CYRIL ACHARD'S MORBID FEELING「...IN INCONSTANCIA CONSTANS」(2002)

  • 2017/08/21(月) 00:00:00

IN INCONSTANCIA CONSTANS
【No.499】
★★★(2002)

フランス出身の技巧派ギタリストCyril AchardCYRIL ACHARD'S MORBID FEELING名義でリリースした現時点で唯一のアルバム。Cyrilは地元フランスで複数のHR/HMバンドでの活動を経て1997年に初のソロ作品「CONFUSION」をリリース、本作はソロとしては第2弾にあたります。「CONFUSION」がギターインスト作品だったのに対してシンガーも在籍するバンド形態で制作された今回のアルバムは、テクニカルな演奏を盛り込んだ歌モノ作品に仕上がっています(⑥The Deep One’sのみインスト)。フランスのメタルギタリストというと後期ELEGYにも在籍していたPatrick Rondat、約8年振りの新作「LIFE」(2017)を発表したADAGIOの中心人物Stephan Forteが思い浮かびます。上記の2人はネオクラシカル系バリバリの印象が強いですが、Cyrilはネオクラ風味もありつつダークな質感は控えめでジャズ/フュージョンっぽさも感じさせるプレイスタイルですね。

本作を聴いて最初に連想したのは初期DREAM THEATERで、そこにポンプロックのテイストを加味したという感じでしょうか。疾走曲や純然たるバラードと呼べるものはなく、どの曲もミドル〜アップテンポのため各曲の表情が掴みにくいこと、Aメロ〜Bメロ〜サビとわかりやすく展開するのではなく楽曲構成が複雑なこともあって数回聴いただけでは、なかなか印象に残りませんでした。ところがリピートするうちに本作の魅力に引き込まれ、終盤に手に汗握るインストパートを配した②Fallen From Grace、「ア〜イ、ドゥ〜、エェニスィィン♪」という親しみやすいサビが耳に残る③Empty Vowなどハッとさせられる場面も少なくないことに気づきます。どの曲でも伸び伸びと弾きまくっているCyrilのギターが中心となっているのは事実ながらPatric Peekなるシンガーの存在も見逃せません。野暮ったく感じられる場面もありますが時折David Readman(Vo/PINK CREAM 69、ADAGIO etc)を彷彿とさせる歌い回しを披露してくれています。

なお本作にはテクニカルギタリストTony MacAlpineが3曲にゲスト参加していてCyrilとギターバトルを繰り広げているのかと思いきや、残念ながらキーボード奏者として参加でした…(そういえばTonyは自身のアルバムでもピアノでクラシック曲を弾いていましたね)。まだ荒削りな部分はあるものの今後の活躍を期待させるには十分の1枚で僕はこのアルバムを聴いてCyril Achardに興味を持ち、彼がMike Terrana(Ds/RAGE etc)らと結成したインストトリオTABOO VOODOOもチェックしました。本作リリース後のCyrilはTABOO VOODOOやMike Terranaのソロ作「MAN OF THE WORLD」(2005)に参加していましたが最近ではソロや他のアーティストとのコラボ名義でHR/HMから距離を起いたアコースティック/ジャズ路線のインストアルバムを複数発表しているようです。いつか本作の延長線上にあるプログレメタル作品をリリースしてくれると嬉しいですね。ちなみにAmazonでCyril Achardの作品を検索するといくつかのアルバムが「アダルト商品」扱いになっていました…(苦笑)。

【音源紹介】
Empty Vow

【CD購入録】ADAGIO「LIFE」(2017)

  • 2017/08/17(木) 00:00:00

【CD購入録】
LIFE_20170630234019b47.jpg
ADAGIO「LIFE」(2017)

David Readman(Vo/PINK CREAM 69 etc)、Richard Andersson(Key/TIME REQUIEM、SPACE ODYSSEY)を含むラインナップで2001年にデビューしたフランス産ネオクラシカル・プログレッシブメタルバンドADAGIOが約8年振りに発表した5作目を買いました。このバンドについてはSYMPHONY X同様、音楽性としては僕好みではあるものの分かり易いメロディがそれほど多くないため、とっつきにくいイメージがありました。久々の新作が出ると知った時もさほど興味はわかなかったのですがアルバム本編のエンディング曲⑨Tornの哀メロはかなりツボだったし、バンドのYouTubeオフィシャルチャンネルでアルバム全曲が試聴できたので聴いているうちに「これはいいかも」と思い購入した次第です。9分もあるタイトル曲①Lifeは派手さこそないもののグイグイと引き込まれるし、モダンでアグレッシブな③Subrahmanya、叙情バラード⑧Trippin' Awayなども気に入っています。中心人物でもあるマエストロStephan Forte(G)のギターは相変わらず冴え渡っているし、最近ではMYRATHのプロデューサーとしても注目されたKevin Codfert(Key)が作り出す音世界といったADAGIOに欠かせない要素も健在です。そして本作から新加入したアメリカ人シンガーKelly Sundown Carpenterも力強い歌唱で盛り立ててくれています。彼のことはよく知りませんでしたが調べてみるとNils Patrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS、WUTHERING HEIGHTS)の後任としてCIVIL WARにも籍を置いているようですね。ADAGIOはここ最近シンガーが固定できていませんでしたが、本作のラインナップはなかなか強力だと思うのでこのまま活動してくれることを願っています。

【CD購入録】PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017)

  • 2017/08/13(日) 00:00:00

【CD購入録】
CLOSE TO THE SUN
PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017)

Michael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)がメロディックロックを歌うプロジェクトPLACE VENDOMEの4作目を買いました。2005年の結成当初はAVANTASIAへのゲスト参加はあったもののHELLOWEEN脱退後にHR/HMから距離を置いていたMichael Kiskeが久々にアルバム1枚を通して歌うハードロックプロジェクトとして注目を集めていましたが、今やFRONTIERS RECORDSお抱えのライターが提供する楽曲群をKiskeが歌うためのプロジェクトという感じですね。本作もAlessandro Del Vecchio(Key)、Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR、ex-LAST TRIBE)といったおなじみのソングライターからJani Liimatainen(G/CAIN'S OFFERING、ex-SONATA ARCTICA)、Simone Mularoni(G/DGM)といった新顔も含めた作曲陣に加えてギターソロではGus G.(FIREWIND)、Kai Hansen(GAMMA RAY、ex-HELLOWEEN)らが名を連ねる豪華なラインナップです。中身の方も期待を裏切らない上質のメロディックロック作品となっていて、過去のアルバムに比べるとややメタリックになっているように思います。これ!という決め手こそないもののFRONTIERS RECORDS作品だけあって手堅い仕上がりですね。現時点でのお気に入りはJani作の②Welcome To The Edgeでしょうか。余談ですが、PLACE VENDOMEがなければKiskeとKaiが在籍するバンドUNISONICの誕生や、彼等2人がHELLOWEENのツアーに帯同するPUMPKINS UNITEDツアーも実現しなかった可能性もあるのでPLACE VENDOMEは色んな意味で重要なプロジェクトだと感じる今日この頃です。

【気になるCDリスト】2017年8月

  • 2017/08/09(水) 00:00:00

LIFE_20170630234019b47.jpg
ADAGIO「LIFE」(2017)8月9日発売予定

フランスのテクニカルギタリストStephan Forte率いるプログレメタルバンドADAGIOが約8年振りにリリースする新作。Stephan自身、ここ最近はソロ活動に注力しているようだったので解散したのかと思っていました。元々このバンドに関してはメロディがわかりにくい印象があり、それほどお気に入りというわけではなかったので復活のニュースを聞いても「ふーん」という感じだったのですが試聴してみるとなかなか良さそうです。ちなみにバンドのYouTubeオフィシャルチャンネルでアルバム全曲を聴くことができます。

Darkness Machine


KEE OF HEARTS
KEE OF HEARTS「KEE OF HEARTS」(2017)8月30日発売予定

Tommy Heart(Vo/FAIR WARNING)Kee Marcello(G/ex-EUROPE)を中心としたニューアクトKEE OF HEARTSのデビュー作。メロハーファンとしては興味をそそられる面子だと思っていたらFRONTIERS RECORDSが新たに立ち上げたプロジェクトのようで、お抱えのライターAlessandro Del Vecchio(Key)が創作面を担っています。ある程度の満足感を得られそうなのは聴く前から想像がつきますが購入するかどうかは様子見の予定です。

A New Dimension


AMBER GALACTIC
THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA「AMBER GALACTIC」(2017)8月9日発売予定

SOILWORK、ARCH ENEMYなど北欧エクストリームメタル界を代表するバンドのメンバー達によるメロディック・ロックプロジェクトTHE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAの3作目。輸入盤からかなり遅れての国内盤リリースとなりますね。デビュー作「INTERNAL AFFAIRS」(2012)は年間ベスト入りするほどのお気に入り作品だったにも関わらず2nd「SKYLINE WHISPERS」(2015)もまだ聴けていないので、まずはそちらをチェックしてみようかと思っています。

Gemini


【気になるCDリスト】
ADAGIO「LIFE」(2017)8月9日発売予定
Darkness Machine
The Ladder

ARCH ENEMY「WILL TO POWER」(2017)9月1日発売予定
The World Is Yours

ART NATION「LIBERATION」(2017)
The Real Me

AVENFORD「NEW BEGINNING」(2017)(輸入盤)
Dead Or Alive feat. Apollo Papathanasio
Fury Road

BONFIRE「BYTE THE BULLET」(2017)(輸入盤)
Power Train
Locomotive Breath
Praying 4 A Miracle

DA VINCI「AMBITION ROCK」(2017)9月15日発売予定
I've Come All This Way

DREAM EVIL「SIX」(2017)
Dream Evil
Antidote

ECLIPSE「MONUMENTUM」(2017)
Vertigo
Never Look Back

THE FERRYMEN「THE FERRYMEN」(2017)
End Of The Road
Still Standing Up
The Ferrymen
Eyes On The Sky

GALNERYUS「ULTIMATE SACRIFICE」(2017)9月27日発売予定

H.E.A.T「INTO THE GREAT UNKNOWN」(2017)9月20日発売予定
Time On Our Side

KEE OF HEARTS「KEE OF HEARTS」(2017)8月30日発売予定
A New Dimension
The Storm

KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH「OVERTURE OF DESTRUCTION」(2017)
トレイラー

KRYPTONITE「KRYPTONITE」(2017)
Chasing Fire
This Is The Moment

LIONVILLE「A WORLD OF FOOLS」(2017)
I Will Wait
A World Of Fools

MORS PRINCIPIUM EST「EMBERS OF THE DYING WORLD」(2017)
Reclaim The Sun

THE NIGHTS「THE NIGHTS」(2017)NEW
Welcome To The Show
Nothing But Love
Juliette
Hold On

THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA「AMBER GALACTIC」(2017)8月9日発売予定
Midnight Flyer
Gemini
Something Mysterious
Domino
Sad State Of Affairs

NOCTURNAL RITES「PHOENIX」(2017)9月20日発売予定
Before We Waste Away
A Heart As Black As Coal

PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017)
Welcome To The Edge
Light Before The Dark
HereAfter

PRIDE OF LIONS「FEARLESS」(2017)
The Tell
Silent Music
The Light In Your Eyes
All I See Is You

RAGE「SEASONS OF THE BLACK」(2017)
Blackened Karma
Adoration

THE RASMUS「DARK MATTERS」(2017)10月6日発売予定
Paradise

REVOLUTION SAINTS「LIGHT IN THE DARK」(2017)10月4日発売予定NEW
Light In The Dark

ROCKETT LOVE「GRAB THE ROCKET」(2017)
Rocket Love
One Of These Days

TEN「GOTHICA」(2017)
Paragon
La Luna Dra-Cu-La
Travellers

TOKYO MOTOR FIST「TOKYO MOTOR FIST」(2017)
Love Me Insane
Shameless
Put Me To Shame
Love

VOLCANO「LEVIATHAN」(2017)
トレイラー

VORCHAOS「VORCHAOS」(2017)
LET IT DIE~おまえに届くまで~

ZEMETH「ROUGE NOIR」(2017)
Lavendel
Deadly Nostalgia
トレイラー

WITHIN TEMPTATION「HYDRA」(2014)

  • 2017/08/05(土) 00:00:00

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【No.498】
★★★★(2014)
年間ベスト2014年第10位

今や本国オランダは勿論、ヨーロッパを代表するフィーメルゴシックHR/HMバンドへと成長を遂げたWITHIN TEMPTATIONの6thアルバム。今回もバンドがひとつの到達点に達したと自負する4th「THE HEART OF EVERYTHING」(2007)で提示したメジャー感たっぷりのモダンゴシックサウンドの延長線上にある作風です。2011年リリースの前作「THE UNFORGIVING」はバンド初のコンセプトアルバムでそのストーリーを題材にしたコミック本を出版したことが話題となりましたが、本作のトピックは全10曲中4曲に外部シンガーがゲスト参加していることでしょう。特にTarja Turunen(Vo/ex-NIGHTWISH)Sharon Den Adel(Vo)という2大歌姫が共演した④Paradise(What About Us?)はWITHIN TEMPTATIONファンのみならずシンフォゴシックメタラーにとっても大注目の1曲で流石の出来栄えとなっています。

そんな④以外ではHoward Jones(Vo/ex-KILLSWITCH ENGAGE)が男前な歌声を響かせる②Dangerous、アメリカ人ラッパーXzibitとの共演が意外とマッチしている③And We RunDave Pirner(Vo/SOUL ASYLUM)とのデュエットバラード⑩Whole World Is Watchingがゲスト参加曲となっています。アルバム全体で見てもこれら4曲が際立っていて中でもバンド最速曲とも言われる②の緊張感はカッコいいし、ラップパートが楽曲のドラマ性をアップさせている③は大きな聴きどころですね。どちらの曲も本作の特徴であるヘヴィネスとシリアスな雰囲気が強調された本作の代表曲です。ゲストが参加していない楽曲では現在のWITHIN TEMPTATIONスタイルの王道をゆく①Let Us Burn、Sharonの儚い歌唱が沁みる⑦Covered By Roses、このバンドにしてはギターの主張がかなり激しい⑨Tell Me Whyなどが気に入っています。また⑤Edge Of The Worldでは3rd「THE SILENT FORCE」(2004)の頃のような幻想的なムードがあったり、⑥Silver Moonlightでは久し振りにグロウルをフィーチュアしていたりとバンド初期の要素が復活している点も見逃せません。

僕が持っている本作のデラックスエディションにはカバー6曲、本編収録曲が完成に至る過程を記録したエボリューショントラックなるものを4曲収録したボーナスディスクが付いています。カバーソングはコンピレーションアルバム「THE Q-MUSIC SESSIONS」(2013)からの抜粋で、元ネタがHR/HMジャンル外のアーティストばかりということもあってか印象に残っている曲はほとんどなく、却ってWITHIN TEMPTATIONのメロディセンスの高さを再認識する結果となりました。ちなみに今年初めてBruno Marsのアルバムをチェックした時、聞き覚えのある名前だと感じたのは本作にBrunoのカバー曲Grenadeか収録されているからだったようですね。なおメインソングライターのRobert Westerholt(G)はSharonとの間に3人目の子供が産まれた2011年以降、ツアーに帯同せず創作面とレコーディングでのみ参加するとともにバンドのスポークスマンを務めているのだとか。Sharonがツアーに参加しないことはあり得ないので家庭と仕事(バンド)を両立するための現実的な選択だと思いますが、子育てと仕事のやりくり追われている身としては親近感が湧きますね(笑)。

【音源紹介】
And We Run

【CD購入録】ANTHEM「ENGRAVED」(2017)

  • 2017/08/01(火) 00:00:00

【CD購入録】
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ANTHEM「ENGRAVED」(2017)

「軍曹」、「柴サタン」とも呼ばれる絶対的なバンマスとして君臨する柴田 直人(B)率いるANTHEMの16作目を買いました。柴田作の曲がアルバムの大半を占めるANTHEMにしては珍しく今回は清水 昭男(G)が約半数の楽曲を手掛け、SABER TIGERの近作でも作詞を担当している遠藤 フビトが2曲で歌詞を書くなど新しい試みを導入しています。個人的にはJ-POPのアーティストにも曲を提供するなど引き出しの多い清水色が濃くなることを期待していたのですが、いざ聴いてみると良くも悪くも不変のANTHEMサウンドが貫かれているという印象ですね。外部からのインプットが増えても結局はリーダーの支配力でANTHEMらしくなったという感じでしょうか。先行でPVも公開されたリードトラック①The Artery Songから②Far Awayへと至る流れ、スピーディーな③Keep Your Spirit Alive、⑤Midnight Growl、清水が持ち込んだと思われる要素が強めの⑩Don't Break Awayやラストを締めくくるタイトル曲⑪Engravedなどが気に入っています。ただし過去作品にあったようなキラーチューンが本作にも収録されているかというと、現時点では身を乗り出してしまうほどの楽曲はないかなというのが正直な感想ですね。

【CD購入録】SABER TIGER「BYSTANDER EFFECT」(2015)

  • 2017/07/27(木) 00:00:00

【CD購入録】
BYSTANDER EFFECT
SABER TIGER「BYSTANDER EFFECT」(2015)

下山 武徳(Vo)復帰後としては3枚目、SABER TIGERの結成35周年記念にあたる通算11作目を買いました。本作は「キャッチーで大合唱できること」をテーマにした1枚だそうで、たしかにここ最近のアルバムと比べるとわかりやすい作品になっているように思います。このバンドにはもう少しわかりやすいメロディが欲しいと感じていたので、この方向性は歓迎ですね。また今回はSABER TIGERとして久し振りに日本語詞による楽曲が収録されています。下山が日本語で歌うのを聴いているとSIXRIDEを思い出しますね。第一印象としては、やはり日本語詞のナンバーの方がスッと耳に入ってくるし、中でも8分近くあるバラード⑨An Endless Endは胸に迫ってきます。全体的に見ればキャッチーになったと言っても、それはあくまでSABER TIGERにしてはの話なので僕の嗜好からすればもっとメロディアスになってもらってもいいのですが、そうなるとSABER TIGERらしさが揺らいできそうなので難しいところですね…。

WITHIN TEMPTATION「THE UNFORGIVING」(2011)

  • 2017/07/23(日) 00:00:00

THE UNFORGIVING
【No.497】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第6位

前作「THE HEART OF EVERYTHING」(2007)で従来のゴシックメタルに大衆的な親しみやすさを加味し、更なる進化を遂げたWITHIN TEMPTATIONの5作目。リーダーのRobert Westerholt(G)によると「THE HEART OF EVERYTHING」の出来にかなり満足しているようで「通常のアルバムを作るという意味ではやりきった」と感じたことから、今回はバンド初のコンセプトアルバムであるだけでなく、そのストーリーと連動したコミックを出版するという意欲作となっています。ジャケットはアメコミ風のイラストで、インタビュー記事のメンバー写真を見ても従来にはなかった軽いノリになっているためバンドイメージに変化が見られるものの最大の武器であるメロディセンスは衰えるどころか更に磨きがかかっていますね。

今や厳かなゴシックメタル的ムードは大きく減退、シンフォニックアレンジの効いたメロディアスHR/HMとなっているため初期からのファンにとっては賛否両論ありそうですが僕は本作を聴いてWITHIN TEMPTATIONのファンになりました。今回はこれまで以上に楽曲の幅が広がっていて、このバンドにしては珍しく疾走感のあるロックチューン③In The Middle Of The Night、曲名通りの武骨さ、勇ましさと共に進行する⑥Iron、ディスコ調のサウンドを取り入れた⑧Sineadなどは、本作の多様性を象徴するナンバーだと思います。WITHIN TEMPTATIONの凄いところは新境地に挑戦しつつ、それを失敗に終わらせず魅力的に聴かせることができる点でしょう。僕にとってのハイライトはダンサブルな⑧とは対照的な熱唱系バラード⑨Lost、即効性は低いもののリピートするうちにジワジワくる⑩Murder、モダンサウンドを纏った哀愁ドライヴィングチューン⑪A Demon's Fateと続く後半の流れですね。

Sharon Den Adel(Vo)のボーカルについては、3rd「THE SILENT FORCE」(2004)辺りまでで披露していたエンジェリックボイスは控えめで、作風の変化に合わせるように力強く低音域で歌う場面が増えていますね。また音楽的にもメンバーのルックス的にも依然としてSharon推し全開ではありますが、短いとはいえギターソロが聴ける曲が増えたのも特徴でしょうか。本作はコンセプトアルバムではあるもののSEは①Why Not Meのみだし、大作も一切なくコンパクトな楽曲が並んでいるため小難しさは皆無。あくまで歌モノ作品として成り立っているのも好印象です。ゴシックメタルからメインストリーム系ロックへの飛躍のきっかけを掴んだ前作の流れを上手く発展させた充実盤だと思います。

【音源紹介】
Sinead

【CD購入録】CYNTIA「URBAN NIGHT」(2016)

  • 2017/07/19(水) 00:00:00

【CD購入録】
URBAN NIGHT
CYNTIA「URBAN NIGHT」(2016)

2012年のデビュー以降、毎年フルアルバムを発表するなど精力的な活動を続けているガールズバンドCYNTIAの5作目を買いました。前作「WOMAN」(2015)でかなりポップな作風に変化していたこと、リーダーでもあったKANOKO(Ds)が脱退したことなどから解散もあり得るかなと思っていましたが、バンドはサポートドラマーを迎えて新譜を完成させてくれたようです。タイトル通りのイントロ①introductionがデジタル音の中でギターソロが響く曲調だったので期待と不安が半々だったのですが、洗練されたハードポップ②Urban Night、前作に収録されたKISS KISS KISSタイプのキャッチーソング③「ハピネス」、CYNTIA流メタル④Bless of the Fireへと至る流れを聴いて、これまでの集大成的作品のように感じました。⑤Life Goes On、⑥Un!verseで聴ける歌メロの充実振り、ラストを締めくくるバラード⑨Call Me.も流石です。デビュー当時のようにガールズメタルを名乗るにはソフト過ぎる感はありますが、耳に残るメロディが多いので楽しめました。従来の作品は複数のソングライターが曲を出し合っていたのに対して、今回は②をYUI(G)⑦「不眠症シンデレラ」AZU(B)が手掛けている以外はAYANO(Key)のペンによる曲のようです。曲数が少ないため物足りなく感じるのは事実ながらCYNTIA健在を知らしめるには十分の1枚だと思います。

【CD購入録】LIV MOON「DOUBLE MOON」(2009)

  • 2017/07/15(土) 00:00:00

【CD購入録】
DOUBLE MOON
LIV MOON「DOUBLE MOON」(2009)

元宝塚女優でもあるAkane Liv(Vo)NIGHTWISHのカバー曲The Phantom Of The Opera(2002年発表の4th「CENTURY CHILD」収録)を聴いて感銘を受け、西脇 辰弥(Key)と共に立ち上げたシンフォニック・メタルプロジェクトLIV MOONの1stアルバムを買いました。「元タカラジェンヌがメタルを歌う」という話題性もあってかデビュー当時Yahooニュースで取り上げられていた記憶もあるし、メジャーデビュー前からBURRN!誌にインタビューが掲載され、LOUD PARK 09に出演するなど破格の待遇を受け2009年12月にリリースされたのが本作です。LIV MOON誕生のきっかけはNIGHTWISHだそうですが、本作を聴いてオランダが誇るフィーメルゴシックの重鎮WITHIN TEMPTATIONを最初に連想しました。僕は2nd「GOLDEN MOON」(2011)からLIV MOONを聴き、現時点での最新作4th「THE END OF THE BEGINNING」(2012)までをチェックした後に本作を購入したこともあってかLIV MOONのアルバムの中では物足りなく感じるというのが正直な感想です。お気に入りはシンフォゴシックとは一線を画すJ-POP的な⑧「鮮やかに…」でしょうか。Akane嬢の歌唱力は素晴らしいものの、楽曲のメロディという点ではインパクトに欠ける1枚という感じですね。