PLANET 3「A HEART FROM THE BIG MACHINE」(1991)

  • 2018/06/15(金) 00:00:00

A HEART FROM THE BIG MACHINE
【No.517】
★★★★(1995)

HR/HMを聴き始めた頃に名盤「SOLO」(1995)でAOR(Adult Oriented Rock)の魅力を僕に教えてくれたClif Magness(Vo)が23年振りの新作「LUCKY DOG」(2018)を7月4日に発表するという嬉しいニュースが飛び込んで来たので、Clifがリードボーカルを務めたPLANET 3唯一のアルバムをご紹介。メンバーとして名を連ねるのはJay Graydon(G、Key)、Glenn Ballard(Key)でClifも含めた3人全員がグラミー賞受賞歴のあるソングライターという豪華布陣、ベースとドラムは打ち込みという編成です。僕はClifが歌うアルバムを探す中で本作と出会いましたがDavid Fosterと組んだAIRPLAYで一世を風靡したJay Graydonがこのユニットの中心人物で、彼はPLANET 3の音楽性を「CHICAGO meets DEF LEPPARD」と表現しています。

アメリカ音楽シーン屈指のソングライター3人が集結しただけあって、各曲のクオリティは非常に高く爽やかに幕開けを告げる①Born To Loveからして親しみやすいメロディと程よいロックサウンドのバランスが絶妙。軽快に跳ねるサウンドが気持ちいい②From The Beginning、繊細さと力強さを兼ね備えたClifの歌声を堪能できるバラード③Insincere、洗練されたハードポップ④Criminalもさることながら大きなハイライトとなっているのが「永遠の夜を君と」という邦題がつけられた⑤I Don't Want To Say Goodnightですね。個人的には2:30過ぎの劇的なサビコーラスが鳥肌モノでした。この曲は映画「ネイビーシールズ」のサントラ盤に収録されているほか、クイズ番組「世界ふしぎ発見!」のエンディングテーマに起用され日本でもヒットしたそうです。僕も⑤と⑩I Will Be Loving Youはこのアルバムを聴く前から耳にしたことがありました。

アルバム後半は若干テンションが下がり気味ではあるものの、それでも充実した楽曲が並びます。⑧Only Your EyesはClifの切ない熱唱と哀愁たっぷりのアコギによるソロが秀逸だし、LEVI'SジーンズのCM用に書き下ろされたという⑩も感動的。また⑥The Day The Earth Stood Stillはメロディは薄味ながら都会的なアレンジがお洒落な雰囲気を演出していてクセになりますね。これだけのアルバムを生み出しておきながらPLANET 3が本作のみで解散してしまったのは残念でなりません…。ちなみに僕は「典型的なAOR」と聞くとメロディックロックよりもソフトでメロウ、リズム隊は打ち込みで歌詞は大半が恋愛モノ、といった要素が思い浮かびますが本作もClif Magnessの「SOLO」同様、AORの教科書と呼ぶに相応しい名盤だと思います。

【音源紹介】
I Don't Want To Say Goodnight

【CD購入録】KAMELOT「THE SHADOW THEORY」(2018)

  • 2018/05/19(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE SHADOW THEORY
KAMELOT「THE SHADOW THEORY」(2018)

ダークで神秘的なオーラを纏ったメロディック・パワーメタルバンドとして孤高の存在感を放つKAMELOTの12作目を買いました。20年以上に渡ってバンドの屋台骨を支え続けてきたCasey Grillo(Ds)が円満脱退、後任にJohan Nunez(Ds/FIREWIND etc)を迎えて初のアルバムですが、今回もKAMELOTならではのメロディックメタルが堪能できます。1分半ほどの序曲①The Missionに導かれてスタートする②Phantom Divine (Shadow Empire)からしてKAMELOTらしさ全開だし、シンガーのTommy Karevik(SEVENTH WONDER)がメインで作曲したという③RavenLight、流麗なメロディが耳に残るアップテンポ④Amnesiac、ケルトっぽい雰囲気の中で響くサビのコーラスが素晴らしい⑤Burns To Embraceなど流石の楽曲が並びます。前半に比べて後半はやや失速気味に感じるものの、優雅なピアノソロから徐々に激しさを増していく⑫The Proud And The Brokenもいいですね。ちなみにTommyが在籍するプログレメタルバンドSEVENTH WONDERが10月に新作「TIARA」をリリースするようだし、KAMELOTの顔と呼べる存在だった前任シンガーRoy KhanCONCEPTIONを復活させるそうなのでKAMELOTの新旧ボーカルの動向に要注目ですね。

【CD購入録】DUKES OF THE ORIENT「DUKES OF THE ORIENT」(2018)

  • 2018/05/03(木) 00:00:00

【CD購入録】
DUKES OF THE ORIENT
DUKES OF THE ORIENT「DUKES OF THE ORIENT」(2018)

2017年に逝去したJohn Wetton(Vo/ASIA、ex-KING CRIMSON etc)の後任としてASIAに在籍していたJohn Payne(Vo)と女性シンフォニックHR/HMシンガーLana Laneの音楽的ブレインで夫でもあるErik Norlander(Key/LANA LANE、ROCKET SCIENTISTS etc)が新たに結成したDUKES OF THE ORIENTの1stアルバムを買いました。僕はASIAやLANA LANE、ROCKET SCIENTISTSをそれほど熱心に追いかけていたわけでもないので、当初はノーマークだったのですがYouTubeで②Strange Days(終末)、⑦Seasons Will Change(変革時期)を偶然聴いて興味を持った次第です。ちなみに本作の楽曲全てに邦題が付けられていてキングレコードの力の入れようが窺えますね。中身の方はというと味わい深いメロディとボーカル、それを盛り上げる鍵盤サウンドが織り成す大人のメロディックロックに仕上がっています。お気に入りはキーボードによる勇壮なメインテーマがカッコいい⑥Fourth Of July(7月4日~新たなる未来)ですね。アルバム全編に渡って中低音域をメインとした温かみのある歌声を披露しているPayneは、John Wettonという偉大な前任者の影に隠れがちですがなかなかの実力者だと思います。余談ですが直訳すると「東洋の公爵達」となるプロジェクト名とPayneの整えられた髭の公爵感(?)がすごくマッチしていますね(笑)。

【CD購入録】HALESTORM「INTO THE WILD LIFE」(2015)

  • 2018/04/25(水) 00:00:00

【CD購入録】
INTO THE WILD LIFE
HALESTORM「INTO THE WILD LIFE」(2015)

これまでに発表した2枚のアルバムがどちらも優れた歌モノハードロック作品だったHALESTORMの3作目を買いました。前作「THE STRANGE CASE OF...」(2012)が素晴らしい出来だったので本作には期待をしていたのですがリリース当時の評判がいまひとつだったこと、2015年は聴きたいアルバムが他に沢山あったことなどから買うのが遅くなってしまいました。いざ聴いてみると確かに世間の(主に日本での?)評価がさほど高くないというのもわかる気がします。端的に言うならHR/HMらしさが減退し、一度聴いただけで口ずさめそうなメロディも少なくなっているので第一印象が弱く感じられます。過去2作品はキャッチーなサビから始まるIt's Not You、バンド屈指のハードチューンLove Bites(So Do I)といった即効性抜群の曲をオープニングに配していたのに対して、本作の①Screamはゆっくりとアルバムの幕開けを告げるタイプで従来とは違う要素を感じさせます。徐々に激しさを増していく②I Am The Fire、アルバム随一のアグレッションで攻め立てる⑦Mayhemなどもありますが、一聴して胸が空くようなナンバーは少ないのでどうしても地味に感じてしまいますね。といいつつリピートするうちにこれはこれでアリかもと思わせるのはLzzy Hale嬢(Vo)の歌唱力に依るところが大きいかな。ピアノ主体のバラード⑤Dear Daughter、印象的なギターメロディとナーナーコーラスが耳に残る⑨Gonna Get Mineから⑩The Reckoningに繋がる流れも気に入っています。HALESTORMを初めて聴く方には過去作品をオススメしたいですが、本作もスルメ盤的な魅力がありますね。

HALESTORM「THE STRANGE CASE OF...」(2012)

  • 2018/04/21(土) 00:00:00

STRANGE CASE OF
【No.512】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

2009年にバンド名を冠した1st「HALESTORM」でシーンに登場すると本国アメリカで好調なセールスを記録、翌年のLOUD PARK10出演のタイミングで日本デビューも果たしたハードロックバンドHALESTORMの2ndアルバム。デビュー作の時点で新人離れした完成度を誇っていましたが、今回は更に進化していて「化けた」と言っても過言ではないほどのパワーアップを遂げていますね。元々魅力的だったメロディはキャッチーさを増しているしハードに畳み掛ける曲からバラード、ポップチューン、ブルーズ風などバラエティにも富んでいます。そんな中でも突出しているのが前作にはなかったゴリゴリのハードチューン①Love Bites(So Do I)でしょう。バンドはこの曲で第55回グラミー賞の最優秀ハード・ロック/メタル・パフォーマンスを受賞しています。ちなみに2017年に1stアルバム「AWAKENING FROM ABYSS」をリリースした国産ガールズメタルLOVEBITESのバンド名はこの曲から来ているそうです。

そんな①でガツンとかました後も②Mz. Hyde、③I Miss The Misery、④Freak Like Meとパンチの効いたナンバーを立て続けに繰り出したかと思うと⑤Beautiful With Youからは一転してバラード3連発。前作でもバラードを中盤に2曲続けていましたが今回もメジャー感たっぷりの⑤、曲が進むに連れて盛り上がっていく⑥In Your Room、ピアノでしっとり聴かせる⑦Break Inと各曲のキャラが立っていて飽きさせません。後半もリズミカルな曲調にライヴの楽しさを歌った歌詞が乗る⑧Rock Show、「ナ〜ナ、ナナナ」の力強いコーラスで始まる⑨Daughters Of Darkness、ダーティな歌い回しがカッコいい⑩You Call Me A Bitch Like It's A Bad Thing、土臭い古き良きロックサウンド風に始まりシンガロングを誘うコーラスへ繋がる⑪American Boysときてラストを牧歌的なバラード⑫Here's To Usで本編を締めくくる構成もいいですね。

また僕が持っている国内盤にはボーナストラックとしてバンドが2011年に発表した6曲入りカバーEP「ReAniMate: The CoVeRs eP」からSKID ROW、LADY GAGA、TEMPLE OF THE DOG、HEART、THE BEATLESのカバー5曲を聴くことができます(何故かGUNS N'ROSESOut Ta Get Meだけ未収録)。どの曲もHALESTORMらしい仕上がりとなっていますが、やはり⑬Slave To The Grindが秀逸ですね。ボートラも含めると全17曲と収録曲数は多めながらダレることがないのも好印象。そして特筆すべきはLzzy Hale(Vo)の存在感抜群の歌声で、彼女のボーカルパフォーマンスが作品の格を一段も二段も上げていることは間違いありません。②ではジキル博士とハイド氏を意識した曲名にあるような二面性をボーカルで表現しているほか、吐き捨て系の歌い方を披露したかと思えば、メロウな曲では一転して可憐な表情を見せたりと多彩。Lzzyは現代の女性ロックシンガーの中でも屈指の存在ですね。アルバムトータルで見ても僕にとってはNICKELBACK「THE DARK HORSE」(2008)、SHINEDOWN「THE SOUND OF MADNESS」(2008)と肩を並べるアメリカン・ハードロックの名盤です。

【音源紹介】
Love Bites(So Do I)

HALESTORM「HALESTORM」(2009)

  • 2018/03/28(水) 00:00:00

HALESTORM.jpg
【No.511】
★★★(2010)

アメリカはペンシルバニア州出身の4人組ハードロックバンドHALESTORMのデビューアルバム。バンドの歴史は意外と長く紅一点のLzzy Hale(Vo、G)Arejay Hale(Ds)のHale姉弟によって90年代後半に結成、当初は2人の父親がベースをプレイするなどしていたようですが、本作のラインナップが固まった2004年から2018年現在に至るまでメンバーチェンジはありません。複数のアルバムを発表していて結成時からメンバーが不変のHR/HM系バンドは結構珍しいですね。安定しているのはラインナップだけではなく作風も同じで超大手レーベルATLANTICからデビュー、プロデューサーはDAUGHTRY、FOOBASTANK、MY CHEMICAL ROMANCEなどを手掛けたHoward Bensonという前評判通りメジャー感バリバリのアメリカン・ハードロックに仕上がっています。

デビュー作とは思えないほどの風格が漂う本作ですが、それをより盤石なものにしているのがフロントウーマンLzzy Haleの歌唱です。女性でありながらAxel Rose(Vo/GUNS N' ROSES)、Sebastian Bach(Vo/ex-SKID ROW)が引き合いに出されることもある彼女の歌声は骨太かつパワフルで聴き応えがありますね。楽曲面も充実していて開始数秒で心を掴まれるキャッチーソング①It's Not You、力強さを前に出した②I Get Offへと続くシングル2曲を冒頭に配した構成は文句なし。③Bet U Wish U Had Me BackはDAUGHTRYを彷彿とさせる大らかなナンバーで、僕にとってはこういう曲こそ典型的アメリカン・ハードロックというイメージが強いですね。中盤は効果的なストリングスが曲を盛り上げるバラード⑤Familiar Taste Of Poison、前曲と同系統ながら歌とメロディの魅力で楽しませてくれる⑥I'm Not An Angelでスローダウンしておいて「ヘイ!ヘイ!」というコーラスをフィーチュアした⑦What Were You Expecting?で再びテンションが上がります。

Lzzyのボーカルパフォーマンスに注目してしまいがちですがバックを支える演奏陣も適度にヘヴィ、それでいて安定感があるので総合的に見ても歌モノハードロックの充実盤だと思います。ほぼ全曲が3分台、アルバム1枚で約37分とコンパクトに纏まっているのも好印象。贅沢を言えば、一度聴いただけで口ずさめそうなサビが印象的な⑩Dirty Workクラスの曲が後半にあと2〜3曲欲しかった気もしますが。2009年にリリースされた本作は全米で50万枚のセールスを記録、アメリカで話題の新人ロックバンドとして紹介されているCDショップの試聴コーナーが僕とHALESTORMの出会いでした。興味半分で試聴したその場でCDをレジに持っていってしまうほどのインパクトがありましたね。僕が持っているのは11曲入りの輸入盤ですがバンドがLOUD PARK10に出演直後のタイミングでライヴ音源2曲を追加した国内盤が発売されています。

【音源紹介】
It's Not You

【CD購入録】THE DEAR HUNTER「ACT I: THE LAKE SOUTH, THE RIVER NORTH」(2006)

  • 2018/02/24(土) 00:00:00

【CD購入録】
ACT I THE LAKE SOUTH THE RIVER NORTH
THE DEAR HUNTER「ACT I: THE LAKE SOUTH, THE RIVER NORTH」(2006)

アメリカのTHE RECEIVING END OF SIRENSというバンドで活動していたCasey Crescenzo(Vo、G)がバンド在籍中に立ち上げたサイドプロジェクトTHE DEAR HUNTERの1作目を買いました。ちなみにTHE RECEIVING END OF SIRENSは2008年に解散、2010年に再集結したものの今はもう活動していないようです。アルバムタイトルにある「ACTシリーズ」は全6章で構成されるコンセプトアルバムで、第一次世界大戦の頃を舞台にした少年の誕生から急死までの人生を描いた物語を題材にしているとのことです。音楽性はというと様々なジャンルを混合させながら美しいメロディを丁寧に紡いでいくスタイルで、僕が持っているCDを引き合いに出すならばANATHEMA「WEATHER SYSTEMS」(2012)LEPROUS「COAL」(2013)を足して2で割ったような感じでしょうか。収録曲は全8曲で約38分、インストや小曲がそのうち3曲あってフルアルバムというよりはEP並のボリュームなので食い足りなさが残るし、作品の核となるキラーチューンと呼べそうなものはありませんがメロディが胸に沁みます。現時点で「ACTシリーズ」は5章までリリースされているようなので機会があれば他の作品も聴いてみたいですね。

【CD購入録】SONS OF APOLLO「PSYCHOTIC SYMPHONY」(2017)

  • 2018/01/27(土) 00:00:00

【CD購入録】
PSYCHOTIC SYMPHONY
SONS OF APOLLO「PSYCHOTIC SYMPHONY」(2017)

Mike Portnoy(Ds)、Derek Sherinian(Key)という元DREAM THEATER組を中心にBilly Sheehan(B/MR.BIG、THE WINERY DOGS)、Ron “Bumblefoot” Thal(G/ex-GUNS N' ROSES etc)、Jeff Scott Soto(Vo/SOTO、W.E.T.、ex-TALISMAN、YNGWIE MALMSTEEN etc)といった実力派が名を連ねるスーパーバンドSONS OF APOLLOのデビュー作を買いました。このバンドが始動した時には「DREAM THEATER、MR.BIG、JOURNEY、GUNS N' ROSESのメンバーが集結」というフレコミだったのでSlash(G/ex-GUNS N' ROSES)またはNeal Schon(G/JOURNEY)が参加しているのかな?と思っていたら僕にとって未知のギタリストでGUNS N' ROSESでもプレイしていたらしいBumblefootことRon Thal、JOURNEYに一時期在籍していたもののスタジオアルバムを作ることなく脱退したJeffという人選だったので意外でした。JeffがJOURNEYのシンガーだったことはすっかり忘れていましたね(苦笑)。DerekもYNGWIE MALMSTEENと活動を共にしていた時期もあるのでDREAM THEATER+MR.BIG+YNGWIE MALMSTEEN(+GUNS N' ROSES)のメンバーによる新バンドと言われた方が個人的にはテンションが上がります。実際に聴いてみるとMikeとDerekが中心となっているだけあってDREAM THEATERを連想させるプログレメタルとなっていますが、ハードロック寄りの印象が強いですね。お気に入りは一際キャッチーなメロディが耳に残る③Signs Of The Time、アルバム随一のメタリックチューン⑥Lost In Oblivionでしょうか。また①God Of The Sun、④Labyrinth、⑨Opus Maximusと10分近くの曲が3つもあるものの、どれも長さを感じさせません。メンバー、サウンドの両面でDREAM THEATERとの比較は避けられないと思いますが、僕はここ最近のDREAM THEATERよりもSONS OF APOLLOの方が好きですね。メンバーは「2018年はSONS OF APOLLOの年になる」と息巻いていてワールドツアーも計画中のようなので、今後の更なる発展に期待しています。

【CD購入録】REVOLUTION SAINTS「LIGHT IN THE DARK」(2017)

  • 2017/10/18(水) 00:00:00

【CD購入録】
LIGHT IN THE DARK
REVOLUTION SAINTS「LIGHT IN THE DARK」(2017)

Deen Castronovo (Ds/ex-JOURNEY)の歌唱力に注目したFRONTIERS RECORDSが立ち上げたメロディックロック・プロジェクトREVOLUTION SAINTSの2作目を買いました。Deen以外はデビュー作と同じくJack Blades(B/NIGHT RANGER)、Doug Aldrich(G/ex-BAD MOON RISING etc)が正式メンバー、作曲とプロデュースはAlessandro Del Vecchio(Key)という布陣です。前作に収録されていたErik Martensson(Vo、G/ECLIPSE)、Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR)らのペンによる楽曲はなく、カバー曲の④I Wouldn't Change A ThingSimone Mularoni(G/DGM)がソングライティングに関わった⑤Don't Surrender以外はメンバーとAlessandroの共作となっていてバンド感は増したように思います。FRONTIERS RECORDSの作品は良くも悪くも手堅いイメージが強い中、セルフタイトルのデビューアルバムは突出したメロディックロックアルバムだったので今回もかなり期待していました。先行で公開されていた①Light In The Dark、②Freedomの2曲による掴みは上々だし、ノリのいいハードロック③Ride Onからバラード④に繋がる展開は流石ですね。ただアルバム後半に進むに連れてメロディの魅力は下がり気味なので、現在の感想としては良作ではあるものの前作には及ばないかな。余談ですが本作のアルバムジャケットはSHAKRAが2016年に発表した「HIGH NOON」にソックリ過ぎますね(笑)。同じ構図で鳥(フクロウ?)が目を見開いているREVOLUTION SAINTS、眼光鋭く睨みつけるSHAKRAという感じでしょうか。

SYMPHONY X「UNDERWORLD」(2015)

  • 2017/06/03(土) 00:00:00

UNDERWORLD.jpg
【No.494】
★★★(2015)

1998年の初来日以来、2度目の来日公演となるはずだったLOUD PARK 14を「レコーディングスケジュールの都合」を理由にキャンセルして多くのファンをガッカリさせたSYMPHONY Xの9thアルバム。そんなドタキャン劇の要因でもある本作の内容は2枚組という気合いの入った仕様でありながら、冷徹でヘヴィネス重視の方向へ傾倒していた前作「ICONOCLAST」(2011)と比べてメロディアスな作風にシフトしていますね。これまでに「アトランティス文明」、「失楽園」をアルバムの題材にしてきたバンドが今回取り上げたのはイタリアの詩人ダンテの叙事詩「神曲」です。Michael Romeo(G)によると3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)収録の3曲から、3つの引用があるらしいのですが僕はRomeoの仕掛けを見つけることができませんでした…(苦笑)。

シンフォニックな序曲①Overtureからパワーメタル系の疾走曲②Nevermoreへ繋がる流れは掴みとして申し分なし。この②はSYMPHONY Xにしてはキャッチーな部類に入ると思うのですが、楽曲の至るところで激しく動き回るギターをついつい耳で追ってしまいますね。また鍵盤奏者Michael PinnellaのキーボードをバックにRussell Allen(Vo)が歌うドラマティックなサビメロが秀逸なタイトル曲③Underworld、このバンドにしては珍しくメロディアスハード風でもあるパワーバラード④Without You、一転してブラストビートも取り入れた激しい曲調とゴリゴリのギターに圧倒される⑤Kiss Of Fireと緩急をつけたアルバム構成もお見事。過去には20分越えの大作、前作では10分以上の曲を3曲も収録していたことを思うと比較的コンパクトな楽曲が並ぶのも本作の特徴でしょうか。そんな中、今回のアルバム最長となる9分台の⑦To Hell And Backは曲の開始とともに流れるテーマメロディが素晴らしいドラマティックチューンでハイライトとなっています。また超絶技巧を盛り込んだ明るめのパワーメタル⑪Legendでラストを締めるというのも新鮮ですね。

バンドがこれまでに提示してきた音楽性を網羅しつつ、パワーメタル色が濃い仕上がりになっているという点で、僕にとってSYMPHONY Xの最高傑作候補でもある7th「PARADISE LOST」(2007)に近い印象を受けます。Michael Romeoは相変わらず弾きまくってはいるもののゴリゴリのギターサウンドは控えめになり、近作で影の薄かったMichael Pinnellaの存在感が増しているのも嬉しいですね。このバンドに対しては、もう少しわかりやすいメロディを聴かせて欲しいという気持ちがデビュー当初からあるもののリピートするうちにバンドが放つ魔力に惹きつけられてしまいます。前作は僕のツボにハマりませんでしたが今回はいいですね。「ICONOCLAST」はMichael Romeoが全曲を作曲していたのに対し、本作はMichael Pinnella、Mike LePond(B)もソングライティングに参加していることも影響しているのかもしれません。LOUD PARK 16で素晴らしいパフォーマンスを披露しドタキャンの埋め合わせをしたとはいえ、本作がリリースされた2015年時点では再来日の予定が立っていなかったことを踏まえるとアルバムに対する日本ファンの目は厳しくなっていたと思いますが聴き応えのある充実盤にとなっています。

【音源紹介】
Nevermore

【CD購入録】MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS「MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS」(2014)

  • 2017/05/30(火) 00:00:00

【CD購入録】
SILENT ASSASSINS
MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS「MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS」(2014)

5th「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)からSYMPHONY Xに加入し、2017年現在まで不動のベーシストとして在籍しているMike LePondによるソロプロジェクトMIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINSのセルフタイトル作を買いました。ベースに加えてリズムギターと全曲の作詞作曲も手がけるLePond以外のメンバーはSYMPHONY XのリーダーMichael Romeo(G)がギターだけでなくキーボードも担当、Metal Mike Chlasciak(G/HALFORD etc)も複数の曲でギターソロを弾いていて2人が共演している曲もあります。ボーカルはAlan Tecchioなる人物で、いかにもアメリカのヘヴィメタルシンガーという感じのタイプですね。本作の音楽性はSYMPHONY Xよりもストレートなヘヴィメタルでありつつスラッシーに突っ走ったり、民謡調のフレーズが飛び出したりとなかなか面白い仕上がりとなっています。特にアルバム後半の充実振りは目を見張るものがあり、前のめりに突進する⑥Silent Assassins、ロックンロール調の⑦Ragnarok、終盤でスリリングなインストパートが展開される⑧The Progeny、ラストを飾る11分の大作⑨Oath Of Honorなど聴き応えがありますね。これは意外な掘り出し物かもしれません。

SYMPHONY X「ICONOCLAST」(2011)

  • 2017/05/26(金) 00:00:00

ICONOCLAST.jpg
【No.493】
★★(2011)

ADAGIO、DGM、TIME REQUIEMなどフォロワーと呼べるバンドが登場するほどの地位を築き上げたSYMPHONY Xの8作目はオリジナルアルバムとしては珍しい2枚組仕様。といっても最初から2枚組にする予定だったわけではなくMichael Romeo(G)が創作意欲の赴くままに作曲をした結果、1枚に収まりきらないほどのマテリアルが揃った結果の産物だそうです。2枚のCDでアルバムを発売するとなると当然価格も高くなるのでセールス面を考えるとチャレンジングであるにもかかわらず、レーベル側がそれを容認していることからもSYMPHONY Xが大物バンドの仲間入りを果たしたことが窺えますね。ちなみに日本では2枚組バージョン(全12曲、約83分)のみの発売ですが、海外ではDisc-1の全7曲にDisc-2の5曲中2曲を加えた1枚仕様も存在するようです(僕は2枚組の日本盤を買いました)。

本作でも6th「THE ODYSSEY」(2002)辺りから顕著になってきたヘヴィなギターを軸に、ダークでドラマティックなヘヴィメタルが展開されています。ただし今回は「機械に支配された社会」をテーマにしたアルバムということもあってか、これまで以上に冷徹でメカニカルなサウンドになっているように思いますね。Michael Romeoが以前から「過去作品と同じことの繰り返しはしたくない」と語っていたことを踏まえると「今回はこうきたか」と好意的に受け止めることもできなくもないですが、肝心のメロディアスな要素が減退しているため個人的には敷居の高さを感じてしまいます。それに加えて純然たるバラードと呼べる楽曲がなく、力でグイグイ押してくる曲調が続くためDisc-1の中盤辺りで聴き疲れしてしまうというのが正直なところでしょうか…(苦笑)。前作「PARADISE LOST」(2007)がこのバンドにしてはわかりやすいサウンドだった反動から、ここまでヘヴィな作風になったのかもしれませんが本作を聴いているとバンド初期の繊細さが恋しくなってきますね。

Michael Romeoを中心としながらもメンバーによる共作曲もあった従来作品と違い、今回は全てRomeoが単独で作曲しMichael Pinnella(Key)にスポットが当たる場面が減っている(ギターはもちろん弾きまくり)ことを考えると、バンド内のパワーバランスが変わりRomeoの嗜好が色濃く表れた結果が本作なのかもしれません。アルバム単位での満足度はさほど高くないものの、個々の楽曲を取り出して聴くとハッとさせられる場面もあります。中でも一番のお気に入りは「剛」のサウンドが支配的な本作においてMichael Pinnellaのピアノが数少ない「柔」の場面を演出する出だしから徐々に激しくなっていくDisc-1⑦When All Is Lostですね。メロディックパワーメタルを好む僕としてはSYMPHONY Xの作品群の中でも聴く機会の少ないアルバムですが、本国アメリカのチャートでバンド初のトップ100入りを果たすなどセールス面では成功を納めたアルバムのようです。やはりアメリカではこういうモダンなサウンドの受けがいいんですかね。

【音源紹介】
When All Is Lost

SYMPHONY X「PARADISE LOST」(2007)

  • 2017/05/14(日) 00:00:00

PARADISE LOST.jpg
【No.492】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第7位

日本ではネオクラシカル・プログレッシブメタルの雄として不動の地位を築いた感のあるSYMPHONY Xの7作目。前作「THE ODYSSEY」(2002)が本国アメリカでも好評だったようでMEGADETH、DREAM THEATERをダブルヘッドライナーとしたGIGANTOURに参加するなどアメリカでも人気に火がついたようです。数々のツアーに加えてMichael Romeo(G)Timo Kotipelto(Vo/STRATOVARIUS)のバンドKOTIPELTOにゲスト参加、Russell Allen(Vo)は自身初のソロ作品やALLEN-LANDEでも歌声を披露、Michael Pinnella(Key)もインストのソロアルバムを発売するなどしていたこともあり前作から約4年もの間隔が空いてしまいました。今回のアルバムはジョン・ミルトンの著書「失楽園(Paradise Lost)」をテーマにした1枚ではあるものの失楽園を題材にしたコンセプトアルバムというわけではないようです。ここ最近のアルバムはメロディアスな要素が減退していたこともあり、僕の中では3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)をピークとして彼等に対する関心は下降線を辿っていたのですが、本作は「SYMPHONY Xのこんな作品が聴きたかった!」と思える起死回生の名盤となっています。メロディックパワーメタル色が強調され聴きやすくなっている点が大きいですね。

映画音楽のように壮大なサウンドで期待感を煽りまくるイントロ①Oculus Ex Inferniから繋がる②Set The World On Fire (The Lie Of Lies)からしてSYMPHONY Xにしてはストレートな曲調で、このバンドについて回る難解なイメージは払拭されています。その後も緊迫感とフックのあるメロディが一体となった⑥Eve Of Seduction、3rdに収録されたバンド屈指の名曲Out Of Ashesを彷彿とさせる⑧Sevenなど、メロパワ風の楽曲が複数あるのが嬉しいですね。それとは対照的なバラードでは幻想的なコーラスを配したタイトル曲⑤Paradise Lost、SYMPHONY Xにしては珍しくアコースティックギターも登場する⑨The Sacrificeを収録していてダークでヘヴィな作風の中でいいアクセントになっています。また「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」収録のSea Of Liesを思わせるベースソロから始まるヘヴィチューン③Domination、まるで蛇が這いずるようなグルーヴィなリフがうねる④The Serpent's Kiss、そしてアルバムを締めくくるに相応しいプログレチューン⑩Revelation (Divus Pennae Ex Tragoedia)も収録していてバラエティに富んでいる点も見逃せません。

前作同様にヘヴィでゴツいギターとバンド初期にあったネオクラシカルテイストが融合した本作はSYMPHONY Xというバンドの集大成的な1枚。圧倒的なテクニックでアルバムを支配するマエストロMichael Romeoの存在感が際立っていますね。演奏面におけるもう1人のキーパーソンMichael Pinnellaにスポットが当たる場面は少なくなっているように感じますが曲の世界観を巧みに演出したり、バックを彩る優雅なピアノを奏でたりとその実力を遺憾なく発揮しています。ガナリ気味に歌うRussellについてはクドすぎる感があるのは事実ながら、迫力満点のインストパートに対抗するにはこれくらいのパワーで歌う必要があるのかもしれませんね(バラード系では繊細に歌っていますし)。耳に残るメロディ、個々の楽曲のインパクトという点では「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」に及ばないもののアルバム全体の完成度としては甲乙付け難いほどの出来栄えです。ちなみにアルバムジャケットはSYPHONY Xの作品群はもちろん、他のCDを含めてもダントツで気に入っています。

【音源紹介】
Seven

【CD購入録】BRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」(2012)

  • 2017/04/28(金) 00:00:00

【CD購入録】
UNORTHODOX JUKEBOX
BRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」(2012)

ソロデビュー前から他のアーティストに提供した曲がヒット、1st「DOO WOPS & HOOLIGANS」(2010)を発表するや、こちらも大ヒットを記録し「キング・オブ・メロディ」と呼ばれるようになったBruno Marsの2作目を買いました。デビューアルバムも珠玉のメロディが詰まった1枚でしたが僕としては本作の方が気に入っています。Bruno Marsというアーティストに関心を持った直後に調べてみるとYouTubeで全曲試聴できたので数曲聴いてみたのですが即座に購入を決めました。オープニングの①Young Girlsは「舞い降りてきたメロディ」と表現したくなる旋律だし、ビルボードチャートで6週連続1位を獲得したという②Locked Out Of Heavenで聴ける「ウゥ!」も耳から離れません。曲によって表情は異なるものの、どれもフック満載のメロディを持っていてBruno Marsというソングライターの力量を見せつけてくれます。コンパクトな楽曲が10曲並び約35分というボリュームもいいですね。しばらくは至福のメロディとBrunoの絶品ボーカルに溢れた本作のリピートから抜け出せそうにありません。

【CD購入録】BRUNO MARS「DOO WOPS & HOOLIGANS」(2010)

  • 2017/04/24(月) 00:00:00

【CD購入録】
DOO-WOPS AND HOOLIGANS
BRUNO MARS「DOO WOPS & HOOLIGANS」(2010)

ハワイ出身のシンガーソングライターBruno Marsの1stアルバムを買いました。普段HR/HMを主に聴いている僕は彼のことを全くと言っていいほど知らなかったのですが、シングルが全米1位に輝いたり、グラミー賞を2度受賞したりするなどかなり有名なアーティストのようです。相互リンク先のむーじゅさん(はぐれメタラーの音遊生活)の記事を読んでBruno Marsに興味を持ちました。いざ聴いてみると、いきなり全米No.1ソング2連発となるアルバム冒頭①Grenade、②Just The Way You Areからして美メロが炸裂。それ以降もムーディーな③Our First Time、ファンキーに駆けていく④Runaway Baby、曲名通りのけだるいムードに包まれた⑤The Lazy Song、一転してハッピーな曲調で楽しませてくれる⑥Marry You、メロウなバラード⑦Talking To The Moonなど様々なタイプの楽曲を聴かせてくれます。どこか懐かしく感じる80年代ポップスを軸にしつつR&B、ヒップホップやレゲエの要素も感じられ、あっという間に聴けてしまう1枚ですね。本作と一緒に2nd「UNORTHODOX JUKEBOX」(2012)も買ったので、そちらの記事も近々書こうと思っています。

SYMPHONY X「THE ODYSSEY」(2002)

  • 2017/04/20(木) 00:00:00

THE ODYSSEY
【No.491】
★★(2002)

デビュー当初は日本でしかアルバムが発売されていなかったものの3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)からヨーロッパでも注目されるようになり、2001年には初のライヴ盤「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」をリリースするなどSYMPHONY Xがバンドとして成長していく中で発表した6thアルバム。ちなみに「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」は2枚組となっていてDisc-1では前作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)冒頭のPreludeから9曲目The Death Of Balance / Lacrymosaまでをアルバム通りに再現、Disc-2にはバンドの代表曲を収録しています。ただし超名曲Candlelight Fantasiaがメドレー形式でしか聴けなかったり、セットリストが「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」に偏っていて初期2作品の曲が入っていなかったりすることなどから個人的な満足度はさほど高くありません(初めてのライヴ盤にしてはセットリストで冒険しすぎかな)。

そんなライヴアルバムを挟んでリリースされた本作は「ギター中心のヘヴィなものを目指した」とMichael Romeo(G)が語っている通り、SYMPHONY X特有のミステリアスな雰囲気は薄まっていてバンドのメタリックな部分が強調された作風となっています。オープニングの①Inferno (Unleash The Fire)からしてこれまで以上の攻撃性とギターの緊迫感で押し寄せてくるし、続く②Wicked、③Incarnations Of The Apprenticeもリフでグイグイ押してくるタイプなので息が詰まるのも事実で、比較的メロディアスな④The Accolade IIでようやくホッと一息つくことができます。その④は曲名にもある通り3rdの収録曲The Accoladeの続編で共通するメロディが散りばめられています。The Accoladeほど凝った展開はない代わりにグッと骨太になった曲調はSYMPHONY Xの音楽変遷をそのまま表しているように思えて興味深いですね。続く⑤King Of Terrorsも勢いに溢れたサウンドの中で響く「テェ〜エ リィ ファ〜イ♪」のサビが耳に残るナンバーで結構気に入っています。

そして本作を語る上で外せないのはアルバム本編のラストに鎮座する7部構成24分越えの超大作⑧The Odysseyでしょう。SYMPHONY Xがこれまでに生み出してきた長編曲同様ダレないと言えば嘘になりますが、まるで映画音楽のようなオープニングと勇壮なメロディが胸に響くラストは実に感動的。それだけに中間部にもうひと山欲しかったですね。全体的に見ればSYMPHONY Xというバンドの凄みがヒシヒシと伝わってくる作品ではあるものの、日本盤ボーナストラック⑩Frontiersを含め78分という長丁場を聴き終えた後に印象に残っているメロディはそう多くありません。聴き始めの頃はデビュー作のリメイク⑨Masqueradeが一番のお気に入りだったほどです(苦笑)。バンドの軸となる部分はブレずにモダンでヘヴィなサウンドへ傾倒したという点でDREAM THEATERの「TRAIN OF THOUGHT」(2003)にあたる作品と言えるかもしれません。「TRAIN OF THOUGHT」は自分でも不思議なほどハマったアルバムでしたが本作にはそこまでのめり込むことはなかったですね。

【音源紹介】
Inferno (Unleash The Fire)

【CD購入録】STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

  • 2017/04/16(日) 00:00:00

【CD購入録】
LOWER THE BAR
STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

2年ほど前からニューアルバムに関する情報を耳にしていたような気がするSTEEL PANTHERの4作目(邦題「鋼鉄酒場!」)を買いました。Stix Zadinia(Ds)のアルコール依存症のリハビリ等で予定が遅れてしまったそうですがStixは本作にもメンバーとして名を連ねています。STEEL PANTHERは元々トリビュートバンドだったこともあって当初は80年代の有名バンドからフレーズを大胆に借用していたので短命のコミックバンドになってしまうような気がしていました。ところが3rd「ALL YOU CAN EAT」(2014)辺りから、露骨なオマージュの登場頻度は減りオリジナルバンドになってきたように思います(僕がオマージュに気づいていないだけかもしれませんが)。今回も前作の延長線上にある高品質な1枚であることは事実ながら、印象に残るメロディはこれまでで一番少ないかもしれません…。現時点で好きな曲はバンド初のライヴ盤「LIVE FROM LEXXI'S MOM'S GARAGE」(2016)にも先行収録されていた大らかなバラード④That's When You Came Inですね。

SYMPHONY X「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)

  • 2017/04/04(火) 00:00:00

V THE NEW MYTHOLOGY SUITE
【No.490】
★★(2000)

前作「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)リリース後に日本公演を含む初めてのツアーを実現させ、スタジオ盤の制作だけでなくライブアクトとしても優れたバンドであることを証明してみせたSYMPHONY Xの5作目。4thのレコーディング時には脱退していたJason Rullo(Ds)が来日前に復帰、ツアー中にThomas Miller(B)が突然バンドを離脱(音楽業界からも引退)するなど慌ただしかったようですが、後任にMichael LePond(B)を迎えて以降SYMPHONY Xはメンバーチェンジすることなく活動しています。本作はアトランティス文明をテーマにしたバンド初のコンセプトアルバムとなっていることもあってかSYMPHONY X特有の神秘的なムードがこれまで以上に色濃くなっていますね。

クラシック作曲家ヴェルディのレクイエムをモチーフにした序曲①Preludeに導かれてスタートする②Evolution(The Grand Design)がいきなりのキラーチューン!ダークで神秘的なムードと気品すら漂うメロディライン、それでいてサビは一緒に歌えそうなほどキャッチーなこの曲にはSYMPHONY Xの魅力が凝縮されていますね。ここまで聴いた時点で本作への期待値がグンと上がったのですが、それ以降はあまり好きになれませんでした…。端的に言うとメロディがこれまで以上に地味な曲が多いように思います。それに加えて曲間にインストを挟むなどして、アルバム冒頭から⑨The Death Of Balance / Lacrymosaまで切れ目なく繋がっているため何曲目を聴いているのかわからなくなることもあったりします。

バンドを構成する要素のひとつであるプログレッシブな作風を強めた結果、僕のストライクゾーンから外れてしまった1枚という感じですね。過去作品と比べて複雑さが増していること、アルバムのテーマがアトランティス文明という僕があまり関心のないジャンルということもあって歌詞を読んでも本作のストーリーに入り込めなかったというのもマイナス要因でしょうか。といいつつ美しく幻想的な⑤Communion And The Oracle、重厚なコーラスをフィーチュアした⑩Absence Of Lightから疾走曲⑪A Fool's Paradiseを経てエンディング曲⑫Rediscovery(Segue)〜⑬Rediscovery(Part II)- The New Mythologyに至る展開は感動的だし、①以外にもクラシックのフレーズを巧みに引用したり、オーケストラサウンドを導入することで生み出される壮大な世界観は聴き応えがあります。また、リーダーMichael Romeo(G)によるテクニカルプレイ、バッキングにソロにと適材適所の音色で楽曲を彩るMichael Pinnella(Key)の存在感、説得力に溢れた歌唱で迫るRussell Allen(Vo)のボーカルといったSYMPHONY Xらしさは本作でも健在なので、ファンならば楽しめる作品ではあるものの個人的にはもう少しわかりやすいメロディが欲しかったですね。SYMPHONY Xのアルバムはリアルタイムで聴いている時はそんなに好きではなかったけれどリピートするうちにハマることが多いのですが、本作は聴き始めの頃からあまり印象が変わりませんでした…。

【音源紹介】
Prelude~Evolution(The Grand Design)

SYMPHONY X「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)

  • 2017/03/18(土) 00:00:00

TWILIGHT IN OLYMPUS
【No.489】
★★★(1998)

3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)が過去のアルバムを凌駕する出来だったこともあり、それまでの日本に加えてヨーロッパでも人気に火がつきはじめたSYMPHONY Xが放つ4作目。ギターサウンドがグッとヘヴィになってファンを驚かせた前作よりも初期2作品で濃かったネオクラシカルテイストが前に出ているため、本作が2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)の次のアルバムと言われてもシックリくる作風です。これまで不動だった演奏陣にメンバーチェンジがありドラマーのJason Rulloがレコーディング前に脱退、後任にTom Walling(Ds)を迎えていますが次回作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000) ではJasonが復帰しています。

毎回思うのですが、このバンドはアルバムの掴みがいつも強力ですね。今回もネオクラシカルなフレーズが乱舞する疾走曲①Smoke And Mirrors、SYMPHONY Xにしては珍しく一緒に歌えそうなサビと「ヘイ!ヘイ!」という掛け声をフィーチュアした②Church Of The Machineから間髪入れずにベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」をモチーフにしたインスト小品③Sonataを挟み、④In The Dragon's Denで再びパワフルに疾走する流れに引き込まれました。今回のアルバムは全8曲と収録曲が少ないのですが後半も「鏡の国のアリス」を題材にした13分の大作⑤Through The Look Glass (PartⅠ,Ⅱ,Ⅲ)に始まり、やや薄味ながらも疾走感が心地よい⑥The Relic、メロディが捻くれているため即効性はないもののMichael Romeo(G)Michael Pinnella(Key)による圧巻のソロバトルが楽しめる⑦Orion - The Hunter、和音階を取り入れた叙情バラード⑧Lady Of The Snowなど魅力的なナンバー並びます。

Candlelight Fantasia、Out Of The Ashesというバンドの「静」と「動」それぞれの魅力を凝縮した名曲を収録した3rdに比べると小粒な感は否めませんが、今回もネオクラシカルのマスターピース①を筆頭になかなかの力作に仕上がっています。また②の「バ〜ゥ ダ〜ゥ♪」という歌い出し(サビから曲がスタートするのはこのバンドで初めてかも)や⑥のサビメロなど一度聴いただけで口ずさんでしまいそうなメロディがあるのも本作の特徴でしょうか。当時のSYMPHONY Xはライヴを行っておらず事実上スタジオバンドだったことを差し引いても1994年にデビューして以降、ほぼ毎年フルアルバムを作り上げる彼等の創作意欲には頭が下がりますね。なおバンドは1998年6月に初来日公演(SYMPHONY Xとして初のライヴだったとか)を行い、その後ワールドツアーを敢行するなどライヴ活動が本格化していくため次作からはアルバム発表の間隔は2年毎、4年毎と長くなっていくこととなります。

【音源紹介】
Smoke And Mirrors

SYMPHONY X「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)

  • 2017/03/02(木) 00:00:00

THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY
【No.488】
★★★★(1996)

圧倒的な演奏テクニックとアメリカのバンドらしからぬ叙情メロディで、日本のパワーメタルファンの心を掴んだSYMPHONY Xの3作目。このアルバムはバンド初期の代表作であり、2017年現在でもSYMPHONY Xの最高傑作に挙げられることも多い1枚です。過去の作品に比べるとギターが骨太になりヘヴィでモダンなサウンドを導入している点に変化が見られるものの、肝心のメロディは疎かになるどころか更に磨きがかかっていますね。従来のネオクラテイストは減退し、本作以降も程度の差こそあれどその傾向は維持されているため本作でSYMPHONY Xサウンドが確立されたと言えるかもしれません。複雑になりがちな彼等の作品群の中では比較的わかりやすいメロディが多いので僕にとってもお気に入り盤となっています。

本作はなんと言ってもアルバム序盤の流れが圧巻です。過去2作品とは明らかに異なるヘヴィネスに驚かされるものの楽曲の根幹はSYMPHONY X節全開な①Of Sins And Shadows、このバンド特有のミステリアスな雰囲気の中で炸裂するMichael Romeo(G)の滑らかなギターソロとそれに対抗するMichael Pinnella(Key)、そこにThomas Miller(B)のテクニカルプレイも加えた②Sea Of Lies、怒涛の勢いと哀愁のメロディが高次元で融合したSYMPHONY Xの最速チューンにして本作のハイライト③Out Of The Ashesの3曲はどれもがキラーチューンと呼べるほどの素晴らしさ。そんな疾走系3連発の後を受け継ぐ④The Accoladeは10分近くある長尺曲で、ここでは一転してバンドのプログレメタルの側面を強調していて聴き応え満点です。この一連の流れは前作「THE DAMNATION GAME」(1995)のThe Damnation Game、Dressed To KillからThe Edge Of Foreverへ繋がる展開を彷彿とさせますが、更にグレードアップしていてバンドの成長を感じさせてくれます。

また本作はラストを⑨Candlelight Fantasiaという超名曲で締めくくっているのも大きなポイント。この曲で聴ける「悲哀のメロディの極致」と呼ぶべき美旋律が堪りません。個人的には③と⑨の2曲を聴くためだけに本作を買う価値があると思いますね。そして7部構成20分越えの超大作⑧The Divine Wings Of Tragedyも存在感抜群。各パートの繋ぎ方が強引だったり、率直に言って長すぎると感じたりするのも事実ですがSYMPHONY Xの凄みを見せつけてくれています。これらの曲のインパクトが大きいために、ヨーロッパ民謡風フレーズを散りばめたネオクラ疾走曲⑦The Witching Hourなどは単体で聴けば十分魅力的なのですが、本作の中では影が薄くなっていますね。一方で捻くれた歌メロが怪しげな雰囲気を醸し出す⑤Pharaohは聴けば聴くほどクセになるナンバーです。楽曲の充実度が過去最高なのに加えて、バンドのウィークポイントだった音質面も改善されているのも好印象。SYMPHONY Xをこれから聴くという方には、まず本作をオススメしたいですね。

【音源紹介】
Candlelight Fantasia