【CD購入録】LINGUA MORTIS ORCHESTRA feat. RAGE「LMO」(2013)

  • 2018/06/19(火) 00:00:00

【CD購入録】
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LINGUA MORTIS ORCHESTRA feat. RAGE「LMO」(2013)

ドイツが誇るベテランパワーメタルバンドRAGEのメンバーが2013年に立ち上げたプロジェクトLINGUA MORTIS ORCHESTRAの第1作目を買いました。Peter "Peavy" Wagner(Vo、B)、Victor Smolski(G)、Andre Hilgers(Ds)の編成で制作されたフルアルバム「21」(2012)リリース後に「ヘヴィなものはRAGE、メロディックなものはLINGUA MORTIS ORCHESTRA名義で発表する」ことがアナウンスされ違和感を覚えましたがPeavy、Victor、Andreのラインナップは2015年に崩壊…。今にして思えば、この頃からバンドの歯車は狂い始めていたのかもしれませんね。ちなみにプロジェクト名はRAGEが既発曲をオーケストラと共演して再構築した企画盤「LINGUA MORTIS」(1996)に由来していて、Victorが中心となりオーケストラとの共演を視野に入れて書き下ろした楽曲にPeavyが歌詞を乗せる形式を基本としています。2名の女性シンガーとHenning Basse(Vo/ex-METALIUM)もメンバーとして名を連ねてはいるもののメインで歌っているのはあくまでもPeavyなので、どうしてもRAGEっぽさが残りますね。RAGEファンは勿論、メロディックメタルファンなら一定レベル以上の満足感は保証されていると思うし、必要以上にオーケストラ寄りになることなくHR/HM作品として聴き応えはあるものの飛び抜けたナンバーはないかな、というのが正直な感想です。

【CD購入録】陰陽座「覇道明王」(2018)

  • 2018/06/11(月) 00:00:00

【CD購入録】
覇道明王
陰陽座「覇道明王」(2018)

来年で結成20周年を迎える陰陽座の14作目を買いました。前作「迦陵頻伽」(2016)で表現の幅をグッと広げた彼等でしたが今回はバンドの根幹、つまりヘヴィメタルの部分にスポットを当てた1枚という感じですね。シングルとしてもリリースされた④「桜花忍法帖」は流石にキャッチーな仕上がりとなっているものの、アルバム全体としては即効性はさほど高くなく初めて聴いた時は微妙な印象もありました。ところが数回聴いた頃にはどっしりと構えた堂々たるサウンドに引き込まれましたね。特に①「覇王(はおう)」、⑨「鉄鼠の黶(てっそのあざ)」の2曲はグイグイと引き込まれ、漠然とですが陰陽座が更に一皮むけたと感じさせてくれるナンバーです。バラードを収録せず徹頭徹尾ヘヴィメタルでありながら、曲毎に絶妙な表情の変化を見せる瞬火(B、Vo)のソングライティング能力に脱帽ですね。第一印象としては前作に軍配が上がるのは事実ながら、今回も陰陽座らしいサウンドを堪能できるので聴き込むうちに感想がどう変化してくるのか楽しみです。

【CD購入録】BLOODBOUND「WAR OF DRAGONS」(2017)

  • 2018/06/08(金) 00:00:00

【CD購入録】
WAR OF DRAGONS
BLOODBOUND「WAR OF DRAGONS」(2017)

Fredrik Bergh(Key/STREET TALK)率いるスウェーデンのメロディックメタルバンドBLOODBOUNDの7作目を買いました。彼等がデビューした当時はお気に入りソングライターFredrikのバンドということもあって期待を胸に1st「NOSFERATU」(2005)を聴いたものの、あまり印象に残るメロディがなかったためそれ以降はチェックしていませんでした。ところが本作で久々に彼等の音に触れてみると、清々しいほどにメロパワの王道をひた走るサウンドでビックリ。アルバム導入の語り①A New Era Beginsを経て繰り広げられる②Battle In The Sky、③Tears Of A Dragonheart、④War Of Dragonsがいずれも強力で一気にアルバムに引き込まれます。このブログ的にスルーできない曲名(笑)の⑤Silver Wingsはフォークメタルっぽかったり、ジャーマンメタルファンならばニヤリとしてしまうタイトルの⑨Guardians At Heaven’s Gateはスリリングなギターで幕を開けたりと変化を持たせながら本編ラストの爽系ジャーマンメタル⑫Dragons Are Foreverまで楽しく聴けました。NIGHTWISHWishmasterそのまんまな④を筆頭にどこかで聴いたフレーズが散見されますが、それもBLOODBOUNDの持ち味だとポジティブに受け止めたくなるような1枚です。

【CD購入録】KAMELOT「THE SHADOW THEORY」(2018)

  • 2018/05/19(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE SHADOW THEORY
KAMELOT「THE SHADOW THEORY」(2018)

ダークで神秘的なオーラを纏ったメロディック・パワーメタルバンドとして孤高の存在感を放つKAMELOTの12作目を買いました。20年以上に渡ってバンドの屋台骨を支え続けてきたCasey Grillo(Ds)が円満脱退、後任にJohan Nunez(Ds/FIREWIND etc)を迎えて初のアルバムですが、今回もKAMELOTならではのメロディックメタルが堪能できます。1分半ほどの序曲①The Missionに導かれてスタートする②Phantom Divine (Shadow Empire)からしてKAMELOTらしさ全開だし、シンガーのTommy Karevik(SEVENTH WONDER)がメインで作曲したという③RavenLight、流麗なメロディが耳に残るアップテンポ④Amnesiac、ケルトっぽい雰囲気の中で響くサビのコーラスが素晴らしい⑤Burns To Embraceなど流石の楽曲が並びます。前半に比べて後半はやや失速気味に感じるものの、優雅なピアノソロから徐々に激しさを増していく⑫The Proud And The Brokenもいいですね。ちなみにTommyが在籍するプログレメタルバンドSEVENTH WONDERが10月に新作「TIARA」をリリースするようだし、KAMELOTの顔と呼べる存在だった前任シンガーRoy KhanCONCEPTIONを復活させるそうなのでKAMELOTの新旧ボーカルの動向に要注目ですね。

【CD購入録】ANGRA「ØMNI」(2018)

  • 2018/04/17(火) 00:00:00

【CD購入録】
ØMNI
ANGRA「ØMNI」(2018)

看板ギタリストで創設メンバーの1人でもあるKiko LoureiroMEGADETHに加入したため、その動向に注目が集まっていたブラジルの至宝ANGRAの9作目を買いました。Kikoの後任に迎えられたのはEdu Falaschi(Vo/ex-ANGRA)のメインバンドでANGRAのFelipe Andreoli(B)もかつて在籍していたALMAHのギタリストMarcelo Barbosa。彼のことはALMAHの2nd「FRAGILE EQUALITY」(2008)を聴いた時から印象に残っていたので順当な人選だと思います。ANGRAとKikoについても良好な関係を維持しているようで⑥War HornsのレコーディングにはKikoも参加していますね。KikoがMEGADETHのギタリストとして長期間活動し続ける可能性はそれほど高くない気がするので、いつかバンドに復帰する線もあると思います。ANGRAとしてはメロディックパワーメタル色を強めに出しつつ、プログレメタルや彼等ならではのブラジリアンテイストを程よく織り交ぜた今回の作風は僕が聴きたいANGRA像に近いですね。オープニングを飾る①Light Of Transcendenceで聴けるスピーディな曲調と耳に残るギターメロディはかなり気に入っています。Fabio Lione(Vo/LIONE/CONTI etc、ex-RHAPSODY OF FIRE)という実力者を擁していながらRafael Bittencourt(G)がリードボーカルをとる曲があることに疑問は残りますがリピート率はかなり高い1枚ですね。

【CD購入録】CIVIL WAR「THE LAST FULL MEASURE」(2016)

  • 2018/04/13(金) 00:00:00

【CD購入録】
LAST FULL MEASURE
CIVIL WAR「THE LAST FULL MEASURE」(2016)

SABATONの元メンバーとNils Patrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS、LION'S SHARE、WUTHERING HEIGHTS etc)が立ち上げたCIVIL WARを3作目を買いました。本作はデビューアルバムから続く「アメリカ南北戦争3部作」の完結編となります。過去2作品は愛聴盤となっていましたが今回もCIVIL WARらしい熱気に溢れたメタルアルバムに仕上がっていますね。それでいて今回はオープニング曲①Road To Victoryのイントロからして煌びやかなキーボードがフィーチュアされていたり、④Tombstoneではフォークメタルっぽいフレーズが登場したりと新しい要素が盛り込まれています。ストレートなメタルチューン⑧Gladiatorの「グラディエーター」というサビが「ニャア〜ディエェイタァ♪」になっているのはNilsらしくてニヤリとしてしまうし、アルバム本編を壮大に締めくくるタイトル曲⑩The Last Full Measureもいいですね。ボーナストラック⑪Strike Hard, Strike Sure、⑫Aftermathも充実していてアルバム中盤に並ぶ曲よりも強力なのでは、と思えるほど。本作でも圧倒的な存在感を放っているNilsは残念ながら本作を最後に脱退、バンドはADAGIOの復活作「LIFE」(2017)でも歌っていたKelly Sundown Carpenter(Vo)を後任に迎えています。Kellyも実力者だと思いますがNilsはバンドの顔だっただけに今後が少し心配ですね…。

【CD購入録】SABATON「THE LAST STAND」(2016)

  • 2018/04/05(木) 00:00:00

【CD購入録】
THE LAST STAND
SABATON「THE LAST STAND」(2016)

本国スウェーデンでは「サバトン・オープン・エア」というフェスを主催するほどの人気を誇り、ライヴでは戦車などが登場することから「ウォーメタル」、「ミリタリーメタル」と形容されるエピックメタルバンドSABATONの8作目を買いました。つい先日までAMON AMARTHをサポートアクトに迎えて来日もしていたようですね。彼等のことは以前から知っていたのですが「エピックメタル」というジャンルに対して「武骨であるが故にキャッチーさに欠ける」というイメージが強く、購入に至らないまま今に至っていました。ところが本作を聴いてみると予想以上にわかりやすく、勇ましさだけでなく曲によってはメロディアスハードに通じる爽やかさをも兼ね備えていてビックリ。正式メンバーがいないにも関わらず、各曲でキーボードのパートが活躍しているのも意外でした。フロントマンJoakim Brodenの歌唱は漢臭さと威厳に溢れたスタイルで各曲をこれでもかとばかりに盛り上げてくれますね。本作でも「ウォーメタル」の名の通り、曲毎に題材となった歴史上の戦いがあるようで⑨Shiroyamaでは西南戦争の城山の戦いを取り上げているようです。コンパクトに纏められた楽曲を矢継ぎ早に繰り出すスタイルでありつつ「ウゥッ!ハァ!ウゥッ!ハァ!」という漢らしいコーラスからスタートする重厚な①Sparta、オルガンサウンドを纏った軽快なハードロック③Blood Of Bannockburn、心地よく疾走していく⑥Rorke's Driftなど異なる表情を見せてくれるのも好印象。アルバムを通して楽しめる作品ですが、お気に入りは前述の⑨ですね。先日、CD購入録の記事をアップしたKREATORと同じく過去作品も聴いてみたくなりました。

【CD購入録】KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH「OVERTURE OF DESTRUCTION」(2017)

  • 2018/03/24(土) 00:00:00

【CD購入録】
OVERTURE OF DESTRUCTION
KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH「OVERTURE OF DESTRUCTION」(2017)

一時の寡作振りが嘘のようにここ最近はハイペースな活動を見せているKELLY SIMONZ'S BLIND FAITHの5作目を買いました。12年振りの復活作となった3rd「BLIND FAITH」(2014)からラインナップに変更はなく今回もKelly Simonz(G)がボーカル、キーボードなどもこなしつつリズム隊には正式メンバーが在籍、ゲストシンガーにYama-B(Vo/ex-GALNERYUS)を迎えるという布陣となっています。Kellyが全パートをこなしてアルバムを作り上げていたことから「一人様式美男」と呼ばれていたデビュー当初が懐かしいですね(笑)。アルバムの中身としてはこれまで同様ネオクラシカルチューンを軸にハードポップ、バラードを織り交ぜながらギターインストもしっかりと聴かせるという作風となっています。文字通りの序曲①Overtureからネオクラ疾走曲②Road To Destructionへ雪崩れ込み、軽快なメロディックロック③Close Your Eyesに繋がる展開は今やKelly Simonzのお家芸ですね。3作品続けてのゲスト参加となるYama-Bが激しいナンバー、Kellyはソフトな曲を歌っているのですが③などはKellyの声量不足が感じられるので、いっそのことYama-Bが正式加入してもいいような気もします。インストで印象的なのはGary Moore愛に溢れた⑤Sea Of Tears、3部構成10分越えの長編⑪"The Wrath Of Gaia" Suite No.1-3ですね。過去作品を凌駕する内容というわけではないものの、いかにもKellyらしい1枚となっています。

【CD購入録】ROYAL HUNT「CAST IN STONE」(2018)

  • 2018/03/20(火) 00:00:00

【CD購入録】
CAST IN STONE
ROYAL HUNT「CAST IN STONE」(2018)

11th「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)でD.C. Cooper(Vo)が復帰して以降、コンスタントに作品をリリースし続けているROYAL HUNTの14作目を買いました。前作「DEVIL'S DOZEN」(2015)の後も2016年に「CARGO」、2017年には「2016」というライヴ盤を発表しているので4年連続で何らかのアルバムを届けてくれていますね。今回も内容的には紛れもないROYAL HUNTサウンドでありつつも、煌びやかなネオクラシカル風の音使いはほとんどなくAndre Andersen(Key)もハードロック風のオルガンの音色で演奏する場面が増えています。②The Last Soul Aliveのようにスピーディーな楽曲もありますがミドルテンポ主体で全体的にメロディが地味なので、即効性は低いですね。また典型的ROYAL HUNTソング⑥A Million Ways To Die、⑦Rest In Peaceを聴いて焼き直しと見るか、これぞROYAL HUNTと見るかで本作の評価は分かれると思います(僕はどちらかというと後者ですが)。気になるのは⑥、⑦のように死を連想させる曲名が多いことでしょうか。個人的にはAndreが以前に「A LIFE TO DIE FOR」(2013)がROYAL HUNTとして最後のアルバムになるとインタビューで語っていたことが今でも頭に残っていて、これらの曲名にバンドの最期という意味が込められているのかも、なんて考えてしまうんですよね…。

AMARANTHE「MAXIMALISM」(2016)

  • 2018/03/16(金) 00:00:00

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【No.510】
★★★(2016)

デビュー以降コンスタントにアルバムを発表し、その度に単独で来日したりメタルの祭典LOUD PARK2011、2014に出演したりと日本でもすっかり地位を確立した新世代メタルバンドの注目株AMARANTHEの4thアルバム。本作がリリースされる直前にはHELLOWEENのジャパンツアーのスペシャルゲストとして来日しています。初期2作品に比べて3rd「MASSIVE ADDICTIVE」(2014)は良くも悪くもメタル度が減少していましたが今回は更にメタル離れが進み、デジロックサウンドが強調されているように思います。メタルの要素が存在するのは事実ながら、コテコテのサウンドとは真逆の洗練性がありポップミュージックの要素も大胆に取り入れたAMARANTHEの作風をリーダーOlof Morck(G/DRAGONLAND)は「ハイブリッド・メタル」と表現しているようですが納得感がありますね。

Jake E(Vo)、Henrik Englund(Vo)のクリーンボイスとグロウルが絡み合いながら緊張感を高めていきElize Ryd(Vo)がサビで開放感のあるメロディを歌う①Maximize、キャッチーなサビからスタートするAMARANTHEの王道チューン②Boomerangの2曲で掴みはOK。③That Songは他の曲と毛色が違うため異彩を放つもののQUEENWe Will Rock Youを彷彿とさせる「ドン ドン シャッ」のリズムがインパクト大だし、続く④21も前作収録のDrop Dead Cynicalに似た縦ノリ系なのでこういった曲調がAMARANTHEの新たな定番となってきている感がありますね。個人的には①、②やダンサブルな⑤On The Rocksのような曲の方が好きですが。そんな音楽性の拡散に合わせるようにElizeのボーカルもこれまでになかったようなアプローチを取り入れていて⑤で聴ける「フゥッ!」の掛け声はカッコいいし、⑩Supersonicではソプラノボイスにも挑戦しています。またアルバム本編を締めくくる⑫EndlesslyはElizeの独唱によるバラードでハリウッド映画の主題歌としても使えそうなスケールの大きさを誇っています。

Elizeの存在感が一段と増す中でも本作はHenrikがメインで歌うメロデスタイプ⑦Fury(ElizeとJakeをディスった歌詞も面白い/笑)、Jakeが作曲に加えて歌唱面でも大きく貢献した⑧Faster、⑨Break Down And Cryなど影が薄くなりがちだった男性ボーカル陣にスポットが当たっているのも好印象。これを契機にElize偏重気味だったトリプルシンガーのパワーバランスがよくなっていくことを期待していたのですが、本作をリリースして1ヶ月も経たないうちにJakeが活動休止を発表、その2ヶ月後にはAMARANTHEを脱退してしまいました…。バンドは後任にDYNAZTYのフロントマンNils Molinを迎え、JakeはJesper Stromblad(G/DIMENSION ZERO、ex-IN FLAMES)CYHRAを結成しています。既にDYNAZTYて一定のステイタスを築いているNilsがトリプルボーカル体制のAMARANTHEにマッチするのか期待と不安の両方がありますね。

【音源紹介】
Maximize

AMARANTHE「MASSIVE ADDICTIVE」(2014)

  • 2018/03/04(日) 00:00:00

MASSIVE ADDICTIVE
【No.509】
★★★★(2014)

2011年にセルフタイトル作でデビューするや、メロデス/メタルコア風のサウンドに乗るキャッチーなメロディを個性の異なる3人のシンガーが入れ替わり立ち替わり歌うというスタイルが人気を博し、若手バンドの注目株となったAMARANTHEの3作目。前作「THE NEXUS」(2013)リリース後にグロウルシンガーAndyが脱退、後任にHenrik Englund(Vo/ex-SCARPOINT)を迎えたためAMARANTHEとして初めてメンバーチェンジを経て制作されたアルバムですが影響はそれほど感じられません。良くも悪くもボーカルパートはElize Ryd(Vo)に依るところが大きいことを再確認しました。そのElize嬢は①Dynamiteで炸裂する「ダァイナマァァイ♪」のシャウトで顕著なように、これまで以上に艶と張りのある歌唱を披露していてAMARANTHEでその名を知られて以降KAMELOT、TIMO TOLKKI'S AVALONなどにゲスト参加したことが成長に繋がっているようですね。

シンガーの交代以上に本作はバンドが音楽的アプローチを変えてきたことの方が印象に残ります。従来がメロディックメタル/メロデスに親しみやすいメロディとダンス風のアレンジを加えた作風だとすれば、今回はより幅広い層にアピールできそうなポップロックに通じる大衆的な楽曲を基本としつつメタル的な重さも備えているという感じでしょうか。それを象徴しているのが縦ノリのリズムで進行していく②Drop Dead Cynicalですね。またタイトル曲④Massive Addictiveは文字通り中毒性抜群で、この2曲がアルバムの核となっています。余談ですが「マッシヴ・アディクティヴ」というタイトルは口に出して読みたくなりますね(笑)。

インタビュー記事を読む限りメインソングライターOlof Morck(G/DRAGONLAND)は意図的に変化を狙って曲を書いていたようですが⑤Digital World、⑦Unreal、⑨Danger Zone、⑪An Ordinary Abnormalityなどで聴けるAMARANTHE節も健在。特に⑨のサビはかなりクセになりますね。またこのバンドEでは6曲目に配置されることでお馴染みのバラードは⑥Trueもさることながら⑧Over And Doneが出色の出来だし、その⑧や⑬Exhaleで奏でられる儚げなピアノも今までにはなかった魅力だと思います。トリプルボーカル体制のAMARANTHEはいつかこの単語を使うだろうと思っていた③Trinityもなかなかの佳曲です。メロパワ色が薄まっていることもあって一発で聴き手ををねじ伏せるような爆発力は減退したため、初めの頃はメロディの魅力が低下したように感じたもののリピートするうちに過去作品同様のお気に入り盤となりました。

【音源紹介】
Drop Dead Cynical

AMARANTHE「THE NEXUS」(2013)

  • 2018/02/20(火) 00:00:00

THE NEXUS
【No.508】
★★★★(2013)
年間ベスト2013年第8位

2009年に発表したデモ音源「LEAVE EVERYTHING BEHIND」の時点から注目を集め、国内盤リリース直後には来日公演が決定するなど華々しいデビューを飾ったスウェーデンの新星AMARANTHEの2ndアルバム。セルフタイトルのデビュー作は男女混合のトリプルシンガー体制というもの珍しさもさることながら、キャッチーなメロディに溢れた3分台の楽曲をズラリと並べたクオリティの高い1枚でした。ボーカリストが3人いるので2ndでは新しい表現にチャレンジしてくるのか注目していましたが、今回も充実のデビュー盤で展開していた音楽性をそのまま踏襲していますね。本作の特徴としては元々フィーチュア度の高かった女性シンガーElize Rydの登場頻度が更に上がっていること、ダンス/テクノ風のアレンジが強調されていることが挙げられると思います。AMARANTHEサウンドのど真ん中をゆく①Afterlife、②Invincibleの冒頭2曲を聴いた時点で、前作のファンなら思わずガッツポーズが出てしまうのではないでしょうか。

バンドの根幹部分は変わっていないので、どれだけ充実したメロディが聴けるかが肝になってくるわけですが結論から言うと僕は1stより本作の方が好きですね。アルバムジャケット/ブックレットの世界観とリンクする近未来的なMVが制作されたリーダートラック③The Nexusの哀メロは流石だし④Theory Of Everything、⑤StardustもAMARANTHEらしさ全開のキャッチーなメタルソングです。ここまで③以外はアップテンポの曲ばかりなので、やや一本調子かなと思っていたところに男女クリーンボイスのみで歌うバラード⑥Burn With Me、AMARANTHEにしては珍しくネオクラシカル風のギターソロを盛り込んだドッシリ感のあるミドル⑦Mechanical Illusionで変化をつけているのも好印象。またノリのよさが際立つ⑧Razorbladeのサビは思わず口ずさんでしまうほどだし、ダンサブルなメタル曲⑩Electroheart、ジャーマンメタルを彷彿とさせる躁系メロディが耳に残る⑪Transhuman、スケール感のあるサビメロで本編を締めくくる⑫Infinityなどお気に入り曲を挙げるとキリがありません。

デビュー作の時点で既に完成されたサウンドだったので2枚目のジンクスにハマってしまうのではないかと心配していましたが、本作で新世代メタルのホープとしての地位を確立したと思います。ただし筋金入りのメタルファンからの評価は今ひとつのようで、メタルバンドのデータベースサイトとして僕も重宝しているEncyclopaedia Metallum: The Metal Archivesには掲載されてなかったりします(苦笑)。コンパクトな楽曲を矢継ぎ早に繰り出すのがAMARANTHEの特徴だとは思いますが、前作にもあった「インパクトはあるが飽きがくるのも早い」という課題は今回も感じられます。少し長めの曲を収録するだけでも印象が変わってきそうな気もするのですが…。特に⑫の壮大なメロディはもう少し丁寧に聴かせて欲しかったですね。いくつか注文をつけたくなる点があるものの本作が僕にとってAMARANTHEの最高傑作であることは間違いありません。

【音源紹介】
The Nexus

【CD購入録】LOVEBITES「AWAKENING FROM ABYSS」(2017)

  • 2018/02/12(月) 00:00:00

【CD購入録】
AWAKENING FROM ABYSS
LOVEBITES「AWAKENING FROM ABYSS」(2017)

2017年5月に「THE LOVEBITES EP」でデビューした5人組ガールズメタルバンドLOVEBITES初となるフルレンスアルバムを買いました。メンバーが女性だけのメタルバンドといえばALDIOUSを草分け的存在としてCYNTIA、GACHARIC SPIN、MARY'S BLOODなどが続々と登場していますがLOVEBITESは硬派なメタルを追求していて、タイプ的にはMARY'S BLOODに近いように思います。ただし正統派メタルに軸足を置きつつJ-POP風の楽曲を収録することもあったMARY'S BLOOD以上に、本作はストイックでゴリゴリなメタルチューンが並んでいるのが特徴でしょうか。また個人的な注目ポイントとしてMao(Key/LIGHT BRINGER)が作曲に参加しているということも大きいですね。バンドは「最高のヘヴィメタルを演る」という信念のもとでワールドワイドな活動を視野に入れているらしく歌詞は全て英語、ミックスとマスタリングにはNIGHTWISH、CHILDREN OF BODOMのアルバムも手掛けたMikko KarmilaMika Jussilaが担当していて音作りについても申し分ありません。序曲から疾走曲に繋がるというヘヴィメタルの伝統を体現した①The Awakening〜②The Hammer Of Erathからして胸が熱くなるし、アルバムのリードトラックにして劇的なメロディが耳に残る④Shadowmaker、速弾きのmidoriとメロディ重視のmi-yaという2人のギタリストが熱いバトルを繰り広げる⑤Scream For Me (Awakened Version)IRON MAIDENっぽいサウンドで駆け抜ける⑩Don't Bite The Dust (Awakened Version)、重厚な展開を見せるMao作の⑪Edge Of The Worldなど聴き応えのある曲が目白押し。ちなみにAwakened Versionと記載のある曲はEPにも収録されていて本作ではEP収録曲は全てリメイクされています。メロディックメタルを好んで聴く僕としてはもう少しキャッチーさが欲しいかなという気もしていましたがリピートするうちにお気に入り度が増していますね。昨年のうちに聴いていたらZEMETHとブライテストホープ争いをしていたかもしれません。

AMARANTHE「AMARANTHE」(2011)

  • 2018/02/04(日) 00:00:00

AMARANTHE.jpg
【No.507】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第10位

男女クリーンボイスにデス声担当を加えたトリプルボーカル体制が話題となったスウェーデンの新星AMARANTHEのデビューアルバム。バンドの創設者はメロパワバンドDRAGONLANDの中心人物Olof Morck(G)で、彼が一時期DREAM EVILにも在籍したことのあるJake E(Vo/DREAMLAND)とプロジェクトを立ち上げたことがAMARANTHE誕生のきっかけのようです。当初は多くのゲストを迎える予定だったそうですが女性ボーカルElize Ryd、グロウル担当のAndyが歌った時に2人のパフォーマンスがバンドには最適と判断し、そこから本格的なバンドへと変化したそうです。シンガーが3人いることに注目が集まりがちですが、メロデス風のスタイルを基本としつつテクノ/トランス風のアレンジも取り入れたSOILWORK meets BLOOD STAIN CHILDと表現できそうなサウンドの中で輝くキャッチーな歌メロがAMARANTHE最大の武器でしょう。

まずは冒頭4曲①Leave Everything Behind、②Hunger、③1.000.000 Lightyears、④Automaticがいずれも即効力抜群で一気にAMARANTHEの世界に引き込まれます。どれも甲乙付け難いですが中でも③はこのバンドの魅力を凝縮した1曲だと思うし、本作唯一のバラード⑥Amaranthineもしっとり聴かせる高品質な仕上がりとなっています。また⑧Call Out My Nameのようなダンスメタルも収録していてB級感が抜け切らないメロパワバンドDRAGONLANDのギタリストOlofが、これほどポップで大衆性を備えたメロディセンスを持っていたとは驚きです。AMARANTHEはOlofとJake Eが作曲の中心となっているようなので2人のケミストリーによって、AMARANTHEサウンドができあがっているのかもしれませんね。

初めて聴いた時から口ずさめそうなキャッチーな楽曲群はどれも3〜4分台のコンパクトなものばかりで聴きやすいし、アルバムとしてもデビュー盤とは思えないほどの完成度を誇っているので普段メタルを聴かないリスナーをも取り込む魅力を秘めているのではないでしょうか。日本での注目度も高く2011年4月にデビューすると7月に初来日、10月にはLOUD PARK 11に出演するなどニューアクトとして申し分のないスタートを切っています。ただし各曲が似通っていることもあってアルバムとしてのメリハリがあまり感じられないのも事実で、中盤以降は何曲目を聴いていたのかわからなくなることもありますね。聴き始めの頃はかなりのお気に入り盤だったのですが、個人的には繰り返し聴いているうちに飽きがくるのも早かったりします。というわけで注文をつけたくなる点がなくはないものの新世代メタルの大型新人として十分のインパクトを持った1枚です。

【音源紹介】
1.000.000 Lightyears

HAMMERFALL「GLORY TO THE BRAVE」(1997)

  • 2017/12/16(土) 00:00:00

GLORY TO THE BRAVE
【No.505】
★★★(1997)

正統派メタルが不遇の時代を迎えていた90年代後半(1997年)に突如現れ、「ピュアメタルの救世主」として注目を集めたスウェーデン産メタルバンドHAMMERFALLのデビュー作。発売当時はJesper Stromblad(G/IN FLAMES)、Mikael Stanne(Vo/DARK TRANQUILLITY)がかつて在籍していたバンドとして話題になっていた記憶があります。僕自身、IN FLAMESの熱心なファンというわけではありませんが名ソングライターとして名高いJesperが書くメロデス以外の曲を聴いてみたいというのが本作の購入動機のでした(ちなみにJesper、Mikaelの両名ともアルバムリリース時は既に脱退)。また1995年からHR/HMを聴くようになった僕としては鋲付きレザージャケットに身を包み、外見や曲名からして「いかにもヘヴィメタル」なバンドは逆に新鮮で興味をそそられたというのもありますね。中心人物Oscar Dronjak(G)がその細身に鎧風のコスチュームを纏った姿はいろんな意味でインパクトがありました(笑)。

HAMMERFALLの強みは正統派メタルを基盤としつつジャーマンメタル風のわかりやすいメロディを持ち、北欧ならではの哀愁を湛えているという点だと思います。個人的にはヘヴィメタルの王道ど真ん中よりはメロディックパワーメタルの方が好きなのでこの音楽性は歓迎です。オープニングを飾る①The Dragon Lies Bleedingは特にジャーマンテイストが強く、一度聴いたら耳から離れないサビメロの威力は抜群だしエンディングでしつこいほどにサビを繰り返す構成もいいですね。曲名にMetalという単語が使われるのは珍しいなと当時思った②Metal Age、「ハァ〜ンマ、フォ〜」のコーラスが印象的なバンドのテーマソング③HammerFallときて、哀愁のバラード④I Believeと繋がる流れも絶妙(僕の中でメタルアルバム4曲目はバラードが定石というイメージがあります)。後半も⑤Child Of The Damned、⑥Steel Meets Steel、⑧Unchainedといった疾走感のあるメタルチューン(⑤はWARLORDのカバー)を軸にイントロのギターメロディと漢臭いコーラスがいかにもヘヴィメタルなミドル⑦Stone Cold、そして作品を荘厳に締めくくる悲哀に満ちたバラード⑨Glory To The Braveがハイライトとなっています。歌詞の内容的には鎮魂歌と呼ぶに相応しい⑨は90年代のメタルバラードを代表する1曲と言えるのではないでしょうか。

というわけで楽曲面は結構充実しているし疾走曲①、バラード⑨という「動」と「静」の両方でキラーチューンが存在しているのは大きいですね。ただし本作が大好きなアルバムだったかというと、そうでもないというのが正直なところです。その理由としてはJoacim Cans(Vo)による線の細い歌声と演奏面での魅力不足の2点が挙げられます。Joacimに関してはバラードではなかなか味のある歌唱を聴かせてくれるものの、ヘヴィメタルを歌うにはもっと力強さが欲しいところですね。本作をパワフルなシンガーが歌っていたら更にワンランク上のアルバムになっていたと思います。といいつつもリピートしているうちにこのミスマッチ具合がクセになってきたりもしていますが…。HAMMERFALLはそれほど熱心に追いかけてきたバンドではありませんが、本作は時々聴きたくなるアルバムですね。日本での人気はそこそこながら、ヨーロッパでは絶大なる人気を誇り母国スウェーデンではアルバムが国内チャート1位を獲得するなどしています。なお本作の20周年記念盤が2CD+DVDという豪華仕様で2017年12月8日にリリースされたようで、その人気の高さが窺えますね。

【音源紹介】
The Dragon Lies Bleeding

【CD購入録】THRESHOLD「LEGENDS OF THE SHIRES」(2017)

  • 2017/12/12(火) 00:00:00

【CD購入録】
LEGENDS OF THE SHIRES
THRESHOLD「LEGENDS OF THE SHIRES」(2017)

英国が誇るプログレッシブHR/HMのベテランTHRESHOLDの11作目を買いました。僕が初めて彼等の音に触れた8th「DEAD RECKONING」(2007)リリース後に長年フロントマンを務めたAndrew "Mac" McDermott(Vo/ex-SARGANT FURY)が体調不良のため脱退(残念ながら2011年に他界)、初代シンガーDamian Wilsonが復帰したものの再度離脱したためバンドは2nd「PSYCHEDELICATESSEN」(1994)でリードボーカルをとっていたGlynn Morganを迎えています。Glynnというシンガーのことは全く知りませんでしたがIRON MAIDENBruce Dickinson後任ボーカルオーディションで最終選考まで残ったという実力者だそうで本作でも力強い歌声を披露してくれています。「DEAD RECKONING」がお気に入り盤だったので続く9th「MARCH OF PROGRESS」(2012)も試聴はしたものの、インパクトに欠ける印象が拭えずスルーしていました。ところが適度な疾走感とTHRESHOLDらしからぬ(?)キャッチーなメロディを持ったDisc-1②Small Dark Linesを試聴して気に入ったため購入。本作は2枚組83分のコンセプトアルバムでメンバーは物語の詳細を語らず聴き手に委ねたいという意向のようですがアルバムジャケットにも描かれ、タイトルにもなっているThe Shire(シャイア)という場所が舞台となっているようです。一聴してガツンとくるナンバーは少ないのは事実ながらDisc-1⑤Stars And Satellites、Disc-2④State Of Independence、Disc-2⑤The Superior Machineなどリピートしたくなる魅力に溢れた作品だと思います。

LIV MOON「THE END OF THE BEGINNING」(2012)

  • 2017/11/27(月) 00:00:00

THE END OF THE BEGINNING
【No.504】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

2009年にデビューして以降、精力的な活動を続けるLIV MOONが前作「SYMPHONIC MOON」(2012)と同年にリリースした4作目。2nd「GOLDEN MOON」(2011)から本作発表まで僅か18ヶ月しか経っていないというワーカホリック振りです。そんな驚異的な活動ペースを支えているのは外部ソングライターの存在でしょう。正式メンバーである西脇 辰弥(Key)による楽曲は全14曲中3曲に止まり、丘 ナオキや前作で名曲Kiss me Kill meを手掛けていたKAZSINといったLIV MOON作品ではお馴染みのライターに加え今回はKee Marcello(G/ex-EUROPE)、Kiko Loureiro(G/ANGRA)、Magnus Rosen(B/ex-HAMMERFALL)といった海外HR/HM界でも名の通ったプレイヤーが作曲と演奏面で参加しています。

本作は北欧神話をモチーフにしたコンセプトアルバムで、テーマ選びにはヨーテボリ(イエテボリ)出身でもあるAkane Liv(Vo)のルーツが北欧にあることも関係しているようです(ちなみに彼女とMagnus Rosenは幼馴染なのだとか)。過去作品に比べると2ndのBLACK RUBY、3rdのKiss me Kill meに匹敵するほどのキラーチューンこそないものの、実験的なモダンサウンドを取り入れた楽曲が姿を消したこともあってアルバムの統一感は過去最高です。また、これまで以上にオーケストラサウンドが本格的になっていて、よりスケールの大きな作品となっています。小〜中学生の頃にファイナルファンタジーに夢中になっていたこともあって「ラグナロク」、「オーディン」など北欧神話関連の単語に馴染みはある一方で神話そのものに関する知識はない僕の場合、コンセプトに浸ることはできませんが純粋な音楽作品として愛聴しています。LIV MOONの最高傑作と呼べる仕上がりだと思いますね。

その名の通りの序曲①Prologueを受けて展開していく②Free your Soul、③Fountain of my Pleasureは全てKAZSINによるナンバーで改めてLIV MOONとの相性の良さを感じますね。また「ミ、サーマ、イー♪」というキャッチーなサビが耳から離れない丘 ナオキ作の⑧Midsummer Eveも気に入ってます。西脇作品で輝きを放っているのはAkane嬢が様々な声色を駆使して巨人や小人などのキャラクターを演じるタイトル曲⑥The End of the Beginningですね。この辺りは彼女の元宝塚女優としての経験が活かされているのでしょう。個人的なハイライトは郷愁を誘うメロディが堪らない⑫Immortals(Keeが作曲に関与)、元々はKikoから提供された疾走曲を思い切ってバラードにアレンジしたという⑬「黄金の涙」、曲名通り大海原をイメージさせる旋律がクライマックスに相応しい⑭Voyageと続く終盤ですね。「~MOON」で統一されていたアルバムタイトルの法則は今回当てはまらず「始まりの終わり」と名付けられた作品名から、このアルバムでLIV MOON第1章の締めくくり次のステージに入るのかと思っていたら、それまでのハイペース降りが嘘のように沈黙状態へと入ってしまうことに…。2015年に初のベスト盤「THE BEST OF LIV MOON」、2016年にはミニアルバム「R.E.D」をリリースしたLIV MOONの新作がそろそろ聴けると嬉しいですね。

【音源紹介】
「黄金の涙(Live)」

LIV MOON「SYMPHONIC MOON」(2012)

  • 2017/11/04(土) 00:00:00

SYMPHONIC MOON
【No.503】
★★★★(2012)

圧巻の歌唱力を誇るAkane Liv(Vo)をフィーチュアした国産シンフォニック・メタルユニットLIV MOONの3rdアルバム。Akane嬢と共にLIV MOONを立ち上げた西脇 辰弥(Key)によるナンバーを中心に、外部ライターからの楽曲も取り入れるスタイルを確立した前作「GOLDEN MOON」(2011)から僅か10ヶ月という短いスパンでのリリースとなります。今回はアルバム制作前から高音で歌うWHITE LIV、低音で歌うBLACK LIVという正邪のキャラクター分けをすることを念頭に置いていたのだとか。ただし、このコンセプトについては1曲の中にWHITE LIVとBLACK LIVが混在していることが多いため中途半端に思えるのも事実で、個人的にはアルバム前半と後半でWHITE/BLACKサイドに分けるなど線引きを明確にしてくれた方が嬉しかったですね。デビュー当初はソプラノボイスを売りにしていたAkane Livですが、ロウトーンで歌った前作の収録曲BLACK RUBYの評判が良かったことが低音域も取り入れるきっかけになったらしく、本作ではそんなBLACK LIVの割合が多めになっています。

妖艶なメロディにヴァンパイア目線のドSな歌詞(笑)が乗る①Amen!、シンフォニックメタルの王道②「零の天使」というオープニング2曲は清水 昭男(G/ANTHEM)が作曲、ギタープレイを担当していてLIV MOONの世界観にピッタリの楽曲を提供してくれています。そして本作のハイライトは何と言っても④Kiss me Kill meでしょう。Akane Livの歌唱、メロディ、楽曲の世界観のどれをとっても一級品でLIV MOONのひとつの到達点がここにあると思います。アルバム後半にはドラマティックに駆け抜ける⑦Black Serenade、ゆったりとした幕開けから爽やかな疾走パートに展開していく⑧心月世、LIV MOONにしては異色のダサかっこいい(?)男声コーラスを取り入れた⑨The Last Saviorといったメタリックチューンも収録しているのもグッド(⑨はCONCERTO MOONっぽいですね)。また終盤に配されたWHITE LIVサイドの歌唱が映えるバラード⑩「堕天使の笑み」、WHITE LIVとBLACK LIVが合わさって昇華されていく⑫Masqueradeなどのしっとり系ナンバーもアルバムをいい形で締めくくっています。

アルバムとしてお気に入り度では前作に軍配が上がりますが、タイトルにある通りシンフォニックメタルとしての焦点がこれまで以上に定まっている本作も好印象。前作の「よざくらん〜夜桜嵐〜」タイプにあたるエキセントリックな⑥Fugitiveは悪くはないもののアルバムの中で浮いてしまっていますが…。バンドメンバーも2ndから変更なくLIV MOONとしてのラインナップが固まってきた感がありますね。中でも大村 佳孝(G)のネオクラシカルプレイはLIV MOONの音世界に欠かせない要素になってきています。大きな武器であるソプラノボイスを抑えたボーカルパートやメタル以外の要素があることは賛否両論かもしれませんが、歌唱法の変化は成長過程のひとつ、メタル一辺倒ではない点はLIV MOONならではの特徴だと思っています。日本のシンフォニックメタルシーンを代表する存在への階段を着々と上っていることを感じさせてくれる力作ですね。

【音源紹介】
Kiss me Kill me(LIVE)

【CD購入録】HELLOWEEN「PUMPKINS UNITED」(2017)

  • 2017/10/31(火) 00:00:00

【CD購入録】
PUMPKINS UNITED
HELLOWEEN「PUMPKINS UNITED」(2017)

Kai Hansen(G、Vo)Michael Kiske(Vo)が電撃復帰し、7人体制で敢行するPUMPKINS UNITED WORLD TOURで来年3月に来日予定のHELLOWEENが現ラインナップで緊急リリースしたデジタルシングル、その名もPumpkins Unitedを買いました。作詞作曲はKai、Andi Deris(Vo)、Michael Weikath(G)の3人、ボーカルはKai、Kiske、Andiという歴代シンガーが共演しています。曲調はキーパー時代を彷彿とさせる親しみやすいメロディを持ったパワーメタルで現メンバーによるスタジオ盤への期待が高まる1曲となっていますね。また歌詞には「riding the sky」、「eagle」、「we burn」、「wake up the mountain」、「walls in Jericho」などファンならニヤリとしてしまう単語が散りばめられている点も見逃せません。HELLOWEENは僕がHR/HMにハマるきっかけとなったバンドのひとつですが1995年当時はKaiとKiskeは既にバンドを離れていて、彼等がHELLOWEENに復帰するのは夢のまた夢という感じだったので今回の新曲リリースは感慨深いですね。D.C. Cooper(Vo)ROYAL HUNT復帰に続いて、不可能だと思っていたラインナップの復活がただただ嬉しくてヘビロテしています。ちなみにこの曲は11月1日発売予定の3CD+1DVD仕様のベストアルバム「SWEET SEDUCTIONS」には収録されないようです。

LIV MOON「GOLDEN MOON」(2011)

  • 2017/10/14(土) 00:00:00

LIV MOON GOLDEN MOON
【No.502】
★★★★(2011)
2011年年間ベスト第3位

デビューアルバム「DOUBLE MOON」(2009)リリース前にLOUD PARK 09への出演が決定、「4オクターブの美神」というキャッチコピーでBURRN!誌にインタビューが掲載されるなど鳴り物入りで国産メタルシーンに登場したLIV MOONの2作目。カバー曲を集めたミニアルバム「COVERS - SCREAM AS A WOMAN」(2010)発表後にAkane Liv(Vo)と作曲のイニシアチブを握る西脇 辰弥(Key)以外のメンバーがガラリと代わっています。シンフォニックメタルというよりシンフォゴシック要素もあるモダンロックという感じだったデビュー作に対して、元ANIMETALのベーシストMASAKIVitalij Kuprij(Key/ARTENSION etc)との共演経験もある大村 佳孝(G)を迎えた本作はメタル度がグッと向上していますね。

そんなメンバーチェンジの効果は早速表れていて、荘厳かつヘヴィなドラマティックサウンドの中でAkane嬢の歌声が響き渡る①「死の舞踏〜ディエス イレ〜」はシンフォニック・ゴシックメタルというジャンルの美味しいところを凝縮した1曲に仕上がっています。続く②SAY GOODBYE、③NOT GAME!も同系統のナンバーなので、この手の楽曲が目白押しかと思いきやアニソン、デジタリーな曲やJ-POP調のバラードまで多彩な表情を見せてくれます。中でも突出しているのはAkane嬢がこれまでにない低音ボイスを披露しているクサメロ疾走曲④BLACK RUBY、勇壮なメロディが映えるドラマティックチューン⑭「アマラントスの翼」の2曲で、これらを聴くために本作を買っても損はないと思えるほどのキラーチューンです。それらの影に隠れがちですが、フランスの画家ドラクロワの代表作「民衆を導く自由の女神」を題材にした⑧「ドラクロワの女神」も、そのテーマにマッチしたメロディが素晴らしい1曲となっています。それ以外にも、まるでQUEENなアレンジが印象的な⑩「バレリーナ・シンフォニー」、MASAKIのベースが唸り、ゲスト参加のSyu(G/GALNERYUS)が華を添える⑪「静かな奇跡 」、HR/HMファンだけでなく幅広い層にアピールできそうな⑬「溺れる人魚」など聴きどころがたくさんありますね。

前作は全て西脇作曲だったのに対して今回は複数の曲で外部ソングライターを迎えているのも特徴で前述の④は河田 貴央、⑭は坂部 剛という人が手掛けた曲です。本作以降、LIV MOONのアルバムは収録曲の約半数が外部ライターによるものなので、今回の作品でLIV MOONの作曲スタンスが確立されたという感じですね。メロディの充実度も大きく向上していて、音楽性を模索している感が強かったデビューアルバムと本作以降では大きな差があるので、このアルバムこそがLIV MOONの真のデビュー作品だと個人的には思っています。LIV MOONの顔でもあるAkane Livの歌唱に関しては、とにかく高音域で勝負していた1stアルバムよりも④に象徴されるような低い声も駆使していることもあって本作の方が断然好きですね。僕はこのアルバムを聴いてLIV MOONのファンになりました。

【音源紹介】
BLACK RUBY