SYMPHONY X「THE ODYSSEY」(2002)

  • 2017/04/20(木) 00:00:00

THE ODYSSEY
【No.491】
★★(2002)

デビュー当初は日本でしかアルバムが発売されていなかったものの3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)からヨーロッパでも注目されるようになり、2001年には初のライヴ盤「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」をリリースするなどSYMPHONY Xがバンドとして成長していく中で発表した6thアルバム。ちなみに「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」は2枚組となっていてDisc-1では前作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)冒頭のPreludeから9曲目The Death Of Balance / Lacrymosaまでをアルバム通りに再現、Disc-2にはバンドの代表曲を収録しています。ただし超名曲Candlelight Fantasiaがメドレー形式でしか聴けなかったり、セットリストが「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」に偏っていて初期2作品の曲が入っていなかったりすることなどから個人的な満足度はさほど高くありません(初めてのライヴ盤にしてはセットリストで冒険しすぎかな)。

そんなライヴアルバムを挟んでリリースされた本作は「ギター中心のヘヴィなものを目指した」とMichael Romeo(G)が語っている通り、SYMPHONY X特有のミステリアスな雰囲気は薄まっていてバンドのメタリックな部分が強調された作風となっています。オープニングの①Inferno (Unleash The Fire)からしてこれまで以上の攻撃性とギターの緊迫感で押し寄せてくるし、続く②Wicked、③Incarnations Of The Apprenticeもリフでグイグイ押してくるタイプなので息が詰まるのも事実で、比較的メロディアスな④The Accolade IIでようやくホッと一息つくことができます。その④は曲名にもある通り3rdの収録曲The Accoladeの続編で共通するメロディが散りばめられています。The Accoladeほど凝った展開はない代わりにグッと骨太になった曲調はSYMPHONY Xの音楽変遷をそのまま表しているように思えて興味深いですね。続く⑤King Of Terrorsも勢いに溢れたサウンドの中で響く「テェ〜エ リィ ファ〜イ♪」のサビが耳に残るナンバーで結構気に入っています。

そして本作を語る上で外せないのはアルバム本編のラストに鎮座する7部構成24分越えの超大作⑧The Odysseyでしょう。SYMPHONY Xがこれまでに生み出してきた長編曲同様ダレないと言えば嘘になりますが、まるで映画音楽のようなオープニングと勇壮なメロディが胸に響くラストは実に感動的。それだけに中間部にもうひと山欲しかったですね。全体的に見ればSYMPHONY Xというバンドの凄みがヒシヒシと伝わってくる作品ではあるものの、日本盤ボーナストラック⑩Frontiersを含め78分という長丁場を聴き終えた後に印象に残っているメロディはそう多くありません。聴き始めの頃はデビュー作のリメイク⑨Masqueradeが一番のお気に入りだったほどです(苦笑)。バンドの軸となる部分はブレずにモダンでヘヴィなサウンドへ傾倒したという点でDREAM THEATERの「TRAIN OF THOUGHT」(2003)にあたる作品と言えるかもしれません。「TRAIN OF THOUGHT」は自分でも不思議なほどハマったアルバムでしたが本作にはそこまでのめり込むことはなかったですね。

【音源紹介】
Inferno (Unleash The Fire)

【CD購入録】STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

  • 2017/04/16(日) 00:00:00

【CD購入録】
LOWER THE BAR
STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

2年ほど前からニューアルバムに関する情報を耳にしていたような気がするSTEEL PANTHERの4作目(邦題「鋼鉄酒場!」)を買いました。Stix Zadinia(Ds)のアルコール依存症のリハビリ等で予定が遅れてしまったそうですがStixは本作にもメンバーとして名を連ねています。STEEL PANTHERは元々トリビュートバンドだったこともあって当初は80年代の有名バンドからフレーズを大胆に借用していたので短命のコミックバンドになってしまうような気がしていました。ところが3rd「ALL YOU CAN EAT」(2014)辺りから、露骨なオマージュの登場頻度は減りオリジナルバンドになってきたように思います(僕がオマージュに気づいていないだけかもしれませんが)。今回も前作の延長線上にある高品質な1枚であることは事実ながら、印象に残るメロディはこれまでで一番少ないかもしれません…。現時点で好きな曲はバンド初のライヴ盤「LIVE FROM LEXXI'S MOM'S GARAGE」(2016)にも先行収録されていた大らかなバラード④That's When You Came Inですね。

【CD購入録】ベッド・イン「RICH」(2016)

  • 2017/04/12(水) 00:00:00

【CD購入録】
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ベッド・イン「RICH」(2016)

おみ足担当・益子寺 かおり(Vo・通称かおり・ジャケット左)、パイオツカイデー担当・中尊寺まい(Vo、G・通称ちゃんまい・ジャケット右)の2人によって結成されたアイドルユニットベッド・インの1stアルバムを買いました。彼女達のことは全く知らなかったのですが「90年代バブル系地下セクシーアイドルユニット」がコンセプトのようで、ボディコンが基本スタイルでライヴ(彼女達曰くおギグ)では下ネタも交えた過激なパフォーマンスで注目を集めているようです。僕も最初はイロモノかと思っていたのですがPVも制作された①「GOLDの快感」、②「♂×♀×ポーカーゲーム」、⑩「C調び〜なす!」を試聴したところ良さげだったので買ってみました。いざ聴いてみると歌謡曲風のメロディやド派手なシンセサウンドなど懐かしさを感じる要素が多々あってニヤリとしてしまいますね。ラップソング⑤「成りアガり VICTORY」などは僕の好きなタイプの曲ではないのですが、この手の歌が流行っていた90年代を思い出しながら聴いています。お気に入りは哀愁のメロディが堪らない⑥「太陽を信じて…」ですね。かおりの厚みのある歌声、ちゃんまいの媚びた感じの甘い歌にスポットを当てたそれぞれのソロボーカル曲⑦「ROSA-涙のバリライト-」、⑧V.H.S.もあります。また彼女達はバンド形態での活動に拘りがあるようでパートタイムラバーズというバックバンドが演奏を支えているし、インタビュー記事を読んでいてもバブリーで下ネタ満載の中に真面目な一面が垣間見ることができるのも好印象。最近はテレビ等への出演も増えているようなので世間での注目度が上がってブレイク、なんてこともあるかもしれませんね。

【気になるCDリスト】2017年4月

  • 2017/04/08(土) 00:00:00

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HAREM SCAREM「UNITED」(2017)4月26日発売予定

約5年の解散期間を経て活動を再開したメロディアスハード界の重鎮HAREM SCAREMの再結成後2枚目となる通算14作目。先行でPVが公開されている④Sinking Shipはなかなか好感触なのですが、アルバムとして聴いた時にこのバンドにありがちな「良くも悪くも手堅く纏まった作品」になってしまっていないかに注目ですね。

Sinking Ship


LOWER THE BAR
STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)4月5日発売

80年代に活躍したバンドのオマージュを散りばめたサウンドと下品な歌詞が特徴のSTEEL PANTHERの4作目。アルバムを重ねる毎に露骨なオマージュは減少し、インパクトも薄れているのは事実ながらハードロック好きのツボを押さえた楽曲群に今回も期待しています。

Anything Goes


PANTHEON-PART 1-
摩天楼オペラ「PANTHEON-PART 1-」(2017)4月12日発売予定

前作「地球」(2016)リリース後にAnzi(G)が脱退、その後は後任ギタリストを迎えずに活動を続けている摩天楼オペラの新作。「摩天楼オペラ史上最もHEAVY METALなアルバム」というキャッチコピーに興味津々です。ちなみに本作にはサポートメンバーとしてJaY(G/LIGHT BRINGER)が参加しているようですね。

トレイラー


【気になるCDリスト】
ALPHOENIX「FINAL CRUSADES」(2017)4月12日発売予定
Foreshadow
Tragic Night Falls
トレイラー

ANCESTRAL DAWN「SOULDANCE」(2017)
StormHaze
Rise Of The Ancestor
プレビュー

ART NATION「LIBERATION」(2017)5月10日発売予定NEW
The Real Me

DREAM EVIL「SIX」(2017)5月24日発売予定NEW
Dream Evil

ECLIPSE「MONUMENTUM」(2017)
Vertigo
Never Look Back

THE FERRYMEN「THE FERRYMEN」(2017)5月26日発売予定NEW

HAREM SCAREM「UNITED」(2017)4月26日発売予定
Sinking Ship

KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH「OVERTURE OF DESTRUCTION」(2017)4月5日発売
トレイラー

LIONVILLE「A WORLD OF FOOLS」(2017)
I Will Wait
A World Of Fools

MORS PRINCIPIUM EST「EMBERS OF THE DYING WORLD」(2017)
Reclaim The Sun

PLACE VENDOME「CLOSE TO THE SUN」(2017)
Welcome To The Edge
Light Before The Dark
HereAfter

PRIDE OF LIONS「FEARLESS」(2017)
The Tell
Silent Music
The Light In Your Eyes
All I See Is You

ROCKETT LOVE「GRAB THE ROCKET」(2017)5月26日発売予定NEW
Rocket Love

SERENITY IN MURDER「THE ECLIPSE」(2017)
The Revelation
Land Of The Rising Sun
Dancing Flames

STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)4月5日発売
Anything Goes

TOKYO MOTOR FIST「TOKYO MOTOR FIST」(2017)
Love Me Insane
Shameless
Put Me To Shame
Love

TWILIGHT FORCE「HEROES OF MIGHTY MAGIC」(2017)国内盤
Flight Of The Sapphire Dragon
Powerwind

VORCHAOS「VORCHAOS」(2017)
LET IT DIE~おまえに届くまで~

摩天楼オペラ「PANTHEON-PART 1-」(2017)4月12日発売予定
PANTHEON
トレイラー

SYMPHONY X「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)

  • 2017/04/04(火) 00:00:00

V THE NEW MYTHOLOGY SUITE
【No.490】
★★(2000)

前作「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)リリース後に日本公演を含む初めてのツアーを実現させ、スタジオ盤の制作だけでなくライブアクトとしても優れたバンドであることを証明してみせたSYMPHONY Xの5作目。4thのレコーディング時には脱退していたJason Rullo(Ds)が来日前に復帰、ツアー中にThomas Miller(B)が突然バンドを離脱(音楽業界からも引退)するなど慌ただしかったようですが、後任にMichael LePond(B)を迎えて以降SYMPHONY Xはメンバーチェンジすることなく活動しています。本作はアトランティス文明をテーマにしたバンド初のコンセプトアルバムとなっていることもあってかSYMPHONY X特有の神秘的なムードがこれまで以上に色濃くなっていますね。

クラシック作曲家ヴェルディのレクイエムをモチーフにした序曲①Preludeに導かれてスタートする②Evolution(The Grand Design)がいきなりのキラーチューン!ダークで神秘的なムードと気品すら漂うメロディライン、それでいてサビは一緒に歌えそうなほどキャッチーなこの曲にはSYMPHONY Xの魅力が凝縮されていますね。ここまで聴いた時点で本作への期待値がグンと上がったのですが、それ以降はあまり好きになれませんでした…。端的に言うとメロディがこれまで以上に地味な曲が多いように思います。それに加えて曲間にインストを挟むなどして、アルバム冒頭から⑨The Death Of Balance / Lacrymosaまで切れ目なく繋がっているため何曲目を聴いているのかわからなくなることもあったりします。

バンドを構成する要素のひとつであるプログレッシブな作風を強めた結果、僕のストライクゾーンから外れてしまった1枚という感じですね。過去作品と比べて複雑さが増していること、アルバムのテーマがアトランティス文明という僕があまり関心のないジャンルということもあって歌詞を読んでも本作のストーリーに入り込めなかったというのもマイナス要因でしょうか。といいつつ美しく幻想的な⑤Communion And The Oracle、重厚なコーラスをフィーチュアした⑩Absence Of Lightから疾走曲⑪A Fool's Paradiseを経てエンディング曲⑫Rediscovery(Segue)〜⑬Rediscovery(Part II)- The New Mythologyに至る展開は感動的だし、①以外にもクラシックのフレーズを巧みに引用したり、オーケストラサウンドを導入することで生み出される壮大な世界観は聴き応えがあります。また、リーダーMichael Romeo(G)によるテクニカルプレイ、バッキングにソロにと適材適所の音色で楽曲を彩るMichael Pinnella(Key)の存在感、説得力に溢れた歌唱で迫るRussell Allen(Vo)のボーカルといったSYMPHONY Xらしさは本作でも健在なので、ファンならば楽しめる作品ではあるものの個人的にはもう少しわかりやすいメロディが欲しかったですね。SYMPHONY Xのアルバムはリアルタイムで聴いている時はそんなに好きではなかったけれどリピートするうちにハマることが多いのですが、本作は聴き始めの頃からあまり印象が変わりませんでした…。

【音源紹介】
Prelude~Evolution(The Grand Design)

【CD購入録】GYZE「NORTHERN HELL SONG」(2017)

  • 2017/03/31(金) 00:00:00

【CD購入録】
NORTHERN HELL SONG
GYZE「NORTHERN HELL SONG」(2017)

Ryoji(Vo、G、Key)率いる北海道出身のトリオ編成メロディック・デスメタルバンドGYZEの3作目を買いました。バンドは本作からワールドワイドな活動を始めていて3月末現在は目下ヨーロッパツアー中のようです。CHILDREN OF BODOMが2nd「HATEBREEDER」(1999)当時のサウンドのまま進化したたのような音楽性を持つGYZE最大の武器は泣きまくりギターメロディにあると思っているのですが、本作ではその傾向が更に強くなっていてギターがボーカル以上に目立っていますね。また今回はアルバムジャケットに神社の鳥居が描かれていたり、曲名にアイヌの言葉を用いていたりと北海道のバンドであることを前面に出しているのも印象的。お気に入りは今後バンドの表題曲になりそうなタイトルトラック⑪Northern Hell Songですね。過去2作品同様、今回も慟哭のメロデスが堪能できる力作となっています。

【CD購入録】KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH「AT THE GATES OF A NEW WORLD」(2015)

  • 2017/03/26(日) 00:00:00

【CD購入録】
AT THE GATES OF A NEW WORLD
KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH「AT THE GATES OF A NEW WORLD」(2015)

約12年振りのオリジナルアルバム「BLIND FAITH」(2014)で復活を果たしたKELLY SIMONZ'S BLIND FAITHの4作目を買いました。このブログでは自主制作盤「SIGN OF THE TIMES」(1998)を1stアルバムとみなし、「SILENT SCREAM」(1999)はKelly Simonzのソロ名義なのでBLIND FAITHの作品にはカウントしていません。Kellyは日本屈指のネオクラシカル系ギタリストにして様々な楽器とボーカルもこなすマルチプレイヤーなのですが、前作からはリズム隊を迎えたバンド形態となっていて今回もゲストボーカルのYama-B(ex-GALNERYUS)を含め基本的に同じラインナップで制作されています。この手のアーティストの定番とも言える序曲①The Journey To The Gatesから挨拶代わりの疾走チューン②At The Gates Of A New Worldに至る流れは燃えるし、その後をメロハータイプの③In The Name Of Loveが受け継ぐのもKellyらしいですね。それ以降もワイルドなハードロックや美麗バラード、そして彼の作品に欠かせないインストゥルメンタルなどバリエーションに富んだ楽曲群が楽しめます(⑧Nobody Is The SameDEEP PURPLEBurnにかなり似てますが/苦笑)。2017年4月5日には早くも新作「OVERTURE OF DESTRUCTION」をリリース予定だそうで、ここに来てKELLY SIMONZ'S BLIND FAITHの動きが活発になってきましたね。

【CD購入録】FIREWIND「IMMORTALS」(2017)

  • 2017/03/22(水) 00:00:00

【CD購入録】
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FIREWIND「IMMORTALS」(2017)

2009年にOZZY OSBOURNEのツアーに帯同、翌年にリリースされたアルバム「SCREAM」にも参加していたギリシャ人ギタリストGus G.のメインバンドFIREWINDの8作目を買いました。5th「THE PREMONITION」(2008)などを聴いて手堅い正統派ヘヴィメタルが楽しめる一方でFIREWINDならではの決め手に欠けるイメージがありました。そんな理由からここ最近の2作品はノーチェックだったし、本作も当初はスルーの予定だったのですがB!13さんからコメントをいただいたことがきっかけで①Hands Of Time、③Ode To Leonidas、④Back On The Throneのオフィシャル音源を聴いてみたところ予想以上にメロディックパワーメタル寄りで僕好みだったので購入した次第です。今回のアルバムに収録されている楽曲にはメロパワ界きってのプロデューサーDennis Ward(B/PINK CREAM 69、UNISONIC)とGusによるプロジェクトのために書かれたマテリアルも含まれているそうで、その制作過程が今回の作風に影響しているのかもしれませんね。2015年に加入し、本作が初めてのスタジオ盤となるHenning Basse(Vo/ex-METALIUM)の歌唱はRob Rock(Vo/IMPELLITTERI)を彷彿とさせる熱唱系でバンドとの相性も良さそうです。本作は「テルモピュライの戦い」、「サラミスの海戦」という古代ギリシャの2つの戦いを題材にしたバンド初のコンセプトアルバムですが、各曲をシームレスに繋いだりSEを用いたりすることなく通常作品と同じく個々の楽曲が独立した構成となっています。ギリシャのバンドと言えばGus Drax(G)率いるSUNBURSTKosta Vreto(G)が在籍するWARDRUMといった期待の若手が相次いでシーンに登場していますが15年近いキャリアを誇るFIREWINDも負けていませんね。

SYMPHONY X「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)

  • 2017/03/18(土) 00:00:00

TWILIGHT IN OLYMPUS
【No.489】
★★★(1998)

3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)が過去のアルバムを凌駕する出来だったこともあり、それまでの日本に加えてヨーロッパでも人気に火がつきはじめたSYMPHONY Xが放つ4作目。ギターサウンドがグッとヘヴィになってファンを驚かせた前作よりも初期2作品で濃かったネオクラシカルテイストが前に出ているため、本作が2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)の次のアルバムと言われてもシックリくる作風です。これまで不動だった演奏陣にメンバーチェンジがありドラマーのJason Rulloがレコーディング前に脱退、後任にTom Walling(Ds)を迎えていますが次回作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000) ではJasonが復帰しています。

毎回思うのですが、このバンドはアルバムの掴みがいつも強力ですね。今回もネオクラシカルなフレーズが乱舞する疾走曲①Smoke And Mirrors、SYMPHONY Xにしては珍しく一緒に歌えそうなサビと「ヘイ!ヘイ!」という掛け声をフィーチュアした②Church Of The Machineから間髪入れずにベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」をモチーフにしたインスト小品③Sonataを挟み、④In The Dragon's Denで再びパワフルに疾走する流れに引き込まれました。今回のアルバムは全8曲と収録曲が少ないのですが後半も「鏡の国のアリス」を題材にした13分の大作⑤Through The Look Glass (PartⅠ,Ⅱ,Ⅲ)に始まり、やや薄味ながらも疾走感が心地よい⑥The Relic、メロディが捻くれているため即効性はないもののMichael Romeo(G)Michael Pinnella(Key)による圧巻のソロバトルが楽しめる⑦Orion - The Hunter、和音階を取り入れた叙情バラード⑧Lady Of The Snowなど魅力的なナンバー並びます。

Candlelight Fantasia、Out Of The Ashesというバンドの「静」と「動」それぞれの魅力を凝縮した名曲を収録した3rdに比べると小粒な感は否めませんが、今回もネオクラシカルのマスターピース①を筆頭になかなかの力作に仕上がっています。また②の「バ〜ゥ ダ〜ゥ♪」という歌い出し(サビから曲がスタートするのはこのバンドで初めてかも)や⑥のサビメロなど一度聴いただけで口ずさんでしまいそうなメロディがあるのも本作の特徴でしょうか。当時のSYMPHONY Xはライヴを行っておらず事実上スタジオバンドだったことを差し引いても1994年にデビューして以降、ほぼ毎年フルアルバムを作り上げる彼等の創作意欲には頭が下がりますね。なおバンドは1998年6月に初来日公演(SYMPHONY Xとして初のライヴだったとか)を行い、その後ワールドツアーを敢行するなどライヴ活動が本格化していくため次作からはアルバム発表の間隔は2年毎、4年毎と長くなっていくこととなります。

【音源紹介】
Smoke And Mirrors

【CD購入録】KISKE/SOMERVILLE「CITY OF HEROES」(2015)

  • 2017/03/14(火) 00:00:00

【CD購入録】
CITY OF HEROES
KISKE/SOMERVILLE「CITY OF HEROES」(2015)

PLACE VENDOME、UNISONICなどでも精力的に活動するMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)と、様々なメタルバンドへのゲスト参加を経てSascha PaethプロデュースのTRILLIUM名義で2011年にアルバムを発表した女性シンガーAmanda SomervilleによるデュエットプロジェクトKISKE/SOMERVILLEの2作目を買いました。本作のソングライティング面の中核を担うのはMat Sinner(B)、Magnus Karlsson(G)PRIMAL FEAR組で⑥Breaking NeptuneのみSander Gommans(G/ex-AFTER FOREVER)とAmandaの共作となっています。全体的な印象としてはPLACE VENDOMEよりもメタル寄りで、曲によってはゴシックメタル風のアレンジも垣間見えます。いかにもオープニングという感じの勢いがある①City Of Heroes、ジャーマンメタル系の明るいメロディを持った⑧Open Your Eyes、ポップフィーリングに溢れる⑫Right Nowなどがお気に入りです。それにしても、ここ最近のMichaelはかなりのハイペースで作品を発表していますね。特に2009年〜2017年の間にはKISKE/SOMERVILLE、PLACE VENDOME、UNISONICでフルアルバムを7枚もリリースしているし、それに加えてAVANTASIAなど多数のプロジェクトにゲスト参加しているため彼が歌う新曲が毎年発表されているのではないでしょうか。Michaelの大ファンの僕としては嬉しい反面、供給過多に感じて有り難みが薄れてしまっている、というのが正直なところです。贅沢な話だというのはわかっているのですが…(苦笑)。