【CD購入録】LINGUA MORTIS ORCHESTRA feat. RAGE「LMO」(2013)

  • 2018/06/19(火) 00:00:00

【CD購入録】
LMO.jpg
LINGUA MORTIS ORCHESTRA feat. RAGE「LMO」(2013)

ドイツが誇るベテランパワーメタルバンドRAGEのメンバーが2013年に立ち上げたプロジェクトLINGUA MORTIS ORCHESTRAの第1作目を買いました。Peter "Peavy" Wagner(Vo、B)、Victor Smolski(G)、Andre Hilgers(Ds)の編成で制作されたフルアルバム「21」(2012)リリース後に「ヘヴィなものはRAGE、メロディックなものはLINGUA MORTIS ORCHESTRA名義で発表する」ことがアナウンスされ違和感を覚えましたがPeavy、Victor、Andreのラインナップは2015年に崩壊…。今にして思えば、この頃からバンドの歯車は狂い始めていたのかもしれませんね。ちなみにプロジェクト名はRAGEが既発曲をオーケストラと共演して再構築した企画盤「LINGUA MORTIS」(1996)に由来していて、Victorが中心となりオーケストラとの共演を視野に入れて書き下ろした楽曲にPeavyが歌詞を乗せる形式を基本としています。2名の女性シンガーとHenning Basse(Vo/ex-METALIUM)もメンバーとして名を連ねてはいるもののメインで歌っているのはあくまでもPeavyなので、どうしてもRAGEっぽさが残りますね。RAGEファンは勿論、メロディックメタルファンなら一定レベル以上の満足感は保証されていると思うし、必要以上にオーケストラ寄りになることなくHR/HM作品として聴き応えはあるものの飛び抜けたナンバーはないかな、というのが正直な感想です。

KISSIN' DYNAMITE「GENERATION GOODBYE」(2016)

  • 2018/05/31(木) 00:00:00

GENERATION GOODBYE
【No.516】
★★★★(2016)
年間ベスト2016年第10位

2008年に「STEEL OF SWABIA」でデビュー、高校時代からの付き合いだという不動のメンバー5人で2年毎にフルアルバムを発表し順調な活動を続けるKISSIN' DYNAMITEの5作目。僕が初めて彼らの音に触れた2nd「ADDICTED TO METAL」(2010)の頃はバッドボーイズロックにも通じるヤンチャなHR/HMという印象でしたが、前作「MEGALOMANIA」(2014)ではシリアスで落ち着いた雰囲気を放つようになっていました。今回はKISSIN' DYNAMITEが過去作品で見せていた異なる表情を総合的に盛り込んで再構築したような仕上がりになっていますね。オープニングとしては若干弱い気もしますがドッシリと聴かせるスタイルが前作に近い①Generation Goodbye、ハジけたサウンドが理屈抜きでカッコいい②Hashtag Your Life、色気を感じさせるHannes Braun(Vo)の歌声が見事なパワーバラード③If Clocks Were Running Backwardsを聴いた時点で本作も愛聴盤となることを確信しました。

バンドの大きな武器であるメロディセンスは今回も冴え渡っていて曲名がサビになっている⑤She Came She Saw、⑥Highlight Zoneなどはつい口ずさんでしまうし、「カモン カモン カモォン♪」のコーラスが耳から離れない⑧Flying Coloursも中毒性が高いですね。それ以外にも明るく駆け抜ける④Somebody To Hate、ノリのよさがバンド初期を彷彿とさせる⑨Under Friendly Fire、バラードも③を筆頭に女性シンガーJennifer Haben(BEYOND THE BLACK)とデュエットした⑦Masterpiece、本編ラストを壮大に締めてくれる⑪Utopiaなど充実しているし、日本盤ボーナスの⑫All Are Equalも本編と比べて遜色ありません。なお本作はバンドにとって初のセルフプロデュース作品となっていて着実にバンドとしての自力をつけてきていることが窺えます。

そんなKISSIN' DYNAMITEを引っ張っているのがフロントマンでもあるHannes Braun。作品を重ねるに連れてボーカリストとして成長しているし、ドイツのアイドル発掘番組で準優勝した経歴を持つだけあってルックスにも華がありますね。それに加えて本作では作曲の大半に関わり、プロデュースやミキシングも手掛けているので、もはや彼なくしてKISSIN' DYNAMITEは成り立たないと言えるほどの貢献度です。Hannesがソロ活動を始めてバンドが空中分解…という流れにならないことを祈るばかりですね。アルバム全体で見るとデビュー当初にあった「ハジけんばかりの若さとエネルギー」が減退したかわりに、円熟味を増したサウンドが聴き応え抜群。この手のバンドはお気に入りになることはあっても複数のアルバムを聴くうちに、飽きてくることも少なくないのですがKISSIN' DYNAMITEは新作が出ると常にチェックしたくなるバンドなので7月4日リリース予定の6th「ECSTASY」も気になりますね。

【音源紹介】
If Clocks Were Running Backwards

KISSIN' DYNAMITE「MEGALOMANIA」(2014)

  • 2018/05/23(水) 00:00:00

MEGALOMANIA.jpg
【No.515】
★★★★(2014)
年間ベスト2014年ノミネート作品

前作「MONEY, SEX AND POWER」(2012)リリース後にMELODIC METAL CIRCLEというイベントでオーストラリアの新鋭MYSTERY、母国ドイツの先輩AT VANCE、JADED HEARTと共に初来日を果たしたKISSIN’ DYNAMITEの4thアルバム。作品によってメタリックだったり、アリーナロック寄りだったりと色合いが若干異なる彼等ですが、今回はデジタリーな装飾を増したダークなヘヴィロックスタイルに変化、ジャケットもこれまでになくシンプルなものになっています。そんな新しい要素を盛り込みつつ、いかにもドイツらしい実直なヘヴィメタルという軸は一切ブレないので安心して聴けますね。これだけの安定感を誇っていながら、メンバー全員がまだ20代前半だとは信じられません。

これまではメンバーとバンドが所属するドイツの大手Elephant Musicのプロデューサーが中心となって制作していたのに対し、今回は外部からのインプットが多くなっているのが特徴でしょうか。ますば全12曲中5曲でメロディックメタル界屈指のプロデューサーでKAMELOT、RHAPSODY(OF FIRE)などを手掛けてきたSascha Paethがプロデュースしているというのが意外でした。実際、彼が関わった楽曲についてはSaschaらしさを感じさせてくれていて、これまでの作品にはなかったオリエンタルな雰囲気漂うボーナストラック⑪Golden Cageの冒頭部分はKAMELOTっぽく感じられるほど。それに加えて大物ソングライターDesmond Childによる⑤Deadlyが収録されているのも大きいですね。バンドが作曲を依頼したのではなくDesmond側から接触があったそうで、これもKISSIN' DYNAMITEの非凡な才能あってのエピソードと言えそうですね。ちなみにその⑤は2分台とコンパクトな曲ながら絶妙な哀感と突き抜けたメロディがクセになるDesmondらしい1曲となっています。

外部からの助けを借りつつ仕上げられた本作ですが、あくまで根底に流れるのはKISSIN' DYNAMITE流HR/HMです。その味付けとして本作で顕著なデジロック風のアレンジは冒頭の①DNAでいきなり登場していて「テーテケ テーテケ…」という電子音が耳に残るし、⑧Legion Of The Legendaryもその要素が強いナンバーです。その一方で③V.I.P. In Hellのように攻撃的に迫るメタリックチューンやメロパワっぽさも感じさせるSaschaプロデュース曲⑥God In You、⑫In The Eye Of The Shitstorm(後者は日本盤限定ボーナス)も聴かせてくれたり、ポジティブで爽快感のある⑦Running Free、本編を締めくくるアメリカンな⑩Ticket To Paradiseなど佳曲揃い。過去作品よりも派手さが控えめでシリアスな作風のため即効性は低いものの、リピートしているうちに引き込まれてしまう1枚ですね。

【音源紹介】
DNA

KISSIN' DYNAMITE「MONEY, SEX AND POWER」(2012)

  • 2018/05/15(火) 00:00:00

MONEY SEX AND POWER
【No.514】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

Udo Dirkschneider(Vo/U.D.O、ex-ACCEPT)にその実力を認められ、Udoがゲスト参加した2nd「ADDICTED TO METAL」(2010)で日本デビューを果たしたドイツの新星KISSIN' DYNAMITEの3作目。前作はアルバムタイトルにある通り、メタルの要素を前面に出していたのに対して今回はキャッチーさを増したアリーナロック風のサウンドになっていますね。メンバーによると過去2作品では自分探しをしていた状態らしく、本作で「SLEAZEMETAL(下品なメタル)」というスタイルを見つけたとのことです。たしかにタイトル曲の①Money, Sex & Powerからして「金、セックス、そして力をもっとくれ!」という歌詞なので、そのコンセプトを1曲目でいきなり体現していますね。ちなみにこの曲で女性が歌う「ブンガブンガ〜」がやたら印象に残ったので調べてみたところ、イタリアの首相シルビオ・ベルルスコーニが在任時に開催していてスキャンダルになったハーレムパーティー「ブンガブンガ」のことで、それを題材にした1曲のようです。メンバーのルックスやアルバムの世界観から破天荒でチャラいイメージが先行しますが、実際に聴いているとお堅い印象が残るのはドイツのバンドだからでしょうか。

本作の力強さを象徴するかのような①に続く②I Will Be Kingは「ア〜ィルビ、キィン♪」のキャッチーなサビが耳を捉えるロックソングで、アルバム冒頭の掴みとして申し分なし。この②や⑦She's A Killerの「シィザ、キラ、キラ、キラァ♪」、⑧Sleaze Deluxeの「ウィア、ウィア、ウィア〜♪」など、つい口ずさみたくなるメロディが増量されているのが本作の特徴ですね。漢らしいコーラスが曲を盛り上げる④Sex Is War、流麗なメロディが気持ちいい⑤Club 27も気に入っているし、ブルージーなアコースティックソング⑩Six Feet Underのような新しいタイプの曲が聴けるのも好印象。個々の楽曲のインパクトとしては1st「STEEL OF SWABIA」(2008)のタイトル曲や前作のSupersonic Killerに匹敵するキラーチューンこそないものの、アルバムとして見れば佳曲良曲が次から次へと繰り出される充実盤だと思います。

バンドがデビュー作からコンスタントに優れた楽曲群を生み出し続けることができている秘訣としてはメンバーに加えて、プロデューサーでもあるHartmut Krech、Mark Nissenというソングライターの存在が大きいようですね。クレジットを見ても彼等は作曲面に深く関わっているようなので、もはやこの2人も含めてKISSIN' DYNAMITEとみなした方がいいのかもしれません。勿論ツインギターパートやHannes Braun(Vo)のエネルギッシュなボーカルもバンドの大きな武器だし、本作が20歳を迎えて初めての作品となるHannesは従来のハイトーンだけでなく、色気漂う低音域も披露していてシンガーとしての成長が感じられますね。メンバーの若さとは裏腹に安定感抜群のアルバムを届け続けてくれるKISSIN' DYNAMITEの将来に更なる期待を寄せたくなる1枚です。

【音源紹介】
Money, Sex & Power

【CD購入録】KREATOR「GODS OF VIOLENCE」(2017)

  • 2018/04/01(日) 00:00:00

【CD購入録】
GODS OF VIOLENCE
KREATOR「GODS OF VIOLENCE」(2017)

ドイツが誇るスラッシュメタルの重鎮KREATORの14作目を買いました。スラッシュメタルをあまり聴かない僕にとってKREATORといえばEDGUYの名盤「HELLFIRE CLUB」(2004)のオープニング曲Mysteriaにゲスト参加していたMille Petrozza(Vo、G)が創設したバンド、程度のことしか知りませんでした(彼等のアルバムで聴いたことがあるのは2005年リリースの「ENEMY OF GOD」のみ)。本作に関しても多くのHR/HMサイトで2017年のベストアルバムに挙げられていることがきっかけで聴いてみたのですが、これは強烈ですね。怒涛のアグレッションと共に突進する②World War Now、④Totalitarian Terror、⑤Gods Of Violenceなどは理屈抜きのカッコよさを誇っていてガツンとやられたし、この手のバンドでは退屈になりがちなミドルテンポの曲もキャッチーとさえ呼べそうなメロディを持っていて③Satan Is Real、⑨Fallen Brother、⑩Side By Sideなどはサビを一緒に歌いたくなるほどです。15年以上の長きに渡りギタリストとしてKREATORに在籍しているSami Yli-Sirnio(BARREN EARTH、WALTARI)のプレイも素晴らしく、邪悪なサウンドの中で光るメロディアスな要素を担う上で大きな役割を果たしています。ここ最近のKREATORはメロディを重視しているそうなので他のアルバムも聴いてみたいですね。

【CD購入録】BONFIRE「BYTE THE BULLET」(2017)

  • 2018/03/12(月) 00:00:00

【CD購入録】
BYTE THE BULLET
BONFIRE「BYTE THE BULLET」(2017)

ドイツが誇る正統派ハードロックバンドBONFIREのニューアルバム(おそらく14作目)を買いました。2016年には結成30周年を記念したリメイクベスト「PEARLS」を発表するほどのベテランなので、以前から名前は知っていましたがCDを買うのは今回が初めてです。中心人物のHans Ziller(G)以外はメンバーの入れ替わりが少なくないようでシンガーは前任のDavid Reece(Vo/ex-ACCEPT)からAlexx Stahl(Vo)なる人物に交代しています。メロディアスハード系のイメージを持ちながら本作を聴いてみると①Power TrainJUDAS PRIESTThe Hellion〜Electric Eyeを彷彿とさせるドラマティックなメタルチューンで意表を突かれました。その後をドッシリした曲調から徐々に疾走感を増していく②Stand Up 4 Rock、シンガロングを誘うキャッチーなサビが秀逸な③Praying 4 A Miracleの2曲が受け継ぎアルバムの掴みはバッチリです。それ以降も⑤Lonely Nights、⑬Without Youといったバラード、伸びやかなメロディが心地よい⑧Reach For The Sky、勢いたっぷりのスピードチューン⑫Too Far From Heavenなど充実の楽曲群が並びます。曲名通りの邪悪さを醸し出す④Some Kinda Evil、クラシックの有名曲をメドレーで聴かせるインスト⑪InstruMetalなどもいいアクセントになっていますね(ちなみに⑦Locomotive BreathJETHRO TALLのカバー)。僕好みの楽曲が多いなと思っていたらFredrik Bergh(Key/STREET TALK)がソングライティングに関わった曲があったり、バックボーカルにメロハー職人Alessandro Del Vecchio(Key)が参加したりしているようで納得。本作を聴いてBONFIREの他のアルバムもチェックしてみたいと思いました。ちなみに彼等は今年の4月13日に「TEMPLE OF LIES」というニューアルバムを発表するようです。

【CD購入録】HELLOWEEN「PUMPKINS UNITED」(2017)

  • 2017/10/31(火) 00:00:00

【CD購入録】
PUMPKINS UNITED
HELLOWEEN「PUMPKINS UNITED」(2017)

Kai Hansen(G、Vo)Michael Kiske(Vo)が電撃復帰し、7人体制で敢行するPUMPKINS UNITED WORLD TOURで来年3月に来日予定のHELLOWEENが現ラインナップで緊急リリースしたデジタルシングル、その名もPumpkins Unitedを買いました。作詞作曲はKai、Andi Deris(Vo)、Michael Weikath(G)の3人、ボーカルはKai、Kiske、Andiという歴代シンガーが共演しています。曲調はキーパー時代を彷彿とさせる親しみやすいメロディを持ったパワーメタルで現メンバーによるスタジオ盤への期待が高まる1曲となっていますね。また歌詞には「riding the sky」、「eagle」、「we burn」、「wake up the mountain」、「walls in Jericho」などファンならニヤリとしてしまう単語が散りばめられている点も見逃せません。HELLOWEENは僕がHR/HMにハマるきっかけとなったバンドのひとつですが1995年当時はKaiとKiskeは既にバンドを離れていて、彼等がHELLOWEENに復帰するのは夢のまた夢という感じだったので今回の新曲リリースは感慨深いですね。D.C. Cooper(Vo)ROYAL HUNT復帰に続いて、不可能だと思っていたラインナップの復活がただただ嬉しくてヘビロテしています。ちなみにこの曲は11月1日発売予定の3CD+1DVD仕様のベストアルバム「SWEET SEDUCTIONS」には収録されないようです。

【CD購入録】KEE OF HEARTS「KEE OF HEARTS」(2017)

  • 2017/10/26(木) 00:00:00

【CD購入録】
KEE OF HEARTS
KEE OF HEARTS「KEE OF HEARTS」(2017)

FRONTIERS RECORDSの発案で誕生したKee Marcello(G/ex-EUROPE)Tommy Heart(Vo/FAIR WARNING、SOUL DOCTOR)を中心としたプロジェクトKEE OF HEARTSの1stアルバムを買いました。プロジェクト名のとおり中核をなすのはKeeとTommyの2人ですが作曲には関わっておらず、近年のFRONTIERS関連アルバムでよく目にするAlessandro Del Vecchio(Key)がメインコンポーザー兼プロデューサーを務めています。ここ最近(厳密に言えば2006年リリースの「BROTHER'S KEEPER」以降)のFAIR WARNINGにさほど満足できていないこと、FRONTIERSの作品は高品質ながら突き抜けたアルバムが少ないイメージがあったので様子見していましたが公開されている音源が好印象だったので購入。「今のFAIR WARNING以上に僕好みの曲が目白押し」というのが率直な感想ですね。本家の近作に漂っていたモヤモヤ感とは無縁のメロディアスでキャッチーなハードロックが次から次へと登場します。公開されているオフィシャル音源が①The Storm〜④Bridge To Heavenに集中していますが、それ以降もテンションが下がることなく楽しめました。贅沢を言えばKEE OF HEARTSの代名詞と呼べるようなキラーチューンが欲しいところですが、メロディックロックファンならば聴いて損はない1枚だと思います。

【CD購入録】PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017)

  • 2017/08/13(日) 00:00:00

【CD購入録】
CLOSE TO THE SUN
PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017)

Michael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)がメロディックロックを歌うプロジェクトPLACE VENDOMEの4作目を買いました。2005年の結成当初はAVANTASIAへのゲスト参加はあったもののHELLOWEEN脱退後にHR/HMから距離を置いていたMichael Kiskeが久々にアルバム1枚を通して歌うハードロックプロジェクトとして注目を集めていましたが、今やFRONTIERS RECORDSお抱えのライターが提供する楽曲群をKiskeが歌うためのプロジェクトという感じですね。本作もAlessandro Del Vecchio(Key)、Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR、ex-LAST TRIBE)といったおなじみのソングライターからJani Liimatainen(G/CAIN'S OFFERING、ex-SONATA ARCTICA)、Simone Mularoni(G/DGM)といった新顔も含めた作曲陣に加えてギターソロではGus G.(FIREWIND)、Kai Hansen(GAMMA RAY、ex-HELLOWEEN)らが名を連ねる豪華なラインナップです。中身の方も期待を裏切らない上質のメロディックロック作品となっていて、過去のアルバムに比べるとややメタリックになっているように思います。これ!という決め手こそないもののFRONTIERS RECORDS作品だけあって手堅い仕上がりですね。現時点でのお気に入りはJani作の②Welcome To The Edgeでしょうか。余談ですが、PLACE VENDOMEがなければKiskeとKaiが在籍するバンドUNISONICの誕生や、彼等2人がHELLOWEENのツアーに帯同するPUMPKINS UNITEDツアーも実現しなかった可能性もあるのでPLACE VENDOMEは色んな意味で重要なプロジェクトだと感じる今日この頃です。

【CD購入録】KISKE/SOMERVILLE「CITY OF HEROES」(2015)

  • 2017/03/14(火) 00:00:00

【CD購入録】
CITY OF HEROES
KISKE/SOMERVILLE「CITY OF HEROES」(2015)

PLACE VENDOME、UNISONICなどでも精力的に活動するMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)と、様々なメタルバンドへのゲスト参加を経てSascha PaethプロデュースのTRILLIUM名義で2011年にアルバムを発表した女性シンガーAmanda SomervilleによるデュエットプロジェクトKISKE/SOMERVILLEの2作目を買いました。本作のソングライティング面の中核を担うのはMat Sinner(B)、Magnus Karlsson(G)PRIMAL FEAR組で⑥Breaking NeptuneのみSander Gommans(G/ex-AFTER FOREVER)とAmandaの共作となっています。全体的な印象としてはPLACE VENDOMEよりもメタル寄りで、曲によってはゴシックメタル風のアレンジも垣間見えます。いかにもオープニングという感じの勢いがある①City Of Heroes、ジャーマンメタル系の明るいメロディを持った⑧Open Your Eyes、ポップフィーリングに溢れる⑫Right Nowなどがお気に入りです。それにしても、ここ最近のMichaelはかなりのハイペースで作品を発表していますね。特に2009年〜2017年の間にはKISKE/SOMERVILLE、PLACE VENDOME、UNISONICでフルアルバムを7枚もリリースしているし、それに加えてAVANTASIAなど多数のプロジェクトにゲスト参加しているため彼が歌う新曲が毎年発表されているのではないでしょうか。Michaelの大ファンの僕としては嬉しい反面、供給過多に感じて有り難みが薄れてしまっている、というのが正直なところです。贅沢な話だというのはわかっているのですが…(苦笑)。

【CD購入録】PLACE VENDOME「THUNDER IN THE DISTANCE」(2013)

  • 2017/03/11(土) 00:00:00

【CD購入録】
THUNDER IN THE DISTANCE
PLACE VENDOME「THUNDER IN THE DISTANCE」(2013)

今年の2月に最新作4th「CLOSE TO THE SUN」をリリースしたPLACE VENDOMEの3作目を買いました。もともとFRONTIERS RECORDSの社長Serafino Pergino発案の「Michael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)が歌うAORプロジェクト」というアイデアから誕生したこともあって今回もレーベル所縁のソングライター達による良質の楽曲群をMichaelが朗々と歌い上げています。作曲の中核を担っているのはLIONVILLEなどで活動するAlessandro Del Vecchio(Key)で収録曲の約半数を手がけているほか、Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR etc、ex-LAST TRIBE)、Timo Tolkki(G/ex-STRATOVARIUS etc)といった著名ライターも1曲ずつを提供しています。作品を重ねる度に音楽性がソフトになっきているのはMichaelが歌う「バンド」UNISONICとの差別化を図るためでしょうか。心地よく聴ける作品なのは間違いないし、王道的バラード⑤It Can’t Rain Forever、軽快なアップテンポ⑧Never Too Late(UNISONICに同名異曲が、PLACE VENDOMEの1stにはToo Lateという曲が収録されていましたね)、Magnus Karlssonらしいメロディが楽しめる⑪Break Out辺りは好きな曲ですが全体的にもう少しパンチが欲しいような気もしますね。といいつつ、気がつけばリピートしている1枚です。

【CD購入録】RAGE「THE DEVIL STRIKES AGAIN」(2016)

  • 2016/08/27(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE DEVIL STRIKES AGAIN
RAGE「THE DEVIL STRIKES AGAIN」(2016)

15年以上バンドに在籍していた看板ギタリストVictor Smolskiと袂を分かった新生RAGEの第1弾アルバムにして通算22作目(ボーナスディスクとEP「MY WAY」付きの3枚組仕様)を買いました。VictorはリーダーのPeter "Peavy" Wagner(Vo、B)と並ぶRAGEの顔となっていたし、このバンドを聴くようになったのが「UNITY」(2002)からだったので今回の脱退劇はショックでした。しかも、ただの脱退ではなく人間関係が悪化したためPeavyがVictorとAndre Hilgers(Ds/SILENT FORCE)を解雇したらしくファンとしては悲しいですね…。そんな名うてのプレイヤー達の後任に迎えられたのがSOUNDCHASERなるバンドを率いてRAGEのツアーサポートをしたこともあるベネズエラ出身のギタリストMarcos Rodriguez、RAGEのマネージャーだったVassilios "Lucky" Maniatopoulos(Ds)の両名です。ちなみにSOUNDCHASERというバンド名はVictor期RAGEの代表作のひとつ「SOUNDCHASER」(2003)から取っていてMarcos自身も熱狂的なRAGEファンなのだとか。演奏の凄み、知名度のどちらも前任者に及びませんが楽曲の複雑化に伴いキャッチーさが後退していた前作「21」(2012)よりもストレートな作風なので第一印象は良いですね。飛び抜けた楽曲こそないものの冒頭の①The Devil Strikes Again〜④The Final Curtainの流れが気に入っています。

【CD購入録】ETERNITY'S END「THE FIRE WITHIN」(2016)

  • 2016/08/03(水) 00:00:00

【CD購入録】
THE FIRE WITHIN
ETERNITY'S END「THE FIRE WITHIN」(2016)

ドイツ出身のネオクラシカル系ギタリストChristian Muenznerが立ち上げたETERNITY'S ENDのデビュー作を買いました。Christianのことは知らなかったのですが、これまでにALKALOID、SPAWN OF POSSESSIONといったテクニカル/プログレ系デスメタルバンドで活動をしてきた人物のようですね。本作ではそんなエクストリームメタル寄りのサウンドから距離を置き、YNGWIE MALMSTEENを彷彿とさせるネオクラシカルの王道を行きつつ、時折ジャーマンメタル調の明るいメロディも顔を出す作風となっています。新鮮味は希薄な音楽性だし、どこかで聴いたフレーズが散見されるものの、この手のサウンドが好きなので結構楽しめています。Christianの弾きまくりギターパートは勿論Ian Parry(Vo/ex-ELEGY)の熱唱も聴きどころとなっていますね。現在のお気に入りはキャッチーなサビメロが耳に残る④Eagle Divine、ネオクラシカル道のど真ん中を突っ走る⑨Moonstruckでしょうか。どちらにも初めて聴いた気がしないパートがあるのはご愛嬌ということで(苦笑)。2016年のブライテストホープ候補としてSUNBURSTの対抗馬になれそうなニューアクトの登場ですね。そういえばドイツのスラッシュメタルバンドPARADOXの現ギタリストはSUNBURSTの中心人物でもあるGus Draxで、前任はChristian Muenznerなんですよね。PARADOXはこれまでノーチェックでしたが若手テクニカルギタリストの登竜門なのでしょうか…。密かに僕の中で注目度がアップしています。

【CD購入録】KISSIN' DYNAMITE「GENERATION GOODBYE」(2016)

  • 2016/07/07(木) 00:00:00

【CD購入録】
GENERATION GOODBYE
KISSIN' DYNAMITE「GENERATION GOODBYE」(2016)

2008年にデビューして以降、きっちり2年ごとにニューアルバムを届けてくれているKISSIN' DYNAMITEの5作目を買いました。初期のパーティーロック調から徐々にシリアスな方向へ変化してきた感のある彼等ですが、今回も近作の延長線上にある1枚と言えそうです。ドッシリと構えて聴かせるミッドテンポ①Generation Goodbyeはアルバムの掴みとしては微妙ながら単体で見ればカッコいいし、これぞKISSIN' DYNAMITE!なロックチューン②Hashtag Your Life(曲名がいかにも今どきのバンドらしいですね)、そこから一転してドラマティシズムと哀愁に溢れたパワーバラード③If Clocks Were Running Backwardsと続く展開にヤられました。PVも制作された②、③を筆頭に今回も良曲揃いなので、あっという間に聴けてしまいます。デビュー当時は16歳だったフロントマンJohannes Braunの成長に合わせるかのように、ロックソングだけでなくバラード系もこれまで以上に聴き応えがあるのも本作の特徴でしょうか。本編ラストの⑪Utopiaも泣けます。今回のアルバムも2016年を振り返る頃には年間ベスト入りを果たしてそうな力作ですね。

ZENO「RUNWAY TO THE GODS」(2006)

  • 2016/05/13(金) 00:00:00

RUNWAY TO THE GODS
【No.470】
★★★★(2006)
年間ベスト2006年第10位

未発表曲を集めた「ZENOLOGY II」(2005)から僅か1年弱というZENOらしからぬ短いスパンで発表された3rdフルレンスアルバム。本作の注目ポイントは何と言ってもシンガーの交代劇でしょう。良くも悪くも個性のあるハイトーンでZENOサウンドの一端を担っていたMichael Flexig(Vo)がバンドを離れ、後任にMichael Bormann(Vo/ex-JADED HEART etc)を迎えています。ハスキーな声の持ち主であるBormannはFlexigと対照的なタイプのシンガーで、情感たっぷりに(時にねちっこく)歌い上げるそのスタイルは好き嫌いが分かれそうですね。Zeno Roth(G)はクセのある歌い手が好みなんでしょうか。ファンの間でも賛否両論のフロントマン交代に関して、僕はFlexigの声が苦手だったので個人的には歓迎しています。Flexigがその出来栄えに満足していなかった「ZENOLOGY II」の音源を公開したことが不満で彼がZenoと袂を分かつことになったという話は残念ですが…。ちなみに当初はTommy Heart(Vo/FAIR WARNING)を後任に迎えるという話があったもののFAIR WARNINGが再結成することになったため流れてしまい、後にJADED HEARTの音源を聴いたZenoがBormannに参加を打診したそうです。

そんなボーカルチェンジが影響してか、ZENO特有のエキゾチックな雰囲気や神々しさは大幅に減退、ハードロックバンドならではの骨太さやパッションが増量されていて普遍的なメロディアス・ハードロックに近づいていますね。この変化をZENOらしさが失われたと見ることもできるかもしれませんが、僕にとっては本作がZENOの中で一番好きなアルバムです。何と言ってもオープニングの①Fanfares Of Loveが問答無用のキラーチューン!プレイボタンを押すと同時に切れ込んでくるギター、ZENOにしては意外なほどストレートに駆け抜ける疾走感、そしてBormannの熱唱が一体となって押し寄せてきます。元々Zenoはミドルテンポの②Climb The Skyを1曲目、①を2曲目にするつもりだったそうですが、複数の日本人関係者から「Fanfares Of Loveをオープニングにするべき」と意見があったため変更したのだとか。重厚な②も好きな曲ではあるもののアルバムの幕開けに持ってくるには微妙なので「日本人関係者の方、グッショブ!」ですね(笑)。

①のインパクトが強過ぎるために、それ以降の楽曲は存在感が希薄になっていることは否めませんが、流石のZENOクオリティなので聴き応えは十分。リフから歌い出しにかけてがDEEP PURPLEBurnしているハードロック⑧I Feel - I Liveも面白いですね。クラシック曲をZENO流にアレンジした⑥Sogno Di Angelo(Mascagni Arr. Zeno)、エンディングに向けて圧巻の盛り上がりを見せる⑪ Sunset Birds Flying Home(Celestial Touchdown)という2曲のインストもアルバムにメリハリをつけています。従来のZENOらしさが色濃く出たバラード⑩Do You Feel The TimeはZenoの母親に捧げられた曲だそうで一部Zeno本人が歌っていますがBormannに全編歌って欲しかったというのが本音ですね…。余談ですが本作のアートワークを手掛けているはZENOのオリジナルメンバーでFAIR WARNINGの中心人物でもあるUle Ritgen(B)だそうです。彼が画家として活動しているのは知っていたものの実際に作品を目にしたことはなかったので、その予想以上の出来栄えに驚きました。ZENOの世界観ともマッチしていますね。本作リリース時のインタビューでZenoは作曲したマテリアルを全て出し尽くしたと語っていたので、次のアルバムを聴くのはだいぶ先になるだろうと覚悟はしていましたがもう10年が経ってしまいましたね…。そろそろ新作をお願いしたいところです。

【音源紹介】
Fanfares Of Love

ZENO「ZENOLOGY II」(2005)

  • 2016/05/02(月) 00:00:00

ZENOLOGYII.jpg
【No.469】
★★★(2005)

兄のUli Jon Roth(G)と共にHR/HM界きっての寡作アーティストとして知られるZeno Roth(G)率いるZENOの未発表音源集第2弾。「ZENOLOGY」(1995)は1987年から1994年までに録音されたマテリアルを集めたものでバンドのリードボーカルMichael FlexigのほかTommy Heart(Vo/FAIR WARNING)、Helge Engelke(G/FAIR WARNING)がシンガーを務めていたのに対し、本作は1983年から1989年にレコーディングされた11曲を収録していてMichaelが9曲、Tommyが2曲で歌っています。バックを固めるのはUle Ritgen(B)、C. C. Behrens(Ds)というFAIR WARNINGのリズム隊なので、もしZENOが1989年に一時解散していなければFAIR WARNINGが誕生することはなく、このラインナップでZENOとして活動していたのかもしれませんね。

東洋的なフレーズを織り込んだ神々しいムード漂うメロディックロックがZENOの特徴のひとつですが、本作ではそういった「らしさ」は希薄になっているように思います。僕は上記の要素がどちらかというと苦手なので、今回のような親しみやすいメロハー路線は歓迎ですね。結果的に「キーボードのフィーチュア度が高いFAIR WARNING」という感じの仕上がりとなっていて、各曲のクオリティに関しても未発表音源を集めたとは思えないほど質の高いものばかり。アルバム制作に並々ならぬ拘りを持って膨大な時間を費やすZenoが世に出すことを良しとした作品なので当然かもしれませんが、お蔵入りになっていたのが不思議なほどの楽曲が並んでいます。高揚感に溢れたハードロック②Tonight、③Hard BeatやZENOにしては珍しくポップで明るい曲調の④Dreaming The Night Away⑥Victoria、グルーヴィーなリフからキャッチーなサビへ展開していくZENO最初期のマテリアル⑤Good Game Bad Gameなど、アルバム前半にお気に入り曲が多いですね。③、④ではTommyがリードボーカルを取っていて、FAIR WARNINGでのパフォーマンスと比べると初々しさがあるものの確かな歌唱力を披露してくれています。ちなみに①Call Of The HeartはFAIR WARNINGの名曲と同じタイトルですが別の曲です。

客観的に見ればメロディックロックファン必聴の1枚であることは事実ながら全体的に曲調が似通っていること、過去のアルバムに収録されていたLove Will Live、Together、Love In Your Eyes、Meet Me At The Rainbowのような飛び抜けたキラーチューンがないことなどからインパクトは弱い気もしますね。この楽曲群に注文をつけるのは贅沢かもしれませんが…(苦笑)。なお日本では本作に合わせてZENOの過去作品3枚にリマスターを施し、各アルバムに未発表曲やデモ音源を追加した再発盤がリリースされています。特に2nd「LISTEN TO THE LIGHT」(1998)はオリジナルとリマスター盤とでは収録曲が異なるので以前のバージョンを持っている身としては、わざわざCDを買い直すには至らずZENOの未発表曲をコンプリートできずにいます…。

【音源紹介】
Dreaming The Night Away

ZENO「LISTEN TO THE LIGHT」(1998)

  • 2016/04/25(月) 00:00:00

LISTEN TO THE LIGHT
【No.468】
★★★(1998)

メロディックロック界の伝説的名盤との呼び声も高いデビュー作「ZENO」(1986)をリリース後に表舞台から姿を消したZENOが未発表音源集「ZENOLOGY」(1995)を経て完成させた2枚目のオリジナルアルバム。本作のタイトルと1stアルバムのジャケット(光る何かを耳にあてる少年)がリンクしますね。1989年以降、Zeno Roth(G)は第一線から身を引いていたようですがゼロ・コーポレーションから未発表の楽曲をアルバムにすること(後の「ZENOLOGY」)を提案されたことがきっかけで音楽に対するモチベーションを取り戻したそうなので、ゼロ・コーポレーションなくしてZENO復活はなかったかもしれません。ただしZENOが活動を再開したといっても前作に参加していたUle Ritgen(B)らはFAIR WARNINGでの活動があるため不参加、メンバーはMichael Flexig(Vo)のみでZenoがギター以外の楽器も演奏しドラムはプログラミングを使用しているため事実上2人によるプロジェクトとなっています。

オープニングの①Goddess Of Sunriseが僕の苦手なオリエンタルムードを前面に出した曲なので掴みは今ひとつですがドラマティックな②Love In Your Eyesで一気に盛り返します。サビは勿論、他のパートのメロディも細部まで丁寧に練り込まれていて「完璧主義者Zeno Rothの真髄ここにあり」という感じですね。そんな②と並ぶキラーチューンがZENOにしては珍しくメタリックな質感もある疾走曲④Meet Me At The Rainbowでしょう。粘り気のあるトーンで胸に迫ってくるギター、サビ手前でMichaelが「Do you remember?」と低音で歌うパートも聴きどころです。また⑥Follow The Windも上記2曲には及ばないものの並のアルバムならハイライトになりそうなハードロックだし、それらの間に配された③I Would Die For You、⑤Light Of The Morning、⑦Listen To The Lightといったバラードでも珠玉のメロディが味わえます。アルバム前半(特に②〜⑦)の充実振りは目を見張るものがありますね。

ただし後半に入ると荘厳な⑩Eden On Fire、ポジティブな空気に溢れた⑪Tomorrow Ariseなどの佳曲がある一方でインストが3曲もあって間延びしていたり、Jimi HendrixBob Dylanに捧げた60年代風のロック⑨Some Rocks Don't Roll(僕の苦手なタイプ)があったりしてテンションが下がってしまうのが難点。ボーナストラック⑭Walking On A Thin Lineの方がアルバムの音楽性に馴染んでいるので⑨と入れ替えてくれた方が嬉しかったですね。と言いつつもデビュー作や「ZENOLOGY」以上のお気に入り盤であることは間違いありません。ちなみに僕が持っているのは1998年にゼロ・コーポレーションから発売されたバージョンですが1998年リリースの輸入盤、2005年のリマスター再発盤も存在していて、それぞれの収録曲が異なるというファン泣かせの状態になっているようです。前者は⑭の後にWorld Of TomorrowTimeの2曲を追加、後者では⑭がカットされているかわりにWorld Of TomorrowとTommy Heart(Vo/FAIR WARNING)が歌うHow Can I Know、「ZENOLOGY」収録の超名曲TogetherのTommyバージョンを聴くことができます。YouTubeでこれらの未発表曲を聴いてみたところ、どれもZENOらしいナンバーだったので未発表音源集第2弾の「ZENOLOGY II」(2005)にまとめて欲しかったですね…(Timeは収録されていますが)。

【音源紹介】
Meet Me At The Rainbow

ZENO「ZENOLOGY」(1995)

  • 2016/04/10(日) 00:00:00

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【No.467】
★★(1995)

僕のミュージックライフにおける最重要バンドのひとつであるFAIR WARNINGと関係の深いZENOが1987年から1994年までにレコーディングした曲を収録した未発表音源集。ZENOは大手レコード会社EMIと契約金100万ドルという大型契約を締結、デビュー作「ZENO」(1986)発表後はBLACK SABBATHのサポートアクトを務めるなどしつつ2ndアルバム制作の準備に取りかかっていました。ところが1stアルバムの売り上げが期待していたほど伸びなかったことなどからEMIはバンドとの契約を解除、それがきっかけとなりMichael Flexig(Vo)が脱退してしまいます。バンドは後任として後にFAIR WARNINGのフロントマンとなるTommy Heart(Vo)を迎え、契約獲得を目指していたものの上手くいかず1989年には中心人物であるはずのZeno Roth(G)がバンドを離れてしまい事実上の解散状態に。そんな中、90年代に多くのメロディアス系HR/HMバンドを発掘した国内レーベル「ゼロ・コーポレーション」の発案でZENOの未発表曲をアルバム化することになり制作されたのが本作です。ちなみにZENOのオリジナルメンバーでもあるUle Ritgen(B)は本作に参加していたメンバーと共にFAIR WARNINGを結成することになります。

このアルバムにはZENOの2作目に収録予定だった曲だけでなく解散後に書かれたものも混在するため、録音時期はもちろん参加メンバーにもバラつきがあります。シンガーについては1stでも歌っていたMichaelが5曲、Tommyが3曲、そして何故かFAIR WARNINGのギタリストHelge Engelkeが3曲でリードボーカルを担当しています。前作で感じられた敷居の高さは薄まっているように思いますが、今回も僕のツボにハマることはなかったですね。そんな中で燦然と輝いているのがMichaelがエモーショナルに歌い上げるパワーバラード③Togetherです。デビュー作収録の3曲目Love Will Liveも超がつくほどの名曲でしたが、こちらも負けていません。これまでに聴いたメロディックロック曲の中でも5本の指に入るほど大好きな曲で、歌詞の内容も踏まえて自分の結婚式でも使った思い出深いナンバーです。なお、この曲のTommyバージョンが次作「LISTEN TO THE LIGHT」(1998)の2005年再発盤に追加収録されていたので聴き比べてみたところ声質的にはTommyの方が好きですが、この曲に関してはMichaelが歌う原曲の方がしっくりきますね。「原曲を大事にしたい」というZenoの思いからそのまま収録されたHelgeが歌った曲はMichael、Tommyという実力派2名に比べると聴き劣りしますが、僕が知る限りHelgeの歌が聴けるのは本作だけなので、そういう意味では貴重かもしれません。

③以外ではまるでサウンドトラックのように壮大で曲名も秀逸なインスト⑫Crystal Dreams②Is It Love、④Surviving The Night、⑧Out In The NightといったTommyが歌っている曲が気に入っています。FAIR WARNINGのデビュー作にも収録されていた①Heat Of Emotionは本作のMichaelバージョンよりTommyの力強い歌声の方が好きなので、彼が在籍するZENOも聴いてみたかったですね。3rd「RUNWAY TO THE GODS」(2006)制作時にTommyを迎えるという話もあったもののFAIR WARNINGが活動を再開していたため実現には至らなかったそうです…。僕にとって本作は③を聴くために時々CDラックから引っ張り出すという感じでしたが、ゼロ・コーポレーションが制作したバラード系オムニバス「美彩’d〜beside〜」(1995)にもTogetherが収録されているので、そちらを買ってからはこのアルバムを聴く機会はほとんどなくなってしまいましたね(苦笑)。

【音源紹介】
Together

ZENO「ZENO」(1986)

  • 2016/03/27(日) 00:00:00

ZENO.jpg
【No.466】
★★★(1995)

「ギター仙人」ことUli Jon Roth(G/ex-SCORPIONS)の実弟Zeno Roth(G)を中心としたメロディックロックバンドZENOの1stアルバム。正式メンバーはZenoのほかハイトーンが持ち味のMichael Flexig(Vo)、後にFAIR WARNINGを立ち上げるUle W.Ritgen(B)というトリオ編成で、それ以外はDon Airey(Key/RAINBOW)など複数のサポートメンバーを迎えています。本作はBURRN!誌を始め、多方面でメロディックロックの伝説的名盤とみなされているし、デビュー当時も新人バンドとしては破格の条件で大手レーベルEMIと契約を結ぶなど大きな話題となっていたようですね。

ZENOの音楽性はとにかくメロディアスな楽曲群を雄大なアレンジで聴かせつつ、オリエンタルな雰囲気も感じさせるというスタイルで時には神々しさすら漂っています。ただし結論から言うと、僕好みの要素を多分に含んでいるのは事実ながら本作にそれほどのめり込むことはありませんでした。ZENO特有の崇高なサウンドに敷居の高さを感じてしまうし、Michaelの天を突くようなハイトーンも凄みよりアクの強さの方が印象に残ってしまうため苦手だったりします。世間的な評価が非常に高いアルバムなので、その素晴らしさを理解しようとリピートしましたがFAIR WARNINGの音楽に魅了され後追いでZENOを知ったこともあって、どうしてもFAIR WARNINGに戻ってしまうんですよね(苦笑)。

というわけで本作に対してネガティブな点を先に書いてしまいましたが、このアルバムが全く肌に合わなかったかと言うと勿論そんなことはありません。中でもZENOらしい壮大なスケールで聴かせるバラード③Love Will Liveは掛け値なしの名曲です。正に聖歌と呼ぶに相応しいこの曲は、本作が発売される1年前の1985年に大ヒットしたWe Are The Worldのように世界中で歌われていても不思議ではないほどの普遍的な魅力を持っていると思います。それ以外ではポップフィーリングに溢れた②A Little More Love、FAIR WARNING風のギターメロディが飛び出す⑤Far Awayなどがお気に入りですね。ちなみに本作は2005年に未発表曲⑫Don't Count Me Outと「伝説のデモ」と呼ばれた本作収録曲の初期音源4曲を追加したリマスター盤が再発されています。僕はオリジナル盤を持っていたものの、手放してしまっていたのでリマスターバージョンを買い直しました。⑫は僕の好みから外れたタイプの曲だし、デモにはあまり関心がないのでボーナストラックにはそれほどありがたみを感じませんでしたが、音質は良くなっているので聴くなら再発盤の方がオススメですね。

【音源紹介】
Love Will Live

ちなみに上記は未発表音源集「ZENOLOGY」(1995)の2005年再発盤に追加収録されたエクステンデッド・バージョンで原曲は4分40秒ほどの長さです。

【CD購入録】TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」(2016)

  • 2016/01/31(日) 00:00:00

【CD購入録】
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TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」(2016)

2016年の新譜初買いは、誕生から15年を数えるTobias Sammet(Vo/EDGUY)主宰のメタルオペラ・プロジェクトTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAの7作目です。今回のゲストシンガー陣の主な顔ぶれはMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)、Jorn Lande(Vo/JORN、ALLEN-LANDE)、Ronnie Atkins(Vo/PRETTY MAIDS)、Bob Catley(Vo/MAGNUM)といった以前からのメンバーに加えDee Snider(Vo/TWISTED SISTER)、Geoff Tate(Vo/ex-Queensryche)、Marco Hietala(B、Vo/NIGHTWISH)らが初参加しています。前作「THE MYSTERY OF TIME」(2013)がAVANTASIAの作品としては今ひとつツボにはまらなかったし、EDGUYも僕の好みから徐々にずれてきているように感じていたので一抹の不安もありましたが今回はなかなか良さげですね。コンパクトかつキャッチーな歌モノから劇的な大作、ミステリアスなナンバー、メロディアスなバラードなどTobiasの多彩なソングライティング能力が遺憾なく発揮されているアルバムの中でもKiskeのハイトーンが冴え渡るタイトル曲⑤Ghostlightsがいいですね。この手のメロパワは大好物です。また僕が買った初回生産限定盤にはライブ音源11曲入りのボーナスCDが付いているので聴き応えがありますね。同時に買ったDREAM THEATER「THE ASTONISHING」をなかなか聴けずにいます(笑)。