SYMPHONY X「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)

  • 2017/03/02(木) 00:00:00

THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY
【No.488】
★★★★(1996)

圧倒的な演奏テクニックとアメリカのバンドらしからぬ叙情メロディで、日本のパワーメタルファンの心を掴んだSYMPHONY Xの3作目。このアルバムはバンド初期の代表作であり、2017年現在でもSYMPHONY Xの最高傑作に挙げられることも多い1枚です。過去の作品に比べるとギターが骨太になりヘヴィでモダンなサウンドを導入している点に変化が見られるものの、肝心のメロディは疎かになるどころか更に磨きがかかっていますね。従来のネオクラテイストは減退し、本作以降も程度の差こそあれどその傾向は維持されているため本作でSYMPHONY Xサウンドが確立されたと言えるかもしれません。複雑になりがちな彼等の作品群の中では比較的わかりやすいメロディが多いので僕にとってもお気に入り盤となっています。

本作はなんと言ってもアルバム序盤の流れが圧巻です。過去2作品とは明らかに異なるヘヴィネスに驚かされるものの楽曲の根幹はSYMPHONY X節全開な①Of Sins And Shadows、このバンド特有のミステリアスな雰囲気の中で炸裂するMichael Romeo(G)の滑らかなギターソロとそれに対抗するMichael Pinnella(Key)、そこにThomas Miller(B)のテクニカルプレイも加えた②Sea Of Lies、怒涛の勢いと哀愁のメロディが高次元で融合したSYMPHONY Xの最速チューンにして本作のハイライト③Out Of The Ashesの3曲はどれもがキラーチューンと呼べるほどの素晴らしさ。そんな疾走系3連発の後を受け継ぐ④The Accoladeは10分近くある長尺曲で、ここでは一転してバンドのプログレメタルの側面を強調していて聴き応え満点です。この一連の流れは前作「THE DAMNATION GAME」(1995)のThe Damnation Game、Dressed To KillからThe Edge Of Foreverへ繋がる展開を彷彿とさせますが、更にグレードアップしていてバンドの成長を感じさせてくれます。

また本作はラストを⑨Candlelight Fantasiaという超名曲で締めくくっているのも大きなポイント。この曲で聴ける「悲哀のメロディの極致」と呼ぶべき美旋律が堪りません。個人的には③と⑨の2曲を聴くためだけに本作を買う価値があると思いますね。そして7部構成20分越えの超大作⑧The Divine Wings Of Tragedyも存在感抜群。各パートの繋ぎ方が強引だったり、率直に言って長すぎると感じたりするのも事実ですがSYMPHONY Xの凄みを見せつけてくれています。これらの曲のインパクトが大きいために、ヨーロッパ民謡風フレーズを散りばめたネオクラ疾走曲⑦The Witching Hourなどは単体で聴けば十分魅力的なのですが、本作の中では影が薄くなっていますね。一方で捻くれた歌メロが怪しげな雰囲気を醸し出す⑤Pharaohは聴けば聴くほどクセになるナンバーです。楽曲の充実度が過去最高なのに加えて、バンドのウィークポイントだった音質面も改善されているのも好印象。SYMPHONY Xをこれから聴くという方には、まず本作をオススメしたいですね。

【音源紹介】
Candlelight Fantasia

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この記事に対するコメント

ゆうていさん

冒頭の3曲とラストの⑨はリアルタイムで聴いている時から好きでした。特に⑨は哀愁のメロディが絶品で、僕がこれまでに聴いた中でも特に印象に残っています。もの悲しいイントロからエンディングのフェイドアウトまで大好きですね。僕の中では本作と7thが同率首位、それに続くのが2ndと4thという感じです。

  • 投稿者: よしよ
  • 2017/03/10(金) 20:44:16
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シンフォニーXの3rd

発売当時バーンのクロスレビューでそのキリスト教的なアルバムジャケットを見て一目惚れ即購入しましたが、当時アメリカ🇺🇸で流行していたグランジに影響されたと思えて仕方ないパンテラ風❓ヘヴィなリフがどうしても気に入らず、少々ガッカリした思い出が有ります。①、③、⑦、⑨曲目が好きで、特に⑦、⑨曲目が自分にとってシンフォニーXのベストチューンの首位争いをしていますが、アルバム単位となると2ndや4thに及ばないというのが私の感想(趣味)です。

  • 投稿者: ゆうてい
  • 2017/03/09(木) 00:34:20
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B!13さん

そもそも10分を超える曲で大好きな曲はさほど多くないのですが20分越えのタイトル曲は僕にとっても敷居が高かったですね。それでも冒頭のクワイアは初めて聴いたときにゾクッとくるほど感動しました。本作のゴリゴリギターは今やSYMPHONY Xに欠かせない要素だと思っています。そして、このバンドのメロディは即効性は低いもののジワジワと効いてくるものが多いということに改めて気づきました

  • 投稿者: よしよ
  • 2017/03/06(月) 23:37:09
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Dreamdancerさん

SYMPHONY Xについてはリアルタイムでの感想よりもこうしてブログを書くために聴き返した今の方が好きになっていることが多いですね。DreamdancerさんもMD世代ですか。僕も大学時代はMD全盛期で好きな曲ばかりを集めたMDを作った際に③は入ってましたね。
Richard AnderssonのTIME REQUIEMも好きですが借用フレーズの多さ、複数のプロジェクトでほぼ毎年アルバムをリリースしていた時期があったりして活動の拠点が定まらなかったこともSYMPHONY Xのような存在になれなかった要因だと思います。あとはキーボード版YNGWIEと言われるほどの傲岸不遜な態度も原因ですかね(苦笑)

  • 投稿者: よしよ
  • 2017/03/06(月) 23:31:58
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このアルバムからプログレッシブさが前面に出てきた気がします。それの最たる20分を超える#8は次の#9が好きなのもあって最初の内は飛ばしてしまう事も多かったんですが、段々と好きになっていきました。

#1を筆頭にゴリゴリのギターリフは今聴いてもヘヴィでカッコいいですね。たしかに「Pharaoh」の歌メロってクセになりますよね(笑)たまに口ずさんでしまいます。

  • 投稿者: B!13
  • 2017/03/05(日) 15:59:38
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久しぶりにCD棚から引っ張り出し聴いてみました。いや(おっしゃられる通り)良い作品ですネ。
聴き返してみて思い出しましたが、その③は当時"お好みMD!?"に入れて良く聴いていた事を思い出しましたヨ(笑)。
そして...例えばこの後、色々なバンド名で作品を発表していたリチャード・アンダーソンの中の『TIME REQUIEM』ってのはこのSYMPHONY Xがアイディアの発端だったと思うのですが、前者が殆どライヴを行わない(行えなかった!?)スタジオプロジェクト的なモノだったのに対し、本バンドは特に欧州方面で頑張っていたとの記憶があります。
その結果が...現在、その地位を確固たるものにしているのではと思うのですが...。

  • 投稿者: Dreamdancer
  • 2017/03/04(土) 09:44:48
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