【CD購入録】RAGE「THE DEVIL STRIKES AGAIN」(2016)

  • 2016/08/27(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE DEVIL STRIKES AGAIN
RAGE「THE DEVIL STRIKES AGAIN」(2016)

15年以上バンドに在籍していた看板ギタリストVictor Smolskiと袂を分かった新生RAGEの第1弾アルバムにして通算22作目(ボーナスディスクとEP「MY WAY」付きの3枚組仕様)を買いました。VictorはリーダーのPeter "Peavy" Wagner(Vo、B)と並ぶRAGEの顔となっていたし、このバンドを聴くようになったのが「UNITY」(2002)からだったので今回の脱退劇はショックでした。しかも、ただの脱退ではなく人間関係が悪化したためPeavyがVictorとAndre Hilgers(Ds/SILENT FORCE)を解雇したらしくファンとしては悲しいですね…。そんな名うてのプレイヤー達の後任に迎えられたのがSOUNDCHASERなるバンドを率いてRAGEのツアーサポートをしたこともあるベネズエラ出身のギタリストMarcos Rodriguez、RAGEのマネージャーだったVassilios "Lucky" Maniatopoulos(Ds)の両名です。ちなみにSOUNDCHASERというバンド名はVictor期RAGEの代表作のひとつ「SOUNDCHASER」(2003)から取っていてMarcos自身も熱狂的なRAGEファンなのだとか。演奏の凄み、知名度のどちらも前任者に及びませんが楽曲の複雑化に伴いキャッチーさが後退していた前作「21」(2012)よりもストレートな作風なので第一印象は良いですね。飛び抜けた楽曲こそないものの冒頭の①The Devil Strikes Again〜④The Final Curtainの流れが気に入っています。

【CD購入録】ETERNITY'S END「THE FIRE WITHIN」(2016)

  • 2016/08/03(水) 00:00:00

【CD購入録】
THE FIRE WITHIN
ETERNITY'S END「THE FIRE WITHIN」(2016)

ドイツ出身のネオクラシカル系ギタリストChristian Muenznerが立ち上げたETERNITY'S ENDのデビュー作を買いました。Christianのことは知らなかったのですが、これまでにALKALOID、SPAWN OF POSSESSIONといったテクニカル/プログレ系デスメタルバンドで活動をしてきた人物のようですね。本作ではそんなエクストリームメタル寄りのサウンドから距離を置き、YNGWIE MALMSTEENを彷彿とさせるネオクラシカルの王道を行きつつ、時折ジャーマンメタル調の明るいメロディも顔を出す作風となっています。新鮮味は希薄な音楽性だし、どこかで聴いたフレーズが散見されるものの、この手のサウンドが好きなので結構楽しめています。Christianの弾きまくりギターパートは勿論Ian Parry(Vo/ex-ELEGY)の熱唱も聴きどころとなっていますね。現在のお気に入りはキャッチーなサビメロが耳に残る④Eagle Divine、ネオクラシカル道のど真ん中を突っ走る⑨Moonstruckでしょうか。どちらにも初めて聴いた気がしないパートがあるのはご愛嬌ということで(苦笑)。2016年のブライテストホープ候補としてSUNBURSTの対抗馬になれそうなニューアクトの登場ですね。そういえばドイツのスラッシュメタルバンドPARADOXの現ギタリストはSUNBURSTの中心人物でもあるGus Draxで、前任はChristian Muenznerなんですよね。PARADOXはこれまでノーチェックでしたが若手テクニカルギタリストの登竜門なのでしょうか…。密かに僕の中で注目度がアップしています。

【CD購入録】KISSIN' DYNAMITE「GENERATION GOODBYE」(2016)

  • 2016/07/07(木) 00:00:00

【CD購入録】
GENERATION GOODBYE
KISSIN' DYNAMITE「GENERATION GOODBYE」(2016)

2008年にデビューして以降、きっちり2年ごとにニューアルバムを届けてくれているKISSIN' DYNAMITEの5作目を買いました。初期のパーティーロック調から徐々にシリアスな方向へ変化してきた感のある彼等ですが、今回も近作の延長線上にある1枚と言えそうです。ドッシリと構えて聴かせるミッドテンポ①Generation Goodbyeはアルバムの掴みとしては微妙ながら単体で見ればカッコいいし、これぞKISSIN' DYNAMITE!なロックチューン②Hashtag Your Life(曲名がいかにも今どきのバンドらしいですね)、そこから一転してドラマティシズムと哀愁に溢れたパワーバラード③If Clocks Were Running Backwardsと続く展開にヤられました。PVも制作された②、③を筆頭に今回も良曲揃いなので、あっという間に聴けてしまいます。デビュー当時は16歳だったフロントマンJohannes Braunの成長に合わせるかのように、ロックソングだけでなくバラード系もこれまで以上に聴き応えがあるのも本作の特徴でしょうか。本編ラストの⑪Utopiaも泣けます。今回のアルバムも2016年を振り返る頃には年間ベスト入りを果たしてそうな力作ですね。

ZENO「RUNWAY TO THE GODS」(2006)

  • 2016/05/13(金) 00:00:00

RUNWAY TO THE GODS
【No.470】
★★★★(2006)
年間ベスト2006年第10位

未発表曲を集めた「ZENOLOGY II」(2005)から僅か1年弱というZENOらしからぬ短いスパンで発表された3rdフルレンスアルバム。本作の注目ポイントは何と言ってもシンガーの交代劇でしょう。良くも悪くも個性のあるハイトーンでZENOサウンドの一端を担っていたMichael Flexig(Vo)がバンドを離れ、後任にMichael Bormann(Vo/ex-JADED HEART etc)を迎えています。ハスキーな声の持ち主であるBormannはFlexigと対照的なタイプのシンガーで、情感たっぷりに(時にねちっこく)歌い上げるそのスタイルは好き嫌いが分かれそうですね。Zeno Roth(G)はクセのある歌い手が好みなんでしょうか。ファンの間でも賛否両論のフロントマン交代に関して、僕はFlexigの声が苦手だったので個人的には歓迎しています。Flexigがその出来栄えに満足していなかった「ZENOLOGY II」の音源を公開したことが不満で彼がZenoと袂を分かつことになったという話は残念ですが…。ちなみに当初はTommy Heart(Vo/FAIR WARNING)を後任に迎えるという話があったもののFAIR WARNINGが再結成することになったため流れてしまい、後にJADED HEARTの音源を聴いたZenoがBormannに参加を打診したそうです。

そんなボーカルチェンジが影響してか、ZENO特有のエキゾチックな雰囲気や神々しさは大幅に減退、ハードロックバンドならではの骨太さやパッションが増量されていて普遍的なメロディアス・ハードロックに近づいていますね。この変化をZENOらしさが失われたと見ることもできるかもしれませんが、僕にとっては本作がZENOの中で一番好きなアルバムです。何と言ってもオープニングの①Fanfares Of Loveが問答無用のキラーチューン!プレイボタンを押すと同時に切れ込んでくるギター、ZENOにしては意外なほどストレートに駆け抜ける疾走感、そしてBormannの熱唱が一体となって押し寄せてきます。元々Zenoはミドルテンポの②Climb The Skyを1曲目、①を2曲目にするつもりだったそうですが、複数の日本人関係者から「Fanfares Of Loveをオープニングにするべき」と意見があったため変更したのだとか。重厚な②も好きな曲ではあるもののアルバムの幕開けに持ってくるには微妙なので「日本人関係者の方、グッショブ!」ですね(笑)。

①のインパクトが強過ぎるために、それ以降の楽曲は存在感が希薄になっていることは否めませんが、流石のZENOクオリティなので聴き応えは十分。リフから歌い出しにかけてがDEEP PURPLEBurnしているハードロック⑧I Feel - I Liveも面白いですね。クラシック曲をZENO流にアレンジした⑥Sogno Di Angelo(Mascagni Arr. Zeno)、エンディングに向けて圧巻の盛り上がりを見せる⑪ Sunset Birds Flying Home(Celestial Touchdown)という2曲のインストもアルバムにメリハリをつけています。従来のZENOらしさが色濃く出たバラード⑩Do You Feel The TimeはZenoの母親に捧げられた曲だそうで一部Zeno本人が歌っていますがBormannに全編歌って欲しかったというのが本音ですね…。余談ですが本作のアートワークを手掛けているはZENOのオリジナルメンバーでFAIR WARNINGの中心人物でもあるUle Ritgen(B)だそうです。彼が画家として活動しているのは知っていたものの実際に作品を目にしたことはなかったので、その予想以上の出来栄えに驚きました。ZENOの世界観ともマッチしていますね。本作リリース時のインタビューでZenoは作曲したマテリアルを全て出し尽くしたと語っていたので、次のアルバムを聴くのはだいぶ先になるだろうと覚悟はしていましたがもう10年が経ってしまいましたね…。そろそろ新作をお願いしたいところです。

【音源紹介】
Fanfares Of Love

ZENO「ZENOLOGY II」(2005)

  • 2016/05/02(月) 00:00:00

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【No.469】
★★★(2005)

兄のUli Jon Roth(G)と共にHR/HM界きっての寡作アーティストとして知られるZeno Roth(G)率いるZENOの未発表音源集第2弾。「ZENOLOGY」(1995)は1987年から1994年までに録音されたマテリアルを集めたものでバンドのリードボーカルMichael FlexigのほかTommy Heart(Vo/FAIR WARNING)、Helge Engelke(G/FAIR WARNING)がシンガーを務めていたのに対し、本作は1983年から1989年にレコーディングされた11曲を収録していてMichaelが9曲、Tommyが2曲で歌っています。バックを固めるのはUle Ritgen(B)、C. C. Behrens(Ds)というFAIR WARNINGのリズム隊なので、もしZENOが1989年に一時解散していなければFAIR WARNINGが誕生することはなく、このラインナップでZENOとして活動していたのかもしれませんね。

東洋的なフレーズを織り込んだ神々しいムード漂うメロディックロックがZENOの特徴のひとつですが、本作ではそういった「らしさ」は希薄になっているように思います。僕は上記の要素がどちらかというと苦手なので、今回のような親しみやすいメロハー路線は歓迎ですね。結果的に「キーボードのフィーチュア度が高いFAIR WARNING」という感じの仕上がりとなっていて、各曲のクオリティに関しても未発表音源を集めたとは思えないほど質の高いものばかり。アルバム制作に並々ならぬ拘りを持って膨大な時間を費やすZenoが世に出すことを良しとした作品なので当然かもしれませんが、お蔵入りになっていたのが不思議なほどの楽曲が並んでいます。高揚感に溢れたハードロック②Tonight、③Hard BeatやZENOにしては珍しくポップで明るい曲調の④Dreaming The Night Away⑥Victoria、グルーヴィーなリフからキャッチーなサビへ展開していくZENO最初期のマテリアル⑤Good Game Bad Gameなど、アルバム前半にお気に入り曲が多いですね。③、④ではTommyがリードボーカルを取っていて、FAIR WARNINGでのパフォーマンスと比べると初々しさがあるものの確かな歌唱力を披露してくれています。ちなみに①Call Of The HeartはFAIR WARNINGの名曲と同じタイトルですが別の曲です。

客観的に見ればメロディックロックファン必聴の1枚であることは事実ながら全体的に曲調が似通っていること、過去のアルバムに収録されていたLove Will Live、Together、Love In Your Eyes、Meet Me At The Rainbowのような飛び抜けたキラーチューンがないことなどからインパクトは弱い気もしますね。この楽曲群に注文をつけるのは贅沢かもしれませんが…(苦笑)。なお日本では本作に合わせてZENOの過去作品3枚にリマスターを施し、各アルバムに未発表曲やデモ音源を追加した再発盤がリリースされています。特に2nd「LISTEN TO THE LIGHT」(1998)はオリジナルとリマスター盤とでは収録曲が異なるので以前のバージョンを持っている身としては、わざわざCDを買い直すには至らずZENOの未発表曲をコンプリートできずにいます…。

【音源紹介】
Dreaming The Night Away

ZENO「LISTEN TO THE LIGHT」(1998)

  • 2016/04/25(月) 00:00:00

LISTEN TO THE LIGHT
【No.468】
★★★(1998)

メロディックロック界の伝説的名盤との呼び声も高いデビュー作「ZENO」(1986)をリリース後に表舞台から姿を消したZENOが未発表音源集「ZENOLOGY」(1995)を経て完成させた2枚目のオリジナルアルバム。本作のタイトルと1stアルバムのジャケット(光る何かを耳にあてる少年)がリンクしますね。1989年以降、Zeno Roth(G)は第一線から身を引いていたようですがゼロ・コーポレーションから未発表の楽曲をアルバムにすること(後の「ZENOLOGY」)を提案されたことがきっかけで音楽に対するモチベーションを取り戻したそうなので、ゼロ・コーポレーションなくしてZENO復活はなかったかもしれません。ただしZENOが活動を再開したといっても前作に参加していたUle Ritgen(B)らはFAIR WARNINGでの活動があるため不参加、メンバーはMichael Flexig(Vo)のみでZenoがギター以外の楽器も演奏しドラムはプログラミングを使用しているため事実上2人によるプロジェクトとなっています。

オープニングの①Goddess Of Sunriseが僕の苦手なオリエンタルムードを前面に出した曲なので掴みは今ひとつですがドラマティックな②Love In Your Eyesで一気に盛り返します。サビは勿論、他のパートのメロディも細部まで丁寧に練り込まれていて「完璧主義者Zeno Rothの真髄ここにあり」という感じですね。そんな②と並ぶキラーチューンがZENOにしては珍しくメタリックな質感もある疾走曲④Meet Me At The Rainbowでしょう。粘り気のあるトーンで胸に迫ってくるギター、サビ手前でMichaelが「Do you remember?」と低音で歌うパートも聴きどころです。また⑥Follow The Windも上記2曲には及ばないものの並のアルバムならハイライトになりそうなハードロックだし、それらの間に配された③I Would Die For You、⑤Light Of The Morning、⑦Listen To The Lightといったバラードでも珠玉のメロディが味わえます。アルバム前半(特に②〜⑦)の充実振りは目を見張るものがありますね。

ただし後半に入ると荘厳な⑩Eden On Fire、ポジティブな空気に溢れた⑪Tomorrow Ariseなどの佳曲がある一方でインストが3曲もあって間延びしていたり、Jimi HendrixBob Dylanに捧げた60年代風のロック⑨Some Rocks Don't Roll(僕の苦手なタイプ)があったりしてテンションが下がってしまうのが難点。ボーナストラック⑭Walking On A Thin Lineの方がアルバムの音楽性に馴染んでいるので⑨と入れ替えてくれた方が嬉しかったですね。と言いつつもデビュー作や「ZENOLOGY」以上のお気に入り盤であることは間違いありません。ちなみに僕が持っているのは1998年にゼロ・コーポレーションから発売されたバージョンですが1998年リリースの輸入盤、2005年のリマスター再発盤も存在していて、それぞれの収録曲が異なるというファン泣かせの状態になっているようです。前者は⑭の後にWorld Of TomorrowTimeの2曲を追加、後者では⑭がカットされているかわりにWorld Of TomorrowとTommy Heart(Vo/FAIR WARNING)が歌うHow Can I Know、「ZENOLOGY」収録の超名曲TogetherのTommyバージョンを聴くことができます。YouTubeでこれらの未発表曲を聴いてみたところ、どれもZENOらしいナンバーだったので未発表音源集第2弾の「ZENOLOGY II」(2005)にまとめて欲しかったですね…(Timeは収録されていますが)。

【音源紹介】
Meet Me At The Rainbow

ZENO「ZENOLOGY」(1995)

  • 2016/04/10(日) 00:00:00

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【No.467】
★★(1995)

僕のミュージックライフにおける最重要バンドのひとつであるFAIR WARNINGと関係の深いZENOが1987年から1994年までにレコーディングした曲を収録した未発表音源集。ZENOは大手レコード会社EMIと契約金100万ドルという大型契約を締結、デビュー作「ZENO」(1986)発表後はBLACK SABBATHのサポートアクトを務めるなどしつつ2ndアルバム制作の準備に取りかかっていました。ところが1stアルバムの売り上げが期待していたほど伸びなかったことなどからEMIはバンドとの契約を解除、それがきっかけとなりMichael Flexig(Vo)が脱退してしまいます。バンドは後任として後にFAIR WARNINGのフロントマンとなるTommy Heart(Vo)を迎え、契約獲得を目指していたものの上手くいかず1989年には中心人物であるはずのZeno Roth(G)がバンドを離れてしまい事実上の解散状態に。そんな中、90年代に多くのメロディアス系HR/HMバンドを発掘した国内レーベル「ゼロ・コーポレーション」の発案でZENOの未発表曲をアルバム化することになり制作されたのが本作です。ちなみにZENOのオリジナルメンバーでもあるUle Ritgen(B)は本作に参加していたメンバーと共にFAIR WARNINGを結成することになります。

このアルバムにはZENOの2作目に収録予定だった曲だけでなく解散後に書かれたものも混在するため、録音時期はもちろん参加メンバーにもバラつきがあります。シンガーについては1stでも歌っていたMichaelが5曲、Tommyが3曲、そして何故かFAIR WARNINGのギタリストHelge Engelkeが3曲でリードボーカルを担当しています。前作で感じられた敷居の高さは薄まっているように思いますが、今回も僕のツボにハマることはなかったですね。そんな中で燦然と輝いているのがMichaelがエモーショナルに歌い上げるパワーバラード③Togetherです。デビュー作収録の3曲目Love Will Liveも超がつくほどの名曲でしたが、こちらも負けていません。これまでに聴いたメロディックロック曲の中でも5本の指に入るほど大好きな曲で、歌詞の内容も踏まえて自分の結婚式でも使った思い出深いナンバーです。なお、この曲のTommyバージョンが次作「LISTEN TO THE LIGHT」(1998)の2005年再発盤に追加収録されていたので聴き比べてみたところ声質的にはTommyの方が好きですが、この曲に関してはMichaelが歌う原曲の方がしっくりきますね。「原曲を大事にしたい」というZenoの思いからそのまま収録されたHelgeが歌った曲はMichael、Tommyという実力派2名に比べると聴き劣りしますが、僕が知る限りHelgeの歌が聴けるのは本作だけなので、そういう意味では貴重かもしれません。

③以外ではまるでサウンドトラックのように壮大で曲名も秀逸なインスト⑫Crystal Dreams②Is It Love、④Surviving The Night、⑧Out In The NightといったTommyが歌っている曲が気に入っています。FAIR WARNINGのデビュー作にも収録されていた①Heat Of Emotionは本作のMichaelバージョンよりTommyの力強い歌声の方が好きなので、彼が在籍するZENOも聴いてみたかったですね。3rd「RUNWAY TO THE GODS」(2006)制作時にTommyを迎えるという話もあったもののFAIR WARNINGが活動を再開していたため実現には至らなかったそうです…。僕にとって本作は③を聴くために時々CDラックから引っ張り出すという感じでしたが、ゼロ・コーポレーションが制作したバラード系オムニバス「美彩’d〜beside〜」(1995)にもTogetherが収録されているので、そちらを買ってからはこのアルバムを聴く機会はほとんどなくなってしまいましたね(苦笑)。

【音源紹介】
Together

ZENO「ZENO」(1986)

  • 2016/03/27(日) 00:00:00

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【No.466】
★★★(1995)

「ギター仙人」ことUli Jon Roth(G/ex-SCORPIONS)の実弟Zeno Roth(G)を中心としたメロディックロックバンドZENOの1stアルバム。正式メンバーはZenoのほかハイトーンが持ち味のMichael Flexig(Vo)、後にFAIR WARNINGを立ち上げるUle W.Ritgen(B)というトリオ編成で、それ以外はDon Airey(Key/RAINBOW)など複数のサポートメンバーを迎えています。本作はBURRN!誌を始め、多方面でメロディックロックの伝説的名盤とみなされているし、デビュー当時も新人バンドとしては破格の条件で大手レーベルEMIと契約を結ぶなど大きな話題となっていたようですね。

ZENOの音楽性はとにかくメロディアスな楽曲群を雄大なアレンジで聴かせつつ、オリエンタルな雰囲気も感じさせるというスタイルで時には神々しさすら漂っています。ただし結論から言うと、僕好みの要素を多分に含んでいるのは事実ながら本作にそれほどのめり込むことはありませんでした。ZENO特有の崇高なサウンドに敷居の高さを感じてしまうし、Michaelの天を突くようなハイトーンも凄みよりアクの強さの方が印象に残ってしまうため苦手だったりします。世間的な評価が非常に高いアルバムなので、その素晴らしさを理解しようとリピートしましたがFAIR WARNINGの音楽に魅了され後追いでZENOを知ったこともあって、どうしてもFAIR WARNINGに戻ってしまうんですよね(苦笑)。

というわけで本作に対してネガティブな点を先に書いてしまいましたが、このアルバムが全く肌に合わなかったかと言うと勿論そんなことはありません。中でもZENOらしい壮大なスケールで聴かせるバラード③Love Will Liveは掛け値なしの名曲です。正に聖歌と呼ぶに相応しいこの曲は、本作が発売される1年前の1985年に大ヒットしたWe Are The Worldのように世界中で歌われていても不思議ではないほどの普遍的な魅力を持っていると思います。それ以外ではポップフィーリングに溢れた②A Little More Love、FAIR WARNING風のギターメロディが飛び出す⑤Far Awayなどがお気に入りですね。ちなみに本作は2005年に未発表曲⑫Don't Count Me Outと「伝説のデモ」と呼ばれた本作収録曲の初期音源4曲を追加したリマスター盤が再発されています。僕はオリジナル盤を持っていたものの、手放してしまっていたのでリマスターバージョンを買い直しました。⑫は僕の好みから外れたタイプの曲だし、デモにはあまり関心がないのでボーナストラックにはそれほどありがたみを感じませんでしたが、音質は良くなっているので聴くなら再発盤の方がオススメですね。

【音源紹介】
Love Will Live

ちなみに上記は未発表音源集「ZENOLOGY」(1995)の2005年再発盤に追加収録されたエクステンデッド・バージョンで原曲は4分40秒ほどの長さです。

【CD購入録】TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」(2016)

  • 2016/01/31(日) 00:00:00

【CD購入録】
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TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」(2016)

2016年の新譜初買いは、誕生から15年を数えるTobias Sammet(Vo/EDGUY)主宰のメタルオペラ・プロジェクトTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAの7作目です。今回のゲストシンガー陣の主な顔ぶれはMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)、Jorn Lande(Vo/JORN、ALLEN-LANDE)、Ronnie Atkins(Vo/PRETTY MAIDS)、Bob Catley(Vo/MAGNUM)といった以前からのメンバーに加えDee Snider(Vo/TWISTED SISTER)、Geoff Tate(Vo/ex-Queensryche)、Marco Hietala(B、Vo/NIGHTWISH)らが初参加しています。前作「THE MYSTERY OF TIME」(2013)がAVANTASIAの作品としては今ひとつツボにはまらなかったし、EDGUYも僕の好みから徐々にずれてきているように感じていたので一抹の不安もありましたが今回はなかなか良さげですね。コンパクトかつキャッチーな歌モノから劇的な大作、ミステリアスなナンバー、メロディアスなバラードなどTobiasの多彩なソングライティング能力が遺憾なく発揮されているアルバムの中でもKiskeのハイトーンが冴え渡るタイトル曲⑤Ghostlightsがいいですね。この手のメロパワは大好物です。また僕が買った初回生産限定盤にはライブ音源11曲入りのボーナスCDが付いているので聴き応えがありますね。同時に買ったDREAM THEATER「THE ASTONISHING」をなかなか聴けずにいます(笑)。

HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

  • 2015/10/31(土) 00:00:00

MY GOD-GIVEN RIGHT
【No.451】
★★★★(2015)
年間ベスト2015年第7位

デビュー30周年を迎えたメロディックパワーメタルの始祖HELLOWEENの15thアルバム。80年代に現代メロパワの金字塔「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」をリリース、その後は迷走した時期があったもののAndi Deris(Vo/ex-PINK CREAM 69)を迎えた「MASTER OF THE RINGS」(1994)で復活。Andiの在籍期間は20年を超え、現在のラインナップになってからは10年間メンバーが固定されるなど、HELLOWEENはここに来て黄金期を迎えたと言いたくなるほどの安定感を誇っています。前作「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)がAndi期HELLOWEENの最高傑作と呼びたくなるほどの内容だったので今回も期待していました。Michael Weikath(G)は本作を「既発の曲が入っていないベストアルバムのようなもの」と表現しているようですが、いかにもHELLOWEENらしいポジティブでキャッチーなメロディに溢れた1枚となっていますね。

所属レーベルNUCLEAR BLASTの社長がいたくお気に入りでオープニングに推薦したという①Heroesこそ佳曲レベルながら、それ以降が実に強力。Weikath節が炸裂する典型的なHELLOWEENソング②Battle's Won、いかにもAndiらしい哀愁のメロディラインが秀逸なタイトル曲③My God-Given Rigthtと中心人物2人がそれぞれの持ち味を発揮しています。またPINK CREAM 69風味も感じさせるAndi曲の④Stay Crazy、コミカルかつ軽快に駆けていく⑤Lost In America、ロシアっぽい(?)リフと無骨でシンプルなサビが耳に残る⑥Russian Ruleと続くアルバム前半を聴いた時点では前作を超える名盤となる予感すらありました。ところが⑦The Swing Of A Fallen World、⑧Like Everybody Elseで失速。アルバム後半の見せ場となっているWeikath曲⑨Creatures In Heaven、サビメロが「GAMBLING WITH THE DEVIL」収録のFinal Fortuneソックリですが僕好みのメロディなので許せてしまう⑩If God Loves Rock 'N' Roll、ここ最近ソングライターとしての存在感が増してきているMarkus Grosskopf(B)作曲の⑪Living On The Edge辺りで盛り返すものの近作と比べると物足りなさが残りますね。

今のHELLOWEENの強みは優れたソングライターが4人もいる点だと思いますが、本作に関してはSascha Gerstner(G)による楽曲が今ひとつでしょうか。また国内盤の限定ボーナストラックを含めると全16曲、収録時間73分という尺の長さもダレを誘っているように思います。HELLOWEENの曲は1曲でも多く聴きたいと思い、限定ボーナスも入った初回盤を買っておきながら言うのも何ですが、もう少し曲数を絞ってくれた方が好印象でしたね。このバンドの場合、楽曲には一定のフォーマットがありメンバーもファンが期待するHELLOWEENらしい曲を提供することに徹していることもあってか、既発曲に似たメロディがチラホラ存在する点も気になります。というわけで注文をつけたくなる部分もありますが総合的に見れば、そんじょそこらの若手には到達できない高みにいることは間違いないし、僕好みのメロパワを量産してくれています。HELLOWEENは今後もこのジャンルのトップに君臨し続けるであろうことを予感させるには十分の充実盤だと思いますね。

【音源紹介】
Battle's Won

【CD購入録】DEVIL'S TRAIN「Ⅱ」(2015)

  • 2015/10/07(水) 00:00:00

【CD購入録】
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DEVIL'S TRAIN「Ⅱ」(2015)

ギリシャの正統派メタルバンドMYSTIC PROPHECYの主軸R.D.Liapakis(Vo)、Laki Ragazas(G)の両名とSTRATOVARIUSの元リズム隊Jari Kainulainen(B/MASTERPLAN)、Jorg Michael(Ds)が在籍する骨太ハードロックバンドDEVIL'S TRAINの2作目を買いました。今回も国内盤のリリースはなく日本での知名度は今ひとつですが、理屈抜きでカッコいいと思える楽曲が多数収録されています。本作ではSTEPPENWOLF⑨Born To Be WildLED ZEPPELIN⑬Immigrant Songというカバー2曲を収録。メインライターであるLiapakisとLakiのルーツはこういったバンドにあるんでしょうね。お気に入り曲は掴みとして申し分のないハードチューン①Down On You、Jorgのドラミングが気持ちいい③Gimme Love、ブルージーに始まり後半はアップテンポに変化する④Mr.Jonesといったところでしょうか。男らしいハードロックが並ぶ1枚ですがゴリ押し系ナンバーが続くため、静かなバラードを適度に挟んでくれると嬉しかった気もしますが、その辺りは今後に期待ですね。

【CD購入録】POWERWOLF「BLESSED & POSSESSED」(2015)

  • 2015/07/26(日) 00:00:00

【CD購入録】
Blessed Possessed
POWERWOLF「BLESSED & POSSESSED」(2015)

前作「PREACHERS OF THE NIGHT」(2013)がドイツナショナルチャートで1位を獲得するなど、本国では既に確固たる地位を築いているPOWERWOLFの日本デビュー盤(通算6枚目)を買いました。フロントマンであり、バンドのコンセプト面でも重要な役割を担うAttila Dornはオフィシャルサイト等ではルーマニア出身となっていましたがライナーノーツによると、それはあくまでバンド設定上の話でメンバーは全員ドイツ出身なのだとか(このことに触れてはならないそうです/苦笑)。中身の方はというと、そんな細かいことはどうでもよくなってしまうほどの出来ですね。先行で公開されていた③Army Of The Night、④Armata Strigoiを聴いて膨らんでいた期待にしっかり応えてくれる仕上がりとなっています。作品のクオリティとしては同日に発売されたSYMPHONY X「UNDERWORLD」が上だと思いますが、本作の方がわかりやすく僕好みのサウンドですね。なお本作にはJUDAS PRIESTIRON MAIDENといった大御所、CHROMING ROSEのようなマニアックなバンドのカバーソング10曲を収録したボーナスディスクが付いて、お値段据え置きの¥2,600(税別)とかなりお得。「PREACHERS OF THE NIGHT」の国内盤も同時リリースされたPOWERWOLFが日本でも快進撃を見せてくれるのか注目しています。

【CD購入録】POWERWOLF「BLOOD OF THE SAINTS」(2011)

  • 2015/06/07(日) 00:00:00

【CD購入録】
BLOOD OF THE SAINTS
POWERWOLF「BLOOD OF THE SAINTS」(2011)

デビュー当時からブレることなく自分達のメタル道を邁進するPOWERWOLFの4作目を買いました。今回は何と言ってもアルバム前半が強力。50秒足らずの序曲①Opening: Agnus Deiで幕を開けるや②Sanctified With Dynamite、③We Drink Your Blood、④Murder At Midnight、⑤All We Need Is Bloodまで勇壮でありながらもキャッチーなメロディを持ったメタルチューンが矢継ぎ早に飛び出してくるし、疾走感のある⑥Dead Boys Don't Cryもカッコいいです。特に②~⑤までは「ダァイ、ダァイ、ダァイナマァイ♪」「ウイ、ドリンキャ、ブラッ♪」「マダラ、ミッナァイ…ッァ♪」「オールウィ、ニィディズ、ブラッ!ブラッ!ブラッ♪」といった各曲のサビメロがインパクト抜群。後半になると若干テンションが下がり気味ながら客観的に見れば佳曲と呼べるものばかりです。こうして現時点でリリースされているPOWERWOLFの全アルバムをチェックしてみると高品質な作品ばかりなので、きっかけさえあれば日本でもブレイクできるのでは…と期待しています。

【CD購入録】POWERWOLF「BIBLE OF THE BEAST」(2009)

  • 2015/06/04(木) 00:00:00

【CD購入録】
BIBLE OF THE BEAST
POWERWOLF「BIBLE OF THE BEAST」(2009)

吸血鬼や狼男をテーマとした独特の世界観の中で小細工なしの正統派パワーメタルを展開するPOWERWOLFの3作目を買いました。初めて聴いた時には「過去作品に比べてメロディよりもパワー/勢い重視かな」と感じましたが、数回リピートしたら自然とサビを口ずさんでいたという安心印の1枚です。デビュー当時から一貫した音楽性でありながら、こうも優れたメロディがポンポンと出てくる点には感心せずにいられません。それに加えて今回は各曲のドラマ性がアップしていて、バンドとして更に成熟した印象もありますね。フロントマンにしてバンドのコンセプト、歌詞面の中核を担うAttila Dorn(Vo)は表現の幅を広げているだけでなく、歌詞の語尾を「ンナッ!」とか「…ツァ!」と伸ばす独特の歌い回しもいい意味でやり過ぎ感があってクセになります。楽曲単位でのお気に入りは④Panic In The Pentagramでしょうか。7月22日には最新作「BLESSED & POSSESSED」と5th「PREACHERS OF THE NIGHT」の国内盤がAVALONからリリースされるようなので楽しみです。

【CD購入録】HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

  • 2015/05/28(木) 00:00:00

【CD購入録】
MY GOD-GIVEN RIGHT
HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

2007年発表の12th「GAMBLING WITH THE DEVIL」以降、全てのオリジナルアルバムが僕にとっては名盤クラスという抜群の安定感を誇るHELLOWEENの15作目(初回限定盤)を買いました。前作「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)はバンドの全作品の中でも上位に来る出来だったので今回も期待していましたが、そのハードルをきっちりと越えてくる辺りは流石ですね。先行で公開されていた②Battle's Won、⑤Lost In Americaを含む冒頭6曲は特に強力。ただアルバムトータルとしては前作に分があるという気もしますね。また僕が買った初回限定盤には「STRAIGHT OUT OF HELL」同様にバンダナが特典として付いています。前回も使い道に迷いましたが結局は子供の弁当箱を包むのに丁度よかったので、今回も同じように使わせてもらおうと思っています。あと僕が買ったCDショップではバンドのマスコットであるカボチャと各メンバーがビックリマン風にデフォルメされたオマケステッカーが付いていました。HELLOWEENのファン層にはビックリマン世代が多いと見込んでのことなのかもしれませんが、僕はドンピシャでその世代なのでこういうオマケは面白いですね(笑)。

【CD購入録】POWERWOLF「LUPUS DEI」(2007)

  • 2015/03/23(月) 00:00:00

【CD購入録】
LUPUS DEI
POWERWOLF「LUPUS DEI」(2007)

バンドメンバーが吸血鬼に扮した姿が目を引くドイツ/ルーマニアの混成バンドPOWERWOLFの2作目を買いました。今回もどっしり腰を据えたメタルサウンドの上にAttila Dorn(Vo)によるHansi Kursh(Vo/BLIND GUARDIAN)似の力強い中低音ボイスが乗るというスタイルを貫いています。またサビになると曲名を繰り返す点もデビュー作と同じなので、金太郎飴状態となっている感は否めませんがわかりやすさと不思議な中毒性があるんですよね。ドラマティックな展開美が素晴らしい③Prayer In The Dark 、軽快に駆け抜けていくアップテンポ④Saturday Satan、パワフルなサビが聴き手を圧倒する⑤In Blood We Trustと続く流れは文句のつけようがないし、本作随一の疾走曲⑥Vampires Don't Dieもお見事。デビュー作に比べてオカルティックな雰囲気は若干薄くなり、パワーメタルの要素が強くなっているのが嬉しいですね。

【CD購入録】PRIMAL FEAR「DELIVERING THE BLACK」(2014)

  • 2015/02/23(月) 00:00:00

【CD購入録】
DELIVERING THE BLACK
PRIMAL FEAR「DELIVERING THE BLACK」(2014)

欧州メタルシーンを代表する正統派メタルバンドPRIMAL FEARの10作目を買いました。「カッコいいヘヴィメタル作品」の一言で済ましてしまいたくなるほど見事なメタルアルバムですね。結成当初はMat Sinner(B/SINNER)が元GAMMA RAYのハイトーンシンガーRalf Scheepersと組んだという点に注目が集まっていましたが今ではAlex Beyrodt(G/SILENT FORCE etc)、Magnus Karlsson(G/FREE FALL、ex-LAST TRIBE etc)というバンドのメインソングライターを務められるほどの逸材が2人も加入し、ちょっとしたスーパーバンドとなっています(ドラマーのRandy Blackも実にパワフル)。②Rebel Faction、⑧Never Pray For Justice、⑪Inseminoid辺りは即効性の高いメタルチューンだし、このバンドはミドルテンポの曲も間延びすることなくカッコいいのが強みですね。9分に及ぶドラマティック長編⑦One Night In December、バラード⑨Born With A Broken Heartもいいアクセントになっています。メロディック・パワーメタルを好んで聴く僕としてはキャッチーなメロディがもう少し欲しい気もしますが、ここまで質の高いヘヴィメタルを並べられるとぐうの音も出ませんね。

HARTMANN「OUT IN THE COLD」(2005)

  • 2014/12/06(土) 00:00:00

OUT IN THE COLD
【No.414】
★★★(2006)

ネオクラシカル・メタルバンドAT VANCEの実力派シンガーとして名を馳せたOliver Hartmannがバンド脱退後に結成した自身のプロジェクトHARTMANN名義で放つ1stアルバム。AT VANCEがYNGWIE MALMSTEEN直系のサウンドだったのに対して、本作は肩の力を抜いたメロディアスハード路線となっています(Tシャツにジーンズ姿のOliverが写ったブックレットも新鮮)。「より広い音楽性に挑戦したい」という思いでOliverはバンドを離れたそうですが、AT VANCE時代はOlaf Lenk(G)が創作面のほぼ全てを担っていたため彼の作曲能力は未知数で一抹の不安もありました。ところが本作にはそんな心配を一蹴するだけの楽曲が並んでいます。

ボーカリストによるプロジェクトということもあり、各曲の中心に据えられているのは「歌」。それでいて楽曲はミドルテンポ、バラードが大半を占めるためAT VANCEの要素を求めると肩透かしをくらいますが、ひとつの作品として聴くと十分楽しめる1枚となっていますね。本作の中では珍しいアップテンポ⑥What If I、⑩Listen To Your Heartは出色の出来だし、アルバム随一のヘヴィチューン④The Same Againもカッコいい。バラードに関しても優しく爽やかなメロディが心地よい⑤I Will Carry On、曲名の通り眩い光に向けて歩むOliverの姿が目に浮かぶ壮大な⑫Into The Light辺りが印象に残りました。そして一際素晴らしいのが哀感を爆発させたパワーバラード③Brazenですね。この曲は丸坊主の女性シンガーSkin擁するヘヴィロックバンドSKUNK ANANSIEのカバーで選曲の妙もさることながら、ファルセットを交えたボーカルパフォーマンスが圧巻でハイライトとなっています。

そんな③に象徴されるように本作をワンランク上に押し上げているのがOliverの歌唱力。David Coverdale(Vo/WHITESNAKE)のような深みとEric Martin(Vo/MR.BIG)ばりのソウルフルな響きを併せ持つ彼のボーカルは絶品です。音楽性の関係もあってAT VANCE時代と比べると声を張り上げて歌う場面は激減、HARTMANNではマイルドかつ表情豊かなアプローチとなっていてシンガーとしての力量はこちらの方が活かせているような気もします。AT VANCEから脱退してしまったのは残念ですがHR/HMというジャンルにOliverを止めておくべきではないのかもしれませんね。個人的にはHARTMANNと並行して、どこかのメタルバンドのパーマネントメンバーとして活動して欲しいというのが正直なところですが…。

【音源紹介】
・What If I

AT VANCE「ONLY HUMAN」(2002)

  • 2014/11/24(月) 00:00:00

ONLU HUMAN
【No.413】
★★★★(2003)

1999年にデビューして以降、新鮮味には欠けるものの高品質なネオクラシカルアルバムを毎年リリースし続けるAT VANCEの4作目。2nd「HEART OF STEEL」(2000)が素晴らしかったため期待に胸を膨らませて聴いた前作「DRAGONCHASER」(2001)は曲単体としては光るものがあるけれど、1枚のアルバムとしては物足りなさが残る内容でした。そんな3rdの印象が尾を引き、本作を聴いたのはリリースから1年以上経ってからだったのですが今回は最高傑作との呼び声が高いのも頷ける起死回生の作品となっていますね。何と言っても楽曲の充実度が過去最高クラスで疾走曲からミドル、バラード、インストなどバラエティに富んでいるだけでなくバンドの代表曲と呼べそうなナンバーも収録されています。

ダークな雰囲気を纏いながら疾走するAT VANCEの王道①The Time Has Come、バンド屈指の名曲として語り継がれるであろう②Only Human、歌メロが耳に残るミッドテンポ③Take My Pain、渋い低音で歌っていたサビを終盤では伸びやかなハイトーンで歌い上げるOliver Hartmann(Vo)の歌唱力に魅了される④Fly To The Rainbowと続く流れがまず素晴らしい。アルバム中盤は曲数をもう少し絞っても良かったかなという気はするものの、アンセミックなコーラスをフィーチュアした⑩Sing This Song、妖しい笑い声が不気味さを醸し出す一方でメロディ自体は明るい⑪Witches Dance、物悲しく重厚なバラード⑫Wings To Fly、原曲を忠実に再現しつつオリジナルにないエンディング部分ではOlaf Lenk(G)が独自色を出して弾きまくるRAINBOWのカバー⑬I Surrenderなど後半にも強力なナンバーが並んでいるので聴き終えた時の満足感は高いですね。日本盤ボーナス⑭Heroes Of Honorも前作収録のAges Of Gloryに通じるハイテンションなジャーマンメタルで本編に入らなかったのが不思議なほどです。前作では8分に及ぶクラシックカバーBeethoven, 5th Symphonyを4曲目に配したことがアルバムの勢いを削いでいたのに対して、今回は⑥Four Seasons/Spring、⑨Solfeggietto共に3分以内とコンパクトにまとめられているため良いアクセントとなっているのも好印象。

そんな楽曲面のみならずB級臭さを発散していた音質、ジャケット(特に前作は酷かった/苦笑)についてもミキシングをSascha Paethが担当、アルバムカバーにはLuis Royoのイラストを用いるなどしてグレードアップしています。バンドとしての成長を見せつけてくれた本作を聴いて、AT VANCEが中堅ポジションから飛躍することを期待していたのですがバンドの顔でもあるOliverが本作を最後に脱退。2nd以降は不動だった演奏陣も離脱が相次ぎAT VANCEはOlafのソロプロジェクト色を強めていくことになります。一方Oliverは自身のバンドHARTMANNを立ち上げメロハー寄りの作品(特に1st「OUT IN THE COLD」がお気に入りです)をリリースしたり、AVANTASIAを始めとするプロジェクトにゲスト参加したりしていますがメタルから距離を置くようになってしまったのが残念。彼をシンガーに迎えたいと考えるバンドは少なくないと思うんですけどね(Oliverがその手のサウンドに興味を持たなくなったのかもしれませんが)。

【音源紹介】
・Only Human

AT VANCE「DRAGONCHASER」(2001)

  • 2014/11/12(水) 00:00:00

DRAGONCGASER_20140908213432d60.png
【No.412】
★★(2001)

1999年に「NO ESCAPE」で彗星の如くデビュー、僅か5ヶ月後に2nd「HEART OF STEEL」(2000)をリリースしたドイツ産ネオクラシカルメタルバンドAT VANCEによる3rdアルバム。前作から1年も経たずに発表された本作はドイツの国民的英雄叙事詩「ニーベルンゲンの歌」を題材としたコンセプトアルバムとなっています。前作と同じラインナップで制作された今回のアルバムではOlaf Lenk(G)、Oliver Hartmann(Vo)だけでなくUli Muller(Key)も存在感を発揮しており、バンドらしさが強まってきていますね。

「HEART OF STEEL」が近年稀に見るネオクラメタルの名盤だったので今回も期待していたのですが、鐘の音と轟く雷鳴のSEを切り裂くように流れ込んでくるギターで幕を開けるネオクラチューン①Dragonchaser、AT VANCE史上最速を誇るクサメロ疾走曲②Ages Of Glory、いかにもこのバンドらしい佳曲③Crucifiedと続く冒頭3曲は「2ndをも上回るのではないか」と思わせるだけの勢いがありますね。ところがアルバム中盤でその勢いは失速してしまいます。その大きな要因となっているのがベートーベンの超有名曲「運命」をカバーした④Beethoven, 5th Symphony。これまでにもクラシック曲をカバーしてきたAT VANCEなので流石の出来ではあるのですが、この位置に8分に及ぶクラシックカバーを配したことで中弛みしてしまっているんですよね。しかもそれに続く⑤Heaven Can Waitもダークな曲調なのでアルバム序盤のいい流れが寸断されているように思います。その後は3作連続となるABBAのカバーの中でも最高の仕上がりとなった⑥The Winner Takes It All(オリジナル以上に好きです)、ストーリーの関係もあってか暗く悲しい雰囲気が支配的なバラード⑦My Bleeding Heart、②に匹敵するほどの高揚感をもたらしてくれるスピードチューン⑨Too Lateもあって結構楽しめるのですがアルバム全体の印象としてはもどかしさが残ります。

リアルタイムで本作を聴いていた時は中盤にダレるというイメージが強くて好きになれず、次回作「ONLY HUMAN」(2002)の購入をためらってしまうほどでした。ところがこのブログ記事を書くために本作をリピートしていると、そんなマイナス面だけでなく①、②、⑨といったキラーチューン候補やAT VANCEによるカバー曲の最高峰⑥の素晴らしさを再発見できたと思います。こうして考えてみると「本作のキーはやはり④」というところに戻ってしまうんですよね。この曲が2~3分の長さだったり、もう少し緩急をつけたアレンジとなっていればアルバムの印象もグッと良くなったと思うのですが…。というわけで個々の楽曲を取り出して聴くとAT VANCEでも屈指の名曲があるものの、アルバムの流れが良くないため損をしている1枚と言えそうですね。

【音源紹介】
・Ages Of Glory