WITHIN TEMPTATION「THE UNFORGIVING」(2011)

  • 2017/07/23(日) 00:00:00

THE UNFORGIVING
【No.497】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第6位

前作「THE HEART OF EVERYTHING」(2007)で従来のゴシックメタルに大衆的な親しみやすさを加味し、更なる進化を遂げたWITHIN TEMPTATIONの5作目。リーダーのRobert Westerholt(G)によると「THE HEART OF EVERYTHING」の出来にかなり満足しているようで「通常のアルバムを作るという意味ではやりきった」と感じたことから、今回はバンド初のコンセプトアルバムであるだけでなく、そのストーリーと連動したコミックを出版するという意欲作となっています。ジャケットはアメコミ風のイラストで、インタビュー記事のメンバー写真を見ても従来にはなかった軽いノリになっているためバンドイメージに変化が見られるものの最大の武器であるメロディセンスは衰えるどころか更に磨きがかかっていますね。

今や厳かなゴシックメタル的ムードは大きく減退、シンフォニックアレンジの効いたメロディアスHR/HMとなっているため初期からのファンにとっては賛否両論ありそうですが僕は本作を聴いてWITHIN TEMPTATIONのファンになりました。今回はこれまで以上に楽曲の幅が広がっていて、このバンドにしては珍しく疾走感のあるロックチューン③In The Middle Of The Night、曲名通りの武骨さ、勇ましさと共に進行する⑥Iron、ディスコ調のサウンドを取り入れた⑧Sineadなどは、本作の多様性を象徴するナンバーだと思います。WITHIN TEMPTATIONの凄いところは新境地に挑戦しつつ、それを失敗に終わらせず魅力的に聴かせることができる点でしょう。僕にとってのハイライトはダンサブルな⑧とは対照的な熱唱系バラード⑨Lost、即効性は低いもののリピートするうちにジワジワくる⑩Murder、モダンサウンドを纏った哀愁ドライヴィングチューン⑪A Demon's Fateと続く後半の流れですね。

Sharon Den Adel(Vo)のボーカルについては、3rd「THE SILENT FORCE」(2004)辺りまでで披露していたエンジェリックボイスは控えめで、作風の変化に合わせるように力強く低音域で歌う場面が増えていますね。また音楽的にもメンバーのルックス的にも依然としてSharon推し全開ではありますが、短いとはいえギターソロが聴ける曲が増えたのも特徴でしょうか。本作はコンセプトアルバムではあるもののSEは①Why Not Meのみだし、大作も一切なくコンパクトな楽曲が並んでいるため小難しさは皆無。あくまで歌モノ作品として成り立っているのも好印象です。ゴシックメタルからメインストリーム系ロックへの飛躍のきっかけを掴んだ前作の流れを上手く発展させた充実盤だと思います。

【音源紹介】
Sinead

WITHIN TEMPTATION「THE HEART OF EVERYTHING」(2007)

  • 2017/07/11(火) 00:00:00

THE HEART OF EVERYTHING
【No.496】
★★★(2007)

「ナイチンゲールの声」と称される美声で聴く者を魅了する歌姫Sharon Den Adel(Vo)を擁するシンフォニック・ゴシックメタルバンドWITHIN TEMPTATIONの4thアルバム。「ナイチンゲールの声」という彼女の愛称は正直なところ意味がよくわからないのですが「ナイチンゲール=看護師=癒し」、つまりは癒しの歌声ということでしょうか。バンドの母国オランダといえば僕がHR/HMを聴き始めた90年代半ばは貴公子Robby Valentine(Vo、Key)のイメージが強かったものの2000年代に入ってロビー様の勢いが失速するのと入れ替わるようにWITHIN TEMPTATIONがヨーロッパでブレイク、その後もAFTER FOREVER、EPICA、DELAINなどが続々と登場し、今やオランダは僕の中でゴシックメタル大国となっています。そんなバンド勢の代表格でもあるWITHIN TEMPTATIONは僕が初めて聴いたこの手のバンドで、世間でも評価の高い2nd「MOTHER EARTH」(2000)、3rd「THE SILENT FORCE」(2004)もチェックしましたが荘厳な雰囲気を発散している一方で敷居の高さを感じてしまい、美旋律に酔いしれながらもそれほどハマることはありませんでした。

これまではお行儀よく纏まっていた感のある彼等ですが、今回はKeith Caputo(LIFE OF AGONY)なるシンガーがゲスト参加した②What Have You Doneを筆頭にHR/HMらしいダイナミズムが増していて聴きやすくなりましたね。「Sanctus Espiritus〜♪」と歌うラテン語のサビが耳から離れない④Our Solemn Hour、Sharonにしては珍しい低音域の歌唱をフィーチュアしたタイトル曲⑤The Heart Of Everything、アルバムの中でも一際キャッチーなメロディを持つ⑥Hand Of Sorrowと続く中盤も強力。そしてアルバム終盤には⑨All I Need、⑪Forgivenといった美しいバラードに加えて⑩The Truth Beneath The Roseのようにドラマティックかつ勇壮な楽曲もあって、美しさだけでなく力強さも感じられるのがこれまでの作品と異なる点でしょうか。

平たく言えばデビュー作「FALLEN」(2003)が世界的ヒットを記録したEVANESCENCEの要素を従来のゴシックメタルサウンドに加味したような作風ですが、結果的に僕好みの音楽性に変化しているのが嬉しいですね。そしてバンドの顔でもあるSharonのボーカルパフォーマンスは更なる成長を遂げていて、神々しさすら感じさせる高音域で儚げに歌うパートを最大の武器にしつつ今回はより多彩な表情を見せてくれています。そんな彼女が歌うメロディラインは親しみやすく、楽曲を盛り上げるシンフォアレンジもお見事。大衆的な聴きやすさを身につけた今回のアルバムはバンドの分岐点ではないかと思っています。デビュー当初の崇高なゴシックメタルサウンドは希薄になっていますが、僕は本作以降のWITHIN TEMPTATIONが好きですね。

【音源紹介】
What Have You Done

【CD購入録】TERRA NOVA「REINVENT YOURSELF」(2015)

  • 2015/03/26(木) 00:00:00

【CD購入録】
REINVENT YOURSELF
TERRA NOVA「REINVENT YOURSELF」(2015)

オランダが誇るメロディックロックの雄TERRA NOVAがデビュー20周年を迎える2015年に発表した6作目を買いました。2013年頃には前作「COME ALIVE」(2010)に続く新作をレコーディング中だという噂があったものの、それ以降は音沙汰がなかったので解散してしまったのかと心配していましたがライナーノーツでその事情が明らかになっています。どうやら本作の音楽性をめぐってFRONTIERS RECORDSのSerafino Pergino社長と意見が合わず、別のレーベルと契約しなくてはならなかったためアルバムリリースが当初の予定から大幅に遅れてしまったようですね…。Serafinoは解散していたTERRA NOVAを「ESCAPE」(2005)で見事に復活させた立役者なので、彼と音楽性の相違が生じたという話に不安がよぎりましたがプレイボタンを押すとおなじみのTERRA NOVAサウンドが流れてきて一安心。このバンド特有の爽やかな楽曲群のみならず、能天気なロックソング⑥Rock Armyやポコポコと軽いドラムサウンドなどマイナス面も含めて「らしい」アルバムとなっています。この内容で何故FRONTIERS RECORDSから離れる必要があったのか不思議でなりません。お気に入りは「ネバキ ネバキ〜♪」のサビ(Never keepと歌っています)が耳に残る④Promises、先行で公開されていた淡いバラード⑤Jennaですね。過去の名盤を凌駕するほどではないにせよTERRA NOVAファン、メロディックロックを好んで聴く方なら聴いて損はない1枚だと思います。

【CD購入録】WITHIN TEMPTATION「HYDRA」(2014)

  • 2014/02/02(日) 00:00:00

【CD購入録】
HYDRA.jpg
WITHIN TEMPTATION「HYDRA」(2014)

1997年に「ENTER」でデビュー、2nd「MOTHER EARTH」(2000)が母国オランダを始めとするヨーロッパ各国で大ヒットして以降、着々と成長し続けて今やゴシックメタルの枠を超えた大物バンドとなった感もあるWITHIN TEMPTATIONの6作目(初回限定盤)を買いました。今回もSharon Den Adel(Vo)の絶品歌唱を軸としたゴシック系歌ものメタル作品に仕上がっていて、近作で顕著な大衆化路線も引き継いでいるのも個人的には嬉しいポイントです。話題となっているゲストシンガー陣については、何と言っても④Paradise(What About Us?)でSharonとTarja Turnen(Vo/ex-NIGHTWISH)というヨーロッパの2大歌姫の共演が実現した点が目を引きます。またバンド史上最速チューンの呼び声高い②DangerousではHoward Jones(Vo/ex-KILLSWITCH ENGAGE)が男前な歌声を響かせてくれているし、③And We Runではなんとアメリカ人ラッパーXzibitによるラップも導入しているのですが、この異色な組み合わせが意外とマッチしているんですよね。あと⑩Whole World Is WatchingにはDave Pirner(Vo/SOUL ASYLUM)が参加しています。前作「THE UNFORGIVING」(2011)はアルバムと同名のコミックを制作し、その物語を表現したコンセプト作品、今回は古代ギリシア神話に登場する不死身の蛇「ハイドラ」をタイトルに持ってくるなど、このバンドは常に異なるテーマに挑んでいる印象がありますね。 それでいてアルバムのクオリティも高水準だというのが素晴らしい。 ちなみに僕が買った初回限定盤は2枚組仕様となっていてDisc-2はカバーが6曲、残りはアルバム本編に収録された曲のEvolution Trackなるバージョンが4曲という内容です。Evolution=「発展」という言葉の通り各曲がどのようにして完成形へ至ったかを記録したもので、1曲全体ではなく切り出された特定パートが発展していく過程を楽しむためのトラックなのでカバーはともかくこれらは熱心なファン向けかなという感じです。

【CD購入録】DELAIN「WE ARE THE OTHERS」(2012)

  • 2012/09/18(火) 00:00:00

【CD購入録】
WE ARE THE OTHERS
DELAIN「WE ARE THE OTHERS」(2012)

Martijn Westerholt(Key/ex-WITHIN TEMPTATION)Charlotte Wessels嬢(Vo)を中心に結成されたオランダ産ゴシック系HR/HMバンドDELAINの3作目を買いました。彼等に関しては名前こそ知っていたものの、WITHIN TEMPTATIONの派生バンドというイメージが強かったのと僕がフィーメルゴシック系バンドにそれほどのめり込んでいなかったこともあって、これまでスルーしていたのですがブログにお薦めコメントをいただいたのがきっかけで試聴してみたら好感触だったので購入に至った次第です。第一印象としては、やはり本家WITHIN TEMPTATIONを連想させる部分があり、シンフォニックなアレンジは控えめなのでWITHIN TEMPTATIONの中でも最新作「THE UNFORGIVING」(2011)に近いという感じでしょうか。リーダートラック③We Are The Others以外は曲のキャラ立ちが弱い気もしますが、どの曲も気持ち良く聴けて気がつけばリピートしている状態なのでキャッチーな女性ボーカルものとして楽しめそうです。

【CD購入録】WITHIN TEMPTATION「THE UNFORGIVING」(2011)

  • 2011/10/16(日) 00:00:00

【CD購入録】
THE UNFORGIVING
WITHIN TEMPTATION「THE UNFORGIVING」(2011)

「HR/HM界の歌姫」と聞いて僕が思い浮かべる歌い手のひとりSharon Den Adel嬢(Vo)擁するオランダのシンフォニック・ゴシックバンドWITHIN TEMPTATIONの5作目を買いました。このバンドに関しては「ENTER」で1997年にデビューして以降、2nd「MOTHER EARTH」(2000)が輸入盤市場やネットで話題となり、3rd「SILENT FORCE」(2004)と4th「THE HEART OF EVERYTHING」(2007)はB!誌でも高く評価されていたので僕も2nd~4thをチェックしましたが、世間の評判ほどの満足感は得られなかったというのが正直なところでした。本作は過去作品ほどシンフォゴシック色が濃くなく、より普遍的な女性ボーカルによるロック作品で聴きやすいと感じました。今回も現時点ではそんなにのめり込んではいないのですが、気持ち良くリピートできる1枚だと思います。
また本作はバンドにとって初めてのコンセプト作品であるだけでなく、そのストーリーと連動したコミック本を出版するのだとか。バンドに勢いがあって波に乗っていることを感じますね。

TERRA NOVA「COME ALIVE」(2010)

  • 2010/12/24(金) 00:00:00

COME ALIVE
【No.273】
★★★(2010)

1999年の解散後、AQUILA名義でリリースした2枚のアルバムを挟んで2005年に再結成作4th「ESCAPE」、2006年には初のベスト盤「BEST OF +5」(選曲は1st~3rdより)を発表したTERRA NOVAの5作目にして復活後2枚目のアルバム。本作は2008年後半の時点ではレコーディングも順調で2009年1月に発売される予定だったはずが、突然リリースが無期延期になってしまったためバンドにトラブルが発生したのかと心配していました。リーダーのFred Hendrix(Vo)によると本作の発売が延期になったのは「機材故障など想像し得る限りのあらゆることが起こったのとレーベル側の発売日設定が遅れたことが原因」だそうでFred、Gesuino Derosas(G)、Ron Hendrix(Key)というTERRA NOVAサウンドを形成するキーパーソン3人が健在なだけでなく、前作には不参加だったオリジナルドラマーLars Beuvingも復帰しています。そのせいかドラムサウンドも前作ほど軽くありません。

今回バンドはデビュー作「LIVIN' IT UP」(1996)への回帰をテーマにしていたそうで、その意図は爽やかなオープニングチューン①Come Aliveの「Fire It Up~♪」という歌い出しがデビューアルバムの1曲目Livin' It Up冒頭の「Livin It Up~♪」にソックリなところからも感じられます。それ以外にも序盤~中盤に強力な楽曲を並べ、エンディングを美しいバラードで締めるというアルバム構成も初期TERRA NOVAらしくて良いですね。ただ、ラストのバラード前に僕がこのバンドに求めていない大味なロックソングや前半と比べてメロディが弱い曲が配されているところまで似ているのはあまり嬉しくなかったりしますが…。そんなマイナス要素を帳消しにしてくれているのがアルバム前半の素晴らしさ。前述した①の勢いそのままに哀感漂うハードロック②Fighting Yourself、いかにもTERRA NOVAな「ナーナー ナーナーナーナー♪」のコーラスが耳に残る③Holy Grail、ゆったりした旋律に身を委ねたくなる④Here Comes The Nightと続く流れが発散するポジティブな空気はTERRA NOVA以外の何者でもありません。アルバムの山場はバラード⑤Those Eyesの余韻を引き継ぐリリカルなピアノから一転してアップテンポに展開していく中で奏でられる哀メロが涙を誘う⑥Under Pressureですね。そしてJOURNEYの名バラードFaithfullyを連想せずにはいられないピアノ伴奏とFredの独唱による前半、バンドサウンドと合流して曲が盛り上がる後半からなる2部構成風の⑩The Final Curtain、ボーナストラックにしておくには勿体ない佳曲⑪One September Morningというバラード2連発でエンディングを迎えます。

ただアルバムの根底に流れるのは一聴してそれとわかるTERRA NOVAサウンドながら、前作の時点でも感じられた「突き抜けるような爽快感や無邪気なまでの元気さを控えめにした方向性」は更に推し進められているようで、初期3作品に比べて良く言えば成熟した、悪く言えば地味(あくまでTERRA NOVAにしてはというレベルですが)な印象を受けます。若々しさや弾けるようなポップフィーリングを抑えた作風にどこか物足りなさを感じる面もあるので本作が最高傑作とは言えませんが、こういう落ち着いたTERRA NOVAもアリかなと思っています。またFredも年齢とともに高音で歌うのが厳しくなってきているようで、中低音域メインの歌唱となっているものの彼のような掠れ気味の声質の場合、年を重ねるにつれて独自の旨みを増しているのでこれからも楽しみですね。楽曲、歌詞、ボーカルなどでノリの良さや勢いは薄れていますが「大人なTERRA NOVA」を味わえる1枚だと思います。

【音源紹介】
・Come Alive

TERRA NOVA「BEST OF +5」(2006)

  • 2010/12/18(土) 00:00:00

BEST OF +5
【No.272】
★★★(2006)

一時解散していたものの6年振りとなる4th「ESCAPE」(2005)で再結成し、多くのメロハーファンを歓喜させたTERRA NOVA初のベストアルバム。本作には全部で17曲が収録されていて、その中の12曲がデビュー作「LIVIN' IT UP」(1996)~3rd「MAKE MY DAY」(1999)より厳選されたナンバー、5曲が2nd「BREAK AWAY」(1998)制作時にレコーディングした未発表曲という構成です。ポップでキャッチー、超爽やかな楽曲の数々を歌い上げるFred Hendrix(Vo)のハスキーでエモーショナルな歌声と演奏パートのハイライトとなるGesuino Derosasのギター(本作の収録曲では④と⑦のソロが特に好きです)、各曲を華麗に彩るRon Hendrix(Key)というTERRA NOVAの旨みがギッシリ詰まった1枚です。

【トラックリストと収録アルバム】
01. I Wanna Know(未発表曲)
02. Break Away(2nd「BREAK AWAY」)
03. Livin' It Up(1st「LIVIN' IT UP」)
04. Love Sick(3rd「MAKE MY DAY」)
05. Not Here With Me(2nd「BREAK AWAY」)
06. Hey Babe(1st「LIVIN' IT UP」)
07. Right Now(2nd「BREAK AWAY」)
08. Once Bitten Twice Shy(1st「LIVIN' IT UP」)
09. How(3rd「MAKE MY DAY」)
10. Make My Day(3rd「MAKE MY DAY」)
11. Holding On(2nd「BREAK AWAY」)
12. Eye To Eye(3rd「MAKE MY DAY」)
13. Love Of My Life(1st「LIVIN' IT UP」)
14. Against The Wind(未発表曲)
15. Reminiscing(未発表曲)
16. I'm The One(未発表曲)
17. Holy Water(未発表曲)

既発の12曲に関しては3枚のアルバムからバランス良く選ばれているだけでなく、それぞれのオープニングナンバーを贅沢に並べた②~④、オリジナル作品ではアルバム中盤に配されていた「これぞTERRA NOVA!」な⑦と⑧を連続させている辺りがかなり強力。またバラードについても3枚全てから選曲しており、失恋ソングの⑤、自ら恋人に別れを告げることの辛さを歌った⑨、真っ直ぐな王道ラブバラード⑬をチョイスしていて、「爽」と「哀」というバンドの2枚看板をたっぷり堪能させてくれますね。基本的にTERRA NOVAのバラードにハズレはないと思っているので、どれが入っても納得できるのですが上記の通り歌詞のテーマを重複させることなく選んでいたり、デビュー作のラストを見事に飾った名バラード⑬をベストアルバムの部のラストに持ってきたりするなど選曲、曲順の両面でツボを押さえていると思います。僕としてはデビュー作でTERRA NOVA史の幕開けを爽やかに告げた「Whoo, Let's rock the night away~♪」のコーラスからスタートする③をオープニングにして欲しかった、バンドの楽曲の中で一番思い入れの強い珠玉のバラードOnly For Youも入れて欲しかったなど細かい要望もありますが、これはあくまで個人的な希望なので客観的に見ればTERRA NOVAを知るには最適と言える12曲でしょう。「個々の楽曲は素晴らしいのにアルバム後半はやや息切れ気味」という僕がバンドの初期3作品に対して抱いていた数少ないマイナスイメージも、本作では感じられません(ベスト盤なので当然といえば当然ですが)。

そして3枚のオリジナル作品を持っている僕としては未発表曲に注目していたのですが、この5曲については良い曲だとは思うけれどTERRA NOVAとしてはアウトテイクレベルかなぁというのが正直なところです。その中で印象に残ったのはTERRA NOVAのレパートリーの中でもかなりハードな部類に入る①でしょうか。ただ、この曲はTERRA NOVAの本道からは外れ気味だし、ベスト盤のオープニングを飾るほどのインパクトはないと思うので他の4曲と同じくアルバム後半に並べて欲しかったかな。ファン心理としては、本作未収録の佳曲がこのバンドにはまだあると思うので純粋なベストアルバムとして17曲くらいを収録したDisc-1、「LOVE OF MY LIFE」と「MAKE MY DAY」という2枚のシングルにのみ入っていた曲と今回の5曲を合わせた未発表曲集のDesc-2という2枚組でリリースしてくれれば最高という感じですね。というわけで、これまでTERRA NOVAを応援してきた身としては若干の物足りなさもありますが、もし僕が「ESCAPE」でこのバンドを知ったのであれば大満足したであろう作品です。

【音源紹介】
・Love Of My Life

TERRA NOVA「ESCAPE」(2005)

  • 2010/12/13(月) 00:00:00

ESCAPE.jpg
【No.271】
★★★(2005)

TERRA NOVA解散後に結成したAQUILA名義で2001年、2004年とコンスタントに2枚のアルバムをリリースしていたのでFred Hendrix(Vo)は今後AQUILAとして活動していくのかと思っていた2004年後半に「TERRA NOVA復活!」のニュースが飛び込んで来ました。BURRN!誌2005年9月号に掲載されていたFredのインタビュー記事によると、この復活劇はバンド側が言い出したことではなくFRONTIERS RECORDSの社長Serafino Perginoが仕掛け人だったようです。後にSerafinoはメロディックロックファンを歓喜させるバンド/プロジェクト(ALLEN-LANDE、PLACE VENDOME、W.E.Tなど)を次々と世に送り出していますがTERRA NOVA復活にも関わっていたとは…。この人には本当に感謝してもしきれませんね。元々、TERRA NOVA解散劇には地元オランダのレーベルとの契約のもつれが関係していて、TERRA NOVAの名前で活動することができなくなったためFredはソロから発展した別バンドAQUILAで活動する道を選んだようですが、オランダのレーベルとの契約が満了した後でSerafinoからFredにTERRA NOVA復活を持ちかけたそうです。

そういうわけで晴れてTERRA NOVAとして再始動することができるようになったバンドの4thアルバムは良い意味で不変のTERRA NOVAサウンドが貫かれています。AQUILA名義での2作品も好きですがTERRA NOVAを越えるアルバムとまではいかなかったので「Fredのメロディセンスが枯渇してきたのでは…」という一抹の不安もありましたが、いかにも「らしい」オープニングトラック①Long Live Rock'N'Roll~②Rock Bottomを聴いた瞬間にそんな気持ちは吹っ飛びました。やはりAQUILAとTERRA NOVAは似て非なる音楽を聴かせるバンドだったんだと実感。そんなロックチューン2連発の後はポップな本編を叙情的な歌メロが冴えるイントロとアウトロが挟むという一風変わった構成の③Hold The Line、デビュー時に完成していたというセンチメンタルなバラード④Heaven KnowsRon Hendrix(Key)の煌めくキーボードがバンド持ち前の明るさを強調し、ソロパートではRonとGesuino Derosas(G)の掛け合いもフィーチュアしたタイトル曲⑤Escapeという流れも素晴らしいです。またこのバンドの作品に欠かせないキラーバラードも前述の④とFredの奥様に捧げられたラブソング⑦You Are The Oneの2曲が収録されていて、きっちり泣かせてくれます。本編ラストのバラード⑫Yesterdayもメロディの魅力こそ上記2曲に一歩譲りますが、幻想的なサウンドがアルバムの締めとしてグッド。その他には優しげなメロディと重厚なハーモニーが味わえる⑧Sole Survivor、心温まるサビメロが秀逸なAOR風⑨Lonely Is The Night、「音楽に古いも新しいもない。俺達は80年代のロックが大好きなんだ!」というバンドの精神性を曲名と歌詞に凝縮した80年代讃歌⑩Back In The Eightiesなども好きですね。

FredとRonの Hendrix兄弟とGesuinoが正式メンバーでリズム隊はサポートメンバーという編成ながら、この3人が揃えばTERRA NOVAサウンドが完成されることを本作で証明してくれています。各曲に息づく良質なメロディと爽やかなコーラス、そして楽曲を鮮やかに彩るギターとキーボードなど、どこを見ても6年間のブランクを感じさせない充実作ですね。気になった点を挙げるとすればドラムサウンドに迫力がないため楽曲自体が軽く聴こえてしまうことと、前半に比べて後半の楽曲がやや弱く感じられることでしょうか。特にドラムの軽さはアップテンポの曲では楽曲のキレを鈍らせ、バラードでは感情移入を妨げている場面があるように思えるのが残念。とはいえ、全体的な印象としては過去3作品の集大成と言える内容で、バンド復活を宣言するには十分なインパクトを備えた1枚だと思います。

【音源紹介】
・Long Live Rock'N'Roll

AQUILA「MAN WITH A MISSION」(2004)

  • 2010/12/07(火) 00:00:00

MAN WITH A MISSION
【No.270】
★★★(2004)

解散を余儀なくされたTERRA NOVAのリーダーFred Hendrix(Vo)のソロプロジェクトとして始動し、その後バンドへと発展したAQUILAの2ndアルバム。僕はTERRA NOVAへの思い入れが強いので、このバンドを聴く時にどうしても「TERRA NOVAと比べてどうか」というフィルターを通してしまうのですが、今回はアコースティックサウンドに傾倒していた前作よりもTERRA NOVA時代にあった煌びやかさが戻ってきていて作品全体としてもTERRA NOVA寄りになっていると思います。Fredが曲を書き、彼が歌えばそれだけでTERRA NOVAらしさが生まれるのは事実ながら、やはり2つのバンドを比べるとメロディの質が違いますね。イメージで言うと爽やかさと哀愁の比率がTERRA NOVAでは7:3だとすると、AQUILAは9:1という感じでしょうか。それに伴って前作同様バラードは情感を込めて歌い上げるのではなくサラリと聴かせるタイプになっているし、Gesuino Derosas(G/ex-TERRA NOVA)が脱退してしまったためにギターパートもかなり魅力薄となっています(彼が在籍していた前作の時点でギターソロは激減していましたが…)。

ただTERRA NOVAという前身バンドから切り離して本作を聴いてみると、Fredの非凡なメロディセンスと味わいのある歌声が耳に残る1枚であることは間違いありません。跳ねるようなサビメロが気持ちいい①Oh Boy、音を詰め込まない涼しげな曲調の中をキャッチーなメロディが流れていくタイトルトラック⑥Man With A Mission、「シェイキンミ、ベイベー♪」のサビに合わせて踊り出してしまいそうな⑦Shakin' Me Babe、本作の中で一番TERRA NOVAに近い⑧Still Standing、前作にI Runというナンバーがあったので「曲名被りすぎ!」と思いつつサビになると「ラァァン、ラァン、ラァン、ラァァン♪」のコーラスをつい口ずさんでしまう⑫Run、美旋律がじんわり胸に沁みるピアノバラード⑭All Cried Outなどなど佳曲多数。非常に耳馴染みの良いポップなサウンドであるがゆえに劇的な盛り上がりこそありませんが、メロディの印象度は前作以上だと思います。

本作を発表後、TERRA NOVA名義で契約していたレーベルとの問題が解消されたため2005年8月にTERRA NOVAは4th「ESCAPE」で復活を果たしています。その復活作リリースに際してFredはBURRN!誌2005年9月号のインタビューで「AQUILAはモダンなポップ、TERRA NOVAは80年代のロックを目指す別バンドだ。これからは2つのバンドを並行して活動する」と語っていてましたが、B!誌2010年12月号のインタビューによると「AQUILAは…おそらく永遠にやらない方がいいだろう、っていうに結論になった」とのことなので本作がAQUILAのラストアルバムということになってしまいました。

【音源紹介】
・ごめんなさい。本作からの音源を見つけることができませんでした。

AQUILA「SAY YEAH」(2001)

  • 2010/12/02(木) 00:00:00

SAY YEAH
【No.269】
★★(2001)

1996年のデビュー以降、日本では高い評価を得ていたものの母国オランダを始めとするヨーロッパ市場では波に乗れなかったTERRA NOVA。そんな状況が影響してか、レーベルとのトラブルによりTERRA NOVAという名前で活動できなくなったためバンドは解散。その後、中心人物Fred Hendrix(Vo)がソロ活動を開始したところにGesuino Derosas(G)、Ron Hendrix(Key)といった元TERRA NOVAメンバーが合流することで誕生した新バンドAQUILAの1stアルバムです。TERRA NOVAの3作目「MAKE MY DAY」(1999)がリリースされて1年も経たないうちに発表されたTERRA NOVA解散の報せにはショックを受けました。ただ、バンド名は変われどFredとRonのHendrix兄弟、Gesuinoの3人がいればTERRA NOVAの音楽は成り立つと思っていた僕はAQUILAにTERRA NOVAの続編を求めていたのですが本作の質感はやや異なります。このアルバムで聴けるのはシンプルなアコースティックサウンドを主体としたポップロックという印象で、元々Fredのソロプロジェクトとしてスタートしたこともあって、より彼のルーツに近い作品と言えるかもしれません。

レーベルとの間に生じたビジネス的な問題を経験した後にレコーディングされた本作はTERRA NOVA時代よりもシリアスな作風となっていて、歌詞面でもこれまでよりも重いテーマを取り上げています。中にはFredいわく「コイツ、殺してやりたい!」(ライナーノーツより抜粋)という怒りの感情を歌った⑧Sometimesのような楽曲もありますが、そこはポジティブなメロディ作りの天才Fredのこと、メロディまでブルータルになるはずもなく⑧は歌詞とは対照的に本作随一の爽やかソングに仕上がっているし、アコースティック要素を強調することでより温かみが感じられる1枚となっています。①Cecelia、②Wide Openという冒頭の2曲がアコースティックギターの音色から始まるバラード調であるため掴みは弱いですが、魅力的なメロディとFredの「あの歌声」は本作でも十分も楽しめますね。アルバム後半にはTERRA NOVAに通じる⑥Everyday、⑦Here I Amや本作の中でも明るくノリノリな⑨Say Yeah、⑩The Kids Wanna Rockもあって、この辺りが僕のお気に入りナンバーです。ちなみに⑤Nothing's Impossible Nowと⑥、⑦はTERRA NOVA時代のマテリアルだとか。Fred自身「AQUILAはポップでTERRA NOVAはロック」と語っている通り、本作には③Forgive Meを除いてGesuinoのギターソロと呼べそうなソロは収録されていないし、煌びやかさやドラマティックな展開を見せるバラードもありません。TERRA NOVA以上にポップで明るいサウンドがAQUILAの持ち味だというのもわからなくはないですが、そのAQUILAらしさがTERRA NOVAから失われたものを補い切れていないのが惜しいですね。

本作の内容から少し離れますが、このAQUILAとTERRA NOVAの関係を見ているとRUBBERに対するHAREM SCAREMを連想しました。レコード会社との契約のせいでバンド名を封印せざるを得なかったTERRA NOVA、自らバンド名変更に踏み切ったHAREM SCAREMという違いこそあれ、前身バンド時代よりも万人受けしそうなライトポップ路線を目指したAQUILAとRUBBER誕生の裏側には「もっと売れたい」というミュージシャンとして当然の野心が見え隠れします(皮肉にも前身バンドを高く評価していた日本では逆効果だったわけですが…)。そういえば両バンドとも日本盤と輸入盤で曲順や収録曲が異なっていたのも各マーケットを意識した戦略だったんでしょうね。 ユーロヴィジョンでWIG WAMLORDIが話題になるようになった2005年以降、メロディックロックの復興が進んだように思いますがAQUILAやRUBBERが活動していた2000年代初頭はFAIR WARNINGが解散するなど、この手のバンドにとって厳しい状況だったように記憶しています。そんな時期に解散の憂き目にあってもめげずに、こうして音源を届けてくれたFredには拍手を送りたいですね。

【音源紹介】
・Cecelia

TERRA NOVA「MAKE MY DAY」(1999)

  • 2010/11/25(木) 00:00:00

MAKE MY DAY.jpg
【No.268】
★★★★(1999)
年間ベスト1999年第7位

「LIVIN' IT UP」(1996)と「BREAK AWAY」(1997)という2枚のアルバムを聴いて、僕の中ではロビー様ことROBBY VALENTINEに替わってオランダを代表するバンドになり、今後のメロハー界を担う存在として期待を寄せるバンドとなったTERRA NOVAの3作目。結論から言うと、今回も期待を裏切らない作品をリリースしてくれました。過去のアルバムは素晴らしいメロディを有していたのは事実ながら、作品のフォーマットが似通っていたので今後は楽曲の類型化という課題とどう向き合っていくのか少し気になっていましたが、本作はTERRA NOVAらしいナンバーを中心としつつ楽曲の幅を広げた意欲作に仕上がっています。

オープニングにはインパクトのあるロックソングを配するというTERRA NOVAの伝統は今回も健在です。開始3秒で僕を魅了してくれる①Lovesickは疾走感と哀愁が同居したメロディと中盤のドラムソロからセンス良くまとめられたギターソロへ至るインストパートカッコいいし、TERRA NOVA史上1、2を争うキャッチーなメロディをホーンセクションが更に盛り上げる楽しさ満点のロックチューン②Make My Dayも含めてアルバムの掴みとしては完璧。その後のスカッと晴れやかな③Eye To Eye、王道を行くバラード④Here's To Youまでは従来路線ですが、それ以降の楽曲にバンドの新たな側面が登場します。これまでもインスト的な曲はありましたが独立したインストとしては初となる⑤Anomaly(ギタリストGesuino Derosas作)やRon Hendrix(Key)のアコーディオン演奏をフィーチュアして「ズンチャッチャ、ズンチャッチャ♪」とワルツ風に進行する⑩I Will Be Thereは新たな試みとして面白いし、その他にもTERRA NOVA流カントリーソング⑦I Can't Wait、スペイシーなキーボード主体の⑧Nothingなどマンネリを打破しようという姿勢が窺えます。ただ⑨Where I Stand冒頭のギターは「BREAK AWAY」の2曲目Those Were The Daysに酷似していたりしますが…。

また従来と異なるアプローチは歌詞面にも見られます。基本的には「恋愛」「青春」「ロックンロール」といったキーワードを連想させる世界観なのですが⑩ではメルヘンチックな曲調に合わせてかDragon という単語が使われているほか、エンディング曲⑫Howもバラードといえば「愛する人への気持ちを歌にしたラブソング」であったり「失恋ソング」であったりするのが一般的なところを、この曲は恋人に自分から別れを告げる際の辛さがテーマとなっており、僕はこういうテーマをここまでストレートに歌ったバラードにはお目にかかったことがありません。楽曲 、歌詞の両面で新たな試みを取り入れたTERRA NOVAですが、⑨や⑪Promise You Waitのようなこのバンドらしい爽やかなロックソング、ベタなんだけどそこが魅力のバラード④、⑫もしっかり収録されているので過去2作同様の爽快感が味わえる1枚です。これだけ素晴らしい作品を残しておきながらバンドはレーベルとのゴタゴタもあって1999年に解散してしまったため、Fred Hendrix(Vo)はTERRA NOVAの遺志を継ぐ存在としてAQUILAを立ち上げることとなります。

【音源紹介】
・Lovesick

TERRA NOVA「BREAK AWAY」(1997)

  • 2010/11/20(土) 00:00:00

TERRA_NOVA_B AWAY
【No.267】
★★★★(1997)
年間ベスト1997年第9位

その煌めくようなサウンドイメージと1stアルバム「LIVIN' IT UP」(1996)のインパクトから「彗星の如くデビューした」という表現がピッタリのオランダ産メロディアス・ハードロックバンドTERRA NOVAが僅か1年のスパンで放った2ndアルバム。今回も前作同様、爽やかなジャケットとリンクする清涼感と透明感に満ちた爽やかな楽曲が目白押しの作品となっています。アルバムタイトルを冠する元気なロックソングで幕を開け、明るさの中に時折仄かな哀愁を感じさせる充実の楽曲群がズラリと並ぶ序盤~中盤、後半に若干テンションが下がるもののラストを美しいバラードで締めくくるというアルバム構成、メロディの質の高さともに前作に勝るとも劣らない充実盤ですね。2枚目のジンクスなど、どこ吹く風という感じです。

まずは何と言っても①Break Awayが素晴らしい。軽快なドラムの後に入って来るキーボードサウンドを聴いた開始10秒で「TERRA NOVAだ!」と確信させ、「ブレイカウェ~ェ~、ヘ~エ♪」の涼しげなコーラスとともに駆け抜けていく①が終わったかと思うと、カラッとしたロックソングを基調にしながらサビでは哀メロが顔を覗かせる②Those Were The Days、アコギとピアノそしてバックではオルガンが曲を盛り立てるアップテンポ③Wasting Timeの3連発でいきなり畳み掛けてきます。そんなバンドの勢いはミディアムテンポのロック④City Lights/Nocturnal Silence以降も止まることを知りません。この④は曲名にもあるように2部構成となっていて4:00過ぎからの1分半はRon Hendrix(Key)の独壇場となるインストです。そんなNocturnal Silenceの余韻に浸っているところに続くのが感動的なバラード⑤Only For Youで、優しいピアノの調べで始まりダイナミックなサビで大きく盛り上がって再びピアノでしっとり終わるこの曲は僕の結婚披露宴でも使わせていただいた想い出深い1曲だったりします(この曲を含む結婚式ソングの記事はこちら)。TERRA NOVAらしさに満ちた中盤のハイライト⑥Right Now以降も陽気なキャッチーロック⑦I Keep On Dreaming、爽やかなハーモニーが印象的な⑧Holding Onと強力なナンバーが続きます。またTERRA NOVAにしては異色のハードロック⑪Real Thingもカッコよく、曲終盤にはベースソロを合図に疾走パートへなだれ込むという展開も面白い。ラストはお約束のバラード⑫Not Here With Me。どこか演歌に通じる雰囲気も感じさせるこの曲を含め、TERRA NOVAのバラードにハズレなしですね。

前作との違いを挙げるとすれば、Ron Hendrix(Key)の操る音色にオルガン風のサウンドが多くなったことで従来の透明感に加えてロックっぽいダイナミズムがより感じられることと、ライブを意識してか一緒に歌えそうなパートが増えたことでしょうか(前述の④、⑪や⑩Two Days Of Heaven's Paradiseなど)。特に④はスタジオ盤なのにFred Hendrix(Vo)が「Come On Sing」と煽っていることもあって、つい「ナーナーナーナナーナナー♪」と歌ってしまいます。それにしてもバンドの中心人物Fredは前作以上に歌の上手さ、表現力が増したのではないでしょうか。単語に情感をたっぷり込めて歌う彼のボーカルには同性ながらうっとりしてしまうこともしばしば。最初に書いたように楽曲の雰囲気やアルバムの作り的にはデビュー作と似ているため新鮮味こそありませんが、作品のクオリティは非常に高い1枚だと思います。

【音源紹介】
・Break Away

TERRA NOVA「LIVIN' IT UP」(1996)

  • 2010/11/15(月) 00:00:00

LIVIN IT UP
【No.266】
★★★★(1996)
年間ベスト1996年第3位

ドイツ、スウェーデン、フィンランドといったHR/HM大国に比べると数は少ないもののVANDENBERG、ELEGY、ROBBY VALENTINE、VALENSIAなど注目すべきバンドを輩出してきたオランダから突如として現れたハードポップバンドTERRA NOVAのデビュー作。このバンドの音楽性はFAIR WARNING、デビュー当時のHAREM SCAREMなどと同系統のメロディアスハードですがTERRA NOVA最大の武器は楽曲が発散する「突き抜けるような爽快感」でしょう。この点においてTERRA NOVAの右に出るバンドはいないと言っても過言ではないと思います。それでいてバラードでは一転して胸を締め付ける哀メロを聴かせてくれるのですから堪りません。

逆再生ボイスから繋がる分厚いハーモニーに続き、適度なヘヴィさで刻まれるギターにキラキラキーボードが絡むイントロで勝負ありの①Livin' It Upを聴いた時点で本作のジャケットに通じる清く爽やかなTERRA NOVAワールドに引き込まれます。そんなデビューアルバムの幕開けに相応しくバンドの魅力がぎっしり詰まった名曲①のアウトロを引き継いで始まる曲名そのままの間奏的インスト小曲②Interludeを挟み、ヴァースとブリッジは切なく聴かせておいてサビではパッと明るくなる③Hey Babeに至るという流れには心を奪われました。元気いっぱいの①とサビまではメロウな③が続いていたら違和感があるところを約30秒の②が見事な橋渡し役を果たしています。ただ良い曲を並べるだけでなく、こうした捻りの効いた構成で聴かせるセンスに脱帽。たかが30秒、されど30秒ですね。そんなバンドのセンスの良さは曲順やアルバム構成にも活かされていて、アコースティックギターとオルガンが温かさを演出するほのぼの系④If Dreams Are Forever、ひたすらポップで楽しげな⑤Come Onとポジティブな空気に満ちた2曲、切ないひと夏の恋を歌った名バラード⑥SummernightsVAN HALENJumpを彷彿とさせるシンセでスタートするTERRA NOVA節全開の爽快チューン⑦Once Bitten, Twice Shyまでは曲の良さもさることながら、不思議とこの順番で聴くべきだと思えてくるんですよね。8曲目以降は少し弱いかなと思う楽曲もありますが、エンディングを珠玉のバラード⑩Love Of My Lifeで感動的に締めてくれているので聴後感は良好です。

全ての楽曲を手がけるFred Hendrix(Vo)は作曲能力の高さだけでなくシンガーとしても力量十分で、彼独特のハスキーボイスとバンドの爽やかな楽曲は相性抜群ですね。そしてGesuino Derosas(G)のギタープレイはポップになりがちなTERRA NOVAサウンドにロックバンドらしさと華やかさを添えているし、瑞々しいTERRA NOVAサウンドの鍵を握るFredの実弟Ron Hendrix(Key)の煌びやかなキーボードが優れた楽曲群の魅力を増幅させてくれています。このバンドの初期3作品はどれも甲乙付け難い名盤だと思うし、とにかく聴く者に元気を与えてくれるバンドなので普段はHR/HMを聴かないという人にも(というか、そういう人にこそ?)自信を持ってお薦めしたいアルバムですね。

【音源紹介】
・Summernights

【CD購入録】TERRA NOVA「COME ALIVE」(2010)

  • 2010/08/26(木) 00:00:00

【CD購入録】
COME ALIVE
TERRA NOVA「COME ALIVE」(2010)

当初は2009年1月にリリースされる予定だったのに、発売が無期限延期になってしまっていたオランダのハードポップバンドTERRA NOVAの5作目を買いました。新作に関する情報がプッツリ途絶えた時はバンドにトラブルがあったのかと心配していたので、こうして無事にアルバムをリリースしてくれたことがまずは嬉しいですね。中身の方も「これぞTERRA NOVA!」なスカッと爽やかメロハーサウンドなので安心して聴くことができます。今回バンドは原点回帰、中でもデビュー作「LIVIN' IT UP」(1996)を意識してレコーディングしていたそうで、確かにオープニングチューン①Come Aliveの「Fire It Up~♪」という歌い出しはデビューアルバムの1曲目Livin' It Up冒頭の「Livin It Up~♪」にソックリですね(イントロも含めて)。現在のお気に入りはヴァース、ブリッジのメロディがツボなハードロック②Fighting Yourself、TERRA NOVAらしいバラード⑤Those Eyesの余韻を引き継いでしっとりしたピアノで始まり中盤はLAST AUTUMN'S DREAMばりの哀愁を発散する⑥Under Pressureです。また日本盤ボーナスの⑪One September Morningもなかなか優れたバラードだと思います。爽快なTERRA NOVAサウンドに一点の曇りもなし!ですね。

【現在の愛聴盤】VALENTINE「CHRISTMAS IN HEAVEN」(1997)

  • 2008/12/24(水) 08:13:36

【現在の愛聴盤】
CHRISTMAS IN HEAVEN.jpg
VALENTINE「CHRISTMAS IN HEAVEN」(1997)

【現在の愛聴盤】
今日はクリスマスイヴ…ということで、この時期ならではの作品を聴いています。本作はVALENTINEの4th「VALENTINE 4‐UNITED」(1997)からのセカンドシングルで、①Christmas In Heavenに未発表曲4曲を加えた構成です。「VALENTINE 4‐UNITED」の中でもかなりのお気に入りだったタイトルトラックだけでなく、他の楽曲もかなり充実しているのが本作のいいトコロ。

②1st X-Mas Without U(Dedicated To My Father)
タイトル通りロビー様の亡き父親に捧げられたバラードで大切な人を失った悲しみの中に、希望の光が差し込むような美しいコーラスが印象的。

③F Chopin/Fantasie #8211; Impromptu Op.66(ショパンの幻想即興曲)
ショパンのピアノ即興曲をカバー。「ピアニスト」ロビー様の華麗な演奏にウットリ。

④I Believe In You (Mozart Version)
ソロデビュー作「ROBBY VALENTINE」に収録されていた名曲をリメイク。モーツァルトバージョンというだけあって大幅にアレンジが変わっているだけでなく、歌詞も父親への想いを綴る内容となっています。

⑤L.V. Beethoven Symphony No.9-4th Mov-Ode "An Die Freunde"(交響曲第9番「合唱」から第4楽章"歓喜の歌")
ベートーベンの「喜びの歌」をゴージャスかつ華やかにアレンジ。クリスマスソングだけでなく、新年を迎えるに相応しいこういった楽曲を収録しているのがニクイですね。

VALENTINEというと、QUEENからの影響が色濃いというイメージがありましたが、本作の楽曲に関して言えばQUEENっぽさはほとんど感じません。シングル/ミニアルバム形式の作品は繰り返し聴くことは少ないのが正直なところですが、この作品は購入してから毎年この時期に聴いている1枚です。

今日は早めに仕事を切り上げて、ケーキでも買って帰ろうと思ってます。
皆様も良いクリスマスを。

VALENTINE「NO SUGAR ADDED」(1998)

  • 2008/08/16(土) 08:18:07

NO SUGAR ADDED.jpg
【No.026】
★★(1998)

VALENTINEが自身の音楽を表現する中で、欠かせないキーワードである「大仰」「ドラマティック」という2大要素を抑えた(それでも十分ドラマティックですが)5thアルバム。このアルバムの感想はVALENTINEが創造する音楽に対して、「華麗な装飾をしすぎ」と感じているか、「ゴージャスでドラマティックな曲展開こそがVALENTINEの肝」と感じているかによって分かれそうですね。僕はどちらかというと後者なので、これまでの作品と比べると物足りないというのが正直な感想です。

とはいえ、キーボードが引っ張っていくアップテンポ⑦Back 2 Mars、VALENTINEの真骨頂である麗しのバラード⑨My Only 1で聴けるVALENTINEワールドは健在だし、かつてRobbyが在籍していたZINATRA1ST AVENUEの楽曲をリメイクした④Love Never Dies、⑪Never Ⅱ Lateの2曲は流石の出来栄えです。ただ、これらのリメイク曲が本作で最も印象的な楽曲になっているのは複雑ですが。

これまでの作品で築き上げたスタイルから距離を置き、VALENTINEとしてはシンプルな楽曲が多く、ともすればダークな印象(あくまでVALENTINEとしては)も感じられるのは、アルバム制作前にRobbyの父親が他界したことと無関係ではないと思います。ただ僕としては劇的な展開とドラマ性が控えめなこと以上に、メロディの魅力が前4作の域にまで達していないように思えることと、過去の楽曲を連想させるメロディがチラホラあることの方が気になりますね。

【音源紹介】
・My Only 1

VALENTINE「VALENTINE 4‐UNITED」(1997)

  • 2008/08/15(金) 08:17:03

4‐UNITED.jpg
【No.025】
★★★★(1997)
年間ベスト1997年第8位

メロディアスでドラマティックな曲を作らせたら右に出る者はいないVALENTINEの4thアルバムは、これまでの作品の集大成とも言えるゴージャスな1枚となりました。ピアノサウンドで奏でられる明るくポジティブなメロディが支配的だった前作と初期にあった愁いのあるメロディラインががっちりと手を組んだ本作の楽曲群はどれも高品質な仕上がりです。

The Magic BreezeDreams Never Dieの流れを汲んだアップテンポチューンの割合がこれまでになく多い(②I Believe In Music、⑤Black & White United、⑪Back On The Trackなど)ため、アルバム全体に勢いがあります。その一方で、もはやVALENTINE節となったセンチメンタルなメロディが映えるクリスマスバラード③Christmas In Heavenで健在。それに加えて、どこか懐かしさを感じるメロディラインのインパクトが大きい新機軸のミドルチューン④Don’t Tell Meなど、自らの強みはキープしつつ従来のアルバムにはないタイプの楽曲を繰り出してくるあたりが素敵です。アルバム終盤の畳み掛けも素晴らしく、チャイコフスキーにインスパイアされたという⑬Concerto For The Unconditional Loveから共通のメロディを持った優しげなバラード⑭I Will Come Throughへ至る流れもほんと感動的。この人のアルバムって、収録曲が多い割りに最後までしっかり楽しめるのが大きな魅力ですね。

惜しむらくは、これまでのアルバムには必ず存在していた飛び抜けたキラーチューンがないことぐらい。裏を返せばアルバムに満遍なくいい楽曲が収められてるために、目立たない佳曲が目白押しということになるんですけどね。4作目になっても才能とアイデアの枯渇を感じさせることなく、優れた作品を発表し続けるあたりは流石です。

【音源紹介】
・I Believe In Music

VALENTINE「VALENTINE」(1995)

  • 2008/08/14(木) 12:56:29

VALENTINE.jpg
【No.024】
★★★★(1995)
年間ベスト1995年第3位

Robby Valentine(Vo、Key)がソロからバンドに名義を変更して放つ通算3枚目のアルバム。バンド名義になったからといって音楽性が変わるわけでもなく前2作で構築した美麗ハードロックサウンドは今回も健在で、よりポップに明るめの楽曲が多くなっているのが本作の特徴です。

何を置いても本作でまず触れなくてはならないのが①Godの存在。Robbyが敬愛するQUEENの名曲Bohemian Rhapsodyに似た構成を持つこの楽曲は、模倣だとかコピーだとかいうレベルを超越し、Robby独自のセンスで組み立てられたた孤高の1曲です。幾重にも重ねられたボーカルハーモニーに始まり、徐々に盛り上がっていく流れの中で圧巻のピアノソロからツーバス疾走パートへと雪崩れ込んでいく怒涛の展開があまりに素晴らしく言葉を失ってしまいます。これほどドラマティックな曲にはそうそう出会えません。またデビュー作のOver And Over Again、2ndのDon't Make Me Wait Foreverに続く珠玉のバラード曲としては⑫Ma Cherieが収録されてます。これまでの2曲と違い、メロディと歌詞にポジティブな空気が漂う清らかなバラードです。ひたすらポップなメロディが楽しい③Never Be Lonely、Robby流ハードロック⑬Dreams Never Dieそしてアルバムを感動的に締めくくってくれるドラマティックなインスト⑮Remi(これがボーナストラックというのにビックリ)と、ハイクオリティな楽曲が満載です。

アルバムの流れも練られていて、タイプの異なる1分台の楽曲を3曲続け、ヨーロッパ民謡風の⑧The Mourning Minstrelへ繋ぐというアルバム中盤は新境地だと思うし、アルバムのいいアクセントにもなってます。これまでの作品以上にピアノサウンドが強調されているためアルバムの雰囲気もやや異なっていますが、Robby Valentineというアーティストが生み出す甘美なメロディを随所で楽しむことができる傑作ですね。

【音源紹介】
・God

ROBBY VALENTINE「THE MAGIC INFINITY」(1994)

  • 2008/08/13(水) 18:11:22

THE MAGIC INFINITY.jpg
【No.023】
★★★★★(1995)

オランダの貴公子の愛称を持つRobby様こと、Robby Valentine(Vo, Key)の2ndアルバム。QUEENからの強い影響を受けた音楽性はそのままに、曲のクオリティが更にアップし、ハードな音像になってるのが嬉しいですね。前作以上にハードロックのダイナミズムを持った①The Magic Infinity、清らかな調べのピアノでシンプルに聴かせるバラード②Miss You Eternally、メロディアスなサビのコーラスが耳に残る③Only Your Love、Robbyの代名詞とも言える大仰なアレンジを控えた④Angel Of My Heartという冒頭の4曲だけで、本作のバラエティの豊かさを感じることができます。

前作以上にエッヂの効いたギターワークを堪能できるパートも多く、中でも①のメロディアスなソロが本当にカッコいい!ギタリストとしてクレジットされているRob Winterなるギタリスト、なかなかやりますね。ボーナストラック2曲込みで14曲(⑥The Reconcilationは1分弱の小曲)も収録されながら、そのどれもが高品質。特にRobbyならではのセンチメンタルな世界が満喫できるリリカルな名バラード⑦Don’t Make Me Wait Foreverがお気に入り。それとボーナストラックながら本作を語る上で外せないのが10分に渡る大作⑭Valentine’s Overture Part 2です。前作収録のPart 1も素晴らしかったですが、このPart 2でもRobbyのズバ抜けた才能を堪能できます。物悲しいピアノ、ハードにドライヴィングするパートのみならずラップまでも効果的に取り入れ、曲のエンディングにはボーナストラックの除く本作の収録曲12曲の各パートがフラッシュバックするという構成となってます。それを独自のアレンジで1曲に纏め上げてしまう、その才能に脱帽です。

コーラスを幾重にも重ねた壮大かつドラマティックなアレンジに注目が集まるRobbyだけど、肝心のメロディが実に魅力的なんですよね。天性のメロディメイカーとは正にこのこと。アルバムの曲順、構成も含めて文句なしの名盤!

【音源紹介】
・Mega-Man