといったパワーメタルバンドのプロデュースをSaschaと共に手掛けているMiro(Key)、EDGUYでTobiasと活動を共にしているFelix Bohnke(Ds)、AVNATASIAの音世界に欠かせない女性バッキングボーカルにAmanda Somerville、Cloudy Yangといった顔ぶれです(Amandaはリードボーカルも担当)。そして注目のゲスト陣には濃厚な歌声と体格で圧倒的な存在感を放ちながら厳つい表情で熱唱するだけでなく、メロディを乗せたMCで観客を煽る姿が正に「歌鬼」なJorn Lande(Vo/MASTERPLAN)、全てのスタジオ盤に参加していたものの残念ながらツアー参加は実現しなかったMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)と自分がアルバムで歌っていたパートを担当しているAndore Matos(Vo/ex-ANGRA)、まるで「おじいちゃん」のような外見からは想像できないパワフルボイスを大仰な手振りに合わせて響かせるBob Catley(Vo/MAGNUM)、アルバムではAlice Cooper(Vo)が担っていた邪悪なキャラクターを見事に演じてみせたKai Hansen(Vo、G/GAMMA RAY)、AVANTASIAの初期2作品でギタリストを務めたHenjo Richter(G/GAMMA RAY)といった面々を迎えています。

【トラックリストと収録アルバム】
01. Twisted Mind(「THE SCARECROW」)
02. The Scarecrow(「THE SCARECROW」)
03. Another Angel Down(「THE SCARECROW」)
04. Prelude/Reach Out For The Light(「THE METAL OPERA」)
05. Inside(「THE METAL OPERA」)
06. No Return(「THE METAL OPERA PART2」)
07. The Story Ain't Over(EP「LOST IN SPACE PART2」)
08. Shelter From The Rain(「THE SCARECROW」)
09. Lost In Space(「THE SCARECROW」)
10. I Don't Believe In Your Love(「THE SCARECROW」)
11. Avantasia(「THE METAL OPERA」)
12. Serpents In Paradise(「THE METAL OPERA」)
13. Promised Land(EP「LOST IN SPACE PART2」)
14. The Toy Master(「THE SCARECROW」)
15. Farewell(「THE METAL OPERA」)
16. Sign Tf The Cross/The Seven Angels(Medley)(「THE METAL OPERA」、「THE METAL OPERA PART2」)

そんな参加メンバーの紹介だけでかなりの文章量になってくるAVANTASIA初のライブ作品はドイツで毎年開催されているヨーロッパ最大級のメタルフェスWACKEN OPEN AIR、チェコで行われたMONSTERS OF ROCKという2公演のテイクからなるセットリストで構成されていて、個人的には1st~3rdまでのベスト盤と言いたくなるくらい充実していますね(個人的にはBobのジェントルボイスが映える隠れた名曲⑦The Story Ain't Overが収録されているのが高ポイント)。曲によっては10人以上がステージに登場するなどしてAVANTASIAの壮大な世界観を再現しているだけでなく、ライブならではの熱さがスタジオ盤以上の魅力を放っている場面も少なくありません。中でもSascha、Oliverの叙情ギターソロから激情に満ちたTobiasとJornのボーカルバトルへと雪崩れ込んでいく②The Scarecrowは圧巻の一言。また⑩I Don't Believe In Your Loveはアルバムを聴いている時は印象の薄い曲でしたが、ライブバージョンを聴いてカッコいいハードロックソングだと気づきました。

本作はライブ本編とTobiasのロングインタビュー/ドキュメンタリーからなるDVD2枚、DVDと同じライブ音源を収めたCD2枚セットの仕様だけでなく、DVDまたはCDのみのフォーマットも存在しますが個人的にはDVDの方が断然楽しめましたね。理由は大きく2つあって、ひとつはBob、Jorn、Oliver、Sascha & Miroといった(日本で映像作品をほとんどリリースしていない)ミュージシャンの姿やライブ中にTobiasが見せるイキイキとした表情を観ることができた点。そしてもうひとつは、AVANTASIA誕生の経緯や初のPVが制作されたシングルLost In Spaceの誕生秘話や、それをWACKENで演るかどうかの葛藤などスタジオ作品を聴いているだけではわからないAVANTASIAの裏側に迫るインタビューが実に興味深いということです。抜群の作曲能力と歌唱力、アクティブなステージアクションやライブ運びの上手さに加えて多くの先輩ミュージシャンをAVANTASIAに参加させる人柄に至るまでTobiasは才能に溢れた人物だとつくづく感じますね。そんな才能に恵まれながらも決しておごることなく周囲への感謝の気持ちを忘れないTobiasの言動は素晴らしいと思うし、僕のわずか1歳年上の彼が自分の夢を叶えている姿には胸を打たれました。ハイライトは⑮FarewellでWACKENの大観衆(公称10万人)が一体になっているのをステージから見て感激しているTobiasの表情でしょうか。Tobiasと僕の間には直接的な繋がりはないし、住んでいる世界が全く違うのですが本作を観ていると自分も家族や仕事のために自分にできることを頑張ろうという気持ちにさせてくれます。現時点での最新作「THE MYSTERY OF TIME」(2013)のライナーノーツには「THE SCARECROW」3部作完成後に本作を発表してAVANTASIAは幕を降ろす予定だったとの記載があり、Tobiasもインタビューでツアーを再び実現させるのは難しいという見解を示していましたが、ご存知の通りAVANTASIAは2011年、2013年にもワールドツアーを実現させています。本作には参加していないMichael Kiske(Tobiasは12歳の時にKiskeの歌を聴いてシンガーを目指すようになったのだとか)も帯同したライブも是非DVD化してもらいたいですね。

【音源紹介】
・Farewell(Live)

【CD購入録】ALLEN-LANDE「THE SHOWDOWN」(2010)

  • 2012/11/27(火) 00:00:00

【CD購入録】
THE SHOWDOWN
ALLEN-LANDE「THE SHOWDOWN」(2010)

Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR、ex-LAST TRIBE etc)が手がけた楽曲をRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)Jorn Lande(Vo/JORN、MASTERPLAN)が歌うスーパープロジェクトALLEN-LANDEの3作目を買いました。音楽性は1st「THE BATTLE」(2005)の頃から不変で、今回も一流アーティスト揃いなだけあって流石のクオリティを誇ってはいるもののマンネリ感は否めないし、RussellとJornの声質が似ているためどちらが歌っているのかわからないという点も相変わらずです。特にRussellとJornの歌が似ているということについては、せっかくシンガーが2人いるのにアルバムクレジットを見ないとどちらが歌っているのかわからないほどなので、何だか勿体なく感じてしまいますね。どちらも熱く歌い上げるタイプなのでコントラストをつけるにはハイトーン系シンガーと組んだ方が効果的だと思うのですが…。個人的には最近SECRET SPHEREに加入したMichele Luppi(Vo/ex-VISION DIVINE)とのコラボが聴いてみたいです。この手のプロジェクトは結成当初は豪華なラインナップが楽しめる反面、バンド感が希薄なのでコンスタントにアルバムが発表されると新鮮味が欲しくなってきてしまうんですよね。

【CD購入録】TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「THE FLYING OPERA」(2011)

  • 2011/04/06(水) 00:00:00

【CD購入録】
THE FLYING OPERA
TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「THE FLYING OPERA:AROUND THE WORLD IN TWENTY DAYS-LIVE-」(2011)

Tobias Sammet(Vo/EDGUY)が結成した現代パワーメタル界屈指のプロジェクトAVANTASIA初のライブ作品(2DVD、2CD仕様盤)を買いました。本作は2008年のTHE SCARECROW WORLD TOURよりドイツで毎年開催されているヨーロッパ最大級のメタルフェスWACKEN OPEN AIRとチェコで行われたMONSTERS OF ROCKの音源で構成されていて、2公演のテイクを日本を含めた2008年ワールドツアーのセットリスト順に編集したもののようです。いやぁ、これは素晴らしい。購入前からある程度予想はしていましたが、3rd「THE SCARECROW」までの曲でベストに近いセットリストからなる本作は2011年に買った新譜の中では1番好きかもしれません。ソングライター/シンガーとしてだけでなくステージではフロントマンとしても超アクティブに躍動するTobiasを筆頭に、AVANTASIAの音世界を見事にライブで再現してくれたゲストシンガーと演奏陣に目がクギ付けです。スタジオ盤に参加していた豪華ゲストについては全員ではないもののツアーに帯同していて、険しい表情で熱唱する姿に「歌鬼」の異名は伊達ではないと思ったJorn Lande(Vo/MASTERPLAN)、マイクを持っていない右手の動きがまるでオーケストラの指揮者のようであるために小澤 征爾さん(あくまで僕のイメージです)に見えたBob Catley(Vo/MAGNUM)など、このDVDで初めてライブを目にしたミュージシャンも多いです。まだDVDは2回しか見ていませんが何度もリピートしたくなりますね。

そして見逃せないのが、これまでのAVANTASIAの歩みをTobiasがロングインタビューで語るDVDのDisc-2です。「自分のアイドル達と共演したい」という想いからスタートしたAVANTASIAの歴史、初のPVが制作されたシングルLost In Spaceの誕生秘話や、それをWACKENで演るかどうかの葛藤などスタジオ作品を聴いているだけではわからないAVANTASIAの裏側を見ることができます。才能に溢れていながらも決しておごることなく周囲への感謝の気持ちを忘れないTobiasの言動は素晴らしいと思うし、僕のわずか1歳年上の彼が夢を叶えて自分が憧れていたスターと共演している姿が本当に眩しくてカッコいい。特に印象的だったのは⑮FarewellでWACKENの大観衆が一体になっているのをステージから見て感激しているTobiasの顔。自分の夢が実現した時に人はこんなにも素晴らしい表情になるんですねぇ…。2010年に行われたAVANTASIA2度目のワールドツアーも是非DVD化して欲しいです。

TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「ANGEL OF BABYLON」(2010)

  • 2011/03/29(火) 00:00:00

ANGEL OF BABYLON
【No.282】
★★★★(2010)
年間ベスト2010年第10位

当初は前編・後編で完結する予定だったもののTobias Sammet(Vo/EDGUY)の創作意欲が止まらなかったため3部作となった「THE SCARECROW」物語のパート3にしてAVANTASIAの5thアルバム。同時リリースされた第2部「THE WICKED SYMPHONY」と同じくバラエティに富んだ、それでいてキャッチーなメロディを持った楽曲が目白押しな充実作です。ゲストシンガーのインパクトではKlaus Meine(SCORPIONS)、Tim Ripper Owens(YNGWIE MALMSTEEN、ex-JUDAS PRIEST)が参加していた前作に一歩譲りますが、本作ではJorn Lande(Vo/MASTERPLAN)が大きな存在感を放っているし、個性派シンガーJon Oliva(Vo/SAVATAGE)やメタル界を代表するキーボードプレイヤーJens Johansson(Key/STRATOVARIUS)が参加するなど相変わらずの豪華さを誇っています。

Jornによる説得力抜群の歌唱でスタートした後TobiasにRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)、前作ではギタリストに徹していたOliver Hartmann(Vo/HARTMANN、ex-AT VANCE)が加わってパワフルにせめぎ合い、伸びやかなサビはMichael Kiske(Vo/UNISONIC、PLACE VENDOME、ex-HELLOWEEN)が朗々と歌う①Stargazersは正に「AVANTASIAオールスターズ」と呼ぶべきナンバーで、それに続いて王道を行くメロディックメタル曲②Angel Of BabylonはJensによる特徴的なキーボードソロをフィーチュアしながらスリリングに疾走していきます。オープニングに9分半の長編①とわかりやすいメロパワ②を並べるという入り方は前作と同じですね。また楽曲の多彩さという点で本作は過去最高と思えるほどで、ポップな歌メロがインパクト抜群な③Your Love Is Evil、3rd「THE SCARECROW」収録曲のThe Toy MasterではAlice Cooper(Vo)が演じていたストーリー上のキャラ「トイ・マスター」がJon Olivaの客演で再登場するミステリアスチューン④Death Is Just A Feelingという対照的な2曲、Eric Singer(Ds)による「1、2、3、4!」のカウントで始まりクワイアやシンフォニックな質感を排除しているためラフな仕上がりとなったハードロック⑤Rat Race、AVANTASIAのプロデューサーSascha Paeth(G/ex-HEAVEN'S GATE)のペンによるゴシックメタル調をAVANTASIAのツアーに帯同した経験もある女性シンガーCloudy Yangが全編を歌う⑧Symphony Of Life、オールドスタイルなロックサウンドを前に出した⑨Alone I Remember(Jornのパフォーマンスがこれまた素晴らしい)など非常にカラフル。それでいて各曲にはTobias節が貫かれているし、アルバム終盤をEP「LOST IN SPACE PART 2」(2007)にも収録されていた名曲⑩Promised LandBob Catley(Vo/MAGNUM)が希望を感じさせるメロディを優しく聴かせるシンフォバラード⑪Journey To Arcadiaといった「らしい」曲で締めてくれているため「散漫」ではなく「バラエティがメチャクチャ豊富」という印象になっています。ちなみに⑩のEPヴァージョンではTobias、Jorn、Kiskeの3名がボーカルを分け合っていましたが、本作ではTobiasとJornのみが歌うヴァージョンとなっています。

このプロジェクトの初期2作品はアルバムタイトルからして「メタルオペラ」だったのに対して、この「THE SCARECROW」3部作をTobiasは「ロックオペラ」と表現しているとおりメタル色は確実に薄まっているのでメロパワを求めると肩透かしをくらうかもしれませんが、練り上げられた楽曲群はどれも高品質だと思います。気になる点を挙げるとすれば本作のオープニング、エンディング曲がやや尻切れトンボ気味に終わっているのと、今回の3部作はゲーテの「ファウスト」をモチーフにしていながらも内容が抽象的なため物語の情景を思い浮かべながら音楽を聴くというコンセプトアルバムならではの楽しみが味わいにくいことでしょうか。本作ならびに「THE SCRECROW」サーガはストーリーに沿って聴き進めるというよりは、優れた楽曲集として楽しむアルバムという感じですね。

【音源紹介】
・Promised Land(ANGEL OF BABYLON VERSION)

TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「THE WICKED SYMPHONY」(2010)

  • 2011/03/27(日) 00:00:00

THE WICKED SYMPHONY
【No.281】
★★★★(2010)
年間ベスト2010年第9位

今やメロディックメタル界の最重要人物となった感のあるTobias Sammet(Vo/EDGUY)EDGUYと並行して活動を続けるプロジェクトAVANTASIAの4thアルバム。前作「THE SCARECROW」(2008)が完成した時点から続編の存在を明言していたTobiasが溢れるインスピレーションを抑えることなく曲作りを進めた結果、裕にアルバム2枚分のマテリアルが出来上がったため本作と5th「ANGEL OF BABYLON」を同時リリースするという形をとっています。今回も初期2作品のようなメロパワ路線ではなく、曲調の幅を大きく広げた前作の延長線上にある1枚という印象ですね。ゲストシンガーはAndre Matos(ex-ANGRA、SHAMAN)、Bob Catley(MAGNUM)、Jorn Lande(MASTERPLAN)、Michael Kiske(UNISONIC、PLACE VENDOME、ex-HELLOWEEN)、Ralf Zdiarstek(他のシンガーと比べて知名度は低いですがAVANTASIAの初期2作品にも参加)という過去作品でも歌っていた顔ぶれに加えて新たにKlaus Meine(SCORPIONS)、Russell Allen(SYMPHONY X)、Tim“Ripper”Owens(YNGWIE MALMSTEEN、ex-JUDAS PRIEST)の3人が参加しています。

何と言っても圧巻なのはアルバム序盤の畳み掛け。プロデューサーSascha Paeth(G/ex-HEAVEN'S GATE)と並んでAVANTASIAには欠かせないMiro(Key)が手がける壮大でシンフォニックなイントロに導かれてTobias、Jorn、Russell3人のボーカルが交錯しながらキャッチーなサビへと繋がる9分半の大作①The Wicked Symphonyで幕を開け、Kiskeがキーパー時代HELLOWEEN風のメロパワを歌う②Wastelands、初参加のRipperにピッタリの鋼鉄チューンでTobias自身もJUDAS PRIESTPainkiller風と認める③Scales Of Justice、Klausがカリスマ性抜群の歌声でAVANTASIAの世界をSCORPIONS色に染めてみせた王道ハードロック④Dying For An Angelまでの流れには、Tobiasの卓越した作曲能力と豪華シンガー陣が共演するAVANTASIAの魅力が凝縮されていると思います。それ以降もBobの渋い歌唱が冴えるバラードとして始まりMEATLOAFっぽい劇的展開の中でBobとTobias、Jornが絡み合い、終盤にはKiskeも登場する8分の長編⑥Runaway Train、Jornの独壇場とも思えるオーセンティックなハードロック⑧Forever Is A Long Time、Russellのエネルギッシュボイスと共に駆け抜けるアップテンポ⑩States Of Matterなどは一聴して心を揺さぶられました。

ただ上記楽曲のように即効性のある曲も存在する一方で、メロディックメタルの枠に納まり切らず拡散し続ける楽曲群に戸惑いを感じたのも事実で、正直なところ聴き始めの頃は本作と「ANGEL OF BABYLON」の収録曲の約半数ずつしか気に入っていなかったので「2枚にする必要もなかったのでは…」と思っていた僕ですが、リピートするうちにどんどん引き込まれていきました。これだけ豪華な歌い手が揃う作品でありながら聴きどころをゲストに持っていかれることなく常に曲の良さが耳を捉え、しかもゲストシンガーの特性を活かした楽曲を次々と生み出すTobiasのソングライティングスキルの高さこそがAVANTASIAの肝ですね。ちなみに前作のMVPシンガーがJorn Landeだとすれば本作のMVPはKlaus Meineでしょう。参加曲は④のみながら独特の艶と張りのある歌声で圧倒的な存在感を放っています。また本作には日本盤ボーナストラックとして前作のシングル曲Lost In Spaceのライブが本編終了後に収録されていますが「THE WICKED SYMPHONY」と「ANGEL OF BABYLON」という連続性のある音世界に浸る際の妨げとなっていると思うので「ANGEL OF BABYLON」のラストにまとめて欲しかったかな。「ライブテイクが聴けるのは嬉しいけれど作品の構成的にはありがた迷惑かも」という意味でSENTENCEDの遺作「FUNERAL ALBUM」(2005)を思い出してしまいました(苦笑)。

【音源紹介】
・Dying For An Angel

TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「LOST IN SPACE PART1 & 2」(2008)

  • 2011/03/05(土) 00:00:00

LOST IN SPACE PART1  2
【No.280】
★★★(2010)

Tobias Sammet(Vo/EDGUY)率いるプロジェクトAVANTASIAが3rd「THE SCARECROW」(2008)に先駆けてリリースした2枚のEP「LOST IN SPACE PART1」と「LOST IN SPACE PART2」を1枚にまとめたお得盤(現時点で国内盤はありません)。前々からこのEPは聴いてみたかったのですが、1枚あたり6曲で\2,100という価格がネックとなって購入に踏み切れずにいたので、このような形(2枚のEPを1枚にまとめて約\1,500)でリリースされていなければ買っていなかったと思います。

【トラックリスト】
01. Lost In Space(オリジナル曲。3rd「THE SCARECROW」に収録)feat.Amanda Somerville
02. Lay All Your Love On Me(ABBAのカバー)
03. Another Angel Down(オリジナル曲。3rd「THE SCARECROW」に収録)feat.Jorn Lande
04. The Story Ain't Over(オリジナル曲。本作にのみ収録)feat.Bob Catley and Amanda Somerville
05. Return To Avantasia(1st「THE METAL OPERA」メインテーマの小インスト。本作にのみ収録)
06. Ride The Sky(LUCIFER'S FRIENDのカバー)feat.Eric Singer
07. Promised Land(オリジナル曲。後にバージョン違いを5th「ANGEL OF BABYLON」に再録)feat. Jorn Lande and Michael Kiske
08. Dancing With Tears In My Eyes(ULTRAVOXのカバー)
09. Scary Eyes(オリジナル曲。本作にのみ収録)
10. In My Defense(FREDDIE MERCURYのカバー)
11. Lost In Space(Alive At Gatestudio)feat.Amanda Somerville
12. Lost In Space(Extended Version)feat.Michael Kiske

EP盤ではタイトル曲①はPART1と2の両方に、②~⑥がPART1、⑦~⑪がPART2に収録、⑫は本作にのみ収録されていて「THE SCARECROW」とダブるのは①、③の2曲となっています。ただし、そこからカバーやインスト小曲を除くとここでしか聴けないAVANTASIAの純然たる新曲は3曲だけということになります。

そんな収録曲の内訳を見ると魅力薄な作品と思ってしまいそうですが、さにあらず。聴き逃すには勿体ない楽曲が含まれています。まず新曲ではTobias自身も会心の出来と語るバラード④が秀逸。Bob Catley(Vo/MAGNUM)の声にマッチしたこの曲は「THE SCARECROW」3部作本編のバラードを凌駕しているのではと思えるほどです。⑦は後のアルバムに再録したのも納得の名曲だし、派手さに欠けるものの⑨も佳曲。またカバー曲については⑥こそあまり馴染めなかったものの、地元の先輩HELLOWEENが発表したカバーアルバム「JUKEBOX」バージョン以上にはまっていると思う②、EDGUYの出世作3rd「VAIN GLORY OPERA」収録のHymnに続いて2曲目となるULTRAVOXのカバー⑧、故Freddie Mercury(Vo/QUEEN)の世界観にTobiasが果敢に挑んだ⑩などが楽しめました。ちなみにタイトル曲のバージョン違い⑪と⑫は前者がいわゆるアコースティックバージョン、後者がオリジナルには不参加のMichael Kiske(Vo/UNISONIC、PLACE VENDOME、ex-HELLOWEEN)も歌っていてアレンジも異なるバージョンです。

Tobiasは2008年にEDGUYで「TINNITUS SANCTUS」とAVANTASIAで「THE SCARECROW」を、2010年にはその続編「THE WICKED SYMPHONY」、「ANGEL OF BABYLON」と3年間で4枚のフルアルバムを発表していながら、本作のような隠し球まで持っているんですから驚きですね。オリジナルアルバムを差し置いて購入するほどとまではいきませんが、Tobiasファンは聴いておいて損のない1枚ではないでしょうか。それにしてもTobiasはEDGUY時代から、しれっと名曲をシングルに入れてくるので油断できませんね。僕の中でTobias Sammetと瞬火(B、Vo/陰陽座)の2人はカップリング曲も聴き逃したくないソングライターです。

EP盤のジャケットはこちら。
LOST IN SPACE PART1
「LOST IN SPACE PART1」(2007)

LOST IN SPACE PART2
「LOST IN SPACE PART2」(2007)

何だかジャケットに統一感がないですね…。

【音源紹介】
・The Story Ain't Over

MASTERPLAN「TIME TO BE KING」(2010)

  • 2010/08/30(月) 00:00:00

TIME TO BE KING
【No.253】
★★(2010)

音楽性の相違や人間関係のもつれが原因でJorn Lande(Vo/ALLEN-LANDE)Uli Kusch(Ds/BEAUTIFUL SIN etc、ex-HELLOWEEN etc)が脱退してしまうという危機に直面しながらもリーダーRoland Grapow(G/ ex-HELLOWEEN)がバンドを立て直し3rd「MKⅡ」(2007)を何とかリリースしたMASTERPLANでしたが、現代メタルシーン屈指の実力派シンガーJornの離脱はRolandのモチベーションを著しく下げてしまったようで前作のツアー終了後に2代目シンガーMike DiMeo(Vo/ex-RIOT)も脱退してしまい、一時期バンドは活動停止状態だったようです。そんな不安定状態だったMASTERPLANにJornが2009年に復帰したことでバンドは再び活力を取り戻して完成させたのが通算4作目となる本作です。かつてJornは「(典型的メロパワの代名詞といえる)ハイトーンボイスを多用することは自らのシンガー寿命を短くしてしまう」と主張して一部の楽曲のキーを下げさせたこともあったとRolandがインタビューで語っていたこともあり、Jornが参加しなかった前作がバンドの中でもメロパワ色の濃い作風となったことに妙に納得していたので、彼がバンドに戻ると聞いてメロパワ的要素は減るだろうと思っていたのですが、実際に本作はメロパワとは距離を置いた重厚感のあるHR/HMアルバムとなっていますね。

デビュー作と2ndアルバムでもそうでしたが、今回はこれまで以上にJornの圧倒的なボーカルを軸とした作風となっていて、各曲からはアルバムタイトル通りの威厳や風格が感じられます。そんなJornのボーカルパフォーマンスに負けじとインスト陣もパワフルな演奏をしていて、これまで以上に前に出ることで存在感を増したRolandのギター、前作では控えめに感じられた豪腕Mike Terrana(Ds/ex-RAGE etc)のヘヴィなドラミング、MASTERPLANの世界観には欠かせない存在となったAxel Mckenrott(Key)の彩り豊かなキーボード/ストリングスサウンドなど、音を隙間なく詰め込んだ濃密で分厚い音像となっています。JornとMikeというメタルシーンきっての渡り鳥系実力者が同時に在籍していることもあってメンバーの豪華さ、バンドとしての一体感も過去最高でボーカルとインストパートががっちり噛み合うことで生み出されるMASTERPLAN流のドラマティックなヘヴィメタルのひとつの到達点が本作と言えるのかもしれません。

その一方で、これまでの魅力のひとつだった(そして僕が最も惹かれていた)キャッチーなメロディと共に駆け抜ける疾走曲は激減しているため即効性は低くなっていますね。パワフルにアルバムの幕開けを告げる①Fiddle Of Time、先行シングルにもなったキャッチー佳曲③Far From The End Of The World、煌びやかなキーボードとJornの「ブルゥ~ウ、エウロォパァァ~♪」というサビの歌い回しがカッコいいメロディアスチューン⑨Blue Europa以外は基本的にどっしりと腰を据えたミドルチューンが続きます。僕はMASTERPLANというバンドにHELLOWEENの遺伝子を受け継いだメロパワサウンドとJornがもたらすブルージーテイストの融合を期待していたので、聴かせるタイプの楽曲を中心とした本作の音楽性には素直に喜べなかったりします。個々のメロディが耳に残るというよりも、楽曲そのものが醸し出す凄みを堪能する1枚という感じなので聴き込むにつれて味が出てくる作品ではありますが、日本盤ボーナス⑪Never Walk Aloneのようなわかりやすい歌メロがもう少し欲しいところですね。Jorn復帰のいきさつを思い起こしつつ前作と本作を聴き比べてみるとRolandが本当にやりたいのは3rdのようなメロパワ寄りの音楽だけど、Jornをバンドに引き留めるために本作が渋めの方向性になったのでは…という穿った見方をしてしまうのも事実だったりします。

【音源紹介】
・Far From The End Of The World

MASTERPLAN「AERONAUTICS」(2005)

  • 2010/08/19(木) 00:00:00

MASTERPLAN AERONAUTICS
【No.251】
★★★(2005)

2003年にリリースしたデビュー作が同時期のHELLOWEEN以上に僕好みだったHELLOWEEN脱退組のRoland Grapow(G)Uli Kusch(Ds)によるMASTERPLANの2ndアルバム。これまでひとつのバンドに留まることの少なかったJorn Lande(Vo/ ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)がフロントマンということもあり、このMASTERPLANも単発プロジェクトで終わるかと思いましたが、前作から2年という間隔で2作目を無事リリースしてくれたことが嬉しかったですね。前作の時点で既にHELLOWEENとは異なる方向性を示してはいましたが、本作では更に典型的なメロパワから距離を置いたアダルトなパワーメタルという趣きです。

ジャケットイメージとリンクするサイレンのSEで始まるオープニングトラック①Crimson Rider、本作の中では浮いているように思えるほどキーパいジャーマンメタル③Wounds、緊迫感に満ちた⑧Into The Arena、流れるようなメロディに耳を奪われる⑩Falling Sparrowと、要所にスピードチューンを配しながらも全体的に疾走感は抑えめでどっしりと腰を据えた作品となっており、特にミドルチューン②Back For My Life④I'm Not Afraidは出色の出来ですね。こういう路線こそがMASTERPLANの特徴であり、強みであるような気がします。中盤以降はJornの歌に救われている楽曲があるような気もしますが、ドラマティックに展開する10分弱の大作⑪Black In The Burnがアルバム後半の山場を作ってくれています。

欧州メロディックメタル勢の中でも、スピードに頼らずベテランならではの大人びた楽曲を抜群に上手いシンガーが歌うことで完成されるMASTERPLANサウンドが本作で確立されたという感じですね。個人的には派手にハジけた曲や哀メロナンバーがもう少し欲しい気もしますがマイナス要素は見当たらない作品だと思うし、メロディックメタル寄りの楽曲を歌うJornを聴きたい時に手が伸びる1枚です。

【音源紹介】
・Back For My Life

MASTERPLAN「MASTERPLAN」(2003)

  • 2010/08/14(土) 00:00:00

MASTERPLAN.jpg
【No.250】
★★★(2003)

元々はRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)Janne Wirman(Key/CHILDREN OF BODOM)といった豪華メンバーがRoland Grapow(G)のプロジェクトにゲスト参加する予定だったのですが、RolandとUli Kusch(Ds)HELLOWEENを解雇されたため正式なバンドとして始動することになったMASTERPLANのデビュー作。正式バンドとして活動するからにはパーマネントなメンバーが必要だということでRussellやJanneの参加は見送られたようです(Janneはゲストとして本作で演奏したそうですが)。Russellに代わりフロントマンを務めるのは、これまでに数多くのバンドを渡り歩いた実力派職人シンガーJorn Lande(Vo/ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)で、渡り鳥Jornも遂に定住の地を見つけたかと本作リリース時には話題になりました。元HELLOWEENのメンバーによる新バンドということもあり本家との比較は避けられないMASTERPLANですが、本作に関して言えばRolandとUli在籍時HELLOWEENの最終作「THE DARK RIDE」(2000)や新体制による1枚目「RABBIT DON'T COME EASY」(2003)よりも好きかもしれません。

元HELLOWEENのメンバーとJorn Landeが合体ということだけでも注目に値するのに、本作にはJornがMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)とデュエットした④Heroesという目玉ソングが収録されています。その④はいかにもキーパー風なHELLOWEENチューンで「あざとさ」も感じますが、この2人の共演の前ではそんなことはどうでもよくなってしまいますね。そして僕にとって嬉しい驚きだったのは、MASTERPLANがそんな話題性だけでなくバンドとしての魅力をしっかり備えているという点です。前述の④を筆頭に、爽やかな空気を発散しながら疾走する①Spirit Never DieやHELLOWEENのWhere The Rain Grows(「THE MASTER OF THE RINGS」収録)っぽさもある⑩Sail Onでメロパワファンの要求を満たす一方で、Jornの存在感ある歌唱力が物を言うパワーバラード⑤Into The Light、哀愁のハードロック⑥Through Thick And Thin、ブルージーテイストも感じさせる⑨The Kid Rocks Onなど、メロディックメタルの枠に収まらない楽曲も良いですね。

バンドの中心人物であるUliとRolandに関して、Uliの楽曲はHELLOWEEN時代から好きだったのですがRolandのソロ作やHELLOWEEN時代の曲を聴く限りThe ChanceThe Dark Rideといった一部の楽曲を除き、心ときめくものがなかったので期待していませんでした。ところが本作を聴いているとHELLOWEENでは活かしきれなかったRolandのハードロックテイストはMASTERPLANならではの持ち味なのかもしれないと思えてきます。そして本作最大の功労者は胸を熱くしてくれるシャウトからソウルフルなディープボイスまでを駆使して歌い上げるJornでしょう。上に挙げたお気に入り曲は勿論、やや弱いかなと思える楽曲までも彼が歌うことでワンランク上のレベルに聴こえてきます。ちなみに本作は僕が持っている日本盤(⑥、⑨がボーナストラック)と輸入盤では収録曲と曲順が異なっていて、ヨーロッパでのシングルEnlighten Meなる曲は日本盤未収録となっています。

【音源紹介】
・Heroes

ARK「BURN THE SUN」(2001)

  • 2010/08/04(水) 00:00:00

ARK BURN THE SUN
【No.249】
★★★★(2001)

Tore Ostby(G/ex-CONCEPTION)Jon Macaluso(Ds/YNGWIE MALMSTEEN)、Jorn Lande(Vo/MILLENIUM etc)というノルウェー出身の3人を中心として結成されたバンドARKの2ndアルバム。「境界線のない音楽」をコンセプトとしているだけあって、本作は何でもありのごった煮感とキャッチーなメロディセンスの両方を兼ね備えた好盤となっています。上記のメンバーに加えて、本作からべーシストはRandy Coven、キーボードプレイヤーはMats Olaussonという体制になり、結果的にTore以外は2001年当時のYNGWIE MALMSTEENバンドのメンバー(Jornはツアー参加のみで喧嘩別れ)ということでも話題を集めた1枚です。

バンドの軸足はプログレッシブ・ロックに置きながら、メロディックロック、フラメンコ、ブルーズ、ジャズなど幅広い音楽性を取り入れ、それでいて散漫になっていないところがかなり好印象ですね。存在感のあるベースラインで楽曲のボトムを支えるRandy、YNGWIEと活動している時はバックサウンドに徹していたけれど実はテクニシャンだと判明したMats、YNGWIEの「ALCHEMY」ではパワー不足を感じたものの、その手数の多い叩きっぷりがARKのプログレサウンドにはマッチしているJohn、そしてそんな腕利きプレイヤーを束ねつつ自らもテクニカルプレイをビシバシ決めるToreを加えたインスト陣だけを見てもかなり凄いことになってます。

そんな凄腕達と互角に渡り合うだけでなく、ともすれば複雑でとっつきにくい印象を与えかねないARKの楽曲に「歌モノ」としての親しみやすさをもたらしているのが歌鬼ことJorn Landeの歌唱です。MILLENIUMで初めて彼の歌声を聴いたときも凄いと思いましたが、今回は暑苦しいまでの熱唱ボイス、爽やかなクリアトーン、男の色気を感じさせる低音に加えて②Tornではスキャットまでも披露していてMILLENIUM、MASTERPLANなどJornが参加した他の作品と比べてみても本作がJornのベストパフォーマンスだと思えてきます。いろんなプロジェクトに顔を出しつつソロ活動を展開しているJornですが、彼の幅広いボーカリゼーションを最も活かせるのはARKなのではないでしょうか。ToreとMatsの熱きバトルが鳥肌ものの①Heal The Water(コインが落ちる音まで曲の一部として機能しているのもイイ)から、JornのDavid Coverdale(Vo/WHITESNAKE)ボイスが冴える日本盤ボーナスのバラード⑪Silent Is The Rainまで摩訶不思議で個性的なサウンドが詰まっている本作の中でも群を抜いているのがフラメンコ調のメロディックロック⑥Just A Littleですね。楽曲から滲み出る哀愁が堪らない名曲で、この1曲を聴くためにアルバムを買う価値があると思えるほど気に入っています。

【音源紹介】
・Just A Little

MILLENIUM「HOURGLASS」(2000)

  • 2010/07/31(土) 00:00:00

MILLENIUM HOURGLASS
【No.248】
★★★★(2000)
年間ベスト2000年第6位

アメリカはフロリダを拠点とするメロディアス・ハードロックバンドMILLENIUMが新ボーカルにJorn Lande(Vo/ex-VAGABOND、THE SNAKES etc)を迎えてリリースした3作目。本作発表当時は「これから注目すべき実力派」として知られていたJornも今や数多くのバンド、プロジェクトを掛け持ちしたり、他のアーティストの作品にゲスト参加しては自分色に染め上げてしまったりとHR/HMシーン屈指のシンガーとなりましたね。その歌唱力はこの頃から既に折り紙つきで、Tod Plant(Vo)が歌った前作「ANGELFIRE」と比べても作品を1ランク~2ランク上に押し上げるその存在感はやっぱり圧倒的です。僕が初めてJornの歌声を聴いたのは本作でした。

MILLENIUMの音楽性がメロディアス・ハードロックであるため大半の曲では伸びやかなクリアトーンで歌い上げているJornですが、③HourglassではTHE SNAKESでも披露していたDavid Coverdale(Vo/WHITESNAKE)風の渋い声を駆使し、センチメンタルなバラード④No More Miraclesを優しさたっぷりに聴かせたかと思えば、ポップさが際立つ⑤Superstar⑥Rocket Rideは明るく快活に歌い、ブルージーな⑦I Will Followでは楽曲の雰囲気にマッチしたムーディーな歌声を響かせていて変幻自在とは正にこのこと。いやぁ、本当に凄いボーカルですね。と、まるでJornがメインのバンドのように書いてしまいましたが、MILLENIUMの中心人物はテクニカルで情感に満ちたギタープレイと素晴らしい作曲能力を見せつけてくれているRalph Santolla(G)です。そのRalphが生み出した超名曲がアルバムのオープニングを飾る①The Power To Loveで、爽やかなアカペラから勢い良く疾走したかと思うと中盤ではピアノ~ギターソロを経てJornのロウトーンボイスで一旦スローダウンした後に飛翔感あるサビを歌い、再び突っ走るというあまりにカッコいい展開を持ったこの曲はMILLENIUM最高の1曲にしてメロディアスハード史上に残る屈指のナンバーだと断言できます。

FAIR WARNINGTERRA NOVAといった同系統のバンドに比べて知名度が低いMILLENIUMですが、本作の完成度はこの手のバンドの中でもトップクラスですね。上手いギターとボーカル、そして抜群のメロディセンスも楽しめる本作はメロディアスハード好きにとってマストアイテムだと思います。①があまりに素晴らしいため、それ以降の曲の印象が薄い気もしますが1曲1曲は聴き応えのある充実作です。最近のRalphはDEICIDEOBITUARYといったデスメタル系バンドでの活動に重きを置いているようですが、是非メロハーの世界に帰ってきて欲しいですね。

【音源紹介】
・The Power To Love

TOBIAS SAMMET’S AVANTASIA「THE SCARECROW」(2008)

  • 2008/11/25(火) 07:55:41

THE SCARECROW.jpg
【No.075】
★★★★(2008)
年間ベスト2008年第6位

EDGUYというバンドだけでなく、今やジャーマンメタル界のリーダーといえる存在になりつつあるTobias Sammet(Vo/EDGUY)が主宰するプロジェクトAVANTASIAの3作目。Tobias自身、AVANTASIAの3枚目のアルバムはないと公言していた時期もあっただけに、こうして3rdアルバムがリリースされたことはファンとして嬉しいですね。

このプロジェクトの目玉であるゲスト陣は相変わらずの豪華さです。ミステリアスな①Twisted MindRoy Khan(Vo/KAMELOT)、一般のボーカルものとしても通用しそうなバラード⑤What Kind Of Loveには女性シンガーAmanda Somaville、邪悪なムード漂う前半からキャッチーな後半になだれ込む⑦The Toy Masterには重鎮Alice Cooper(Vo)と今回初参加のメンバーのみならず、今やここでしかメタルを歌う声を聴けないMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)の伸びやかな歌唱が楽しめる超HELLOWEENタイプの疾走曲③Shelter From The Rainなど各シンガーの持ち味を活かしまくった楽曲を生み出すTobiasの作曲能力に改めて感服。が、しかし本作の美味しいトコを持っていったのはJorn Lande(Vo/ex-MASTERPLAN)ですね。ケルト風味のドラマティック大作②The Scarecrow、キャッチーな歌メロと躍動感が魅力の⑥Another Angel Downなどでの熱唱振りは他のどのシンガーよりも輝いてます。ちなみに演奏陣はパワーメタル界の名プロデューサーSascha Peath(G/ex-HEAVENS GATE)がギター、リズム隊はTobias自身がベース、Eric Singer(Dr/KISS etc)がドラムというバンド形態を基本にKai Hansen(G, Vo/GAMMA RAY)、Rudolf Shenker(G/SCORPIONS)がゲスト参加しています。

アルバム全体としてはEDGUYと呼応するかのようにメロディックパワーメタル色は後退しているので、パワーメタルの王道的作品を求めるとやや厳しいかもしれませんが、過去2作以上にバラエティに富んだ楽曲が揃っていて、そのどれもが耳に残るメロディを持っているのは流石。すでに「THE SCARECROW」後編の制作も決定しているらしいので、次回作にも期待大ですね。

【音源紹介】
・Shelter From The Rain