STREET TALK「V」(2006)

  • 2015/12/22(火) 00:00:00

V.jpg
【No.457】
★★★★(2006)
年間ベスト2006年第5位

Mr.北欧ボイスGoran Edman(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN etc)を擁するスウェーデン産メロディック・ロックバンドSTREET TALKの4thフルレンスアルバム。タイトルが「V(ファイヴ)」となっているのは国内盤未発のベスト盤「DESTINATION」(2003)を含めると5枚目の作品にあたるからだそうです。Steve Perry(Vo/ex-JOURNEY)が1984年に発表したソロ作品のタイトルをバンド名にしていることから予想がつく通り、メロディックロックの王道をゆくサウンドですがハードな面は控えめで柔和なAORに近い印象を受けます。彼等のことはデビュー作「COLLABORATION」(1997)の時から知っていて好きなタイプのバンドだと思いつつも、本作以上にソフトな作風だったのでそれ以降は聴いていませんでした。今回は前評判が高かったので軽い気持ちでチェックしてみると、これが予想以上の名盤でビックリ。

メインソングライターFredrik Bergh(Key)が生み出す楽曲群が実に素晴らしいんですよね。瑞々しくも優しい雰囲気と爽快感を持ちつつ、北欧ならではの強烈な泣きというよりは仄かな哀愁漂う旋律が胸に沁みます。オープニングには持ってこいの軽快なサウンドが気持ちいい①Responsible、飛翔感のある必殺のサビ(イ ファイクゥ〜♪)がインパクト抜群の③If I Could、爽快度満点のメロハー⑤Family Business、本作の中で最もスピーディーな⑨Sniperといったロックチューンを聴いていると胸が躍るし中でも③が大好きですね。それとは対照的なバラード系ではAOR風のお洒落な雰囲気を持った④At The End Of The Day、心温まる珠玉のメロディとアレンジが素晴らしい⑧Groundhog Dayが秀逸。また本作のボーナストラックが前述のベストアルバム「DESTINATION」にのみ収録されていた⑫Astray、⑬Made For Paradiseの2曲だというのも嬉しいですね(勿論これらもSTREET TALKらしい高品質ナンバー)。

そんな優れた楽曲の数々を歌うGoranの歌唱も絶品。TIME REQUIEM「OPTICAL ILLUSION」(2006)でメタルを歌うには線が細いという弱点を露呈していたGoranもSTREET TALKのようなメロディアス路線の楽曲では、その透き通ったハイトーンの魅力を遺憾なく発揮してくれています。高音だけでなく力を抑えて歌うパートも非常に味わい深いです。また見た目はフツーのオジサマながら各曲に華を添えているSven Larsson(G)のギタープレイもSTREET TALKの大きな武器ですね。彼の見せ場となっているのは⑤の終盤と⑥Just A Little Appetizer冒頭のギターソロでしょうか。珠玉のメロディとその魅力を最大限に活かせる歌唱、充実のギタープレイが詰まった本作はこれまでに聴いたメロディック・ロックアルバムの中でも指折りの傑作です。ところが、これだけの名盤を生み出しておきながらFredrikは本作をリリースした2006年に立ち上げた正統派メタルバンドBLOODBOUNDへ活動の軸を移し、そちらでは2014年までに6枚ものアルバムを発表しているのに対してSTREET TALK名義では本作が最後のアルバムとなっています。BLOODBOUNDも悪くないのですが、僕はやはりSTREET TALKの新作が聴きたいですね。本作のライナーノーツによると2つのバンドを並行活動させていくとFredrikは語っていたそうなので何とか実現してほしいものです…。

【音源紹介】
If I Could

TIME REQUIEM「OPTICAL ILLUSION」(2006)

  • 2015/08/16(日) 00:00:00

OPTICAL ILLUSION
【No.440】
★★(2006)

MAJESTIC、TIME REQUIEM、SPACE ODYSSEYで発表した5作品から厳選した10曲をリメイクしたベスト盤「THE ULTIMATE ANDERSSON COLLECTION」(2006)をリリースしたRichard Andersson(Key)が僅か半年のスパンで放つTIME REQUIEM名義での3作目。TIME REQUIEMの前身バンドMAJESTICの2nd「TRINITY OVERTURE」(2000)から在籍していたMagnus Nordh(G)、Apollo Papathanasio(Vo)はバンドを離れRichardの幼馴染みでSPACE ODYSSEYのギタリストでもあるMagnus Nilssonが加入、シンガーにはGoran Edman(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN etc)を迎え、リズム隊はAndy Rose(B)、Jorg Andrews(Ds)という「THE ULTIMATE ANDERSSON COLLECTION」と全く同じラインナップとなっています。リメイク作品とオリジナル盤とはいえRichardが同じメンバーでアルバムを制作したのは今回が初めてですね。ちなみにGoranはもうメタルを歌わないと思っていたのですがネオクラ系バンドからのオファーをほとんど断っている中、Richardは本物だと感じることができたため参加したそうです。

SPACE ODYSSEYの2nd「THE ASTRAL EPISODE」(2005)がTIME REQUIEM寄りのプログレメタル風だったので、TIME REQUIEMの音楽性がどうなるのか注目していたのですがデビュー作で顕著だった張り詰めるような緊張感、その中でキラリと光る哀メロといったTIME REQUIEMのアイデンティティはかなり薄れていますね。このバンドにしては珍しいアコギと笛の音色に導かれて始まるオリエンタルなムードを湛えた①Sin To Sinからして違和感があります。その一因となっているのがシンガーの交代でしょう。野太いハスキーボイスが特徴だった前任者Apolloとは対照的なGoranの声質を考えると、この変化は自然なのかもしれませんが別バンドになってしまったかのように感じる場面も少なくありません。その最たる曲がYNGWIE MALMSTEENバンドでGoranが歌ったTeaser(「FIRE AND ICE」収録)に通じる明るさを持った⑦Miracle Manですね。曲全体としては薄味ながらサビではクサメロパートに移行する②The Talisman、④The Ashen Soulには「ハッ」とさせられるし、ネオクラの王道をゆく⑧Sphere Of Fantasyは気に入っていますが、過去のアルバムほどのめり込めない自分がいます。

Richardのキーボードに関しては、これまでのような速弾き一辺倒で曲を覆い尽くすことはなく、彼にしては押し引きをわきまえたプレイになっていますね。それと比例するようにギターパートも増量されているので客観的に見ればバランスが良くなったようにも感じますが、限界以上に弾きまくるのがRichardのスタイルだったことを思うと物足りなかったりもします。というわけでTIME REQUIEMがこれまでに築き上げてきた個性が希薄になっているので戸惑ってしまう部分が多いのが気になりますね。TIME REQUIEMの作品であるかどうかを別にして繰り返し聴くうちにジワジワと好きになっていった1枚なので、別バンドとしてリリースしてくれた方がすんなり受け入れることができたように思います。

【音源紹介】
The Talisman

RICHARD ANDERSON「THE ULTIMATE ANDERSSON COLLECTION」(2005)

  • 2015/08/07(金) 00:00:00

THE ULTIMATE ANDERSSON COLLECTION
【No.439】
★★(2006)

1999年にネオクラシカルメタルバンドMAJESTICの中心人物としてシーンに登場するや、圧巻の速弾きテクニックとYNGWIE MALMSTEEN等からの絶妙な借用フレーズ、バンドを支配する独裁者的なキャラクターなどから「鍵盤魔人」、「キーボード版YNGWIE MALMSTEEN」として一躍有名になったRichard Andersson(Key)がこれまでにMAJESTICやTIME REQUIEM、SPACE ODYSSEY名義で発表してきた楽曲をリメイクしたベスト盤。Richard以外のメンバーはSPACE ODYSSEYでもタッグを組むMagnus Nilsson(G)、リズム隊にはRichardが以前から共演を望んでいたセッションプレイヤーAndy Rose(B)、Jorg Andrews(Ds)の両名を迎えているほかSven Cirnski(G/BAD HABIT)が2曲でソロを弾いているのですが、本作の目玉はかつてYNGWIE MALMSTEENとも活動を共にしていたJens Johansson(Key/STRATOVARIUS)がゲストとして1曲に参加、Mr.北欧ボイスことGoran Edman(Vo)がリードボーカルを取っている点でしょう。Richard曰く、彼を何度かリクルートしようとしたことがあるというYNGWIEも参加していれば面白かったのですが残念ながら実現していません。

【トラックリストと収録アルバム】
1. Time Requiem(TIME REQUIEM「TIME REQUIEM」)
2. Confusicus(MAJESTIC「TRINITY OVERTURE」)
3. Attar Of Roses(TIME REQUIEM「THE INNER CIRCLE OF REALITY」)feat. Jens Johansson
4. Black Moon Rising(MAJESTIC「ABSTRACT SYMPHONY」)
5. Above And Beyond(TIME REQUIEM「TIME REQUIEM」)feat. Sven Cirnski
6. Emposium(SPACE ODYSSEY「EMBRACE THE GALAXY」)
7. Golden Sea(MAJESTIC「ABSTRACT SYMPHONY」)
8. The Rapture Of Canaan(MAJESTIC「TRINITY OVERTURE」)
9. Visions Of New Dawn(TIME REQUIEM「TIME REQUIEM」)feat. Sven Cirnski
10. Voodoo Treasure(MAJESTIC「TRINITY OVERTURE」)
11. Cadenza Op.2 In A-Minor
12. Killing The Myth(Home Demo 1989)
13. I'm Getting Crazy(Studio Demo 1990)
14. Basement Boogie(Home Demo 1986)

上記トラックリストにある通り、本作はリメイク10曲とボーナストラック4曲という構成です。肝心の再録曲に関してはTIME REQUIEMのGrand Opus、Hidden Memories、SPACE ODYSSEYのEntering The Dome辺りも収録して欲しかったところですが代表曲と呼べるものは概ね押さえられていると思います。しかし、本作のバージョンがオリジナル以上の感動をもたらしてくれることは残念ながらありませんでした…。サウンドプロダクションは軽く聴こえるし、アレンジについても完成度の高かった原曲に比べると粗さが目立ちますね。それに加えてGoranが歌うメロディも若干変更されているためオリジナルを聴き込んでいた身としては違和感があります。僕の中でGoran Edmanは「メタルを歌うには線が細いけれど、その繊細な歌声はメロウなナンバーで輝きを増す歌い手」という印象が強いので今回のリメイクをGoranが歌うと聞いた時にマッチするのが疑問でしたが悪い予感が当たってしまったかな。この手の企画ならSPACE ODYSSEYのリードボーカルを務めるパワフルシンガーNils Patrik Johansson(ASTRAL DOORS、WUTHERING HEIGHTS)がMAJESTIC、TIME REQUIEMの曲を歌ってくれた方が嬉しかったですね。

日本盤ボーナストラックの4曲についても⑪Cadenza Op.2 In A-Minorはピアノインスト、それ以外はデモ音源で歌モノは⑬I’m Getting Crazyのみ、しかもその⑬がRichardらしからぬハードロックだというのもマイナス要因ですね。ちなみに⑫Killing The Mythはボーカル入りの完成形がSPACE ODYSSEYの次回作「TEARS OF THE SUN」(2006)に収録されています。というわけで僕のようにRichardの関連作品をチェックしてきたファンにとっては微妙な作品と言えそうです。その一方でRichard Anderssonというコンポーザーがこれまでに発表した名曲群が1枚のアルバムで聴けるので、これから彼の作品に触れるという方には丁度いい入門盤になりそうではありますね。

【音源紹介】
Attar Of Roses feat. Jens Johansson

【CD購入録】STRATOSPHERE「FIRE FLIGHT」(2010)

  • 2011/07/18(月) 00:00:00

【CD購入録】
FIRE FLIGHT
STRATOSPHERE「FIRE FLIGHT」(2010)

MADISON、YNGWIE MALMSTEEN、GLORY、STREET TALKなど数多くのバンド/プロジェクトを渡り歩いてきたミスター北欧ボイスGoran Edman(Vo)を擁するSTRATOSPHEREの1stアルバムを買いました。D.C. Cooper(Vo)が一時復帰して来日したROYAL HUNTの新加入ギタリストJonas Larsenが在籍しているバンドでもあるようで、僕はJonasのことを調べる中でこのバンドのことを知りました。しかしこのバンドの中心人物はGoranでもJonasでもなくキーボードプレイヤーJeppe Lundのようです。バンド名からして北欧らしさ溢れるこのSTRATOSPHEREが追求しているのは絵に描いたような北欧メタルでROYAL HUNTのデビュー作「LAND OF BROKEN HEARTS」(1993)を感じさせる部分もありますね。所謂メロパワの影響は希薄なサウンドであるため楽曲自体に派手さはありませんが、北欧ならではの美旋律に浸ることのできる作品だと思います。特にバラード⑧Princess Of The Nightなどは僕のツボを的確に突いてくれますね。

YNGWIE MALMSTEEN「FIRE & ICE」(1992)

  • 2008/09/24(水) 06:07:29

YNGWIE Fire--Ice
【No.045】
★★(1995)

日本ではオリコン初登場で第1位を獲得というビックリの記録を持つYNGWIE MALMSTEENの6作目。そんな輝かしい話題とは裏腹に、YNGWIE自身が後になって楽曲の弱さを認めたとBURRN!誌で書かれたこともあってか、YNGWIEの作品群の中ではそれほど人気がない1枚という印象です。僕も本作は嫌いじゃないけど、CDラックから取り出す回数は少ないですね。

まずは15曲というボリュームでありながら疾走曲と呼べるものが⑥No Mercy、⑩Forever Is A Long Timeしかないというのがちょっと寂しい。アルバム冒頭の2曲なんかは幻想的ではあるんだけど、マッタリ感の方が印象に残るためアルバムの掴みが弱くなってるのも痛いところ。とはいっても⑩は過去の名曲群に肩を並べるレベルだし、流石YNGWIEと思わせてくれる佳曲もチラホラ。Heaven Tonightを更に明るくしたような底抜けの明るさが新鮮な③Teaser、メロディアスなミドルテンポ④How Many Miles To Babylon、しんみりとアコギの旋律を聴かせるインスト小曲⑬Golden Dawn、タイトルからして本編ラストに相応しい荘厳な⑭Final Curtain、そしてボーナストラックにしておくのが勿体ないほど切ないメロディが胸を締め付ける⑮Broken Glassなんかは結構好きです。こうして見ると、ミッドテンポの曲が集中するアルバム中盤が個人的にちょっと退屈かな。

YNGWIE自身が築き上げたネオクラシカルスタイルを基本に、シタールを用いた中近東風フレーズやフュージョンっぽさを取り入れるなど実験的要素も顔をのぞかせる本作が、散漫にならず北欧らしさを保つことができているのはGoran Edman(Vo)の歌声に依るところが大きいと思います。この人って声質自体がウェットで哀愁が漂っていて、⑮なんかは彼が歌うことで曲の魅力がアップしてます。といった感じで本作ならではの良さもあるのは確かなんですが、スピードチューンの少なさと楽曲の地味さが15曲という曲数以上に冗長なイメージをアルバムにもたらしてしまっている印象を受けました。

【音源紹介】
・Teaser

YNGWIE MALMSTEEN 「ECLIPSE」(1990)

  • 2008/06/25(水) 14:53:08

ECLIPSE.jpg
【No.001】
★★★(1995)
僕のブログで最初に紹介するのはこの1枚と決めていました。

RAINBOW~DEEP PURPLEという大御所バンドで歌っていたJoe Lynn Turner(Vo)と共演した名盤「ODYSSEY」発表後、メンバーを一新して制作された5thアルバム。シンガーにはMr.北欧ヴォイスの持ち主Goran Edman(Vo/ex-MADISON, JOHN NORUM etc)、キーボードプレイヤーには今作以降長きに渡ってYNGWIEの片腕として活躍することになるMats Olausson(Key)が加入といった一般的な情報はさておき、本作は僕がメタルにドップリはまるきっかけとなった珠玉の名曲が2曲収められている重要アルバムなんです。

その2曲とは③Save Our Love④Motherless Child。前者は雄大かつ優しさを持った美旋律に包まれたバラード、後者はメロディ、歌いまわし、ギターソロの全てが僕のツボを激しく突きまくるスピードチューンで、YNGWIEの全レパートリーの中でも間違いなくナンバーワンといえる1曲です。この2曲に出会ってからというもの、もっと多くの素晴らしいメロディ、楽曲に巡り会いたいという想いで自分の好きな音楽探しに没頭するようになりました。思い入れの強いこれらの曲のインパクトがあまりに大きいですが、それ以外にもミステリアスな空気に覆われた⑤Devil In Disguise⑥Judasといったミドルチューン、メロディアスに疾走するインスト⑪Eclipseなど佳曲の多いアルバムです。

僕が初めて聴いたYNGWIE MALMSTEENのアルバムが本作だったからかもしれないけど、YNGWIEの作品の中でも最も北欧のエッセンスが強い作品はこの「ECLIPSE」だと思っています。若干ダークで冷たい質感を持った雰囲気の中に哀感を持ったメロディラインを繊細でクリアなボーカルが歌い、煌めくキーボードサウンドが楽曲を包み込むそんな北欧らしさ満点のアルバムです。YNGWIEが敬愛するギタリストJimi Hendlixの影響を曲に反映させた②Bedroom Eyesも、ブルージーな空気感と北欧の繊細さがいいバランスで保たれた1曲となってます。曲単位では大好きな楽曲があるけど、YNGWIEのアルバムの中には他にもっと好きな作品があるというのが正直なところです。

【音源紹介】
・Save Our Love