FC2ブログ

【CD購入録】HIDE BOUND「THE CURSE REDEMPTION」(2017)

  • 2019/04/11(木) 00:00:00

【CD購入録】
THE CURSE REDEMPTION
HIDE BOUND「THE CURSE REDEMPTION」(2017)

2002年に結成された神奈川出身のメロディック・デスメタルバンドHIDE BOUNDの1stアルバムを買いました。僕はこのバンドのことを知らなかったのですがメンバーの方から直接メールをいただいたことがきっかけで、YouTubeでトレイラーをチェックしてみたところ好感触だったので購入した次第です。アルバムの根幹となっているのはブルータルなデスメタルでありながら、そこに流れ込んでくる叙情メロディがなかなか強力。幕開けを飾る①The Curse Temptationはこの手のバンドには珍しいオーケストレーションを導入したスケールの大きいイントロ、それに続く②Teratogenesisは激しいドラムと獰猛なデスボイスで始まる爆走チューン!サビの裏で流れる①でも用いられていた泣きメロは僕の琴線に触れまくりだし、それを受け継ぐギターソロで更にテンションが上がりますね。本作の中では攻撃性控えめでメロディ重視の⑤Daybreakのような曲があるのも好印象。またエンディングの⑩Poetryではクリーンボイスで歌うパートを取り入れていて良いアクセントになっています。力で押しまくる楽曲が大半を占めるため、メロディ重視の僕としては通しで聴くとやや一本調子に感じる場面もありますが結成から15年の時を経て完成した初めてのアルバムだけに曲単体としては聴き応えがありますね。このところ活況を見せている国産メロデスシーンに新たな注目バンドが現れました。

【CD購入録】SOILWORK「VERKLIGHETEN」(2019)

  • 2019/01/16(水) 00:00:00

【CD購入録】
VERKLIGHETEN.jpg
SOILWORK「VERKLIGHETEN」(2019)

前作「THE RIDE MAJESTIC」(2015)リリース後も去年、一昨年とTHE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAでアルバムを発表し、精力的な活動を続けているBjorn“Speed”Strid(Vo)、David Andersson(G)のメインバンドSOILWORKの11作目。バンドが持つ攻撃性は保ちつつ今回はキャッチーな歌メロだけでなく、バッキングにおいても耳に残るメロディが増量されていて僕としては嬉しい方向性ですね。Bjorn自身はインタビューで否定してしていましたが、レトロなハードロックを追求するTHE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAでの活動がSOILWORKの作風にも影響を及ぼしているように思えます。メロディの印象度としては⑤The Nurturing Glanceを筆頭に即効性が高いものが多いし、⑦Stalfagelは曲調とMVの世界観の両面でTHE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAっぽさが感じられますね。また本編ラストの⑫You Aquiverの跳ねるサビはいい意味でSOILWORKらしくなくて新鮮。2019年の初買いCDとしてはなかなか好印象で幸先のいいスタートが切れたと言えそうです。

【CD購入録】ZEMETH「MONOCHROME BLOOD」(2018)

  • 2018/11/29(木) 00:00:00

【CD購入録】
MONOCHROME BLOOD
ZEMETH「MONOCHROME BLOOD」(2018)

ボーカル、ギター、作曲など全てを1人で手掛けるJUNYAによる個人プロジェクトZEMETHの2作目を買いました。泣きまくりのクサメロ満載だった衝撃のデビュー作「ROUGE NOIR」(2017)同様、今回もZEMETHらしい美旋律に溢れたメロデスサウンドが楽しめる1枚に仕上がっています。本作はネオクラシカルな雰囲気が強くなった感がありますね。全編デスボイスによるボーカルを取り入れているものの歌はあくまでバッキングで、主旋律を奏でるのは主にギターというスタイルを今回も貫いているためインスト作品に近い印象です。そのメインメロディの充実振りはかなりのもので、このパートをハイトーンボーカルが歌い上げればGALNERYUSっぽくなるのでは、という気すらしますね。曲毎の差別化がしにくいという点が気にはなるものの、本作も愛聴盤となることは間違いなさそうです。お気に入りを挙げるとすればイントロの時点でクサメロ満載なオープニング①MONOCHROME BLOOD、フォークメタル風のメロディが乱舞する④PURGATORY INFERNOですね。

【CD購入録】AMARANTHE「HELIX」(2018)

  • 2018/11/14(水) 00:00:00

【CD購入録】
HELIX.jpg
AMARANTHE「HELIX」(2018)

デビュー当時からトリプルボーカルの一角としてクリーンボイスを担当してきたJake E(Vo)が前作「MAXIMALISM」(2016)リリース後に脱退、後任にDYNAZTYのフロントマンNils Molinを迎えるという驚きのメンバーチェンジがあったAMARANTHEの5作目(Nils加入後の第1弾)を買いました。Jakeはデビュー作収録の代表曲Hungerなどの作曲に関わっていたし、彼が新たに結成したCYHRAの「LETTERS TO MYSELF」(2017)も充実した内容だったのでJake離脱がAMARANTHEにどう影響するのか心配していましたが、今回も親しみやすいメロディたっぷりの洗練されたメタルサウンドを聴かせてくれています。メインライターのOlof Morck(G/DRAGONLAND)と現代メタル界の歌姫Elize RydがいればAMARANTHEとして成り立つことを再確認しましたね。新加入のNilsも実力者だけあって確かな存在感を発揮しているのは流石です。今回は初期作品で顕著だった爆発的な盛り上がりを抑えたシリアスな作風なのでこのバンドにしては第一印象が地味だし、決めの1曲もないように思いますがAMARANTHE節に溢れたアルバムです。

AMARANTHE「MAXIMALISM」(2016)

  • 2018/03/16(金) 00:00:00

MAXIMALISM.jpg
【No.510】
★★★(2016)

デビュー以降コンスタントにアルバムを発表し、その度に単独で来日したりメタルの祭典LOUD PARK2011、2014に出演したりと日本でもすっかり地位を確立した新世代メタルバンドの注目株AMARANTHEの4thアルバム。本作がリリースされる直前にはHELLOWEENのジャパンツアーのスペシャルゲストとして来日しています。初期2作品に比べて3rd「MASSIVE ADDICTIVE」(2014)は良くも悪くもメタル度が減少していましたが今回は更にメタル離れが進み、デジロックサウンドが強調されているように思います。メタルの要素が存在するのは事実ながら、コテコテのサウンドとは真逆の洗練性がありポップミュージックの要素も大胆に取り入れたAMARANTHEの作風をリーダーOlof Morck(G/DRAGONLAND)は「ハイブリッド・メタル」と表現しているようですが納得感がありますね。

Jake E(Vo)、Henrik Englund(Vo)のクリーンボイスとグロウルが絡み合いながら緊張感を高めていきElize Ryd(Vo)がサビで開放感のあるメロディを歌う①Maximize、キャッチーなサビからスタートするAMARANTHEの王道チューン②Boomerangの2曲で掴みはOK。③That Songは他の曲と毛色が違うため異彩を放つもののQUEENWe Will Rock Youを彷彿とさせる「ドン ドン シャッ」のリズムがインパクト大だし、続く④21も前作収録のDrop Dead Cynicalに似た縦ノリ系なのでこういった曲調がAMARANTHEの新たな定番となってきている感がありますね。個人的には①、②やダンサブルな⑤On The Rocksのような曲の方が好きですが。そんな音楽性の拡散に合わせるようにElizeのボーカルもこれまでになかったようなアプローチを取り入れていて⑤で聴ける「フゥッ!」の掛け声はカッコいいし、⑩Supersonicではソプラノボイスにも挑戦しています。またアルバム本編を締めくくる⑫EndlesslyはElizeの独唱によるバラードでハリウッド映画の主題歌としても使えそうなスケールの大きさを誇っています。

Elizeの存在感が一段と増す中でも本作はHenrikがメインで歌うメロデスタイプ⑦Fury(ElizeとJakeをディスった歌詞も面白い/笑)、Jakeが作曲に加えて歌唱面でも大きく貢献した⑧Faster、⑨Break Down And Cryなど影が薄くなりがちだった男性ボーカル陣にスポットが当たっているのも好印象。これを契機にElize偏重気味だったトリプルシンガーのパワーバランスがよくなっていくことを期待していたのですが、本作をリリースして1ヶ月も経たないうちにJakeが活動休止を発表、その2ヶ月後にはAMARANTHEを脱退してしまいました…。バンドは後任にDYNAZTYのフロントマンNils Molinを迎え、JakeはJesper Stromblad(G/DIMENSION ZERO、ex-IN FLAMES)CYHRAを結成しています。既にDYNAZTYて一定のステイタスを築いているNilsがトリプルボーカル体制のAMARANTHEにマッチするのか期待と不安の両方がありますね。

【音源紹介】
Maximize

AMARANTHE「MASSIVE ADDICTIVE」(2014)

  • 2018/03/04(日) 00:00:00

MASSIVE ADDICTIVE
【No.509】
★★★★(2014)

2011年にセルフタイトル作でデビューするや、メロデス/メタルコア風のサウンドに乗るキャッチーなメロディを個性の異なる3人のシンガーが入れ替わり立ち替わり歌うというスタイルが人気を博し、若手バンドの注目株となったAMARANTHEの3作目。前作「THE NEXUS」(2013)リリース後にグロウルシンガーAndyが脱退、後任にHenrik Englund(Vo/ex-SCARPOINT)を迎えたためAMARANTHEとして初めてメンバーチェンジを経て制作されたアルバムですが影響はそれほど感じられません。良くも悪くもボーカルパートはElize Ryd(Vo)に依るところが大きいことを再確認しました。そのElize嬢は①Dynamiteで炸裂する「ダァイナマァァイ♪」のシャウトで顕著なように、これまで以上に艶と張りのある歌唱を披露していてAMARANTHEでその名を知られて以降KAMELOT、TIMO TOLKKI'S AVALONなどにゲスト参加したことが成長に繋がっているようですね。

シンガーの交代以上に本作はバンドが音楽的アプローチを変えてきたことの方が印象に残ります。従来がメロディックメタル/メロデスに親しみやすいメロディとダンス風のアレンジを加えた作風だとすれば、今回はより幅広い層にアピールできそうなポップロックに通じる大衆的な楽曲を基本としつつメタル的な重さも備えているという感じでしょうか。それを象徴しているのが縦ノリのリズムで進行していく②Drop Dead Cynicalですね。またタイトル曲④Massive Addictiveは文字通り中毒性抜群で、この2曲がアルバムの核となっています。余談ですが「マッシヴ・アディクティヴ」というタイトルは口に出して読みたくなりますね(笑)。

インタビュー記事を読む限りメインソングライターOlof Morck(G/DRAGONLAND)は意図的に変化を狙って曲を書いていたようですが⑤Digital World、⑦Unreal、⑨Danger Zone、⑪An Ordinary Abnormalityなどで聴けるAMARANTHE節も健在。特に⑨のサビはかなりクセになりますね。またこのバンドEでは6曲目に配置されることでお馴染みのバラードは⑥Trueもさることながら⑧Over And Doneが出色の出来だし、その⑧や⑬Exhaleで奏でられる儚げなピアノも今までにはなかった魅力だと思います。トリプルボーカル体制のAMARANTHEはいつかこの単語を使うだろうと思っていた③Trinityもなかなかの佳曲です。メロパワ色が薄まっていることもあって一発で聴き手ををねじ伏せるような爆発力は減退したため、初めの頃はメロディの魅力が低下したように感じたもののリピートするうちに過去作品同様のお気に入り盤となりました。

【音源紹介】
Drop Dead Cynical

【CD購入録】THOUSAND EYES「DAY OF SALVATION」(2018)

  • 2018/02/28(水) 00:00:00

【CD購入録】
DAY OF SALVATION
THOUSAND EYES「DAY OF SALVATION」(2018)

KOUTA(G/LIGHTNING)DOUGEN(Vo/AFTERZERO、UNDEAD CORPORATION)を中心に結成されたデスラッシュメサイアTHOUSAND EYESの3作目を買いました。今やGALNERYUS、TEARS OF TRAGEDY、VOLCANOといった国内の実力派バンドのメンバーが名を連ねる豪華なラインナップとなっています。過去2作品がそうだったように今回も国産メロデスとして高品質であるばかりか、海外のバンドと比べても遜色のない仕上がりとなっていますね。昨年はGYZE、SERENITY IN MURDER、ZEMETHなどのリリースラッシュがあり改めて日本のメロデスシーンの層の厚さを感じましたが、THOUSAND EYESもそれらのバンドに勝るとも劣らないと思います。まずは序曲①Dawn Of Despairに続くタイトル曲②Day Of Salvationが実に強力で、KOUTA自身がキラーチューンと語るのも納得の1曲です。それ以外では④Lost Forever、⑥Final Reignなども気に入っていますがラストの⑪Devastated Momentまでテンションが下がることなく一気に聴かせる勢いがあります。本作を聴いていると彼等が日本のエクストリームメタル界を引っ張っていく存在になるのではと予感させる力作です。

AMARANTHE「THE NEXUS」(2013)

  • 2018/02/20(火) 00:00:00

THE NEXUS
【No.508】
★★★★(2013)
年間ベスト2013年第8位

2009年に発表したデモ音源「LEAVE EVERYTHING BEHIND」の時点から注目を集め、国内盤リリース直後には来日公演が決定するなど華々しいデビューを飾ったスウェーデンの新星AMARANTHEの2ndアルバム。セルフタイトルのデビュー作は男女混合のトリプルシンガー体制というもの珍しさもさることながら、キャッチーなメロディに溢れた3分台の楽曲をズラリと並べたクオリティの高い1枚でした。ボーカリストが3人いるので2ndでは新しい表現にチャレンジしてくるのか注目していましたが、今回も充実のデビュー盤で展開していた音楽性をそのまま踏襲していますね。本作の特徴としては元々フィーチュア度の高かった女性シンガーElize Rydの登場頻度が更に上がっていること、ダンス/テクノ風のアレンジが強調されていることが挙げられると思います。AMARANTHEサウンドのど真ん中をゆく①Afterlife、②Invincibleの冒頭2曲を聴いた時点で、前作のファンなら思わずガッツポーズが出てしまうのではないでしょうか。

バンドの根幹部分は変わっていないので、どれだけ充実したメロディが聴けるかが肝になってくるわけですが結論から言うと僕は1stより本作の方が好きですね。アルバムジャケット/ブックレットの世界観とリンクする近未来的なMVが制作されたリーダートラック③The Nexusの哀メロは流石だし④Theory Of Everything、⑤StardustもAMARANTHEらしさ全開のキャッチーなメタルソングです。ここまで③以外はアップテンポの曲ばかりなので、やや一本調子かなと思っていたところに男女クリーンボイスのみで歌うバラード⑥Burn With Me、AMARANTHEにしては珍しくネオクラシカル風のギターソロを盛り込んだドッシリ感のあるミドル⑦Mechanical Illusionで変化をつけているのも好印象。またノリのよさが際立つ⑧Razorbladeのサビは思わず口ずさんでしまうほどだし、ダンサブルなメタル曲⑩Electroheart、ジャーマンメタルを彷彿とさせる躁系メロディが耳に残る⑪Transhuman、スケール感のあるサビメロで本編を締めくくる⑫Infinityなどお気に入り曲を挙げるとキリがありません。

デビュー作の時点で既に完成されたサウンドだったので2枚目のジンクスにハマってしまうのではないかと心配していましたが、本作で新世代メタルのホープとしての地位を確立したと思います。ただし筋金入りのメタルファンからの評価は今ひとつのようで、メタルバンドのデータベースサイトとして僕も重宝しているEncyclopaedia Metallum: The Metal Archivesには掲載されてなかったりします(苦笑)。コンパクトな楽曲を矢継ぎ早に繰り出すのがAMARANTHEの特徴だとは思いますが、前作にもあった「インパクトはあるが飽きがくるのも早い」という課題は今回も感じられます。少し長めの曲を収録するだけでも印象が変わってきそうな気もするのですが…。特に⑫の壮大なメロディはもう少し丁寧に聴かせて欲しかったですね。いくつか注文をつけたくなる点があるものの本作が僕にとってAMARANTHEの最高傑作であることは間違いありません。

【音源紹介】
The Nexus

AMARANTHE「AMARANTHE」(2011)

  • 2018/02/04(日) 00:00:00

AMARANTHE.jpg
【No.507】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第10位

男女クリーンボイスにデス声担当を加えたトリプルボーカル体制が話題となったスウェーデンの新星AMARANTHEのデビューアルバム。バンドの創設者はメロパワバンドDRAGONLANDの中心人物Olof Morck(G)で、彼が一時期DREAM EVILにも在籍したことのあるJake E(Vo/DREAMLAND)とプロジェクトを立ち上げたことがAMARANTHE誕生のきっかけのようです。当初は多くのゲストを迎える予定だったそうですが女性ボーカルElize Ryd、グロウル担当のAndyが歌った時に2人のパフォーマンスがバンドには最適と判断し、そこから本格的なバンドへと変化したそうです。シンガーが3人いることに注目が集まりがちですが、メロデス風のスタイルを基本としつつテクノ/トランス風のアレンジも取り入れたSOILWORK meets BLOOD STAIN CHILDと表現できそうなサウンドの中で輝くキャッチーな歌メロがAMARANTHE最大の武器でしょう。

まずは冒頭4曲①Leave Everything Behind、②Hunger、③1.000.000 Lightyears、④Automaticがいずれも即効力抜群で一気にAMARANTHEの世界に引き込まれます。どれも甲乙付け難いですが中でも③はこのバンドの魅力を凝縮した1曲だと思うし、本作唯一のバラード⑥Amaranthineもしっとり聴かせる高品質な仕上がりとなっています。また⑧Call Out My Nameのようなダンスメタルも収録していてB級感が抜け切らないメロパワバンドDRAGONLANDのギタリストOlofが、これほどポップで大衆性を備えたメロディセンスを持っていたとは驚きです。AMARANTHEはOlofとJake Eが作曲の中心となっているようなので2人のケミストリーによって、AMARANTHEサウンドができあがっているのかもしれませんね。

初めて聴いた時から口ずさめそうなキャッチーな楽曲群はどれも3〜4分台のコンパクトなものばかりで聴きやすいし、アルバムとしてもデビュー盤とは思えないほどの完成度を誇っているので普段メタルを聴かないリスナーをも取り込む魅力を秘めているのではないでしょうか。日本での注目度も高く2011年4月にデビューすると7月に初来日、10月にはLOUD PARK 11に出演するなどニューアクトとして申し分のないスタートを切っています。ただし各曲が似通っていることもあってアルバムとしてのメリハリがあまり感じられないのも事実で、中盤以降は何曲目を聴いていたのかわからなくなることもありますね。聴き始めの頃はかなりのお気に入り盤だったのですが、個人的には繰り返し聴いているうちに飽きがくるのも早かったりします。というわけで注文をつけたくなる点がなくはないものの新世代メタルの大型新人として十分のインパクトを持った1枚です。

【音源紹介】
1.000.000 Lightyears

【CD購入録】ZEMETH「ROUGE NOIR」(2017)

  • 2017/11/19(日) 00:00:00

【CD購入録】
ROUGE NOIR
ZEMETH「ROUGE NOIR」(2017)

北海道出身の哀愁歌謡ノスタルジック・メロディックデスメタル・プロジェクト(長い/笑)ZEMETHの1stアルバムを買いました。メンバーは22歳の若きコンポーザーJUNYA(Vo、G)のみ、Ryoji(G/GYZE)がゲスト参加しているとはいえ1曲だけなので実質1人でアルバムを作り上げています。ZEMETHのコンセプトは「最高のメロディを作ること」だそうですが本作で聴けるのは、とにかくクサくて泣けるメロディを軸にしたメロデスでインパクトはかなり大きいですね。JUNYAはゲーム音楽にも造詣が深いということもあってかわかりやすくて耳に残るクサメロが満載の1枚となっているし、歌謡曲に通じるメロディ運びもポイントです。どれも強力なナンバーなのでお気に入りを選ぶのは難しいのですがRyojiが客演している⑨Scarlet Nightmareは注目曲ですね。アルバムを通して全曲疾走しまくりなので清々しい反面、喚き系デス声一辺倒で音を詰め込みまくった曲が続くため聴き疲れする感は否めません。そんなマイナス面もありますが、ここまで魅力的なメロディを次から次へと生み出すJUNYAの才能が大きな輝きを放っているので僕は気に入りました。

【CD購入録】ARCH ENEMY「WILL TO POWER」(2017)

  • 2017/09/02(土) 00:00:00

【CD購入録】
WILL TO POWER
ARCH ENEMY「WILL TO POWER」(2017)

3代目ボーカルAlissa White-Gluz(Vo/ex-THE AGONIST)を迎えての2枚目、元NEVERMOREのギタリストJeff Loomis加入後のラインナップでは初のフルレンスアルバムとなるARCH ENEMYの10作目を買いました。前作「WAR ETERNAL」(2014)は名盤と呼べるほどの仕上がりだったし、先行で公開されていた③The World Is YoursがいかにもARCH ENEMYらしい1曲だったので今回も期待していたのですが、それにきっちりと応えてくれていますね。大御所となった今も彼等のチャレンジは続いているようでバンド初のバラード(?)⑤Reason To BelieveではAlissaがクリーンボイスも披露しています。Alissa加入時にMichael Amott(G)は「ARCH ENEMYで彼女がクリーンボイスで歌うことはない」と語っていた記憶があるので、いきなりの前言撤回に驚きもありますが個人的には歓迎です。またMichaelの実弟でバンドを2度脱退したことのある(笑)Christopher Amott(G)が一部の曲作りに関わっていたり、Jens Johansson(Key/STRATOVARIUS)が3曲で客演しているのもサプライズですね。ChristopherとJensが関与した⑨Dream Of Retributionはアルバム後半の聴きどころとなっています。今年の9月はGALNERYUSNOCTURNAL RITESなど注目盤が多いのですが幸先の良いスタートとなりました。

【CD購入録】ALPHOENIX「FINAL CRUSADES」(2017)

  • 2017/05/22(月) 00:00:00

【CD購入録】
FINAL CRUSADES
ALPHOENIX「FINAL CRUSADES」(2017)

泣き/クサメロを盛り込んだエクストリームメタルで注目を集めたものの2013年に解散してしまったMYPROOFの主要メンバーThor(Vo)Shimpei(G、Vo)が新たに立ち上げたALPHOENIX(アルフェニックスではなくアルフィニクスと読むそう)の1stアルバムを買いました。2017年はGYZE、SERENITY IN MURDERと国産メロデスバンドが相次いで力作を届けてくれていますが、本作もそのムーブメントに乗った1枚と言えそうです。アルバムの幕開けを告げるインスト①The Final Crusadeはアコギで始まり泣きのギターへと展開、このメロディがアルバムを締めくくるキラーチューン⑪Reincarnationで再登場する仕掛けがニクいですね。それ以外にも聴き応えのある楽曲は多く、緩急を織り交ぜながら泣かせにかかる④Tragic Night Falls、サビのクリーンボーカルがアニソンっぽい⑧Last Ignition辺りが特に気に入っています。また本作にはDougen(Vo/THOUSAND EYES)⑥RiseSophia(Vo/ex-BLOOD STAIN CHILD)が⑧、Ryoji(G/GYZE)が⑪にゲスト参加、Ettore Rigotti(G/DISARMONIA MUNDI)がエンジニアとして関わっているのもポイント。少し前までMYPROOFが解散していたこと、元メンバーがALPHOENIXなるバンドを結成していたことも知らずにいましたが今後に注目していきたいバンドですね。ちなみに歌詞は日本語のようですが歌詞カードを読みながら聴いていても、内容がわからない場面も少なくありません(苦笑)。

【CD購入録】SERENITY IN MURDER「THE ECLIPSE」(2017)

  • 2017/05/18(木) 00:00:00

【CD購入録】
THE ECLIPSE
SERENITY IN MURDER「THE ECLIPSE」(2017)

メンバーが大学在学中にレコーディングしたという「THE FIRST FRISSON OF THE WORLD」(2011)でデビューした国産シンフォニック・メロデスバンドSERENITY IN MURDERの3作目を買いました。当初からメロディセンスの良さが注目を集めていた彼等ですが着々と成長しているようですね。過去2作品にあった楽曲のフェイドアウトが唐突過ぎるという点も改善されているように思います。暴虐性と美しいメロディの融合という強みはそのままに、この手のバンドとしては珍しいバラード調の⑦The Sea Is...、音使いやメロディに和の要素を取り込んだ⑪Land Of The Rising Sunなどの新機軸がアクセントとなっているのもいいですね。Shuntaro(Key)が脱退してしまいましたが、メインソングライターFreddy(G)指揮の下これまで同様にピアノ、シンセ、オーケストラサウンドが重要な役割を担っていてスタジオ盤を聴く限り鍵盤奏者不在の影響は感じられません。インタビューを読んでいるとメンバーも今回のアルバムに大きな自信を持っているようだし、過去作品と比較してもバンドがレベルアップしたと感じられるアルバムになっていますね。

【CD購入録】GYZE「NORTHERN HELL SONG」(2017)

  • 2017/03/31(金) 00:00:00

【CD購入録】
NORTHERN HELL SONG
GYZE「NORTHERN HELL SONG」(2017)

Ryoji(Vo、G、Key)率いる北海道出身のトリオ編成メロディック・デスメタルバンドGYZEの3作目を買いました。バンドは本作からワールドワイドな活動を始めていて3月末現在は目下ヨーロッパツアー中のようです。CHILDREN OF BODOMが2nd「HATEBREEDER」(1999)当時のサウンドのまま進化したたのような音楽性を持つGYZE最大の武器は泣きまくりギターメロディにあると思っているのですが、本作ではその傾向が更に強くなっていてギターがボーカル以上に目立っていますね。また今回はアルバムジャケットに神社の鳥居が描かれていたり、曲名にアイヌの言葉を用いていたりと北海道のバンドであることを前面に出しているのも印象的。お気に入りは今後バンドの表題曲になりそうなタイトルトラック⑪Northern Hell Songですね。過去2作品同様、今回も慟哭のメロデスが堪能できる力作となっています。

【CD購入録】MORS PRINCIPIUM EST「DAWN OF THE 5TH ERA」(2014)

  • 2017/01/15(日) 00:00:00

【CD購入録】
DAWN OF THE 5TH ERA
MORS PRINCIPIUM EST「DAWN OF THE 5TH ERA」(2014)

フィンランドのメロディック・デスメタルバンドMORS PRINCIPIUM ESTの5作目を買いました。一度聞いただけでは覚えられないバンド「モルス・プリンシピアム・エスト」はラテン語で「死は始まりに過ぎない」という意味の言葉だそうです。彼等については以前から名前だけは知っていてKALMAH、SCAR SYMMETRYなどと同じく北欧メロデス界の中堅バンドというイメージがありましたが実際に聴くのは今回が初めてです。いざ聴いてみるとこれが予想以上に好感触で、上に挙げた2バンド以上に僕のツボにハマるバンドかもしれません。まず印象的なのが弾きまくりのソロパートのみならずリフでも耳に残るフレーズを連発しているギターパート。そしてアグレッシブに押しまくるだけでなく、スピードを抑えた楽曲も持ち前のメロディセンスによって魅力的な仕上がりとなっています。お気に入りはタイトな演奏で迫ってくる③Leader Of The TitansARCH ENEMYを彷彿とさせる④We Are The Sleep、リリカルなピアノの調べに導かれて激しさと美しさの両面を見せつけてくれる⑪The Forsakenといったところでしょうか。過去作品もなかなか評判が良いみたいだし、1月25日発売予定の6th「EMBERS OF THE DYING WORLD」(2017)も期待できそうなのでいつか聴いてみたいですね。

【CD購入録】AMARANTHE「MAXIMALISM」(2016)

  • 2016/10/20(木) 00:00:00

【CD購入録】
MAXIMALISM.jpg
AMARANTHE「MAXIMALISM」(2016)

2016年9月にHELLOWEENと共に来日した新世代メタルバンドの注目株AMARANTHEの4作目を買いました。冒頭の①Maximize、②Boomerangでいきなり発揮される「男女クリーンボイスとグロウルが絡み合うキャッチーなメタルサウンド」というAMARANTHEらしさは本作でも健在です。QUEENWe Will Rock Youを彷彿とさせるリード曲③That Songを先行で聴いた時は従来とは異なる曲調に戸惑いもありましたが、アルバムの流れの中で聴くとなかなか好感触。正直なところ個々の楽曲のインパクトとしては初期2作品に及ばないし、金太郎飴状態になりつつある感も否めませんが魅力的なメロディ満載のコンパクトな楽曲群はリピートを誘われますね。

【CD購入録】DISARMONIA MUNDI「COLD INFERNO」(2015)

  • 2016/10/17(月) 00:00:00

【CD購入録】
COLD INFERNO
DISARMONIA MUNDI「COLD INFERNO」(2015)

CORONER RECORDSのオーナーとしてレーベルを経営する傍ら、ジブリ映画の曲をエクストリームメタル風にカバーするプロジェクトIMAGINARY FLYING MACHINESを立ち上げたりBLOOD STAIN CHILD、GYZEといった日本のバンドをプロデュースしたりと多方面で活躍するマルチプレイヤーEttore Rigottiのメイン(?)プロジェクトDISARMONIA MUNDIの5作目を買いました。今回も正式メンバーは全ての楽器とクリーンボーカルまでを1人でこなすEttoreとグロウル担当のClaudio RavinaleのみでBjorn“Speed”Strid(Vo/SOILWORK、THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA)が過去作に引き続きゲストとして参加しています。サウンドの方も①Creation Dirgeの冒頭がオーケストラ風で驚かされますが、曲自体はDISARMONIA MUNDIらしいモダンメロデス/エクストリームメタルとなっています。個人的にこのバンドはアルバムとしてはそれなりに楽しめる一方で聴き終えた時に印象的な曲がなかったりするのですが、今回はサビメロが一際キャッチーな②Stormghost、④Coffinやアグレッション全開の⑥Slaves To The Illusion Of Lifeなどが気に入っています。日本盤ボーナスの⑪The Loneliness Of The Long Distance Runnerも良い曲だなと思っていたらIRON MAIDENのカバーでした(笑)。ちなみにこの曲にはChristian Alvestam(Vo/ex-SCAR SYMMETRY)がゲスト参加しています。マンネリ感は否めないものの流石のクオリティを誇る1枚という感じですね。

BLOOD STAIN CHILD「EPSILON」(2011)

  • 2016/10/13(木) 00:00:00

EPSILON.jpg
【No.480】
★★★★(2011)

メロディックデスメタルをテクノ/トランス調のアレンジで聴かせるという独自のサウンドを前作「MOZAIQ」(2007)で確立したBLOOD STAIN CHILDの5thアルバム。「MOZAIQ」から専任シンガーのSadewが加入しワールドデビューも果たしたため、ここからエンジン全開で活動していくのかと思いきや、そうはいかなかったようでSadewや創設メンバーでもあるViolator(Ds)の脱退、レーベル移籍などがあり前作から約4年が経過してのニューアルバムとなります。本作の注目ポイントは何といってもSadewの後任にバンドが迎えたギリシャ出身の女性ボーカルSophiaと、それに伴うトランス色の更なる強化でしょう。最早メタルというジャンルでは括りきれない楽曲もチラホラありますが、一段とメロディアスになった本作の音楽性は結構好きですね。

そんな非メタル系ナンバーとして挙げられるのが③STARGAZER、⑥ELECTRICITY、⑨Dedicated To Violatorなどで特に③のキャッチーなメロディの魅力はバンド史上最高。本作のキラーチューンですね。アルバム全体で7割程度、③と⑥ではほぼ全てのボーカルパートを任されているSophia嬢の歌唱力はさほど高くなく一本調子に感じられるものの②FOREVER FREE④S.O.P.H.I.Aを聴いていると感情を抑えた彼女の歌い方は近未来的なトランスサウンドを持ち味とするBLOOD STAIN CHILDとマッチしていると思います。バンド史上初となるバラード⑫SAI-KA-NOも彼女がいるからこそできたナンバーでしょう。その一方でアルバムの軸となっているのは、あくまでもメタリックな楽曲群で⑤Unlimited Alchemist⑧MOON LIGHT WAVEIN FLAMESっぽさ漂う⑪La+などがお気に入りです。

前作で確立したトランスメタルの更なる進化に一役買っているのがDISARMONIA MUNDIの中心人物にして本作リリース元のレーベルCORONER RECORDSのオーナーでもあるEttore Rigottiで、彼の方からバンドに対して「君たちの音楽は素晴らしいのに、なぜあまり知られていない!?君たちをもっと世界に広めたい!」とラブコールを送ってきたそうです。Ettoreが共同プロデューサーを務めたこともあってか、これまで以上にサウンドが洗練されたように感じますね。今度こそBLOOD STAIN CHILDの快進撃が始まるかと期待したのですが、本作リリース後も活動は順調ではないようで2012年2月にSophiaが脱退したため同年12月に後任として女性シンガーKiKiを迎えてシングル「LAST STARDUST」を発表するも、2016年にはKiKiのみならずオリジナルメンバーのひとりRyo(B、Vo)までもがバンドを離れています。更に残念なのはセンス抜群の音使いとアレンジで今のブラステサウンドの中核を担ってきたAki(Key)がサイトのメンバーリストからひっそりと姿を消していることですね。バンドは2016年6月に男性ボーカルSaikaを迎えたことをリニューアルしたHPで発表し、ニューシングル「NEXUS」もリリースしたようなのでこのままフルアルバムの制作に入ってもらいたいところです。今のメンバーでどんな作品が生まれるのか未知数なので一抹の不安もありますが…。

【音源紹介】
STARGAZER

BLOOD STAIN CHILD「MOZAIQ」(2007)

  • 2016/10/01(土) 00:00:00

MOZAIQ
【No.479】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第10位

BLOOD STAIN CHILDの4作目にして、僕が初めてこのバンドの音に触れたアルバム。今回もメンバーチェンジがあり、前作「IDOLATOR」(2005)から加入したShiromasa(G)はバンドを離れG.S.R.なるギタリストが参加、更にバンド初となる専任シンガーSadewを迎えた6人編成となっています。Sadewはルックスのみならずグロウルや悲しげなクリーンボーカルまでAnders Frieden(Vo/IN FLAMES)に似ていますね。本作ではそんな彼の歌唱に加えて、これまで兼任という形でリードボーカルを担っていたRyo(B)のシャウト、メインソングライターRyu(G)のノーマルボイス、女声のサンプリングなどを駆使し、前作で掴んだ近未来的メロデスという独創的な音楽性を更に進化させています。

このアルバムを初めて聴いた時はプレイボタンを押すと同時に流れてくるディスコ風の音に驚かされましたが、ここまで大胆にユーロビートとメロデスを融合させて、しかもカッコよく仕上げてしまうバンドのセンスにタダならぬものを感じました。ダンサブルなメロデスと呼べそうな③FreedomはBLOOD STAIN CHILDならではの新境地だし、ノーマルボイスで畳み掛けるサビメロが印象的な⑤Pitch Black Roomなどアルバム前半の充実振りはなかなかだと思います。後半にはどことなく「和」を感じさせる音使いと女性ボーカルがなんとも言えない浮遊感を醸し出す⑦METROPOLICE、トランス色を前面に出した⑧C.E.0079など風変わりな楽曲もあって面白いですね。そして日本盤ボーナスにTRFのカバー曲⑫EZ DO DANCEを収録してしまうのもBLOOD STAIN CHILDならではと言えるでしょう。ちなみにアメリカ/ヨーロッパ盤にはEZ DO DANCEの代わりにCosmic Highwayというオリジナル曲が収録されていて、YouTubeで聴く限りなかなかの佳曲です。

デビューした頃はCHILDREN OF BODOMフォロワーと呼ばれていた彼等ですが、ダンスミュージックとメロデスの融合という荒技で他のバンドとの差別化に成功していますね。そんな話題性もさることながらこのバンドのメロディセンスが本作リリース時のCHILDREN OF BODOMやSOILWORK以上に僕好みなので愛聴していました。ただしデビュー当初からBLOOD STAIN CHILDのファンだという方の間では、本作について賛否両論あるようですね。たしかにクリーンボーカルが平坦に感じられる、メタルミュージックの肝であるはずのギターパートにもう少し魅力が欲しいなど物足りない点もありますが②Cyber Green、④ENERGY BLAST、⑩Peacemakerのような疾走系のナンバーはグッと来るし、耳に残るメロディも多いので過去のアルバムよりも本作の方が好きですね。

【音源紹介】
Freedom

BLOOD STAIN CHILD「IDOLATOR」(2005)

  • 2016/09/19(月) 00:00:00

IDOLATOR.jpg
【No.478】
★★★(2007)

2000年代の日本メロデスシーンにおける有望株ブラステことBLOOD STAIN CHILDの3rdアルバム。デビュー以降、不動だったメンバーに変化があり長年在籍していたツインギターの一翼Daiki(G)が脱退しShiromasa(G)が加入しています。過去作品ではCHILDREN OF BODOMフォロワーに分類されそうな音楽性でしたが、今回は前作「MYSTIC YOUR HEART」(2003)でその片鱗を見せていたディスコ/トランス風のサウンドを大幅増量、リーダーのRyu(G)がクリーンボイスでサイドボーカルを務めるようになったことなどから従来とは異なる作風となっていますね。1st「SILENCE OF NORTHERN HELL」(2002)が中世ヨーロッパを思わせるシンフォニックアレンジだとすれば、今回は近未来的なサイバーメタルへと変化を遂げていて同じバンドとは思えないほどです。穿った見方をすればチルボドから「NATURAL BORN CHAOS」(2002)期のSOILWORKに乗り換えたと言えなくもない気もしますが…(苦笑)。

まずはオープニングの①HYPER SONICからして新生ブラステの魅力を凝縮した強力チューンなのですが、僕が一番好きなのは③Embrace Meですね。この曲を引っ張っていくもの悲しいキーボードの旋律は正にキラーフレーズ!本作のハイライトは間違いなくこの曲だと思います。また今回のアルバムで顕著なトランスへの傾倒を象徴する⑧NUCLEAR TRANCEも挑戦的な1曲だし、次作「MOZAIQ」(2007)で花開く「ダンス・ユーロビート+メタル」への布石となっていそうな⑩TYPE-Nなど随所でこれまでの作品とは一味違う魅力を発散しています。アルバム後半に失速する感はあるものの、前半に収録された楽曲群の充実振りはなかなかだし押し一辺倒に感じられた前作に対して、今回は緩急がうまくつけられています。LUNA SEAのカバー⑫TRUE BLUEは原曲をよく知らないので事前情報なく聴いたらブラステのオリジナルと思ってしまいそうですね。

「このアルバムでようやく完璧な自分達のオリジナリティが出せたと思っている」とRyuが語っているように、本作でBLOOD STAIN CHILDのアイデンティティが確立されましたね。そのカギを握るのは、前作のようにソロで弾きまくる場面は激減したものの先鋭的なアレンジが光るAki(Key)の存在でしょう。今回のアルバムで掴んだ音楽性を更に押し進めた4th「MOZAIQ」から僕はこのバンドを聴くようになり、本作を含む初期3作品は後追いでチェックしたため「トランスメタルに到達するまではこんな作風だったのか」という感想ですが、リアルタイムで聴いていたら本作で一皮剥けたという印象を抱いたと思います。デビュー作で見せていたクサメロは影を潜めてしまったので、その点に寂しさを感じる面もありますが総合的に見てもバンドがこれまでに発表した2枚のアルバムを上回る力作。次回作以降、アグレッションは希薄になっていくのでBLOOD STAIN CHILDならではの独自性とメロデスバンドらしさのバランスとしては本作くらいがベストなのかもしれませんね。

【音源紹介】
Embrace Me