PLANET 3「A HEART FROM THE BIG MACHINE」(1991)

  • 2018/06/15(金) 00:00:00

A HEART FROM THE BIG MACHINE
【No.517】
★★★★(1995)

HR/HMを聴き始めた頃に名盤「SOLO」(1995)でAOR(Adult Oriented Rock)の魅力を僕に教えてくれたClif Magness(Vo)が23年振りの新作「LUCKY DOG」(2018)を7月4日に発表するという嬉しいニュースが飛び込んで来たので、Clifがリードボーカルを務めたPLANET 3唯一のアルバムをご紹介。メンバーとして名を連ねるのはJay Graydon(G、Key)、Glenn Ballard(Key)でClifも含めた3人全員がグラミー賞受賞歴のあるソングライターという豪華布陣、ベースとドラムは打ち込みという編成です。僕はClifが歌うアルバムを探す中で本作と出会いましたがDavid Fosterと組んだAIRPLAYで一世を風靡したJay Graydonがこのユニットの中心人物で、彼はPLANET 3の音楽性を「CHICAGO meets DEF LEPPARD」と表現しています。

アメリカ音楽シーン屈指のソングライター3人が集結しただけあって、各曲のクオリティは非常に高く爽やかに幕開けを告げる①Born To Loveからして親しみやすいメロディと程よいロックサウンドのバランスが絶妙。軽快に跳ねるサウンドが気持ちいい②From The Beginning、繊細さと力強さを兼ね備えたClifの歌声を堪能できるバラード③Insincere、洗練されたハードポップ④Criminalもさることながら大きなハイライトとなっているのが「永遠の夜を君と」という邦題がつけられた⑤I Don't Want To Say Goodnightですね。個人的には2:30過ぎの劇的なサビコーラスが鳥肌モノでした。この曲は映画「ネイビーシールズ」のサントラ盤に収録されているほか、クイズ番組「世界ふしぎ発見!」のエンディングテーマに起用され日本でもヒットしたそうです。僕も⑤と⑩I Will Be Loving Youはこのアルバムを聴く前から耳にしたことがありました。

アルバム後半は若干テンションが下がり気味ではあるものの、それでも充実した楽曲が並びます。⑧Only Your EyesはClifの切ない熱唱と哀愁たっぷりのアコギによるソロが秀逸だし、LEVI'SジーンズのCM用に書き下ろされたという⑩も感動的。また⑥The Day The Earth Stood Stillはメロディは薄味ながら都会的なアレンジがお洒落な雰囲気を演出していてクセになりますね。これだけのアルバムを生み出しておきながらPLANET 3が本作のみで解散してしまったのは残念でなりません…。ちなみに僕は「典型的なAOR」と聞くとメロディックロックよりもソフトでメロウ、リズム隊は打ち込みで歌詞は大半が恋愛モノ、といった要素が思い浮かびますが本作もClif Magnessの「SOLO」同様、AORの教科書と呼ぶに相応しい名盤だと思います。

【音源紹介】
I Don't Want To Say Goodnight

【CD購入録】陰陽座「覇道明王」(2018)

  • 2018/06/11(月) 00:00:00

【CD購入録】
覇道明王
陰陽座「覇道明王」(2018)

来年で結成20周年を迎える陰陽座の14作目を買いました。前作「迦陵頻伽」(2016)で表現の幅をグッと広げた彼等でしたが今回はバンドの根幹、つまりヘヴィメタルの部分にスポットを当てた1枚という感じですね。シングルとしてもリリースされた④「桜花忍法帖」は流石にキャッチーな仕上がりとなっているものの、アルバム全体としては即効性はさほど高くなく初めて聴いた時は微妙な印象もありました。ところが数回聴いた頃にはどっしりと構えた堂々たるサウンドに引き込まれましたね。特に①「覇王(はおう)」、⑨「鉄鼠の黶(てっそのあざ)」の2曲はグイグイと引き込まれ、漠然とですが陰陽座が更に一皮むけたと感じさせてくれるナンバーです。バラードを収録せず徹頭徹尾ヘヴィメタルでありながら、曲毎に絶妙な表情の変化を見せる瞬火(B、Vo)のソングライティング能力に脱帽ですね。第一印象としては前作に軍配が上がるのは事実ながら、今回も陰陽座らしいサウンドを堪能できるので聴き込むうちに感想がどう変化してくるのか楽しみです。

【CD購入録】BLOODBOUND「WAR OF DRAGONS」(2017)

  • 2018/06/08(金) 00:00:00

【CD購入録】
WAR OF DRAGONS
BLOODBOUND「WAR OF DRAGONS」(2017)

Fredrik Bergh(Key/STREET TALK)率いるスウェーデンのメロディックメタルバンドBLOODBOUNDの7作目を買いました。彼等がデビューした当時はお気に入りソングライターFredrikのバンドということもあって期待を胸に1st「NOSFERATU」(2005)を聴いたものの、あまり印象に残るメロディがなかったためそれ以降はチェックしていませんでした。ところが本作で久々に彼等の音に触れてみると、清々しいほどにメロパワの王道をひた走るサウンドでビックリ。アルバム導入の語り①A New Era Beginsを経て繰り広げられる②Battle In The Sky、③Tears Of A Dragonheart、④War Of Dragonsがいずれも強力で一気にアルバムに引き込まれます。このブログ的にスルーできない曲名(笑)の⑤Silver Wingsはフォークメタルっぽかったり、ジャーマンメタルファンならばニヤリとしてしまうタイトルの⑨Guardians At Heaven’s Gateはスリリングなギターで幕を開けたりと変化を持たせながら本編ラストの爽系ジャーマンメタル⑫Dragons Are Foreverまで楽しく聴けました。NIGHTWISHWishmasterそのまんまな④を筆頭にどこかで聴いたフレーズが散見されますが、それもBLOODBOUNDの持ち味だとポジティブに受け止めたくなるような1枚です。

【気になるCDリスト】2018年6月

  • 2018/06/04(月) 00:00:00

SOLITARY MEN
REFUGE「SOLITARY MEN」(2018)6月6日発売予定

Peter "Peavy" Wagner(Vo、B/RAGE)が80~90年代にかけてRAGEで活動を共にしていたManni Schmidt(G)、Chris Efthimiadis(Ds)と結成した新バンド(?)REGUGEの1stアルバム。僕の場合、RAGEを聴くようになったのは「UNITY」(2002)以降なのでこのバンドのギタリストといえばVictor Smolski(G/ALMANAC、MIND ODYSSEY)のイメージが強いのですが、RAGEの歴代ギタリストの中でも評価の高いManniと今のPeavyが生み出す楽曲群に興味津々です。

From The Ashes


Mind Over Matter


覇道明王
陰陽座「覇道明王」(2018)6月6日発売予定

リーダー瞬火(B、Vo)の揺るぎない信念の下、順調に活動を続ける陰陽座の14作目。今年の1月にシングル「桜花忍法帖」がリリースされた時にはフルアルバムに関する情報を掴んでいなかったので予想以上に早く新作を完成させてくれたというイメージがありますね。黒猫(Vo)がジャケットに登場することが多い中、今回は瞬火が鎮座する黒を基調としたアートワークからメタリックな作風になっているのではと予想しています。いずれにせよ陰陽座は僕にとってハズレ作品のないバンドNo.1なので楽しみですね。

「桜花忍法帖」(Short Version)


【気になるCDリスト】
AMMUNITION「AMMUNITION」(2018)
Freedom Finder
Wrecking Crew

ARK STORM feat. MARK BOALS「VOYAGE OF THE RAGE」(2018)

BONFIRE「TEMPLE OF LIES」(2018)
Crazy Over You
Stand Or Fall
Temple Of Lies

CLIF MAGNESS「LUCKY DOG」(2018)7月4日発売予定NEW
Ain't No Way

CROSS VEIN「GATE OF FANTASIA」(2018)
Graceful Gate
トレイラー

EARTHSTREAM「EARTH SCREAM」(2018)
トレイラー

FROZEN CROWN「THE FALLEN KING」(2018)
Kings
The Shieldmaiden

GACHARIC SPIN「G-LITTER」(2018)
Redline(Short Version)

GIOELI-CASTRONOVO「SET THE WORLD ON FIRE」(2018)7月25日発売予定NEW
Through

HIBRIA「MOVING GROUND」(2018)
Moving Ground

KISSIN' DYNAMITE「ECSTASY」(2018)7月4日発売予定NEW
I've Got The Fire
Ecstasy feat. Anna Brunner

LIONE/CONTI 「LIONE/CONTI」(2018)
Ascension
You're Falling

LORDI「SEXORCISM」(2018)
Your Tongue's Got The Cat

MARDELAS「MARDELASⅢ」(2018)
World vs Honor –仁義なき世界-

MARY'S BLOOD「REVENANT」(2018)
トレイラー
World's End(Short Version)

MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS「PAWN AND PROPHECY」(2018)
Avengers Of Eden
Hordes of Fire

THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA「SOMETIMES THE WORLD AIN'T ENOUGH」(2018)6月29日発売予定
This Time

Nozomu Wakai's DESTINIA「METAL SOULS」(2018)
Metal Souls
Take Me Home
トレイラー

ORPHANED LAND「UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS」(2018)
Like Orpheus feat. Hansi Kursch
We Do Not Resist

POWERWOLF「THE SACRAMENT OF SIN」(2018)7月13日発売予定
Demons Are A Girl's Best Friend

PRAYING MANTIS「GRAVITY」(2018)
Gravity
Keep It Alive

REFUGE「SOLITARY MEN」(2018)6月6日発売予定
From The Ashes
Mind Over Matter

RIOT「ARMOR OF LIGHT」(2018)
Victory
Messiah
Angel's Thunder, Devil's Reign
Heart Of A Lion

SUNSTORM「ROAD TO HELL」(2018)6月8日発売予定
Only The Good Will Survive

TWO OF A KIND「RISE」(2018)7月4日発売予定NEW
Naked

VALENTINE「THE ALLIANCE」(2018)6月22日発売予定

VEGA「ONLY HUMAN」(2018)
Last Man Standing
Worth Dying For
All Over Now

W.E.T.「EARTHRAGE」(2018)
Watch The Fire
Urgent
Kings On Thunder Road

陰陽座「覇道明王」(2018)6月6日発売予定
「桜花忍法帖」(Short Version)

KISSIN' DYNAMITE「GENERATION GOODBYE」(2016)

  • 2018/05/31(木) 00:00:00

GENERATION GOODBYE
【No.516】
★★★★(2016)
年間ベスト2016年第10位

2008年に「STEEL OF SWABIA」でデビュー、高校時代からの付き合いだという不動のメンバー5人で2年毎にフルアルバムを発表し順調な活動を続けるKISSIN' DYNAMITEの5作目。僕が初めて彼らの音に触れた2nd「ADDICTED TO METAL」(2010)の頃はバッドボーイズロックにも通じるヤンチャなHR/HMという印象でしたが、前作「MEGALOMANIA」(2014)ではシリアスで落ち着いた雰囲気を放つようになっていました。今回はKISSIN' DYNAMITEが過去作品で見せていた異なる表情を総合的に盛り込んで再構築したような仕上がりになっていますね。オープニングとしては若干弱い気もしますがドッシリと聴かせるスタイルが前作に近い①Generation Goodbye、ハジけたサウンドが理屈抜きでカッコいい②Hashtag Your Life、色気を感じさせるHannes Braun(Vo)の歌声が見事なパワーバラード③If Clocks Were Running Backwardsを聴いた時点で本作も愛聴盤となることを確信しました。

バンドの大きな武器であるメロディセンスは今回も冴え渡っていて曲名がサビになっている⑤She Came She Saw、⑥Highlight Zoneなどはつい口ずさんでしまうし、「カモン カモン カモォン♪」のコーラスが耳から離れない⑧Flying Coloursも中毒性が高いですね。それ以外にも明るく駆け抜ける④Somebody To Hate、ノリのよさがバンド初期を彷彿とさせる⑨Under Friendly Fire、バラードも③を筆頭に女性シンガーJennifer Haben(BEYOND THE BLACK)とデュエットした⑦Masterpiece、本編ラストを壮大に締めてくれる⑪Utopiaなど充実しているし、日本盤ボーナスの⑫All Are Equalも本編と比べて遜色ありません。なお本作はバンドにとって初のセルフプロデュース作品となっていて着実にバンドとしての自力をつけてきていることが窺えます。

そんなKISSIN' DYNAMITEを引っ張っているのがフロントマンでもあるHannes Braun。作品を重ねるに連れてボーカリストとして成長しているし、ドイツのアイドル発掘番組で準優勝した経歴を持つだけあってルックスにも華がありますね。それに加えて本作では作曲の大半に関わり、プロデュースやミキシングも手掛けているので、もはや彼なくしてKISSIN' DYNAMITEは成り立たないと言えるほどの貢献度です。Hannesがソロ活動を始めてバンドが空中分解…という流れにならないことを祈るばかりですね。アルバム全体で見るとデビュー当初にあった「ハジけんばかりの若さとエネルギー」が減退したかわりに、円熟味を増したサウンドが聴き応え抜群。この手のバンドはお気に入りになることはあっても複数のアルバムを聴くうちに、飽きてくることも少なくないのですがKISSIN' DYNAMITEは新作が出ると常にチェックしたくなるバンドなので7月4日リリース予定の6th「ECSTASY」も気になりますね。

【音源紹介】
If Clocks Were Running Backwards

【CD購入録】SATIN「IT'S ABOUT TIME」(2018)

  • 2018/05/27(日) 00:00:00

【CD購入録】
ITS ABOUT TIME
SATIN「IT'S ABOUT TIME」(2018)

BON JOVIKISSから多大な影響を受けているというノルウェーのソングライター/マルチプレイヤーTom SatinによるSATIN名義の2作目を買いました。2014年リリースのデビュー作「SATIN」は未聴なので、このアルバムが僕にとって初めて聴くSATINの作品となります。北欧のメロディメイカーといえばMikael Erlandsson(Vo/LAST AUTUMN'S DREAM)が真っ先に思い浮かびますがSATINはMikaelほど哀愁、泣きメロが前面に出ている感はありませんね。このアルバムでもあるSATINのルーツでもある80年代メロディック・ロックからの影響が色濃く表れたサウンドが軸となっていて、懐かしく感じる曲もあります。個人的にはもう少し哀メロを増量してくれた方が好みだったりしますが、キャッチーなメロディが随所に登場する本作はずば抜けたキラーチューンはないにせよメロディック・ロックファンならばリピート必至の魅力に溢れています。SATINの1stアルバムもボーナストラックを追加して6月22日に発売されるようなので気になっています。

KISSIN' DYNAMITE「MEGALOMANIA」(2014)

  • 2018/05/23(水) 00:00:00

MEGALOMANIA.jpg
【No.515】
★★★★(2014)
年間ベスト2014年ノミネート作品

前作「MONEY, SEX AND POWER」(2012)リリース後にMELODIC METAL CIRCLEというイベントでオーストラリアの新鋭MYSTERY、母国ドイツの先輩AT VANCE、JADED HEARTと共に初来日を果たしたKISSIN’ DYNAMITEの4thアルバム。作品によってメタリックだったり、アリーナロック寄りだったりと色合いが若干異なる彼等ですが、今回はデジタリーな装飾を増したダークなヘヴィロックスタイルに変化、ジャケットもこれまでになくシンプルなものになっています。そんな新しい要素を盛り込みつつ、いかにもドイツらしい実直なヘヴィメタルという軸は一切ブレないので安心して聴けますね。これだけの安定感を誇っていながら、メンバー全員がまだ20代前半だとは信じられません。

これまではメンバーとバンドが所属するドイツの大手Elephant Musicのプロデューサーが中心となって制作していたのに対し、今回は外部からのインプットが多くなっているのが特徴でしょうか。ますば全12曲中5曲でメロディックメタル界屈指のプロデューサーでKAMELOT、RHAPSODY(OF FIRE)などを手掛けてきたSascha Paethがプロデュースしているというのが意外でした。実際、彼が関わった楽曲についてはSaschaらしさを感じさせてくれていて、これまでの作品にはなかったオリエンタルな雰囲気漂うボーナストラック⑪Golden Cageの冒頭部分はKAMELOTっぽく感じられるほど。それに加えて大物ソングライターDesmond Childによる⑤Deadlyが収録されているのも大きいですね。バンドが作曲を依頼したのではなくDesmond側から接触があったそうで、これもKISSIN' DYNAMITEの非凡な才能あってのエピソードと言えそうですね。ちなみにその⑤は2分台とコンパクトな曲ながら絶妙な哀感と突き抜けたメロディがクセになるDesmondらしい1曲となっています。

外部からの助けを借りつつ仕上げられた本作ですが、あくまで根底に流れるのはKISSIN' DYNAMITE流HR/HMです。その味付けとして本作で顕著なデジロック風のアレンジは冒頭の①DNAでいきなり登場していて「テーテケ テーテケ…」という電子音が耳に残るし、⑧Legion Of The Legendaryもその要素が強いナンバーです。その一方で③V.I.P. In Hellのように攻撃的に迫るメタリックチューンやメロパワっぽさも感じさせるSaschaプロデュース曲⑥God In You、⑫In The Eye Of The Shitstorm(後者は日本盤限定ボーナス)も聴かせてくれたり、ポジティブで爽快感のある⑦Running Free、本編を締めくくるアメリカンな⑩Ticket To Paradiseなど佳曲揃い。過去作品よりも派手さが控えめでシリアスな作風のため即効性は低いものの、リピートしているうちに引き込まれてしまう1枚ですね。

【音源紹介】
DNA

【CD購入録】KAMELOT「THE SHADOW THEORY」(2018)

  • 2018/05/19(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE SHADOW THEORY
KAMELOT「THE SHADOW THEORY」(2018)

ダークで神秘的なオーラを纏ったメロディック・パワーメタルバンドとして孤高の存在感を放つKAMELOTの12作目を買いました。20年以上に渡ってバンドの屋台骨を支え続けてきたCasey Grillo(Ds)が円満脱退、後任にJohan Nunez(Ds/FIREWIND etc)を迎えて初のアルバムですが、今回もKAMELOTならではのメロディックメタルが堪能できます。1分半ほどの序曲①The Missionに導かれてスタートする②Phantom Divine (Shadow Empire)からしてKAMELOTらしさ全開だし、シンガーのTommy Karevik(SEVENTH WONDER)がメインで作曲したという③RavenLight、流麗なメロディが耳に残るアップテンポ④Amnesiac、ケルトっぽい雰囲気の中で響くサビのコーラスが素晴らしい⑤Burns To Embraceなど流石の楽曲が並びます。前半に比べて後半はやや失速気味に感じるものの、優雅なピアノソロから徐々に激しさを増していく⑫The Proud And The Brokenもいいですね。ちなみにTommyが在籍するプログレメタルバンドSEVENTH WONDERが10月に新作「TIARA」をリリースするようだし、KAMELOTの顔と呼べる存在だった前任シンガーRoy KhanCONCEPTIONを復活させるそうなのでKAMELOTの新旧ボーカルの動向に要注目ですね。

KISSIN' DYNAMITE「MONEY, SEX AND POWER」(2012)

  • 2018/05/15(火) 00:00:00

MONEY SEX AND POWER
【No.514】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

Udo Dirkschneider(Vo/U.D.O、ex-ACCEPT)にその実力を認められ、Udoがゲスト参加した2nd「ADDICTED TO METAL」(2010)で日本デビューを果たしたドイツの新星KISSIN' DYNAMITEの3作目。前作はアルバムタイトルにある通り、メタルの要素を前面に出していたのに対して今回はキャッチーさを増したアリーナロック風のサウンドになっていますね。メンバーによると過去2作品では自分探しをしていた状態らしく、本作で「SLEAZEMETAL(下品なメタル)」というスタイルを見つけたとのことです。たしかにタイトル曲の①Money, Sex & Powerからして「金、セックス、そして力をもっとくれ!」という歌詞なので、そのコンセプトを1曲目でいきなり体現していますね。ちなみにこの曲で女性が歌う「ブンガブンガ〜」がやたら印象に残ったので調べてみたところ、イタリアの首相シルビオ・ベルルスコーニが在任時に開催していてスキャンダルになったハーレムパーティー「ブンガブンガ」のことで、それを題材にした1曲のようです。メンバーのルックスやアルバムの世界観から破天荒でチャラいイメージが先行しますが、実際に聴いているとお堅い印象が残るのはドイツのバンドだからでしょうか。

本作の力強さを象徴するかのような①に続く②I Will Be Kingは「ア〜ィルビ、キィン♪」のキャッチーなサビが耳を捉えるロックソングで、アルバム冒頭の掴みとして申し分なし。この②や⑦She's A Killerの「シィザ、キラ、キラ、キラァ♪」、⑧Sleaze Deluxeの「ウィア、ウィア、ウィア〜♪」など、つい口ずさみたくなるメロディが増量されているのが本作の特徴ですね。漢らしいコーラスが曲を盛り上げる④Sex Is War、流麗なメロディが気持ちいい⑤Club 27も気に入っているし、ブルージーなアコースティックソング⑩Six Feet Underのような新しいタイプの曲が聴けるのも好印象。個々の楽曲のインパクトとしては1st「STEEL OF SWABIA」(2008)のタイトル曲や前作のSupersonic Killerに匹敵するキラーチューンこそないものの、アルバムとして見れば佳曲良曲が次から次へと繰り出される充実盤だと思います。

バンドがデビュー作からコンスタントに優れた楽曲群を生み出し続けることができている秘訣としてはメンバーに加えて、プロデューサーでもあるHartmut Krech、Mark Nissenというソングライターの存在が大きいようですね。クレジットを見ても彼等は作曲面に深く関わっているようなので、もはやこの2人も含めてKISSIN' DYNAMITEとみなした方がいいのかもしれません。勿論ツインギターパートやHannes Braun(Vo)のエネルギッシュなボーカルもバンドの大きな武器だし、本作が20歳を迎えて初めての作品となるHannesは従来のハイトーンだけでなく、色気漂う低音域も披露していてシンガーとしての成長が感じられますね。メンバーの若さとは裏腹に安定感抜群のアルバムを届け続けてくれるKISSIN' DYNAMITEの将来に更なる期待を寄せたくなる1枚です。

【音源紹介】
Money, Sex & Power

【CD購入録】JOHN WETTON「VOICE MAIL」(1984)

  • 2018/05/11(金) 00:00:00

【CD購入録】
VOICE MAIL
JOHN WETTON「VOICE MAIL」(1994)

ASIAの2代目シンガーJohn PayneErik Norlander(Key/LANA LANE、ROCKET SCIENTISTS etc)が立ち上げたプロジェクトDUKES OF THE ORIENTのデビュー作をリピートするうちに、ふと故John Wetton(Vo/ASIA、ex-KING CRIMSON etc)のソロ作が聴きたくなったのでメロディアスな音楽性だと評判の2作目を買いました。前評判通り極上のメロデイックロック/AORと呼べる作風で、そこに乗るJohnの温かみのある歌声が実に心地よいですね。その魅力は②Battle Lines、④Crime Of Passion、⑦Hold Me Now、⑩You're Not The Only Oneといったバラードで遺憾なく発揮されています。またJim Peterik(G/ex-SURVIVOR)とJohnが共作したという⑧Space And TimeがいかにもJimらしい哀愁とドラマティックさを兼ね備えた名曲で、珠玉のバラードという言葉がぴったりの⑦からの流れも含めて本作のハイライトとなっています。都会的でオシャレなアレンジがいかにもAORという感じのキャッチーソング①Right Where I Wanted To Be、シンセのイントロが印象的なポップチューン③Janeなど前半には明るめの楽曲もありますが基本的には哀メロに浸ることができる1枚だと思います。ちなみに本作は日本では「VOICE MAIL」、海外では「BATTLE LINES」という異なるタイトルで発売されているようです。