SPIRITUAL BEGGARS「DEMONS」(2005)

  • 2015/09/19(土) 00:00:00

S BEGGARS DEMONS
【No.444】
★★★★(2005)
年間ベスト2005年第3位

現代HR/HMシーンにおける最重要人物のひとりMichael Amott(G/ARCH ENEMY)ARCH ENEMYで追求しているメロデスとは異なる音楽性でその才能を発揮するSPIRITUAL BEGGARSの6thアルバム。4th「AD ASTRA」(2000)リリース後のフロントマン交代劇には驚きましたが、またもメンバーチェンジがありRoger Nilsson(B/THE QUILL)が脱退、後任にARCH ENEMYファミリーでもあるSharlee D'Angelo(B)を迎えています。前作「ON FIRE」(2002)で確立したオールドスタイルのロックサウンドにMichael Amottの泣きのギターが乗るというスタイルはそのままに、ややマイルドな印象もあった5thに比べるとメタリックな質感が強調されているように感じますね。

序曲の①Inner Strength(Intro)に続いて②Throwing Your Life Away、③Salt In Your Woundsとノリのいい曲が並ぶため前作よりも即効性は高いし、キャッチーかつグルーヴィなリフが絶大なインパクトを誇る④One Man Armyへと至るアルバム序盤の流れは流石です。印象的なリフワークという点でいえば⑪Elusiveも素晴らしいし、このバンドのレパートリーで最も聴きやすい部類に入りそうなドライヴィングチューン⑥Treading Waterも秀逸。そんな楽曲群の充実振りもさることながら前作から加入したJB(Vo)のボーカルパフォーマンスは目を見張るものがありますね。⑤Through The Halls、⑬No One HeardではDavid Coverdale(Vo/WHITESNAKE)を彷彿とさせるディープな歌声を披露、そうかと思えば曲によってはブルータルなボーカルで攻めてくる幅広いスタイルを持つ彼は紛れもなく逸材でしょう。

バンドの中心人物がMichaelであることは間違いないのですが前述のJBは勿論、今やSPIRITUAL BEGGARSに欠かせないオルガンサウンドで楽曲を彩るPer Wiberg(Key)そしてLudwig Witt(Dr)とSharleeのリズム隊など各パートにタレントが揃っているのもこのバンドの強みですね。Michaelは2005年にARCH ENEMY名義でも「DOOMSDAY MACHINE」というアルバムを発表していますが、当時はSPIRITUAL BEGGARSの方が好きでした。また本作の初回限定盤には渋谷AXでのライブ音源8曲が収録されたボーナスCDが付属しています。8曲中2曲がカバーソング、1曲はギターソロであること、そもそも収録時間が30分弱と短いことから食い足りなさを感じますがJBがライブでも優れたシンガーであることが確認できます(MCで話す時の声も渋い!)。残念ながらJBは自身のバンドGRAND MAGUSの活動に専念するため、本作を最後にSPIRITUAL BEGGARSを離れてしまうこととなります…。

【音源紹介】
・One Man Army

SPIRITUAL BEGGARS「ON FIRE」(2002)

  • 2015/09/13(日) 00:00:00

ON FIRE
【No.443】
★★★★(2002)

メンバー間の不和からSpice(Vo、B)が脱退、後任にJBことJanne Christoffersson(Vo/GRAND MAGUS)Roger Nilsson(B/THE QUILL)を迎えて5人編成となったSPIRITUAL BEGGARSの5thアルバム。Spiceは抜群に上手いというわけではなかったものの、適度にラフな荒くれ歌唱がアンダーグラウンド臭と妖気漂うSPIRITUAL BEGGARSにマッチしていたのでシンガー交代がどんな影響をもたらすのか不安もありました。いざ聴いてみると、このJBという歌い手が予想以上の実力者でビックリ。前任者に負けず劣らずの力強さに加えてソウルフルな低音が胸に響くJBの歌声にすっかり魅了され、彼のメインバンドGRAND MAGUSの作品をチェックするようになったほどです。中でも4th「IRON WILL」(2008)はお気に入り盤となっています。

本作に話を戻すと4th「AD ASTRA」(2000)が感性に直接訴えかけてくる理屈抜きでカッコいいサウンドだったのに対して、今回は整合感が増して小奇麗にまとまっているように感じられます。バンドとしての成長が窺える一方、前作にあった魅力が削がれているようにも思えて最初のうちはあまり好きになれませんでした。本作の魅力がわかるようになってきたのはアルバムを買って1〜2年が経過した後でしょうか。アップテンポの曲が少なく、前作収録のSedatedや3rd「MANTRA Ⅲ」(1998)のEuphoria級のキラーチューンがないため、即効性には欠けますが本作が醸し出す渋さとカッコよさを併せ持ったサウンドは正に大人のハードロック。聴き始めの頃は各曲が小粒だと感じていましたが飛び抜けたナンバーがないのではなく、ハイライトになり得る楽曲が並んだ1枚だと今では思っています。

「ドンテイキ フォ グラァンテェ〜♪」と歌うキャッチーなサビを持った①Street Fighting Savioursからして過去作品になかったメジャー感が備わっているし、JBのディープボイスに惚れ惚れしてしまう④Fools Goldなどもこれまでにない魅力ですね。また本作はアルバム構成もよく練られていて圧倒的な重量感で迫ってくる⑤Black Feathers、それとは対照的に小気味よく刻まれるギターリフに自然と身体が揺れてくる⑥Beneath The Skin、静かなインスト小品⑦Fejee Mermaidから⑧Dance Of The Dragon Kingに至る一連の流れは秀逸。そして終盤の見せ場となっている⑨Tall Tales、⑩The Lunatic Fringe、⑪Look Backの畳み掛けも実に強力です。特に泣きメロ職人Michael Amott(G/ARCH ENEMY)らしいエモーショナルなギターソロが楽しめる⑪は素晴らしいの一言。本来苦手なヘヴィでスローな曲でも、このバンドだと不思議と楽しめるんですよね。70年代のロックバンドに造詣がある人にとってはアルバムに散りばめられたオマージュを楽しむこともできる作品のようですが、それらのバンドをよく知らない僕にとってはかえって新鮮でした。「IRON WILL」同様、聴き込むほどに味わいが増す「これぞスルメ盤」と言うべきアルバムですね。

【音源紹介】
Look Back

GRAND MAGUS「IRON WILL」(2008)

  • 2011/11/30(水) 00:00:00

G MAGUS I WILL
【No.311】
★★★(2008)

4th「ON FIRE」(2002)からSPIRITUAL BEGGARSに加入し、そのディープな激シブヴォイスでバンドの飛躍に一役も二役も貢献したJB(Vo)ことJanne Christofferssonがリーダーを務めるトリオ編成バンドGRAND MAGUSの4thアルバム。2010年にJBはGRAND MAGUSに専念したいという理由でSPIRITUAL BEGGARSを脱退しています。このGRAND MAGUSというバンドはBURRN!誌などで「ドゥーム・メタル」の枠で括られることが多かったので、メロディアスなHR/HMを好んで聴く僕の頭の中では「ドゥーム」→「スロー」→「退屈」という乱暴な三段論法が成り立ってしまい(苦笑)、なかなか手を出せずにいました。ところが、前作「WOLF'S RETURN」(2005)辺りからドゥーム色は弱まってきたという評判を耳にするようになったし、JBのボーカルは大好きなので本作で初めてGRAND MAGUSを聴いてみることになった次第です。

アルバムの基本線はSPIRITUAL BEGGARSと同じくヘヴィで骨太なHR/HMでありつつ、こちらの方が泥臭くラフな印象があります。最初に聴いたときは欧州民謡風フレーズで始まり中盤以降で加速していく①Like The Oar Strikes The Water、本作の中で最もわかりやすくキャッチーな②Fear Is The Keyくらいしか耳に残らず、地味なアルバムかとも思いましたがリピートするうちにジワジワと旨みが出てきました。小インスト③Hovdingに続く④Iron Willが醸し出すどっしり感とJBの「Iron Will~♪」という伸びやかで太いシャウトに「アァイ!ルォン!ウィル!」のゴツいコーラスが絡むラストはカッコいいし、バンドの本質である重々しさと神秘的なムードが同居した⑦Self Deceiver、⑧Beyond Good And Evilといったヘヴィチューンも本来こういったスローで重たいナンバーは苦手な僕ですら引き込まれそうになる不思議な魅力があるんですよね。そんなスロー~ミッドテンポ主体のアルバム後半にあって、絶妙なアクセントとなっているのが躍動感溢れるアップテンポ⑥Shadow Knowsの存在。切れ味鋭いこの曲のギターリフは前後の楽曲が放つ重たい空気を一変させるとともに、この曲があるからこそ⑦以降のアルバム終盤で聴ける暗くて重い流れが更に活かされていると思いますね。

JBの歌唱はSPIRITUAL BEGGARSと同じく超パワフル且つ、どれだけ声を張り上げても常に余裕を感じさせるもので、これはもう素晴らしいの一言です。相違点を挙げるとすればGRAND MAGUSは自分のバンドということもあってか、エネルギーを制御することなく良い意味で荒く、伸び伸びと歌っているような気もします。そして驚いたのは彼が歌だけでなく兼任するギターの方でも僕の心を震わせてくれているという点です。リフは重々しくて勢いがあり、ソロはメロディアスなそのギタープレイはすごくテクニカルだとか、圧倒的な泣きを放っているといったものではないのですが非常に味があります。本編ラスト⑨I Am The Northのエンディングでのギターメロディもいいですね。本作の中で僕が好きなタイプの曲は即効性の高い①、②、⑥であることは確かですが「ドゥーム」の香りがする他の楽曲も聴けば聴くほどに味わいが増すスルメ盤といえる1枚です。

【音源紹介】
Fear Is The Key

【CD購入録】GRAND MAGUS「IRON WILL」(2008)

  • 2008/07/29(火) 22:57:01

【CD購入録】
IRON WILL
GRAND MAGUS「IRON WILL」(2008)

前々から気になっていたJB(Vo/SPIRITUAL BEGGARS)の本業バンドGRAND MAGUSを初体験。確かにドゥームと表現しても差し支えなさそうなヘヴィ/スローナンバーもありますが、不思議とリピートさせる魅力があります。即効性ではSPIRITUAL BEGGARSに一歩譲るものの、聴き込む内に味わい深くなってきそうな予感がかなりしますので、じっくり聴いていきたいです。相変わらず上手いJBの歌唱に惚れ惚れ。今のところ、スピーディーなメタルナンバー②Fear Is The Keyがお気に入りです。