HALESTORM「HALESTORM」(2009)

  • 2018/03/28(水) 00:00:00

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【No.511】
★★★(2010)

アメリカはペンシルバニア州出身の4人組ハードロックバンドHALESTORMのデビューアルバム。バンドの歴史は意外と長く紅一点のLzzy Hale(Vo、G)Arejay Hale(Ds)のHale姉弟によって90年代後半に結成、当初は2人の父親がベースをプレイするなどしていたようですが、本作のラインナップが固まった2004年から2018年現在に至るまでメンバーチェンジはありません。複数のアルバムを発表していて結成時からメンバーが不変のHR/HM系バンドは結構珍しいですね。安定しているのはラインナップだけではなく作風も同じで超大手レーベルATLANTICからデビュー、プロデューサーはDAUGHTRY、FOOBASTANK、MY CHEMICAL ROMANCEなどを手掛けたHoward Bensonという前評判通りメジャー感バリバリのアメリカン・ハードロックに仕上がっています。

デビュー作とは思えないほどの風格が漂う本作ですが、それをより盤石なものにしているのがフロントウーマンLzzy Haleの歌唱です。女性でありながらAxel Rose(Vo/GUNS N' ROSES)、Sebastian Bach(Vo/ex-SKID ROW)が引き合いに出されることもある彼女の歌声は骨太かつパワフルで聴き応えがありますね。楽曲面も充実していて開始数秒で心を掴まれるキャッチーソング①It's Not You、力強さを前に出した②I Get Offへと続くシングル2曲を冒頭に配した構成は文句なし。③Bet U Wish U Had Me BackはDAUGHTRYを彷彿とさせる大らかなナンバーで、僕にとってはこういう曲こそ典型的アメリカン・ハードロックというイメージが強いですね。中盤は効果的なストリングスが曲を盛り上げるバラード⑤Familiar Taste Of Poison、前曲と同系統ながら歌とメロディの魅力で楽しませてくれる⑥I'm Not An Angelでスローダウンしておいて「ヘイ!ヘイ!」というコーラスをフィーチュアした⑦What Were You Expecting?で再びテンションが上がります。

Lzzyのボーカルパフォーマンスに注目してしまいがちですがバックを支える演奏陣も適度にヘヴィ、それでいて安定感があるので総合的に見ても歌モノハードロックの充実盤だと思います。ほぼ全曲が3分台、アルバム1枚で約37分とコンパクトに纏まっているのも好印象。贅沢を言えば、一度聴いただけで口ずさめそうなサビが印象的な⑩Dirty Workクラスの曲が後半にあと2〜3曲欲しかった気もしますが。2009年にリリースされた本作は全米で50万枚のセールスを記録、アメリカで話題の新人ロックバンドとして紹介されているCDショップの試聴コーナーが僕とHALESTORMの出会いでした。興味半分で試聴したその場でCDをレジに持っていってしまうほどのインパクトがありましたね。僕が持っているのは11曲入りの輸入盤ですがバンドがLOUD PARK10に出演直後のタイミングでライヴ音源2曲を追加した国内盤が発売されています。

【音源紹介】
It's Not You

【CD購入録】THE DEAR HUNTER「ACT I: THE LAKE SOUTH, THE RIVER NORTH」(2006)

  • 2018/02/24(土) 00:00:00

【CD購入録】
ACT I THE LAKE SOUTH THE RIVER NORTH
THE DEAR HUNTER「ACT I: THE LAKE SOUTH, THE RIVER NORTH」(2006)

アメリカのTHE RECEIVING END OF SIRENSというバンドで活動していたCasey Crescenzo(Vo、G)がバンド在籍中に立ち上げたサイドプロジェクトTHE DEAR HUNTERの1作目を買いました。ちなみにTHE RECEIVING END OF SIRENSは2008年に解散、2010年に再集結したものの今はもう活動していないようです。アルバムタイトルにある「ACTシリーズ」は全6章で構成されるコンセプトアルバムで、第一次世界大戦の頃を舞台にした少年の誕生から急死までの人生を描いた物語を題材にしているとのことです。音楽性はというと様々なジャンルを混合させながら美しいメロディを丁寧に紡いでいくスタイルで、僕が持っているCDを引き合いに出すならばANATHEMA「WEATHER SYSTEMS」(2012)LEPROUS「COAL」(2013)を足して2で割ったような感じでしょうか。収録曲は全8曲で約38分、インストや小曲がそのうち3曲あってフルアルバムというよりはEP並のボリュームなので食い足りなさが残るし、作品の核となるキラーチューンと呼べそうなものはありませんがメロディが胸に沁みます。現時点で「ACTシリーズ」は5章までリリースされているようなので機会があれば他の作品も聴いてみたいですね。

【CD購入録】SONS OF APOLLO「PSYCHOTIC SYMPHONY」(2017)

  • 2018/01/27(土) 00:00:00

【CD購入録】
PSYCHOTIC SYMPHONY
SONS OF APOLLO「PSYCHOTIC SYMPHONY」(2017)

Mike Portnoy(Ds)、Derek Sherinian(Key)という元DREAM THEATER組を中心にBilly Sheehan(B/MR.BIG、THE WINERY DOGS)、Ron “Bumblefoot” Thal(G/ex-GUNS N' ROSES etc)、Jeff Scott Soto(Vo/SOTO、W.E.T.、ex-TALISMAN、YNGWIE MALMSTEEN etc)といった実力派が名を連ねるスーパーバンドSONS OF APOLLOのデビュー作を買いました。このバンドが始動した時には「DREAM THEATER、MR.BIG、JOURNEY、GUNS N' ROSESのメンバーが集結」というフレコミだったのでSlash(G/ex-GUNS N' ROSES)またはNeal Schon(G/JOURNEY)が参加しているのかな?と思っていたら僕にとって未知のギタリストでGUNS N' ROSESでもプレイしていたらしいBumblefootことRon Thal、JOURNEYに一時期在籍していたもののスタジオアルバムを作ることなく脱退したJeffという人選だったので意外でした。JeffがJOURNEYのシンガーだったことはすっかり忘れていましたね(苦笑)。DerekもYNGWIE MALMSTEENと活動を共にしていた時期もあるのでDREAM THEATER+MR.BIG+YNGWIE MALMSTEEN(+GUNS N' ROSES)のメンバーによる新バンドと言われた方が個人的にはテンションが上がります。実際に聴いてみるとMikeとDerekが中心となっているだけあってDREAM THEATERを連想させるプログレメタルとなっていますが、ハードロック寄りの印象が強いですね。お気に入りは一際キャッチーなメロディが耳に残る③Signs Of The Time、アルバム随一のメタリックチューン⑥Lost In Oblivionでしょうか。また①God Of The Sun、④Labyrinth、⑨Opus Maximusと10分近くの曲が3つもあるものの、どれも長さを感じさせません。メンバー、サウンドの両面でDREAM THEATERとの比較は避けられないと思いますが、僕はここ最近のDREAM THEATERよりもSONS OF APOLLOの方が好きですね。メンバーは「2018年はSONS OF APOLLOの年になる」と息巻いていてワールドツアーも計画中のようなので、今後の更なる発展に期待しています。

【CD購入録】REVOLUTION SAINTS「LIGHT IN THE DARK」(2017)

  • 2017/10/18(水) 00:00:00

【CD購入録】
LIGHT IN THE DARK
REVOLUTION SAINTS「LIGHT IN THE DARK」(2017)

Deen Castronovo (Ds/ex-JOURNEY)の歌唱力に注目したFRONTIERS RECORDSが立ち上げたメロディックロック・プロジェクトREVOLUTION SAINTSの2作目を買いました。Deen以外はデビュー作と同じくJack Blades(B/NIGHT RANGER)、Doug Aldrich(G/ex-BAD MOON RISING etc)が正式メンバー、作曲とプロデュースはAlessandro Del Vecchio(Key)という布陣です。前作に収録されていたErik Martensson(Vo、G/ECLIPSE)、Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR)らのペンによる楽曲はなく、カバー曲の④I Wouldn't Change A ThingSimone Mularoni(G/DGM)がソングライティングに関わった⑤Don't Surrender以外はメンバーとAlessandroの共作となっていてバンド感は増したように思います。FRONTIERS RECORDSの作品は良くも悪くも手堅いイメージが強い中、セルフタイトルのデビューアルバムは突出したメロディックロックアルバムだったので今回もかなり期待していました。先行で公開されていた①Light In The Dark、②Freedomの2曲による掴みは上々だし、ノリのいいハードロック③Ride Onからバラード④に繋がる展開は流石ですね。ただアルバム後半に進むに連れてメロディの魅力は下がり気味なので、現在の感想としては良作ではあるものの前作には及ばないかな。余談ですが本作のアルバムジャケットはSHAKRAが2016年に発表した「HIGH NOON」にソックリ過ぎますね(笑)。同じ構図で鳥(フクロウ?)が目を見開いているREVOLUTION SAINTS、眼光鋭く睨みつけるSHAKRAという感じでしょうか。

SYMPHONY X「UNDERWORLD」(2015)

  • 2017/06/03(土) 00:00:00

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【No.494】
★★★(2015)

1998年の初来日以来、2度目の来日公演となるはずだったLOUD PARK 14を「レコーディングスケジュールの都合」を理由にキャンセルして多くのファンをガッカリさせたSYMPHONY Xの9thアルバム。そんなドタキャン劇の要因でもある本作の内容は2枚組という気合いの入った仕様でありながら、冷徹でヘヴィネス重視の方向へ傾倒していた前作「ICONOCLAST」(2011)と比べてメロディアスな作風にシフトしていますね。これまでに「アトランティス文明」、「失楽園」をアルバムの題材にしてきたバンドが今回取り上げたのはイタリアの詩人ダンテの叙事詩「神曲」です。Michael Romeo(G)によると3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)収録の3曲から、3つの引用があるらしいのですが僕はRomeoの仕掛けを見つけることができませんでした…(苦笑)。

シンフォニックな序曲①Overtureからパワーメタル系の疾走曲②Nevermoreへ繋がる流れは掴みとして申し分なし。この②はSYMPHONY Xにしてはキャッチーな部類に入ると思うのですが、楽曲の至るところで激しく動き回るギターをついつい耳で追ってしまいますね。また鍵盤奏者Michael PinnellaのキーボードをバックにRussell Allen(Vo)が歌うドラマティックなサビメロが秀逸なタイトル曲③Underworld、このバンドにしては珍しくメロディアスハード風でもあるパワーバラード④Without You、一転してブラストビートも取り入れた激しい曲調とゴリゴリのギターに圧倒される⑤Kiss Of Fireと緩急をつけたアルバム構成もお見事。過去には20分越えの大作、前作では10分以上の曲を3曲も収録していたことを思うと比較的コンパクトな楽曲が並ぶのも本作の特徴でしょうか。そんな中、今回のアルバム最長となる9分台の⑦To Hell And Backは曲の開始とともに流れるテーマメロディが素晴らしいドラマティックチューンでハイライトとなっています。また超絶技巧を盛り込んだ明るめのパワーメタル⑪Legendでラストを締めるというのも新鮮ですね。

バンドがこれまでに提示してきた音楽性を網羅しつつ、パワーメタル色が濃い仕上がりになっているという点で、僕にとってSYMPHONY Xの最高傑作候補でもある7th「PARADISE LOST」(2007)に近い印象を受けます。Michael Romeoは相変わらず弾きまくってはいるもののゴリゴリのギターサウンドは控えめになり、近作で影の薄かったMichael Pinnellaの存在感が増しているのも嬉しいですね。このバンドに対しては、もう少しわかりやすいメロディを聴かせて欲しいという気持ちがデビュー当初からあるもののリピートするうちにバンドが放つ魔力に惹きつけられてしまいます。前作は僕のツボにハマりませんでしたが今回はいいですね。「ICONOCLAST」はMichael Romeoが全曲を作曲していたのに対し、本作はMichael Pinnella、Mike LePond(B)もソングライティングに参加していることも影響しているのかもしれません。LOUD PARK 16で素晴らしいパフォーマンスを披露しドタキャンの埋め合わせをしたとはいえ、本作がリリースされた2015年時点では再来日の予定が立っていなかったことを踏まえるとアルバムに対する日本ファンの目は厳しくなっていたと思いますが聴き応えのある充実盤にとなっています。

【音源紹介】
Nevermore

【CD購入録】MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS「MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS」(2014)

  • 2017/05/30(火) 00:00:00

【CD購入録】
SILENT ASSASSINS
MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS「MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS」(2014)

5th「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)からSYMPHONY Xに加入し、2017年現在まで不動のベーシストとして在籍しているMike LePondによるソロプロジェクトMIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINSのセルフタイトル作を買いました。ベースに加えてリズムギターと全曲の作詞作曲も手がけるLePond以外のメンバーはSYMPHONY XのリーダーMichael Romeo(G)がギターだけでなくキーボードも担当、Metal Mike Chlasciak(G/HALFORD etc)も複数の曲でギターソロを弾いていて2人が共演している曲もあります。ボーカルはAlan Tecchioなる人物で、いかにもアメリカのヘヴィメタルシンガーという感じのタイプですね。本作の音楽性はSYMPHONY Xよりもストレートなヘヴィメタルでありつつスラッシーに突っ走ったり、民謡調のフレーズが飛び出したりとなかなか面白い仕上がりとなっています。特にアルバム後半の充実振りは目を見張るものがあり、前のめりに突進する⑥Silent Assassins、ロックンロール調の⑦Ragnarok、終盤でスリリングなインストパートが展開される⑧The Progeny、ラストを飾る11分の大作⑨Oath Of Honorなど聴き応えがありますね。これは意外な掘り出し物かもしれません。

SYMPHONY X「ICONOCLAST」(2011)

  • 2017/05/26(金) 00:00:00

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【No.493】
★★(2011)

ADAGIO、DGM、TIME REQUIEMなどフォロワーと呼べるバンドが登場するほどの地位を築き上げたSYMPHONY Xの8作目はオリジナルアルバムとしては珍しい2枚組仕様。といっても最初から2枚組にする予定だったわけではなくMichael Romeo(G)が創作意欲の赴くままに作曲をした結果、1枚に収まりきらないほどのマテリアルが揃った結果の産物だそうです。2枚のCDでアルバムを発売するとなると当然価格も高くなるのでセールス面を考えるとチャレンジングであるにもかかわらず、レーベル側がそれを容認していることからもSYMPHONY Xが大物バンドの仲間入りを果たしたことが窺えますね。ちなみに日本では2枚組バージョン(全12曲、約83分)のみの発売ですが、海外ではDisc-1の全7曲にDisc-2の5曲中2曲を加えた1枚仕様も存在するようです(僕は2枚組の日本盤を買いました)。

本作でも6th「THE ODYSSEY」(2002)辺りから顕著になってきたヘヴィなギターを軸に、ダークでドラマティックなヘヴィメタルが展開されています。ただし今回は「機械に支配された社会」をテーマにしたアルバムということもあってか、これまで以上に冷徹でメカニカルなサウンドになっているように思いますね。Michael Romeoが以前から「過去作品と同じことの繰り返しはしたくない」と語っていたことを踏まえると「今回はこうきたか」と好意的に受け止めることもできなくもないですが、肝心のメロディアスな要素が減退しているため個人的には敷居の高さを感じてしまいます。それに加えて純然たるバラードと呼べる楽曲がなく、力でグイグイ押してくる曲調が続くためDisc-1の中盤辺りで聴き疲れしてしまうというのが正直なところでしょうか…(苦笑)。前作「PARADISE LOST」(2007)がこのバンドにしてはわかりやすいサウンドだった反動から、ここまでヘヴィな作風になったのかもしれませんが本作を聴いているとバンド初期の繊細さが恋しくなってきますね。

Michael Romeoを中心としながらもメンバーによる共作曲もあった従来作品と違い、今回は全てRomeoが単独で作曲しMichael Pinnella(Key)にスポットが当たる場面が減っている(ギターはもちろん弾きまくり)ことを考えると、バンド内のパワーバランスが変わりRomeoの嗜好が色濃く表れた結果が本作なのかもしれません。アルバム単位での満足度はさほど高くないものの、個々の楽曲を取り出して聴くとハッとさせられる場面もあります。中でも一番のお気に入りは「剛」のサウンドが支配的な本作においてMichael Pinnellaのピアノが数少ない「柔」の場面を演出する出だしから徐々に激しくなっていくDisc-1⑦When All Is Lostですね。メロディックパワーメタルを好む僕としてはSYMPHONY Xの作品群の中でも聴く機会の少ないアルバムですが、本国アメリカのチャートでバンド初のトップ100入りを果たすなどセールス面では成功を納めたアルバムのようです。やはりアメリカではこういうモダンなサウンドの受けがいいんですかね。

【音源紹介】
When All Is Lost

SYMPHONY X「PARADISE LOST」(2007)

  • 2017/05/14(日) 00:00:00

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【No.492】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第7位

日本ではネオクラシカル・プログレッシブメタルの雄として不動の地位を築いた感のあるSYMPHONY Xの7作目。前作「THE ODYSSEY」(2002)が本国アメリカでも好評だったようでMEGADETH、DREAM THEATERをダブルヘッドライナーとしたGIGANTOURに参加するなどアメリカでも人気に火がついたようです。数々のツアーに加えてMichael Romeo(G)Timo Kotipelto(Vo/STRATOVARIUS)のバンドKOTIPELTOにゲスト参加、Russell Allen(Vo)は自身初のソロ作品やALLEN-LANDEでも歌声を披露、Michael Pinnella(Key)もインストのソロアルバムを発売するなどしていたこともあり前作から約4年もの間隔が空いてしまいました。今回のアルバムはジョン・ミルトンの著書「失楽園(Paradise Lost)」をテーマにした1枚ではあるものの失楽園を題材にしたコンセプトアルバムというわけではないようです。ここ最近のアルバムはメロディアスな要素が減退していたこともあり、僕の中では3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)をピークとして彼等に対する関心は下降線を辿っていたのですが、本作は「SYMPHONY Xのこんな作品が聴きたかった!」と思える起死回生の名盤となっています。メロディックパワーメタル色が強調され聴きやすくなっている点が大きいですね。

映画音楽のように壮大なサウンドで期待感を煽りまくるイントロ①Oculus Ex Inferniから繋がる②Set The World On Fire (The Lie Of Lies)からしてSYMPHONY Xにしてはストレートな曲調で、このバンドについて回る難解なイメージは払拭されています。その後も緊迫感とフックのあるメロディが一体となった⑥Eve Of Seduction、3rdに収録されたバンド屈指の名曲Out Of Ashesを彷彿とさせる⑧Sevenなど、メロパワ風の楽曲が複数あるのが嬉しいですね。それとは対照的なバラードでは幻想的なコーラスを配したタイトル曲⑤Paradise Lost、SYMPHONY Xにしては珍しくアコースティックギターも登場する⑨The Sacrificeを収録していてダークでヘヴィな作風の中でいいアクセントになっています。また「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」収録のSea Of Liesを思わせるベースソロから始まるヘヴィチューン③Domination、まるで蛇が這いずるようなグルーヴィなリフがうねる④The Serpent's Kiss、そしてアルバムを締めくくるに相応しいプログレチューン⑩Revelation (Divus Pennae Ex Tragoedia)も収録していてバラエティに富んでいる点も見逃せません。

前作同様にヘヴィでゴツいギターとバンド初期にあったネオクラシカルテイストが融合した本作はSYMPHONY Xというバンドの集大成的な1枚。圧倒的なテクニックでアルバムを支配するマエストロMichael Romeoの存在感が際立っていますね。演奏面におけるもう1人のキーパーソンMichael Pinnellaにスポットが当たる場面は少なくなっているように感じますが曲の世界観を巧みに演出したり、バックを彩る優雅なピアノを奏でたりとその実力を遺憾なく発揮しています。ガナリ気味に歌うRussellについてはクドすぎる感があるのは事実ながら、迫力満点のインストパートに対抗するにはこれくらいのパワーで歌う必要があるのかもしれませんね(バラード系では繊細に歌っていますし)。耳に残るメロディ、個々の楽曲のインパクトという点では「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」に及ばないもののアルバム全体の完成度としては甲乙付け難いほどの出来栄えです。ちなみにアルバムジャケットはSYPHONY Xの作品群はもちろん、他のCDを含めてもダントツで気に入っています。

【音源紹介】
Seven

【CD購入録】BRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」(2012)

  • 2017/04/28(金) 00:00:00

【CD購入録】
UNORTHODOX JUKEBOX
BRUNO MARS「UNORTHODOX JUKEBOX」(2012)

ソロデビュー前から他のアーティストに提供した曲がヒット、1st「DOO WOPS & HOOLIGANS」(2010)を発表するや、こちらも大ヒットを記録し「キング・オブ・メロディ」と呼ばれるようになったBruno Marsの2作目を買いました。デビューアルバムも珠玉のメロディが詰まった1枚でしたが僕としては本作の方が気に入っています。Bruno Marsというアーティストに関心を持った直後に調べてみるとYouTubeで全曲試聴できたので数曲聴いてみたのですが即座に購入を決めました。オープニングの①Young Girlsは「舞い降りてきたメロディ」と表現したくなる旋律だし、ビルボードチャートで6週連続1位を獲得したという②Locked Out Of Heavenで聴ける「ウゥ!」も耳から離れません。曲によって表情は異なるものの、どれもフック満載のメロディを持っていてBruno Marsというソングライターの力量を見せつけてくれます。コンパクトな楽曲が10曲並び約35分というボリュームもいいですね。しばらくは至福のメロディとBrunoの絶品ボーカルに溢れた本作のリピートから抜け出せそうにありません。

【CD購入録】BRUNO MARS「DOO WOPS & HOOLIGANS」(2010)

  • 2017/04/24(月) 00:00:00

【CD購入録】
DOO-WOPS AND HOOLIGANS
BRUNO MARS「DOO WOPS & HOOLIGANS」(2010)

ハワイ出身のシンガーソングライターBruno Marsの1stアルバムを買いました。普段HR/HMを主に聴いている僕は彼のことを全くと言っていいほど知らなかったのですが、シングルが全米1位に輝いたり、グラミー賞を2度受賞したりするなどかなり有名なアーティストのようです。相互リンク先のむーじゅさん(はぐれメタラーの音遊生活)の記事を読んでBruno Marsに興味を持ちました。いざ聴いてみると、いきなり全米No.1ソング2連発となるアルバム冒頭①Grenade、②Just The Way You Areからして美メロが炸裂。それ以降もムーディーな③Our First Time、ファンキーに駆けていく④Runaway Baby、曲名通りのけだるいムードに包まれた⑤The Lazy Song、一転してハッピーな曲調で楽しませてくれる⑥Marry You、メロウなバラード⑦Talking To The Moonなど様々なタイプの楽曲を聴かせてくれます。どこか懐かしく感じる80年代ポップスを軸にしつつR&B、ヒップホップやレゲエの要素も感じられ、あっという間に聴けてしまう1枚ですね。本作と一緒に2nd「UNORTHODOX JUKEBOX」(2012)も買ったので、そちらの記事も近々書こうと思っています。

SYMPHONY X「THE ODYSSEY」(2002)

  • 2017/04/20(木) 00:00:00

THE ODYSSEY
【No.491】
★★(2002)

デビュー当初は日本でしかアルバムが発売されていなかったものの3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)からヨーロッパでも注目されるようになり、2001年には初のライヴ盤「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」をリリースするなどSYMPHONY Xがバンドとして成長していく中で発表した6thアルバム。ちなみに「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」は2枚組となっていてDisc-1では前作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)冒頭のPreludeから9曲目The Death Of Balance / Lacrymosaまでをアルバム通りに再現、Disc-2にはバンドの代表曲を収録しています。ただし超名曲Candlelight Fantasiaがメドレー形式でしか聴けなかったり、セットリストが「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」に偏っていて初期2作品の曲が入っていなかったりすることなどから個人的な満足度はさほど高くありません(初めてのライヴ盤にしてはセットリストで冒険しすぎかな)。

そんなライヴアルバムを挟んでリリースされた本作は「ギター中心のヘヴィなものを目指した」とMichael Romeo(G)が語っている通り、SYMPHONY X特有のミステリアスな雰囲気は薄まっていてバンドのメタリックな部分が強調された作風となっています。オープニングの①Inferno (Unleash The Fire)からしてこれまで以上の攻撃性とギターの緊迫感で押し寄せてくるし、続く②Wicked、③Incarnations Of The Apprenticeもリフでグイグイ押してくるタイプなので息が詰まるのも事実で、比較的メロディアスな④The Accolade IIでようやくホッと一息つくことができます。その④は曲名にもある通り3rdの収録曲The Accoladeの続編で共通するメロディが散りばめられています。The Accoladeほど凝った展開はない代わりにグッと骨太になった曲調はSYMPHONY Xの音楽変遷をそのまま表しているように思えて興味深いですね。続く⑤King Of Terrorsも勢いに溢れたサウンドの中で響く「テェ〜エ リィ ファ〜イ♪」のサビが耳に残るナンバーで結構気に入っています。

そして本作を語る上で外せないのはアルバム本編のラストに鎮座する7部構成24分越えの超大作⑧The Odysseyでしょう。SYMPHONY Xがこれまでに生み出してきた長編曲同様ダレないと言えば嘘になりますが、まるで映画音楽のようなオープニングと勇壮なメロディが胸に響くラストは実に感動的。それだけに中間部にもうひと山欲しかったですね。全体的に見ればSYMPHONY Xというバンドの凄みがヒシヒシと伝わってくる作品ではあるものの、日本盤ボーナストラック⑩Frontiersを含め78分という長丁場を聴き終えた後に印象に残っているメロディはそう多くありません。聴き始めの頃はデビュー作のリメイク⑨Masqueradeが一番のお気に入りだったほどです(苦笑)。バンドの軸となる部分はブレずにモダンでヘヴィなサウンドへ傾倒したという点でDREAM THEATERの「TRAIN OF THOUGHT」(2003)にあたる作品と言えるかもしれません。「TRAIN OF THOUGHT」は自分でも不思議なほどハマったアルバムでしたが本作にはそこまでのめり込むことはなかったですね。

【音源紹介】
Inferno (Unleash The Fire)

【CD購入録】STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

  • 2017/04/16(日) 00:00:00

【CD購入録】
LOWER THE BAR
STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

2年ほど前からニューアルバムに関する情報を耳にしていたような気がするSTEEL PANTHERの4作目(邦題「鋼鉄酒場!」)を買いました。Stix Zadinia(Ds)のアルコール依存症のリハビリ等で予定が遅れてしまったそうですがStixは本作にもメンバーとして名を連ねています。STEEL PANTHERは元々トリビュートバンドだったこともあって当初は80年代の有名バンドからフレーズを大胆に借用していたので短命のコミックバンドになってしまうような気がしていました。ところが3rd「ALL YOU CAN EAT」(2014)辺りから、露骨なオマージュの登場頻度は減りオリジナルバンドになってきたように思います(僕がオマージュに気づいていないだけかもしれませんが)。今回も前作の延長線上にある高品質な1枚であることは事実ながら、印象に残るメロディはこれまでで一番少ないかもしれません…。現時点で好きな曲はバンド初のライヴ盤「LIVE FROM LEXXI'S MOM'S GARAGE」(2016)にも先行収録されていた大らかなバラード④That's When You Came Inですね。

SYMPHONY X「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)

  • 2017/04/04(火) 00:00:00

V THE NEW MYTHOLOGY SUITE
【No.490】
★★(2000)

前作「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)リリース後に日本公演を含む初めてのツアーを実現させ、スタジオ盤の制作だけでなくライブアクトとしても優れたバンドであることを証明してみせたSYMPHONY Xの5作目。4thのレコーディング時には脱退していたJason Rullo(Ds)が来日前に復帰、ツアー中にThomas Miller(B)が突然バンドを離脱(音楽業界からも引退)するなど慌ただしかったようですが、後任にMichael LePond(B)を迎えて以降SYMPHONY Xはメンバーチェンジすることなく活動しています。本作はアトランティス文明をテーマにしたバンド初のコンセプトアルバムとなっていることもあってかSYMPHONY X特有の神秘的なムードがこれまで以上に色濃くなっていますね。

クラシック作曲家ヴェルディのレクイエムをモチーフにした序曲①Preludeに導かれてスタートする②Evolution(The Grand Design)がいきなりのキラーチューン!ダークで神秘的なムードと気品すら漂うメロディライン、それでいてサビは一緒に歌えそうなほどキャッチーなこの曲にはSYMPHONY Xの魅力が凝縮されていますね。ここまで聴いた時点で本作への期待値がグンと上がったのですが、それ以降はあまり好きになれませんでした…。端的に言うとメロディがこれまで以上に地味な曲が多いように思います。それに加えて曲間にインストを挟むなどして、アルバム冒頭から⑨The Death Of Balance / Lacrymosaまで切れ目なく繋がっているため何曲目を聴いているのかわからなくなることもあったりします。

バンドを構成する要素のひとつであるプログレッシブな作風を強めた結果、僕のストライクゾーンから外れてしまった1枚という感じですね。過去作品と比べて複雑さが増していること、アルバムのテーマがアトランティス文明という僕があまり関心のないジャンルということもあって歌詞を読んでも本作のストーリーに入り込めなかったというのもマイナス要因でしょうか。といいつつ美しく幻想的な⑤Communion And The Oracle、重厚なコーラスをフィーチュアした⑩Absence Of Lightから疾走曲⑪A Fool's Paradiseを経てエンディング曲⑫Rediscovery(Segue)〜⑬Rediscovery(Part II)- The New Mythologyに至る展開は感動的だし、①以外にもクラシックのフレーズを巧みに引用したり、オーケストラサウンドを導入することで生み出される壮大な世界観は聴き応えがあります。また、リーダーMichael Romeo(G)によるテクニカルプレイ、バッキングにソロにと適材適所の音色で楽曲を彩るMichael Pinnella(Key)の存在感、説得力に溢れた歌唱で迫るRussell Allen(Vo)のボーカルといったSYMPHONY Xらしさは本作でも健在なので、ファンならば楽しめる作品ではあるものの個人的にはもう少しわかりやすいメロディが欲しかったですね。SYMPHONY Xのアルバムはリアルタイムで聴いている時はそんなに好きではなかったけれどリピートするうちにハマることが多いのですが、本作は聴き始めの頃からあまり印象が変わりませんでした…。

【音源紹介】
Prelude~Evolution(The Grand Design)

SYMPHONY X「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)

  • 2017/03/18(土) 00:00:00

TWILIGHT IN OLYMPUS
【No.489】
★★★(1998)

3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)が過去のアルバムを凌駕する出来だったこともあり、それまでの日本に加えてヨーロッパでも人気に火がつきはじめたSYMPHONY Xが放つ4作目。ギターサウンドがグッとヘヴィになってファンを驚かせた前作よりも初期2作品で濃かったネオクラシカルテイストが前に出ているため、本作が2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)の次のアルバムと言われてもシックリくる作風です。これまで不動だった演奏陣にメンバーチェンジがありドラマーのJason Rulloがレコーディング前に脱退、後任にTom Walling(Ds)を迎えていますが次回作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000) ではJasonが復帰しています。

毎回思うのですが、このバンドはアルバムの掴みがいつも強力ですね。今回もネオクラシカルなフレーズが乱舞する疾走曲①Smoke And Mirrors、SYMPHONY Xにしては珍しく一緒に歌えそうなサビと「ヘイ!ヘイ!」という掛け声をフィーチュアした②Church Of The Machineから間髪入れずにベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」をモチーフにしたインスト小品③Sonataを挟み、④In The Dragon's Denで再びパワフルに疾走する流れに引き込まれました。今回のアルバムは全8曲と収録曲が少ないのですが後半も「鏡の国のアリス」を題材にした13分の大作⑤Through The Look Glass (PartⅠ,Ⅱ,Ⅲ)に始まり、やや薄味ながらも疾走感が心地よい⑥The Relic、メロディが捻くれているため即効性はないもののMichael Romeo(G)Michael Pinnella(Key)による圧巻のソロバトルが楽しめる⑦Orion - The Hunter、和音階を取り入れた叙情バラード⑧Lady Of The Snowなど魅力的なナンバー並びます。

Candlelight Fantasia、Out Of The Ashesというバンドの「静」と「動」それぞれの魅力を凝縮した名曲を収録した3rdに比べると小粒な感は否めませんが、今回もネオクラシカルのマスターピース①を筆頭になかなかの力作に仕上がっています。また②の「バ〜ゥ ダ〜ゥ♪」という歌い出し(サビから曲がスタートするのはこのバンドで初めてかも)や⑥のサビメロなど一度聴いただけで口ずさんでしまいそうなメロディがあるのも本作の特徴でしょうか。当時のSYMPHONY Xはライヴを行っておらず事実上スタジオバンドだったことを差し引いても1994年にデビューして以降、ほぼ毎年フルアルバムを作り上げる彼等の創作意欲には頭が下がりますね。なおバンドは1998年6月に初来日公演(SYMPHONY Xとして初のライヴだったとか)を行い、その後ワールドツアーを敢行するなどライヴ活動が本格化していくため次作からはアルバム発表の間隔は2年毎、4年毎と長くなっていくこととなります。

【音源紹介】
Smoke And Mirrors

SYMPHONY X「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)

  • 2017/03/02(木) 00:00:00

THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY
【No.488】
★★★★(1996)

圧倒的な演奏テクニックとアメリカのバンドらしからぬ叙情メロディで、日本のパワーメタルファンの心を掴んだSYMPHONY Xの3作目。このアルバムはバンド初期の代表作であり、2017年現在でもSYMPHONY Xの最高傑作に挙げられることも多い1枚です。過去の作品に比べるとギターが骨太になりヘヴィでモダンなサウンドを導入している点に変化が見られるものの、肝心のメロディは疎かになるどころか更に磨きがかかっていますね。従来のネオクラテイストは減退し、本作以降も程度の差こそあれどその傾向は維持されているため本作でSYMPHONY Xサウンドが確立されたと言えるかもしれません。複雑になりがちな彼等の作品群の中では比較的わかりやすいメロディが多いので僕にとってもお気に入り盤となっています。

本作はなんと言ってもアルバム序盤の流れが圧巻です。過去2作品とは明らかに異なるヘヴィネスに驚かされるものの楽曲の根幹はSYMPHONY X節全開な①Of Sins And Shadows、このバンド特有のミステリアスな雰囲気の中で炸裂するMichael Romeo(G)の滑らかなギターソロとそれに対抗するMichael Pinnella(Key)、そこにThomas Miller(B)のテクニカルプレイも加えた②Sea Of Lies、怒涛の勢いと哀愁のメロディが高次元で融合したSYMPHONY Xの最速チューンにして本作のハイライト③Out Of The Ashesの3曲はどれもがキラーチューンと呼べるほどの素晴らしさ。そんな疾走系3連発の後を受け継ぐ④The Accoladeは10分近くある長尺曲で、ここでは一転してバンドのプログレメタルの側面を強調していて聴き応え満点です。この一連の流れは前作「THE DAMNATION GAME」(1995)のThe Damnation Game、Dressed To KillからThe Edge Of Foreverへ繋がる展開を彷彿とさせますが、更にグレードアップしていてバンドの成長を感じさせてくれます。

また本作はラストを⑨Candlelight Fantasiaという超名曲で締めくくっているのも大きなポイント。この曲で聴ける「悲哀のメロディの極致」と呼ぶべき美旋律が堪りません。個人的には③と⑨の2曲を聴くためだけに本作を買う価値があると思いますね。そして7部構成20分越えの超大作⑧The Divine Wings Of Tragedyも存在感抜群。各パートの繋ぎ方が強引だったり、率直に言って長すぎると感じたりするのも事実ですがSYMPHONY Xの凄みを見せつけてくれています。これらの曲のインパクトが大きいために、ヨーロッパ民謡風フレーズを散りばめたネオクラ疾走曲⑦The Witching Hourなどは単体で聴けば十分魅力的なのですが、本作の中では影が薄くなっていますね。一方で捻くれた歌メロが怪しげな雰囲気を醸し出す⑤Pharaohは聴けば聴くほどクセになるナンバーです。楽曲の充実度が過去最高なのに加えて、バンドのウィークポイントだった音質面も改善されているのも好印象。SYMPHONY Xをこれから聴くという方には、まず本作をオススメしたいですね。

【音源紹介】
Candlelight Fantasia

SYMPHONY X「THE DAMNATION GAME」(1995)

  • 2017/02/22(水) 00:00:00

THE DAMNATION GAME
【No.487】
★★★(1995)

Michael Romeo(G)率いるSYMPHONY Xがバンドの声と呼べる看板シンガーRussell Allenを迎え、デビュー作「SYMPHONY X」(1994)から僅か9ヶ月という短いインターバルで発表した2ndアルバム。僕が初めてこのバンドの音に触れた1枚でもあります。音楽性は前作と同じくネオクラシカル風サウンドを盛り込んだプログレメタルながら、クオリティは大幅にアップしていますね。その功労者はやはりRussellでしょう。今ではマフィアのボスのような風貌でドスの効いた歌声を響かせてリスナーを圧倒するスタイルを持ち味としている彼ですが、本作では比較的クリーンに歌っている場面が多いですね。剛柔どちらでも表現力豊かに歌い上げられるRussellがバンドに加わったことでSYMPHONY Xのラインナップは完成したと言えると思います。バンドは本作以降リズム隊に若干のメンバーチェンジがあったもののMichael Romeo、Russell AllenそしてMichael Pinnella(Key)の3人は不動で2017年現在まで活動しています。

楽曲面でもスケールアップを遂げていて、イントロ数秒で聴き手の心をガッチリ掴む疾走曲①The Damnation Game、怪しげなムードの中で緊迫感溢れるサビメロが冴え渡る②Dressed To Killの畳み掛けが実に強力!そんなオープニング2曲に続く③The Edge Of Foreverはドラマティックな長編曲で、バラード風に始まり終盤へ向かうに連れて盛り上がっていく展開が秀逸です。中でも3分15秒辺りのピアノソロが凄く印象的で、僕としてはテクニカルなギターソロ以上にこういうパートを聴くと「SYMPHONY Xだなぁ」と感じます(少数意見かもしれませんが)。また⑤Whispersは優しくも儚いメロディが至福のひとときを与えてくれる逸品。こういう楽曲はバンド初期ならではの特徴だと思いますね。

YNGWIE MALMSTEENHELLOWEENでHR/HMに目覚めたメタラー1年生(1995年当時)の僕にとって本作の①と②はあまりに衝撃的でした。幸か不幸かこの2曲がこのバンドとの出会いだったため、本作の後半や彼等の他のアルバムを聴く時にハードルが上がってしまい、結果として「SYMPHONY Xは好きな曲とそうでない曲の落差が激しいバンド」というイメージが僕の中で定着してしまった感があります(苦笑)。率直に言うと、もっとわかりやすいメロディが欲しいんですよね…。とはいえデビュー作と比べるとボーカル交代は成功だったと思うし、まだ物足りなさは残るものの音質も向上しているので順当な成長作と言えるでしょう。ちなみに今回ブログ記事を書くために聴き直すまで、本作の後半に収録された曲は印象に残っていなかったのですが最近になってラストを飾る⑧A Winter's Dream - Prelude(Part I)、⑨A Winter's Dream - The Ascension(Part II)の2部作がジワジワと好きになってきました。

【音源紹介】
Dressed To Kill

SYMPHONY X「SYMPHONY X」(1994)

  • 2017/02/14(火) 00:00:00

SYMPHONY X
【No.486】
★★(1996)

今や押しも押されぬネオクラシカル系プログレメタルバンドの重鎮としてその名を馳せるSYMPHONY Xが1994年にリリースした1stアルバム。デビュー当時はグランジ/オルタナティヴ全盛期ということもあって母国アメリカやヨーロッパでは全くと言っていいほど話題にならず、ゼロ・コーポレーションが彼等を発掘して日本でのみリリースされた作品のようです。このアルバムの時点でダークかつミステリアスなSYMPHONY Xサウンドは既に確立されているものの、僕は2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)でこのバンドを知り、後追いで本作を聴いたため物足りなさを感じる点も少なくありません。その最たる例が本作でフロントマンを務めていたRod Tyler(Vo)のボーカルで、独特の味があるヘタウマ系と感じる場面もなくはないですが、次作から加入する実力派Russell Allen(Vo)に比べると不安定さが目立ってしまいますね…。

そんな弱点があるのは事実ながら僕の琴線に触れる楽曲も聴くことができます。特に④Masqueradeはゼロ・コーポレーションが所属アーティストの曲をテーマ毎に集めたコンピレーション盤「煌 CRYSTAL」(1996)に収録されているほか、バンド自身も1998年にリメイクしたバージョンをベストアルバムの1曲目、6th「THE ODYSSEY」(2002)のボーナストラックに再録している初期の代表曲です。それ以外にも「トゥナ〜イ♪」のコーラスが耳に残る②The Raging Season、骨太なサウンドに変化した今では聴けそうにないメロウなバラード⑥Shades Of Grey、キャッチーなサビメロを持った⑧Rapture Or Pain辺りは結構好きですね。コーラスワークにQUEENっぽさが感じられるのも本作ならではの特徴でしょうか。

DREAM THEATERに通じるプログレッシブメタルにYNGWIE MALMSTEENを彷彿とさせるネオクラシカルテイストを融合させたものがSYMPHONY Xの根幹部だと思っているのですが、その中でも本作はネオクラ要素が強い作風となっています。リーダーでもあるMichael Romeo(G)の流麗なギタープレイは同時期の本家YNGWIE以上に聴き応えがありますね。SYMPHONY Xは作品を重ねる度に複雑でプログレ色が濃くなっているので、このバンドの中では比較的聴きやすい1枚だと思います。本作はボーカルと音質(特にドラム)に難はあるものの、ダイヤの原石のような輝きも見せてくれる作品なので現メンバーでリメイクすると面白いかもしれませんね。

【音源紹介】
Masquerade

PHANTOM'S OPERA「PHANTOM'S OPERA」(1995)

  • 2017/01/31(火) 00:00:00

PHANTOMS OPERA
【No.485】
★★★(1996)

後にネオクラシカル・プログレメタルバンドSYMPHONY Xを結成することになるテクニカルギタリストMichael Romeoが在籍していたPHANTOM'S OPERAの1stアルバム。このバンドを知っている人の大半がそうだと思いますが、僕もMichael RomeoがきっかけでPHANTOM'S OPERAに興味を持ちました。Michaelは本作にギタリストとして参加していますが創作面の中心を担っているのはJack Young(Key)のため、このバンドの音楽性はSYMPHONY Xとは異なるキーボード主体のメロディックロックですね。煌びやかなバッキングと分厚いコーラス、Colie Brice(Vo)の甘い声質もあってオランダの貴公子ROBBY VALENTINEを連想させる場面もあります。僕が持っているのは1995年にテイチクからリリースされたボーナストラック込みで全14曲の国内盤です。

本作は1991年の時点で既に完成していたもののバンドは当時のグランジブームに飲み込まれ、しばらくお蔵入り状態となっていたようですが、メロディックロックファンなら聴いておいて損のない1枚だと思います。特に印象的なのが「フーズ ガナ ラビャァ♪(Who's Gonna Love Ya)」のコーラスで幕を開ける哀愁メロハーの理想形②Just A Matter Of TimeとライナーノーツでROBBY VALENTINEに通じるものがあると指摘されている美麗バラード⑩Moonlightの2曲ですね。それ以外にもサビのコーラスが耳に残る①Lie Laura、アルバム随一のポップチューン⑨Two Kinds Of People辺りがお気に入り曲です。MichaelもSYMPHONY Xほど派手に弾きまくっているわけではないものの、本作でも聴き応えのあるギタープレイを連発してくれています。

ただしアルバム全体で見るとメロディよりもノリを重視したロックソングがあったりして微妙に感じる場面があるのも事実。彼等のようにメロディアスなサウンドを武器にしているバンドが曲名に「Rock」という単語を入れると僕の好みに合わないというのは「メロハーあるある」だと思っているのですが今回も⑦Motorcycle Rock、⑪Rock Onがそれに該当しているかな…。バンドはこのアルバムを完成させた後、グランジブームの影響を受けて活動が停滞。JackとMichael以外のメンバーが次々と脱退していく中、残された2人はバンド継続の道を模索するもメンバーは見つからずMichaelがソロ作品に着手したことが契機となりSYMPHONY Xを結成したことからバンドは事実上の解散となってしまいます。その後、どういうわけかMichael以外のメンバーが再集結し「SO LONG TO BROADWAY」(1997)、「FOLLOWING DREAMS」(1998)という2枚のアルバムをリリース、4th「ACT Ⅳ」(2003)ではシンガーに実力派Terry Brockを迎えたものの2008年に中心人物のJackが亡くなったためPHANTOM'S OPERAは活動の幕を閉じてしまったようです。僕は1st〜3rdまでしか聴いていませんが3枚の中では本作が一番好きですね。

【音源紹介】
Just A Matter Of Time

【CD購入録】MEAT LOAF「BRAVER THAN WE ARE」(2016)

  • 2016/09/08(木) 00:00:00

【CD購入録】
BRAVER THAN WE ARE
MEAT LOAF「BRAVER THAN WE ARE」(2016)

欧米では大御所ロックシンガーとして名を馳せているものの、日本ではブレイクに至らないMEAT LOAFの新作(邦題:勇者再誕)を買いました。今回の目玉は何と言っても「BAT OUT OF HELLシリーズ」の生みの親でもあるJim Steinmanと再びタッグを組み、Jimがアルバム本編全曲を手掛けている点でしょう。MEAT LOAFというと壮麗なピアノをバックにロックオペラを聴かせるイメージが強いので①Who Needs The Youngの気だるいイントロは意外に感じましたが、「Who needs the young〜♪」という歌い出しが流れてきた瞬間にMEAT LOAFの作品を聴いていることを実感しました。その後も目まぐるしく展開するJim Steinman節全開の曲や10分越えの長編、女性シンガーとのデュエットなど僕がこのタッグに期待する要素を盛り込んだ楽曲が並びます。現時点で本作がBAT OUT OF HELL3部作に匹敵する1枚になるかはわかりませんが、しばらくヘビロテすることになりそうです。

【CD購入録】PEARL「LITTLE IMMACULATE WHITE FOX」(2010)

  • 2016/08/19(金) 00:00:00

【CD購入録】
LITTLE IMMACULATE WHITE FOX
PEARL「LITTLE IMMACULATE WHITE FOX」(2010)

「BAT OUT OF HELL」シリーズが大ヒットを記録したレジェンドMEAT LOAFの娘でScott Ian(G/ANTHRAX)の妻でもあるシンガーPearl AdayPEARL名義でリリースしたアルバムを買いました。本作で聴けるのはMEAT LOAFのアルバム(といっても僕は「BAT OUT OF HELL」シリーズしか聴いていませんが)のようなロックオペラではなく、骨太なクラシックロックという感じですね。作曲面の中核を担っているのはJim Wilson(G)、Marcus Blake(B)の2人で、作詞はPearlによるものです。JimとMarcusはハードロックバンドMOTHER SUPERIORとしても活動していた(現在は解散)らしく、MOTHER SUPERIORのカバー曲⑩Whoreも違和感なく溶け込んでいます。お気に入り曲はハードな①Rock Child、③Broken White、聴かせるタイプの⑧Worth Defending、そして前述の⑩などですね。Pearlのボーカルもこの手のナンバーを歌うのに適した力強くソウルフルなスタイルで好印象。本作がシンプルで理屈抜きにカッコよかったのでMOTHER SUPERIORのアルバムも聴いてみたくなりました。