【CD購入録】ANCESTRAL DAWN「SOULDANCE」(2017)

  • 2017/06/30(金) 00:00:00

【CD購入録】
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ANCESTRAL DAWN「SOULDANCE」(2017)

2013年にデビューしたペルー産パワーメタルバンドNAUTILUZの元メンバーJorge Higginson(B)が立ち上げたANCESTRAL DAWNの1stアルバムを買いました。HigginsonはNAUTILUZのデビュー作「LEAVING ALL BEHIND」(2013)に複数の楽曲を提供していたもののアルバムリリース前に脱退、ANCESTRAL DAWNでリードボーカルを務めるJorge Segersbolも2011年までNAUTILUZに籍を置いていたそうなので、このバンドはNAUTILUZの分家と言えるかもしれません。ANCESTRAL DAWNの音楽性はSegersbolのハイトーンが響き渡る典型的なメロディックパワーメタルでHigginsonが演奏する民俗楽器パンフルートが時折トライバルな雰囲気を醸し出していてブラジルの至宝ANGRAを連想させますね。また本作はFabio Lione(Vo/ANGRA、ex-RHAPSODY OF FIRE)、Mark Boals(Vo/ex-ROYAL HUNT、YNGWIE MALMSTEEN etc)、Ralf Scheepers(Vo/PRIMAL FEAR)、Rick Altzi(Vo/MASTERPLAN、AT VANCE)、Amanda Somerville(Vo)といった実力派シンガーがゲスト参加し与えられた役を演じるメタルオペラでもあるので、この点はAVANTASIAを彷彿とさせます。メロパワの優等生的作品という感はあるものの豪華ゲスト陣が華を添えているし、新人のデビューアルバムとしては高いクオリティを誇っていると思います。

【CD購入録】MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL」(2013)

  • 2013/05/23(木) 00:00:00

【CD購入録】
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MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL」(2013)

自身のバンドLAST TRIBEとして3枚のアルバムを発表した後はマルチプレイヤー、コンポーザー、プロデューサーとしても才能を発揮して主にFRONTIERS RECORDSの様々なプロジェクトに携わってきたMagnus Karlsson(G)による初のソロ作品を買いました。LAST TRIBEのアルバムはどれも傑作だったのに対して、その後に乱発気味にリリースされたプロジェクト作品ではFRONTIERSに酷使されるあまり(?)以前ほどの魅力が感じられなかったのですが今回はなかなか良いですね。本作では多くのゲストシンガーを迎えているのも話題のひとつでRussell Allen(SYMPHONY X、ALLEN-LANDE)、Ralf Scheepers(PRIMAL FEAR)、Tony Harnell(STRABREAKER、ex-TNT)、Mark Boals(THE CODEX、ex-ROYAL HUNT、YNGWIE MALMSTEEN)、Mike Andersson(PLANET ALLIANCE)、Rickard Bengtsson(ex-LAST TRIBE)といった過去のMagnus関連作品のリードシンガーに加えてRick Altzi(AT VANCE、MASTERPLAN、THUNDERSTONE)、Herman Saming(A.C.T)、David Readman(PINK CREAM69、VOODOO CIRCLE)も参加しています。またMagnusも3曲でリードシンガーも務めていて、上記のゲストボーカル陣の中にあっても違和感ない歌を披露しています。個人的に一番楽しみだった⑨Last Tribeは曲調、歌詞の両面でLAST TRIBEというバンド名に込められた「自分達がメタルの最後の種族だ」という気持ちが伝わってくるメタル讃歌となっていてニヤリ。こうなってくるとプロジェクトではなくMagnusがイニシアチブを握る正式なバンドが聴きたくなりますね。

ROYAL HUNT「X」(2010)

  • 2010/06/06(日) 00:00:00

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【No.239】
★★★(2010)

制作段階から70年代風のサウンドになるとAndre Andersen(Key)が語っていたROYAL HUNTの10作目。アルバムタイトルはシンプルに「X」(テン)となっています。僕は「新鮮味があるのに越したことはないけれど、Andreらしい哀メロが堪能できるならマンネリズムも大いに結構」という盲目的ファンなので、期待だけでなく不安も少々感じながら聴いた作品です。従来のROYAL HUNTにはあまりない要素を盛り込んだ作品がどうなるのか注目していたのですがAndreがオルガンサウンドを使う場面が増えていたり、Marcus Jidell(G)が加入して1作目にあたる8th「PAPER BLOOD」での速弾き主体のスタイルとは一味違う渋いギタープレイを聴かせたりしているものの、曲が流れてきた時点でROYAL HUNTだとわかるほど楽曲の根っこの部分は「らしい」1枚となっているように思います。7th「EYEWITNESS」の時もそうでしたが、Andreが曲を書けばROYAL HUNTらしく聴こえるものなんですね。

そんな本作はコンセプトアルバムではないものの①Episode X(Arrival)、⑪Episode X(Departure)というイントロ/アウトロがアルバム本編の楽曲を挟むという形になっています。楽曲そのものはROYAL HUNTらしいものではあるのですが、一聴して耳に残る歌メロは⑤Army Of Slavesくらいだったので聴き始めの頃は地味な印象が強い作品でした。その要因はイントロ後に②End Of The Line、③King For A Dayといった派手さが希薄なミディアムチューンを配したことでしょうか。アルバムの掴みとしては弱いところもある本作で僕が気に入っているのは中盤以降ですね。緊張感ある間奏が聴きどころの④The Well、本作随一のキャッチーメロディが冴える前述の⑤、カントリーっぽく始まり前作でも美声を披露してくれていた女性シンガーMichelle Raizinのソロパートが良いアクセントとなっている⑥Shadowman、LOUD PARK 09でも演奏された渋めのハードロック⑦Back To Square One、美旋律をドラマティックに聴かせる⑧Blood Red Star、儚いメロディにホロリとさせられる⑨The Last Leafと佳曲が続きます。そして4th「PARADOX」のエンディング曲It's Overを彷彿とさせるサビとバンド初期作品でよく聴かれたヘイヘイコーラスがROYAL HUNTらしさを主張する本作唯一のアップテンポ⑩Falling Downから曲間を空けず⑪に繋いで締める展開には、ついリピートを誘われますね。

加入後2作目となるMark Boals(Vo/ex-YNGIWE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)の歌唱もトレードマークであるハイトーンを必要最小限に抑え、前作で開眼したという中低音域の旨みが活かされています。ただ本作の音楽性であれば前任者John Westのソウルフルな歌声で聴いてみたかったような気もしますが。1995年からHR/HMを聴くようになりネオクラシカルサウンドに思い入れの強い僕としては、本作最大の特徴であるアナログ機材を使ってオールドスタイルのハードロックを追求しているという点にさほど心ときめかないというのが正直なところですが、これまでとは若干異なるアプローチでAndre節が楽しめる作品として愛聴しています。

【音源紹介】
・The Well

ROYAL HUNT「COLLISION COURSE : PARADOX Ⅱ」(2008)

  • 2008/12/15(月) 07:22:12

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【No.082】
★★★★★(2008)
年間ベスト2008年第1位

このところ精彩を欠いた印象のあったROYAL HUNTの9thアルバム。1999年発表の5thアルバム「FEAR」以降、長きに渡ってバンドのフロントマンを務めたJohn West(Vo)が2007年にバンドを脱退、その後に新作がバンドの代表作にして個人的にも思い入れの強い名盤「PARADOX」の続編だと聞いた時には、期待以上に不安感を抱いたのが正直なところでした。というのもJohnの卓越した歌唱力はROYAL HUNTになくてはならないものになっていたし、ここ最近の作品にかつての求心力を感じられなかったからです。ニューシンガーが実力派Mark Boals(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)に決まり不安要素の一つは解消されたものの、今のバンドにあの名盤の続編を生み出す力があるのかは実際にアルバムを聴くまで不安を拭いきれませんでした。

いざアルバムを聴いてみると、これが予想以上に「PARADOX」の頃の音像に近づいていて予想以上に好印象。聴き始めの頃は地味な印象が強かったのですが、リピートするうちにグイグイとアルバムの世界観に引き込まれました。アルバムの随所に「PARADOX」のフレーズやリフを散りばめた本作は、「PARADOX」の1曲目The Awakeningと同じあのフレーズから始まる①Principles Of Paradox以降、悲哀に満ちたメロディが次々と登場します。アルバム中、最もキャッチーな響きを持ったスピードチューン②The First Rock、このバンドとしては珍しい突進型の疾走曲④Divide And Reign、そしてAORっぽさもある雰囲気と肩の力を抜いたMark Boalsの歌唱によるバラード⑤High Noon At The Battlefieldもいいアクセントになってますね。またアルバム後半の流れが素晴らしく、女性シンガーMichelle Raizinが歌う泣きメロパートがたまらない⑧Tears Of The Sun、とことんドラマティックに迫ってくる⑨Hostile Breedからダイレクトに繋がる⑩Chaos A.C.の劇的なメロディでアルバムの幕を下ろす展開は圧巻。「Rest Your Weary Head My Son~」のフレーズから「It’s Still A Long Way Home…」で締めくくる⑩のラストも、「PARADOX」を聴き込んだ僕としては、グッときますね。

客観的に見れば「PARADOX」を超えるほどの完成度ではないと思うし、「PARADOX」のみならず他のアルバムに収録されてる過去の楽曲を彷彿とさせる箇所はあるものの、個人的にはここ最近のアルバムよりは数段楽しめました。一発で印象に残る楽曲は多くはないので聴き込みを要する作品ではありますが、繰り返し聴くうちに味わいを増す1枚。聴き込んでいくうちに、すっかりはまってしまいました。Markの歌唱もこれまでのハイトーン系シンガーという枠に収まりきらない新たな魅力を発散してるし、ROYAL HUNTファンとしては声を大にして「名盤だ!」と言いたくなる力作です。

【音源紹介】
・Tears Of The Sun

YNGWIE J. MALMSTEEN’S RISING FORCE「ALCHEMY」(1999)

  • 2008/10/04(土) 06:28:07

ALCHEMY
【No.050】
★★★(1999)

前作「FACING THE ANIMAL」はインストが1曲しか収録されておらずYNGWIE MALMSTEENにとっては歌ものアルバムとなったその反動からか、この10枚目のアルバムでは「ギタリストYNGWIE MAMSTEENここにあり」と言わんばかりに弾きまくってますね。ボーナストラック込みで14曲中5曲がインストというソロデビュー作以来のインストの多さもさることながら、ボーカル曲でもギターの存在感がデカすぎ。「TRILOGY」で見事なハイトーンを響かせたMark Boals(Vo)という主役級シンガーが参加してるにもかかわらず、それを押しのけるかのような弾きっぷりにやられました。

挨拶代わりにYNGWIEらしいインスト①Blitzkriegをぶつけた後は、ミドルチューンが続くためアルバムの掴みとしては地味な印象はあるものの荘厳な男声コーラスが重厚さをもたらす②Leonardo、Markの絶唱にクラクラな③Playing With Fire、これまでにないタイプのサビメロを持った新機軸といえそうな④Stand(The)と、どれもがいい出来栄え。そして本作のハイライトは中盤にやってきます。待ってましたのスピードチューン⑤Wield My SwordはYNGWIEの新たなアンセムというべき名曲だし、文字通りブルージーなインストバラード⑥Blueを挟んでの疾走チューンズ3連発は強力!

と、ここまではいい感じのアルバムなのに⑩Voodoo Nights以降で一気にテンションが下がってしまうのが痛い。YNGWIE自身が「難曲」と語るインスト組曲Asylum(⑪I: Asylum、⑫II: Sky Euphoria、⑬III: Quantum Leap)も技巧的には凄そうだけど、肝心のメロディが響いてこないんです。そうなってくるとギターサウンドが荒いとか、新加入のドラマーJohn Macaluso(Ds)のテクニカルなドラミングも、このギター弾きまくりの鋼鉄サウンドとやり合うにはもう少し力強さが欲しいと思えるなどウィークポイントが気になってきたり。⑨Hangar 18, Area 51までの楽曲でアルバムを構成していれば、アルバム全体の印象も変わったと思うのになぁ。

【音源紹介】
・Hanger 18, Area 51

YNGWIE J. MALMSTEEN「TRILOGY」(1986)

  • 2008/09/19(金) 06:24:54

TRILOGY
【No.042】
★★★(1995)

一般的にYNGWIE MALMSTEENの代表作として語られることの多いソロ3作目の本作は、相変わらずのスリリングな速弾きをたっぷりフィーチュアしつつも過去2作と比べるとダークな質感を抑えてこれまで以上にメジャー感溢れるコンパクトな楽曲が多く、歌ものアルバムという印象が強い1枚となってます。そんな楽曲を歌うのは、現代メタルシーンにおけるハイトーンシンガーの代表的存在となったMark Boals(Vo)で、前任者を上回る強烈な歌声を披露してくれています。このアルバムに参加するまで注目を集める存在ではなかったMarkのような逸材を発掘するあたり、YNGWIEのシンガーを見る目は確かなものがあったと感じさせられます。

このアルバムのキーワードとなる「メジャー感」「コンパクトな聴きやすさ」という要素はYNGWIEの代表曲①You Don't Remember, I'll Never Forget③Queen In Love、⑥Fireといったキャッチーソングで顕著に表れてるし、前作寄りの雰囲気を持った疾走曲②Liar、練りこまれた歌メロが秀逸な⑦Magic Mirrorと聴きどころはたっぷり。またインストもきっちり2曲収録されてて、特にあのFar Beyond The Sunに匹敵するYNGWIEの代表曲⑨Trilogy Suite Op 5でのプレイは圧巻です。

ただアルバムトータルで見ると傑作であることには間違いないんだけど、YNGWIEの他のお気に入りアルバムと比べて、それほど胸が熱くならないのも事実。あくまで好みの問題かもしれませんが。このアルバムが最高傑作だという声はよく聞くし、YNGWIEファンなら外せない作品だと思います。

【音源紹介】
・Liar(Live)