SPIRITUAL BEGGARS「MANTRA Ⅲ」(1998)

  • 2015/08/29(土) 00:00:00

MANTRA Ⅲ
【No.442】
★★★(2001)

Michael Amott(G/ARCH ENEMY、ex-CARCASS)がリーダーを務めるトリオ編成のハードロックバンドSPIRITUAL BEGGARSの3作目。僕は次作4th「AD ASTRA」(2000)を聴いてバンドのファンになり後追いでこのアルバムを聴きましたが、こちらも毒々しくサイケデリックな荒くれハードロックというSPIRITUAL BEGGARSならではの魅力に溢れた良作でBLACK SABBATH、DEEP PURPLEといった70年代の有名バンドからの影響を感じられると評されることの多いアルバムでもあります。正直なところ、僕はその時代のロックバンドを聴いてもあまりピンと来ないのですが、本作はレトロなサウンドでありながら古臭さを感じさせないし、当時のバンドを改めて聴きたいと思わせるだけの魅力を備えていますね。再トライの結果、70年代のバンドにのめり込むことはありませんでしたが…(苦笑)。

「AD ASTRA」以上にドゥーミーな空気に満ちているものの、重たいだけで終っていない辺りは流石。それを象徴するのがヘヴィなイントロから幻想的なオルガンサウンドに導かれて極上のサビへと繋がる③Euphoriaで、この曲は間違いなく本作のハイライトですね。そこから一転してファンキーな④Broken Morningもカッコいいし、タイトル通りのボッサな曲調に驚かされるインスト⑥Superbossanovaまでこなしてしまうバンドの懐の深さと、アルバム中盤にこの曲を配するセンスに脱帽です(2000年に再発されたリマスター盤では1曲目になっているようですが)。それ以降も終盤にスローダウンする展開にグッとくる⑦Bad Karma、Michaelらしい泣きのギターが炸裂する⑧Send Me A Smile、前曲から間髪入れずに始まり勢いで押し切るロックチューン⑨Cosmic Romanceの3連発は強力だし、⑪Sad Queen Boogieも好きな楽曲ですね。

このバンドに関してはドゥーム/ストーナーロックに分類されることが多かったため「音楽はまずメロディありき」と考える僕とは相性が良くないかと思っていました。本作に関しても全曲がストライクというわけではないものの、退廃的なムードと聴き手をねじ伏せる凄みに溢れたSPIRITUAL BEGGARSサウンドはクセになりますね。その中心となっているのがMichael Amottのギターとソングライティングであることは間違いないのですがゲストプレイヤーとして参加しているPer Wiberg(Key/DEATH OTGAN etc)のオルガンサウンドも本作で重要な役割を担っています。どの曲でも大きな存在感を放っているので、次の作品からPerが正式メンバーとして迎えられたのも納得。次作以降SPIRITUAL BEGGARSはアンダーグラウンド臭を薄め、アルバムを重ねる度に洗練性を増していくこととなります。

【音源紹介】
Euphoria

GRAND MAGUS「IRON WILL」(2008)

  • 2011/11/30(水) 00:00:00

G MAGUS I WILL
【No.311】
★★★(2008)

4th「ON FIRE」(2002)からSPIRITUAL BEGGARSに加入し、そのディープな激シブヴォイスでバンドの飛躍に一役も二役も貢献したJB(Vo)ことJanne Christofferssonがリーダーを務めるトリオ編成バンドGRAND MAGUSの4thアルバム。2010年にJBはGRAND MAGUSに専念したいという理由でSPIRITUAL BEGGARSを脱退しています。このGRAND MAGUSというバンドはBURRN!誌などで「ドゥーム・メタル」の枠で括られることが多かったので、メロディアスなHR/HMを好んで聴く僕の頭の中では「ドゥーム」→「スロー」→「退屈」という乱暴な三段論法が成り立ってしまい(苦笑)、なかなか手を出せずにいました。ところが、前作「WOLF'S RETURN」(2005)辺りからドゥーム色は弱まってきたという評判を耳にするようになったし、JBのボーカルは大好きなので本作で初めてGRAND MAGUSを聴いてみることになった次第です。

アルバムの基本線はSPIRITUAL BEGGARSと同じくヘヴィで骨太なHR/HMでありつつ、こちらの方が泥臭くラフな印象があります。最初に聴いたときは欧州民謡風フレーズで始まり中盤以降で加速していく①Like The Oar Strikes The Water、本作の中で最もわかりやすくキャッチーな②Fear Is The Keyくらいしか耳に残らず、地味なアルバムかとも思いましたがリピートするうちにジワジワと旨みが出てきました。小インスト③Hovdingに続く④Iron Willが醸し出すどっしり感とJBの「Iron Will~♪」という伸びやかで太いシャウトに「アァイ!ルォン!ウィル!」のゴツいコーラスが絡むラストはカッコいいし、バンドの本質である重々しさと神秘的なムードが同居した⑦Self Deceiver、⑧Beyond Good And Evilといったヘヴィチューンも本来こういったスローで重たいナンバーは苦手な僕ですら引き込まれそうになる不思議な魅力があるんですよね。そんなスロー~ミッドテンポ主体のアルバム後半にあって、絶妙なアクセントとなっているのが躍動感溢れるアップテンポ⑥Shadow Knowsの存在。切れ味鋭いこの曲のギターリフは前後の楽曲が放つ重たい空気を一変させるとともに、この曲があるからこそ⑦以降のアルバム終盤で聴ける暗くて重い流れが更に活かされていると思いますね。

JBの歌唱はSPIRITUAL BEGGARSと同じく超パワフル且つ、どれだけ声を張り上げても常に余裕を感じさせるもので、これはもう素晴らしいの一言です。相違点を挙げるとすればGRAND MAGUSは自分のバンドということもあってか、エネルギーを制御することなく良い意味で荒く、伸び伸びと歌っているような気もします。そして驚いたのは彼が歌だけでなく兼任するギターの方でも僕の心を震わせてくれているという点です。リフは重々しくて勢いがあり、ソロはメロディアスなそのギタープレイはすごくテクニカルだとか、圧倒的な泣きを放っているといったものではないのですが非常に味があります。本編ラスト⑨I Am The Northのエンディングでのギターメロディもいいですね。本作の中で僕が好きなタイプの曲は即効性の高い①、②、⑥であることは確かですが「ドゥーム」の香りがする他の楽曲も聴けば聴くほどに味わいが増すスルメ盤といえる1枚です。

【音源紹介】
Fear Is The Key

【CD購入録】ABSTRAKT ALGEBRA「ANSTRAKT ALGEBRA」(1995)

  • 2009/06/16(火) 00:00:00

【CD購入録】
ABSTRAKT ALGEBRA
ABSTRAKT ALGEBRA「ANSTRAKT ALGEBRA」(1995)

北欧ドラマティック・ドゥームメタルの代表的バンドCANDLEMASSのメインソングライターLeif Edling(B)がCANDLEMASSの活動停滞中に結成したABSTRAKT ALGEBRAによる唯一のアルバムを買ってみました。メロディアスなHR/HMを好んで聴く僕にとってドゥームメタルはストライクゾーンではないし、CANDLEMASSも未聴なのですが、ABSTRAKT ALGEBRAには以前から関心があったんですよね。今は亡きゼロ・コーポレーションから発売されていた本作の中古盤をゲット。音楽性はというと、リリース当時に「漆黒の旋律」という謳い文句で称されていたのも納得の重く暗いヘヴィメタルで、一歩間違えばスローなだけの退屈な作品になりかねないところを厳かで呪術的なムードが僕を包み込んでくれます。「メロディアス」という言葉とは縁遠い作風でありながらも印象的な曲もあり、美しさが感じられる①Stigmata、本作では比較的スピード感のある②Shadowplay、闇のミサとでも呼びたくなる荘厳さに満ちた⑥April Clouds、15分の大作⑧Who What Where Whenなど、ついリピートを誘われる不思議な1枚です。後にYNGWIE MALMSTEENと名盤「FACING THE ANIMAL」を作り上げるMats Leven(Vo)のダーティな熱唱スタイル、語尾を吐き捨てるようなボーカルパフォーマンスも良いですね。もう少し聴き込んでみて更に本作を好きになるようならCANDLEMASSにも挑戦してみようかな。

【CD購入録】GRAND MAGUS「IRON WILL」(2008)

  • 2008/07/29(火) 22:57:01

【CD購入録】
IRON WILL
GRAND MAGUS「IRON WILL」(2008)

前々から気になっていたJB(Vo/SPIRITUAL BEGGARS)の本業バンドGRAND MAGUSを初体験。確かにドゥームと表現しても差し支えなさそうなヘヴィ/スローナンバーもありますが、不思議とリピートさせる魅力があります。即効性ではSPIRITUAL BEGGARSに一歩譲るものの、聴き込む内に味わい深くなってきそうな予感がかなりしますので、じっくり聴いていきたいです。相変わらず上手いJBの歌唱に惚れ惚れ。今のところ、スピーディーなメタルナンバー②Fear Is The Keyがお気に入りです。