【CD購入録】MOON SAFARI「LOVER'S END」(2010)

  • 2017/09/18(月) 00:00:00

【CD購入録】
LOVERS END
MOON SAFARI「LOVER'S END」(2010)

先日CD購入録の記事を書いたBAROCK PROJECTと共に2017年6月に来日、その後に追加で単独公演も敢行したスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドMOON SAFARIの3作目を買いました。初めてこのバンドを聴くにあたり、どの作品がいいのか調べたところ評判が良くジャケットもインパクトがある本作をチョイス。アルバム全編に渡って爽やかでファンタジックな雰囲気が溢れていますね。BAROCK PROJECTが気品のあるサウンドだとすればMOON SAFARIはポップで甘酸っぱいメロディが特徴でしょうか。同郷スウェーデンのA.C.Tに通じるものがありますね。ただし明るいメロディが主体なので泣きや哀愁といった要素が好きな僕としてはスーッと流れていき、気がつけばアルバムが終わっていたと感じるのも事実。美旋律を丁寧に紡いでいくスタイル自体は好きなのでリピートするうちに味わいが増してきそうな予感はしています。

【CD購入録】BAROCK PROJECT「DETACHMENT」(2017)

  • 2017/09/14(木) 00:00:00

【CD購入録】
DETACHMENT.jpg
BAROCK PROJECT「DETACHMENT」(2017)

鍵盤奏者Luca Zabbini率いるイタリアン・プログレッシブロックバンドBAROCK PROJECTの5作目を買いました。僕はこのバンドのことを全く知らなかったのですが、中心人物のLucaは伝説的キーボードプレイヤーで昨年他界したKeith Emersonに強い影響を受けているようです。ピアノが優雅な雰囲気を演出するプログレッシブロックを基調にクラシック、ジャズなどの音楽をミックスさせつつ所々で民族音楽的なフレーズや電子系のアレンジも顔を出します。超絶技巧で聴き手を圧倒するのではなく美旋律で優しく包み込むようなサウンドですね。専任シンガーが前作「SLYLINE」(2015)を最後に脱退してしまったためLucaがボーカルも兼任しているのですが、彼の甘い歌声も曲調にマッチしていると思います。お気に入りはピアノの優しい調べで始まり終盤には泣きのギターを聴かせてくれる③Happy To See You、アルバム最長となる9分の長さを感じさせない⑥Broken、一際ポップで親しみやすいメロディが楽しめる⑨Rescue Meですね。それ以外にも聴いていて心地よい楽曲が目白押しなのでリピート中です。

CYRIL ACHARD'S MORBID FEELING「...IN INCONSTANCIA CONSTANS」(2002)

  • 2017/08/21(月) 00:00:00

IN INCONSTANCIA CONSTANS
【No.499】
★★★(2002)

フランス出身の技巧派ギタリストCyril AchardCYRIL ACHARD'S MORBID FEELING名義でリリースした現時点で唯一のアルバム。Cyrilは地元フランスで複数のHR/HMバンドでの活動を経て1997年に初のソロ作品「CONFUSION」をリリース、本作はソロとしては第2弾にあたります。「CONFUSION」がギターインスト作品だったのに対してシンガーも在籍するバンド形態で制作された今回のアルバムは、テクニカルな演奏を盛り込んだ歌モノ作品に仕上がっています(⑥The Deep One’sのみインスト)。フランスのメタルギタリストというと後期ELEGYにも在籍していたPatrick Rondat、約8年振りの新作「LIFE」(2017)を発表したADAGIOの中心人物Stephan Forteが思い浮かびます。上記の2人はネオクラシカル系バリバリの印象が強いですが、Cyrilはネオクラ風味もありつつダークな質感は控えめでジャズ/フュージョンっぽさも感じさせるプレイスタイルですね。

本作を聴いて最初に連想したのは初期DREAM THEATERで、そこにポンプロックのテイストを加味したという感じでしょうか。疾走曲や純然たるバラードと呼べるものはなく、どの曲もミドル〜アップテンポのため各曲の表情が掴みにくいこと、Aメロ〜Bメロ〜サビとわかりやすく展開するのではなく楽曲構成が複雑なこともあって数回聴いただけでは、なかなか印象に残りませんでした。ところがリピートするうちに本作の魅力に引き込まれ、終盤に手に汗握るインストパートを配した②Fallen From Grace、「ア〜イ、ドゥ〜、エェニスィィン♪」という親しみやすいサビが耳に残る③Empty Vowなどハッとさせられる場面も少なくないことに気づきます。どの曲でも伸び伸びと弾きまくっているCyrilのギターが中心となっているのは事実ながらPatric Peekなるシンガーの存在も見逃せません。野暮ったく感じられる場面もありますが時折David Readman(Vo/PINK CREAM 69、ADAGIO etc)を彷彿とさせる歌い回しを披露してくれています。

なお本作にはテクニカルギタリストTony MacAlpineが3曲にゲスト参加していてCyrilとギターバトルを繰り広げているのかと思いきや、残念ながらキーボード奏者として参加でした…(そういえばTonyは自身のアルバムでもピアノでクラシック曲を弾いていましたね)。まだ荒削りな部分はあるものの今後の活躍を期待させるには十分の1枚で僕はこのアルバムを聴いてCyril Achardに興味を持ち、彼がMike Terrana(Ds/RAGE etc)らと結成したインストトリオTABOO VOODOOもチェックしました。本作リリース後のCyrilはTABOO VOODOOやMike Terranaのソロ作「MAN OF THE WORLD」(2005)に参加していましたが最近ではソロや他のアーティストとのコラボ名義でHR/HMから距離を起いたアコースティック/ジャズ路線のインストアルバムを複数発表しているようです。いつか本作の延長線上にあるプログレメタル作品をリリースしてくれると嬉しいですね。ちなみにAmazonでCyril Achardの作品を検索するといくつかのアルバムが「アダルト商品」扱いになっていました…(苦笑)。

【音源紹介】
Empty Vow

【CD購入録】ADAGIO「LIFE」(2017)

  • 2017/08/17(木) 00:00:00

【CD購入録】
LIFE_20170630234019b47.jpg
ADAGIO「LIFE」(2017)

David Readman(Vo/PINK CREAM 69 etc)、Richard Andersson(Key/TIME REQUIEM、SPACE ODYSSEY)を含むラインナップで2001年にデビューしたフランス産ネオクラシカル・プログレッシブメタルバンドADAGIOが約8年振りに発表した5作目を買いました。このバンドについてはSYMPHONY X同様、音楽性としては僕好みではあるものの分かり易いメロディがそれほど多くないため、とっつきにくいイメージがありました。久々の新作が出ると知った時もさほど興味はわかなかったのですがアルバム本編のエンディング曲⑨Tornの哀メロはかなりツボだったし、バンドのYouTubeオフィシャルチャンネルでアルバム全曲が試聴できたので聴いているうちに「これはいいかも」と思い購入した次第です。9分もあるタイトル曲①Lifeは派手さこそないもののグイグイと引き込まれるし、モダンでアグレッシブな③Subrahmanya、叙情バラード⑧Trippin' Awayなども気に入っています。中心人物でもあるマエストロStephan Forte(G)のギターは相変わらず冴え渡っているし、最近ではMYRATHのプロデューサーとしても注目されたKevin Codfert(Key)が作り出す音世界といったADAGIOに欠かせない要素も健在です。そして本作から新加入したアメリカ人シンガーKelly Sundown Carpenterも力強い歌唱で盛り立ててくれています。彼のことはよく知りませんでしたが調べてみるとNils Patrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS、WUTHERING HEIGHTS)の後任としてCIVIL WARにも籍を置いているようですね。ADAGIOはここ最近シンガーが固定できていませんでしたが、本作のラインナップはなかなか強力だと思うのでこのまま活動してくれることを願っています。

【CD購入録】PAIN OF SALVATION「REMEDY LANE RE:VISITED」(2016)

  • 2017/06/11(日) 00:00:00

【CD購入録】
REMEDY LANE REVISITED
PAIN OF SALVATION「REMEDY LANE RE:VISITED」(2016)

スウェーデンの奇才Daniel Gildenlow(Vo、G)率いるプログレッシブHR/HMバンドPAIN OF SALVATIONが2002年に発表したコンセプトアルバムで通算4作目にあたる「REMEDY LANE」のリミックス盤を買いました。本作にはアルバムを曲順通りに再現したライヴ盤(2014年の公演)もセットになっていてお得感がありますね。本作にリミックスを施したのはANGRA、ARCH ENEMY、SYMPHONY Xといった大物バンドの近作にも携わっている売れっ子Jens Bogrenです。実はこのアルバムと3rd「THE PERFECT ELEMENT, PART Ⅰ」(2000)はリアルタイムで購入していたのですが、当時の僕には難解に感じられ売ってしまっていました。ところが約15年経った今、本作を改めて聴いてPAIN OF SALVATIONというバンドの凄みに魅了されています。オリジナル盤もレンタルして聴き比べてみたのですがリミックス効果は大きいように思います。Daniel夫妻が体験した流産を歌詞にしたという重いテーマとは対照的に明朗なメロディとともに駆けていく④Trace Of Blood、メロディアスなバラード⑫Second Loveといった即効性が比較的高い楽曲もさることながら、テーマメロディが耳から離れない②Ending Theme、悲壮感漂う⑥Undertow、壮大なエンディングを迎える⑬Beyond The Paleなど聴けば聴くほど味わいの増す楽曲群は中毒性抜群です。本作を聴いてPAIN OF SALVATIONというバンドへの注目度が僕の中で上昇中なのですが、彼等はアルバムによって音楽性をガラリと変えるバンドらしいので他の作品にトライするよりもしばらくはこのアルバムの世界にじっくり浸ろうと思います。

SYMPHONY X「UNDERWORLD」(2015)

  • 2017/06/03(土) 00:00:00

UNDERWORLD.jpg
【No.494】
★★★(2015)

1998年の初来日以来、2度目の来日公演となるはずだったLOUD PARK 14を「レコーディングスケジュールの都合」を理由にキャンセルして多くのファンをガッカリさせたSYMPHONY Xの9thアルバム。そんなドタキャン劇の要因でもある本作の内容は2枚組という気合いの入った仕様でありながら、冷徹でヘヴィネス重視の方向へ傾倒していた前作「ICONOCLAST」(2011)と比べてメロディアスな作風にシフトしていますね。これまでに「アトランティス文明」、「失楽園」をアルバムの題材にしてきたバンドが今回取り上げたのはイタリアの詩人ダンテの叙事詩「神曲」です。Michael Romeo(G)によると3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)収録の3曲から、3つの引用があるらしいのですが僕はRomeoの仕掛けを見つけることができませんでした…(苦笑)。

シンフォニックな序曲①Overtureからパワーメタル系の疾走曲②Nevermoreへ繋がる流れは掴みとして申し分なし。この②はSYMPHONY Xにしてはキャッチーな部類に入ると思うのですが、楽曲の至るところで激しく動き回るギターをついつい耳で追ってしまいますね。また鍵盤奏者Michael PinnellaのキーボードをバックにRussell Allen(Vo)が歌うドラマティックなサビメロが秀逸なタイトル曲③Underworld、このバンドにしては珍しくメロディアスハード風でもあるパワーバラード④Without You、一転してブラストビートも取り入れた激しい曲調とゴリゴリのギターに圧倒される⑤Kiss Of Fireと緩急をつけたアルバム構成もお見事。過去には20分越えの大作、前作では10分以上の曲を3曲も収録していたことを思うと比較的コンパクトな楽曲が並ぶのも本作の特徴でしょうか。そんな中、今回のアルバム最長となる9分台の⑦To Hell And Backは曲の開始とともに流れるテーマメロディが素晴らしいドラマティックチューンでハイライトとなっています。また超絶技巧を盛り込んだ明るめのパワーメタル⑪Legendでラストを締めるというのも新鮮ですね。

バンドがこれまでに提示してきた音楽性を網羅しつつ、パワーメタル色が濃い仕上がりになっているという点で、僕にとってSYMPHONY Xの最高傑作候補でもある7th「PARADISE LOST」(2007)に近い印象を受けます。Michael Romeoは相変わらず弾きまくってはいるもののゴリゴリのギターサウンドは控えめになり、近作で影の薄かったMichael Pinnellaの存在感が増しているのも嬉しいですね。このバンドに対しては、もう少しわかりやすいメロディを聴かせて欲しいという気持ちがデビュー当初からあるもののリピートするうちにバンドが放つ魔力に惹きつけられてしまいます。前作は僕のツボにハマりませんでしたが今回はいいですね。「ICONOCLAST」はMichael Romeoが全曲を作曲していたのに対し、本作はMichael Pinnella、Mike LePond(B)もソングライティングに参加していることも影響しているのかもしれません。LOUD PARK 16で素晴らしいパフォーマンスを披露しドタキャンの埋め合わせをしたとはいえ、本作がリリースされた2015年時点では再来日の予定が立っていなかったことを踏まえるとアルバムに対する日本ファンの目は厳しくなっていたと思いますが聴き応えのある充実盤にとなっています。

【音源紹介】
Nevermore

SYMPHONY X「ICONOCLAST」(2011)

  • 2017/05/26(金) 00:00:00

ICONOCLAST.jpg
【No.493】
★★(2011)

ADAGIO、DGM、TIME REQUIEMなどフォロワーと呼べるバンドが登場するほどの地位を築き上げたSYMPHONY Xの8作目はオリジナルアルバムとしては珍しい2枚組仕様。といっても最初から2枚組にする予定だったわけではなくMichael Romeo(G)が創作意欲の赴くままに作曲をした結果、1枚に収まりきらないほどのマテリアルが揃った結果の産物だそうです。2枚のCDでアルバムを発売するとなると当然価格も高くなるのでセールス面を考えるとチャレンジングであるにもかかわらず、レーベル側がそれを容認していることからもSYMPHONY Xが大物バンドの仲間入りを果たしたことが窺えますね。ちなみに日本では2枚組バージョン(全12曲、約83分)のみの発売ですが、海外ではDisc-1の全7曲にDisc-2の5曲中2曲を加えた1枚仕様も存在するようです(僕は2枚組の日本盤を買いました)。

本作でも6th「THE ODYSSEY」(2002)辺りから顕著になってきたヘヴィなギターを軸に、ダークでドラマティックなヘヴィメタルが展開されています。ただし今回は「機械に支配された社会」をテーマにしたアルバムということもあってか、これまで以上に冷徹でメカニカルなサウンドになっているように思いますね。Michael Romeoが以前から「過去作品と同じことの繰り返しはしたくない」と語っていたことを踏まえると「今回はこうきたか」と好意的に受け止めることもできなくもないですが、肝心のメロディアスな要素が減退しているため個人的には敷居の高さを感じてしまいます。それに加えて純然たるバラードと呼べる楽曲がなく、力でグイグイ押してくる曲調が続くためDisc-1の中盤辺りで聴き疲れしてしまうというのが正直なところでしょうか…(苦笑)。前作「PARADISE LOST」(2007)がこのバンドにしてはわかりやすいサウンドだった反動から、ここまでヘヴィな作風になったのかもしれませんが本作を聴いているとバンド初期の繊細さが恋しくなってきますね。

Michael Romeoを中心としながらもメンバーによる共作曲もあった従来作品と違い、今回は全てRomeoが単独で作曲しMichael Pinnella(Key)にスポットが当たる場面が減っている(ギターはもちろん弾きまくり)ことを考えると、バンド内のパワーバランスが変わりRomeoの嗜好が色濃く表れた結果が本作なのかもしれません。アルバム単位での満足度はさほど高くないものの、個々の楽曲を取り出して聴くとハッとさせられる場面もあります。中でも一番のお気に入りは「剛」のサウンドが支配的な本作においてMichael Pinnellaのピアノが数少ない「柔」の場面を演出する出だしから徐々に激しくなっていくDisc-1⑦When All Is Lostですね。メロディックパワーメタルを好む僕としてはSYMPHONY Xの作品群の中でも聴く機会の少ないアルバムですが、本国アメリカのチャートでバンド初のトップ100入りを果たすなどセールス面では成功を納めたアルバムのようです。やはりアメリカではこういうモダンなサウンドの受けがいいんですかね。

【音源紹介】
When All Is Lost

SYMPHONY X「PARADISE LOST」(2007)

  • 2017/05/14(日) 00:00:00

PARADISE LOST.jpg
【No.492】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第7位

日本ではネオクラシカル・プログレッシブメタルの雄として不動の地位を築いた感のあるSYMPHONY Xの7作目。前作「THE ODYSSEY」(2002)が本国アメリカでも好評だったようでMEGADETH、DREAM THEATERをダブルヘッドライナーとしたGIGANTOURに参加するなどアメリカでも人気に火がついたようです。数々のツアーに加えてMichael Romeo(G)Timo Kotipelto(Vo/STRATOVARIUS)のバンドKOTIPELTOにゲスト参加、Russell Allen(Vo)は自身初のソロ作品やALLEN-LANDEでも歌声を披露、Michael Pinnella(Key)もインストのソロアルバムを発売するなどしていたこともあり前作から約4年もの間隔が空いてしまいました。今回のアルバムはジョン・ミルトンの著書「失楽園(Paradise Lost)」をテーマにした1枚ではあるものの失楽園を題材にしたコンセプトアルバムというわけではないようです。ここ最近のアルバムはメロディアスな要素が減退していたこともあり、僕の中では3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)をピークとして彼等に対する関心は下降線を辿っていたのですが、本作は「SYMPHONY Xのこんな作品が聴きたかった!」と思える起死回生の名盤となっています。メロディックパワーメタル色が強調され聴きやすくなっている点が大きいですね。

映画音楽のように壮大なサウンドで期待感を煽りまくるイントロ①Oculus Ex Inferniから繋がる②Set The World On Fire (The Lie Of Lies)からしてSYMPHONY Xにしてはストレートな曲調で、このバンドについて回る難解なイメージは払拭されています。その後も緊迫感とフックのあるメロディが一体となった⑥Eve Of Seduction、3rdに収録されたバンド屈指の名曲Out Of Ashesを彷彿とさせる⑧Sevenなど、メロパワ風の楽曲が複数あるのが嬉しいですね。それとは対照的なバラードでは幻想的なコーラスを配したタイトル曲⑤Paradise Lost、SYMPHONY Xにしては珍しくアコースティックギターも登場する⑨The Sacrificeを収録していてダークでヘヴィな作風の中でいいアクセントになっています。また「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」収録のSea Of Liesを思わせるベースソロから始まるヘヴィチューン③Domination、まるで蛇が這いずるようなグルーヴィなリフがうねる④The Serpent's Kiss、そしてアルバムを締めくくるに相応しいプログレチューン⑩Revelation (Divus Pennae Ex Tragoedia)も収録していてバラエティに富んでいる点も見逃せません。

前作同様にヘヴィでゴツいギターとバンド初期にあったネオクラシカルテイストが融合した本作はSYMPHONY Xというバンドの集大成的な1枚。圧倒的なテクニックでアルバムを支配するマエストロMichael Romeoの存在感が際立っていますね。演奏面におけるもう1人のキーパーソンMichael Pinnellaにスポットが当たる場面は少なくなっているように感じますが曲の世界観を巧みに演出したり、バックを彩る優雅なピアノを奏でたりとその実力を遺憾なく発揮しています。ガナリ気味に歌うRussellについてはクドすぎる感があるのは事実ながら、迫力満点のインストパートに対抗するにはこれくらいのパワーで歌う必要があるのかもしれませんね(バラード系では繊細に歌っていますし)。耳に残るメロディ、個々の楽曲のインパクトという点では「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」に及ばないもののアルバム全体の完成度としては甲乙付け難いほどの出来栄えです。ちなみにアルバムジャケットはSYPHONY Xの作品群はもちろん、他のCDを含めてもダントツで気に入っています。

【音源紹介】
Seven

SYMPHONY X「THE ODYSSEY」(2002)

  • 2017/04/20(木) 00:00:00

THE ODYSSEY
【No.491】
★★(2002)

デビュー当初は日本でしかアルバムが発売されていなかったものの3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)からヨーロッパでも注目されるようになり、2001年には初のライヴ盤「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」をリリースするなどSYMPHONY Xがバンドとして成長していく中で発表した6thアルバム。ちなみに「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」は2枚組となっていてDisc-1では前作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)冒頭のPreludeから9曲目The Death Of Balance / Lacrymosaまでをアルバム通りに再現、Disc-2にはバンドの代表曲を収録しています。ただし超名曲Candlelight Fantasiaがメドレー形式でしか聴けなかったり、セットリストが「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」に偏っていて初期2作品の曲が入っていなかったりすることなどから個人的な満足度はさほど高くありません(初めてのライヴ盤にしてはセットリストで冒険しすぎかな)。

そんなライヴアルバムを挟んでリリースされた本作は「ギター中心のヘヴィなものを目指した」とMichael Romeo(G)が語っている通り、SYMPHONY X特有のミステリアスな雰囲気は薄まっていてバンドのメタリックな部分が強調された作風となっています。オープニングの①Inferno (Unleash The Fire)からしてこれまで以上の攻撃性とギターの緊迫感で押し寄せてくるし、続く②Wicked、③Incarnations Of The Apprenticeもリフでグイグイ押してくるタイプなので息が詰まるのも事実で、比較的メロディアスな④The Accolade IIでようやくホッと一息つくことができます。その④は曲名にもある通り3rdの収録曲The Accoladeの続編で共通するメロディが散りばめられています。The Accoladeほど凝った展開はない代わりにグッと骨太になった曲調はSYMPHONY Xの音楽変遷をそのまま表しているように思えて興味深いですね。続く⑤King Of Terrorsも勢いに溢れたサウンドの中で響く「テェ〜エ リィ ファ〜イ♪」のサビが耳に残るナンバーで結構気に入っています。

そして本作を語る上で外せないのはアルバム本編のラストに鎮座する7部構成24分越えの超大作⑧The Odysseyでしょう。SYMPHONY Xがこれまでに生み出してきた長編曲同様ダレないと言えば嘘になりますが、まるで映画音楽のようなオープニングと勇壮なメロディが胸に響くラストは実に感動的。それだけに中間部にもうひと山欲しかったですね。全体的に見ればSYMPHONY Xというバンドの凄みがヒシヒシと伝わってくる作品ではあるものの、日本盤ボーナストラック⑩Frontiersを含め78分という長丁場を聴き終えた後に印象に残っているメロディはそう多くありません。聴き始めの頃はデビュー作のリメイク⑨Masqueradeが一番のお気に入りだったほどです(苦笑)。バンドの軸となる部分はブレずにモダンでヘヴィなサウンドへ傾倒したという点でDREAM THEATERの「TRAIN OF THOUGHT」(2003)にあたる作品と言えるかもしれません。「TRAIN OF THOUGHT」は自分でも不思議なほどハマったアルバムでしたが本作にはそこまでのめり込むことはなかったですね。

【音源紹介】
Inferno (Unleash The Fire)

SYMPHONY X「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)

  • 2017/04/04(火) 00:00:00

V THE NEW MYTHOLOGY SUITE
【No.490】
★★(2000)

前作「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)リリース後に日本公演を含む初めてのツアーを実現させ、スタジオ盤の制作だけでなくライブアクトとしても優れたバンドであることを証明してみせたSYMPHONY Xの5作目。4thのレコーディング時には脱退していたJason Rullo(Ds)が来日前に復帰、ツアー中にThomas Miller(B)が突然バンドを離脱(音楽業界からも引退)するなど慌ただしかったようですが、後任にMichael LePond(B)を迎えて以降SYMPHONY Xはメンバーチェンジすることなく活動しています。本作はアトランティス文明をテーマにしたバンド初のコンセプトアルバムとなっていることもあってかSYMPHONY X特有の神秘的なムードがこれまで以上に色濃くなっていますね。

クラシック作曲家ヴェルディのレクイエムをモチーフにした序曲①Preludeに導かれてスタートする②Evolution(The Grand Design)がいきなりのキラーチューン!ダークで神秘的なムードと気品すら漂うメロディライン、それでいてサビは一緒に歌えそうなほどキャッチーなこの曲にはSYMPHONY Xの魅力が凝縮されていますね。ここまで聴いた時点で本作への期待値がグンと上がったのですが、それ以降はあまり好きになれませんでした…。端的に言うとメロディがこれまで以上に地味な曲が多いように思います。それに加えて曲間にインストを挟むなどして、アルバム冒頭から⑨The Death Of Balance / Lacrymosaまで切れ目なく繋がっているため何曲目を聴いているのかわからなくなることもあったりします。

バンドを構成する要素のひとつであるプログレッシブな作風を強めた結果、僕のストライクゾーンから外れてしまった1枚という感じですね。過去作品と比べて複雑さが増していること、アルバムのテーマがアトランティス文明という僕があまり関心のないジャンルということもあって歌詞を読んでも本作のストーリーに入り込めなかったというのもマイナス要因でしょうか。といいつつ美しく幻想的な⑤Communion And The Oracle、重厚なコーラスをフィーチュアした⑩Absence Of Lightから疾走曲⑪A Fool's Paradiseを経てエンディング曲⑫Rediscovery(Segue)〜⑬Rediscovery(Part II)- The New Mythologyに至る展開は感動的だし、①以外にもクラシックのフレーズを巧みに引用したり、オーケストラサウンドを導入することで生み出される壮大な世界観は聴き応えがあります。また、リーダーMichael Romeo(G)によるテクニカルプレイ、バッキングにソロにと適材適所の音色で楽曲を彩るMichael Pinnella(Key)の存在感、説得力に溢れた歌唱で迫るRussell Allen(Vo)のボーカルといったSYMPHONY Xらしさは本作でも健在なので、ファンならば楽しめる作品ではあるものの個人的にはもう少しわかりやすいメロディが欲しかったですね。SYMPHONY Xのアルバムはリアルタイムで聴いている時はそんなに好きではなかったけれどリピートするうちにハマることが多いのですが、本作は聴き始めの頃からあまり印象が変わりませんでした…。

【音源紹介】
Prelude~Evolution(The Grand Design)

SYMPHONY X「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)

  • 2017/03/18(土) 00:00:00

TWILIGHT IN OLYMPUS
【No.489】
★★★(1998)

3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)が過去のアルバムを凌駕する出来だったこともあり、それまでの日本に加えてヨーロッパでも人気に火がつきはじめたSYMPHONY Xが放つ4作目。ギターサウンドがグッとヘヴィになってファンを驚かせた前作よりも初期2作品で濃かったネオクラシカルテイストが前に出ているため、本作が2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)の次のアルバムと言われてもシックリくる作風です。これまで不動だった演奏陣にメンバーチェンジがありドラマーのJason Rulloがレコーディング前に脱退、後任にTom Walling(Ds)を迎えていますが次回作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000) ではJasonが復帰しています。

毎回思うのですが、このバンドはアルバムの掴みがいつも強力ですね。今回もネオクラシカルなフレーズが乱舞する疾走曲①Smoke And Mirrors、SYMPHONY Xにしては珍しく一緒に歌えそうなサビと「ヘイ!ヘイ!」という掛け声をフィーチュアした②Church Of The Machineから間髪入れずにベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」をモチーフにしたインスト小品③Sonataを挟み、④In The Dragon's Denで再びパワフルに疾走する流れに引き込まれました。今回のアルバムは全8曲と収録曲が少ないのですが後半も「鏡の国のアリス」を題材にした13分の大作⑤Through The Look Glass (PartⅠ,Ⅱ,Ⅲ)に始まり、やや薄味ながらも疾走感が心地よい⑥The Relic、メロディが捻くれているため即効性はないもののMichael Romeo(G)Michael Pinnella(Key)による圧巻のソロバトルが楽しめる⑦Orion - The Hunter、和音階を取り入れた叙情バラード⑧Lady Of The Snowなど魅力的なナンバー並びます。

Candlelight Fantasia、Out Of The Ashesというバンドの「静」と「動」それぞれの魅力を凝縮した名曲を収録した3rdに比べると小粒な感は否めませんが、今回もネオクラシカルのマスターピース①を筆頭になかなかの力作に仕上がっています。また②の「バ〜ゥ ダ〜ゥ♪」という歌い出し(サビから曲がスタートするのはこのバンドで初めてかも)や⑥のサビメロなど一度聴いただけで口ずさんでしまいそうなメロディがあるのも本作の特徴でしょうか。当時のSYMPHONY Xはライヴを行っておらず事実上スタジオバンドだったことを差し引いても1994年にデビューして以降、ほぼ毎年フルアルバムを作り上げる彼等の創作意欲には頭が下がりますね。なおバンドは1998年6月に初来日公演(SYMPHONY Xとして初のライヴだったとか)を行い、その後ワールドツアーを敢行するなどライヴ活動が本格化していくため次作からはアルバム発表の間隔は2年毎、4年毎と長くなっていくこととなります。

【音源紹介】
Smoke And Mirrors

SYMPHONY X「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)

  • 2017/03/02(木) 00:00:00

THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY
【No.488】
★★★★(1996)

圧倒的な演奏テクニックとアメリカのバンドらしからぬ叙情メロディで、日本のパワーメタルファンの心を掴んだSYMPHONY Xの3作目。このアルバムはバンド初期の代表作であり、2017年現在でもSYMPHONY Xの最高傑作に挙げられることも多い1枚です。過去の作品に比べるとギターが骨太になりヘヴィでモダンなサウンドを導入している点に変化が見られるものの、肝心のメロディは疎かになるどころか更に磨きがかかっていますね。従来のネオクラテイストは減退し、本作以降も程度の差こそあれどその傾向は維持されているため本作でSYMPHONY Xサウンドが確立されたと言えるかもしれません。複雑になりがちな彼等の作品群の中では比較的わかりやすいメロディが多いので僕にとってもお気に入り盤となっています。

本作はなんと言ってもアルバム序盤の流れが圧巻です。過去2作品とは明らかに異なるヘヴィネスに驚かされるものの楽曲の根幹はSYMPHONY X節全開な①Of Sins And Shadows、このバンド特有のミステリアスな雰囲気の中で炸裂するMichael Romeo(G)の滑らかなギターソロとそれに対抗するMichael Pinnella(Key)、そこにThomas Miller(B)のテクニカルプレイも加えた②Sea Of Lies、怒涛の勢いと哀愁のメロディが高次元で融合したSYMPHONY Xの最速チューンにして本作のハイライト③Out Of The Ashesの3曲はどれもがキラーチューンと呼べるほどの素晴らしさ。そんな疾走系3連発の後を受け継ぐ④The Accoladeは10分近くある長尺曲で、ここでは一転してバンドのプログレメタルの側面を強調していて聴き応え満点です。この一連の流れは前作「THE DAMNATION GAME」(1995)のThe Damnation Game、Dressed To KillからThe Edge Of Foreverへ繋がる展開を彷彿とさせますが、更にグレードアップしていてバンドの成長を感じさせてくれます。

また本作はラストを⑨Candlelight Fantasiaという超名曲で締めくくっているのも大きなポイント。この曲で聴ける「悲哀のメロディの極致」と呼ぶべき美旋律が堪りません。個人的には③と⑨の2曲を聴くためだけに本作を買う価値があると思いますね。そして7部構成20分越えの超大作⑧The Divine Wings Of Tragedyも存在感抜群。各パートの繋ぎ方が強引だったり、率直に言って長すぎると感じたりするのも事実ですがSYMPHONY Xの凄みを見せつけてくれています。これらの曲のインパクトが大きいために、ヨーロッパ民謡風フレーズを散りばめたネオクラ疾走曲⑦The Witching Hourなどは単体で聴けば十分魅力的なのですが、本作の中では影が薄くなっていますね。一方で捻くれた歌メロが怪しげな雰囲気を醸し出す⑤Pharaohは聴けば聴くほどクセになるナンバーです。楽曲の充実度が過去最高なのに加えて、バンドのウィークポイントだった音質面も改善されているのも好印象。SYMPHONY Xをこれから聴くという方には、まず本作をオススメしたいですね。

【音源紹介】
Candlelight Fantasia

SYMPHONY X「THE DAMNATION GAME」(1995)

  • 2017/02/22(水) 00:00:00

THE DAMNATION GAME
【No.487】
★★★(1995)

Michael Romeo(G)率いるSYMPHONY Xがバンドの声と呼べる看板シンガーRussell Allenを迎え、デビュー作「SYMPHONY X」(1994)から僅か9ヶ月という短いインターバルで発表した2ndアルバム。僕が初めてこのバンドの音に触れた1枚でもあります。音楽性は前作と同じくネオクラシカル風サウンドを盛り込んだプログレメタルながら、クオリティは大幅にアップしていますね。その功労者はやはりRussellでしょう。今ではマフィアのボスのような風貌でドスの効いた歌声を響かせてリスナーを圧倒するスタイルを持ち味としている彼ですが、本作では比較的クリーンに歌っている場面が多いですね。剛柔どちらでも表現力豊かに歌い上げられるRussellがバンドに加わったことでSYMPHONY Xのラインナップは完成したと言えると思います。バンドは本作以降リズム隊に若干のメンバーチェンジがあったもののMichael Romeo、Russell AllenそしてMichael Pinnella(Key)の3人は不動で2017年現在まで活動しています。

楽曲面でもスケールアップを遂げていて、イントロ数秒で聴き手の心をガッチリ掴む疾走曲①The Damnation Game、怪しげなムードの中で緊迫感溢れるサビメロが冴え渡る②Dressed To Killの畳み掛けが実に強力!そんなオープニング2曲に続く③The Edge Of Foreverはドラマティックな長編曲で、バラード風に始まり終盤へ向かうに連れて盛り上がっていく展開が秀逸です。中でも3分15秒辺りのピアノソロが凄く印象的で、僕としてはテクニカルなギターソロ以上にこういうパートを聴くと「SYMPHONY Xだなぁ」と感じます(少数意見かもしれませんが)。また⑤Whispersは優しくも儚いメロディが至福のひとときを与えてくれる逸品。こういう楽曲はバンド初期ならではの特徴だと思いますね。

YNGWIE MALMSTEENHELLOWEENでHR/HMに目覚めたメタラー1年生(1995年当時)の僕にとって本作の①と②はあまりに衝撃的でした。幸か不幸かこの2曲がこのバンドとの出会いだったため、本作の後半や彼等の他のアルバムを聴く時にハードルが上がってしまい、結果として「SYMPHONY Xは好きな曲とそうでない曲の落差が激しいバンド」というイメージが僕の中で定着してしまった感があります(苦笑)。率直に言うと、もっとわかりやすいメロディが欲しいんですよね…。とはいえデビュー作と比べるとボーカル交代は成功だったと思うし、まだ物足りなさは残るものの音質も向上しているので順当な成長作と言えるでしょう。ちなみに今回ブログ記事を書くために聴き直すまで、本作の後半に収録された曲は印象に残っていなかったのですが最近になってラストを飾る⑧A Winter's Dream - Prelude(Part I)、⑨A Winter's Dream - The Ascension(Part II)の2部作がジワジワと好きになってきました。

【音源紹介】
Dressed To Kill

SYMPHONY X「SYMPHONY X」(1994)

  • 2017/02/14(火) 00:00:00

SYMPHONY X
【No.486】
★★(1996)

今や押しも押されぬネオクラシカル系プログレメタルバンドの重鎮としてその名を馳せるSYMPHONY Xが1994年にリリースした1stアルバム。デビュー当時はグランジ/オルタナティヴ全盛期ということもあって母国アメリカやヨーロッパでは全くと言っていいほど話題にならず、ゼロ・コーポレーションが彼等を発掘して日本でのみリリースされた作品のようです。このアルバムの時点でダークかつミステリアスなSYMPHONY Xサウンドは既に確立されているものの、僕は2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)でこのバンドを知り、後追いで本作を聴いたため物足りなさを感じる点も少なくありません。その最たる例が本作でフロントマンを務めていたRod Tyler(Vo)のボーカルで、独特の味があるヘタウマ系と感じる場面もなくはないですが、次作から加入する実力派Russell Allen(Vo)に比べると不安定さが目立ってしまいますね…。

そんな弱点があるのは事実ながら僕の琴線に触れる楽曲も聴くことができます。特に④Masqueradeはゼロ・コーポレーションが所属アーティストの曲をテーマ毎に集めたコンピレーション盤「煌 CRYSTAL」(1996)に収録されているほか、バンド自身も1998年にリメイクしたバージョンをベストアルバムの1曲目、6th「THE ODYSSEY」(2002)のボーナストラックに再録している初期の代表曲です。それ以外にも「トゥナ〜イ♪」のコーラスが耳に残る②The Raging Season、骨太なサウンドに変化した今では聴けそうにないメロウなバラード⑥Shades Of Grey、キャッチーなサビメロを持った⑧Rapture Or Pain辺りは結構好きですね。コーラスワークにQUEENっぽさが感じられるのも本作ならではの特徴でしょうか。

DREAM THEATERに通じるプログレッシブメタルにYNGWIE MALMSTEENを彷彿とさせるネオクラシカルテイストを融合させたものがSYMPHONY Xの根幹部だと思っているのですが、その中でも本作はネオクラ要素が強い作風となっています。リーダーでもあるMichael Romeo(G)の流麗なギタープレイは同時期の本家YNGWIE以上に聴き応えがありますね。SYMPHONY Xは作品を重ねる度に複雑でプログレ色が濃くなっているので、このバンドの中では比較的聴きやすい1枚だと思います。本作はボーカルと音質(特にドラム)に難はあるものの、ダイヤの原石のような輝きも見せてくれる作品なので現メンバーでリメイクすると面白いかもしれませんね。

【音源紹介】
Masquerade

【CD購入録】MAHATMA「ORCHESTRA OF THE LIFE」(2016)

  • 2016/09/23(金) 00:00:00

【CD購入録】
ORCHESTRA OF THE LIFE
MAHATMA「ORCHESTRA OF THE LIFE」(2016)

このブログで2014年のブライテストホープに選出した群馬出身のクリエイティブ・ロックバンドMAHATMAの2作目を買いました。デビュー作「RE:GENERATION」(2014)で未整理な部分を残しながらも抜群のポテンシャルを感じさせてくれた彼等ですが、今回は予想以上にHR/HM色の薄い作風になっていますね。2分に及ぶ序曲①Overture for romanceから曲間なく繋がる②RomanceにはYuhki(Key/GALNERYUS、ALHAMBRA)、hibiki(B/ALHAMBRA、MARDELAS、LIGHT BRINGER)がゲスト参加していることもあって胸熱の疾走曲に仕上がっている一方で、イマドキのJ-POPに通じる⑥「セレクト」、アイドルソングっぽい⑦「ラッキー☆セブン」には面食らいました(どちらにもMAHATMAらしいテクニカルな展開がねじ込まれていますが)。後半にはラテンのノリを上手く取り入れた⑨Starry Nightもあって個人的にはこういう曲をもっと聴きたいですね。デビューアルバム以上に多彩な楽曲が並ぶ本作を聴いて、今後MAHATMAサウンドの焦点が定まってくるのかなと思っていたらTsubasa(G)が2016年6月をもってMAHATMAのギタリストとしての活動を無期限で休止するとの発表があり驚きました。作編曲などではMAHATMAに携わっていくとのことですが、バンドがこれからどのように活動していくのか気がかりですね…。

【CD購入録】MYRATH「LEGACY」(2016)

  • 2016/06/13(月) 00:00:00

【CD購入録】
LEGACY_20160320214217865.jpg
MYRATH「LEGACY」(2016)

3rd「TALES OF THE SANDS」(2011)で日本デビューを果たしたチュニジアンメタルバンドMYRATHの4作目を買いました。今回も前作同様、エスニックなムードとプログレテイストに溢れたメロディックメタルを展開しているのですがメロディ、音作りなどあらゆる面でメジャー感が増していますね。ド派手に疾走したり、激しさを全面に出したりする場面はほとんどなくミディアム、バラード調の曲でとにかくメロディを聴かせるスタイルと、バンドの顔でもあるZaher Zorgati(Vo)によるコブシの効いた独特の歌い回しは本作でも健在です。決め手となる1曲がないのも相変わらずながら、このバンドの場合は聴き応えのある楽曲揃いなので突出したナンバーがないと感じるタイプなのだと思います。どの曲も甲乙付け難いのですが、お気に入りは序曲①Jasminに導かれて始まるリーダートラック②Believerですね。バンド名のミラスとはアラビア語で「遺産」を意味するため本作がバンドのセルフタイトル作ということになりますが、文字通りこのアルバムでMYRATHのアイデンティティが確立されたと言えるのではないでしょうか。

【CD購入録】MYRATH「TALES OF THE SANDS」(2011)

  • 2016/06/10(金) 00:00:00

【CD購入録】
TALES OF THE SANDS
MYRATH「TALES OF THE SANDS」(2011)

最新作「LEGACY」(2016)が各方面で好評を博しているチュニジア出身のプログレッシブ・メタルバンドMYRATHの3作目を買いました。BURRN!誌上では「アラブのDREAM THEATER」と評されていましたが、中東的なフレーズを盛り込みながらメロディアスに進行していく彼等の楽曲から僕が最初に思い浮かべたのはイスラエル出身のORPHANED LAND、そしてそこにKAMELOTのテイストを加味したという感じでしょうか。一撃で聴き手をねじ伏せるほどのキラーチューンこそないものの、どの曲も聴き応えがあるし⑥Dawn Within、⑦Wide Shut、⑧Requiem For A Goodbye辺りは即効性高めですね。デビュー前にはSYMPHONY Xのカバーバンドとして活動していたということもあって演奏陣はさすがの安定感を誇っているし、フロントマンZaher Zorgatiによる艶やかで力強い歌唱、Kevin Codfert(Key/ADAGIO)がプロデューサーを務めたサウンドプロダクションなどB級臭さは感じられません。「LEGACY」では更に成長した姿を見せてくれているようなので、そちらも購入予定です。

JANNE DA ARC「D・N・A」(2000)

  • 2016/05/25(水) 00:00:00

DNA.jpg
【No.471】
★★★★★(2007)

ヴィジュアル系全盛期の1999年に「ヴィジュアル系バンドの最終兵器」というキャッチコピーでメジャーデビューを果たしたJANNE DA ARC(ジャンヌ・ダルク)の1stアルバム。作品タイトルは遺伝子を意味するのではなくDifferent Native Answersという言葉の頭文字から来ているそうです。このバンドについては以前からHR/HMリスナーでも楽しめるという前評判を耳にしていたしBURRN!誌でも取り上げられていましたが、なかなか聴くに至らず2007年にようやくチェックしました。「もっと早くこのアルバムを聴いておくべきだった」というのが正直な感想でしたね。ヴィジュアル系にカテゴライズされる彼等ですがメタルの要素もしっかりと存在しているし、適度に盛り込まれたクサメロやテクニカルパートがいいアクセントになっています。

2分弱のインスト①Deja-vuとそれに続く②Vanity、③「ファントム」を聴いて「僕好みのサウンドだな」と思っていたら、どキャッチーなサビのアカペラ歌唱から始まる爽やかチューン④「Eden~君がいない~」以降は更に強力で打ちのめされました。一部で「メロハー化したDREAM THEATER」と呼ばれていることも頷けるポップな歌メロと難解なフレージングが融合した⑥Stranger、気持ちを高揚させるサビが堪らないメロディックメタル⑧Lunatic Gate、クサメロを撒き散らしながら疾走するデビューシングル曲⑩Red Zone(Album Mix)、美味しいメロディが堪能できる⑪Ringといったメタル寄りの楽曲群は文句なしのカッコよさを誇っています。また虐待という重いテーマとリンクした不気味な雰囲気の⑤「child vision~絵本の中の綺麗な魔女~」、仄かな哀愁が胸に沁みる⑦「桜」、響き渡る鐘の音が結婚式を連想させるピースフルなエンディング曲⑫Heaven's Placeなど曲調に振り幅がありつつ、どれもメロディが魅力的なのが素晴らしいですね。

yasu(Vo)の声が細く感じられたり、恋のかけ引きをテーマにした歌詞が多く時にはエロティックだったりと苦手要素もなくはないのですが、それを補って余りある楽曲の良さが光っています。中でも④、⑦、⑧、⑩、⑪はキラーチューンですね。ヴィジュアル系のバンドをたくさん聴いているわけではないのですが、このジャンルの中で一番好きなアルバムです。本作に魅了されて彼等のベスト盤もチェックした覚えがありますね(本作ほどハマることはありませんでしたが)。2007年にyasuがソロプロジェクトACID BLACK CHERRY(通称ABC)を立ち上げて以降、JANNE DA ARC名義でライヴや楽曲の制作などはしておらず事実上の活動休止状態となってしまっているようです。いつか本作の路線で復活してくれないかな、と淡い期待を抱いているのですが可能性は低そうですね…。

【音源紹介】
Red Zone

【CD購入録】SUNBURST「FRAGMENTS OF CREATION」(2016)

  • 2016/04/18(月) 00:00:00

【CD購入録】
FRAGMENTS OF CREATION
SUNBURST「FRAGMENTS OF CREATION」(2016)

ギリシャから彗星の如く現れたプログレッシブ・パワーメタルバンドSUNBURSTの1stアルバムを買いました。僕はこのバンドのことを全く知らなかったのですがBURRN!誌上で藤木さんがプッシュされている記事を読み、YouTubeで試聴してすぐさま購入を決めました。中心人物のGus Drax(G)は新世代のギターヒーローとして注目されているようですね。本作はそんなGusが敬愛するDREAM THEATER(初期)、SYMPHONY X、CONCEPTION、NEVERMOREといった先達からの影響の下にあるサウンドで個人的にはビルドアップされたKAMELOTという印象が強いです。実際、シンガーのVasilis GeorgiouRoy Khan(Vo)の後任を探していたKAMELOTのオーディションを受けたこともあるそうで(Gus談)、ウェットかつ表現力に溢れた彼がTommy Karevik(Vo/SEVENTH WONDER)の代わりにKAMELOTに加入していても違和感なかったのではと思うほど。こうしてボーカルとギターに実力者が揃っているバンドはやはり強いですね。ズバ抜けたキラーチューンこそないものの全体的にクオリティは高く、ザクザクと刻まれるリフと哀愁を帯びたサビが印象的な①Out Of The Worldを皮切りにバラード⑤Lullabyやギターインスト⑦Beyond The Darkest Sun、12分に及ぶ長編曲⑩Remedy Of My Heartなど楽曲のバリエーションもあって聴き応えは十分。2016年のブライテストホープ有力候補が登場しましたね。

【CD購入録】CIRCUS MAXIMUS「HAVOC」(2016)

  • 2016/03/03(木) 00:00:00

【CD購入録】
HAVOC.jpg
CIRCUS MAXIMUS「HAVOC」(2016)

ノルウェーが誇るプログレッシブ・メタル界のホープCIRCUS MAXIMUSの4作目を買いました。アルバムリリースに先駆けて公開された楽曲群を聴いて、歌メロ重視だった初期2作品と比べてやや内省的だった前作「NINE」(2012)に近いものを感じていました。実際にアルバムを聴いてみての第一印象としては作品前半にヘヴィなナンバーが多く、後半に進むにつれて僕がこのバンドに期待する繊細なメロディが楽しめるという感じでしょうか。特に⑥Loved Ones〜⑨Chivalryの流れは秀逸ですね。聴き始めの感触としては前作より良いし「NINE」も聴き込むほどに好きになっていった作品なので、これからどんどんハマっていきそうな気がしています。なお僕が買った初回限定盤にはLOUD PARK 12でのパフォーマンスを収録した8曲入りボーナスCDが付いていて、こちらも聴き応えがありますね。