FC2ブログ

TNT「INTUITION」(1989)

  • 2020/05/25(月) 00:00:00

INTUITION.jpg
【No.543】
★★★★(1997)

「バンドの最高傑作」、「80年代北欧メタルを代表をする名盤」など高い評価を受けているTNTの4作目。2nd 「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)でTNTサウンドの礎を築き、前作「TELL NO TALES」(1987)ではその進化形を見せてくれましたが、今回は更に洗練されていて普段HR/HMに馴染みのない人にも受け入れられそうなほど聴きやすい作風となっています。透明感に溢れたサウンドの中で煌くメロディ、それを歌い上げるTony Harnell(Vo)の超絶ハイトーンボイスとRonni Le Tekro(G)による独特のギターフレーズが織り成す音世界は今回の本作で完成の域に達しています。

アルバムはTNTとしては初となる序曲①A Nation Free (Intro)でスタート、この曲がスケール感たっぷりなので荘厳な幕開けとなっています。②Caught Between The Tigersは個性的なギターリフとグルーヴを持ったロックチューンで、典型的なTNTソングとは一線を画す曲調ながらクセになる1曲ですね。それに続く北欧ハードポップの理想郷③Tonight I'm Falling、母国ノルウェーのクラシック音楽家グリーグの「ペール・ギュント」第二組曲の「ソルヴェイグの歌」のメロディ(後にKAMELOTも名曲Foreverでフィーチュアしています)をギターソロに取り入れた美麗バラード④End Of The Line、冒頭のギターメロディだけで心を鷲掴みされる爽やかな名曲⑤Intuitionの3連発は実に強力。それ以降も②に通じるメタリックな側面を見せる⑥Forever Shine On、ポップセンスが弾ける⑦Learn To Love、③や⑤といった超名曲の影に隠れがちですが並のアルバムならキラーチューン間違いなしの⑨Take Me Down (Fallen Angel)、ワルツのような雰囲気の中で泣きのメロディとミステリアスなギターソロが光るエンディング曲⑩Wisdomなど聴きどころが満載です。

惜しむらくはRonniがボーカルをとった小曲⑧Ordinary Loverが作品全体の流れから見て浮いていることでしょうか…。本作リリース後に実現した初来日の記念盤として再発された「INTUITION」(現在は入手困難)にはElectric Dancerという軽快なロックソングがボーナスとして追加されているのですが、なかなかの佳曲なので⑧よりもこちらの方を通常盤に収録して欲しかったですね。ちなみにElectric Dancerは1996年発売のベスト盤「TILL NEXT TIME」でも聴くことができます。とはいえ、全10曲中の約半数にあたる4曲(③、④、⑤、⑨)が名曲という充実振りには脱帽で、各所で高く評価をされていることも納得の名盤です。

【音源紹介】
Intuition

【CD購入録】MORON POLICE「A BOAT ON THE SEA」(2020)

  • 2020/05/20(水) 00:00:00

【CD購入録】
A BOAT ON THE SEA
MORON POLICE「A BOAT ON THE SEA」(2020)

「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984) のコメント欄でグータラof Fireさんからお薦めいただいたノルウェー出身のプログレッシブ・ロックバンドMORON POLICEの3rdアルバムにして「海映(うみばえ)の夢想劇」という邦題がつけられた日本デビュー盤(輸入盤は2019年にリリースされています)。プログレと言っても小難しい印象はほとんどなく、ポップなメロディが随所で聴ける作品となっています。タイプとしてはスウェーデンのA.C.TMOON SAFARIに近いですが、MORON POLICEの方が自由奔放なスタイルなので聴いていて楽しいですね。落ち着いたピアノの調べが期待感を煽る小曲①Hocus Pocusに導かれて爽やかに駆け抜ける②The Phantom Belowから、曲名とは対照的に複雑な展開を盛り込んだ本編ラスト⑧Isn’t It Easyまで一気に聴けてしまいます。特にアニソン風のキャッチーなメロディの後に早口のスキャットによるボーカルパートが登場し、流れるような展開を見せる⑥Captain Awkwardは秀逸。中心人物のSondre Skollevoll(Vo、G、Key)は様々なジャンルの音楽を聴いていて、中でもゲーム音楽(主にスーパーファミコン)が大好きなんだそうです。確かにゲーム音楽からの影響を感じさせる場面はあるし、僕も一番夢中になっていたゲームはスーファミなので親近感が湧きますね。また日本盤にはボーナストラックが4曲追加されていて穏やかなメロディが胸に染みる⑨Cult Of Tunaのほかデモ音源ながらアコースティックサウンドが心地よい⑩Starlight Cinema、⑪Desolation、「和」のテイストを感じさせるゲーム音楽風インスト⑫Japanese Pogo Stick Adventure!と、どの曲も楽しめました。これまで全く知らないバンドでしたが、かなり気に入ったので過去作品も聴いてみたいと思っています。

【CD購入録】ALLEGIANCE REIGN「EI EI O」(2020)

  • 2020/05/15(金) 00:00:00

【CD購入録】
EI EI O
ALLEGIANCE REIGN「EI EI O」(2020)

東京を拠点とする戦国バトルメタルバンドALLEGIANCE REIGNの1stアルバム。ちなみに、このバンドはフルレンスアルバムを「長編合戦組曲」と呼んでいるそうです。「TURISASの日本版がやりたい」というコンセプトで誕生したバンドのようですが、サウンド的にはRHAPSODY OF FIREを連想させます。RHAPSODY OF FIRE やTURISASよりもわかりやすい音楽性、メンバーが本物の甲冑に身を包むという見た目のインパクトを踏まえると和製GLORYHAMMERという感じでしょうか。中身の方も聴き応えがあって、ストーリーアルバムでもある本作の幕開けを告げる①Warcry〜開戦〜に続く②A Signal Fire Of Battle〜合戦の狼煙〜は掴みに最適なスピードチューン、タイトル曲③Ei Ei O〜勝鬨〜は初めて聴いた時から「エ〜イ、エ〜イ、オ〜♪」と歌ってしまうほどキャッチーだし、「シャキーン!」というSEで始まるネオクラシカル要素の強い④Allegiance Sword〜忠義の刀〜、勇壮に進行していきメタル魂を鼓舞する⑤Marching Warriors〜いざ、参ろうぞ〜へと続くアルバム前半はなかなか強力。インタビュー記事を読んだ印象ではリーダーの矢城山 武義(G)はバンドのコンセプト/世界観に強い拘りを持っていて次作の構想も既にあるようなので今後が楽しみなニューアクトの登場ですね。

【CD購入録】下山 武徳「WAY OF LIFE」(2019)

  • 2020/05/10(日) 00:00:00

【CD購入録】
WAY OF LIFE
下山 武徳「WAY OF LIFE」(2019)

「魂のシンガー」と称される下山 武徳(Vo/SABER TIGER、SIXRIDE、ex-DOUBLE DEALER)の通算3枚目となるソロアルバム。本作はアコースティック作品となっていて山本 恭司(G/VOW WOW)が演奏で、SABER TIGERの両ギタリスト木下 昭仁田中 康治、かつてSIXRIDEで下山と活動を共にした青柳 慎太郎(G)が作曲と演奏でゲスト参加しています。なお全10曲中新曲は5曲で、1stソロ「ACOUSTIC〜ALWAYS LIVE ON」(2000)の代表曲を新たな歌詞で歌い直し山本 恭司が客演した①Always梶山 章(G/GOLDBRICK)とのコラボ作品「INTO THE DEEP」(2008)の収録曲Motherの日本語バージョン⑤「母へ」SIXRIDEの名バラードをスパニッシュ風にアレンジした⑨Dec.は既発曲のリメイク、③Autumn Leaves⑧Halleljahは洋楽のカバーです。余談ですが「枯葉」の邦題で知られるシャンソンの有名曲③はLANA LANE「BALLAD COLLECTION Ⅱ」(2000)のバージョンが個人的に大好きですね。新曲に関してはSIXRIDEの曲と言っても通用しそうな④「手のひらの蝶」、SABER TIGERの御大 木下 昭仁が書いたとは思えないピースフルな曲調と下山が16年間飼っていた愛猫の視点による歌詞が新鮮な⑦「あなたと出会えて幸せだった猫の詩」、下山が作詞作曲を手がけた⑩「確かな真実」などが特に気に入っています。

【気になるCDリスト】2020年5月

  • 2020/05/05(火) 00:00:00

Osyrhianta.jpg
FAIRYLAND「OSYRHIANTA」(2020)5月27日発売予定

フランスが誇るエピック・パワーメタルバンドFAIRYLANDが前作「SCORE TO A NEW BEGINNING」(2009)から約11年振りにリリースする4作目。3rdアルバムはリーダーPhilippe Giordana(Key)指揮のもと大勢のゲストを迎えて制作されていたのに対して、今回はラインナップが固定されているようです。

Hubris et Orbis
Heralds Of The Green Lands

WHORE OF BABYLON
MIKE LEPOND’S SILENT ASSASSINS「WHORE OF BABYLON」(2020)5月29日発売予定

SYMPHONY XのベーシストMike LePond率いるMIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINSの3枚目。2014年にセルフタイトルの1stアルバムを発表して以降、本家以上に精力的な活動をしていますね。先行音源を聴く限り、今回も突進力のあるヘヴィメタルを聴かせてくれそうです。

Dracul Son
Ironborn

MIDNIGHT EMPIRE
ONE DESIRE「MIDNIGHT EMPIRE」(2020)5月20日発売予定

フィンランドの若きメロディック・ロックバンドONE DESIREの2nd。デビュー作「ONE DESIRE」が気になりつつも聴きそびれてしまっている彼等ですが、先行で公開されている楽曲がどれも気に入っているので僕の中で注目度がアップしています。

After You're Gone
Shadowman
Heroes

THE POWER OF REDEMPTION
下山 武徳「THE POWER OF REDEMPTION」(2020)5月13日発売予定

昨年11月にアコースティックアルバムを発表した下山 武徳(Vo/SABER TIGER、SIXRIDE、ex-DOUBLE DEALER)にとって初となるヘヴィメタル作品。今回はSyu(G)、Yuhki(Key)GALNERYUS組や島 紀史(G/CONCERTO MOON)、山本 恭司(G/VOW WOW)、中村 達也(G/BLINDMAN)といった豪華ゲストが参加しています。個人的に楽しみにしているのは下山と島、木本 高伸(B)、礒田 良雄(Ds)というDOUBLE DEALERのラインナップが実現した④Sun Downですね。

Future Of The World
トレイラー

【気になるCDリスト】
ALLEGIANCE REIGN「EI EI O」(2020)NEW
Ei Ei O ~勝鬨~
トレイラー

ALMANAC「RUSH OF DEATH」(2020)
Predator
Bought And Sold

ALOGIA「SEMENDRIA」(2020)NEW
Semendria
Visantia
トレイラー

BEYOND THE BLACK「HORIZONS」(2020)6月19日発売予定
Misery
Golden Pariahs

CHRISTIAN MUENZNER「PATH OF THE HERO MASTER」(2020)
Knight Rider
Demon Angel

CONCEPTION「STATE OF DECEPTION」(2020)
Waywardly Broken
By The Blues

FIREWIND「FIREWIND」(2020)6月24日発売予定
Rising Fire
Welcome To The Empire

FAIRYLAND「OSYRHIANTA」(2020)5月27日発売予定NEW
Hubris et Orbis
Heralds Of The Green Lands

GACHARIC SPIN「GOLD DUSH」(2020)
「逆境ヒーロー」

GOTTHARD「#13」(2020)
Missteria
Bad News

hibiki「HANDS OF PROVIDENCE」(2020)
Sonic Divine
トレイラー

MAGNUS KARLSSON’S FREE FALL「WE ARE THE NIGHT」(2020)6月12日発売予定
Hold Your Fire feat. Dino Jelusick
Queen Of Fire feat. Noora Louhimo

MIKE LEPOND’S SILENT ASSASSINS「WHORE OF BABYLON」(2020)5月29日発売予定
Dracul Son
Ironborn

MORON POLICE「A BOAT ON THE SEA」(2020)NEW
The Phantom Below
The Dog Song
Captain Awkward

THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA「AEROMANTIC」(2020)
Divinyls
Transmissions

ONE DESIRE「MIDNIGHT EMPIRE」(2020)5月20日発売予定
After You're Gone
Shadowman
Heroes

REVOLUTION SAINTS「RISE」(2020)
When The Heartache Has Gone
Closer
Talk To Me
Price We Pay

TRICK OR TREAT「LEGEND OF THE XII SAINTS」(2020)
YouTubeのオフィシャルチャンネルで音源公開中

VOLCANO「GODSPEED」(2020)
トレイラー

下山 武徳「THE POWER OF REDEMPTION」(2020)5月13日発売予定
Future Of The World
トレイラー

TNT「TELL NO TALES」(1987)

  • 2020/04/30(木) 00:00:00

TELL NO TALES
【No.542】
★★★★(1997)

本国ノルウェーでは3週連続でナショナルチャート1位に輝くなどヒットを記録したTNTの出世作にして通算3枚目となるアルバム。日本デビュー盤でもあった前作「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)はTNTがアイデンティティを確立するための重要作品だったのは事実ながら、バンドとしては発展途上にあることが感じられる1枚でもありました。それに対して本作では2ndにあったヴァイキングメタル系の曲は姿を消し、メジャー感が大幅に増しているだけでなく「北欧ならではの透明感と美しくもキャッチーなメロディを詰め込んだHR/HM」というTNTらしさを凝縮した仕上がりとなっていますね。

バンドの成長振りをいきなり見せつけてくれるアップテンポ①Everyone's A Star、ノリの良いギターリフからキャッチーなサビへ繋がっていく②10,000 Lovers (In One)、珠玉の美旋律ハードロック③As Far As The Eye Can See(見わたす限り)と続く冒頭3曲は実に強力。その後も邦題のセンスは微妙ながら美しさに溢れたバラード⑤Child's Play(チャイルド遊戯)からシームレスに繋がるアコースティックのインスト小品⑥Smooth Syncopationを挟んで爽やかなメロディが躍動する⑦Listen To Your Heart、曲名からして北欧テイスト満点の名バラード⑨Northern Lights、アルバムラストを派手に締めくくるスピードメタル⑪Tell No Talesを始めとする北欧メタルの最高峰が堪能できる1枚となっています。「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」の記事でも書いたように僕はベストアルバム「TILL NEXT TIME」(1996)がTNTとの出会いだったので、そこに収録されていない⑨を初めて聴いた時には「なぜこの曲が入っていないんだ?」というのが率直な感想でした。

加入2作目となるTony Harnell(Vo)の突き抜けるようなハイトーンは更に伸びやかになっているし、メインソングライターでもあるRonni Le Tekro(G)もクラシカルなインスト④SapphireYNGWIE MALMSTEENばりに弾きまくっているほかリフやソロで、その独特なセンスを遺憾なく発揮していますね。全11曲で31分足らずと、収録時間だけ見るとEP並みのボリュームしかないものの中身は濃密で聴き応え満点の逸品となっています。一般的にTNTの最高傑作は4th「INTUITION」(1989)という声が多いようですが僕にとってはどちらも甲乙付け難い名盤です。メタリックなエッヂもある本作、そこから更に洗練された次作という感じでしょうか。これからTNTを聴く方にはどちらの作品も手に取ってもらいたいですね。

【音源紹介】
10,000 Lovers (In One)

DYNAZTY「THE DARK DELIGHT」(2020)

  • 2020/04/25(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE DARK DELIGHT
DYNAZTY「THE DARK DELIGHT」(2020)

音楽性は異なるもののH.E.A.Tと並ぶスウェディッシュHR/HMのホープとして注目しているDYNAZTYの7作目。サウンド面が大きく変化した4th「RENATUS」(2014)以降、音の密度の濃いヘヴィメタルを聴かせていましたが、前作「FIRESIGN」(2018)ではデジタルサウンドの割合が増すなど更なる進化を見せてくれた一方で、ともすればヌルいと感じる場面もありました。本作では「FIRESIGN」の路線を継承しつつも、前作以上にタイトな音になっていますね。楽曲としては先行で公開されていた①Presence Of Mind、⑥Heartless Madness、⑦Waterfallは勿論、パワーバラード⑤Hologramやアグレッション全開の⑩Apexなどがが気に入っています。それに加えてボーナストラック⑬The Shoulder Devilも素晴らしい出来となっていてなぜ本編に入れなかったのか疑問に思うほどです。これまで以上に歌メロが充実しているのはNils Molin(Vo)AMARANTHEに加入した効果かもしれませんね。

TNT「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)

  • 2020/04/20(月) 00:00:00

KNIGHTS OF THE NEW THUNDER
【No.541】
★★★(1996)

Ronni Le Tekro(G)率いるノルウェー出身の北欧メタルバンドTNTの2ndアルバム。後にバンドの顔となるアメリカ人シンガーTony Harnell(当時はTony Hansen名義)は本作から加入しています。バンド名を冠した1stアルバムはDag Ingebrigtsen(Vo)なる人物が歌っていたのですが、その時点ではTNTの代名詞である透明感やキャッチーなメロディといった要素は皆無に等しく、歌詞はノルウェー語のB級メタルだったのに対して全編英語詞による本作ではTNTらしさが感じられるようになっていますね。とはいっても前作からの影響もまだ残っていて彼等の作品群の中ではメタリックな印象が強いアルバムです。ちなみにDagの後任にはMICHAEL SCHENKER GROUPを脱退したばかりのGary Barden(Vo)にほぼ決まりかけていたのですが、無名ながら圧倒的な歌唱力を誇るTonyを迎える決断を下したそうです。もしGaryが加入していたらバンドの音楽性も今とは別のものになっていたかもしれませんね…。

僕はバンド初のベスト盤「TILL NEXT TIME」(1996)で初めてTNTの音に触れ、その後にオリジナルアルバムを聴いたので、重厚でありつつキャッチーさも忘れない①Seven Seas、何度も繰り返されるサビがクセになる④Last Summer's Evil、HR/HMのお手本のような⑦Break The Ice、勇壮なヴァイキングメタル⑩Knights Of The Thunderなどベストアルバムの収録曲に耳がいきますね。ただ本作はそれ以外にも疾走感溢れるイントロと爽やかなサビの対比が見事な②Ready To Leave、タイトル通りのロマンティックなインスト小品③Klassisk Romance、いかにも北欧のバンドらしい美麗バラード⑤Without Your Love、TNTにしては珍しく漢臭いコーラスをフィーチュアした⑥Tor With The Hammerといった魅力的なナンバーが並んでいる点も見逃せません。

バンドの代表作と言われる3rd「TELL NO TALES」(1987)、4th「INTUITION」(1989)に比べると粗削りだし、Tonyのボーカルに力みが感じられたり、メンバーのルックスも垢抜けなかったりするのは事実ながら1st「TNT」(1982)から大きく進化していることは間違いありません。デビュー作のソングライティングには前任シンガーDagが関わっている曲がそれなりにあったようなので、TNTというバンドの基礎が確立されたのは本作からだと言えると思います。Dagは実力不足などを理由に事実上の解雇という形でバンドを離脱したそうですが、本作でもドラムを叩いているDiesel DahlがTNT脱退時に結成したTINDRUMの2nd「HOW 'BOUT THIS ?!」(1989)でリードボーカルを務めたり、2012年に敢行されたTNTの歴代シンガーが集ったライヴ(後に「THE 30TH-ANNIVERSARY CONCERT」としてDVD/CDがリリース)に参加したりしているのでメンバーとの関係性は悪くないようです。

【音源紹介】
Seven Seas

【CD購入録】SERENITY 「THE LAST KNIGHT」(2020)

  • 2020/04/15(水) 00:00:00

【CD購入録】
THE LAST KNIGHT
SERENITY「THE LAST KNIGHT」(2020)

メンバー全員が闘いの王をイメージした衣装に身を包み、素顔を隠した謎のメタルバンドWARKINGSにおいて唯一、正体が明かされているTribune(Vo)の「中の人」Georg Neuhauserを擁するオーストリア産メロディックメタルバンドSERENITYの7作目。余談ですが彼の名前(ゲオルグ・ノイハウザー)って声に出して読みたくなるカッコよさがありますね。3rd 「DEATH AND LEGACY」(2011)以来となる彼等のサウンドに触れた第一印象は「KAMELOTっぽさが増している」でした。ただ、そこにはネガティブな意味合いはあまりなくKAMELOT以上に親しみやすいメロディとGeorgの甘い歌声を存分に活かしたシンフォニックメタルはSERENITYならではの強みだと思います。序曲①The Last Knight以降の②Invictus〜⑤Souls And Sinsまで重厚なミドルチューンが続くので地味な印象は拭えませんが個々の楽曲としては十分魅力的です。待ってましたの疾走曲⑥My Kingdom Comesはドラムパターンも含めてかなりKAMELOTしていて「本家にこんな曲なかったっけ?」と思ってしまうほど(笑)。本作は神聖ローマ皇帝のマクシミリアンI世の生涯をテーマとしたコンセプトアルバムではあるものの、コンパクトな曲を集めた作品なので聴きやすい印象ですね。

【CD購入録】HAREM SCAREM「CHANGE THE WORLD」(2020)

  • 2020/04/10(金) 00:00:00

【CD購入録】
CHANGE THE WORLD
HAREM SCAREM「CHANGE THE WORLD」(2020)

2013年に再結成して以降、「THIRTEEN」(2014)、「UNITED」(2017)とコンスタントに作品を発表してくれているHAREM SCAREMの14thアルバム。前作が秀逸な出来だったので今回も期待していましたが結論から言うと、その期待にしっかりと応えてくれていますね。ゆったりした曲調が更にテンポダウンするサビメロが耳から離れないタイトル曲①Change The World、リフとソロの両方でPete Lesperance(G)らしいフレーズが冴え渡る④The Death Of Me、哀愁の中にも温かみと希望を感じさせるHAREM SCAREM節全開な⑤Mother Of Invention、⑦In The Unknownや若々しくロックする⑧Riot In My Head、お約束のバラード⑨No Me Without Youなど、お気に入り曲を挙げだすとキリがありません。僕にとってこのバンドはFAIR WARNING、TERRA NOVAと並ぶ「90年代から愛聴しているメロディックロックバンドの御三家」なのですが、近年はいずれのバンドにも以前ほど夢中になることができずにいました。前作と今回のアルバムは「HAREM SCAREM復活!」と言いたくなる出来栄えだし、バンドはこれからも新譜制作を続けてくれるようなので嬉しい限りです。