SHAMAN「RITUAL」(2002)

  • 2015/02/13(金) 00:00:00

RITUAL.jpg
【No.418】
★★★(2002)

人間関係のもつれからANGRAを脱退したAndre Matos(Vo)が新たに結成したバンドSHAMANの1stアルバム。Andreと共にANGRAを離れたリズム隊Luis Mariutti(B)、Ricardo Confessori(Ds)、そしてLuisの実弟Hugo Mariutti(G)が脇を固めDerek Sherinian(Key/ex-DREAM THEATER)Tobias Sammet(Vo/EDGUY、AVANTASIA)がゲストとして参加しています。衝撃的な分裂劇を乗り越えてKiko Loureiro(G)、Rafael Bittencourt(G)率いる新生ANGRAがデビュー作「ANGELS CRY」(1993)を彷彿とさせる「REBIRTH」(2001)で文字通り復活したのに対して、SHAMANは民族音楽色が濃くANGRAの2nd「HOLY LAND」(1996)をシンフォニックメタル寄りにした印象を受けますね。

本作を聴いてまず驚いたのがAndreの歌唱法が別人かと思うほどに変化している点です。ANGRA時代と比べると荒れ気味でアグレッシブな歌い方となっていて透明感は失われているものの妙な裏声ハイトーンも激減しているので、これはこれでアリかもしれません。イントロダクションとしては3分とやや長めで壮大な①Ancient Windsに続くメタリックな攻撃性とAndreらしい優雅さを併せ持った疾走曲②Here I Amはインパクト抜群。その後もダイナミックなサビメロに加えてインストパートも充実した③Distant Thunder、南米フォークロア調のイントロから始まるパワーバラード④For Tomorrow、②に比べると薄味ながら軽快に駆け抜けるサウンドが気持ちいい⑤Time Will Come、ダークな出だしからドラマティックに展開していく⑥Over Your Head(キーボードソロはDerekがプレイ)とアルバム中盤まではかなり良い感じです。後半は失速気味ではありますがAndreとTobiasがデュエットしたストレートなメタルチューン⑩Prideでラストを締めくくっているので全体的には好印象。

民族音楽テイストとシンフォニックメタルサウンドが絡み合う演奏パート、そこに個性的なAndreのボーカルが乗ることで確固たるアイデンティティを築いていますね。アルバムの総合力としてはANGRA「REBIRTH」に軍配が上がりますがSHAMANの第1作目としては上々の滑り出しと言えるのではないでしょうか。今回の分裂劇はひとつのバンドがANGRAとSHAMANに別れ、その両方が聴き応えのある作品をリリースしてくれたので僕としては結果オーライという感じですね。本作を聴いた時点では2nd「REASON」(2005)をリリース後、ドラマーのRicardoを除く全員がバンドを脱退することになるとは夢にも思いませんでした…。バンドは今も存続していてAndreを欠く現体制でも2枚のアルバムを発表しています。

【音源紹介】
・Here I Am

【CD購入録】TRICK OR TREAT「RABBITS' HILL PT.1」(2012)

  • 2014/10/31(金) 00:00:00

【CD購入録】
RABBITS HILL PT1
TRICK OR TREAT「RABBITS' HILL PT.1」(2012)

バンド名と音楽性の両方で清々しいほどのHELLOWEENフォロワー振りを見せているイタリアン・パワーメタラーTRICK OR TREATの3作目を買いました。 前作「TIN SOLDIERS」(2009)にはMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)がゲスト参加していましたが、今回はAndre Matos(Vo/ex-ANGRA)が客演していてます。過去2作品では微笑ましいまでのキーパーサウンド愛が溢れていたのに対して今回はそんな要素をキープしつつフォークメタル調、ジャズっぽい雰囲気を持つナンバーなど音楽性を広げた感があります。バンドの将来を考えると、いつまでもキーパー風メタル一筋で行くわけにもいかないのだとは思いますが僕が心惹かれるのは②Prince With A 1000 Enemies、⑤Wrong Turn、⑧Rabbits' Hillといったメロパワ系の曲ばかりだったりします(苦笑)。本作はイギリスではベストセラーとなっている(らしい)児童文学「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」を題材としたコンセプトアルバムで2部構成となっているようなので、どうしてもHELLOWEENの名盤「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」が頭をよぎりますね。Part 1にあたる本作を聴く限り微妙な印象は拭いきれませんが、この「RABBITS' HILL」以降にTRICK OR TREATがどのような進化を遂げるのか注目したいと思います。

SYMFONIA「IN PARADISUM」(2011)

  • 2013/06/21(金) 00:00:00

IN PARADISUM
【No.380】
★★★(2011)

契約や金銭面、人間関係がもつれにもつれた結果STRATOVARIUSを脱退して新バンドREVOLUTION RENAISSANCEを誕生させたもののアルバム3枚をリリースしたのみで解散してしまったTimo Tolkki(G)Andre Matos(Vo/ex-ANGRA、SHAMAN etc)と新たに結成したSYMFONIAの1stアルバム。TolkkiとAndreの脇を固めるのは長きに渡ってSTRATOVARIUSの屋台骨を支えてきた実績を持つJari Kainulainen(B/ex-STRATOVARIUS)SONATA ARCTICAでの活動で注目を集めて以降、複数のバンドを渡り歩いてきたMikko Halkin(Key/ex-SONATA ARCTICA etc)GAMMA RAY、HELLOWEENというメロディック・パワーメタルの大御所2バンドでのプレイ経験もあるUli Kusch(Ds/ex-GAMMA RAY、HELLOWEEN、MASTERPLAN etc)という豪華な顔ぶれです。僕のようなメロパワファンにとっては一種のスーパーバンドと言えますが、かつては第一線で活躍していたものの名前を久し振りに聞いた人もいるので冷静になってみると、その当時Tolkkiが声を掛けやすかったメンバーを揃えた感が無きにしも非ずだったりします。

REVOLUTION RENAISSANCEでは、これまでとは異なる音楽性を模索していた印象がありましたが本作はプレイボタンを押した瞬間にメロパワの王道、というかTimo Tolkkiの音世界へと引き込まれます。正直なところ、まんまTolkki在籍時STRATOVARIUSのサウンド(主に5th「EPISODE」~8th「INFINITE」)なのでMatias Kupiainen(G)加入後、ややプログレッシブに音楽性が変わった今のSTRATOVARIUSよりもメロパワファンの受けは良いかもしれません。ただ、いかにもTimo Tolkkiらしい楽曲のオンパレードといってもその焼き直し度がかなり高いんですよね。オープニングの①Fields Of AvalonからしてSTRATOVARIUSのGlory Of The World(「INFINITE」収録)だし、タイトルトラック⑦In ParadisumはSTRATOVARIUSのSoul Of A Vagabond(9th「ELEMENTS PART1」収録)、REVOLUTION RENAISSANCEのRevolution Renaissance(1st「NEW ERA」収録)など、一聴して具体的な曲名が思い浮かぶものもあるほどです。そしてAndreの歌声もSHAMAN時代からそうだったようにANGRAにいた時のような声の透明感は減退しているので、メンバー各人の力が融合して作品に好影響を与えるといったケミストリーは希薄と言わざるを得ません。

そんな気になる点がありつつも(Tolkki在籍時の)後期STRATOVARIUSやREVOLUTION RENAISSANCEに比べると僕好みのサウンドである本作を愛聴しているのも事実で、①以外にもヘヴィなギターリフから始まる③SantiagoやTolkki節全開で高揚感に溢れた⑤Forevermoreなどこの手のバンドに求められる疾走曲はしっかり聴かせてくれるし、Hunting High And Lowタイプのキャッチーメタル、抒情的なメロディが胸に沁みるバラードに長編ナンバーと楽曲のバリエーションも一通り押さえていますね。メロディック・パワーメタルというジャンルが好きで、過去の焼き直しがあっても気にならないなら聴いて損はしないと思います。個人的にはTolkkiがここまで分かりやすいメロパワの世界に帰って来てくれたことが嬉しいし、本家STRATOVARIUSと分家SYMFONIAという形でシーンを盛り上げてくれることを期待していましたが、残念ながらそれは叶いませんでした。本作リリース後にツアーを敢行したものの、その時点でドラマーのUliは体調不良を理由に不参加、その後にバンドは解散しています。メンバーを見る限り長続きしないかもしれないな…とは思っていましたが予想以上に早い幕切れでしたね。

【音源紹介】
・Forevermore

TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「THE FLYING OPERA:AROUND THE WORLD IN TWENTY DAYS-LIVE-」(2011)

  • 2013/04/28(日) 00:00:00

THE FLYING OPERA
【No.373】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第9位

Tobias Sammet(Vo/EDGUY)の「自分が憧れたアイドル達と一緒にアルバムを制作したい」という無邪気な発想から誕生し、豪華なゲストシンガー陣が名を連ねた話題性と歌い手の魅力を引き出すTobiasの類い稀なるソングライティングなどから大成功を納めたプロジェクトAVANTASIA初となる2008年のTHE SCARECROW WORLD TOURの模様を収録したライブ作品。僕が持っているのは2DVD、2CD仕様の初回限定盤です。Tobias自身も実現できないと思っていたAVANTASIAツアーの基本メンバーは2003年頃からEDGUYのプロデュースに携わるようになり今回のツアー実現の重要なキーマンともなったSascha Paeth(G/ex-HEAVEN'S GATE)CENTERS~AT VANCE時代は優れたシンガーとして知られていましたが自身のバンドHARTMANNやAVANTASIAでは素晴らしいギタリストでもあることを世に知らしめたOliver Hartmann(G、Vo)、自らもAINAなるロックオペラを主宰するRobert Hunecke(B/ex-HEAVEN'S GATE)RHAPSODY(現RHAPSODY OF FIRE)、KAMELOTといったパワーメタルバンドのプロデュースをSaschaと共に手掛けているMiro(Key)、EDGUYでTobiasと活動を共にしているFelix Bohnke(Ds)、AVNATASIAの音世界に欠かせない女性バッキングボーカルにAmanda Somerville、Cloudy Yangといった顔ぶれです(Amandaはリードボーカルも担当)。そして注目のゲスト陣には濃厚な歌声と体格で圧倒的な存在感を放ちながら厳つい表情で熱唱するだけでなく、メロディを乗せたMCで観客を煽る姿が正に「歌鬼」なJorn Lande(Vo/MASTERPLAN)、全てのスタジオ盤に参加していたものの残念ながらツアー参加は実現しなかったMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)と自分がアルバムで歌っていたパートを担当しているAndore Matos(Vo/ex-ANGRA)、まるで「おじいちゃん」のような外見からは想像できないパワフルボイスを大仰な手振りに合わせて響かせるBob Catley(Vo/MAGNUM)、アルバムではAlice Cooper(Vo)が担っていた邪悪なキャラクターを見事に演じてみせたKai Hansen(Vo、G/GAMMA RAY)、AVANTASIAの初期2作品でギタリストを務めたHenjo Richter(G/GAMMA RAY)といった面々を迎えています。

【トラックリストと収録アルバム】
01. Twisted Mind(「THE SCARECROW」)
02. The Scarecrow(「THE SCARECROW」)
03. Another Angel Down(「THE SCARECROW」)
04. Prelude/Reach Out For The Light(「THE METAL OPERA」)
05. Inside(「THE METAL OPERA」)
06. No Return(「THE METAL OPERA PART2」)
07. The Story Ain't Over(EP「LOST IN SPACE PART2」)
08. Shelter From The Rain(「THE SCARECROW」)
09. Lost In Space(「THE SCARECROW」)
10. I Don't Believe In Your Love(「THE SCARECROW」)
11. Avantasia(「THE METAL OPERA」)
12. Serpents In Paradise(「THE METAL OPERA」)
13. Promised Land(EP「LOST IN SPACE PART2」)
14. The Toy Master(「THE SCARECROW」)
15. Farewell(「THE METAL OPERA」)
16. Sign Tf The Cross/The Seven Angels(Medley)(「THE METAL OPERA」、「THE METAL OPERA PART2」)

そんな参加メンバーの紹介だけでかなりの文章量になってくるAVANTASIA初のライブ作品はドイツで毎年開催されているヨーロッパ最大級のメタルフェスWACKEN OPEN AIR、チェコで行われたMONSTERS OF ROCKという2公演のテイクからなるセットリストで構成されていて、個人的には1st~3rdまでのベスト盤と言いたくなるくらい充実していますね(個人的にはBobのジェントルボイスが映える隠れた名曲⑦The Story Ain't Overが収録されているのが高ポイント)。曲によっては10人以上がステージに登場するなどしてAVANTASIAの壮大な世界観を再現しているだけでなく、ライブならではの熱さがスタジオ盤以上の魅力を放っている場面も少なくありません。中でもSascha、Oliverの叙情ギターソロから激情に満ちたTobiasとJornのボーカルバトルへと雪崩れ込んでいく②The Scarecrowは圧巻の一言。また⑩I Don't Believe In Your Loveはアルバムを聴いている時は印象の薄い曲でしたが、ライブバージョンを聴いてカッコいいハードロックソングだと気づきました。

本作はライブ本編とTobiasのロングインタビュー/ドキュメンタリーからなるDVD2枚、DVDと同じライブ音源を収めたCD2枚セットの仕様だけでなく、DVDまたはCDのみのフォーマットも存在しますが個人的にはDVDの方が断然楽しめましたね。理由は大きく2つあって、ひとつはBob、Jorn、Oliver、Sascha & Miroといった(日本で映像作品をほとんどリリースしていない)ミュージシャンの姿やライブ中にTobiasが見せるイキイキとした表情を観ることができた点。そしてもうひとつは、AVANTASIA誕生の経緯や初のPVが制作されたシングルLost In Spaceの誕生秘話や、それをWACKENで演るかどうかの葛藤などスタジオ作品を聴いているだけではわからないAVANTASIAの裏側に迫るインタビューが実に興味深いということです。抜群の作曲能力と歌唱力、アクティブなステージアクションやライブ運びの上手さに加えて多くの先輩ミュージシャンをAVANTASIAに参加させる人柄に至るまでTobiasは才能に溢れた人物だとつくづく感じますね。そんな才能に恵まれながらも決しておごることなく周囲への感謝の気持ちを忘れないTobiasの言動は素晴らしいと思うし、僕のわずか1歳年上の彼が自分の夢を叶えている姿には胸を打たれました。ハイライトは⑮FarewellでWACKENの大観衆(公称10万人)が一体になっているのをステージから見て感激しているTobiasの表情でしょうか。Tobiasと僕の間には直接的な繋がりはないし、住んでいる世界が全く違うのですが本作を観ていると自分も家族や仕事のために自分にできることを頑張ろうという気持ちにさせてくれます。現時点での最新作「THE MYSTERY OF TIME」(2013)のライナーノーツには「THE SCARECROW」3部作完成後に本作を発表してAVANTASIAは幕を降ろす予定だったとの記載があり、Tobiasもインタビューでツアーを再び実現させるのは難しいという見解を示していましたが、ご存知の通りAVANTASIAは2011年、2013年にもワールドツアーを実現させています。本作には参加していないMichael Kiske(Tobiasは12歳の時にKiskeの歌を聴いてシンガーを目指すようになったのだとか)も帯同したライブも是非DVD化してもらいたいですね。

【音源紹介】
・Farewell(Live)

【CD購入録】SYMFONIA「IN PARADISUM」(2011)

  • 2011/12/03(土) 00:00:00

【CD購入録】
IN PARADISUM
SYMFONIA「IN PARADISUM」(2011)

STRATOVARIUSをゴタゴタ騒動の末に脱退した後、REVOLUTION RENAISSANCEをプロジェクトからバンドに発展させたもののアルバム3枚で解散してしまったTimo Tolkki(G)が新たに結成した新バンドSYMFONIAの1stアルバムを買いました。このバンドの注目ポイントは何と言っても、その参加メンバー。キーパー時代のHELLOWEENでメロディックメタルに魅了され、その後も長きにわたり愛聴している身としてはAndre Matos(Vo/ex-ANGRA、SHAMAN etc)、Jari Kainulainen(B/ex-STRATOVARIUS)、Mikko Halkin(Key/ex-SONATA ARCTICA etc)、Uli Kusch(Ds/ex-HELLOWEEN、MASTERPLAN etc)というメンツは一種のドリームバンドと呼びたくなるほどですね。中身の方もその顔ぶれから想像できるメロパワの王道を行く内容だとは思うのですが、Timoがこれまでに生み出してきた名盤に比べると物足りなさを感じるのも事実。普通に楽しめる手堅い1枚ではあるけれど、このメンバーだからこそのマジックを感じるには至らないというか…。客観的に見れば平均水準以上だとは思うんですけどね。Timoの後任にMatias Kupiainen(G)を迎えた新体制として2枚目、通算13作目となる「ELYSIUM」を発表した本家STRATOVARIUSと比較するとメロパワらしさでは本作、全体的な満足度ではあちらに軍配が上がるという感じです。

(追記)
BLABBERMOUTH.NETによるとTimo Tolkkiが自身のFACEBOOKで音楽業界から引退するかのようなコメントを出しているようですね。STRATOVARIUS在籍時から彼は躁鬱病を患って、その極端な言動は以前から見受けられていたので今回の声明も本心かどうか疑問ですがTimoの今後の動向が気になるところです。

TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「THE WICKED SYMPHONY」(2010)

  • 2011/03/27(日) 00:00:00

THE WICKED SYMPHONY
【No.281】
★★★★(2010)
年間ベスト2010年第9位

今やメロディックメタル界の最重要人物となった感のあるTobias Sammet(Vo/EDGUY)EDGUYと並行して活動を続けるプロジェクトAVANTASIAの4thアルバム。前作「THE SCARECROW」(2008)が完成した時点から続編の存在を明言していたTobiasが溢れるインスピレーションを抑えることなく曲作りを進めた結果、裕にアルバム2枚分のマテリアルが出来上がったため本作と5th「ANGEL OF BABYLON」を同時リリースするという形をとっています。今回も初期2作品のようなメロパワ路線ではなく、曲調の幅を大きく広げた前作の延長線上にある1枚という印象ですね。ゲストシンガーはAndre Matos(ex-ANGRA、SHAMAN)、Bob Catley(MAGNUM)、Jorn Lande(MASTERPLAN)、Michael Kiske(UNISONIC、PLACE VENDOME、ex-HELLOWEEN)、Ralf Zdiarstek(他のシンガーと比べて知名度は低いですがAVANTASIAの初期2作品にも参加)という過去作品でも歌っていた顔ぶれに加えて新たにKlaus Meine(SCORPIONS)、Russell Allen(SYMPHONY X)、Tim“Ripper”Owens(YNGWIE MALMSTEEN、ex-JUDAS PRIEST)の3人が参加しています。

何と言っても圧巻なのはアルバム序盤の畳み掛け。プロデューサーSascha Paeth(G/ex-HEAVEN'S GATE)と並んでAVANTASIAには欠かせないMiro(Key)が手がける壮大でシンフォニックなイントロに導かれてTobias、Jorn、Russell3人のボーカルが交錯しながらキャッチーなサビへと繋がる9分半の大作①The Wicked Symphonyで幕を開け、Kiskeがキーパー時代HELLOWEEN風のメロパワを歌う②Wastelands、初参加のRipperにピッタリの鋼鉄チューンでTobias自身もJUDAS PRIESTPainkiller風と認める③Scales Of Justice、Klausがカリスマ性抜群の歌声でAVANTASIAの世界をSCORPIONS色に染めてみせた王道ハードロック④Dying For An Angelまでの流れには、Tobiasの卓越した作曲能力と豪華シンガー陣が共演するAVANTASIAの魅力が凝縮されていると思います。それ以降もBobの渋い歌唱が冴えるバラードとして始まりMEATLOAFっぽい劇的展開の中でBobとTobias、Jornが絡み合い、終盤にはKiskeも登場する8分の長編⑥Runaway Train、Jornの独壇場とも思えるオーセンティックなハードロック⑧Forever Is A Long Time、Russellのエネルギッシュボイスと共に駆け抜けるアップテンポ⑩States Of Matterなどは一聴して心を揺さぶられました。

ただ上記楽曲のように即効性のある曲も存在する一方で、メロディックメタルの枠に納まり切らず拡散し続ける楽曲群に戸惑いを感じたのも事実で、正直なところ聴き始めの頃は本作と「ANGEL OF BABYLON」の収録曲の約半数ずつしか気に入っていなかったので「2枚にする必要もなかったのでは…」と思っていた僕ですが、リピートするうちにどんどん引き込まれていきました。これだけ豪華な歌い手が揃う作品でありながら聴きどころをゲストに持っていかれることなく常に曲の良さが耳を捉え、しかもゲストシンガーの特性を活かした楽曲を次々と生み出すTobiasのソングライティングスキルの高さこそがAVANTASIAの肝ですね。ちなみに前作のMVPシンガーがJorn Landeだとすれば本作のMVPはKlaus Meineでしょう。参加曲は④のみながら独特の艶と張りのある歌声で圧倒的な存在感を放っています。また本作には日本盤ボーナストラックとして前作のシングル曲Lost In Spaceのライブが本編終了後に収録されていますが「THE WICKED SYMPHONY」と「ANGEL OF BABYLON」という連続性のある音世界に浸る際の妨げとなっていると思うので「ANGEL OF BABYLON」のラストにまとめて欲しかったかな。「ライブテイクが聴けるのは嬉しいけれど作品の構成的にはありがた迷惑かも」という意味でSENTENCEDの遺作「FUNERAL ALBUM」(2005)を思い出してしまいました(苦笑)。

【音源紹介】
・Dying For An Angel

TOBIAS SAMMET’S AVANTASIA「THE METAL OPERA PART 2」(2002)

  • 2008/11/23(日) 07:58:45

THE METAL OPERA PART 2.jpg
【No.074】
★★★★(2002)

若き天才Tobias Sammet(Vo/EDGUY)によるソロプロジェクトAVANTASIA待望の第2弾。メロディックメタルとして、圧倒的な完成度を誇ったPART 1と同時期にレコーディングされていた本作は、絵に描いたようなジャーマンメタル作品だった前作に比べると更にシンフォニックなものはより壮麗にしつつ、ハードロックサウンドも取り入れ曲の幅を広げてきたように感じます。参加メンバーも前作同様の豪華なメンツに加え、気品ある英国ボイスが魅力のBob Catley(Vo/MAGNUM)が参加してるのも注目。

いきなりクライマックスかというほど大仰でドラマティックな大作①The Seven AngelsからAVANTASIAストーリーの後編はスタート。ゲストシンガーの大半が参加し、入れ替わり立ち代り歌い上げる14分の感動絵巻はこの手の音楽が好きな人にとっては至福のひと時となるでしょう。その後はコンパクトにまとめられた楽曲が続き、TobiasとMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)のデュエットで高揚感あるメロディが歌われるジャーマンチューン②No Return、Bob Catleyの渋い歌声がはまるバラード④In Quest ForAndre Matos(Vo/ex-ANGRA)Kai Hansen(Vo、G/GAMMA RAY)がボーカルを分け合い、サビではTobiasが「Welcome To Avantasia~♪」と歌い上げる本作最高の疾走曲⑧Chalice Of Agonyを筆頭にハイクオリティな楽曲が揃っています。

気になるのは「METAL OPERA」の名を冠している割には、音楽的には各曲のつながりが希薄でオペラ作品というより優れたシンフォニックメタル作品になってるということ。豪華絢爛な①を冒頭に持ってきて終盤はどう盛り上がるのかと期待してたのに、淡白なラスト⑩Into The Unknown(いい曲なんですけどね)でAVANTASIAストーリーが締めくくられてしまってるのが残念。純粋に一つの作品として見た場合は美味しいメロディがテンコ盛りなので、その辺りは気にしないでいれば十分楽しめる1枚です。

【音源紹介】
・The Seven Angels(前半部分)

TOBIAS SAMMET’S AVANTASIA「THE METAL OPERA」(2001)

  • 2008/11/21(金) 09:59:06

THE METAL OPERA.jpg
【No.073】
★★★★★(2001)
年間ベスト2001年第2位

新世代ジャーマンメタルバンドEDGUYの若きフロントマンTobias Sammet(Vo)が自ら作ったファンタジック・ストーリーを展開させるコンセプトアルバム。このアルバムの目玉は何といっても豪華すぎるゲストでしょう。主なところを挙げてみても、伝説のハイトーンシンガーMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)をはじめ、Rob Rock(Vo/ex-IMPELLITERI)、Oliver Heartmann(Vo/ex-AT VANCE)、Andre Matos(Vo/ex-ANGRA、SHAMAN)といったメタル界の実力派シンガーに加え、麗しのエンジェリックボイスの持ち主Sharon Den Adel(Vo/WITHIN TEMPTATION)他多数のゲストシンガーが参加しています。そしてバックを支える演奏陣もHenjo Richter(G/GAMMA RAY)、Markus Grosskopf(B/HELLOWEEN)、Alex Holzwarth(Ds/RHAPSODY)(曲によってゲストプレーヤー参加)というメンツで、このラインナップ見ただけで興奮してしまいます。

これだけのメンバーを集めたTobiasの人望とゲストシンガー陣にも引けをとらない堂々たる歌唱に感心しきりですが、ここに収録されている曲のなんと素晴らしいことか。一聴して思い出したのは、HELLOWEENがメタル界に残した金字塔的アルバム「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」ですね。序曲からジャーマンメタルの王道を行く疾走曲②Reach Out For The Lightに始まり、キャッチーなサビを持つ③Serpents In Paradiseはいわゆる「キーパーなメロディ」が魅力の曲でHELLOWEENのFuture WorldRise And Fallの雰囲気を感じさせます。2005年に「本家」HELLOWEENが「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」の続編を発表したけど、このアルバムの方がキーパーらしいメロディが味わえます。それ以降も抜群のメロディを持った曲が続きますが、Andre Matosの繊細な歌声がはまっているバラード小曲⑪Inside、威厳に満ちたミドルチューン⑫Sign Of The Cross、クライマックスを飾る10分の大作で完成度の高い疾走曲⑬The Towerと異なるタイプの曲調で畳み掛けるアルバム終盤は圧巻です。

「METAL OPERA」というタイトルから想像するほど、オペラティックな要素はなく基本的な音楽性はEDGUYと大差ないけど、本作以前にリリースされたEDGUYのどのアルバムよりも好きです。「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 3」というフレコミで聴いたとしても、僕はすんなり受け入れられそうなアルバム、即ちメロディック・パワーメタルの名盤ということですね。

【音源紹介】
・Sign Of The Cross(Live)
後半は「THE METAL OPERA PART 2」(2002)の1曲目The Seven Angelsです。