SYMPHONY X「THE DAMNATION GAME」(1995)

  • 2017/02/22(水) 00:00:00

THE DAMNATION GAME
【No.487】
★★★(1995)

Michael Romeo(G)率いるSYMPHONY Xがバンドの声と呼べる看板シンガーRussell Allenを迎え、デビュー作「SYMPHONY X」(1994)から僅か9ヶ月という短いインターバルで発表した2ndアルバム。僕が初めてこのバンドの音に触れた1枚でもあります。音楽性は前作と同じくネオクラシカル風サウンドを盛り込んだプログレメタルながら、クオリティは大幅にアップしていますね。その功労者はやはりRussellでしょう。今ではマフィアのボスのような風貌でドスの効いた歌声を響かせてリスナーを圧倒するスタイルを持ち味としている彼ですが、本作では比較的クリーンに歌っている場面が多いですね。剛柔どちらでも表現力豊かに歌い上げられるRussellがバンドに加わったことでSYMPHONY Xのラインナップは完成したと言えると思います。バンドは本作以降リズム隊に若干のメンバーチェンジがあったもののMichael Romeo、Russell AllenそしてMichael Pinnella(Key)の3人は不動で2017年現在まで活動しています。

楽曲面でもスケールアップを遂げていて、イントロ数秒で聴き手の心をガッチリ掴む疾走曲①The Damnation Game、怪しげなムードの中で緊迫感溢れるサビメロが冴え渡る②Dressed To Killの畳み掛けが実に強力!そんなオープニング2曲に続く③The Edge Of Foreverはドラマティックな長編曲で、バラード風に始まり終盤へ向かうに連れて盛り上がっていく展開が秀逸です。中でも3分15秒辺りのピアノソロが凄く印象的で、僕としてはテクニカルなギターソロ以上にこういうパートを聴くと「SYMPHONY Xだなぁ」と感じます(少数意見かもしれませんが)。また⑤Whispersは優しくも儚いメロディが至福のひとときを与えてくれる逸品。こういう楽曲はバンド初期ならではの特徴だと思いますね。

YNGWIE MALMSTEENHELLOWEENでHR/HMに目覚めたメタラー1年生(1995年当時)の僕にとって本作の①と②はあまりに衝撃的でした。幸か不幸かこの2曲がこのバンドとの出会いだったため、本作の後半や彼等の他のアルバムを聴く時にハードルが上がってしまい、結果として「SYMPHONY Xは好きな曲とそうでない曲の落差が激しいバンド」というイメージが僕の中で定着してしまった感があります(苦笑)。率直に言うと、もっとわかりやすいメロディが欲しいんですよね…。とはいえデビュー作と比べるとボーカル交代は成功だったと思うし、まだ物足りなさは残るものの音質も向上しているので順当な成長作と言えるでしょう。ちなみに今回ブログ記事を書くために聴き直すまで、本作の後半に収録された曲は印象に残っていなかったのですが最近になってラストを飾る⑧A Winter's Dream - Prelude(Part I)、⑨A Winter's Dream - The Ascension(Part II)の2部作がジワジワと好きになってきました。

【音源紹介】
Dressed To Kill

【CD購入録】BATTLE BEAST「BRINGER OF PAIN」(2017)

  • 2017/02/18(土) 00:00:00

【CD購入録】
BRINGER OF PAIN
BATTLE BEAST「BRINGER OF PAIN」(2017)

ジャケットからしてインパクト抜群なBATTLE BEASTの4作目を買いました。過去のアルバムで創作面のイニシアティブを握っていたAnton Kabanen(G)が前作「UNHOLY SAVIOR」(2015)リリース後に脱退したと聞いた時にはバンドがどうなるのか心配でしたが、ここに届けられた新作はそんな不安を吹き飛ばすばかりか最高傑作なのではないかと思えるほどの充実盤となっています。シンセサウンドを纏いながら駆け抜けていくアップテンポ①Straight To The Heartを聴いて今まで以上に僕好みのメロディアスな作風で手応えを感じていたら、それ以降もテンションが下がることなくあっという間に聴き終えてしまったという感じです。メロディ志向の楽曲群の中でガツンと来るタイトル曲②Bringer Of Pain、重厚なヘヴィサウンドでアルバムに起伏をつけている⑥Lost In Wars、「ウィ!ウィル!ファァィ!」と初めて聴いた時から歌えてしまった⑧We Will Fight、タイトル通りのダンサブルチューン⑨Dancing With The Beast、本編を見事に締めくくるバラード⑩Far From Heaven などバラエティに富んでいる点も見逃せません。それに加えてボーナストラックもBATTLE BEASTらしいメタルソング⑪God Of War、クワイアが荘厳な雰囲気を醸し出す⑫The Eclipse、ロックンロールテイストに溢れた⑬Rock Trashと充実しています。バンド史上最大の危機を見事に乗り越えた本作は気が早いかもしれませんが2017年の年間ベスト入りは確実だと思います。

SYMPHONY X「SYMPHONY X」(1994)

  • 2017/02/14(火) 00:00:00

SYMPHONY X
【No.486】
★★(1996)

今や押しも押されぬネオクラシカル系プログレメタルバンドの重鎮としてその名を馳せるSYMPHONY Xが1994年にリリースした1stアルバム。デビュー当時はグランジ/オルタナティヴ全盛期ということもあって母国アメリカやヨーロッパでは全くと言っていいほど話題にならず、ゼロ・コーポレーションが彼等を発掘して日本でのみリリースされた作品のようです。このアルバムの時点でダークかつミステリアスなSYMPHONY Xサウンドは既に確立されているものの、僕は2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)でこのバンドを知り、後追いで本作を聴いたため物足りなさを感じる点も少なくありません。その最たる例が本作でフロントマンを務めていたRod Tyler(Vo)のボーカルで、独特の味があるヘタウマ系と感じる場面もなくはないですが、次作から加入する実力派Russell Allen(Vo)に比べると不安定さが目立ってしまいますね…。

そんな弱点があるのは事実ながら僕の琴線に触れる楽曲も聴くことができます。特に④Masqueradeはゼロ・コーポレーションが所属アーティストの曲をテーマ毎に集めたコンピレーション盤「煌 CRYSTAL」(1996)に収録されているほか、バンド自身も1998年にリメイクしたバージョンをベストアルバムの1曲目、6th「THE ODYSSEY」(2002)のボーナストラックに再録している初期の代表曲です。それ以外にも「トゥナ〜イ♪」のコーラスが耳に残る②The Raging Season、骨太なサウンドに変化した今では聴けそうにないメロウなバラード⑥Shades Of Grey、キャッチーなサビメロを持った⑧Rapture Or Pain辺りは結構好きですね。コーラスワークにQUEENっぽさが感じられるのも本作ならではの特徴でしょうか。

DREAM THEATERに通じるプログレッシブメタルにYNGWIE MALMSTEENを彷彿とさせるネオクラシカルテイストを融合させたものがSYMPHONY Xの根幹部だと思っているのですが、その中でも本作はネオクラ要素が強い作風となっています。リーダーでもあるMichael Romeo(G)の流麗なギタープレイは同時期の本家YNGWIE以上に聴き応えがありますね。SYMPHONY Xは作品を重ねる度に複雑でプログレ色が濃くなっているので、このバンドの中では比較的聴きやすい1枚だと思います。本作はボーカルと音質(特にドラム)に難はあるものの、ダイヤの原石のような輝きも見せてくれる作品なので現メンバーでリメイクすると面白いかもしれませんね。

【音源紹介】
Masquerade

【CD購入録】QUARTERBACK「TRAMPLED UNDER FOOT」(1992)

  • 2017/02/11(土) 00:00:00

【CD購入録】
Trampled Under Foot
QUARTERBACK「TRAMPLED UNDER FOOT」(1992)

デンマーク出身の5人組メロディックロックバンドQUARTERBACKが1992年にリリースした唯一のアルバムを買いました。マニアの間ではレアアイテムとして知られる1枚で、オリジナル盤にはかなりの高値が付いていたらしいし、2008年に再発された時も1,000枚限定だったそうですが僕は1,800円ほどで購入できました。適度な哀愁と湿り気を含んだ北欧のバンドらしい曲調とそれを歌うややハスキーなボーカルの相性は上々ですね。ただ全体的に見るとB級っぽさか抜け切らなかったり、曲によってはHenrik Wilhelmsen(Vo)の歌唱に粗さが目立ったりするので、そのレア度の高さからメロディックロックの隠れた名盤を期待すると肩透かしをくらうかもしれません。そんな中で爽やかさの中に仄かな憂いを感じさせる①Tumblin' Downはなかなかの逸品。ガツンと来るインパクトこそないものの聴いていて心地よい1曲です。もしバンドが継続していたらBAD HABIT、DA VINCI、RETURNらと共にゼロ・コーポレーションから国内盤のリリースがあったのでは、という気もしますね。

【気になるCDリスト】2017年2月

  • 2017/02/08(水) 00:00:00

BRINGER OF PAIN
BATTLE BEAST「BRINGER OF PAIN」(2017)2月17日発売予定

今月は聴いてみたいアーティストのCDが多いのですが購入が既に決定しているのはBATTLE BEASTの4thアルバム一択です。前作「UNHOLY SAVIOR」(2015)リリース後にバンドの中心人物Anton Kabanen(G)が脱退したと聞いて不安しかなかったのですが音源を試聴する限り、それは杞憂に終わりそうですね。BURRN!誌でのインタビューを読んでいてもバンドの状態が良さそうなので期待が募ります。

King For A Day


Familiar Hell


CLOSE TO THE SUN
PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017) 2月8日発売予定

Michael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)によるAORプロジェクトPLACE VENDOMEの4作目。先行で公開されている楽曲がなかなか好感触だったので注目度が上昇中です。この最新作を買う前に前作「THUNDER IN THE DISTANCE」(2013)をチェックしてみようかな、と思っています。

Welcome To The Edge


Light Before The Dark


HereAfter


【気になるCDリスト】
ANCESTRAL DAWN「SOULDANCE」(2017)3月22日発売予定NEW
StormHaze
Rise Of The Ancestor

BATTLE BEAST「BRINGER OF PAIN」(2017)2月17日発売予定
King For A Day
Familiar Hell

ECLIPSE「MONUMENTUM」(2017)3月8日発売予定
Vertigo
Never Look Back

FIREWIND「IMMORTALS」(2017)NEW
Hands Of Time
Ode To Leonidas
Back On The Throne

GYZE「NORTHERN HELL SONG」(2017)3月29日発売予定
Northern Hell Song
Dead Bone Blue
トレイラー

KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH「OVERTURE OF DESTRUCTION」(2017)4月5日発売予定

LIONVILLE「A WORLD OF FOOLS」(2017)2月22日発売予定
I Will Wait
A World Of Fools

MORS PRINCIPIUM EST「EMBERS OF THE DYING WORLD」(2017)
Reclaim The Sun

ONE DESIRE「ONE DESIRE」(2017)3月8日発売予定NEW
Hurt
Whenever I'm Dreaming

PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017) 2月8日発売予定
Welcome To The Edge
Light Before The Dark
HereAfter

PRIDE OF LIONS「FEARLESS」(2017)
The Tell
Silent Music
The Light In Your Eyes
All I See Is You

SERENITY IN MURDER「THE ECLIPSE」(2017)2月8日発売予定
The Revelation

TOKYO MOTOR FIST「TOKYO MOTOR FIST」(2017)2月22日発売予定
Love Me Insane
Shameless
Put Me To Shame

TWILIGHT FORCE「HEROES OF MIGHTY MAGIC」(2017)国内盤
Flight Of The Sapphire Dragon
Powerwind

VORCHAOS「VORCHAOS」(2017)2月8日発売予定
LET IT DIE~おまえに届くまで~

【CD購入録】THE POODLES「DEVIL IN THE DETAILS」(2015)

  • 2017/02/04(土) 00:00:00

【CD購入録】
DEVIL IN THE DETAILS
THE POODLES「DEVIL IN THE DETAILS」(2015)

安定感抜群のアルバムを発表し続けてくれているメロディックロックバンドTHE POODLESの6作目を買いました。デビュー当初はWIG WAMの二番煎じという印象が強かったものの、解散してしまった本家(?)とは対照的にTHE POODLESはコミカルなイメージを上手く払拭してコンスタントに活動していますね。結論から言うと今回も安心して聴けるメロハー作品です。これ!というキラーチューンはありませんが何度もリピートしたくなりますね。このバンドの場合、外部ソングライターの楽曲も取り入れているのが特徴のひとつで③The Greatestは2016年に自身のプロジェクトRUN FOR VICTORYを立ち上げたErik Lidbomによるナンバーです。次のアルバムが出たら即買いをするかどうかは別にして是非聴きたいと思わせてくれる作品ですね。

PHANTOM'S OPERA「PHANTOM'S OPERA」(1995)

  • 2017/01/31(火) 00:00:00

PHANTOMS OPERA
【No.485】
★★★(1996)

後にネオクラシカル・プログレメタルバンドSYMPHONY Xを結成することになるテクニカルギタリストMichael Romeoが在籍していたPHANTOM'S OPERAの1stアルバム。このバンドを知っている人の大半がそうだと思いますが、僕もMichael RomeoがきっかけでPHANTOM'S OPERAに興味を持ちました。Michaelは本作にギタリストとして参加していますが創作面の中心を担っているのはJack Young(Key)のため、このバンドの音楽性はSYMPHONY Xとは異なるキーボード主体のメロディックロックですね。煌びやかなバッキングと分厚いコーラス、Colie Brice(Vo)の甘い声質もあってオランダの貴公子ROBBY VALENTINEを連想させる場面もあります。僕が持っているのは1995年にテイチクからリリースされたボーナストラック込みで全14曲の国内盤です。

本作は1991年の時点で既に完成していたもののバンドは当時のグランジブームに飲み込まれ、しばらくお蔵入り状態となっていたようですが、メロディックロックファンなら聴いておいて損のない1枚だと思います。特に印象的なのが「フーズ ガナ ラビャァ♪(Who's Gonna Love Ya)」のコーラスで幕を開ける哀愁メロハーの理想形②Just A Matter Of TimeとライナーノーツでROBBY VALENTINEに通じるものがあると指摘されている美麗バラード⑩Moonlightの2曲ですね。それ以外にもサビのコーラスが耳に残る①Lie Laura、アルバム随一のポップチューン⑨Two Kinds Of People辺りがお気に入り曲です。MichaelもSYMPHONY Xほど派手に弾きまくっているわけではないものの、本作でも聴き応えのあるギタープレイを連発してくれています。

ただしアルバム全体で見るとメロディよりもノリを重視したロックソングがあったりして微妙に感じる場面があるのも事実。彼等のようにメロディアスなサウンドを武器にしているバンドが曲名に「Rock」という単語を入れると僕の好みに合わないというのは「メロハーあるある」だと思っているのですが今回も⑦Motorcycle Rock、⑪Rock Onがそれに該当しているかな…。バンドはこのアルバムを完成させた後、グランジブームの影響を受けて活動が停滞。JackとMichael以外のメンバーが次々と脱退していく中、残された2人はバンド継続の道を模索するもメンバーは見つからずMichaelがソロ作品に着手したことが契機となりSYMPHONY Xを結成したことからバンドは事実上の解散となってしまいます。その後、どういうわけかMichael以外のメンバーが再集結し「SO LONG TO BROADWAY」(1997)、「FOLLOWING DREAMS」(1998)という2枚のアルバムをリリース、4th「ACT Ⅳ」(2003)ではシンガーに実力派Terry Brockを迎えたものの2008年に中心人物のJackが亡くなったためPHANTOM'S OPERAは活動の幕を閉じてしまったようです。僕は1st〜3rdまでしか聴いていませんが3枚の中では本作が一番好きですね。

【音源紹介】
Just A Matter Of Time

【CD購入録】SONIC STATION「NEXT STOP」(2015)

  • 2017/01/27(金) 00:00:00

【CD購入録】
NEXT STATION
SONIC STATION「NEXT STOP」(2015)

スウェーデン出身のギタリスト/ソングライターAlexander Kronbrink率いるAORプロジェクトSONIC STATIONの2作目を買いました。セルフタイトルのデビュー作では4人のシンガーが歌っていたそうですが、今回は前作に続いての参加となる女性ボーカルMarika Willstedtが3曲、彼女の紹介で初参加となった男性シンガーJohan Bodingが8曲で歌う体制となっています。都会的なAORといった感じのSONIC STATIONサウンドを聴いて最初に連想したのはRobert Sall(G)擁するWORK OF ARTですね。アルバムの幕開けに持ってこいの爽快チューン①Ameliaからして強力で「女性の名前をタイトルにしたAORソングにハズレなし」という法則が見事に当てはまっています。それ以外にも心温まるメロディが秀逸な⑧Broken Man、Marikaの力強い歌声が映えるドラマティックバラード⑪Hide And Seekを筆頭に、HR/HMとして聴くにはソフトすぎるきらいはあるものの、とことんメロディアスな楽曲がズラリと並びます(意外と自己主張の強いギターパートもグッド)。AlexanderにはSONIC STATIONを今後も継続してもらいたいですね。

ARI KOIVUNEN「FUEL FOR THE FIRE」(2007)

  • 2017/01/23(月) 00:00:00

FUEL FOR THE FIRE
【No.484】
★★★★(2008)

フィンランドのアイドル発掘番組、その名も「Idols」でHR/HMソングを歌って優勝を果たしたAri Koivunenのデビューアルバム。本作の目玉はフィンランドメタル界の有名人がAriに楽曲を提供している点でしょう。Timo Tolkki(G/ex-STARTOVARIUS)、Marco Hietara(B、Vo/NIGHTWISH)、Tony Kakko(Vo/SONATA ARCTICA)LEVERAGE、THUNDERSTONEといったバンドのメンバーが手掛ける楽曲群は流石の出来栄え。またJanne Wirman(Key/CHILDREN OF BODOM)、Nino Laurenne(G/THUNDERSTONE)、Mirka Rantanen(Ds/THUNDERSTONE)といったプレイヤーが名を連ねる演奏陣も本作ではバッキングに徹しているせいか派手さこそないものの流石の安定感を誇っていますね。盤石の体制でのバックアップとAri自身の人気もあってか、本作はフィンランドのナショナルチャートで12週連続1位を記録したそうです。

50曲以上の候補から厳選されたという本作の収録曲は僕好みのものが多く程よい疾走感を持った①God Of Warで幕を開け、ミッドテンポの②Hear My Callに繋がる構成はベタながらも掴みとしてはバッチリだし、後者の哀メロはなかなか強力。それ以降もストレートなハードロック④Don't Try To Break Me、前曲から一転してじっくり聴かせるTimo Tolkkiによる泣きのバラード⑤Angels Are Calling、曲名通りの飛翔感にテンションが上がる⑥I Fly、ズシリと響く重厚感を持ったヘヴィチューン⑦Our Beast、Tony Kakko作の軽快なロックソング⑧Losing My Insanity、力強さとフックに満ちたメロディが秀逸な⑨Stay Trueと続く怒涛の展開に心を奪われました。ちなみにボーナストラックにはカバー曲としてフィンランド人シンガーKirka⑫Hetki LyoBilly Joel⑬Piano Man、「Idols」のオリジナルソング⑭On The Top Of The Worldと日本盤限定で④、⑤のライブ音源が収録されていて穏やかなバラード⑭は結構好きだったりします。

楽曲面の充実振りが目立つ本作で聴けるAriの歌唱は良く言えば北欧らしい透明感と繊細さを持ったスタイル、裏を返せば線の細いハイトーンタイプですね。Ariと同じくオーディション番組(American Idol)出身のChris Daughtry、James Durbin辺りと比べると凄みは感じられませんが歌声自体には独特のオーラがあって将来性を感じさせてくれます。それまで無名だった新人のデビュー作、ソコソコの歌唱力、名だたるソングライターが提供した楽曲群といった特徴を総合するとAGNES「WHEN THE NIGHT FALLS」(2006)と共通点が多いように思いますね。Ariは2nd「BECOMING」(2008)をリリースした後、フィンランドのメタルバンドAMORALに加入、長年フロントマンを務めたもののバンドは2017年1月5日にファイナルライブを行い解散しています。Ariのソロ名義によるアルバムは現時点では2枚のみですがAMORALが解散した今、新たなソロ作品がリリースされるかもしれませんね。

【音源紹介】
Stay True

【CD購入録】GOTTHARD「SILVER」(2017)

  • 2017/01/19(木) 00:00:00

【CD購入録】
SILVER_2017010919531197a.jpg
GOTTHARD「SILVER」(2017)

2017年の新譜購入第1弾はスイスが誇る国民的ロックバンドGOTTHARDの12作目です。アルバムタイトルはデビュー25周年を迎えるバンドを銀婚式になぞらえたものだとか。Nic Maeder(Vo)を迎えて3作目となる今回も安心して聴けるハードロックアルバムとなっています。加入当初から前任の故Steeve Lee(Vo)に似ていると言われていたNicの歌唱に関しては⑥Reason For Thisを聴いていると更にSteeveっぽくなったように思います。4th「OPEN」(1999)~7th「LIPSERVICE」(2005)の頃にあったメロハーテイストは控えめで、渋くて深みのあるベテランならではの貫禄に溢れた1枚ですね。ボーカルハーモニーから曲が始まる①Silver River、ベートーベンの「運命」をモチーフにした⑨Tequila Symphony No. 5辺りは新機軸と言えるかもしれません。お気に入りはPVも制作された③Stay With Meでしょうか。個人的にはもっとメロディアスな作風が好みなのですが、ついリピートしたくなる魅力がありますね。