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【CD購入録】GATHERING OF KINGS「DISCOVERY」(2020)

  • 2020/05/31(日) 00:00:00

【CD購入録】
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GATHERING OF KINGS「DISCOVERY」(2020)

Victor Olsson(G/SAFFIRE)のペンによる楽曲を複数のシンガーが歌い上げるプロジェクトGATHERING OF KINGSの2ndアルバム。ゲストボーカルにはFIREWINDTIME REQUIEMを経て現在はSPIRITUAL BEGGARSに籍を置くApollo Papathanasio、渡り鳥シンガーとしてAT VANCE、MASTERPLANなどを掛け持ちしているRick Altzi、GATHERING OF KINGSの作曲を担うVictorとSAFFIREで活動を共にするTobias Jansson、僕にとっては未知のシンガーながら溌剌とした歌声が魅力のAlexander Frisborg(HELLDOG)が前作に引き続き参加していますが、本作最大のトピックはJonny Lindkvist(NOCTURNAL RITES)を迎えていることでしょう。ビルドアップされたメロハーソングCall Out To The WorldNOCTURNAL RITESが2007年にリリースした「8TH SIN」に収録)を聴いてJonnyにはメロディックロック系も歌ってほしいと思っていたので今回の参加は素直に嬉しいし、彼の歌う④December⑧Moonlightは楽曲としても秀逸です。前作で大きな存在感を放っていたものの今回不参加となったBjorn“Speed”Strid(Vo/SOILWORK、THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA)の穴を見事に埋めてくれていますね。インパクトとしてはデビュー作に軍配が上がるかなという印象ですが相変わらず安定感抜群のナンバーが並んでいるし、空から希望の光が差し込む情景が脳裏に浮かぶ⑩Kiss From Above、哀愁に溢れた⑪From A Whisper To A Screamは特に気に入っています。

TNT「INTUITION」(1989)

  • 2020/05/25(月) 00:00:00

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【No.543】
★★★★(1997)

「バンドの最高傑作」、「80年代北欧メタルを代表をする名盤」など高い評価を受けているTNTの4作目。2nd 「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)でTNTサウンドの礎を築き、前作「TELL NO TALES」(1987)ではその進化形を見せてくれましたが、今回は更に洗練されていて普段HR/HMに馴染みのない人にも受け入れられそうなほど聴きやすい作風となっています。透明感に溢れたサウンドの中で煌くメロディ、それを歌い上げるTony Harnell(Vo)の超絶ハイトーンボイスとRonni Le Tekro(G)による独特のギターフレーズが織り成す音世界は今回の本作で完成の域に達しています。

アルバムはTNTとしては初となる序曲①A Nation Free (Intro)でスタート、この曲がスケール感たっぷりなので荘厳な幕開けとなっています。②Caught Between The Tigersは個性的なギターリフとグルーヴを持ったロックチューンで、典型的なTNTソングとは一線を画す曲調ながらクセになる1曲ですね。それに続く北欧ハードポップの理想郷③Tonight I'm Falling、母国ノルウェーのクラシック音楽家グリーグの「ペール・ギュント」第二組曲の「ソルヴェイグの歌」のメロディ(後にKAMELOTも名曲Foreverでフィーチュアしています)をギターソロに取り入れた美麗バラード④End Of The Line、冒頭のギターメロディだけで心を鷲掴みされる爽やかな名曲⑤Intuitionの3連発は実に強力。それ以降も②に通じるメタリックな側面を見せる⑥Forever Shine On、ポップセンスが弾ける⑦Learn To Love、③や⑤といった超名曲の影に隠れがちですが並のアルバムならキラーチューン間違いなしの⑨Take Me Down (Fallen Angel)、ワルツのような雰囲気の中で泣きのメロディとミステリアスなギターソロが光るエンディング曲⑩Wisdomなど聴きどころが満載です。

惜しむらくはRonniがボーカルをとった小曲⑧Ordinary Loverが作品全体の流れから見て浮いていることでしょうか…。本作リリース後に実現した初来日の記念盤として再発された「INTUITION」(現在は入手困難)にはElectric Dancerという軽快なロックソングがボーナスとして追加されているのですが、なかなかの佳曲なので⑧よりもこちらの方を通常盤に収録して欲しかったですね。ちなみにElectric Dancerは1996年発売のベスト盤「TILL NEXT TIME」でも聴くことができます。とはいえ、全10曲中の約半数にあたる4曲(③、④、⑤、⑨)が名曲という充実振りには脱帽で、各所で高く評価をされていることも納得の名盤です。

【音源紹介】
Intuition

【CD購入録】MORON POLICE「A BOAT ON THE SEA」(2020)

  • 2020/05/20(水) 00:00:00

【CD購入録】
A BOAT ON THE SEA
MORON POLICE「A BOAT ON THE SEA」(2020)

「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984) のコメント欄でグータラof Fireさんからお薦めいただいたノルウェー出身のプログレッシブ・ロックバンドMORON POLICEの3rdアルバムにして「海映(うみばえ)の夢想劇」という邦題がつけられた日本デビュー盤(輸入盤は2019年にリリースされています)。プログレと言っても小難しい印象はほとんどなく、ポップなメロディが随所で聴ける作品となっています。タイプとしてはスウェーデンのA.C.TMOON SAFARIに近いですが、MORON POLICEの方が自由奔放なスタイルなので聴いていて楽しいですね。落ち着いたピアノの調べが期待感を煽る小曲①Hocus Pocusに導かれて爽やかに駆け抜ける②The Phantom Belowから、曲名とは対照的に複雑な展開を盛り込んだ本編ラスト⑧Isn’t It Easyまで一気に聴けてしまいます。特にアニソン風のキャッチーなメロディの後に早口のスキャットによるボーカルパートが登場し、流れるような展開を見せる⑥Captain Awkwardは秀逸。中心人物のSondre Skollevoll(Vo、G、Key)は様々なジャンルの音楽を聴いていて、中でもゲーム音楽(主にスーパーファミコン)が大好きなんだそうです。確かにゲーム音楽からの影響を感じさせる場面はあるし、僕も一番夢中になっていたゲームはスーファミなので親近感が湧きますね。また日本盤にはボーナストラックが4曲追加されていて穏やかなメロディが胸に染みる⑨Cult Of Tunaのほかデモ音源ながらアコースティックサウンドが心地よい⑩Starlight Cinema、⑪Desolation、「和」のテイストを感じさせるゲーム音楽風インスト⑫Japanese Pogo Stick Adventure!と、どの曲も楽しめました。これまで全く知らないバンドでしたが、かなり気に入ったので過去作品も聴いてみたいと思っています。

TNT「TELL NO TALES」(1987)

  • 2020/04/30(木) 00:00:00

TELL NO TALES
【No.542】
★★★★(1997)

本国ノルウェーでは3週連続でナショナルチャート1位に輝くなどヒットを記録したTNTの出世作にして通算3枚目となるアルバム。日本デビュー盤でもあった前作「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)はTNTがアイデンティティを確立するための重要作品だったのは事実ながら、バンドとしては発展途上にあることが感じられる1枚でもありました。それに対して本作では2ndにあったヴァイキングメタル系の曲は姿を消し、メジャー感が大幅に増しているだけでなく「北欧ならではの透明感と美しくもキャッチーなメロディを詰め込んだHR/HM」というTNTらしさを凝縮した仕上がりとなっていますね。

バンドの成長振りをいきなり見せつけてくれるアップテンポ①Everyone's A Star、ノリの良いギターリフからキャッチーなサビへ繋がっていく②10,000 Lovers (In One)、珠玉の美旋律ハードロック③As Far As The Eye Can See(見わたす限り)と続く冒頭3曲は実に強力。その後も邦題のセンスは微妙ながら美しさに溢れたバラード⑤Child's Play(チャイルド遊戯)からシームレスに繋がるアコースティックのインスト小品⑥Smooth Syncopationを挟んで爽やかなメロディが躍動する⑦Listen To Your Heart、曲名からして北欧テイスト満点の名バラード⑨Northern Lights、アルバムラストを派手に締めくくるスピードメタル⑪Tell No Talesを始めとする北欧メタルの最高峰が堪能できる1枚となっています。「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」の記事でも書いたように僕はベストアルバム「TILL NEXT TIME」(1996)がTNTとの出会いだったので、そこに収録されていない⑨を初めて聴いた時には「なぜこの曲が入っていないんだ?」というのが率直な感想でした。

加入2作目となるTony Harnell(Vo)の突き抜けるようなハイトーンは更に伸びやかになっているし、メインソングライターでもあるRonni Le Tekro(G)もクラシカルなインスト④SapphireYNGWIE MALMSTEENばりに弾きまくっているほかリフやソロで、その独特なセンスを遺憾なく発揮していますね。全11曲で31分足らずと、収録時間だけ見るとEP並みのボリュームしかないものの中身は濃密で聴き応え満点の逸品となっています。一般的にTNTの最高傑作は4th「INTUITION」(1989)という声が多いようですが僕にとってはどちらも甲乙付け難い名盤です。メタリックなエッヂもある本作、そこから更に洗練された次作という感じでしょうか。これからTNTを聴く方にはどちらの作品も手に取ってもらいたいですね。

【音源紹介】
10,000 Lovers (In One)

DYNAZTY「THE DARK DELIGHT」(2020)

  • 2020/04/25(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE DARK DELIGHT
DYNAZTY「THE DARK DELIGHT」(2020)

音楽性は異なるもののH.E.A.Tと並ぶスウェディッシュHR/HMのホープとして注目しているDYNAZTYの7作目。サウンド面が大きく変化した4th「RENATUS」(2014)以降、音の密度の濃いヘヴィメタルを聴かせていましたが、前作「FIRESIGN」(2018)ではデジタルサウンドの割合が増すなど更なる進化を見せてくれた一方で、ともすればヌルいと感じる場面もありました。本作では「FIRESIGN」の路線を継承しつつも、前作以上にタイトな音になっていますね。楽曲としては先行で公開されていた①Presence Of Mind、⑥Heartless Madness、⑦Waterfallは勿論、パワーバラード⑤Hologramやアグレッション全開の⑩Apexなどがが気に入っています。それに加えてボーナストラック⑬The Shoulder Devilも素晴らしい出来となっていてなぜ本編に入れなかったのか疑問に思うほどです。これまで以上に歌メロが充実しているのはNils Molin(Vo)AMARANTHEに加入した効果かもしれませんね。

TNT「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)

  • 2020/04/20(月) 00:00:00

KNIGHTS OF THE NEW THUNDER
【No.541】
★★★(1996)

Ronni Le Tekro(G)率いるノルウェー出身の北欧メタルバンドTNTの2ndアルバム。後にバンドの顔となるアメリカ人シンガーTony Harnell(当時はTony Hansen名義)は本作から加入しています。バンド名を冠した1stアルバムはDag Ingebrigtsen(Vo)なる人物が歌っていたのですが、その時点ではTNTの代名詞である透明感やキャッチーなメロディといった要素は皆無に等しく、歌詞はノルウェー語のB級メタルだったのに対して全編英語詞による本作ではTNTらしさが感じられるようになっていますね。とはいっても前作からの影響もまだ残っていて彼等の作品群の中ではメタリックな印象が強いアルバムです。ちなみにDagの後任にはMICHAEL SCHENKER GROUPを脱退したばかりのGary Barden(Vo)にほぼ決まりかけていたのですが、無名ながら圧倒的な歌唱力を誇るTonyを迎える決断を下したそうです。もしGaryが加入していたらバンドの音楽性も今とは別のものになっていたかもしれませんね…。

僕はバンド初のベスト盤「TILL NEXT TIME」(1996)で初めてTNTの音に触れ、その後にオリジナルアルバムを聴いたので、重厚でありつつキャッチーさも忘れない①Seven Seas、何度も繰り返されるサビがクセになる④Last Summer's Evil、HR/HMのお手本のような⑦Break The Ice、勇壮なヴァイキングメタル⑩Knights Of The Thunderなどベストアルバムの収録曲に耳がいきますね。ただ本作はそれ以外にも疾走感溢れるイントロと爽やかなサビの対比が見事な②Ready To Leave、タイトル通りのロマンティックなインスト小品③Klassisk Romance、いかにも北欧のバンドらしい美麗バラード⑤Without Your Love、TNTにしては珍しく漢臭いコーラスをフィーチュアした⑥Tor With The Hammerといった魅力的なナンバーが並んでいる点も見逃せません。

バンドの代表作と言われる3rd「TELL NO TALES」(1987)、4th「INTUITION」(1989)に比べると粗削りだし、Tonyのボーカルに力みが感じられたり、メンバーのルックスも垢抜けなかったりするのは事実ながら1st「TNT」(1982)から大きく進化していることは間違いありません。デビュー作のソングライティングには前任シンガーDagが関わっている曲がそれなりにあったようなので、TNTというバンドの基礎が確立されたのは本作からだと言えると思います。Dagは実力不足などを理由に事実上の解雇という形でバンドを離脱したそうですが、本作でもドラムを叩いているDiesel DahlがTNT脱退時に結成したTINDRUMの2nd「HOW 'BOUT THIS ?!」(1989)でリードボーカルを務めたり、2012年に敢行されたTNTの歴代シンガーが集ったライヴ(後に「THE 30TH-ANNIVERSARY CONCERT」としてDVD/CDがリリース)に参加したりしているのでメンバーとの関係性は悪くないようです。

【音源紹介】
Seven Seas

【CD購入録】HAREM SCAREM「CHANGE THE WORLD」(2020)

  • 2020/04/10(金) 00:00:00

【CD購入録】
CHANGE THE WORLD
HAREM SCAREM「CHANGE THE WORLD」(2020)

2013年に再結成して以降、「THIRTEEN」(2014)、「UNITED」(2017)とコンスタントに作品を発表してくれているHAREM SCAREMの14thアルバム。前作が秀逸な出来だったので今回も期待していましたが結論から言うと、その期待にしっかりと応えてくれていますね。ゆったりした曲調が更にテンポダウンするサビメロが耳から離れないタイトル曲①Change The World、リフとソロの両方でPete Lesperance(G)らしいフレーズが冴え渡る④The Death Of Me、哀愁の中にも温かみと希望を感じさせるHAREM SCAREM節全開な⑤Mother Of Invention、⑦In The Unknownや若々しくロックする⑧Riot In My Head、お約束のバラード⑨No Me Without Youなど、お気に入り曲を挙げだすとキリがありません。僕にとってこのバンドはFAIR WARNING、TERRA NOVAと並ぶ「90年代から愛聴しているメロディックロックバンドの御三家」なのですが、近年はいずれのバンドにも以前ほど夢中になることができずにいました。前作と今回のアルバムは「HAREM SCAREM復活!」と言いたくなる出来栄えだし、バンドはこれからも新譜制作を続けてくれるようなので嬉しい限りです。

【CD購入録】ANETTE OLZON「SHINE」(2014)

  • 2020/03/31(火) 00:00:00

【CD購入録】
SHINE.jpg
ANETTE OLZON「SHINE」(2014)

スウェーデンのメロディックロック/AORバンドALYSON AVENUEのリードボーカルとしてデビュー、2007年〜2012年にはTarja Turunen(Vo)の後任としてNIGHTWISHに在籍したことで大きく知名度を上げ、現在はTHE DARK ELEMENT、ALLEN/OLZONといったFRONTIERS RECORDSのプロジェクトを中心に活動しているフィーメルシンガーAnette Olzonが2014年にリリースした初のソロアルバム。本作に収録されているのはメタリックな要素皆無の歌モノ系で5th「THE UNFORGIVING」(2011)以降のWITHIN TEMPTATIONを更にソフトにした感もありますね。肝心のボーカルメロディについては、そこまでキャッチーではないので地味な印象が拭えないものの薄味の楽曲がAnetteの歌を際立たせている面もあるので、彼女のボーカルを堪能するには最適な作風かもしれません。本作のお気に入りはポップ寄りの②Shine、④Liesと終盤を美しく締めるピアノバラード⑨One Million Faces、⑩Watching Me from Afarといったところでしょうか。ちなみに⑨にはFredrik Bergh(Key/BLOODBOUND、STREET TALK)が作曲に関わっているようです。

MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「KINGDOM OF ROCK」(2015)

  • 2020/03/13(金) 00:00:00

KINGDOM OF ROCK
【No.540】
★★★★(2015)

ギタープレイヤーとして活動する傍ら、FRONTIERS RECORDSと専属作曲家契約を結び、レーベルが送り出すバンド/プロジェクトの作曲やプロデュース、時には演奏も請け負うというギタリストの新たな音楽活動のスタイルを確立したと言っても過言ではないMagnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR、ex-LAST TRIBE etc)のソロプロジェクトMAGNUS KARLSSON'S FREE FALLの2nd。メインバンドだったLAST TRIBEが自然消滅して以降、裏方に徹していたMagnusが豪華なゲストボーカル陣を迎えて久し振りに表舞台へ帰ってきたセルフタイトルのデビュー作は彼の近作に漂っていた「お仕事感」が希薄で、改めてその作曲能力の高さを見せつけてくれる傑作でした。今回のゲストシンガーには前作に引き続きRick Altzi(AT VANCE、MASTERPLAN、THUNDERSTONE)、David Readman(PINK CREAM 69、VOODOO CIRCLE)、Tony Harnell(STRABREAKER、ex-TNT)、Russell Allen(SYMPHONY X、ALLEN-LANDE)らが名を連ねているほか、Magnusにとって夢の共演となるJoe Lynn Turner(ex-RAINBOW etc)、Tonny Martin(BLACK SABBATH etc)、Magnusと何らかの形で活動を共にしたことのあるJorn Lande(JORN、ALLEN-LANDE)、Jakob Samuel(THE POODLES、ex-MIDNIGHT SUN)、Harry Hess(HAREM SCAREM)、そして無名の新人女性シンガーRebecca De La Motteが初めて参加しています。

今回も歌い手の強みを活かしたMagnusのソングライティング術は冴え渡っていてJorn Landeにピッタリな力強いHR/HM讃歌①Kingdom Of Rockで幕を開けると、MIDNIGHT SUNのラストアルバム「METAL MACHINE」(2001)で共演していたJakob Samuelの上手さを再確認させてくれる②Out Of The Darkと続きJoe Lynn Turnerには哀愁のメロディアスハード③No Control、Tony Martinには重厚でドラマティックな④When The Sky Fallsを提供し、憧れの存在と語る2人の魅力を引き出すことに成功しています。ちなみに日本盤ボーナスはRussell Allenが歌う③のアコースティックバージョンですが、やはりJoeの方がしっくりきますね。また僕がTony Harnellに歌って欲しいと思っているハードポップの理想形⑧Never Look Away、Harry Hessが歌うことでHAREM SCAREMテイストが色濃くなりつつもMagnus印がしっかりと刻まれた⑨A Heart So Cold、無名ながら本作の実力派シンガー達に引けを取らないRebecca De La Motte嬢の堂々たる歌唱が映えるメジャー感たっぷりのバラード⑩The Right Momentへ至る終盤の流れは秀逸です。

前作に続きMagnusのリードボーカル曲が2曲(⑥I Am Coming For You、⑪Walk This Road Alone)あるのですが、本業がギタリストとは思えないほどの歌声なので強者シンガー達が歌う楽曲群の中でも聴き劣りしないどころか更に歌唱力がアップしているように思います。前作収録のHigher、Not My Saviourのようなメタリックチューンが本作にはないため初めて聴いた時のインパクトは強くなかったもののリピートするうちにハマっていきました。こうしてMagnusが多くのシンガーとコラボした楽曲を聴いて感じるのはTony Harnellとの相性の良さですね。惜しむらくは彼等が組んだSTARBREAKERが本プロジェクトで聴ける王道メロディックロックとは一線を画すサウンドだということでしょうか(STARBREAKERも嫌いではないのですが…)。充実盤を続けてリリースしてくれたこのプロジェクトは是非継続してもらいたいし、次回はKISKE/SOMERVILLEで共演したMichael Kiske(Vo/PLACE VENDOME、UNISONIC 、ex-HELLOWEEN)、MagnusがキャリアをスタートさせたMIDNIGHT SUNのフロントマンPete Sandbergなどが参加してくれると嬉しいですね。…と思っていたら今年の5月8日に新作「WE ARE THE NIGHT」をリリースするという情報が入ってきましたが残念ながら上記2人のゲスト参加は実現しなかったようです。

【音源紹介】
Never Look Away

【CD購入録】H.E.A.T「H.E.A.T II」(2020)

  • 2020/03/10(火) 00:00:00

【CD購入録】
HEATⅡ
H.E.A.T「H.E.A.T II」(2020)

3rd「ADDRESS THE NATION」(2012)に収録されたLiving On The Runを管理人が選ぶ2010年代のベストチューン20曲に選出したスウェーデン産メロディック・ロックバンドの雄H.E.A.Tの6th。ここ最近の彼等の音楽性は拡散傾向にあり第一印象は微妙ながら繰り返し聴いていると好きになっていくアルバムが多かったのに対して、本作は始めて聴いた時から心を掴まれましたね。「ロッキャ バ〜ディ、ロッキャ バ〜ディ♪」のサビが耳に残るロックアンセム①Rock Your Bodyはオープニングとして申し分ないし②Dangerous Ground、③Come Clean、④Victoryの3連発は実に強力。タイトル通りアドレナリンがドバドバ出そうなハードチューン⑥Adrenalineもカッコいいですね。先行で公開されていた②や③、⑦One By One、⑪Riseを聴いて高まった期待値を更に上回る充実盤です。気が早いかもしれませんが今年を代表するメロディック・ロックアルバムだと思います。

MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL」(2013)

  • 2020/03/01(日) 00:00:00

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【No.539】
★★★★(2013)
年間ベスト2013年第5位

僕のお気に入りギタリスト/ソングライターの1人Magnus Karlsson(PRIMAL FEAR、ex-LAST TRIBE)初となるソロ・プロジェクトMAGNUS KARLSSON'S FREE FALLの第1弾アルバム。Magnusの経歴を紹介するとJonas Reingold(B/THE FLOWER KINGS)、Pete Sandberg(Vo)を中心とした北欧叙情派HR/HMバンドMIDNIGHT SUNの3rd「NEMESIS」(1999)でデビュー、2001年には自身のバンドLAST TRIBEをスタートさせて3年連続で傑作アルバムを発表。その後は現代メロディックHR/HMシーン屈指の仕掛人Serafino Perginoが社長を務めるFRONTIERS RECORDS発のプロジェクトALLEN-LANDE、STARBREAKERなどのソングライター/プロデューサーとして活躍し、現在は正統派メタルバンドPRIMAL FEARに籍を置きつつ近年もRonnie Romero(Vo/RAINBOW etc、ex-LORDS OF BLACK)、Mike Terrana(Ds/ex-RAGE、YNGWIE MALMSTEEN etc)THE FERRYMENを結成するなど精力的に活動しています。

このプロジェクトの目玉は何と言っても豪華なゲストシンガー陣でRussell Allen(SYMPHONY X、ALLEN-LANDE)、Ralf Scheepers(PRIMAL FEAR)、Tony Harnell(STRABREAKER、ex-TNT)、Mark Boals(THE CODEX、ex-ROYAL HUNT、YNGWIE MALMSTEEN)、Mike Andersson(PLANET ALLIANCE)、Rickard Bengtsson(ex-LAST TRIBE)など、これまでにMagnusとコラボレートしたことのある歌い手に加えてRick Altzi(AT VANCE、MASTERPLAN、THUNDERSTONE)、Herman Saming(A.C.T)、David Readman(PINK CREAM 69、VOODOO CIRCLE)も参加しています。またMagnusもそんなゲスト達に応えるかのようにRussell Allenには力強いHR/HM①Free Fall、Ralf Scheepersには高揚感溢れるメタリックチューン②Higher、Tony Harnellには透明感のあるバラード④Stronger、Rick Altziにはパワーメタル色の強い疾走曲⑤Not My Saviour、Herman Samingには幻想的でメロディアスな⑩Fightingなど、各人の個性を活かした楽曲を生み出しています。こうして見ると改めて彼の作曲能力の高さに唸らされますね。またMagnusのキャリアの中でLAST TRIBEに思い入れが強い僕にとってRickard Bengtssonとの久々の共演が実現した⑨Last Tribeは感涙モノでした。

マルチプレイヤーでもあるMagnusは本作でドラムを除く全ての楽器を演奏しているだけでなく本編で3曲(中でも③Heading Outは出色の出来)、日本盤ボーナスとなっている④のアコースティックバージョンでリードボーカルをとっているのですが、その歌声が実に魅力的で全曲を彼が歌ったアルバムも聴いてみたいほどです。LAST TRIBE時代もMagnusの歌をフィーチュアした楽曲があったせいか本作で彼がボーカルを務める曲はLAST TRIBEっぽさを感じますね。そのLAST TRIBEの最終作3rd「UNCROWNED」(2003)をリリース後、MagnusはFRONTIERS RECORDS所属の様々なプロジェクトに関わることになるのですがALLEN-LANDEの1st「THE BATTLE」(2005)を最後に良作ではあるもののどこか物足りなさが残るのも事実でした。流石のMagnusもネタ切れかと思っていたので本作は正に起死回生の一撃となりましたね。

【音源紹介】
Last Tribe

【CD購入録】EDGE OF FOREVER「NATIVE SOUL」(2019)

  • 2019/12/25(水) 00:00:00

【CD購入録】
NATIVE SOUL
EDGE OF FOREVER「NATIVE SOUL」(2019)

現代メロディック・ロックシーンを代表するソングライター/プロデューサーのひとりAlessandro Del Vecchio(Key)のメインバンドEDGE OF FOREVERの4thアルバム。気になるCDリストに記載のなかった本作を買ったのは「BURRN!1月号で藤木さんが絶賛していた」というミーハーな理由からです(笑)。実際に聴いてみると煌びやかなサウンドの中でキャッチーなメロディが躍動する③Promised Land、ハードに疾走する④Carry OnJOURNEYの名曲Separate Ways (Worlds Apart)を彷彿とさせる勇壮なメロディがカッコいい⑤Take Your Timeの3曲は藤木さんのおっしゃる通り、アルバムのハイライトになっていますが個人的にはドライヴ感が心地よい⑥Dying Sunもその中に含めたいですね。また本作でリードボーカルを務めるAlessandroの歌声も魅力的で、ここまで歌える人だというのも驚きでした。数々のプロジェクトでソングライティングをしながら、自身のバンドでこれだけの楽曲を揃えられる彼の才能には脱帽ですね。

【CD購入録】LOVEKILLERS feat. Tony Harnell「LOVEKILLERS」(2019)

  • 2019/12/20(金) 00:00:00

【CD購入録】
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LOVEKILLERS feat. Tony Harnell「LOVEKILLERS」(2019)

Tony Harnell(Vo/STARBREAKER、ex-TNT、WESTWORLD)がメロディアス・ハードロックを歌うプロジェクトLOVEKILLERS feat. Tony Harnellの1stアルバム。FRONTIERS RECORDSからのリリースとなるこのプロジェクトに楽曲を提供しているのは、本作のプロデューサーでキーボードも演奏しているAlessandro Del Vecchio(Key/EDGE OF FOREVER etc)をはじめとするレーベルお抱えの作曲陣でTony自身も関わっているようですね。ライター側が寄せてきたのか、Tonyが歌うとそう聴こえるのか、はたまたその両方なのか往年のTNTを彷彿とさせる爽やかな楽曲群はなかなか粒揃いで②Hurricaneはギターメロディが名曲Intuition風だし、先行で公開されていた⑤Higher Again、⑧Now Or Neverなどは試聴していて即座に「このアルバムを聴いてみたい」と思ったキャッチーソングです。終盤にはギターソロも見せ場となっている⑩No More Love、清らかなピアノの調べからスタートしてバンドサウンドが加わって盛り上がりをみせるバラード⑪Set Me Freeもあって聴後感は良好。リリース前はさほど注目していなかった本作ですがメロディックロックの好盤だと思います。

【CD購入録】WORK OF ART「EXHIBITS」(2019)

  • 2019/11/30(土) 00:00:00

【CD購入録】
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WORK OF ART「EXHIBITS」(2019)

Robert Sall(G)率いるトリオ編成のメロディックロックバンドWORK OF ARTの4thアルバム。前作「FRAMEWORK」(2014)がラストアルバムになるという噂を耳にしていたので、こうして新作を届けてくれたことがまずは嬉しいですね。今回もRobertが生み出す洗練されたメロディアスチューンをLars Safsund (Vo/LIONVILLE)が歌うことで完成するWORK OF ARTサウンドが楽しめます。それに加えて本作にはメロディックロック界のレジェンドJim Peterik(G/PRIDE OF LIONS、ex-SURVIVOR)が数曲でRobertと共作していることもあって流石の出来栄えとなっていますね。①Misguided Love、②Be The Believer、③Another NightとMVが制作された楽曲を立て続けに繰り出すオープニングは文句のつけようがありません。その後も映画「ロッキー4」や「トランスフォーマー」などの音楽を手掛けたことで知られるVince DiCola(Key)が客演、Jimとの共作曲でもある④This Isn’t Loveやフックに満ちた⑤Gotta Get Outなど聴き応えのある曲が並び、幻想的なエンディング曲⑪Let Me Dreamまで一気に聴けますね。飛び抜けたキラーチューンこそないもののWORK OF ARTらしい1枚となっています。

【CD購入録】THE DARK ELEMENT「SONGS THE NIGHT SINGS」(2019)

  • 2019/11/15(金) 00:00:00

【CD購入録】
SONGS THE NIGHT SINGS
THE DARK ELEMENT「SONGS THE NIGHT SINGS」(2019)

Jani Liimatainen(G/CAIN'S OFFERING、ex-SONATA ARCTICA)Anette Olzon(Vo/ex-ALYSON AVENUE、NIGHTWISH)を組ませるというFRONTIERS RECORDSの発案で2017年に誕生したTHE DARK ELEMENTの2作目。セルフタイトルのデビュー作は2017年の年間ベストに選出するほどのお気に入り盤でしたが単発プロジェクトで終わる可能性もありそうだったので、こうして第2弾がリリースされたことがまず嬉しいですね。また中身の方もJaniらしい流麗なメロディをAnetteの美声で聴かせるスタイルに変化はなく、前作が好きだった僕のようなファンであれば今回も満足できる内容だと思います。オープニングの①Not Your Monster、②Songs The Night SingsはこれぞTHE DARK ELEMENTなメロディアスチューンだし、ダンサブルなアレンジを取り入れた⑤Pills On My Pillow、悲壮感が漂う旋律が胸を締め付ける⑥To Whatever Endなども良いですね。終盤でサビを繰り返す曲が多いこともあってかメロディが頭から離れず、気がつけばサビを口ずさんでいることもしばしば。Janiは僕が今注目しているメロディメイカーの1人なので、FRONTIERS RECORDSの様々な作品に楽曲を提供するのではなくCAIN'S OFFERINGとTHE DARK ELEMENTで、その才能を発揮してもらいたいですね。

【CD購入録】ECLIPSE「PARADIGM」(2019)

  • 2019/10/22(火) 00:00:00

【CD購入録】
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ECLIPSE「PARADIGM」(2019)

現在のメロディアス・ハードロック界において僕の中で安心ブランドの地位を確立しているECLIPSEの7作目。一時期はアルバムのリリース間隔が空くこともありましたが5th「ARMAGEDDONIZE」(2015)以降は2年のスパンで新作を届けてくれています。しかも中心人物のErik Martensson(Vo、G)はその間にもW.E.T.NORDIC UNIONにも参加していることを踏まえると、かなり精力的に活動していますね。本作も相変わらずのECLIPSE節でフックに満ちたメロディックロックが楽しめます。オープニングを飾る①Viva La VictoriaはMVが制作されたことも納得のメロディアスチューンだし、勢いのある⑥Deliriousやボーナストラックではアコースティックバージョンが楽しめる⑦When The Winter Endsなども気に入っています。溌剌としたサウンドは控えめだし、終盤は失速気味ではあるもののメロディックロックファンなら聴いて損はしない1枚だと思います。

【CD購入録】THE DEFIANTS「ZOKUSHO」(2019)

  • 2019/09/19(木) 00:00:00

【CD購入録】
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THE DEFIANTS「ZOKUSHO」(2019)

2009年に7作目「REVOLVE」をリリースして以降、一向に新作発表の動きが見えないDANGER DANGERBruno Ravel(B)、Rob Marcello(G)と2代目シンガーとしてDANGER DANGERに在籍していたPaul Laine(Vo)が結成したTHE DEFIANTSの2ndアルバム。「ZOKUSHO」というタイトルを初めて聞いた時はどういう意味なのか不思議に思っていましたが日本語の「続章」だったんですね。THE DEFIANTSは1枚限りのプロジェクトではなく、この先も続いていくということでしょうか。セルフタイトルの前作は近年、メロディックロックを聴く機会が減ってきている僕にとっても素晴らしい作品だったのですが、今回も高品質な1枚に仕上がっています。先行で音源が公開されていた③Hollywood In Headlights、④Fallin' For You、⑦U X'd My Heartは流石の出来だし、お洒落なムード漂う⑤Hold On Tonightや爽やかなメロディが心地よい⑨Stayも気に入っています。メロディの充実度という意味ではデビュー作に及ばないものの今回も楽しめそうです。Bruno RavelとRob MarcelloはTHE DEFIANTSでの活動が順調そうだし、DANGER DANGERの現シンガーTed PoleyはソロやTOKYO MOTOR FISTで忙しそうなのでDANGER DANGERの再始動はまだ先になりそうですね…。

SCRAMBLED SOUL CIRCUS「SCRAMBLED COLORS」(2015)

  • 2019/09/01(日) 00:00:00

Scrambled Colors
【No.534】
★★★★★(2015)
年間ベスト2015年第1位

LIGHT BRINGER、ART OF GRADATIONで類稀なるメロディセンスを発揮していたKazu(G、Vo)TEARS OF TRAGEDYの女性ボーカルHaruka、元CROSS VEIN〜OCTAVIAGRACEYouske(B)と立ち上げたポップロックバンドSCRAMBLED SOUL CIRCUSの1stにして唯一のアルバム。当初は3人によるユニットとして活動、そこにSeiya(G)、Satoru(Ds)という元LIGHT BRINGER〜ART OF GRADATION組が加わったことでバンドへと発展し、SCRAMBLED SOUL CIRCUSという名前もその頃に決まったそうです。アルバム発表時には残念ながら脱退しているもののReanne(Key/ART OF GRADATION)も在籍していたようなので、アルバム1枚のみで解散してしまったART OF GRADATIONの別形態または発展形と呼んでいいのかもしれません。

サウンド的にはART OF GRADATION以上にHR/HM度は減退していて、より幅広い層にアピールできそうなハードポップとなっていてLIGHT BRINGERとの共通点は少ないですね。⑨「ハミング♪」のメロディに壮大なアレンジを施した序曲①Scrambled Soul Orchestraから勢いのあるギターで幕を開ける②「旅立ちの唄」でアルバムはスタート。爽やかなピアノの音色と共に駆け抜ける③”Shiny、先行でMVも制作された④WIND!!と、ここまではポジティブな雰囲気に溢れた楽曲が続きます。ちなみに④はART OF GRADATION「CONCENTRATION」(2013)収録の名曲SKY!!に通じる世界観がありますね。ここまでの軽やかな曲調から一転して⑤Hide myselfは重厚かつシンフォニックなナンバーで翳りのあるメロディが素晴らしいし幻想的なアコースティックバラード⑥「オリオンの夜」、本作で最もハードな
⑦Re:START
、タイトルからして③と対になっていることを感じさせる哀愁のミドル⑧Shade"と続く流れは強力です。終盤も明るいメロディが弾ける⑨、作品の締めくくりに相応しいスケール感がある⑩「Dream State~親愛なる仲間達へ~」も含めてKazuのメロディが好きな僕の期待にしっかりと応えてくれる1枚となっています。

そんなKazuが生み出す珠玉のメロディを歌うHaruka嬢の存在も大きいですね。Fuki(Vo/LIGHT BRINGER)のような圧倒的なパワーはありませんが声そのものに宿る翳りというか、不思議な魅力があって聴き惚れてしまいます。またTEARS OF TRAGEDYよりもソフトな路線ということもあってか低音域で歌う場面が多く、Harukaの新しい一面を見たような気もしますね。ただ歌詞については⑨で飛び出す「ルンルン ハミング〜♪」を筆頭に歌詞に登場する人物の年齢層が10代〜20代前半のように思えるのでアラフォーの僕としては赤面ものの内容が多くHR/HMリスナーにとっても好みが分かれそうです。CROSS VEIN、LIGHT BRINGER、TEARS OF TRAGEDYといった国内屈指のメタルバンドに在籍していた(している)メンバーによるバンドとは思えないほど軽いサウンドですがハードポップも好んで聴く僕のようなリスナーにとっては間違いなく名盤ですね。KazuはLIGHT BRINGER脱退後にART OF GRADATION、SCRAMBLED SOUL CIRCUSと立て続けにバンドを立ち上げたものの、本作を最後に表舞台から姿を消してしまっているのが残念…。いつか復活してもらいたいですね。

【音源紹介】
WIND!!

ART OF GRADATION「CONCENTRATION」(2013)

  • 2019/08/08(木) 00:00:00

CONCENTRATION.jpg
【No.533】
★★★★(2013)
年間ベスト2013年第4位

3rd「GENESIS」(2012)制作時までLIGHT BRINGERに在籍しDream!を始めとする名曲を生み出してきたKazu(G、Vo)がラブリー脱退後に立ち上げたART OF GRADATIONの1stアルバム。作曲面では勿論Kazuが中心となりつつ、キーボード奏者Reanne(後にOCTAVIAGRACEに在籍)も3曲を手掛けています。それ以外のメンバーはアニメ声タイプのMichiruと元CROSS VEINという経歴を持つIbukiの女性ツインボーカル、2012年までLIGHT BRINGERでプレイしていたSeiya(G)、Satoru(Ds)というラインナップとなっています。Satoruはアルバム完成後の加入ですがLIGHT BRINGERのソングライターを含む元メンバー3人を擁するART OF GRADATIONがLIGHT BRINGERの4th「SCENES OF INFINITY」(2013)と同日にアルバムをリリースするということで、ラブリーファンとしては発売日をかなり楽しみにしていた記憶がありますね。

本編に登場するメロディをもとにした序曲①Concentration(instrumental)に続いて挨拶代わりに繰り出されるKazu作の②REAL、Reanne作の③determinationがどちらも初めて聴いた時から口ずさめてしまうナンバーで掴みは上々。しかし本作の真価はそれ以降の楽曲にこそあると思います。バッハのフーガの旋律を奏でるパイプオルガンに始まりチェンバロ風のキーボードがネオクラシカルな雰囲気を放つ④「仮面の月」、哀愁のメロディが冴えるミドル⑤Rain Pain Rainから曲名が示す通りの飛翔系メロパワチューンにして本作のハイライトとなっている⑥SKY!!に繋がる流れが素晴らしいですね。⑦「ハジマリの空」ではモダンかつヘヴィな側面も見せてくれるし、和のテイストが漂う哀メロチューン⑧「サクラビト」、キャッチーなサビが耳から離れないアニソンタイプの⑨Zonic Elementsなども大好きな曲です。アルバム終盤もJ-POPのヒットバラードとしてラジオから流れてきそうな⑩daily、それまでの楽曲にはなかったグルーヴ感のある演奏を取り入れつつサビは伸びやかで希望に満ちた⑪Our Songといった佳曲が並びます。ただし初回プレス限定のボーナストラック⑫「奏」は本編に比べると少し物足りないかな。

LIGHT BRINGERのサウンドはメロディックメタル+アニソン+90年代J-POP+超絶技巧インストで構成されていたのに対して、ART OF GRADATIONはメタリックな要素は味付け程度で90年代J-POPに軸足を置きつつアニソンテイストも取り入れている感じですね。プログレメタル系の曲を生み出すHibiki(B/LIGHT BRINGER)、LIGHT BRINGERのポップサイドを担っていたKazuというイメージそのままに本作でも彼のメロディセンスが存分に発揮されています。そのメロディを伝えるシンガーについてはトリプルボーカル体制をとっているものの曲の大半を歌うのはMichiruでIbukiとKazuはサポートに徹している感が強いのでシンガーが3人いることが大きな武器になっているというわけではないのが残念。個々の歌唱力を見てもFuki(Vo/LIGHT BRINGER)と比較するとその差は大きいと言わざるを得ないですね。ただし良くも悪くもクセのないMichiruの歌はメロディの魅力を真っ直ぐに伝えるという意味ではアリだと思います。またKazuの歌は確実に上手くなっていますね。ボーカル面に物足りなさを感じるし、HR/HMを期待して聴くとかなりソフトで拍子抜けするのは事実ながら、それを補って余りある珠玉の旋律が味わえる1枚に仕上がっています。これだけの充実盤を生み出してくれたART OF GRADATIONですが本作のみでバンドは解散…というかSCRAMBLED SOUL CIRCUSに移行したようです。

【音源紹介】
SKY!!

【CD購入録】GATHERING OF KINGS「FIRST MISSION」(2019)

  • 2019/07/30(火) 00:00:00

【CD購入録】
FIRST MISSION
GATHERING OF KINGS「FIRST MISSION」(2019)

Ron Dahlgrenとその妻のNina Dahlgrenが80年代に一世を風靡したPHENOMENA、今やHR/HMシーン屈指のプロジェクトとなったTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAを意識して立ち上げたメロディックロック/AORプロジェクトGATHERING OF KINGSの1stアルバム。ラインナップはDahlgren夫妻がピックアップしたスウェディッシュHR/HM界のプレイヤー達で構成されていて、メインソングライターはSAFFIREなるバンドでも活動しているVictor Olsson(G)が務めています。僕にとって馴染みのある参加メンバーはRick Altzi(Vo/AT VANCE、MASTERPLAN)、Bjorn“Speed”Strid(Vo/SOILWORK、THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA)、Apollo Papathanasio(Vo/SPIRITUAL BEGGARS)、Erik Martensson(G/ECLIPSE)、Nalle Pahlsson(B/ex-TREAT)といったメンツですね。肝心の中身はというと、いかにも北欧らしい哀愁を湛えたメロディを軸とした極上のメロディックロックで初めて聴いた時はALIENのフロントマンJim Jidhedの5thソロ「PUSH ON THROUGH」(2017)を連想しました。複数のシンガーがそれぞれの担当曲を歌うというスタイルなのですが、一番印象に残っているのはメロディックロックを歌うイメージがほとんどないRick Altziですね。MVも制作されたアルバムリード曲にしてAORの王道をゆく③Love Will Stay Alive、物悲しいバラード⑥Passing Rain、本作の中では一際ハードな⑫Battle Cryなどタイプの異なる楽曲を見事に歌いこなしています。RickといえばAT VANCE、MASTERPLANのシンガーというイメージが強いのでドイツ人だとばかり思っていました(笑)。またアルバムをより魅力的にしているのがVictor Olssonのソングライティングとギタープレイでしょう。本作を聴いてSAFFIREというバンドも聴いてみたくなりました。なおGATHERING OF KINGSは本作リリース後にRickが歌うシングルHeaven On The Runを発表、2020年には2ndアルバム「DISCOVERY」が完成予定らしいので今から楽しみにしています。