【CD購入録】HAREM SCAREM「UNITED」(2017)

  • 2017/06/18(日) 00:00:00

【CD購入録】
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HAREM SCAREM「UNITED」(2017)

カナダが誇るメロディック・ロックバンドHAREM SCAREMの14作目を買いました。再結成後初めてのオリジナルアルバムとなった前作「THIRTEEN」(2014)に伴う来日公演の際にメンバーは次のアルバムについて明言を避けていましたが2015年にライヴ盤「LIVE AT THE PHOENIX」をリリース、そして早くも本作を完成させたということはHAREM SCAREMが本格的に復活したということでしょうか。Harry Hess(Vo)によると今回はサビがパッと明るくなる曲作りを心掛けたとのことで、実際に聴いていてもサビの盛り上がりは近作以上だと思いますね。このアルバムからは現時点で4曲がオフィシャルで公開されているのですが、その第1弾④Sinking Shipをチェックした時からして好感触でした。HAREM SCAREMは既に音楽性が確立されているバンドなのでハズレ作品はなく、あとは僕好みのメロディがどれだけあるかに注目しているのですが今回のアルバムは彼等の作品群の中でも上位にくる1枚ですね。

【CD購入録】HAREM SCAREM「THIRTEEN」(2014)

  • 2016/03/31(木) 00:00:00

【CD購入録】
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HAREM SCAREM「THIRTEEN」(2014)

「HOPE」(2008)を最後に解散していたHAREM SCAREMが再結成して発表したタイトル通りの13作目を買いました。代表作「MOOD SWINGS」(1993)の20周年記念再録盤のために再結成した彼等ですがHarry Hess(Vo)は「HAREM SCAREMでの音楽活動はやり尽くした」と以前から語っていたし、中心人物のHarryとPete Lesperance(G)の両名がソングライター/プロデューサーとしても十分やっていける実力者なので今回の新作発表は予想外でしたね。実際に聴いてみると前作「HOPE」から6年ものインターバルがあるとは思えないほど真っ当なHAREM SCAREMサウンドが展開されています。Harryの野太いボーカル、Peteのテクニカルなギターワーク、各曲を彩る分厚いコーラスなど楽曲を構成する各要素にはこのバンドならではのアイデンティティが満載。抜群の安定感を誇る1枚である一方で、こちらの予想を上回るほどの盛り上がりがあるかというと、それは微妙だったりします。並のロックバンドと比べればクオリティの高い作品ながら、彼等ならこれくらいやってくれるだろうと思ってしまうのも事実。といいつつも一定以上の満足感は得られているので、新作が出ればチェックするつもりです。

【CD購入録】PETE LESPERANCE「FADE INTO STARS」(2012)

  • 2013/12/19(木) 00:00:00

【CD購入録】
FADE INTO STARS
PETE LESPERANCE「FADE INTO STARS」(2012)

バンドの代表作でありハードロック史に残る名盤(だと個人的に思っている)「MOOD SWINGS」(1993)の再録盤を2013年にリリースしたHAREM SCAREMのギタリストPete Lesperanceのソロ2作目を買いました。基本的には1st「DOWN IN IT」(2004)同様、ギタリストのソロアルバムらしからぬ歌モノ作品でアレンジが前作以上にアコースティック寄りとなっているため一段と温かみのあるソフトな1枚となっています。非常に心地よく聴くことができる作品である一方、ミディアム/バラード調のナンバーが並ぶためアルバムとしての抑揚に欠ける点は前作と同じだったりしますが…。それにしてもPeteは歌い手として着実に成長していますね。抜群に上手い訳ではないけれと素朴な彼の歌声は結構クセになります。ちなみに本作はCD媒体で販売されていないためAmazonでMP3をダウンロードするという形で購入しました。音楽作品をダウンロードしたことがなかったので少し不安もありましたが問題なく聴けています。今後はこういう方法で音楽を聴く機会が増えるんでしょうかね…。

【CD購入録】BRIAN MELO「THE TRUTH」(2010)

  • 2013/12/15(日) 00:00:00

【CD購入録】
THE TRUTH
BRIAN MELO「THE TRUTH」(2010)

カナダのオーディション番組「CANADIAN IDOL SEASON5」(2007年)の優勝者でもあるシンガーソングライターBrian Meloの2作目を買いました。僕が彼に関心を持ったきっかけはHarry Hess(Vo/HAREM SCAREM)の2ndソロ「LIVING IN YESTERDAY」(2010)の曲作りに参加していたからなのですが、本作ではHarryがプロデュースを手がけているほかPete Lesperance(G/HAREM SCAREM)がギターとベース、Creighton Doane(Ds/HAREM SCAREM)がドラムパートで参加しています。気になるBrianの歌声についてはルックスから勝手に「AMERICAN IDOL SEASON5」(2006年)のファイナリストで、現在はDAUGHTRYとして活動しているChris Daughtry(Vo)のような野太くて温かみのあるタイプを想像していましたが、本作を聴いて最初に連想したシンガーはMikael Erlandsson(Vo/LAST AUTUMN'S DREAM)でした。オープニングを飾るタイトル曲①The Truthの「オッオッオー オ オッオッオー♪」というコーラスを筆頭に若干掠れ気味なBrianのボーカルが独特の哀愁を放っていて良いですね。かと思えばMikael以上に逞しく、それこそChris Daughtryのように力強く歌う場面もあってなかなかの逸材だと思います。彼が中心となって手がけた楽曲群に関してもメロディが胸に沁みるミディアムチューンを軸に軽快なナンバーやほのぼの系、女性シンガーとのデュエットもあって飽きることなく聴けます。現時点では日本盤リリースのないBrianですが、今後の動向に注目したいアーティストですね。

【CD購入録】HAREM SCAREM「MOOD SWINGS Ⅱ」(2013)

  • 2013/08/25(日) 00:00:00

【CD購入録】
MOOD SWINGS2
HAREM SCAREM「MOOD SWINGS Ⅱ」(2013)

HAREM SCAREMの2ndアルバムにしてバンドの出世作であり、その後の活動に良くも悪くも多大な影響を与えた「MOOD SWINGS」(1993)の発売20周年を記念して制作された再録盤を買いました。普段はリレコーディング作品をほとんど買わない僕ですが、思い入れが強い「MOOD SWINGS」となれば話は別です。内容の方は基本的にオリジナルを忠実に再現していますがドラムがクリアになっていたり、ダークな雰囲気や独特の緊張感が薄れていたりと興味深い仕上がりとなっていますね。と言いつつも1996年に「MOOD SWINGS」と出合い何度も何度も聴いてきた身としては(思い出補正もあって)オリジナルを越えていると思えないし、本作の⑩Just Like I Planned⑪Had Enoughのアレンジに違和感を覚えたのも事実。特にアカペラだった⑩が普通のアコースティックバラードに変わってしまったのは残念ですね。インスト(⑦Mandy)やアカペラも収録した「何が出てくるか予測不可能なハードロック作品」というのが「MOOD SWINGS」の魅力のひとつだと思っていたので…。また本作には新曲が3曲収録されていて、いずれも後期HAREM SCAREMを思わせるナンバーです。

日本で絶大な人気を誇り、僕自身も大好きな「MOOD SWINGS」ですが、Harry Hess(Vo)はこれまでに「あの作品はそれほど好きではない、ファンの間でなぜ評価が高いのかわからない」という主旨の発言していたのでHAREM SCAREMが再結成をして「MOOD SWINGS」をリメイクするというニュースを聞いた時にはとても驚きました。BURRN!誌のインタビューや本作の初回限定盤付属DVDでの発言から察するに、ようやくバンド自身もこのアルバムの重要性に気づいてくれたようで嬉しいですね。現時点では本作リリース後に「MOOD SWINGS」の発売20周年記念ツアーを行うこと以外は決まっていないようですが、これからのHAREM SCAREMの動向に注目したいと思います。

HESS「LIVING IN YESTERDAY」(2012)

  • 2013/08/21(水) 00:00:00

LIVING IN YESTERDAY
【No.385】
★★★(2012)

2008年にHAREM SCAREMが解散した後は第一線から身を引き、ソングライター/プロデューサーとして多くのアーティストを手がけるというスタイルで音楽活動を続けてきたHarry Hess(Vo/ex-HAREM SCAREM)の2ndソロアルバム。Harryといえば2010年にFRONTIERS RECORDS主導のプロジェクトFIRST SIGNALでも衰えぬ歌声を披露していましたが、あちらは外部ライターがHAREM SCAREMを意識して書いた曲を歌うことがテーマだったので、Harryのペンによる楽曲で構成されたアルバムとしては解散後初めてということになりますね。1stソロ「JUST ANOTHER DAY」(2003)を9年前にリリースした時はHAREM SCAREMと差別化するためかソロではソフト路線となっていたのに対して、今回はロック色が強調されていて全体的にHAREM SCAREM寄りのサウンドとなっています。

HarryをバックアップしているのはPete Lesperance(G)、Creighton Doane(Ds)、Darren Smith(Ds)といった前作と同じHAREM SCAREM時代の盟友(Peteはベースもプレイ、Darrenはドラムではなくバックコーラスで参加)なので、HAREM SCAREMらしい仕上がりになるのも自然なことだったんだと思います(強いて言えばギターを始めとするバッキングが若干軽いのがバンドとの相違点でしょうか)。上記の基本メンバー以外にもHarryがバンド解散後の活動で築いた人脈から多くのゲストが作曲や演奏面で参加していて、余談ですが本作は英語だとHESS名義となっているのに対して日本語表記では「ハリー・ヘス・アンド・フレンズ」となっています。そんな「フレンズ」の中で僕の目を引いたのは①Living In Yesterdayのギターソロを弾いているMagnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR)⑧I Live For YouをHarryと共作しているFredrik Bergh(Key/STREET TALK、BLOODBOUND)、ギターとキーボードの一部を演奏し⑨I Don't Wanna Want Youの作曲にも参加しているTommy Denander(G/RADIOACTIVE etc)⑩Where To RunでギターソロをプレイしているChris Green(G/ex-PRIDE)ですね。英国のメロハーバンドPRIDE解散後に僕の中で消息不明扱いとなっていたChris Greenのギターを久し振りに聴きましたが、やはり彼は僕好みのプレイを聴かせてくれます。現在はFURYONなるバンドで活動していると知ったのでYouTubeで聴いてみたらメロハーとは縁遠いモダンなヘヴィロック的な音楽性でビックリしました(ギターは素晴らしいのですが…)。

アルバム本編10曲の半数以上がミドル~スローテンポの楽曲で占められている辺りは、自他ともに認める(?)バラードライターHarryのソロらしい作風と言えそうですね。ともすれば、まったりしたアルバムになりがちな本作をメリハリあるものにしてくれているのはキャッチーなボーカルハーモニーによる歌い出しで聴き手の心を掴む①、爽やか系メロハーの王道を行く②Reach For You、後期HAREM SCAREMの作品に収録されてそうなポップロック⑥Nothing Lasts Forever、Harry節が色濃く表れている本作で新鮮味が感じられる数少ないナンバー⑨といったロックソングの充実によるところが大きいと思います。正直なところバンド時代を凌駕しているわけではないし、超名曲が収録されているわけでもないのですがメロディ、歌、アレンジなど様々な面で安心して聴ける1枚ですね。

【音源紹介】
・Living In Yesterday

【CD購入録】HESS「LIVING IN YESTERDAY」(2012)

  • 2012/12/09(日) 00:00:00

【CD購入録】
LIVING IN YESTERDAY
HESS「LIVING IN YESTERDAY」(2012)

HAREM SCAREM解散後はソングライター/プロデューサーという裏方にまわり、多くのアーティストを手がけるというスタイルで音楽活動を続けてきたHarry Hess(Vo/ex-HAREM SCAREM)の2枚目となるソロアルバムを買いました。Harryといえば2010年にFRONTIERS RECORDS主導で外部ライターが書いたHAREM SCAREM的な楽曲を歌うプロジェクトFIRST SIGNALでの活動もありましたが、ソロ作となると「JUST ANOTHER DAY」(2003)以来、約9年振りのリリースとなります。本作でHarryをバックアップするのはPete Lesperance(G)、Creighton Doane(Ds)、Darren Smith(Ds)といった前作と同じHAREM SCAREM時代の盟友(Darrenはドラムではなくバックコーラスで参加)に加えて、Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR)、Tommy Denander(G/RADIOACTIVE etc)といった顔ぶれです。1stソロはHarryらしいメロディが楽しめる良盤ではあったものの大人しめの仕上がりだったのに対して、今回はロック色が強調されているのが個人的には嬉しいし、個々の楽曲に関しても後期HAREM SCAREMのアルバム以上に魅力的なメロディが多いように思います。爽やかなサビメロから始まるオープニングの①Living In Yesterdayはインパクト大で一気に本作に引き込まれました。Harryお得意のバラード系③It's Over、⑧I Live For YouなどHAREM SCAREMを思い出させるナンバーが多い中、⑨I Don't Wanna Want Youはバンド時代にはあまりなかったタイプと言えそうですね。

FIRST SIGNAL「FIRST SIGNAL」(2010)

  • 2012/12/06(木) 00:00:00

FIRST SIGNAL
【No.356】
★★★(2010)

10作目「HUMAN NATURE」(2006)に伴う来日公演の2ヶ月前に「もう1枚のスタジオアルバムを作った後に解散する」と表明し、その言葉の通り11th「HOPE」(2008)リリース後にライブを行うことなく解散したHAREM SCAREMのフロントマンHarry Hessを擁する新プロジェクトFIRST SIGNALの1stアルバム。仕掛人はメロディアスハードファンの僕にとって最重要レーベルのひとつFRONTIERS RECORDSの社長で、これまでにもMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)がメロディックロックを歌うというコンセプトのPLACE VENDOMERobert Sall(G/WORK OF ART)、Erik Martensson(Vo/ECLIPSE)、Jef Scott Soto(Vo/TALISMAN)の3人が組んだプロジェクトW.E.T.などを発案してきたSerafino Perginoです。本作のテーマは「クラシックなHAREM SCAREMサウンドを蘇らせること」だそうですがHarryが「HAREM SCAREMとして本作のようなアルバムを作ってきたつもりはない」と語っている通り、ハーレムサウンドの復活というよりは「Harryが他のソングライターによる良質なメロディックロックを歌っているアルバム」と表現した方が合っていると思います。HAREM SCAREMの作品群の中で近いアルバムを挙げるとすれば、外部ライターの曲を一部取り入れたこともあってバンドの独自性が薄めなデビューアルバム「HAREM SCAREM」(1991)でしょうか。

今回、Harryは曲作りには全く関わっておらずTomとJamesのMartin兄弟ECLIPSEやW.E.T.で活躍するErik Martenssonといったソングライター陣が楽曲を提供、Dennis Ward(B/PINK CREAM 69)がプロデュースするというFRONTIERS作品ではお馴染みの顔ぶれがHarryをバックアップしています(HAREM SCAREMの人脈では元ドラマーのDarren Smithがバックボーカルで参加)。まずはオープニングの①This Cityが爽快メロハー系のキラーチューンで僕はこの曲の先行PVを見た瞬間に本作購入を決めました。Martin兄弟恐るべし。それ以外にも爽やかなサビメロが耳に残る②When You Believeとダイナミックなメロディ展開がいかにも彼らしい⑩Yesterday's Rainの2曲を書いたErik、アルバム随一の泣きメロが胸に沁みるバラード④Crazyを提供したRonny Milianowicz(Ds/SAINT DAEMON)などFRONTIERS御用達ライター陣の作曲能力の高さには改めて感心してしまいますね。また、このアルバムには③Part Of Me、⑨When November FallsというRichard Marxのカバー2曲も収録されていて、楽曲の素晴らしさだけでなくアルバムへの溶け込み具合もお見事。なお後者はFRONTIERS恒例のアコースティックバージョンが日本盤ボーナスとして収録されていて僕はこちらの方が好きですね。

本作がハーレムサウンドを再現しているかは微妙なので、レーベル側が謳う「HAREM SCAREM復活」を過度に期待すると肩透かしをくらう可能性もありますが⑤Goodbye To The Good Timesのようなハーレム時代にはなかったタイプの曲を歌うHarryが聴けるのは面白いし、メロディックロックファンならば文句なしに楽しめる1枚に仕上がっていると思います。優れたシンガーがFRONTIERSに楽曲から演奏陣、プロデューサーに至るまでをお膳立てされて歌うプロジェクトという意味でJoe Lynn Turner(Vo/ex-RAINBOW etc)SUNSTORM、Michael KiskeのPLACE VENDOMEと同列の作品と言えるのではないでしょうか。ちなみにHAREM SCAREMが解散してからのHarryは他のアーティストのプロデュースや楽曲提供に忙しくも充実した日々を送り、HAREM SCAREM時代の盟友Pete Lesperance(G)と一緒に仕事をすることは多いものの再結成はおろかロックソングを書くこともなく、メロディックロックとは縁遠い音楽活動をしていたようです。そう考えるとHarry Hessというシーン屈指の歌い手をバンド解散後初めて表舞台に呼び戻してくれたFRONTIERSに拍手を送りたいですね。

【音源紹介】
・This City

BLIND VENGEANCE「BLIND VENGEANCE」(1985)

  • 2012/11/29(木) 00:00:00

BLIND VENGEANCE
【No.355】
★(2007)

Harry Hess(Vo/HAREM SCAREM)HAREM SCAREM結成前にDarren Smith(Ds/HAREM SCAREM)と共に活動していたバンドBLIND VENGEANCEが残した唯一のアルバム。1984年に発表した「A TASTE OF SIN」という作品をリミックス、ジャケットを差し替えて曲順を変更したのが本作です。ちなみにメンバーのクレジットを見るとドラマーにはTerry Josephという名前が記載されていて、メンバーショットを見ても若かりし頃のHarryは確認できますがDarrenは特定できないので本作の時点でDarrenはメンバーではなかったのかもしれません。

全10曲のうちHarryと他のソングライターによる共作が大半を占める本作で唯一Harryが単独で手がけた③ManikanにHAREM SCAREMの片鱗が垣間見られるものの、その③と①Night Musicを除いて②Leave Me Tonightに代表されるような荒々しさと勢いに任せた80年代メタルという感じなのでHAREM SCAREMのデビュー作で聴けたメロディックロックを期待すると肩透かしをくらうのは必至ですね。メンバー全員が10代の時に制作されたアルバムということもあってか全体的に野暮ったく感じられるし、Harryのボーカルに関しても一聴して彼の歌声だと分かりますが「THE EARLY YEARS」として2003年にリリースされた初期HAREM SCAREMのお蔵入り音源集以前に制作されたアルバムなので、その歌唱力は磨けば光るダイヤの原石状態といったところでしょうか。

英語で書かれた本作のブックレットによると、このバンドはライブでJUDAS PRIESTGreen Manalishi、The RipperIRON MAIDEN2 Minutes To Midnightなどをカバーしていたそうなので、そういう方向性を目指していたのだとは思いますが如何せんメロディにフックが不足しているため「そこそこアグレッシブなメタリックチューンが並ぶアルバム」以上の感想が出てこなかったりします(苦笑)。というわけでHarryがHAREM SCAREM以前にどんな音楽をプレイしていたのか聴いてみたいというファンなら興味をそそられるかもしれない1枚という印象なので、一般的にはあまりお薦めできませんね。僕自身、本作の購入動機が上記のような理由だったので買った当初に数回聴いた後はCDラックで眠っていました。今回の記事を書くために久し振りに聴いてみたのですが、残念ながら感想は変わりませんでしたね…。

【音源紹介】
・Leave Me Tonight

BLACK STAR「BLACK STAR」(2005)

  • 2012/11/24(土) 00:00:00

BLACK STAR
【No.354】
★★★★(2005)

HAREM SCAREM結成前からHarry Hess(Vo)BLIND VENGEANCEなるバンドで活動を共にしていたDarren Smith(Ds)がHAREM SCAREM脱退後に初めて発表した自身のバンドBLACK STARの1stアルバムで、海外ではDARREN SMITH BANDの「KEEP THE SPIRIT ALIVE」としてリリースされている作品。HAREM SCAREMの創設メンバーでもあるDarrenはパワフルなドラミングに加えてHarryとは一味違う荒々しく逞しい歌声をSentimental Blvd.(2nd「MOOD SWINGS」収録)とStaying Away(4th「BELIEVE」収録)で披露して人気を博していましたが、日本を除く地域ではバンド名をRUBBERに変えて発表した6th「RUBBER」(1999)に伴うツアー終了後に、自身がリードボーカルを務めるバンドJUICEに専念したいという理由でHAREM SCAREMを脱退してしまいました。それ以降は地元カナダの後輩バンドEMERALD RAINに助っ人ドラマーとして参加したとか、噂レベルではRalph Santolla(G)率いるMILLENIUMのシンガーに迎えられたという話を耳にした以外、彼の動向について伝わってこなかったので自分のバンドを率いてカムバックを果たしてくれたことが嬉しいですね。なお、本作のプロデュースをHarryが手がけているほか、Pete Lesperance(G)もゲスト参加するなどHAREM SCAREMのメンバーとは脱退後も良好な関係が続いているようです。

本作で聴けるのはHAREM SCAREMにも通じるメロディアスハードでありながら、よりオーソドックスなロックやブルーズの影響も感じさせるサウンドでHAREM SCAREMファンならば十分楽しめる内容だと思います。まず驚かされるのはDarrenがソングライターとしても非凡な才能を持っていたということ。尊敬するソングライターにHarryとPeteの名前を挙げるDarrenは「自分より彼等の方が良い曲を書くから」という理由で、HAREM SCAREM在籍時は自分の曲をメンバーに聴かせることすらなかったそうですが、なかなかどうして彼のインプットがあればバンドには良い意味で違う未来があったのではないかと思えるほどです。メロディのフックとノリの良さが絶妙なアップテンポ②Keep The Spirit Alive、Harryと共作した躍動感溢れる⑪Why Do Iは本家を凌駕するほどの出来栄えだと言えるのではないでしょうか。

BLACK STARはアルバム完成時には正式なバンドとなったようですが、レコーディング当初はDarrenのプロジェクトという位置付けだったこともあり②以外のドラムはDarrenが叩いています。そんな中途半端感はアルバム構成にも表れていて本編11曲中、BLACK STARのオリジナルは5曲であとはカバーソングとなっています。だからといって本作が散漫な内容になっているかと言うと、そうではありません。原曲が魅力的だからか、BLACK STARのオリジナル曲と同じように仕上げるだけの力量がバンドとプロデューサーのHarryにあったからか、はたまたその両方なのかはわかりませんが1枚のアルバムとして統一感があるんですよね。カバー曲で最も惹きつけられたのは70年代に活躍したというロックバンドNAZARETHのバラードを見事なロックチューンに料理した⑥Love Hurtsですね。その他にもCRUSHというバンドから③There You Go、⑤King For A Day、⑧Everybody Knowsが、John Boswellというソングライターから④When I Was You、⑦Still On My Radioがチョイスされていて、これら5曲はプロデューサーのHarryからDarrenに薦めたカナダ人アーティストのナンバーで、どれもが原曲を聴きたくなる佳曲だと思います。また本作にはボーナストラックとして、DarrenがHAREM SCAREMを辞める理由となったJUICEの音源が3曲収録されていますが、こちらはBLACK STARの曲に比べるとメロディのフックに乏しいため僕は退屈でした。参考資料として聴くならアリという感じですね。ちなみにJUICEに関してはラップを取り入れようとする他のメンバーと音楽性の相違が明らかになったためDarrenはバンドを脱退しているようです。JUICEの楽曲が蛇足気味ではありますが、総合的に見るとHAREM SCAREMの関連作品の中ではHarryとPeteのソロアルバムを差し置いて本作が一番好きですね。

【音源紹介】
・Why Do I

CREIGHTON DOANE「LEARNING MORE & MORE ABOUT LESS & LESS」(2005)

  • 2012/11/19(月) 00:00:00

LEARNIG MORE AND MORE ABOUT LESS AND LESS
【No.353】
★★★(2005)

Darren Smith(Ds)の後任ドラマーとして2000年にHAREM SCAREMに加入したCreighton Doaneによるソロ名義では2枚目となる作品。前任者が歌えるドラマーとして人気を博していたのに対してCreightonはHAREM SCAREMではドラムに徹していたこと、彼がバンドに加わったタイミングがRUBBERへの改名騒動の真っ只中だったこともあって地味な印象が強いですが、本作を聴いてイメージが変わりましたね。ソロアルバムということもあってドラムは勿論、ボーカル、ギター、ベースまでもプレイしているほか作曲やプロデュースまでもCreightonが手がけていてマルチプレイヤー振りを遺憾なく発揮。バックボーカルにHarry Hess(Vo)、ギターとベースの一部にPete Lesperance(G)というHAREM SCAREM組や他のミュージシャンがゲスト参加していますが、Creightonがほぼ一人で作り上げたアルバムといえるのではないでしょうか。

音楽性の方は本家のRUBBER期よりも更にライトなギターポップサウンドです。オープニングトラックの①True Love Storyを始めとした軽快に駆け抜けるアップテンポを軸にしながら、ある時はメルヘンチック、ある時はハートウォーミングな表情を見せるメロディの数々は非常に耳馴染みが良く全10曲40分足らずというコンパクトさも相俟って、何度もリピートしたくなりますね。飛び抜けた名曲こそないものの、⑤Overachieverなど聴いていて心地よい楽曲が多数存在しています。Creightonのボーカルについては強力な個性や圧倒的な上手さはない反面、少し鼻にかかった甘い歌声が楽曲と非常にマッチしていると思います。アルバム全編に爽やかな微風が吹いているような感じで、HAREM SCAREMとは一味違う魅力がありますね。

それにしてもHAREM SCAREMは各メンバーがソロとしても十分やっていけるだけの力量を持ったプレイヤーの集まりだったんだと再確認させられました。シンガーのHarryやギタリストのPeteといった中心人物以外のメンバーまでもが、こうしてソロアルバムを制作できるバンドはそうそうないと思います。これだけ高いミュージシャンシップを持つプレイヤー集団だったからこそ、バンドに固執することなく解散の道を選んだことも致し方ないのかもしれませんね。こうなってくるとBarry Donaghy(B)のソロも聴いてみたいところですが、HAREM SCAREMとして最後の公演となったFIREFEST直前のインタビューで解散の心境を尋ねられた時に彼は「レース用のカメを飼育したいと思ってる」と真顔で語っていたので難しいかもしれませんね(苦笑)。

【音源紹介】
・ごめんなさい。本作の音源を見つけることができませんでした。

PETE LESPERANCE「DOWN IN IT」(2004)

  • 2012/11/14(水) 00:00:00

DOWN IN IT
【No.352】
★★(2010)

Harry Hess(Vo)と並ぶHAREM SCAREMのブレインPete Lesperance(G)がHarryから約1年遅れで発表した1stソロアルバム。参加メンバーとしてはPeteがギターは勿論ボーカル、ベースも兼任しているほか数曲のバックボーカルにHarry、ドラムではCreighton DoaneといったHAREM SCAREMのメンバーを始めとするカナダ人ミュージシャンがサポートしています。以前からPete自身もソロを制作中で内容はギターアルバムになりそうだとインタビュー等で語っていたので、Mandy(2nd「MOOD SWINGS」収録)やBaby With A Nail Gun(4th「BELIEVE」収録)といったHAREM SCAREMのインスト曲が好きな僕としては期待を寄せていたのですが、完成したのは日本盤ボーナス⑫Trouble With Petsを除く全曲でPeteのボーカルをフィーチュアした歌もの作品でした。

このアルバムで展開されているのは、ドライな雰囲気の中で哀愁が滲むサウンドをベースに時折RUBBER時代を連想させるポップセンスが顔を出すモダンロックで、本家との共通点もありますが典型的なHAREM SCAREMらしさというよりは同郷カナダのモンスターバンドNICKELBACKのような北米のメインストリーム・ロックバンドに近い印象を持ちました。温かみのあるメロディをじっくり聴かせるAOR風だったHarryのソロ「JUST ANOTHER DAY」(2003)と本作をミックスすると確かに後期HAREM SCAREMになりそうな気もしますね。収録曲はミディアムテンポ主体でアルバムとしてのメリハリに欠けるため個々の楽曲としては飛び抜けたものがないように思いますが、ひとつの作品として聴くとなかなか心地よい作品となっています。楽曲単体として一番耳に残ったのは⑪Where You Want Meでしょうか。

そして驚かされたのがシンガーとして大きな成長を遂げたPeteの歌いっぷりで、HAREM SCAREMの6作目「RUBBER」(1999)収録のTripで初めてリードボーカルを担当していた頃とは雲泥の差ですね。ソロアルバムとはいえギターパートにスポットを当てるのではなくプロデューサー/コンポーザーそしてシンガーとしての顔も持つPete Lesperanceの魅力を凝縮した流石の1枚だと思わせてくれる一方、本作リリース前後のHAREM SCAREMやHarryのソロ作品と同じく手堅く無難にまとまり過ぎているため面白味に欠けるのも否定できません。一介のギタリストから総合的なミュージシャンへと進化を遂げたPeteが作り上げた本作も悪くないのですが、もしPeteが2nd「MOOD SWINGS」(1993)を発表した当時に持っていたであろうギラギラした野心を封じ込めたギターインスト作品を出してくれていたら…と夢見てしまうのも事実なんですよね。

【音源紹介】
・Where You Want Me

HESS「JUST ANOTHER DAY」(2003)

  • 2012/11/09(金) 00:00:00

JUST ANOTHER DAY
【No.351】
★★★(2010)

バンド名をRUBBERからHAREM SCAREMに戻してリリースした復活作「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)が好評を博し、イギリスで開催されるメロディックロックの祭典THE GODS FESTIVALにも初出演を果たしたHAREM SCAREMの中心人物Harry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)、Creighton Doane(Ds)、Darren Smith(Ds)といった現/元HAREM SCAREMメンバーや地元カナダのプレイヤー達のサポートを受けてHESS名義で発表した初のソロアルバム。ちなみにPeteは全曲に参加していますがHAREM SCAREM色が強くなりすぎてしまうという理由から主にアコースティックギターを担当しているようです。目を引くゲストとしてはEric Martin(Vo/ex-MR.BIG)①Look Right Through Meのバックボーカルで参加していますね(彼が歌っているとわかるのは曲がフェイドアウトする直前ですが…)。HAREM SCAREMでは、そのバンド名が一定のサウンドを連想させるため音楽性にある程度の制約があったことをバンドの歴史が証明しているので、より自由な環境で制作できるソロではどんな音を聴かせてくれるのかと思っていたところ、過去のHAREM SCAREM作品群の中でも今やキャリアの黒歴史となった感のあるRUBBER名義「ULTRA FEEL」(2001)に穏やかで大人びたアレンジを施した作風となっているように思います。

Harry自身が「最も自然に書けるタイプの曲」と語る②Wasted Awayに象徴されるHAREM SCAREM風のメロディがそこかしこで聴ける今回のアルバムと本家の違いを挙げるとすれば、本作の方がよりボーカルオリエンテッドで楽曲の装飾を排除したシンプルな仕上がりとなっている点でしょうか。僕のお気に入り曲はとにかくポップで前向きなフィーリングが心地よい③Everybody、シンプルなアレンジだからこそメロディのフックが浮き彫りになったバラード④Just Another Day、RUBBER期を思い出させるパワーポップ⑧WhyQUEENからの影響を感じさせるボーカルハーモニーをフィーチュアした⑨Miles Awayなどですね。また2nd「MOOD SWINGS」(1993)ではDarrenが歌っていた⑩Sentimental Blvd.をセルフカバーしていて、このアルバムのテイクは91年~92年に録音した音源を基本にしつつ歌とドラムを差し替えたもののようです。Harryが歌う本バージョンも興味深くはありますが、基本的には原曲に近いハードな印象なのでリラックスムードが漂う本作に必要だったのかは疑問が残りますね。

本家と比べるとパンチに欠けるように思いますが、これまでも類稀なるソングライティングのセンスを見せつけてくれていたHarryのソロ作品だけあってどの曲も繰り返し聴きたくなる魅力を持っていますね。日本盤ボーナスながらゆったりしたメロディがアルバムを締めくくってくれる⑪Up Hill Climbもなかなか効果的。ロックソングと呼べそうなのは⑧くらいだし、派手さはないもののメロディがじんわりと胸に沁みる1枚です。それにしても2002年に7th「WEIGHT OF THE WORLD」で復活して以降、同年にライブ盤「LIVE AT THE GODS」、2003年には本作に加えてHAREM SCAREMの初期音源集「THE EARLY YEARS」と新作「HIGHER」の3枚、2004年にはPeteが1stソロ「DOWN IN IT」をリリースするなど、HarryとPeteのワーカホリック振りには驚かされますね。

【音源紹介】
・Just Another Day

HAREM SCAREMのベストアルバム5作品

  • 2012/10/02(火) 00:00:00

僕の中でFAIR WARNING、GOTTHARD、TERRA NOVAと並ぶ「メロディック・ロック四天王」の一翼を担うHAREM SCAREMのオリジナルアルバム、ライブ/企画盤を紹介してきましたが最後は彼等が発表した5枚のベストアルバムに関する記事でHAREM SCAREM特集を締めくくりたいと思います。
まずは各ベスト盤のトラックリストと簡単な感想から。

THE BEST OF
「THE BEST OF」(1998)

【トラックリストと収録作品】
01. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
02. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
03. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
04. Blue(3rd「VOICE OF REASON」)
05. Believe(Kevin Elson Mix)(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
06. Rain (Full Band Version) (4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
07. Turn Around(5th「BIG BANG THEORY」)
08. Staying Away(Kevin Elson Mix)(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
09. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
10. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
11. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
12. So Blind(Kevin Elson Mix)(5th「BIG BANG THEORY」)
13. Tables Turning(Kevin Elson Mix)(5th「BIG BANG THEORY」)
14. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
15. Morning Grey(Kevin Elson Mix)(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
16. New Religion(Remix)(「LIVE AT THE SIREN」)
17. What I Do(未発表曲)
デビュー作「HAREM SCAREM」(1991)~5th「BIG BANG THEORY」(1998)までの楽曲からなるバンド初のベストアルバム。押さえるべき楽曲は概ね収録されているし、最初のベスト盤ということもあって「彼等のベストと言えば本作」という印象が強いですね。シングルカットもされた未発表曲⑰はインダストリアルな雰囲気漂うロックソングで当時のバンドはこういうモダンな方向性を目指していたことが窺えます。また既発曲は全てリマスターされているほか、4th「BELIEVE」収録曲の大半と5th「BIG BANG THEORY」の代表曲⑫などにリミックスが施されていてオリジナル盤とは異なる仕上がりとなっています(僕はオリジナルミックスの方が好みですが)。

BALLADS.jpg
「BALLADS」(1999)

【トラックリストと収録作品】
01. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
02. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
03. Something To Say(1st「HAREM SCAREM」)
04. Stranger Than Love(2nd「MOOD SWINGS」)
05. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Just Like I Planned(2nd「MOOD SWINGS」)
07. Mandy(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Let It Go(3rd「VOICE OF REASON」)
09. Necessary Evil(3rd「VOICE OF REASON」)
10. Rain(4th「BELIEVE」)
11. Hail, Hail(4th「BELIEVE」)
12. The Mirror(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
13. In My State Of Mind(5th「BIG BANG THEORY」)
14. Without You(シングル「SO BLIND」)
15. More Than You'll Ever Know(「LIVE IN JAPAN」)
16. Remember(未発表曲)
17. Why(未発表曲)
6th「RUBBER」(1999)に伴う来日の記念盤として発表されたバラードベスト。収録曲の大半が「THE BEST OF」と異なっているにもかかわらず、バラードという枠の中でこれだけ多彩な楽曲を揃えられるHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)の作曲能力の高さには脱帽ですね。ちなみにHarryは自他共に認めるバラードライターで、本作のオープニングを飾るバンドの代表曲①を弱冠17歳で書き上げたという有名なエピソードがあるほどです。未発表曲はどちらもなかなかの佳曲で僕は特に後者が好きですね。

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「ROCKS」(2001)

【トラックリストと収録作品】
01. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
02. With A Little Love(1st「HAREM SCAREM」)
03. How Long(1st「HAREM SCAREM」)
04. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
05. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
07. Sentimental Blvd.(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
09. Believe(4th「BELIEVE」)
10. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
11. Turn Around(5th「BIG BANG THEORY」)
12. Climb The Gate(5th「BIG BANG THEORY」)
13. Sometimes I Wish(5th「BIG BANG THEORY」)
14. Stuck With You(6th「RUBBER」)
15. Trip(6th「RUBBER」)
16. If I'd Been Awake(未発表曲)
17. Going Nowhere(未発表曲)
「BALLADS」(1999)の約2年後にリリースされたロックソングベスト。アルバムタイトル、ジャケットからもわかるとおり、「BALLADS」と対になっている本作はRUBBER名義で発表された唯一のアルバム「ULTRA FEEL」(2001)の来日記念盤でもあります。選曲自体は手堅いものの僕の好きなロックチューンは「THE BEST OF」や翌年発表の「THE VERY BEST」で一通り聴けるので本作でしか聴けない楽曲に関して言うと、このバンドのロックソングとしては2番手に位置する佳曲でバラードの穴埋めをしたという印象も…。また新曲2曲についても⑯はどちらかというとバラード風で、ガツンと来るハードロックを期待していた身からすると作品の主旨から外れているように思えることもあって「BALLADS」と比べて満足感はやや低めだったりします。

THE VERY BEST OF HAREM SCAREM
「THE VERY BEST」(2002)

【トラックリストと収録作品】
01. Freedom(未発表曲)
02. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
03. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
04. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
05. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
07. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
08. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
09. Blue(4th「BELIEVE」)
10. Believe(4th「BELIEVE」)
11. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
12. Rain(4th「BELIEVE」)
13. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
14. Climb The Gate(5th「BIG BANG THEORY」)
15. Turn Around(5th「BIG BANG THEORY」)
16. Without you(シングル「SO BLIND」)
17. Stuck With You(6th「RUBBER」)
18. Draggin' Me Down(RUBBER名義「ULTRA FEEL」)
改名騒動の末に再びHAREM SCAREMとして活動していくことを表明した記念に(?)リリースされたベスト盤。「THE VERY BEST」と銘打っているだけあって、デビュー作からRUBBER名義の「ULTRA FEEL」までの全アルバムから選曲されているので網羅性は過去最高です。ただし収録曲を見ると新曲①を除く17曲中12曲は「THE BEST OF」でも聴けるので7th「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)でHAREM SCAREMに興味を持った新規ファン向けの1枚という印象が強いですね。「THE BEST OF」との差別化としては、デビュー作のオープニングにして名曲の②が収録されている点とアルバム順に曲が並んでいるのでバンドの音楽性が変化していくのを楽しめることでしょうか。

THIS AINT OVER BEST OF AVALON YEARS
「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」(2009)

【トラックリストと収録作品】
01. Weight Of The World(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
02. Next Time Around(10th「HUMAN NATURE」)
03. Higher(8th「HIGHER」)
04. Days Are Numbered(11th「HOPE」)
05. Don't Come Easy(9th「OVERLOAD」)
06. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
07. Watch Your Back(11th「HOPE」)
08. Human Nature(10th「HUMAN NATURE」)
09. Give It To You(8th「HIGHER」)
10. If You(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
11. Shooting Star(11th「HOPE」)
12. Afterglow(9th「OVERLOAD」)
13. Voice Inside(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
14. Daggar(9th「OVERLOAD」)
15. Lost(8th「HIGHER」)
16. This Ain't Over(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
17. Tomorrow May Be Gone(10th「HUMAN NATURE」)
18. If There Was A Time(アコースティックバージョン)
19. Honestly(アコースティックバージョン)
バンド名をRUBBERからHAREM SCAREMに戻した7th「WEIGHT OF THE WORLD」~ラストアルバム11th「HOPE」までの作品から選ばれたバンド後期としては唯一のベストアルバム。7作目以降は1枚のアルバムとして聴いた時に物足りなさを感じることも少なくなかったのですが、こうして選りすぐりの楽曲群を聴くと改めてメロディ作りの上手さにうならされますね。「この曲よりもあちらが聴きたかった」というものも2~3曲ありますが、この内容であれば文句なし。バンド後期については各アルバムに好きな曲が点在している印象を持っていた僕にとっては非常にありがたいアイテムですね。本編の後に収録されている既発曲のアコースティックバージョン2曲は日本未発売の企画盤「MELODICROCK EP」(2008)からのテイク。前者は初のアコースティクアレンジ、後者はアコースティクギター・バージョンだった「LIVE AND ACOUSTIC」(1994)のテイクとは、一味違うピアノバージョンで今回も見事な出来栄えです。

以上、各アルバムを振り返ってみると1991年にデビューしてから2008年に解散するまでの約17年間でベスト盤を5枚も発売していて供給過多の感は否めません。特に1997年~2002年の間にRUBBER名義を含めるとスタジオアルバム5枚、ベスト盤を4枚、ライブ作品を3枚、B面曲を集めた企画盤、90年代後半には複数のシングルがリリースされているため、どうしても食傷気味になってしまいますね。当時のHAREM SCAREMは3rd「VOICE OF REASON」(1995)がバンドの作品に対する満足感とは裏腹にセールス面で失敗に終わったため、レーベル側が制作に介入した4th「BELIEVE」(1997)を発表するなどしていたので、作品濫発の原因はレコード会社にあるのだとは思いますが…。
ベスト盤5作品に話を戻すと、これからこのバンドを聴くという方に1枚だけ選ぶとすれば網羅性の高さとバランスの良さから「THE VERY BEST」、もし2枚選べるなら、これと「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」をお薦めしたいですね。この2枚を聴けばHAREM SCAREMの11枚とRUBBFR名義を合わせた全12アルバムの収録曲を一通り押さえることができるので。また、バンドの初期~中期を深堀りしたいという場合には「BALLADS」と「ROCKS」が最適ではないでしょうか。個人的に最も満足感が高かったのは「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」ですが、これはバンド後期に絞ったベスト盤なので、HAREM SCAREMに初めて触れるという方にはChange Comes AroundHonestlyといった初期の名曲をまずは聴いていただきたいですね。

というわけで最後に僕が選ぶHAREM SCAREMのロック/バラードベストそれぞれ15曲を曲順も一応考えてピックアップしてみました。YouTube上で音源が公開されているものについてはリンクを貼っています。

【ROCK SIDE】
01. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
キャッチーなメロディ、テクニカルかつ歌心溢れるギター、分厚いコーラス、先の読めない展開などHAREM SCAREMサウンドの全てを詰め込んだ超名曲。彼等の楽曲群の中で一番好きな曲です。
02. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
デビューアルバムのオープニングを飾るハードポップナンバー。ライブで演奏されることも多いバンドの代表曲です。
03. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
典型的なHAREM SCAREM流ロックソング。爽やかな曲調の中、絶妙なバランスで配合された哀愁が堪りません。
04. All I Want(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
キャッチーでメロディアスなサビが強力。初めて聴いた時から一緒に歌っていた記憶があります。
05. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
ライブで必ずと言っていいほど演奏されるバンドを代表する1曲です。オリジナルもさることながら、解散したバンドが日本のために再び集結して新たに提供してくれた「ONE FOR ALL ALL FOR ONE 東日本大震災チャリティ・アルバム」(2011)収録バージョンも実に感動的。
06. If You(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
従来のハーレムサウンドとは意図的に距離を置き、パワーポップに傾倒していたRUBBER期を経た後だからこそ生まれた名曲。「If you never go away, how can I, can I miss you~♪」というウィットの効いた歌詞も良いですね。
07. Baby With A Nail Gun(4th「BELIEVE」)
一度聴いただけで口ずさめてしまうメロディを持ったギターインスト。Peteのソロ作品ではこういうタイプの曲がもっと聴きたいですねぇ。
08. Weight Of The World(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
バンド名をHAREM SCAREMに戻した復活作「WEIGHT OF THE WORLD」のオープニングにしてタイトルトラック。「MOOD SWINGS」に近い音楽性になるという宣言通りのハードロックサウンドが展開されるこの曲でアルバムが幕を開けた時点で、テンションが上がったことは言うまでもありません。
09. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
これまでとは印象の異なるパワーポップ調に移行し始めた「BIG BANG THEORY」のリードトラック。メロディの組み立ての上手さが抜群ですね。
10. Staying Away(4th「BELIEVE」)
HarryではなくDarren Smith(Ds)がリードボーカルを務めた哀愁のドライヴィングチューン。Darrenのラフな歌声がマッチしています。
11. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
Change Comes Aroundと並ぶ「MOOD SWINGS」の代表曲にしてバンドが誇る至高のハードロックナンバー。僕とHAREM SCAREMの出会いはこの曲でした。
12. Give It To You(8th「HIGHER」)
If Youと同系統の軽快なパワーポップチューン。サビは勿論、そこに至るまでのメロディも僕の琴線を刺激してくれます。
13. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
「WEIGHT OF THE WORLD」のオープニングに配されたタイトル曲が持つハードな質感とは対照的にポップなナンバー。どことなくデビュー作を彷彿とさせるキャッチーなメロディが一発で耳に残ります。
14. Empty Promises(2nd「MOOD SWINGS」)
「MOOD SWINGS」特有のダークな緊張感が色濃く出た1曲。このバンドならではのコーラスワークが歌うサビの哀メロもグッド。
15. Tomorrow May Be Gone(10th「HUMAN NATURE」)
後期HAREM SCAREMの中で一番好きなロックナンバー。フックに満ち溢れた旋律美がもたらしてくれる高揚感が最高です。

【BALLAD SIDE】
01. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
HAREM SCAREM最高のハードロックがChange Comes Aroundだとすればバラードはこの曲で決まりです。バラード作りの天才Harry Hessの真骨頂。
02. Stranger Than Love(2nd「MOOD SWINGS」)
ドラマティックでスケールの大きな1曲。バラードと捉えていいのか迷う面もありますが「BALLADS」にも収録されていたのでバラード扱いとしました。そんな分類などお構いなしに優れたナンバーだと思います。
03. Higher(8th「HIGHER」)
丁寧に紡がれる繊細なメロディが胸に沁みます。「HUMAN NATURE」のボーナストラックとして収録されたアコースティックバージョンも秀逸。
04. Rain(4th「BELIEVE」)
バンドを代表するアコースティックバラード。温かさに満ちた至福のメロディにただただ酔いしれるのみ。
05. Tables Turning(5th「BIG BANG THEORY」)
「Love me~♪」と歌うサビで感情を一気に爆発させるパワーバラード。このバンドにしては珍しいオルガンサウンドもはまっています。
06. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
美しいイントロからHarryのハイトーンへと至る流れで勝負あり。この曲におけるギターソロはPete Lesperanceの名演のひとつですね。
07. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
デビュー当時のAOR路線を代表するバラード。HR/HMファンに限らず、幅広い層にアピールできそうな大衆性を備えた1曲です。
08. In My State Of Mind(5th「BIG BANG THEORY」)
ビアノとボーカルのみで聴かせるシンプルな一品。余計な装飾がない分、より一層メロディが胸に迫ってきます。
09. Shooting Star(11th「HOPE」)
最後のアルバム「HOPE」に収録された往年の名曲に勝るとも劣らない1曲。哀愁/泣きのメロディが大きな感動をもたらしてくれます。
10. Mandy(2nd「MOOD SWINGS」)
2分弱の短い曲でありながらドラマティック極まりないギターインスト。聴き手のイマジネーションを刺激しつつ、聴き終える頃には爽やかな余韻を残してくれます。
11. This Ain't Over(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
Harryの温かみのある歌声を最大限に活かした王道的な1曲。5枚目のベスト盤のタイトルがここから取られたことにも納得できる後期HAREM SCAREMを代表するバラードですね。
12. Never Have It All(5th「BIG BANG THEORY」)
そこかしこにQUEENへの敬意が感じられるナンバー。Harryの力強い歌唱とともに後半に進むにつれて劇的になっていく展開も感動的です。
13. Just Like I Planned(2nd「MOOD SWINGS」)
バンドの特徴のひとつであるボーカルハーモニーに焦点を当てたアカペラソング。こういう曲ができるのも彼等ならではの強みですね。
14. Something To Say(1st「HAREM SCAREM」)
アコースティックギターのリリカルな調べに導かれ、清らかなサビへと繋がっていくデビュー作の本編ラストナンバー。どうしてもHonestlyに注目が集まりがちですが、この曲も隠れた名バラードだと思います。
15. Nothing Without You(11th「HOPE」)
バンドのキャリアを締めくくったラストアルバム「HOPE」の本編エンディング曲。派手さはないものの、じんわりと感動をもたらしてくれるナンバーです。

こうして見ると5枚のベスト盤に収録されていないのは30曲の中でEmpty Promises、Baby With A Nail Gun、Never Have It All、All I Want、Nothing Without Youの5曲だけなので、かなりベタなチョイスになってしまいました。上記30曲以外にもこのバンドには良い曲がたくさんあるので、このブログがきっかけとなって一人でも多くの方にHAREM SCAREMを聴いてくれると嬉しいですね。「足りないのは名声だけ」という帯タタキの名盤2nd「MOOD SWINGS」で日本デビュー、結局最後まで名声を得られなかった彼等ですがHAREM SCAREMこそ僕にとって「カナダ最強のハードロックバンド」です。

【CD購入録】STRIKER「ARMED TO THE TEETH」(2012)

  • 2012/09/24(月) 00:00:00

【CD購入録】
ARMED TO THE TEETH
STRIKER「ARMED TO THE TEETH」(2012)

カナダから現れた正統派メタルのニューアクトSTRIKERの2作目にデビューアルバム「EYES IN THE NIGHT」(2010)とEP「ROAD WARRIOR」(2008)がカップリングされた初回限定盤を買いました。最近ひとつのムーブメントとなっている感のあるNWOTHM(NEW WAVE OF TRADITIONAL HEAVY METAL)にカテゴライズされるこのバンドは2枚のアルバムとEPで、愚直なまでに潔いメタルサウンドを貫いていますね。個人的にはもう少しキャッチーさやクサいメロディが欲しいところですが彼等のサウンドには攻撃性に溢れた疾走感、ザクザク刻まれるリフや楽曲に山場を生み出すギターソロ、そして線は細いながらもハイトーンシャウトを連発するボーカルといったメタル好きのツボを押さえる要素が揃っているので聴いていて気持ちいいです。現時点でのお気に入りは2ndの⑤Fight For Your Life、1stの⑥Voice Of Rock、EPの⑤The Keg That Crushed New Yorkですね。

HAREM SCAREM「HOPE」(2008)

  • 2012/09/21(金) 00:00:00

HAREM SCAREM HOPE
【No.345】
★★★(2008)

自主制作の11曲入りデモ音源(2003年にボーナス4曲を追加して企画盤「THE EARLY YEARS」として発売)が大手レーベルWARNERの目に留まり1991年に本国カナダでデビュー後、2nd「MOOD SWINGS」(1993)で日本上陸を果たすと一気にブレイクしたものの、続く3rd「VOICE OF REASON」(1995)が日本受けしないグランジ路線だったことからケチがつき始め、改名騒動など紆余曲折あったHAREM SCAREMのラストアルバムにして通算11枚目の作品(RUBBER名義を除く)。前作「HUMAN NATURE」(2006)に伴うツアーで来日した時には、あと1枚のアルバムを制作した後に解散することが決まっていたため、メンバーも本作をレコーディングする前から「最後にスペシャルな作品を残したい」と語っていましたが、いざ聴いてみるとここに「特別な何か」と呼べる要素はなくHAREM SCAREMというバンドの現在進行形の姿が収められています。前作はハーレムサウンドの中でもポップで明るい側面が表れていたのに対して本作は一般的に問題作扱いされることが多いものの、実はHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)が揃って好きな作品に挙げる3rd「VOICE OF REASON」(1995)に通じる陰りのあるムードが強まっていて、過去作品の中では9th「OVERLOAD」(2005)に近いように感じました。最後だからと気負うことなく自分達のやりたいように仕上げてきた辺りがHAREM SCAREMらしいなと思う一方で、初期2作品のサウンドに思い入れがある身としては少し寂しくもありますね。

アルバム全体の印象としては近作と同じく、ヴァース~ブリッジでは抑制気味な感情をサビで爆発させるような流れのミディアムテンポが主体となっていて、熟練の域に達したソングライティングに舌を巻く場面も少なくありません。ギターとドラムの絡みが面白いパートから哀愁のサビに繋がる②Time Bomb、これぞハーレム節なアップテンポ④Days Are Numberedもさることながら本作最大の聴きどころはアルバム終盤ですね。過去の名バラード群に勝るとも劣らない感動をもたらしてくれる⑧Shooting Star、本作の中でも僕が思い描くHAREM SCAREM流ロックに最も近い⑨Calm Before The Storm、派手さはないもののメロディが胸に沁みるアコースティックバラード⑩Nothing Without Youと続く展開は素晴らしいの一言。そんな余韻を引き継ぐボーナストラック⑪Stranger Than Love(「MOOD SWINGS」収録)のアコースティックバージョンも含めて、この流れは本作の締めくくりだけでなくバンドの最後の花道を見事に飾ってくれています。

メンバーはバンド解散の理由を「HAREM SCAREMとしてできることはやり尽くした。これ以上続けていても同じことの繰り返しになってしまうから」と語っていますが、僕も8th「HIGHER」(2003)辺りから同じようなことを感じていました。一般的に見ると十分魅力的である反面、アルバム全体に漂う安定感がマンネリに繋がっているというか…。そういうこともあって、バンドが解散を発表した時も驚きよりも「遂にその時が来たか…」というのが率直な感想でした。そして本作を聴き終えてみても、解散を惜しむ以上にお疲れ様でしたという言葉が出てきます。HR/HM歴2年目の1996年に出会って以降、一時期迷走はしたものの僕のミュージックライフにおいて大切なバンドのひとつでした。素晴らしい音楽を届けてくれたカナダ最強のハードロックバンドHAREM SCAREMに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう、HAREM SCAREM!

【音源紹介】
Shooting Star

HAREM SCAREM「RAW AND RARE」(2008)

  • 2012/09/15(土) 00:00:00

RAW AND RARE
【No.344】
★★(2008)

10thアルバム「HUMAN NATURE」(2006)リリース後にD.C. Cooper(Vo/ex-ROYAL HUNT)率いるメロディックメタルバンドSILENT FORCEとのやや異色なカップリングという形で約5年振りの来日が決定したHAREM SCAREMでしたが、来日公演の2ヶ月前に「もう1枚のスタジオアルバムを制作した後にバンドはそれぞれ別の道を進むことを決めた。今回のツアーが最後の公演となる」とHarry Hess(Vo)が電撃発表してファンを驚かせました。本作は来日ツアーから約1ヶ月後の2007年10月27日に英国ノッティンガムで開催されたメロディックロックの祭典「FIREFEST Ⅳ」に出演した事実上のラストライブを全曲収録した作品で、バンド通算5枚目となるライブ盤です。内容は当日の模様に加えて、映像と音は良いとは言えませんが1994年の「MOOD SWINGS TOUR」からの12曲やバックステージ、最終公演前に行われたインタビューなどの貴重映像を収録したDVDと「FIREFEST」の音源をそのまま収めたCDの2枚組となっています。「FIREFEST」の映像を見て、まず感じたのはHarryを始めとする各メンバーの表情がラストライブだとは思えないほどリラックスしているということ。ベーシストBarry Donaghyに至っては「巨根」とプリントされた黒Tシャツという出で立ちです(苦笑)。最終公演当日のインタビューでも「I quit the band now I just play with myself」と書かれた赤いTシャツを着ていたBarryは、こういうのが好きなんでしょうね。

【トラックリストと収録アルバム】
LIVE AT FIREFEST Ⅳ
01. Dagger(9th「OVERLOAD」)
02. Human Nature(10th「HUMAN NATURE」)
03. Caught Up In Your World(10th「HUMAN NATURE」)
04. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
05. With A Little Love(1st「HAREM SCAREM」)
06. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
07. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Don't Come Easy(9th「OVERLOAD」)
09. Voice Of Reason(3rd「VOICE OF REASON」)
10. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
11. Karma Cleansing(4th「BELIEVE」)

1994 MOOD SWINGS TOUR
01. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
02. Empty Promises(2nd「MOOD SWINGS」)
03. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
04. Sentimental Blvd.(2nd「MOOD SWINGS」)
05. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Mandy(2nd「MOOD SWINGS」)
07. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Distant Memory(1st「HAREM SCAREM」)
09. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
10. Stranger Than Love(2nd「MOOD SWINGS」)
11. Guitar Solo
12. Had Enough(2nd「MOOD SWINGS」)

同年9月に行われた最後の来日公演では「FIREFEST」と同じ11曲の他にも1st「HAREM SCAREM」(1991)収録のHard To Love、Honestly、2nd「MOOD SWINGS」(1993)収録のChange Comes Aroundといったバンド初期の人気ナンバーもプレイしたようですが「FIREFEST」のセットリストを見る限り、これを最終公演とするにはかなり微妙な選曲ですね…。バンドの歴史を総括する趣向が凝らされているわけではないし①Dagger、②Human Natureという佳曲ではあるが掴みとしては強力と言い難い前作「OVERLOAD」(2005)と最新作収録の2曲からライブがスタートしていることもあって、このツアーが新作を出した後に行うライブ以上でも以下でもないという印象が強いです。それに加えて演奏と歌の両方が淡泊なのも気になりますね。音圧の低いパワーポップに傾倒していた「LAST LIVE」(2000)、バンド名をHAREM SCAREMに戻してハードロックの質感を強めていた「LIVE AT THE GODS」(2002)という最近のライブ盤2作品でそうだったように、このバンドはその時に目指している音楽性がライブに反映されることが多かったのですが、その傾向は本作にも見られるように思います。堅実かつ無難である反面エキサイトメントに欠け、どうにも熱くなれないんです…。

そんな僕にとっては特典映像の「1994 MOOD SWINGS TOUR」の方が数段魅力的だったりします。映像自体は会場の後方から固定カメラで撮影されたものなので画面下半分は観客で隠れ、メンバーの姿は上半身しか見えませんが今のバンドが失ってしまったエネルギーと緊張感に溢れています。世界で最もHAREM SCAREMを評価していたと言っても過言ではない日本では、特に人気の高い2nd「MOOD SWINGS」(1993)を完全再現するとか、RUBBER期を含めた全作品からのベストライブを行うなどのファンサービスをして欲しかったですね。グランジ寄りのサウンドからパワーポップまで音楽面ではその時々に興味を持ったサウンドを積極的に取り込み、毎回一定レベル以上のアルバムを作り上げる器用さを持っていたバンドですが、ファンの心を掴むことに関しては不器用だったと言わざるを得ません。これがラストツアーであることなどお構いなしに自然体で素のライブ収めたパートを「RAW」、1994年の秘蔵ライブ映像などで構成されるパートを「RARE」と考えると本作のタイトルにも納得できるものの、メインである「RAW」パートを見ても感慨深くなることがなく魅力薄だというのがファンとして何とも歯痒いですね。

・Human Nature(Live)


・Saviors Never Cry(Live)

本作とは異なるテイクです。

HAREM SCAREM「HUMAN NATURE」(2006)

  • 2012/09/07(金) 00:00:00

H SCAREM H NATURE
【No.343】
★★★(2006)

過去のドタバタ劇が嘘のように7th「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)で復活して以降、コンスタントに安定感ある作品をリリースしているHAREM SCAREMの10thアルバム。近年の作品は悪くはないけれど楽曲の振り幅が狭く、メロディも地味なため各曲を取り出して聴くとそれなりに楽しめる一方でアルバムとしてはインパクトに欠けるという印象を持っていたのですが今回はなかなか好感触です。「ファンが求める初期2作品の音楽性を目指した」とHarry Hess(Vo)が語る通り、前作「OVERLOAD」(2005)では希薄だった気持ちを高揚させてくれるメロディや爽快感はグッと強まっているし、バンドのトレードマークでもあるコーラスワークも分厚くなっていますね。なおバックボーカルにはTony Harnell(Vo/ex-TNT)のほか、今回も元メンバーのDarren Smith(Ds)が参加しています。

2nd「MOOD SWINGS」(1993)の頃を連想させるギターで始まり「ヒュー!マァン!ネェ~ェイチャ~♪」という覚えやすいサビに繋がるタイトルトラック①Human Nature、バンドのダーク/シリアス路線の代表曲No Justice(「MOOD SWINGS」収録)をポップに仕上げたかのような②Next Time Aroundという冒頭2曲がポジティブな雰囲気を放っているため、全体的にドンヨリしていた前作とは印象が大きく異なりますね。また本作はアルバム後半に進むにつれて楽曲のテンションが上がっていくので、近作で見受けられたダレを誘う場面も減少しています。個人的には伸びやかなサビが特徴の⑨Starlight、バンドの爽やかな持ち味を活かした⑩Going Under、フック満載のメロディで本編を締めくくってくれる⑪Tomorrow May Be Goneがハイライトですね。

アルバム全体としても王道のメロディックロックを軸にしつつメランコリックなバラード、前作に通じるモダンロック調からQUEENへのリスペクトが滲む⑦Give Love/Get Loveまで粒が揃っていて、ガツンと来るハードロックこそないもののHAREM SCAREMらしさが随所に感じられるのも好ポイント。これまで以上に歌ものアルバムという印象が強い本作に相応しいボーナストラック⑫Higherは8th「HIGHER」(2003)のタイトル曲のアコースティックバージョンで、オリジナル以上に繊細なメロディが胸に沁みる好アレンジだと思います。正直なところマンネリ感を拭いきれていなかったり、どこかで聴いたフレーズが散見されるのも事実ですが過去2作品では行われなかった来日公演が本作発表後に実現したことにも納得の充実盤ですね。

【音源紹介】
・Next Time Around

HAREM SCAREM「OVERLOAD」(2005)

  • 2012/08/28(火) 00:00:00

OVERLOAD
【No.342】
★★(2005)

前作「HIGHER」(2003)発表後もPete Lesperance(G)が初のソロアルバム「DOWN IN IT」(2004)を、本作と同じ2005年にはCreighton Doane(Ds)が通算2枚目となるソロ作品を発表、Harry Hess(Vo)はCreightonの前任ドラマーDarren Smith率いるBLACK STARのアルバムプロデュースを手がけ、Barry Donaghy(B)もCDこそ発売していないものの自身のプロジェクトで精力的に活動するなど、各メンバーが多忙な日々を送るHAREM SCAREMの9作目(RUBBER名義を含めれば記念すべき10枚目)となるアルバム。今やベテランバンドの域に入りつつある彼等はこれまでも基本線を守りながら作品毎に異なる表情を見せてくれていましたが、今回は3rd「VOICE OF REASON」(1995)にも通じる内省的でダークな印象が強くHAREM SCAREM流モダンロックと呼べそうな作風に仕上がっていますね。作品イメージとしてはPeteのソロ「DOWN IN IT」に近いような気がします。

前作のオープニング曲Reach同様、掴みとしては微妙ながらもサビメロが耳に残るミドル①Daggerに続く近年のパワーポップ路線を継承した②Afterglowへ至る流れ、一際キャッチーな響きと風変わりなリズムギターが面白い④Don't Come Easy、メタリックなリフから②に通じる威勢の良さが弾ける⑥Forgive & Forget、Harryが情感を込めて歌い上げるバラード⑧Leading Me Onなどは結構好きですね。ただ、前作(特に後半)でも感じられた作品全体を覆うメリハリのなさが気になります。楽曲単体としては流石のクオリティを備えてはいるものの、1枚のアルバムとして聴くとどうにも単調に思えてしまうんですよね。収録曲の大半が静かに始まりヘヴィにうねるギターを従えながら地味に展開していき、サビでHAREM SCAREMらしいメロディが聴けるという画一的な曲構成となっていることが影響しているのかもしれません。これまで無名のバンドが本作をリリースしたのならば「なかなかいいね」と思えたんでしょうけれど、HAREM SCAREMのアルバムとして見ると物足りなさが残ります。

またHarry自身が書いたライナーノーツの曲解説を読んでいると、湧き出た曲のアイデアをじっくり練り上げることをあまりせずにアルバムに収録しているように感じられるのも気になりました。他のアーティストのプロデュースを手がけることも多く、HAREM SCAREM以外にも常にレコーディング作業を行っているHarryとPeteは元々そういう手法でソングライティングをしてきたのかもしれませんが、更に時間をかけてマテリアルを厳選することで作品の印象をもっと良くすることができたように思うのですが…。同じくダークな路線だった3rdに比べると印象的なメロディはこちらの方が多いし歌や演奏、楽曲に大きな弱点は見当たらないのに盛り上がることなくアルバムが終了してしまっているのが残念。BURRN!誌のレビューで小澤さんが本作を「Bサイドコレクション」と表現しているのを見ても、それに反論するだけの決め手もないため言い得て妙と納得してしまう…そんな1枚です。

【音源紹介】
・Don't Come Easy

HAREM SCAREM「HIGHER」(2003)

  • 2012/08/21(火) 00:00:00

H SCAREM HIGHER
【No.341】
★★★(2003)

改名騒動の末、HAREM SCAREM名義で発表した前作「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)は多くのファンが求める2nd「MOOD SWINGS」(1993)を彷彿とさせるサウンドをベースに、これまでのキャリアを総括したかのようなバンドの音楽性が見事に結実した傑作でした。本作はHAREM SCAREMとして復活してから2作目、通算8枚目のアルバムです(RUBBER名義を除く)。前作で文字通りの復活を果たしたとはいえ、このバンドにはファンの期待と異なる大胆な方向転換をした前科(苦笑)があるので本作を聴くまで彼等が本当に帰ってきてくれたのか懐疑的でしたが基本的には「WEIGHT OF THE WORLD」の延長線上にあり、一段とメロディアスな作品に仕上がっていると思います。また、2000年にバンドを脱退したDarren Smith(Ds)が前作に続いてバックコーラスで参加していてバンド初期の質感を出すことに貢献しています。

まず印象的なのはアルバム全編に溢れるポジティブフィーリングで、前作発表後もライブアルバム「LIVE AT THE GODS 2002」(2002)、Harry Hess(Vo)のソロ「JUST ANOTHER DAY」(2003)、バンドの初期音源集「THE EARLY YEARS」(2003)と精力的な活動を続けてきたバンド状態の良さを象徴しているかのようですね。アルバムの幕開けとしてガツンとくるインパクトは不足しているものの「Reach For The Sun~♪」の伸びやかなサビが印象的な①Reach、程よい哀感が堪らない②Waited、前向きなポップロックチューン③Torn Right Out⑥Run And Hide、RUBBER路線を継承した新たな名曲④Give It To You、淡々としていながら丁寧に美しいメロディを紡いでいくバラード⑤Higherといったアルバム前半はなかなか充実していますね。

ただし「MOOD SWINGS」ばりのハードロックにバラード、インストからパワーポップに至るまでバラエティ豊富だった前作に比べると、今回は④を除いてミディアムテンポ/バラード系が主体となっているため起伏に乏しく感じられるのも事実。日本盤ボーナスを含めて全11曲で40分弱というコンパクトな作品でありながら、どうにも淡泊に感じられて後半は聞き流してしまいがちだし、フェイドアウトがやや唐突な曲が多いのも気になります。勿論、楽曲単体で見れば流石のクオリティを備えているので、他のバンドの曲とシャッフルしながらiPodで聴いている時に本作の曲が流れてくると素直に良いと思えるものばかりなんですけどね。かつてのバンドから感じられた僕の心を熱くしてくれる「何か」が欠けている気もしますがハーレムサウンドを構成する要素をきっちり押さえ、熟練の域に達したソングライティングチームが生み出す楽曲は安定感抜群なので本作は堅実で無難ながら良質なメロディが詰まった1枚だと思います。

【音源紹介】
・Higher